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P. 04 EVOS M5000 Cell Imaging System P. 05 CytoVista Tissue Clearing / Staining Kit CytoVista 3D Cell Culture Clearing / Staining Kit P. 06 Flow Cytometry Panel Builder P. 08 Attune NxT Flow Cytometer P. 09 KaryoStat アッセイおよび KaryoStat HD アッセイ受託サービス P. 12 SeqStudio ジェネティックアナライザ P. 14 iBright CL1000FL1000 Imaging System 2018 / December No. 48 Science, Products, and Information サーモフィッシャーサイエンティフィック ライフサイエンス情報誌 NEXT Interview レトロトランスポゾン由来の獲得遺伝子が操る 哺 乳 類・ヒト進 化 の 仕 組 み を 探 る ゲノムインプリンティングからの独創的アプローチ 石野史敏 東京医科歯科大学難治疾患研究所・エピジェネティクス分野教授

No....P. 04 EVOS M5000 Cell Imaging System P. 05 CytoVista Tissue Clearing / Staining Kit CytoVista 3D Cell Culture Clearing / Staining Kit P. 06 Flow Cytometry Panel Builder P. 08

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P. 04 EVOS M5000 Cell Imaging SystemP. 05 CytoVista Tissue Clearing / Staining Kit

CytoVista 3D Cell Culture Clearing / Staining KitP. 06 Flow Cytometry Panel BuilderP. 08 Attune NxT Flow CytometerP. 09 KaryoStat アッセイおよび KaryoStat HD アッセイ受託サービスP. 12 SeqStudio ジェネティックアナライザ P. 14 iBright CL1000|FL1000 Imaging System

2018 / December

No. 48

Science, Products, and Information

サーモフィッシャーサイエンティフィックライフサイエンス情報誌

NEXT Interview

レトロトランスポゾン由来の獲得遺伝子が操る哺乳類・ヒト進化の仕組みを探るゲノムインプリンティングからの独創的アプローチ石野史敏 氏東京医科歯科大学難治疾患研究所・エピジェネティクス分野教授

生物としてのヒトとは何か。学生の頃から持ち続けてきたそんな疑問に「これからの研究で答えていきたい」と話す、東京医科歯科大学の石野史敏氏。30年ほど前から、哺乳類に特有なゲノムインプリンティングの研究に取り組み、そのゲノムのおよそ半分を占めるレトロトランスポゾン領域の重要性に気づきます。そこは過去に飛び込んだウイルス配列やその残骸だらけで、ガラクタとも言われてきた領域。しかし、「哺乳類としての個体の発生に必要ないくつもの遺伝子(ゲノムインプリティング遺伝子を含む)がレトロトランスポゾンに由来すること、ゲノムインプリティングのコントロールセンターは外来DNAの挿入に由来することを突き止めました。私たち哺乳類は、ゲノムの中に外来配列を取り込むことで新たな機能を獲得し、進化の原動力にしたのかもしれない」と続けます。

インタビュアー: サーモフィッシャーサイエンティフィック 橋本裕子

Interview

レトロトランスポゾン由来の

獲得遺伝子が操る哺乳類・ヒト進化の仕組みを探る

ゲノムインプリンティングからの独創的アプローチ

石野史敏

氏 東京医科歯科大学難治疾患研究所・エピジェネティクス分野教授

世代ごとにゲノムに刻まれる記憶

「哺乳類は父親と母親から合計2セットの遺伝子を受け継ぎますが、一部の遺伝子は片親から受け継いだ場合にしか働きません。このような遺伝子には、どちらの親からもらったかの記憶が刻まれていて、それに従って働く(発現する)かどうかが決まります。この記憶をゲノムインプリンティング(ゲノム刷り込み)と呼び、哺乳類※に特有の機構です。「私たちは2セットの遺伝子を持つメリットを捨ててまで、なぜこんな仕組みを持ち続けているのでしょうか」と石野氏は問いかけます。 1991年、最初のインプリンテリング遺伝子の一つとしてIg f2遺伝子が報告されます。Igf2は哺乳類以外の脊椎動物では両親性に発現しますが、哺乳類※では父親由来でしか発現しません。「当時、ゲノムインプリンティングは極わずかな遺伝子に起こる特殊な現象だと思われていましたが、私はこの現象こそが、哺乳類と他の生物との一線を画す仕組みだと直感しました。そしてゲノムインプリンティング遺伝子を網羅的に探し出すサブトラクション法を開発し、20数種類におよぶゲノムインプリティング遺伝子を見つけていきました」。石野氏らの研究からゲノムインプリンティングが哺乳類の個体発生にどのように関わるかが示され、この機構の異常から生じるさまざまなヒト遺伝病も理解できるようになりました。 ゲノムインプリンテリング遺伝子の中で、父親由来でのみ発現する遺伝子をPeg(Paternally expressed genes)、母親由来でのみ発現する遺伝子をMeg(Maternal ly

expressed genes)と呼び、約100種類ずつが見つかっています。PegとMegは染色体上に集中してクラスターを形成し、そこにはどちらの親由来かでDNAメチル化状態が異なるCpGアイランドがあり、最大約1Mbにわたって複数の遺伝子の片親性発現を制御するコントロールセンターとなります。メチル化は生殖細胞ができていく過程で一旦消去され、性別に合わせて再度ゲノムに刷り込まれます。これは塩基配列の変化を伴わない、エピジェネティックな現象ですが、各コントロールセンターには共通配列がなく、どのようにDNAメチル化制御の標的になるのかは謎でした。※正確には、単孔類を除く胎生の有袋類と真獣類

哺乳類の進化とゲノムインプリンティング

 哺乳類は進化の過程で卵生から胎生と生

殖形態を劇的に変化させ、胎盤という新たな臓器を獲得しました。胎盤は胎児と母体間の物質交換の場であり、両者の組織が混在する臓器です。「胎盤の獲得は哺乳類進化の原点であり、すべてのPegやMegは胎盤に発現していました。また受精卵の核移植で人工的に作製したマウスの単為発生胚は、雄同士でも雌同士でも初期胚で致死となりますが、胎盤の表現型は大きく異なります。雄性単為発生胚では胎児が著しい成長不良を示す一方で胎盤は大きく成長しますが、Pegが発現しない雌性単為発生胚では胎盤形成が著しく抑制されます。そこで胎盤形成に重要な役割を担うPegを徹底的に検索し、2006年にマウスの6番染色体上のPeg10が胎盤形成に必須の機能を持つこと、2008年には12番染色体上のPeg11/Rtl1が胎盤機能の維持に重要な遺伝子であることを突き止めました。ヒトではPeg11/Rtl1の過剰発現が、胎盤の過剰形成、胸骨形成異常、羊水過多、腹直筋開裂などの症状を起こす鏡-緒方症候群の主要原因遺伝子となります」と石野氏。 さらにこの研究で驚くべき事実が分かります。「Peg10とPeg11は、どちらもレトロトランスポゾンに由来する遺伝子であり、過去にゲノムに取り込まれたウイルスに由来していたんです。この遺伝子の有無を哺乳類のサブグループのゲノムで調べると、Peg10遺伝子はもっとも原始的な哺乳類で卵生のカモノハシ(単孔類)にはなく、原始的な胎盤を持つ有袋類のワラビー(小型カンガルー)にはありました。Peg11遺伝子はワラビーにもなく、高機能胎盤を持つマウスやヒトなどの真獣類だけが持つことも報告されました。哺乳類は胎盤進化に合わせてウイルスから重要な遺伝子を獲得していたんです。ゲノムインプリンティング遺伝子の研究から、数億年にわたる進化の新しい仕組みが目の前に広がるようでした」。

ヒトへの進化を探る

 「最初からヒトや哺乳類の生物学的な理解を目指すのではなく、大学院から助手までは大腸菌の遺伝学に取り組みました。しかし留学を境に、一刻も早くヒトの研究に近づきたくて、哺乳類の遺伝学にジャンプしました。この時、長年の共同研究者になる金児-石野知子と哺乳類特有のゲノムインプリンティングを基盤とし、それを徹底的に研究することで、ヒト研究への足がかりを作るという研究戦略を練りました。そして研究を進め、ゲノムインプリンティングは進化上のトレードオフで生じたとの答えを得ました。すなわち『片親性発現は

不利だが、死を避けるためには仕方がなかった』と。予想外のことにコントロールセンターは外部から挿入された配列からなり、それが遺伝子発現に影響する機能を持つため、一部の遺伝子は発現できない状態に陥ります。それを回避するため、この配列に父親側、母親側で異なるDNAメチル化を振り分けることで、ゲノムインプリンティングの片親性発現が生じたと」(石野氏)。 そして、いよいよ最終目標の研究に取り組む時が来ました。Peg10とPeg11の研究から新展開したレトロトランスポゾン由来の他の獲得遺伝子にも哺乳類の発生に重要な機能が見つかっています。 「獲得遺伝子やゲノムインプリンティング領域の誕生というゲノム機能の進化は、ヒトの進化にも繋がるだけでなく、現在進行形で続いています。よく、私たちとチンパンジーのゲノムの違いはわずか1.5%程度と言われますが、それは遺伝子の相同性という概念が通じる領域だけを比較した数値。大きな違いが潜むレトロトランスポゾン領域を無視した値です。進化の原動力を生み出す場として、次はこの領域を徹底的に攻略していきたい」と石野氏は、さらなる進展に意欲をみせます。

若い人へメッセージ

「1990年に留学から戻った時、5年間は論文がでなくても、腰を据えて研究に取りくむ事にしました。その間にサブトラクション法を開発し、自分が目指す研究分野を切り拓いていきました。当時は、研究テーマを変えれば、数年のブランクを容認してくれる時代。でも残念ながら、今はそんな余裕は許されない時代になってきたと思います。好きな研究を続けるための戦略は、時代に合わせて自分で考えていくしかありません。自分が面白いと思うことを突き詰めていくのだから、そこをなんとか乗り越えて欲しい。科学者として大事なことは、他者とは違うことに挑戦し、新しい考えを発信していく勇気だ」と石野氏は研究者としての覚悟を伝えます。

生物としてのヒトとは何か。学生の頃から持ち続けてきたそんな疑問に「これからの研究で答えていきたい」と話す、東京医科歯科大学の石野史敏氏。30年ほど前から、哺乳類に特有なゲノムインプリンティングの研究に取り組み、そのゲノムのおよそ半分を占めるレトロトランスポゾン領域の重要性に気づきます。そこは過去に飛び込んだウイルス配列やその残骸だらけで、ガラクタとも言われてきた領域。しかし、哺乳類としての個体の発生に必要ないくつもの遺伝子(ゲノムインプリティング遺伝子を含む)がレトロトランスポゾンに由来すること、ゲノムインプリティングのコントロールセンターが外来DNAの挿入に由来することを突き止めます。「私たち哺乳類は、ゲノムの中に外来配列を取り込むことで新たな機能を獲得し、進化の原動力にしたのかもしれない」と続けます。

石野史敏(いしの ふみとし)

1983年東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了後、東京大学応用微生物研究所(現分子細胞生物研究所)助手、90年英国AFRC動物生理遺伝学研究所に文部科学省在外研究員として留学。91年東京工業大学遺伝子実験施設助教授を経て、2003年より東京医科歯科大学難治疾患研究v所教授、14年より東京医科歯科大学難治疾患研究所所長を兼任、現在に至る。

page 03page 02

P O I N T

直感的なインターフェースなので、初心者でもわずか数分で画像を取得できます。

透明化する組織や細胞

免疫染色しない場合(蛍光タンパク質の発現確認など) 免疫染色する場合

● CytoVista 3D Cell Culture Clearing Reagent

● CytoVista Tissue Clearing Reagent ● CytoVista Tissue Clearing Kit

● CytoVista 3D Cell Culture Clearing/Staining Kit

● CytoVista Tissue Clearing/Staining Kit

8 mm(例: マウス全脳)

N/A

48 時間※2

N/A

48 時間※2

1 mm 4 時間※2 4 時間※2

500 µm 30 分※2 30 分※2

≤ 250 µm 10 分 10 分

3D cell culture models 10 分 N/A 10 分 N/A

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いつもの顕微鏡作業に感動を! 3次元培養組織、オルガノイド、スフェロイドを迅速に透明化EVOS M5000 Cell Imaging System CytoVista Tissue Clearing / Staining Kit, CytoVista 3D Cell Culture Clearing / Staining Kit

新登場のInvitrogen™ EVOS™ M5000 Cell Imaging Systemは、これまでの使いやすさはそのままに、さらに高い解像度と明るい画像を提供する蛍光顕微鏡です。洗練されたオートフォーカス機構、高解像度の

CMOS カメラやタイムラプス機能を備え、直感的なインターフェースにより数分間で高品質画像を取得できます。

● 画像取得、アノテーション、解析用ソフトウェアを内蔵● 機械学習に基づく細胞計数とコンフルエンシー解析● オートフォーカス、 Z-スタック機能、タイムラプスイメージング、ワンク

リックでのマルチチャンネル画像取得● マルチチャンネル自動蛍光イメージング● 高解像度モノクロカメラと斬新な LED カラー照明モード● Thermo Fisher Cloud により、いつでもどこでも画像やデータにア

クセス● Invitrogen™ EVOS™ Onstage Incubatorを使えば、生細胞イ

メージングの環境条件を高精度に制御

Invitrogen™ CytoVista™ 3D Culture Clearing Reagents

は、3D組織、スフェロイド、オルガノイドなど、様々な厚さの培養細胞を迅速に透明化する試薬です。

● 迅速に透明化: 3次元培養細胞ならわずか数分、イメージングに使用する厚さ1mmの組織切片なら2~4時間、厚さ8mmのマウス全脳なら24~48時間で透明化できます。

● 鮮明な画像: 検出感度やサンプルの組織形状への影響を最小限に抑え、3次元培養組織、スフェロイド、オルガノイドなど、様々な厚さの培養細胞に対応します。

● 可逆的: CytoVistaによる透明化は可逆性があるので、透明化した組織を非透明化状態に戻せます。H&E(Hematoxylin and

Eosin)染色などを行った組織の3Dイメージングが可能です。

● 3D組織や細胞の保存や安定化に: 透明化した3D組織や細胞は、安定的に数週間の保存が可能です。

● 幅広いアプリケーションに対応: 蛍光タンパク質を含むほとんどの蛍光色素に適合し、広視野顕微鏡、ハイコンテントアナライザー、共焦点顕微鏡、光シート顕微鏡など、標準的な蛍光イメージング装置をサポート

P O I N T

鮮やかなイメージングを簡単な操作で

スフェロイド内の細胞増殖をより深く解析

推奨する試薬・キット、および透明化に要する時間※1

組織染色や細胞染色において、鮮やかなカラー画像を簡単に取得できます。蛍光イメージングでも暗室は不要であり、また使いやすいオールインワン顕微鏡なので、煩雑な日々の細胞観察の負担を軽減します。

CytoVista 3D Culture Clearing Reagentでスフェロイドを透明化することで光散乱を抑え、内部の細胞をより鮮明な画像として染色でき、正確に解析できます。

高い解像度で、神経細胞の突起も逃さず捉え、ルーチンの組織染色観察も快適に行えます。

● Ordering Information(組み合わせ例)下記は一部の例です。アクセサリーパーツは多数あるので、柔軟にカスタマイズ可能です。

製品名 サイズ 製品番号 価格

製品名 対物レンズ Light Cube 価格

EVOS Onstage Incubator 1 each AMC1000 ¥1,750,000

製品名 サイズ 製品番号 価格 CytoVista Tissue Clearing Reagent 30 mL V11300 ¥55,300

CytoVista Tissue Clearing Enhancer 30 mL V11302 ¥14,400

CytoVista 3D Cell Culture Clearing Reagent 30 mL V11315 ¥68,600

CytoVista Tissue Clearing Kit 10 mL each V11304 ¥24,000 構成品 : Tissue Clearing Reagent、Tissue Clearing Enhancer 30 mL each V11322 ¥62,900 100 mL each V11323 ¥132,100

CytoVista Tissue Clearing/Staining Kit 1 キット V11324 ¥103,400 構成品 : Tissue Clearing Reagent, 30 mL、Tissue Clearing Enhancer, 30 mL

 Antibody Dilution Buffer, 30 mL、Blocking Buffer, 30 mL  Antibody Penetration Buffer, 30 mL、10X Wash Buffer, 70 mL     Permeabilization Buffer, 30 mL

CytoVista 3D Cell Culture Clearing/Staining Kit 1 キット V11325 ¥90,500 構成品 : 3D Cell Culture Clearing Reagent, 30 mL、

 Antibody Dilution Buffer, 30 mL、Blocking Buffer, 30 mL  Antibody Penetration Buffer, 30 mL、10X Wash Buffer, 70 mL   

EVOS M5000 Imaging System 4×Ph, 10×Fl, 20×Fl, 40×Fl GFP, RFP, DAPI ¥3,504,000

独自の撮影方法により、モノクロカメラを使って明視野でのフルカラー撮影が行えます。

NEW!

図 スフェロイド内の細胞増殖の観察

A549スフェロイドの細胞増殖について、Ki-67およびInvitrogen™ Click-it™ EdU アッセイキットを増殖マーカーとして観察しました。非透明化サンプル(左)では光散乱の影響がみられ、細胞内部の増殖が観察できませんが、CytoVista 3D Culture Clearing Reagent で透明化した場合(右)には、より多くの細胞を解析できました。染色は、Hoechst 34580(青)、Click-iT EdU Alexa Fluor 488 Imaging Kit(緑)、Alexa Fluor 647 dye–conjugated anti-human Ki-67 抗体を使用。画像は、Thermo Scienti�c™ high-content confocal imaging systemで取得。

※1 透明化の前処理、固定~免疫染色の工程は別途時間がかかります。また透明化処理(インキュベーション)の時間やプロトコールは、サンプルによって最適化が必要な場合があります。詳細はユーザーガイドをご参照ください。 ※2 厚みのある組織(>200 µm)や大きな組織を透明化する場合は、 CytoVista Tissue Clearing Reagent による透明化処理後、CytoVista Tissue Clearing Enhancer の利用を推奨します。

透明化なし 透明化あり

簡単な操作

鮮明な画像

NEW!

User's Voice

菅井 学 氏(福井大学医学部医学科分子遺伝学[生化学1]教授)/南部由希子 氏(福井大学医学部医学科分子遺伝学[生化学1]准教授)

活性化B細胞の分化決定機構の解明へフローサイトメーターでmRNAとタンパク質を同時測定

58.8 4.11

24.312.810 2 10 3 10 4 10 5

10 2

10 3

10 4

10 559.6 4.99

23.412.010 2 10 3 10 4 10 5

10 2

10 3

10 4

10 541.5 21.4

2.4834.610 2 10 3 10 4 10 5

10 2

10 3

10 4

10 542.4 21.5

2.1834.010 2 10 3 10 4 10 5

10 2

10 3

10 4

10 5

IgG1 IgG1CD138 CD138

Pax5-mRNA

Pax5-mRNA

Pax5-protein

Pax5-protein

48.9 14.2

26.810.110 2 10 3 10 4 10 5

10 2

10 3

10 4

10 5

Pax5-mRNA

Blimp1-mRNA

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蛍光色素を選択使用できる蛍光色素が一目瞭然

STEP 1 STEP 2

Flow Cytometry Panel Builder 新登場!

煩雑なフローサイトメトリー用の抗体パネル設計を手軽に行えます。弊社ウェブで無料公開中のFlow Cytometry

Panel Builderを使えば、フローサイトメーター(他社を含む)、ターゲット、抗体、蛍光色素を選択するだけで最適なフローサイトメトリー抗体パネルをデザインできます。Flow Cytometry Panel Builderの公開を記念して、本ツールをお試しいただいた方70名様にオリジナルTシャツをプレゼントするキャンペーンを2018年12月21日(金)まで実施中。ぜひお試しいただき、感想をお聞かせください!

● 各社のフローサイトメーター機器に対応した最新のパネルデザインツール● 5ステップで簡単に最適なフローサイトメトリー抗体パネルを設計可能● 今後も新しい機能が続々追加予定

抗体を選択

ターゲットを選択お持ちの抗体も含められます

サマリーPDFやExcelファイルで出力可能

MORE

INFOFlow Cytometry Panel Builderはこちら → www.thermofisher.com/order/panel-builder

キャンペーン詳細はこちら → www.thermofisher.com/jp-panelbuilder

シングルセルで、RNA発現とタンパク質を同時検出!

PrimeFlow RNAアッセイの詳細はこちらから → www.thermofisher.com/primeflow

STEP 3

STEP 4STEP 5

蛍光の漏れ込み他の色素への漏れ込みを確認可能

NEW!

OPTION

骨髄で産生されたナイーブB細胞は細胞膜表面にIgMを発現していますが、活性化に伴って免疫グロブリン遺伝子の定常部で「クラススイッチ」と呼ばれるDNA組換え反応が起こるとIgGや IgAを発現するB細胞になります。その一方で、クラススイッチ組換えを起こさず形質細胞に分化する細胞も存在し、この細胞はIgM抗体を分泌します。福井大学の菅井学氏と南部由希子氏は、活性化B細胞のこの2

つの分化経路の分岐を司る分子機構の解明に挑んでいます。菅井氏は、「細胞分化の初期過程を詳細に検討するには、分化に関わると考えられる遺伝子のmRNA

とタンパク質を1つの細胞で同時に解析することが必要」と感じ、南部氏と共に、Invitrogen™ PrimeFlow™ RNAアッセイという新しい技術の有効性を、活性化B細胞を使って検証しました。

B細胞の分化に関わる転写因子の関係活性化B細胞の分化プロセスについて、菅井氏らは次のように説明します。「活性化B細胞の分化制御には、Pax5、Bach2、Blimp1という3つの転写因子が関わっています。クラススイッチ組換えには、Pax5とBach2が、形質細胞分化には、Blimp1が必要です。Bach2がBl imp1の発現を、Blimp1がPax5の発現を抑制することから、この分化決定機構は相互排他的と言われています。これらの因子による分化決定後のプログラムは非常によく解析されていますが、その初期過程はほとんど解明されていません」。菅井氏は、「同じ刺激からでも2経路に分岐できるので、そこには共通のシグナル分子がありその分子の揺らぎを反映して、二者択一の分化決定がなされるのではないかと考え、まず細胞内の代謝の揺らぎを大まかに捉えるため、ミトコンドリアに注目して研究を進めました。その結果、ミトコンドリア数が多くて活性

写制御だけではなく、転写産物特異的な翻訳制御や翻訳後修飾が重要であることが理解されるにつれ、従来型シングルセル解析の技術では解けない課題もあります。ですから研究対象遺伝子のmRNAとタンパク質を1細胞で同時に解析する手法の必要性を感じていました。そんな折にPrimeFlow RNAアッセイを知り、早速試してみました」と菅井氏。その結果、「各転写因子と2経路の分化マーカーとの関係を、mRNAの発現で解析したところ、従来のタンパク質を使った解析結果を検証できました(図参照)。解析サンプルは、マウス脾臓から精製したプライマリーB細胞なので数もサイズも小さめです。初めて製品を使ったときは、mRNA解析用の実験手順が増えることで細胞をロスすることを心配しましたが、問題なく解析できました」と南部氏。「Bach2は実験に使える良い抗体がないので、今後この分子の挙動をmRNAで追跡できれば、これまで実施できなかった実験系も組めそうです」と菅井氏も続けます。新たな技術を使って、B細胞分化機構の解析を二人はさらに進めていくと話します。

が高い細胞ではクラススイッチが起きやすく、逆に数が少なくて活性が低い細胞では形質細胞に分化する傾向がありました。この時、活性の高いミトコンドリア内ではROS(活性酸素)が発生し、このROSがヘムの合成を阻害していることも突き止めました。ヘムはBach2機能を抑制するので、ミトコンドリア活性の高い細胞ではヘム合成が抑制されることでBach2機能が維持され、クラススイッチ組換えが誘導されます。一方、活性の低い細胞ではヘム合成が促進されてBach2機能が抑制され、形質細胞への分化が促進されるという構図が見えてきました」と分化経路の方向性を決める機構の一端を語ります。

シングルセルレベルの解析を目指して

「細胞の分化は、ひとつの細胞ごとに起こる現象です。このことは、細胞分化の研究において、従来の生化学的アプローチ、つまり細胞集団におけるmRNAやタンパク質の発現量の平均値を調べる実験の限界を意味し、より感度の高いシングルセル生物学が精力的に行われるようになりました。その一方で、遺伝子発現制御は、転

活性化B細胞の分化関連分子の解析

マウス脾臓からB細胞を精製後分化誘導し、関連分子のmRNAとタンパク質発現をフローサイトメーターで解析。mRNA発現は、PrimeFlow RNAアッセイで確認。クラススイッチを起こした細胞はIgG1、形質細胞に分化した細胞はCD138をマーカーとして区別しました。その結果、分化誘導後のB細胞は、Pax5+CD138-とPax5-CD138+のサブグループに分かれることをPax5のmRNA(A)とタンパク質(B)で確認。これはPax5の発現が落ちた細胞だけが形質細胞に分化していることを示しています。またPax5とIgG1の関係を調べると、Pax5-Ig G1-、Pax5+Ig G1- 、Pax5+IgG1+の3グループに分かれることが、Pax5のmRNA(C)とタンパク質(D)で確認できました。このデータからPax5の発現が落ちた細胞ではクラススイッチが起こらないことがわかります。さらにPax5とBlimp1の関係をmRNAで解析したところ(E)、相反する2グループに分かれ、2つの異なった分化経路の存在が示されました。これらの結果は従来の研究結果と矛盾しないことを確認できました。

A CB D E

フローサイトメーターを選択他社フローサイトメーターにも対応

免疫細胞の一種であるマスト細胞(肥満細胞)は、アレルギーや炎症を引き起こすことが知られています。50年ほど前、石坂公茂氏によるIgEの発見を契機に、アレルギーでのマスト細胞の詳細な役割が分かってきました。興味深いことに組織によってマスト細胞の顆粒成分や発現している遺伝子が異なっています。しかし、その意義は未だに不明でした。千葉大学の倉島洋介氏は、コラーゲンなどの細胞外マトリックスの産生によって組織を支持する線維芽細胞などの間葉系細胞が、マスト細胞に発現する遺伝子を調節することを報告しました。倉島氏は、各組織の間葉系細胞が未成熟な免疫細胞に対して組織・臓器に適した「特異性」を付与することを「免疫末梢教育」と呼び、その機序解明に取り組んでいます。

マスト細胞の性質は間葉系細胞との関係で決まる

マスト細胞は骨髄で分化後、未熟な状態で血液の循環を介して全身に分布していきます。しかし、皮膚や血管などの結合組織に存在するマスト細胞と、肺や腸管などの粘膜組織に存在するマスト細胞とでは、放出する顆粒成分や発現する受容体が異なっています。例えば、炎症などのダメージで細胞内から放出される細胞外ATPに対する感受性は、皮膚に存在するマスト細胞で

上げても精度よく解析できることをデモで確認して導入。この装置なら"当日中"に測定を終了できるので重宝しています。また操作が簡単なので、2回ほど説明を受けながら使えば、3回目にはデータ解析まで一人でできるので、今では他のスタッフも解析で使っています」(倉島氏)。さらに「現在、2本のレーザーで7色を同時に測定していますが、将来的にはレーザーの追加も想定しています。一つの細胞集団と思っていても、異なる集団に分かれる可能性もあるからです」と続けます。コンパクトながら、レーザーを追加できる拡張性を有するAttune

NxT Flow Cytometerは、倉島氏のラボに適しているようです。

粘膜間葉系細胞群の複雑な機能を読み解く

生体の最前線に位置する腸管などの粘膜組織では、上皮細胞が重要な生体のバリア機能を担っています。最近、その支持層に分布する線維芽細胞、筋線維芽細胞などの間葉系細胞が上皮細胞の直下や絨毛の陰窩に局在し、その分化をも調整するという多彩な機能をもつことが明らかになってきました(粘膜バリア後方支援)。また、間葉系細胞の重要な機能である組織修復の変遷は、腸管狭窄の原因となる「線維化」を導き、炎症性腸疾患のクローン病でも「線維化」が起きることがあります。線維化が肺で起こると「特発性肺線維症」の原因にもなります。倉島氏の研究室では、粘膜の恒常性維持や、線維化などの病態形成における粘膜間葉系細胞の重要な機能を明らかにし、間葉系細胞による「免疫末梢教育」「粘膜バリア後方支援」「線維化」をキーワードに創薬・臨床につながることを目指した基礎研究をさらに進めていきます。

は低く保たれています。「これはマスト細胞上の細胞外ATPに対する受容体の発現が他の組織に比べて皮膚では低く、その発現が皮膚の線維芽細胞によって抑制されるからだということを我々は明らかにしてきました。さらに皮膚の線維芽細胞がもつ機能を抑制して、腸管様の線維芽細胞にすると、マスト細胞の遺伝子発現パターンは腸管のマスト細胞と似たものとなり、マウスでは重篤な皮膚炎が起きました。組織に特有な恒常性の維持には、間葉系細胞による免疫細胞の適切な制御が必要であり、そこに異常があると組織特異性が損なわれ、組織破壊を伴う慢性疾患につながるのかもしれない」と倉島氏。現在、松村研究員(写真右)を始めとするメンバーと共に免疫細胞の最終的な成熟をもたらす組織や臓器に特異的な間葉系細胞集団を細分化して特定する研究を進めています。

その日の実験は、その日のうちに結果の考察までを

「学生の頃は"1000本FACS"と言われるほど(笑&涙)、昔からフローサイトメーターのヘビーユーザーだったので、いつか"my

cytometory"を欲しいと思っていました。またその日の実験はその日のうちに結果を考察するという、前ボスの國澤純先生スタイル(現: 医薬基盤・健康・栄養研究所)を貫くために、新しくラボを持って1年が経ったタイミングでフローサイトメーターの選定を開始しました。マウスの組織間比較を行うので、腸管をはじめ様々な臓器から細胞を単離して解析します。中にはサンプル液が粘稠になる組織もあり、詰まらずに解析できることは選定の大きなポイントでした。Attune NxT Flow Cytometerは流速を

User's Voice

倉島洋介 氏(千葉大学大学院医学研究院イノベーション医学領域准教授・写真左)

間葉系細胞による免疫細胞の「末梢教育」に着目し、アレルギーや慢性疾患の機序解明へ粘性が高いサンプルでもAttune NxT Flow Cytometerで瞬時に解析

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KaryoStat アッセイ KaryoStat HD アッセイ Gバンド染色

Gain >2 Mb >25 - 50 kb 10 Mb

Loss >1 Mb >25 - 50 kb 5 Mb

ヘテロ接合性の欠如(AOH) >5 Mb >1 Mb ×

SNP ○ ○ ×

カバレッジ ★ ★★★ ★

新受託サービス

受託サービス価格(1サンプルあたり)

解析用サンプル: 細胞ペレット(≥ 2M cells) 納期 : 1-3週間。別途、サンプルの輸出に1週間程度かかります。 ※本サービスは海外(米国)で実施します。※別途、サンプル輸出手数料がかかります。

※本サービスは、研究目的のみに使用できます。診断、診療、医療行為等へは使用できません。

ヒト幹細胞のゲノム安定性を高解像度で評価KaryoStat アッセイおよび KaryoStat HD アッセイ受託サービス

Applied Biosystems™ KaryoStat™ アッセイおよび KaryoStat™ HD アッセイは、多機能幹細胞株などのG-band 核型分析の代替となるアッセイです。マイクロアレイを使って正確なジェノタイピング(サンプル ID)解析を行い、全ゲノムにわたって染色体異常を正確に検出します。この度、解析機器やリソースを保有せずに、時間とコスト効率に優れた受託サービスを開始しました。

● 細胞遺伝学の専門知識を必要としないシンプルな解析ツール● G-bandと同等または高解像度のデータを時間とコストを抑え

て入手可能

● 優れたコスト効率でヒト幹細胞の染色体異常を正確に検出● 1回のアッセイで核型分析とジェノタイピング(サンプル ID)を

実施

P O I N T

Chromosomal Analysis Suite(ChAS)ソフトウェアを使って、多能性幹細胞に染色体異常がないことを視覚的に確認できます。

サンプル数 1 - 16 サンプル 17 - 32 サンプル 33 - 48 サンプル

KaryoStat アッセイ 52,000円 48,000 円 44,000 円

KaryoStat HD アッセイ 90,000円 86,000円 82,000 円

受託サービスのご注文やご相談は、弊社担当営業または販売代理店へお問い合わせいただくか、右記メールアドレスまでお問い合わせください。[email protected]

ご注文方法

NEW!

最大4レーザーで14色検出可能なフローサイトメーターAttune NxT Flow Cytometer

Invitrogen™ Attune™ NxT Flow Cytometerは、アコースティックフォーカシング技術を使用し、「素早く・簡単・詰まりづらい」測定を実現します。詳細はこちらから → www.thermofisher.com/attune

解析データを  わかりやすく表示

KaryoStat アッセイおよびKaryoStat HD アッセイとは?

KaryoStat アッセイは、G-band核型分析と同様の分解能を有しており、ほとんどの幹細胞研究用アプリケーションに推奨できます。KaryoStat

HD アッセイは、感度99%を超える、より高い分解能で解析を行い、ゲノム全体にわたって一塩基多型(SNP)の対立遺伝子(アレル)の確証とあわせて、25 - 50 kbのCopy Number Variation(CNV)を確実に検出します。

▲Gains

LossKaryoStat HDアッセイ解析データ例(5つの細胞の染色体を解析)

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Applied Biosystems and Ion Torrent World Tour ユーザーグループミーティング2018

疾患関連遺伝子研究の最前線~新たな可能性に満ちた未来へ~

2018年9月、東京秋葉原にてApplied Biosystems and Ion Torrent World Tour ユーザーグループミーティング2018を開催いたしました。今回は、4名の研究者が疾患研究におけるクリニカルシーケンスの有用性や注意点、そして今後の課題について講演しました。社会実装が間近な次世代シーケンス(NGS)による遺伝子解析研究の最前線を多くの参加者の方と共有した貴重な一日となりました。各講演者の発表概要を報告します。詳細は、本イベントのご講演の動画を下記URLよりご覧ください。

www.thermofisher.com/jp-ionugm2018 シニアディレクター千葉明広による開会挨拶

「難病・希少疾患ならびに遺伝性腫瘍の病態解明を目指した遺伝子解析 - ラボの立ち上げと運用-」一年前に順天堂大学に異動し、2016年に新設された「難病の診断と治療研究センター」で難病・希少疾患の遺伝子解析を担当しています。着任後、各臨床科と臨床課題について意見交換し、それらを克服すべく共同研究に取り組んでいます。例えば、泌尿器科とは、「常染色体優性多発性嚢胞腎」という遺伝性疾患の診断法開発研究を進めています。原因遺伝子のPKD1には6個の偽遺伝子が存在しますが、GeneStudio S5次世代シーケンサとIon Reporterで解析して、容易に病的変異を検出できました。特にCNV(コピー数減少)を正確に検出できたことは特筆すべき点でした。また当センターは教育施設でもあり、臨床に携わる医師等がゲノム解析を行う快適な環境を構築するという使命も併せ持っています。操作性の良さやトータルワークフローの提供、テクニカルスタッフの対応から、ThermoFisher Scientificの機器を多く活用しています。

「病理診断医が用いるIon Torrent」多くの臨床研究において、Ion Tor rentを始めとする次世代シーケンサは、ホルマリン固定パラフィン包埋組織標本(FFPE標本)から腫瘍組織を選択的に解析するために使われています。解析のためのFFPE標本作成のポイントを、固定液の組成や切片の扱い方を含めて概説しました。またFFPE標本だけでなく、細胞診検体や生検組織時のスタンプ標本など、腫瘍組織の遺伝子解析にふさわしいリソースについても紹介しました。解析サンプルの腫瘍細胞含有量は20%を超えることが必要とされますが、がんのドライバー遺伝子は特異的に増幅される場合があり、腫瘍細胞含有量やアレル変異算出には注意が必要です。またがん細胞は正常細胞よりも増殖が盛んなため、タンパク質合成が高まっており、mRNAを使った遺伝子解析も有用となります。

「半導体シーケンサを活用したがんゲノム解析」約6年前に半導体シーケンサIon Torrentシステムを導入しました。当初は、Ion Torrent Comprehensive Cancer

Panelなどの既製パネルを使用した変異解析を行っていましたが、その後、カスタムパネルや全エクソン、RNA-seq、ChIP-seq、全ゲノム、メタゲノムと幅広いアプリケーションを実施してきました。特に組織型、発生臓器を考慮したカスタムの遺伝子パネルは、大規模パネルよりもコストを抑えられる利点があり、口腔・食道がん、胃がん、大腸がんなどで試しています。また409種のがん関連遺伝子の全エクソンを解析できるComprehensive Cancer Panelは、変異だけでなく、コピー数変異も検出できて有用です。実際に口腔扁平上皮がんにおけるコピー数変異をNGSとリアルタイムPCRで比較しましたが、同等の結果が得られており、信頼性が高いことを確認しました。今後、治療法の選択にもCNV検出が役立つ可能性があります。

江口 英孝 氏(順天堂大学大学院医学研究科 准教授、 難治性疾患診断・治療学/ 難病の診断と治療研究センター)

「がんクリニカルシークエンスの現場(監督)」ホルマリン固定のゴマ粒程の生検サンプルから得た10ng程度のDNAやRNAからでも、次世代シーケンサのamplicon

seqができる時代になっています。数年前は次世代シーケンサでがんのクリニカルシーケンスを行う場合、より多くの遺伝子を並行シーケンスして多くの変異をレポートに記載することで安心感を得ていました。しかし今ではreferenceサンプルを用いずとも、データベースと照合することでSNPを取り除き、データ集積により精度を向上させることができ、解析ソフトウェアの信頼性も増しています。その結果、少数精鋭のactionable mutationが選べるようになりました。このようなデータ処理を理解できる人材育成は、今後さらに必要となり、シーケンスエラーや意義不明の変異(VUS)を排除して病的変異を迅速に判定に役立ちます。一方、メラノーマや非小細胞肺がんでは、腫瘍変異負荷(TMB)が多く、免疫チェックポイント阻害剤の層別化に関係する可能性が示唆されています。私たちもOncomine™ Tumor Mutation Burden Assayを使い、有効な治療法選択の開発研究を進めています。

谷田部 恭 氏(愛知県がんセンター中央病院 遺伝子病理診断部長、 遺伝子病理診断部 個別化医療センター センター長)

佐々木泰史 氏(札幌医科大学医療人育成センター・生物学 教授)

西尾和人 氏(近畿大学医学部

ゲノム生物学教室教授、ライフサイエンス研究所

ゲノムセンターセンター長)

Ion GeneStudio™ S5 シリーズは、業界をリードするスピードとスケールで次世代シーケンスの幅広いアプリケーションを柔軟に遂行します。1ランあたり2Mから130M リードのシーケンシングに対応する3機種(S5/S5 Plus/S5 Prime)を提供しており、スループットの異なる5種類の解析チップを使い分けることで幅広いアプリケーションに柔軟に対応します。簡便な操作性と専門性の高いテクニカルサポート体制で、これからのクリニカルシーケンス研究に貢献する次世代シーケンサです。

ターゲットシーケンシングのための次世代シーケンスシステム

講演 1講演 3

講演 2

講演 4

Technical Review

SeqStudio ジェネティックアナライザを使った効率的なMLPA アッセイ

MORE

INFO お問い合わせ、資料請求はウェブサイトから → www.thermofisher.com/seqstudio

がん治療後の再発を早期に検知する腫瘍マーカーの探索研究に取り組む、岩手医科大学の西塚哲氏らの研究グループ。「進行がんを手術で切除後、血中を循環する腫瘍由来DNA(ctDNA ; circulating

tumor DNA)から特定の遺伝子変異を高感度に検出し、再発を検知する系を開発中です。リキッドバイオプシーなので、患者さんへの負担も軽くて済みます」と話す西塚氏に、検出用アッセイの開発とQuantStudio 3DデジタルPCRシステムの活用について伺いました。

0.1%に満たない変異を感度よく検出するには?

繰り返し実施でき、少しでも早く再発を検知する方法を研究してきた西塚氏は、ctDNAに着目した理由を次のように説明します。「患者さんごとに変異する遺伝子や変異部位は異なります。摘出したがん組織の遺伝子変異を次世代シーケンサで同定し、術後は患者さん特有の変異を血中のctDNAで検出できれば、再発の兆候をいち早く検知できるはず。ただし、患者さんの身体的な負担は少なくても、長期間行う場合があるので、検出感度と経済性の両立は重要です。次世代シーケンサは全ての変異を一度で解析しますが、変異アリルの確実な検出感度は一般的に数%オーダーまで。これに対してデジタルPCRを使えば、0.1%に満たないアリル頻度も検出可能です。食道がんで実験的に調べたところ、CT

による画像診断でリンパ節転移を検出するよりも180日程早くctDNAから目的の

ので、変異頻度が高い順に42種類のアッセイ系を準備すればTP53変異の約50%を検出でき、132種類では70%、426種類では90%までを検出できることがわかりました。TP53に対する限られた数のデジタルPCRライブラリーを整備することで、幅広いがんに対応する経済的で鋭敏な検出法が実現します」と続けます。

測定は、使いやすいQuantStudio3D

デジタルPCRシステムで

前述の食道がんの研究を担当した外科学講師の岩谷岳氏(写真左)は、臨床サンプルを含む多くの解析をQuantStudio3DデジタルPCRシステムで行っています。「このシステムは、操作が容易で使いやすく数時間で解析結果が得られるため、臨床研究に適していると思います。最大24サンプルを一度に解析可能ですが、反応は1サンプル1チップごとに行うので、1検体だけ解析を行いたい場合などもチップや試薬の無駄がなく助かっています」とコメントします。岩谷氏と西塚氏は、「このアッセイをさらに充実させ、一刻も早く臨床応用へつなげたい」と研究を進めています。

遺伝子変異を検出できました。また、この症例では従来の血清腫瘍マーカーでは再発を検出できませんでした。ただしctDNA

は血液を循環中に断片化されて100bp以下になっていることが多いので、断片化しても測定できるアッセイ系が必要となります。私たちは70bp程度の短いDNAでアッセイできる系を構築し、がん組織で同定された遺伝子変異に対する70種類の変異について試したところ、97%は目的の変異を高感度に検出できることを確認しました」。

腫瘍マーカーとしてTP53遺伝子の有用性

「TP53の病的変異は幅広いがんで観察されています。特に私たちのグループが取り組む消化器がんでは、食道がんでほぼ100%、大腸がんや胃がんの患者さんでは約70%の方にTP53の変異が見られます。他にも肺がんや卵巣がんなど多くのがんでTP53のアッセイが使える可能性があります。またがん組織はヘテロ不均一性があり、複数のサブクローンで構成されています。がん発生の初期に起きた遺伝子変異は、サブクローン間に共通して高い頻度を有するので、マーカーとして有用です。私たちが調べた検体では、TP53の変異はサブクローン間で共通している確率が高く、この点からもマーカーに適していると考えました」と西塚氏。さらに「COSMICデータベースでがんに関連する体細胞変異を調べたところ、TP53のDNA結合ドメインをコードする部位には1284種類の変異が報告されていました。多くはレアバリアントな

製品名 サイズ 製品番号 価格

 QuantStudio 3D デジタルPCR システム ProFlex PCR システム付き 1 式 QS3D-PF(2年保証) ¥6,400,000

Applied Biosystems™ QuantStudio™ 3D デジタル PCR システムは、コンパクトで使いやすいデジタルPCRシステムです。0.1%程度のレアバリアントも高感度に定量します。

チップベースのコンパクトなデジタルPCRシステムQuantStudio 3D デジタル PCR システム

User's Voice

西塚 哲 氏(岩手医科大学 医歯薬総合研究所医療開発研究部門 特任教授・写真右)

デジタルPCRライブラリーを用いた血中変異TP53の高感度検出法の開発QuantStudio 3DデジタルPCRシステムが高感度測定をサポート

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● 1回のランで、MLPAアッセイ 4反応分のサンプルを45分で迅速解析● Cloud機能で、MLPA データファイルを個人または共有スペースアカウントに自動転送● 広いダイナミックレンジで、MLPA プローブアンプリコンの高いサイジング精度とピーク高の安定性を実現

● フラグメント解析データファイル(.fsa)を、Coffalyser.Net MLPA データ解析ソフトウェアに容易にインポート

Appl ied Biosystems™ SeqStudio™ ジェネティックアナライザを使って、MRC-Holland 社のMultiplex Ligation–dependent Probe Amplification

(MLPA™)アッセイから高品質のデータを取得できます。 この記事では、MLPA

アッセイを使ってBRCA1遺伝子領域での重複と欠失を解析した例を紹介します。

製品名 サイズ 製品番号 価格

SeqStudio Genetic Analyzer 1 式 SEQ(1年保証) ¥7,800,000

SeqStudio Cartridge 1 式 A33671 ¥198,000

MLPA アッセイにSeqStudio ジェネティックアナライザを使う利点

■ BRCA1 遺伝子における欠失の検出

BRCA1およびBRCA2 遺伝子の変異は、遺伝性乳がんおよび卵巣がんで頻繁に観察されます。例えば遺伝子のコーディング領域に欠失が存在すると、しばしばタンパク質の機能障害につながります。SALSA™ MLPA™

probemix P002 BRCA1アッセイは、ヒト

BRCA1 遺伝子内の欠失や重複のスクリーニングに臨床研究者が広く使用しています。このアッセイをSeqStudio ジェネティックアナライザで実施した結果を右図に示します。

SeqStudio Genetic Analyzer

従来と同じワークフロー、変わらぬ信頼性の高いデータをクリックひとつで簡単に実行。

これまで数時間かかっていたセットアップをわずか数分間に短縮。低スループットで、使いやすいベンチトップ型キャピラリーシンケンサです。クリックひとつで、ゴールドスタンダードのサンガーシーケンシングとフラグメント解析を素早く実施できます。

MLPAアッセイの実験フロー

1. 変性とハイブリダイゼーション: 左右2つのプローブ(LPOとRPO)がターゲット領域にハイブリダイズ。

2. ライゲーション: ライゲースで、LPOとRPOを連結。

3. PCR増幅: 連結されたプローブをユニバーサル蛍光標識プライマーでPCR増幅。

リバースPCRプライマー

フォワードPCRプライマー(蛍光ラベル)

プローブA(170塩基) プローブB(299塩基) プローブC(216塩基)

LPOリバースプライマー結合サイトフォワードプライマー結合サイト

サンプルDNA

サイズ調整用配列

プローブのターゲット配列

RPO

A

B

図 MLPAアッセイで検出されたBRCA1遺伝子内の欠失

(A)MLPA probemix P002 BRCA1のピークプロファイル: 上段はリファレンスサンプル、下段はBRCA1のエクソン15および16に欠失を有するヘテロ接合性のCoriell DNA サンプル。(B)Coriellサンプルの比率チャート: 0.5のプローブ比率を示す領域はヘテロ接合性欠失を示します。

「糖鎖および糖タンパク質の生理機能を、生体レベルの表現型解析で明らかにし、その機構を分子レベルで解明することを目的に研究を進めています。これまでに10種類以上の糖鎖合成関連酵素のノックアウトマウスを作製しましたが、現在は、ムチン型糖鎖合成関連遺伝子のコンディショナルノックアウトマウス(cKO)の表現型解析を行い、組織特異的な糖鎖機能の解明を進めています」と筑波大学の工藤崇氏は話します。大学院生の布施谷清香氏は、腎糸球体足細胞特異的cKOの表現型解析からムチン型糖鎖の役割を探索中です。

ムチン型糖鎖合成酵素の遺伝子改変マウスによる表現型解析

糖タンパク質に結合する糖鎖には、アスパラギンに結合するN-結合型糖鎖とセリンあるいはスレオニンに結合するO-結合型糖鎖があります。O-結合型糖鎖の中でN-アセチルグルコサミンという糖が最初に結合するものをムチン型糖鎖と呼びます。気管、消化管、生殖腺などの内腔を覆う粘液成分であるムチンがこの糖鎖を多数結合していることからそう呼ばれています。ムチン型糖鎖の役割は粘液による細胞の保護や異物の侵入防御です。また、がんや炎症性疾患ではムチンコアタンパク質の発現変化が知られています。「私た

ちは、造血組織におけるO-結合型糖鎖の重要性を明らかにするために、その合成に必須の C1GalT1酵素を造血系特異的にノックアウトしたマウス(Mx1-C1マウス)を作製しました。このマウスでは重度な血小板減少や巨大血小板の出現、出血時間の延長がみられ、巨核球の最終分化段階である胞体突起形成能が著しく低下していました。一方、ムチン型糖鎖で修飾される巨核球、血小板特異的なGPⅠbαタンパク質は血小板凝集に必須な分子であり、先天性血小板減少症(Bernard-Soulier 症候群)の原因遺伝子のひとつです。このGPⅠbαの転写量はMx1-C1マウスの骨髄や血小板において野生型マウスと変わりませんが、そのタンパク質量は著しく低下していました。以上より、ムチン型糖鎖は巨核球最終分化に必須であり、糖鎖欠損によるGPⅠbαタンパク質の減少がその原因である可能性が高いことが示唆されました」と工藤氏は研究の一端を語ります。他にもC1GalT1酵素の分子特異的シャペロンであるCosmcをマクロファージ特異的にノックアウトし、腹腔内常在マクロファージのアポトーシス細胞貪食におけるムチン型糖鎖の役割を明らかにする研究も手がけました。

腎糸球体足細胞におけるムチン型糖鎖の役割

工藤氏の元で研究を進める布施谷氏は、Cosmcの足細胞特異的cKOマウスの解析を進めています。「足細胞は、腎臓の糸球体で突起を伸ばして毛細血管の周りを覆っていて、血液中の老廃物のろ過機能に関わります。このcKOマウスを解析すると、足突起の形態異常やタンパク尿などの異常がみら

User's Voice

工藤 崇 氏(筑波大学医学医療系解剖学・発生学研究室、生命科学動物資源センター准教授)、布施谷清香 氏(筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学専攻 博士課程1年)

遺伝子改変マウスで生体内における多彩な糖鎖機能を探る糖タンパク質のウェスタンブロッティングはiBright Imaging Systemで感度よく解析

ウェスタンブロッティングの撮影は、ますます簡単にiBright CL1000|FL1000 Imaging System

Invitrogen™ iBright™ Imaging Systemは、ウェスタンブロッティング用の化学発光・蛍光撮影装置です。SmartExposure™ テクノロジーで最適な露光時間を自動で提示し、バーチャル画像で時間設定すれば、目的の画像を簡単に得られます。

製品名 サイズ 製品番号 価格 iBright CL1000 Imaging System(化学発光撮影装置) 1 式 A32749 ¥2,980,000

iBright FL1000 Imaging System(化学発光・蛍光撮影装置) 1 式 A32752 ¥3,980,000

れました。そこで足細胞の糖タンパク質をウェスタンブロッティングで解析したところ、cKOマウス特異的に分解される糖タンパク質を確認しました」と布施谷氏。「この実験ではiBright Imaging Systemでウェスタン解析を行っていますが、SmartExposureが便利ですね。最適な露光時間を自動で調整するので、短時間で質の良い画像が撮影できます。初めて解析するサンプルや濃度を変えたタンパクを検出する際も露光時間に悩まなくなりました。またできる限り実験結果を記録しておきたいので、マニュアルで露光時間を変えた撮影も行っています。ターゲットのタンパク質と複数の分解産物の量的変化をさまざまな条件で比較するために濃く撮影したり、30秒ずつ異なる時間を試してみたり。この装置はタッチパネルで直感的に使えるので、スマホみたいに気軽に結果を記録できます」と続けます。工藤氏も「以前の装置は、外付けのパソコンで解析を行っていたため、ソフトの使い方に慣れる必要もありました。しかしこの装置は一体型で使いやすく、これから実験を始める学生への操作説明にも時間がかからないようです」とコメントします。

糖鎖研究のさらなる進展へ

「分泌および膜タンパク質のほとんどに翻訳後修飾である糖鎖が付加されており、様々な生命現象に重要な役割を持つと考えられています。糖鎖機能の研究と共に、がん細胞表面の特異的糖タンパク質に対する抗体作製など、糖鎖構造の面からも応用研究にアプローチしてさらに研究を深めていきたい」と工藤氏は今後の研究を語ります。

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いつ行く? どうする? 海外留学

30再生医療、免疫、がん─分野にとらわれず、研究の世界を広げる

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逸見百江 氏(東京医科歯科大学 ウイルス制御学・助教)

「偉くなるまでは3年に1度は動け」という大学時代の師の言葉を胸に、異なる分野のラボを渡り歩いてきた逸見百江氏。どの分野でも興味あるテーマに没頭し、専門技術や知見を習得してきました。「オールマイティを武器に、研究の幅を広げていきたい」と、さらに好奇心を満たす対象を探しています。多彩な経歴と、世界中から集まったポスドクとの交流、豊富なサポート人材を抱えるマンモスラボでの留学生活について伺いました。

ドラマの監察医に憧れ、研究職へ逸見氏が研究職を志したのは高校時代。ドラマに登場する女性監察医に憧れ、鳥取大学医学部生命科学研究科に進学し、修士課程で再生医学を学びました。「 iPS細胞が発表される前の時代です。体細胞に不死化遺伝子を導入し、細胞が増えたら導入遺伝子を取り除いて再生医療に利用する。具体的にはhTERT(ヒトテロメア逆転写酵素)を肝細胞に入れていました。着想は iPS細胞と近かったのですが、うまくいきませんでした」と振り返ります。実験漬けの毎日が楽しく、博士課程では九州大学に編入し、感染制御学教室で免疫学を学びます。細菌やウイルスをマウスに感染させ、免疫細胞の病態を調べました。「メインテーマは自己抗原特異的T細胞。自己に反応するT細胞は除かれるはずなのに、なぜ必ず生き残るものがいるのか。マウスの実験を繰り返し、免疫を学ぶとともにその面白さに目覚めていきました」と話します。

留学先で2つのラボに所属博士課程修了後、周囲に薦められてP r i n c e s s M a r g a re t

Cancer Centre のPamela S Ohashi博士に連絡をとり、T細胞受容体のスクリーニングで有名なTak W Mak博士のラボと、がんの免疫治療を牽引するOhashi博士のラボの両方に所属するポスドクとして、念願の留学を果たします。当時、αケトグルタル酸の代謝に関わるイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)1とが

んのリスクとの関連が注目されており、IDH1欠損マウスを免疫の切り口で解析することに。細菌やウイルスを感染させるうち、リポ多糖(LPS)が欠損マウスをほぼ全滅させることが分かりました。「そこからが大変でした。体内で何が起こっているのか、臓器という臓器をすべて解剖し、免疫細胞の活性や死細胞の数、指標となる各臓器での遺伝子発現量などを徹底的に調べました。1回の実験は、36時間休みなしの作業。それを2週間に一度行いながら、共同研究も進めました」。ようやく標的を肝臓に絞れたのは、留学して3年が経とうとする頃。帰国前日まで実験を繰り返しても間に合わず、「欠損マウスでは肝臓への酸化ストレスが常に高めで、ショック状態になると回復できずに死に至る」との結論を出せたのは帰国後でした。

手厚いサポート体制の中で研究に没頭「2つのラボに所属していたので、進捗報告も抄読会も2倍。準備は大変でしたが、代謝酵素の働きへの興味と、免疫反応への興味、異なる視点で意見がもらえました。ラボには、あらゆる実験について相談できるラボマネージャーと、6~7人のテクニシャンがいました。専門の学校を出た彼らは、研究費の申請、論文の編集、ノックアウトマウス作製などを担当する専門家集団。ポスドクより給料も高く、研究者へのアドバイスは的確でした」と手厚いサポート体制に感謝します。

3年ごとに新天地に飛び込む帰国後は、九大の泌尿器科へ戻り、前立腺がんをテーマとしました。マウスにイソフラボンを高濃度で投与すると、ユビキチン分解酵素Skp2によるアンドロゲン受容体の分解を引き起こし、前立腺がんの増殖を抑えることを突き止めました。がんの知識とマウスを扱う手法を身につけた人材は貴重で、2016年には東京医科歯科大学へ移り、ヒトT細胞白血病ウイルスHTLV-1の増殖機構の解明に取り組んでいます。「留学を含め、新天地に飛び込むたびにコミュニティが広がり、見える世界が広がります。ここももうすぐ3年になるので、そろそろ新しい環境に移る時期かもしれません」。再生医療、免疫、代謝、そしてがん。これからも逸見氏は研究の枠にとらわれず、世界を広げ続けます。

2005年鳥取大学医学部生命科学科研究科卒業。08年、九州大学医学部生体防御研究所にて博士修了後、同学部泌尿器科にて研究員を経て、10年から13年までカナダUniversity Health NetworkのPrincess Margaret Cancer Centreへ留学。帰国後は九州大学医学部泌尿器科に戻り研究員を経て、16年より現職。逸見氏のFarewell partyにて、ラボメンバーのポスドクや学生、テクニシャンと記念撮影。

I N F O R M A TI O N

サ ー モ フ ィ ッ シ ャ ー サ イ エ ン テ ィ フ ィ ッ ク

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本 社 : 〒 1 0 8 - 0 0 2 3 東 京 都 港 区 芝 浦 4 - 2 - 8 T E L. 0 3( 6 8 3 2 ) 9 3 0 0 F A X. 0 3( 6 8 3 2 ) 9 5 8 0

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用 に の み 使 用 で き ま す 。 ● 診 断 目 的 お よ び そ の 手 続 き 上 で の 使 用 は 出 来 ま せ ん 。 ● 記 載 の 社 名 お よ び 製 品 名 は 、 弊 社 ま た は 各 社 の 商

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F or R e s e ar c h U s e O nl y. N ot f or u s e i n di a g n o sti c pr o c e d ur e s. © 2 0 1 8 T h er m o Fi s h er S ci e ntifi c I n c. All ri g ht s

r e s er v e d. All tr a d e m ar k s ar e t h e pr o p ert y of T h er m o Fi s h er S ci e nti fi c a n d it s s u b si di ari e s u nl e s s ot h er wi s e s p e ci fi e d.

T a q M a n i s a r e gi st er e d tr a d e m ar k of R o c h e M ol e c ul ar S y st e m s I n c., u s e d u n d er p er mi s si o n a n d li c e n s e. Pri nt e d i n

J a p a n. L S G 0 4 9- A 1 8 1 1 H S

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特 集 は 、 東 京 医 科 歯 科 大 学 の 石 野 史 敏 氏 。 哺 乳 類 に 特 有 の ゲ ノ ム イ ン プ リ ン テ ィ ン グ 機 構 か ら

の ヒ ト の 進 化 の 仕 組 み を 探 る ア プ ロ ー チ を 伺 い ま し た 。 ユ ー ザ ー ボ イ ス は 、 免 疫 学 研 究 を 進 め

る 2 グ ル ー プ の 研 究 事 例 や 、 が ん 研 究 に お け る リ キ ッ ド バ イ オ プ シ ー の 活 用 、 そ し て マ ウ ス 個 体

を 使 っ た 糖 鎖 研 究 で す 。 人 気 の 留 学 記 は 東 京 医 科 歯 科 大 学 の 逸 見 百 江 氏 。 留 学 先 を 含 め 3 年

ご と に 異 な る テ ー マ で 研 究 す る メ リ ッ ト を 伺 い ま し た 。 読 者 ア ン ケ ー ト で 感 想 や ご 意 見 を お 寄 せ

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ル ー ル は 簡 単 。 ウ ェ ブ サ イ ト で 出 題 さ れ る 「 お 題 」 の 写 真 を 見 て 、 あ な た の セ ン ス と ユ ー モ ア で 、 " 一 言 " ボ ケ た 回 答 を 送 る だ け 。

ご 応 募 い た だ い た 『 写 真 で 一 言 』 の 中 か ら 、 人 気 投 票 に よ っ て 、 優 秀 作 品 を 選 出 し ま す 。

選 ば れ た 方 へ は 豪 華 賞 品 を プ レ ゼ ン ト ! み な さ ま 奮 っ て ご 参 加 く だ さ い 。 詳 し い 応 募 条 件 や 注 意 事 項 は 、 下 記 U R L で ご 確 認 く だ さ い 。

応 募 期 間 : 2 0 1 8 年 1 1 月 2 0 日 ( 火 ) ~ 1 2 月 2 8 日 ( 金 ) / 投 票 期 間 : 2 0 1 9 年 1 月 2 1 日 ( 月 ) ~ 1 月 3 0 日 ( 水 ) / 結 果 発 表 : 2 0 1 9 年 2 月 6 日 ( 水 )

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火 星 人 ダ 。

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セ イ フ ク ス ル 。

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