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(1) 2020 年(令和 2 年) 4 月1日(毎月1日発行) 1081 号  カトリック教報 1カ月140円 年間1,500円( 昭和 27 年 1 月 12 日 第三種郵便物認可カトリック長崎大司教区 広報委員会 〒 852‐8113 長崎市上野町 10‐34 カトリックセンター内 TEL 095‐843‐3869 FAX 095‐843‐3417 振替口座 01880‐5‐2699 発行人 山 田 良 秋 印刷所 株式会社 藤木博英社 23 42 使20 21 姿10 復活教書 復活教書 23 32 20 11 45 18 18 便10 33 57 11 45 26 30 使17 75 50 使20 30 96 12 50 19 51 62 71 73 75 83 西86 88 94 退姿18 退使バチカンの発表 バチカンの発表 12 25 21 29 14 15 13 17 20 19 21 22 29 13 15 29 11 11 16 23 32

「すべてのいのちを守るため」 ~教皇訪日にこたえて...(1) 2020年(令和2年)4月1日(毎月1日発行) カトリック教報 カ( 昭和27年1月12日

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Page 1: 「すべてのいのちを守るため」 ~教皇訪日にこたえて...(1) 2020年(令和2年)4月1日(毎月1日発行) カトリック教報 カ( 昭和27年1月12日

  (1) 2020 年(令和 2 年)4 月1日(毎月1日発行)  第1081 号   カトリック教報 1カ月140円 年間1,500円(昭和 27 年 1 月 12 日第三種郵便物認可)

カトリック長崎大司教区広報委員会

〒 852‐8113 長崎市上野町 10‐34

カトリックセンター内TEL 095‐843‐3869FAX 095‐843‐3417

振替口座 01880‐5‐2699発行人

山 田 良 秋印刷所

株式会社 藤木博英社

『イエスよ、あなたがみ国

に入られるとき、わたし

を思い出してください。』

(ルカ23・42)「あの悔い

改めた盗人のように、黙

りも嘲笑もせず、むしろ、

自ら声を上げ、真理と正

義、聖性と恵み、愛と平和

のみ国を告げ知らせる者

が、もっともっと増える

よう願いましょう」とフ

ランシスコ教皇様は語り

ました。この呼びかけに

応えるため、各教区・各

小教区で動きが始まりま

した。その動きは、他人

の目に気づかれない小さ

な波かもしれません。小

さな波だからと言って、

悲観する必要はありませ

ん。大きな波は小さな波

から生まれるのです▲平

和の使者として来られた

教皇様は日本の教会に波

を起こさせるため、新し

い暖かいぬくもりのある

風を運んできました。そ

の風は聖霊の風かもしれ

ません。その風を自分に

取りこみながら、一つに

なって福音宣教の風を周

りに吹かせよう▲『あな

た方に平和があるよう

に』(ヨハ20・21)。今、

復活節を迎えています。

復活したキリストによっ

て、新しい人(宣教者)

に変えられました。キリ

ストという新しい服を身

にまとって、差別や偏見

を乗り越え、「キリスト

の平和」を周りに与え続

けて生きよう。『あなた方

は古い人とその行いを脱

ぎ捨て、深い知識へ進む

ようにと、創造主の姿に

かたどって絶えず新しく

される新しい人を身にま

とっているのです。』(コ

ロ3・9~10)

(武)

復活教書復活教書 

新型コロナウイルス感染が(3月23日時

点で)百七十数カ国に広まり、32万人以上が

感染し、約1万5千人が亡くなるという状

況の中で、わたしたちも日々不安で不自由な

生活を強いられ、主日のミサや黙想会の中止

といったこれまでにない辛い体験をしてい

ます。この苦境を黙想の材料として考え、冷

静に必要な対処を怠らず、主に信頼と希望

をおいて一日も早い終息を祈りましょう。

 

主イエスは、わたしたちの救いのために

十字架上で死に、三日目に復活し、今もいつ

もわたしたちを生かし新たにしてくださっ

ています。主に生かされているわたしたち

が「すべてのいのちを守るため」(教皇訪

日のテーマ)に働くのは当然でしょう。「す

べてのいのち」とは、人間を含むすべての

生物です。そしてすべてのいのちは、水や

空気などの無機物を含む同じ世界の中でみ

なつながっているのです。

一、地球環境を守る

 

主なる神は「天と地と海と、そこにある

すべてのものを造り」(出エジプト20・11)、

地を「人の住む所として形づくられ」(イザ

ヤ45・18)ました。この地球を、フランシス

コ教皇様は「わたしたち皆がともに暮らす

家」(回勅『ラウダート・シ』1番)と呼ば

れます。そこには本来境界線はありません。

 

ところが、近年、地球温暖化、異常気象、大

規模な森林火災、干ばつなどが世界各地で

人命や財産を奪い、多様な生物を徐々に絶

滅させ、わたしたちの生活に深刻な影響を

及ぼしています。その原因は、18世紀の英

国での産業革命に始まる工業化だけでな

く、人間が金銭と便利で快適な生活のため

に環境をむさぼったことにあります。

 

今すぐ皆で具体的に行動しなければ、神

様が与えてくださった本来の地球環境を取

り戻すことはできないといわれています。

水、電気、食料などを節約し、化学物質を含

む洗剤やプラスチック製品などの環境汚染

物質を減らし、身近な海浜、里山、街中など

地域社会で清掃を行い、また自然の恵みを

神様に感謝し、自然を学び、植林などして自

然を保護することが必要です。司教協議会

が今年から毎年9月1日~10月4日を「す

べてのいのちを守るための月間」とすると

決めたのはそのためです。

二、回心

 

天と地は、主の慈しみに満ちている(詩編

33・5、57・11参照)、つまり、「愛のこもっ

た神の贈り物」(同回勅220番)なのです。

神はすべてのものを造るだけでなく、空の

鳥、野の花、野の獣などを一つ一つ養い、悪人

にも善人にも太陽を昇らせて雨を降らせ、人

間の労働を祝福されます(詩編104、マタ

イ5・45、6・26、30、使徒言行録4・17参照)。

 

しかし実際の生活環境は、暴力、殺人、虐

「すべてのいのちを守るため」

    ~教皇訪日にこたえて

大司教

ヨセフ

待、いじめ、ヘイトスピーチ、堕胎、人身売

買、詐欺などで汚染されています。また世

界各地で武力紛争や難民が絶えません。わ

たしたちには、世界に対する神の限りない

愛の視点に立ち、感謝の念と惜しみない気

遣いと見返りを求めないこころで一人ひと

り、一つ一つのものを慈しむこと、つまり回

心(同回勅220番)が必要です。

 

なお、今年は広島と長崎の被爆および国

連創設75周年、核兵器不拡散条約(NPT)

発効50周年です。これを機に「核兵器から

解放された平和な世界」、つまり神の慈しみ

が感じられ見える世界の実現に向けて、被

爆や戦争体験を次世代に語り継ぐと同時に

「核兵器禁止条約」の発効を早めるための

活動に皆で参加しましょう。

三、連帯と

  

平和のオリンピズムに学ぶ

 

近代オリンピックの創立者P・ド・クー

ベルタンは、教育と国際交流と平和のために

果たすスポーツの役割を確信し、1894

年6月、パリ万博のスポーツ競技者連合の会

議で古代オリンピックの復興計画を提案し、

満場一致で可決されました。彼は、「オリン

ピックの理想は人間をつくること、つまり参

加までの過程が大事であり、オリンピック

に参加することは人と付き合うこと、すな

わち世界平和の意味を含んでいる」と考え

ました。彼が提唱したオリンピズムは「ス

ポーツを通して心身を向上させ、さらには文

化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯

感、フェアプレーの精神をもって理解し合う

ことで、平和でよりよい世界の実現に貢献す

る」ことにあります。国際オリンピック委員会

(IOC)第9代会長トーマス・バッハ氏は次の

ように語っています。「自分と共感できる者とだ

けつながり、意見を異にする者とは対話さえし

ない。…そんな風潮が今、世界に分断と対立の連

鎖を生みつつあるように思う。意見が異なる相

手こそ、話をすることが大切なのに。スポーツは

そんな対話を生み、互いの共通点に気づかせる場

となれる。…橋を懸けるのは可能だと、対話をす

ることは可能だと示すこと、それが五輪の使命の

一つだと考える」「分断や対立を深める国際社会

が今まさに必要としているメッセージを、人々を

つなぐ五輪の力を通じて、日本から発信する、そ

れは日本そして世界にとって大きな意味を持つ」

(『讀賣新聞』2020年2月20日)

 

父である神と主キリストからの恵みと平和が

皆さんと共にありますように。

フランシスコ・ザビエル

 原塚正人

神父 帰

 

3月8日午前2時30

分、老衰のため逝去。96歳。

 

1923年12月6日長

崎市生まれ。浦上教会出

身。50年3月19日大浦天

主堂で司祭叙階。同年青

砂ヶ浦教会助任。その

後、51年大曽、62年平戸、

71年諫早、73年黒崎、75年

太田尾、83年西木場、86年

土井ノ浦、88年仲知、94年

馬込の各教会で主任を務

めた。2004年引退後

は、諫早市内に居住して

いた。

 

通夜は3月8日浦上教

会信徒会館で中村倫明司

教の司式、葬儀・告別式

は9日同教会聖堂で、髙

見三明大司教の司式によ

り行われた。中村司教は

通夜の話の中で、自身が

神学生時代に太田尾教会

の主任司祭だった原塚師

について、その晩年のあ

る姿を紹介した。

 「晩年の神父様は、祈り

に関して心配性になりま

した。『祈りの言葉を言い

間違えてしまった。心を

散らしてしまった。罪で

はないか』そんな相談長

電話を、繰り返し多くの

司祭になさっていまし

た。実際に祈る時には少

しでも気になると、同じ

ところを繰り返し、ロザ

リオ一環ミサ一回終える

のに何時間もかかってい

ました。そうやって、悩

みながら、心配しながら、

苦しみながら、ご自分で

も病気であると言いなが

ら、それでも祈りに忠実

であろうと、真剣に、手を

抜くことをなさらなかっ

た」と恩師でもある先輩

司祭をしのんだ。

 

カトリック長崎大司教区司祭フランシスコ・

ザビエル原塚正人神父の逝去につきましては

早速、ご丁重なる弔問・弔電ならびにご香典を賜

り、葬儀の際にはご会葬・献花の弔意に接しまし

たうえ、各教会・修道院で故人のためにお祈りい

ただき、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。

 

一々拝眉のうえ御礼申し上げるべきところ、

紙上をもって代えさせていただきます。

  

二〇二〇年三月カ

トリック長崎大司教区

大司教 

髙見

三明

 

3月18日(水)ローマ時間の正午

(日本時間午後8時)に次の発表が

あった。教皇フランシスコは、仙台

教区・マルチノ平賀徹夫司教の引

退願いを受理された。空位期間中

の使徒座管理者は同教区事務局長

の小松史朗神父となった。

バチカンの発表バチカンの発表

 

昨年12月以降に中国湖北省武漢

市で新型コロナウイルス感染症が

発生し、その後、日本の各地でも同

ウイルスの感染者が次々と報告さ

れた。政府は2月25日、「新型コ

ロナウイルス感染症対策の基本方

針」を公表。全国で臨時休校や施

設の一時閉鎖、イベントの自粛な

ど〝非常事態〟が今も続く。

 

日本のカトリック教会では随時、

各教区が状況に応じて注意と対応

を教区内に呼び掛けている。長崎

教区では2月21日付で髙見三明大

司教が「新型コロナウイルス感染

症に関する注意」を、同29日にはミ

サ中止などに関する通達を発表。

同日から3月14日までの対応とし

て▼主日のミサの中止(後報で同

15日まで延長)▼主

日のミサに代わり、①

家族で聖書朗読や分

かち合い②新型コロ

ナウイルスの犠牲者、

感染者、終息のために

ロザリオを唱える、な

どの内容を伝えた。

 

3月13日大司教か

ら再び、3月17日「日

本の信徒発見の聖

母」ミサと3月20日

叙階式は参加者を制

限して行う旨の通達

が、さらに同19日付

で3月21日(土)の

夕方から主日のミサ

を行うことを決定し

た文書(ただし、すべての信者に、

3月22日と29日の主日のミサの参

加義務を免除)が発表された。

 

他にも、3月1日から一定期間、

大浦天主堂、旧羅典神学校、旧大司

教館は閉鎖。カトリックセンター

は館内の利用を制限。本紙で予告

した3月1日「教区青年黙想会」、

13日「性虐待被害者のための祈り

と償いの日」の集い、15日「キアラ・

ルービック生誕100周年を祝う

集い」、29日「長崎地区高校生黙想

会」は中止や延期となった。

 

バチカンニュースは、▼バチカ

ンから中国にマスクを支援(2/

3)▼バチカン市国内の診療所業

務を一時的に停止(3/6)▼お

告げの祈りと一般謁見をビデオで

行う(同8、11)▼「教皇、ウイル

スに苦しむ人々と医療関係者に祈

り」「4月3日までバチカン美術

館など臨時休館」(同8)▼「バ

チカンの大聖堂と広場を4月3日

まで閉鎖」「教皇、マリアに病者

たちを託し、保護を祈る」(同11)

▼教皇、ローマの2教会でパンデ

ミック収束を祈る(同16)などと

伝えている。

 

WHO=世界保健機関が世界的

な大流行「パンデミック」とした

このウイルスの感染者数は、3月

23日時点で32万人超といわれる。

ミサ中止

ミサ中止な な  ど ど

大司教通達

大司教通達

新型コロナ感染拡大防止の措置

新型コロナ感染拡大防止の措置

Page 2: 「すべてのいのちを守るため」 ~教皇訪日にこたえて...(1) 2020年(令和2年)4月1日(毎月1日発行) カトリック教報 カ( 昭和27年1月12日

  第1081 号  2020 年(令和 2 年)4 月1日(毎月1日発行) (2)  カトリック教報(昭和27年1月12日第三種郵便物認可)

誰でも参加できます

シスターたちと一緒に

     

祈りませんか

 「みつあみの会」主催の祈りの集いが、4

月から毎月、初金曜日の午後5時45分から中

町教会において実施されます。誰でも参加で

きます。シスターたちと一緒に祈りませんか。

内容…ロザリオと教会の祈り(晩の祈り)

意向…全教会のため、聖職者のため、すべて

の人のため

みつあみの会 

長崎教区で生まれ育った3つ

の修道会(お告げのマリア修道会、けがれなき

聖母の騎士聖フランシスコ修道女会、純心聖

母会)が修道会の枠を超えて、心ひとつにして

集い、祈る会として立ち上げネーミングした。

38年前と今

 

38年前のヨハネ・パウロ2世教皇様

が来日された時、私は2才でした。も

ちろん何も覚えていません。母にその

時のことを聞いてみると、子どもたち

は親戚に預けて自分たちは長崎のミサ

に行ったということでした。「ええ、自

分たちだけずるい」と冗談で言い返し

ましたが、やはり、男ばかり5人の小さ

な子どもたちを遠くに連れて行くのは

難しかったのでしょう。子どもたちの

ことはいいとして、母は、長崎のミサそ

のものよりも、とにかく雪が降ったこ

とが大変だったことを話してくれまし

た。そんな母の話を聞きながら、38年

前の母は当時どんな女性だったんだろ

う、どんな悩みがあって、どんな喜びが

あったんだろうか、そして、どんな気持

ちで教皇様に会いに行ったんだろうか

と考えてしまいます。子育て奮闘中の

母を勝手に想像しながら、38年、時は過

ぎたなあと感じます。2才の幼児も、

40過ぎのおじさんになったわけですか

ら。

 

私の小教区では、毎月フリー参加の

勉強会を行っています。毎回20人くら

いは来てくださいます。昨年度は、11

月24日の長崎のミサに向けて教皇様の

文章を読んだり、前回の来日の映像を

見たりして準備し、また来日後も、教皇

様の説教や演説などを一緒に振り返り

ました。参加者の中には、感想やご自

分の思いなどを話してくださる方もお

られました。「前回は雪、今回は雨、でも

最後には晴れて、何か不思議なものを

感じた」「あの天気が、自分の人生を表

しているようだった」と、私の母のよ

うに天気に関連付けたような感想は多

かったように思います。そして、「あ

の頃の教会は人も多くて元気だったな

あ」という人もいました。ちょっと寂

しくなった教会の現状を反映しての感

想だと思います。

 

38年の時の流れ、社会は変化し、それ

ぞれが年を重ねていたわけですが、教

会はどのように変化したのでしょう

か。衰退した?

熱心ではなくなった?

しかし、教皇様のミサに参加した方々

の喜びにあふれる顔を見ながら、そう

悪くもないんじゃないかと、良い方に

捉えたい自分がいます。現実から目を

そらしている私の楽観的な願望かもし

れませんが、衰退している、熱心ではな

くなっていると評価することは、信者

さんに失礼だと考えるのです。

「○○しなければならない」

 

数年前に教区召命委員会が主催する

「召命フェスティバル」に参加した時、

ある神父様が子どもたちに神父様の役

割について話してくださったことがあ

ります。「神父様は、人の人生に寄り添

うことが仕事です」という説明がとて

も印象的でした。子どもたちに話され

ていた言葉でしたが、私の心に突き刺

さりました。ある意味、何となくそう

しようと目指していた自分を肯定でき

た言葉であり、「自分は人に寄り添っ

ているか?

向き合っているか?」と

いう自己反省をさせられた言葉でもあ

りました。今でも司祭生活でちょっと

行き詰まった時に、自分がしているこ

とが「寄り添うこと」になっているの

かを、自問することがあります。間違っ

てしまうと寄り添うどころか、信者さ

んに重たい十字架を強いてしまうこと

もあり得るからです。

 

たとえば「みんなで○○していこう」

という勧めや取り組みは、毎回続けて

いくと「○○しなければならない」も

のに変化しがちです。すると、何のた

めにそれをしているのかという意義づ

けよりも、実行していくこと自体が目

的化してしまいます。していること

自体は良いことですから、皆の重荷に

なっていてもなかなかやめづらくなり

ます。「○○しなければならない」もの

ですから、していない人は批判の対象

になる、あるいは排除されることにも

なる。自分自身のこととして反省すべ

き点でありますし、教会共同体の中に

もないとは言えません。むしろ、そう

なりがちです。これはイエス様が一番

嫌ったことではないでしょうか。

 

小教区でも、地区でも、教区でも「○

○しなければならない」が多すぎて皆

が疲れているように感じます。マルタ

のように不平を言いたくもなります

し(ルカ10・40参照)、明日のことまで

思い悩まざるを得なくなっている状態

(マタイ6・34参照)です。いま私た

ちがするべきことは、こういう状態を

なくす努力です。今している活動や取

り組みが自分たちにとってどのような

意味があるのかを考え直した上で、「や

める」「できない」という判断をする

のは恥ずかしいことではありません。

新しいことを考え、始める前にこの過

程を踏まないなら、現状にそぐわない

理想だけが独り歩きし、わたしたちを

振り回すのです。

 「人の人生に寄り添うこと」は司祭

だけでなく、教会の使命だと思います。

だから全体よりも個人が優先されるべ

きです。個人が教会のためにあるので

はなく、教会が個人のためにあるので

す。もちろん、奉仕者として召されて

いるという点では、私という個人は教

会全体に仕えるわけですが、その時に

も必ずその人の自由な選択が尊重され

なければなりません。

教皇来崎からの始まり

「人をキリスト信者とするのは…」

教区生涯養成委員長 

谷脇

誠一郎

わたしたちが受けとったもの、伝えていくことわたしたちが受けとったもの、伝えていくこと

生涯養成

 「『人をキリスト信者とするのは、倫

理的な選択や高邁な思想ではなく、あ

る出来事との出会い、ある人格との出

会いです。この出会いが、人生に新し

い展望と決定的な方向づけを与える』

からです。」(使徒的勧告『キリストは

生きている』129)

 

生涯養成委員会を担当して6年目に

なります。「人の人生に寄り添う」とい

う観点からすると、信徒の皆さんの生

涯養成にあまり貢献できていないこと

をいつも反省しています。勉強会や講

座を企画し開催することが主な活動と

なっていますが、生涯養成を「勉強する

こと」に限定してしまっていたように

感じます。知識を身につけることも大

切ですが、信仰とはスキルアップをす

ることとも違うように思うのです。引

用した教皇様の言葉が示しているよう

に、社会の中での経験や出会いを通し

て、それぞれが信仰を刺激されている

はずです。だから、生涯養成のための機

会は、そこら中にあると言えるでしょ

う。勉強会や講座はそこに意識を向け

るきっかけになればと考えています。

 

生涯養成委員会が従来から開催して

まいりました『信仰養成講座』は、2

020年度から名称を変更し『カト

リック講座』として再出発をする予定

です。教皇様の来日や世界文化遺産の

登録などで、カトリック教会に興味を

持っておられる方々もいらっしゃるで

しょう。名称変更は、そういう方々に

も受講していただきたいという意図が

あります。また、入信の秘跡を準備さ

れている求道者・洗礼志願者の初期養

成にも活用していただければと考えて

います。従来通り一般の信者の皆さん

に加え、求道者・洗礼志願者、そして信

者でない方を対象に『カトリック講座』

を月に一度開催しますので、たくさんの

方々に受講していただければありがた

く思います。いろいろな立場の違う方々

が出会い、分かち合う場となるように

努力してまいります。ちなみに、『聖

書講座』も例年通り開催いたします。

*2020年度講座については5月号

でお知らせする予定です。(広報)

 

3月8日(日)に予定されていたカ

トリックセンターでの資格証書授与式

は、新型コロナウイルスの感染拡大防

止のため中止となった。今回は教区全

体での授与式は行わないとし、信仰養

成部は「授与式に関しては各地区の地

区長と地区担当者の話し合いのもと、

復活祭(4月12日)以降に開催してい

ただければと考えております」と話し

ている。カテキスタ養成は今後も地区

ごとに継続して行われる。

 

2年間の課程を修了した方々のうち

3人の方に感想を寄せていただいた。

長崎大司教区長崎大司教区カテキスタカテキスタ

54 人に資格証書 発行される

 

教区シノドス公式提言を受け、

優先課題として教区信仰養成部

(中濱敬司部長)を中心に現在も

取り組みが進んでいる「カテキス

タの養成」。その一つ、小中学生の

ためのカテキスタを新たに養成す

る課程・基礎コースがこのほど修

了し、2018年度と19年度の2

年間、地区ごとに講座を通して学

び続けてきた計54人(長崎の三地

区23人、佐世保地区12人、下五島地

区19人)に、「長崎大司教区カテ

キスタ資格証書」が発行された。

いつも神様をそばに

  

感じられるように

佐世保・神崎教会 

濵﨑てるみ

 

地区の神父様方が交替で講師

になってくださり、工夫を凝らし

てのお話で飽きることなく受講

できたのですが、その反面、この

ようにたくさんの準備が必要な

んだと、伝えることの難しさも学

ばせていただきました。私は幼

児洗礼で子どもの頃教え方さん

から教えていただいたみ言葉の

意味を自分なりに理解していた

つもりでしたが、解釈に少しズレ

があったり、一言にいろいろな意

味が込められてあったりなど、た

くさんの気づきの中、あらためて

み言葉を見直す有意義な良い時

間を過ごさせていただきました。

 

今後子どもたちに神様の教え

をどれほど伝えていけるか不安

もありますが、自分なりの言葉

で伝えながら、いつも神様をそ

ばに感じられるように、子ども

たちと共に自分自身も成長して

いけるよう頑張っていきたいと

思います。

カテキスタ養成講座

  

2年間の学び

長崎・愛宕教会 

野口達人

 

このたび、仲間の皆様と共

に、カテキスタ資格証書を受

けることができる恵みを神

様に感謝したいと思います。

講師を務めてくださった、髙

見大司教様、神父様方、シス

ター、毎回、笑顔で声をかけて

くださった、山口竜太郎神父

様、古里慶史郎神父様、お忙し

い中ありがとうございました。

 

日々の信仰生活、教会活動

の中ではできない新たな学び

を経験できました。課題の発

表では、頭の中では理解して

いるつもりでも、他者に伝え

るためには、たくさんの準備、

知識の整理、時間が必要だと

痛感しました。「信者は、信者

をしながら、信者になってい

く」の教え通り、生涯学びの

精神でたくさんの長崎教区の

皆様がカテキスタ養成講座に

参加されることをお祈りいた

します。

強き者、弱き自分を

    

受け入れし者

下五島・福江教会 

濵口美保

 『才能はひけらかさない、出

し惜しみしない、頼まれ事に

は笑顔で〝はい〟と応える』。

我が家の家訓である。個々の

才能は神様からの預りもの。

人の為に良く使わなければ意

味がない。結果は別として、

少なくとも依頼主は〝あなた

ならできる〟と思ってくれて

いる。その信頼に誠意をもっ

て応えるべきだと考える。神

様は担えない荷は与えられな

い。そう信じられるからこそ

〝大抵の事は何とかなる〟と

楽観的でいられるのかもしれ

ない。

 

カテキスタ養成コースを修

了し思うのは、学びを言葉や

行いを通して伝えていきたい

ということ。〝人〟の二画目の

ように、人を支える側として

〝犠牲〟ではなく〝奉仕〟の

精神で神様の導きに〝はい〟

と応えていきたい。

Page 3: 「すべてのいのちを守るため」 ~教皇訪日にこたえて...(1) 2020年(令和2年)4月1日(毎月1日発行) カトリック教報 カ( 昭和27年1月12日

  (3) 2020 年(令和 2 年)4 月1日(毎月1日発行)  第1081 号   カトリック教報 (昭和27年1月12日第三種郵便物認可)

佐世保

 

佐世保地区評議会各教

会役員たちの全面的な奉

仕を受け、3月1日(日)

地区合同堅信式が佐々教

会で行われた。今年は新

型コロナウイルスへの感

染を防ぐため参加者を限

定し、受堅者とその家族、

関係者だけの堅信式と

なった。また、地区司祭団

を含め、参加者全員にマ

スクの着用を願い、出入り

口には消毒液を準備して

の堅信式となった。ミサ

 

2月11日(火)14時か

ら教区平和推進委員会主

催による「『教皇フラン

シスコ平和メッセージ』

&神父さんとともに歌う

コンサート」がカトリッ

クセンターで開催され、

約300人が参集した。

 

講演会では中村倫明司

教が講師を務め、「希望

の道である平和―対話、

和解、エコロジカルな回

心」をテーマとした今年

1月1日の第53回「世界

平和の日」教皇メッセー

ジを解説した。中村司教

は、昨年11月24日の来崎

時に教皇フランシスコが

各地で発信したメッセー

ジを振り返りながら、教

皇が一貫して呼びかけて

いる〝平和〟について分

かりやすくまとめ、語っ

た。最後にさらなるまと

めとして「エゴ

4

4

(利己主

義)ロジカルからの回心

の必要性」と表現して説

き、「エゴは対話を阻む

ものであり、個人の中で

だけでなく共同体でも起

こり得る。エゴから脱却

し、皆で分かち合うこと

が大切。エゴに陥らない

こと」と強調。「私たちは

無償の、無条件の愛と命

を頂いている。私たちも

その愛と命の中で生きて

いくことができるよう、

教皇様は励ましてくだ

さっている」と話した。

各地で堅信式行われる

各地で堅信式行われる

新型コロナウイルス感染対策も

平戸

 

2月16日(日)紐差教

会で平戸地区の合同堅信

式が行われ、これに褥崎

教会も含め中学生25人、

大人2人の合計27人が髙

見三明大司教から秘跡を

受けた。説教の中で大司

教は、「堅信を受ける皆さ

んは、イエスの望みを真心

から受け入れて、イエスが

求める『義』まで高められ、

到達するように日々努力

してください。神様は聖

霊の賜物で常に支えてく

ださいます」と励ました。

堅信式ミサの終わりには

受堅者を代表して紐差教

会の松山勇は

斗と

さん(中学

2年)が「これから大人

の信者としてミサや祈り

を大切にし、教会の力と

なれるように信仰を深め

ていきます」とあいさつ。

式後のお祝い会では、保

護者代表が「大人になる

秘跡を受けましたが、ま

だ中学生です。ゆっくり

成長していきます。皆さ

ん温かく見守ってくださ

い」と述べた。関係者は「今

後の成長を祈りたい」と

語っていた。

 

新しい神学院が開校して1年が経つ。「新

しい」とはいえ、神学院本館の建物は来年

満70歳を迎える。オレンジ色の屋根が特徴

的な威厳ある洋館は、福岡市城南区松山(旧

片江神松寺)の地に、司祭養成の場として

立ち続けている。まさに初志を貫徹してい

る。ただ、建物は手を加え続けなければ朽

ちていく。人も教会も、そして神学院の内

実もそれに似ている。

 

10年続いた「日本カトリック神学院福岡

キャンパス」から、昨年4月に「福岡カト

リック神学院」という新しい名をもらった。

いわゆる「福岡サン・スルピス大神学院」

と呼ばれていた時代のように、九州・那覇

5教区の司祭養成の場に戻ったのである。

この変化について、時を逆行しているとい

う声をいまだ耳にする。変化に馴染めず、

利己主義からの回心必要

利己主義からの回心必要

教皇平和メッセージを学ぶ

過去に郷愁を覚えるのを誰でも経験して

いる。刷新されるよりも昔の自分に戻る

のは意外と容易なことである。

 

この1年の神学院は、10年前の自分を

急激に取り戻そうとしているようで、そ

の一方、直近の10年間を無にしたくない

という思いを抱えながら歩んできたよう

に思う。ただ、時代はそのどちらも望ん

ではいないと感じる。どちらとも既に過

去なのだ。この経験の上に刷新を実現し

ていくしかない。

 

若い神学生たちは過去の神学院のこと

をよく知らないし、あまり気にしていな

い。午前中のみの講義になったこともあ

り、午後は広いグラウンドでサッカー(ほ

ぼ格闘技)に興じる笑い声のような叫び

声が聞こえてくる。養成は厳しいものだ

が、楽しい神学院であればと願っている。

 

福岡の神学院は「地域性を考慮した司祭の

養成」が期待されている。地域性とは何か。

ただ、この1年、九州の司教、司祭と信徒たち

が神学院を訪れる機会が増えた気がする。閉

じられた空間や心ではなく、人の行き来する

中で、神学院は地域化されていくのだと思う。

「来院歓迎!」

 

現在、神学院は二つの問題に頭を抱えてい

る。まず、神学生が少ないこと。本年度の神

学生数は11名、来年度は一桁になる。量より

質を目指すが、神学院としても宣教活動や司

祭召命の促進活動を具体化し行動に移さなけ

ればならない。「体験入学は常時可!」

 

さらに、神学院は経済的に5教区に支えら

れているが、先行きは明るくない。新設され

た「司祭養成基金」は、現在年間約300万

円の利息収入で運営を支えている。基金のさ

らなる成長を期待したい。「郵便振替0172

0-6-1419 

福岡カトリック神学院」。

 

長崎カトリック神学院(小神)から福岡コ

レジオ、そして福岡カトリック神学院という

16年に及ぶ養成期間とその後の司祭たちの生

き方や活動に連帯感のようなものが欲しい。

そういう刷新に手を加え続けたい。

 

2月17日(月)から19日(水)

まで、東京・日本カトリック

会館で2020年度の定例司

教総会が開かれ、13人の司教

と3人の補佐司教、男女修道

会・宣教会の代表ら4人が参

加した。

 

報告事項では、ミサの奉献

文にある教皇の呼称を「教父」

から「教皇」へと読み替える

ことを、常任司教委員会が承

認したことが伝えられた。審

議事項では、昨年訪日した教

皇フランシスコの意向に応え

る取り組みで「環境」に関し

て、今年9月1日から10月4

日のアシジの聖フランシスコ

の記念日までを「すべてのい

のちを守るための月間」とす

ること、また、「平和」に関し

て、▼今年6月23日の「沖縄

慰霊の日」に日本司教団とし

て連帯し、司教たちが当日、那

覇教区の行事に参加して平和

メッセージを発表する▼5月

18日から広島で開かれる、国

際的なカトリック平和団体

「パックス・クリスティ・イ

ンターナショナル」の世界大

会の開会ミサに可能な限り全

司教が参加する、などが決議

された。その他の項目も、中

央協議会ホームページ掲載の

会報4月号で確認できる。

2020 年度 定例司教総会2020 年度 定例司教総会教皇の意向に応える取り組みなど

 

講演会の他、昨年8月

に沖縄平和学習に参加し

た高校生たちによる報告

会もあった。コンサート

では川原拓也神父(桐教

会)、長崎南山小学校コー

ラス部、長崎ゴスペルク

ワイヤFAITHの方々

が出演し、集いを温かく

盛り上げた。

の中で髙見三明大司教は

四旬節第1主日に読まれ

た神のみことばから、「さ

まざまな誘惑があっても、

いつも神様を中心に据え、

イエスのように生きるこ

と。喜びをもって信仰と

愛に生きていってほしい」

と語った。聖霊のご降臨

を受け、67人(中学生53、

大人14)の受堅者たちは

注がれた豊かな賜物に感

謝し、堅信式を無事に終

えることができた。

長崎北地区の堅信式

 

2月23日(日)滑石教

会で長崎北地区合同の堅

信式が行われた。滑石(中

学生8、大人3)、時津(中

学生1、大人2)、出津(中

学生2)の各教会の計16

人が、髙見三明大司教に

より堅信の秘跡の恵みを

受けた。

〝新しい船出”から1年

〝新しい船出”から1年

「福岡カトリック神学院」

「福岡カトリック神学院」

院長 

牧山

強美

ヨゼフ

ヨゼフ

萩原萩原

劭劭つとむ

つとむ

師が引退

師が引退

 

54年間にわたり司牧に

専念された萩原

劭神父

の引退が、3月22日付で

発表された。これまでの

奉仕に感謝を表し、これ

からの健康を祈りたい。

 

略歴 

1937年3月

24日平戸市生まれ。田平

教会出身。66年1月6日

ローマ・聖ペトロ大聖堂

で司祭叙階。同年出津小

教区助任、68年水主町主

任、71年4月大浦助任。

同年9月滑石、73年八幡

町、79年俵町、88年鯛之浦

で主任。96年三浦町主任・

佐世保地区長、99年長与、

2007年香焼で主任。

引退後はお告げのマリア

修道会本部修道院へ。

人事異動・任命

人事異動・任命

( 

)内は前任地

▼教区

〔4月26日着任 

(1)は3月15日〕

萩原  

劭師 

引退 

お告げのマリア

 

修道会本部修道院付き

(香焼主任)

小瀬良 

明師 

稲佐主任(青

砂ヶ浦主任)

下山 

盛朗師 

出津主任

(稲佐主任)

鳥瀬 

文武師 

青砂ヶ浦主任

(水ノ浦主任)

葛島 

輝義師 

浦上協力司祭

(中町協力司祭)

本田 

靖彦師 

黒崎主任(仲知主任)

山口竜太郎師

 

長崎カトリック神学院副院長

(出津主任)

熊谷 

裕司師 

水ノ浦主任

(長崎カトリック神学院副院長)

小島  

明師 

奈留主任

(滑石助任)

下原 

和希師 

仲知主任

(福江助任)

青田 

憲司師 

滑石助任

(新司祭)

稲田 

祐馬

助祭 

福江小教区付き

(1)

(福岡カトリック神学院卒業)

▼韓国殉教福者聖職修道会

 〔4月26日着任 

(2)は未定〕

キム・ドンウク師 

香焼主任(奈

留主任)

カン・デフン師

 

香焼協力司祭・語学研修

(2)(ソウル)

▼フランシスコ会

〔4月13日着任〕

クラウディオ・ジャネシン師

 

本原主任

(東京・聖ヨゼフ修道院)

戸村 悦夫師

 さいたま・イエズスの聖心修道院

(本原主任、長崎修道院)

キム・ドンヒョン師

 

東京・田園調布修道院 (長崎修道院)

▼神言修道会

〔4月1日付〕

永山  

誠師 

長崎修道院・教師館

(新潟教区・秋田主任)

ネルソン・アブライ・バルバロナ師

 

西町助任

(東京・吉祥寺助任)

トラン・ドュック・ディエム師

 

海外研修

(西町助任)

Page 4: 「すべてのいのちを守るため」 ~教皇訪日にこたえて...(1) 2020年(令和2年)4月1日(毎月1日発行) カトリック教報 カ( 昭和27年1月12日

  第1081 号  2020 年(令和 2 年)4 月1日(毎月1日発行) (4)  カトリック教報(昭和27年1月12日第三種郵便物認可)

従っていた弟子が四人であったことをす

でに紹介していることに注目しましょう

(1・16以下)。

 

イエスに従い始めたばかりの四人の弟

子たちは、まだイエス様の周辺に起こっ

ている出来事の前に、驚きの目をもって、

ただ茫然と佇んでいるだけだったかもし

れません。しかし今、目の前で汗を流し

ながら懸命に友人をイエスの前に運んで

くる自分たちと同じ人数の四名の若者た

ちを目の当たりにします。弟子たちの心

は少し動いたかもしれません。特にペト

四人の男が「ある家」で

 

マルコ福音書に、中風の人の癒やし

の物語が記されています(マルコ2・

1~12)。四人の男がある家の屋根を

はがして中風の人をイエスのもとに連

れていき、イエスがこの人たちの信仰

を見て中風の人に「子よ、あなたの罪

は赦される」と言われる場面です。

 

この個所を黙想するとき、私は、この

四人の男たちってどんな人たちだった

のだろう、と考えることがあります。

中風の人の友人たちであって、深い友

情により、彼をイエス様に引き合わせ、

なんとしても癒やしていただきたいと

願ったことは間違いありません。この

友情はイエス様の心を動かすに十分で

した。

 

しかし、マルコ福音書のこの場面に

は、別にもいくつかの意図が隠されて

いるような気がします。まずはマルコ

福音書がここに至るまでに、イエスに

古里 慶史郎古里 慶史郎(フランシスコ会 長崎修道院)(フランシスコ会 長崎修道院)

みことばにふれて 168

ロは、彼らと同じような気持ちで、自分

の姑のところにイエス様を連れて行っ

たばかりでした(1・30以下)。

 

四人の弟子たちは、自分たちも、もっ

と多くの人を、病気の人々を、苦しんで

いる人々を、イエス様のところに連れ

ていきたい、という気持ちに強く促さ

れ始めたかもしれません。そうすると、

四人の男たちとは、やがて同じように

多くの人をイエスのもとに誘うべき四

人の弟子たちの将来の姿を映し出して

いる、と見ることもできそうです。

 

そう考えてみますと、もう一つの疑

問も合わせて考えてみたくなります。

それは、中風の人の癒やしの舞台と

なった「ある家」とは、誰の家だった

のか、ということです。

 

この家が誰の家であったのか、言及

されていません。実はこれが誰の家か

特定されていない、ということそのも

のが大切です。

 

では、この「ある家」とはだれの家

でしょうか。端的に言って、「神

の家」に他なりません。マルコは

物語の影に、神の家の中心にイエ

ス様がいて、その周りに、み言葉

を聴き、み言葉を生きたいと思う

人々が集っていて、多くの人々が

このイエスに自分の大切な人を引

き合わせたい、と心から願ってい

るような「神の家」を描き出して

います。

 

ここに、「理想的な教会の姿」

がすでに描かれていないでしょう

か。

 

最後に残る問いは、私たちがこ

の四人の男性たちのように、屋根

を破ってでも多くの人を教会の中

心にいらっしゃるイエス様のもと

にお連れしたい、と願っているか

どうか、ということになります。

復活のイエス様に宣教に出かける

よう促されているこの季節、私の

気持ちもそうありたいものです。

聖母の騎士誌

創刊90周年➊

コルベ神父様が来日・来崎後

コルベ神父様が来日・来崎後

すぐに発行された『聖母の騎士』について

すぐに発行された『聖母の騎士』について

コンベンツアル聖フランシスコ修道会 

山口

雅稔

(聖母の騎士誌

編集長)

 

今年の5月は日本に

おける『聖母の騎士』

誌発行90周年の時とな

ります。1917年10

月、聖コルベは、コンベ

ンツアル聖フランシス

コ修道会の兄弟たち6

名と共に「けがれなき

聖母の騎士会」(M

ilitia Immaculatae

)という信

心会をローマで設立しま

した。当時、聖コルベは

神学生でした。けがれな

き聖母(無原罪の御宿り)

を通してすべ

ての人がイエ

ス様の愛の御

心へたどり着

くことができ

るよう奉仕す

るというモッ

トーがこの会

にあり、至聖

にして不可分

の三位一体に

最大の栄光を

帰しながら、

すべての人の

回心と聖化に協力すると

いう目的があります。

 

聖コルベは、無原罪の

聖母を観想することに

よって、イエス様から受

けた愛とイエス様への愛

が深まり、その愛のメッ

セージ(福音)をより多

くの人々へ運んでいくと

いう宣教の使命へと駆り

立てられました。特に福

音をまだ知らない人が大

勢いる東洋への宣教熱が

湧き上がりました。ロー

マ留学時、中国人神学生

との出会いや里脇神学

生(後の枢機卿)に日本

への宣教を勧められた

こと、また早坂司教様が

ローマでコンベンツアル

聖フランシスコ修道会の

宣教局長に、会員を長崎

に送ってくれれば喜んで

受け入れると話をされた

ことも関係しているので

しょう。聖コルベは、人

口の多い中国とインド

の人々が聖母を知れば、

世界中の大多数の人たち

が、三位一体の神の恵み

にあずかれることを視野

に入れ東洋へと旅立ちま

した。

 そして、1930年4

月24日の長崎に到着後か

ら、わずか1カ月で『無

原罪の聖母の騎士』誌を

長崎教区の教区報の付

録として発行しました。

ポーランドで雑誌による

宣教が効果的であったこ

ともあり、日本において

も聖母の騎士誌を福音宣

教の手段として、力を尽

くして作成し配布したの

でした。日本語の分から

ない聖コルベと修道士た

ちを助けてくれたのは、

長崎教区の司祭や神学生

たちでした。

(つづく)

短 信

〈全国カトリック青年大

会40周年記念ミサ〉

 

2月23日(日)本河内

教会で、1980年8月

に開催された「全国カト

リック青年大会」の40周

年を記念するミサが有志

信徒らの呼びかけによっ

て行われ、九州各地から

80人余が集まった。ミサ

は、80年の大会を準備し

 

2月16日、入院してい

た福岡市内の病院で逝

去。76歳。

 

1943年2月22日平

戸市田平町生まれ。55年

聖パウロ修道会に入会。

70年終生誓願。71年6月

29日ローマで司祭叙階。

71~72年、74~75年ロン

ドン留学。帰国後、修道

会の養成の責任者、使徒

職の責任者、中央出版社

(現サンパウロ)社長な

どを歴任。また、カトリッ

ク中央協議会では広報

部、聖書・広報委員会、殉

教者崇敬促進委員会、中

国教会関係資料室、出版

部で長年勤務した。

 

93~97年、99~200

7年日本管区長。201

0~11年福岡教区・八代

教会主任司祭代行、11~

13年同教会主任、16年か

ら現在まで福岡・老司教

会小教区管理者を務め

た。広い心をもって人々

と交わり、多くの人から

慕われ愛される司祭だっ

た。

 

葬儀ミサ・告別式は19

日、澤田豊成日本管区長

の司式により福岡教区大

名町教会で行われた。

ヨハネ・ボスコ

夫津木

神父

(聖パウロ修道会)

★溝部脩司教からの贈り

もの 

105名の証言

編=溝部脩司教追悼集

企画実行委員会

 

2016年2月29日、

80歳で帰天された溝部脩

司教への思いをそれぞれ

の時代でかかわった司

教、神父、シスター、教え

子、協働者たちが綴る。

105名の証言からは神

を愛し、人を愛し、共に喜

び、共に祈る一人の神父

の姿が生き生きと蘇る。

 

ドン・ボスコ社、税別

1000円。

★現代を正しく生きるた

めの知恵(山内清海講演

集)

 「ミカエル会」主催に

よる山内清海師の講演会

の記録。カトリック信徒

以外の方々にも向け開催

された、全5回の講演会

のメインテーマは「現代

社会の間は

ざま

に生きる」。現

代の問題を浮き彫りにし

てその核心に迫り、正し

い生き方を模索し語られ

た内容。昨年8月日本カ

トリック医療団体協議会

全国大会の基調講演「永

井隆博士の『摂理論』に

ついて」も収載。

 

文芸社、税別700円。

た濱尾文郎枢機卿や溝部

脩司教らの追悼と、大会

開催に向け共に励んだ亡

き仲間のためにささげら

れた。ミサ後の親睦会で

は、当時の記録映像を皆

で観た。参加者の1人は、

「若かりし頃の思いを、次

の世代に伝えきれていな

いとあらためて感じた。

私たちにできることから

始めようと、心一つに散

会した」と話していた。

〈下五島で中学生黙想会〉

 

2月24日(月)下五島

地区中学生の合同黙想会

が、「すべての命を守る

ために」をテーマに福江

教会で開かれた。参加し

た中学生39人(福江16、

浦頭7、水ノ浦4、三井楽

6、奈留3、井持浦3)は、

講師を務めた聖マリアの

園(特別養護老人ホーム)

のシスター岩田真里亜の

講話を聴いたり、爆心地

公園で核兵器廃絶を訴え

た教皇メッセージを動画

で視聴したりした。黙想

会は、ゆるしの秘跡と、最

後にミサをもって終了。

 「無関心がどれほど悪

いことか分かった」「一

人一人が大切だというこ

とをあらためて分かるよ

うになった」といった感

想が寄せられ、中学生た

ちが命の大切さや人との

関わりなどを考える黙想

会になった。

ぶどう園

▼聖香油ミサ 

4月7日

㈫10時30分、浦上教会。

▼教区評議会総会 

5月

4日㈪10時、カトリック

センター。

▼雲仙殉教祭 

5月17日

㈰、雲仙メモリアルホー

ル。13時開会、13時30分

ミサ、15時巡礼。

2020年度みつあみの会

一日の祈りの集い

開催日と場所(教会名)

5/9㈯城山、6/25

㈭佐々、7/11㈯中町、

8/1㈯福江、9/5

㈯諫早、10/21㈬植松、

11/12㈭西町、12/5

㈯本河内、2021年

…1/21㈭三浦町、2

/16㈫滑石

 

開催日の2週間前まで

に郵送、ファックス、メー

ルのいずれかでお申し込

みください。定員15人。

申込書は4月に各教会に

配布する予定です。

申し込み先純心聖母会 山田房恵

(祈りの集い担当者)〒 852-8142長崎市三ツ山町 415FAX [email protected]

感 謝

寄 

長崎大司教区

◦カトリック

   

幼稚園協会様

◦匿名様

長崎カトリック神学院

◦匿名様

香典返し

長崎カトリック神学院

◦小田フミ様(桐)

 

故ペトロ小田國光様

◦大下田義幸様(中ノ浦)

 

故マリア

  

大下田チエ子様

◦田中正行様(浦上)

 

故マリア・マグダレナ

  

田中ミチ子様

 

右の方々からご寄付・

ご芳志を賜りました。お

礼とご報告を申し上げま

す。

自分を見つめる機会を

自分を見つめる機会を

家庭委南地区のビデオ上映会

 

2月16日(日)カトリッ

クセンターで教区家庭委

員会南地区主催のビデオ

上映会が行われた。

 

同委員会は、異宗婚家

庭への支援の一環として

宗教に限らず家族を中心

とした映画上映会を行っ

ている。今回は古巣

師(長崎教区司祭)主演

のビデオ鑑賞と今田昌樹

師(聖アウグスチノ修道

会)の講話=写真=を開

催。潜伏時代に先祖が繋

いだ信仰を、自由な時代

に生きる私たちはどのよ

うに繋いでいるのか、こ

れからどのように繋いで

いけばよいのだろうかな

ど、自分を見つめる機会

を願って行われた。

 

上映会に合わせて実施

したアンケートの結果、

参加者数は約120人

で、男性が約3割。年代

別には男女とも60代が一

番多く、次に70代、50代の

順で80代も若干の参加。

今後希望するテーマとし

ては、「認知症・老介護

に関する内容」が一番多

く、次に「終活問題」。「キ

リスト者としての生き方

や子・孫への信仰伝達」

「信仰生活について映像

を用いて具体的にわかり

やすい学びを希望する」

などの提案も出された。

来崎直前の中国・上海にて修道会の兄弟たちと中央が聖マキミリアノ・マリア・コルベ神父