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土壌微生物細胞性粘菌の
細胞外分泌物による
植物寄生性線虫の防除
齊藤玉緒
上智大学 理工学部 物質生命理工学科
分野別 環境 新技術説明会 1
研究の背景
全世界の農業生産物の約5%に相当する、作物被害を引き起こす
と推測されている
唯一有効な防御手段は、毒性の高い化学物質の散布のみ
ネコブセンチュウ 1mm
分野別 環境 新技術説明会 2
研究の背景
ネコブ線虫の被害 ネコブ線虫は2種類 Meloidgyne hapla (キタネコブ線虫) Meloidgyne incognita (サツマイモネコブ線虫) ともに宿主特異性がない
ネコブセンチュウが寄生すると 青枯病など土壌病害の発生が助長される。
植物の生育が抑制される。根が腐敗脱落。
商品価値がなくなる
分野別 環境 新技術説明会 3
研究の背景
燻蒸剤
円 円
防除法は農薬による予防法が主流。
分野別 環境 新技術説明会 4
現在使われているネコブ線虫防除法
20年前に開発された方法で、数種類の有害な土壌燻蒸剤による防除。
臭化メチルはモントリオール議定書締約国会合(MOP)により平成17年末をもって製造・使用が禁止された。
しかし、我が国では代替剤・代替技術がない場合の「不可欠用途」として使用が継続されている。
他の農薬も毒性が高い。
分野別 環境 新技術説明会 5
これまでの技術の問題点
これまでの技術の問題点 我が国固有の問題
農地が狭く、連作の必要があるため線虫被害がなくても毎年大量の農薬を使用する。
新たに開発された方法ー天敵微生物
ネコブ線虫の天敵微生物 Pasteuria penetrans 宿主特異性が高く被害が大きいキタネコブ線虫などには使えない。コストが高く、定着性に問題がある。
安全、安価で持続可能な農業生産に貢献できる 線虫防除体系を作りたい
分野別 環境 新技術説明会 6
細胞性粘菌とは 土壌中に広く存在する微生物、単細胞と多細胞の間の生物と考えられる。
100種類以上の種の分子系統が分かっている。
いくつかの種ではゲノムプロジェクトが終了している。
野外から細胞性粘菌を単離すると、必ず線虫が混入している。
分野別 環境 新技術説明会 7
実験結果
粘菌抽出液濃度:4.0 mg/ml 粘菌抽出液濃度:0.40 mg/ml
細胞性粘菌由来の細胞分泌物質は ネコブ線虫の忌避行動を誘起する。
相対値(%)
相対値(%)
コントロール コントロール 細胞性粘菌 細胞性粘菌
細胞性粘菌D. discoideumが分泌する化学物質に対し ネコブ線虫の行動が濃度依存的に変化する
分野別 環境 新技術説明会 8
実用化にむけて−実験結果
相対値(%)
コントロール 細胞性粘菌
ネコブ線虫は植物存在下においても、 細胞性粘菌抽出液に対して忌避行動を起こす
分野別 環境 新技術説明会 9
想定される用途・技術転移 開発したい技術
土壌微生物を用いた新たな植物寄生性線虫の防除体系の確立
低コスト、低環境負荷の微生物製剤の創出
技術の差別化のポイント
これまで使われてきた土壌燻蒸剤の使用をなくす、ないしは低減する。
消費者にも生産者にも優しい農業の実現
土壌中に広く存在する細胞性粘菌由来の天然物化合物で環境負荷が少ない。
植物に対する毒性が低いため、植物栽培中にも使用が可能である。
微生物自体を使用するのではなく、その抽出物を使用するため土壌への定着
率などが問題にならない。
粘菌は安価である。
分野別 環境 新技術説明会 10
想定される利用者、対象、あるいは市場
農薬開発、製薬、種苗関係
新たな生物製剤(農薬)の創出
農薬を輸入ではなく国産のより安全な農薬に変えたい。
土壌の生物叢が健全であれば線虫の被害は防げる。
ならば、殺虫よりも忌避活性を利用したい。
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想定される用途・技術転移
本技術に関する知的財産権・問い合わせ先 発明の名称:
ネコブ線虫を忌避させるための忌避剤及びそれを用いた方法
出願番号:特願2013−174827
発明者:齊藤玉緒(上智大学), Derek Bartlem(北海道大学)
問い合わせ先: 上智大学 学術情報局 研究支援センター
Phone 03-3238-3173
Fax 03-3238-4116
e-mail : [email protected]
分野別 環境 新技術説明会 12
スライド番号 1研究の背景 研究の背景 研究の背景 スライド番号 5これまでの技術の問題点 細胞性粘菌とは実験結果 実用化にむけて−実験結果想定される用途・技術転移スライド番号 11本技術に関する知的財産権・問い合わせ先