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フェニックス コンサルティング及び RSVP デザインによ
るフリーガイド
Experiential Learning(経験型学習)
Phoenix Consulting, Inc.
www.phoenix-consulting.com
Learning by Doing-体験型研修-
2
目 次 成長戦略としての人材育成研修 .......................................................................................... 3
経験型学習とは? ................................................................................................................ 3
コルブの経験学習サイクル .................................................................................................. 5
なぜビジネス研修で経験型学習? ....................................................................................... 6
講師にとっての経験型学習 .................................................................................................. 7
経験型研修 導入アクティビティ ― アイスブレイカー ― ................................................ 8
グローバル・リーダーシップ・ディベロプメント・ソリューションズ(Global Leadership Development Solutions)について ...................................................................................... 9
RSVP デザインについて ....................................................................................................... 9
参考文献 ............................................................................................................................ 10
3
成長戦略としての人材育成研修 現在のビジネス社会では、専門分野に限った知識やスキルだけでは十分な競争力を維持
することができません。変化の速いグローバル市場の中で様々な問題に対処するため
に、組織は柔軟でクリエイティブな人材を必要としています。組織のどのレベルにおい
ても、視野を広げ、より複雑なビジネス環境に立ち向かうための学習の機会は必要不可
欠です。
経験型学習が「経験-省察-自己(他己)評価」のプロセスを通して対人コミュニケー
ションスキルを高めることは、多くの調査研究で言及されています (Lesley, Hyde,
McPherson, & Simposon, 2016)。 そもそも経験型学習とはどのようなものでしょうか。
また「経験」と経験以外のものを分けるものは何でしょうか。
経験型学習とは? 2013 年以降の 5 年間で、「経験型学習」についての専門誌は 25 以上1、また正式な審査
を受けた論文は数百にのぼります。経験型学習は成人教育の最も重要な新しい研究分野
として注目されています。
しかし、経験型学習についての研究、実践が多岐に及ぶため、この用語を正確に説明す
ることは難しいと言われています。また、企業や教育現場における「経験」の定義も多
種多様です。中には、経験を通した学習という一般的な考え方と、「経験型学習」を別
のものとして捉える必要はないと考える研究者もいます(Fenwick, 2003:87)。
本書では、加速学習、問題解決学習、共同学習など既によく知られた参加型の学習法を
「経験型学習」の一部として位置づけています。それぞれの学習法を個別に、または複
数の組み合わせで用いることで、よりインタラクティブで参加者中心の学習機会を提供
できると考えています。
1 他にも多くの出版物があるが、特に Journal of Experiential Education、Asia-Pacific Journal of Cooperative Education、Universal Journal of Education Research が、経験学習に関連する研究を発表している。完全なリストはこ
ちらを参照: https://eric.ed.gov/?q=experiential+learning&pr=on&ff1=dtySince_2013
4
経験型学習を説明するうえでのフレームワークとしてよく知られているのが学習サイク
ルモデル2です。これは成人教育や企業研修をデザインする際に用いることができる比較
的シンプルな循環論で、暗記や抽象的な知識の蓄積ではない、日常の直接経験に根ざし
た学習に焦点を当てています。
この学習サイクルの一部に「経験」と「省察」があります。「経験」とは個人が環境や
状況に積極的に働きかけることをいい、何かを行うことで起こる自分と他者(環境)と
の相互作用です。次に「省察」のプロセスで自分の行為・経験を振り返り意味づけを行
います。この経験-省察が学習材料そのものとなって、学習者の記憶に残る効果的な学
習体験を作りだすことができるのです。
一方、単にチームで行う研修や、
何らかの実践を通した学習を「経
験型学習」と同じものとして捉え
ることはできません。
経験型学習をデザインする際、フ
ァシリテーターは学習者が何を学
ぶのかを考える必要があります。
フェニックスコンサルティングで
は経験型学習を特殊な学習形態を
指す言葉として用いています。経験型学習についての理論は数多くありますが、ディビ
ット・コルブ(D.A Kolb) の「経験学習サイクル(experiential learning cycle)」で最も
分かりやすく説明されています。コルブは経験主義の系譜をもとに、学習理論を発展さ
せました。このサイクルは経験に基づいた学習の可能性を示唆する 4 段階のプロセスで
す。
2 David Kolb (1984)
Webmaster®を使った研修の様
子。参加者が協力しながら組織的
に問題を解決します。時間内に効
果的にコミュニケーションを取る
難易度の高いタスクです。
5
コルブの経験学習サイクル
具体的経験
コルブは「学習は経験に基づく絶え間ないプロセスである」として机上の学習だけでは
よく学ぶことはできないと考えました。この学習サイクルは、個人やチームが具体的な
経験をするところから始まります。私たちは状況に対して意図的に行動を起こしたり、
予想外のことが起こったりしますが、これら全てが経験となります。
省察
経験や出来事の意味をある程度時間をかけてじっくりと振り返ります。「なぜ成功した
のか、失敗の原因は何だったのか」あるいは「何が起こったのか、自分はどう対応した
か、チームメートは何をしたか?」といった質問への答えを様々な視点から探っていき
ます。
概念化
実践した状況から一旦離れて、経験を一般化、抽象化して他の状況にも応用できるルー
ルや知識に置き換えます。過去の事例と比較する、または既によく知られた理論やフレ
ームに当てはめて、持論化していきます。
試行
省察や概念化のプロセスで新たに得た考えや方法に基づいて、実際に試してみます。も
ちろん、実際の業務で新しいことを試みるのはリスクが高いといえます。研修プログラ
ムの中で試行の疑似体験をすることで、概念化、理論化したことを実践に移すことがで
きます。
具体的経験
行動する/行う
省察する 振り返る
試行 実際に試してみる
概念化 一般化する
6
なぜビジネス研修で経験型学習? すでに述べたように、経験型学習は対人能力を高め、コミュニケーションを改善しま
す。経験型学習は、成人の学習方法の根本を成すものです。
さらに、日常の業務でも「経験型学習者」になることで、研修で得たことを生涯にわた
る継続的なプロセスにすることができます。この学習成果は、研修をはるかに超えたも
のになります。学習者は、コルブの経験学習サイクルなどを参考にして、自分のパフォ
ーマンスと変化への姿勢を向上させる新たな枠組みを身に付けることでしょう。
人と関わりを持ち、効果的にコミュニケーションを図り、問題を解決し、革新を起こ
す。またチーム内で自分の役割を果たし、影響を与え、対立を解決する能力はすべて、
経験型学習のアプローチによって高めることができます。経験型学習は、私たちの日々
の業務で行うあらゆる主要な活動に対処します。
企業研修プログラムでの経験型学習
重要な問題に対して敏感になる 意識を高め、耳を傾ける
既存の思考と行動のパターンについてよく考え、自己意識を高める
成功パターン(認知力、原動力、感情)を強化する
「試行」の段階で新しいアプローチを実行し、洗練させる
失敗や満足できないパターンを検証し、改善させる
研修で得たことを実際の業務に導入し、生かす
7
講師にとっての経験型学習 経験型学習は、講師や学習・開発の専門家の役割を変えます。それは知識を伝える指導
者としての役割から、進行役、つまり学習経験を促すファシリテーターとしての役割へ
の変化です。これは、講師と参加者の関係が大きく変化することを意味しており、参加
者は学習プロセスを自らリードしているように感じることができるでしょう。
経験型学習を用いた研修は、学習者を中心にデザインされているため、自分から積極的
に学ぶ姿勢を身に付けることが可能です。この「学ぶスキル」の向上が、研修のねらい
の一つでもあり、研修後の日常の業務からも学ぶことができる能力に繋がります。この
ためファシリテーターは学習者の反応やニーズを的確に捉え、研修プロセスや学習内容
を柔軟に変化させていく必要があります。
フェニックスコンサルティングでは、幅広く適用するスキル、すなわち「考えることに
ついて考える」、「学ぶことについて学ぶ」といったメタ認知的な能力の開発にも力を
入れています。
8
経験型研修 導入アクティビティ ― アイスブレイカー ―
経験型学習の活動を通して、学習者は学習に敏感になる
経験型学習の導入アクティビティは「アイスブレイカー(icebreakers)」または「元気
づけ(energizers)」として知られ、学習デザインにおいて必要不可欠です。 研修や学
習プログラムを良い形でスタートさせることはとても重要であるため、この導入部分は
成り行きに任せることなく、入念に計画されたものであるべきです。
企業の人材育成ニーズや学習目的が的確に反映された研修プログラムは、省察や気付き
に対する意識を高めますが、アイスブレーカーによって、参加者が研修のテーマに集中
しやすい流れを作ることができます。また導入部分において話し合いやコミュニ―ケー
ションが始まり、人間関係が築かれていくため、アイスブレーカーとなる導入アクティ
ビティを選択する際は、研修の目的と合っているか検討することが重要です。
アイスブレーカーは、視覚、聴覚、運動感覚を刺激し、参加者のモチベーションを高
め、チームのメンバーとの交流や協を促します。参加者はこの導入部分によって、研修
の中心が指導者(ファシリテーター)ではなく参加者自身に移り、自分たちが研修を牽
引していくという印象を持つでしょう。
プログラムの開始時には、不安を抱えた参加者に自信を与え、活動に巻き込む必要があ
ります。当惑させたり、意欲をそいだりせず、参加者に自分の空間を見つけてもらうこ
とで、彼らが研修プロセスに積極的に関わり、研修の中で展開される思考のプロセスに
スムーズに入っていくことができます。
研修の目的に合致したアイスブレーカーは、その目的を達成する最初の一歩となるので
す。
9
グローバル・リーダーシップ・ディベロプメント・ソリューシ
ョンズ(Global Leadership Development Solutions)について フェニックス コンサルティングの GLDS(Global Leadership Development Solutions)は、企業の
事業運営とグローバル戦略の支援に力を入れています。私たちは、研修で一人ひとりのビジネス
パーソンの行動に変化を起こ
し、人材開発を価値創造と密接
に結びつけることで、組織の可
能性を広げます。個人やチーム
の活性化が、持続可能なビジネ
スを推進し、グローバル市場で
のさらなる成功を可能にするで
しょう。GLDS は世界的に著名
な RSVP デザインと協働し、学習・開発とビジネス研修の最新のソリューションをお届けします。
また、ネットラーニンググループの一員として e ラーニングを活用し、学習者中心の研修ソリュ
ーションをいつでもどこへでも提供しています。
RSVP デザインについて RSVP デザインは経験型学習デザインの分野で世界的に活躍し、広く認められているスペシャリス
ト集団です。企業の学習・開発ニーズに応えるために、あらゆるスキルと経験を結集し個人やチー
ムの能力を開発し、組織の成功を
支援します。
それぞれの企業や組織に合ったオ
ーダーメイドの体験型研修を通し
て、ビジネスにおける行動様式や
意思決定力を向上させます。
2003 年設立の RSVP デザインは、米国とイギリスに拠点を置き、世界中のパートナーに研修を提
案しています。ここ 2~3 年間にハーバード大学、ロンドンビジネススクール、ブリティッシュ・
エアウェイズ、国際連合世界食糧計画などによって RSVP デザインの経験型学習プログラムや学習
ツールが使われています。
10
参考文献 Kolb, D. (1984). Experiential learning: experience as the source of learning and
development. Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall, 1984.
Lesley, K., Hyde, S., McPherson, K., & Simposon, M. (2016). Improving students'
interpersonal skills through experiential small group learning. Journal of
Learning Design, 23.
Michelson, E. (1996). Usual Suspects: Experience, Reflection, and the (En)Gendering
of Knowledge". International Journal of Liflong Education, 438-454.
Experiential Learning
Phoenix Consulting, Inc.
www.phoenix-consulting.com
TEL 03-5962-3511 • FAX 03-5989-1901