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- 1 - 山地災害 山地災害とは何ですか。 保全対象とは何ですか。 山地災害とは、山崩れ、土石流、地すべりなど山地に起因する災害です。 保全対象とは、人家(工場、旅館、社寺等を含む)、公共施設(学校、官公署、 病院、鉄道、道路、港湾等)、農地等が山地災害により被害を受ける恐れのある ところを言います。 治山事業は、森林の維持造成を通じて山地に起因する災害から国民の生命・ 財産を保全し、また、水源かん養、生活環境の保全・形成等を図り、安全で住 みよい県土の確保・定住条件の整備を図るうえで必要不可欠な事業です。 保全対象

山地災害 山地災害とは、山崩れ、土石流、地すべり …...保全対象とは何ですか。 山地災害とは、山崩れ、土石流、地すべりなど山地に起因する災害です。

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1 山地災害

山地災害とは何ですか。

保全対象とは何ですか。

山地災害とは、山崩れ、土石流、地すべりなど山地に起因する災害です。

保全対象とは、人家(工場、旅館、社寺等を含む)、公共施設(学校、官公署、

病院、鉄道、道路、港湾等)、農地等が山地災害により被害を受ける恐れのある

ところを言います。

治山事業は、森林の維持造成を通じて山地に起因する災害から国民の生命・

財産を保全し、また、水源かん養、生活環境の保全・形成等を図り、安全で住

みよい県土の確保・定住条件の整備を図るうえで必要不可欠な事業です。

保全対象

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2 山地災害危険地区

山地災害危険地区とはどのような地区ですか。

山腹崩壊、地すべり及び崩壊土砂の流出などにより、官公署、学校、病院、

道路等の公共用施設又は人家(工場、旅館、社寺等を含む)に直接被害を与え

るおそれのある地区で、地形、地質特性からみてその崩壊危険度が一定基準以

上のものを調査把握したものです。

現在の山地災害危険地区は、林野庁の「山地災害危険地区調査要領」(平成1

8年 7 月)を基に、静岡県の地質等の地域特性を踏まえた調査の結果により設

定しています。

山地災害の発生する恐れがある地区の実態を把握し、これらの災害の未然防

止に資することを目的とし、設定しています。

「山地災害危険地区」は、荒廃の形態によって、「山腹崩壊危険地区」、「地す

べり危険地区」、「崩壊土砂流出危険地区」の三種類に区分しています。

平成25年度末における静岡県の山地災害危険地区数は以下のとおりです。

・山腹崩壊危険地区 3,256地区

・地すべり危険地区 95地区

・崩壊土砂流出危険地区 4,170地区

山地災害危険地区 計 7,521地区

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3 山腹崩壊危険地区

山腹崩壊危険地区とはどのような地区ですか。

どのような基準で設定したのか。

1.「山腹崩壊危険地区」とは、山腹崩壊によって公共施設又は人家に直接被害

を与える恐れのある地区のことを言います。

平成 26 年 3 月末で静岡県では3,256地区があります。

2.設定基準

現在の山腹崩壊危険地区は、「山腹崩壊危険地区調査実施要領」(平成18

年7月林野庁)により平成18~19年度の調査に基づき設定しています。

(1)調査対象地区

山腹崩壊により、官公署、学校、病院、道路等の公共用施設又は人家に直

接被害を与える恐れがある地区、並びに公共施設等を直接保全する山腹工施

工地区

(2)調査内容

自然条件調査、公共施設等実態調査、保安林等指定状況調査、治山事業実

施状況調査及び災害歴調査

自然条件の調査項目については、地質区分は6区分、傾斜、横断面形、土

層深、樹種、齢級、縦断面形の6因子を中心に調査

(3)地区の設定

調査結果を山腹崩壊危険度点数表で判定し、危険度点数が100点以上か

つ人家又は道路がある地区について危険地区として設定

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4 地すべり危険地区

地すべり危険地区とどのような地区ですか。

どのような基準で設定したのか。

1.「地すべり危険地区」とは、地すべりが発生している或いは地すべりが発生

する恐れがある区域のうち、公共施設に被害を与える恐れのある地区のこと

を言います。

平成26 年3月末で静岡県では95地区あります。

2.設定基準

現在の地すべり危険地区は、「地すべり危険地区調査実施要領」(平成18

年7月林野庁)により、平成18~19年度の調査に基づき設定しています。

(1)調査対象地区

地すべり等防止法第3条により地すべり防止区域に指定された地区、及び

それ以外の区域であって地すべりしている区域又は地すべりするおそれのあ

る区域のうち地すべりにより公共施設等に直接被害を与えるおそれのある区

(2)調査内容

自然条件調査、公共施設等実態調査、保安林等指定状況調査、治山事業実

施状況調査及び災害暦調査

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5 崩壊土砂流出危険地区

崩壊土砂流出危険地区とはどのような地区ですか。

どのような基準で設定したのか。

1.「崩壊土砂流出危険地区」とは、山腹崩壊や地すべりによって発生した土砂

又は火山噴出物が土石流となって流出し、人家、公共施設に被害を与える恐

れのある地区のことを言います。

平成26 年3月末で静岡県では4,170地区あります。

2.設定基準

現在の崩壊土砂流出危険地区は、「崩壊土砂流出危険地区調査実施要領」(平

成18年7月林野庁)により、平成18~19年度の調査に基づき設定してい

ます。

1.調査対象地区

平成7~8年度調査により崩壊土砂流出危険地区と決定された地区、及び

渓流の出口からおおむね2km以内に保全対象がある地区並びに過去土石流

災害が発生した地区

2.調査内容

荒廃発生源の調査、崩壊土砂流出区間の調査、公共施設等実態調査、保安

林等指定状況調査、治山事業実施状況調査及び災害歴調査

荒廃発生源、崩壊土砂流出区間の調査については、発生源の危険度、転石

混入割合、発生源直下の渓流勾配、流出区間の延長、平均渓床勾配、流出区

間の延長、平均渓床勾配の5因子を中心に調査

3.地区の設定

調査結果を「崩壊土砂流出危険度採点表」で判定し、危険度点数が100

点以上となった地区について危険地区として設定

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6 山地災害危険地区

山地災害危険地区の危険度はどのように決めたのですか。

1.山腹崩壊危険地区の危険度

地質、地形及び林況、地震、落石などの状況によって「山腹崩壊危険度」(1

80点以上をa1,140点以上をb1,100点以上をc1)を、公共施設

等の種類及び数量によって「被災危険度」(a2,b2,c2)を求めます。

「山腹崩壊危険度」と「被災危険度」の 2 つの要素から、「山腹崩壊危険地区

の危険度」(A,B,C)を判定しています。

危険度の高い方からA、B、Cの順になっています。

2.地すべり危険地区の危険度

地質、地況、植生、地すべり状況によって、「地すべり危険度」(a1,b1,

c1)を求めます。

公共施設等の種類及び数量によって、「被災危険度」(a2,b2,c2)を

求めます。

「地すべり危険度」と「被災危険度」の 2 つの要素から、「地すべり危険地区の

危険度」(A,B,C)を判定しています。

危険度の高い方からA、B、Cの順になっています。

3.崩壊土砂流出危険地区の危険度

荒廃発生源の崩壊(地すべり)危険度、転石の混入割合、荒廃発生源直下の

渓床勾配、崩壊土砂流出区間の延長、平均渓床勾配による「崩壊土砂流出危険

度」(140点以上をa1,120点以上をb1,100点以上をc1)を、渓

流の出口に最も近い位置で山腹崩壊危険度(c1以上)を持つメッシュ又は地

すべりが存在する直下の渓流から2km以内にある公共施設等の種類及び数量

による「被災危険度」(a2,b2,c2)を求めます。

「崩壊土砂流出危険度」と「被災危険度」の2つの要素から、「崩壊土砂流出

危険地区の危険度」(A,B,C)を判定しています。

危険度の高い方からA、B、Cの順になっています。

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7 保全対象区域(被害想定区域)

保全対象区域(被害想定区域)はどうやって決めたのですか。

1.山腹崩壊危険地区の保全対象区域(被害想定区域)

土砂災害防止法に基づく基礎調査「土砂災害防止法基礎調査マニュアル(案)

急傾斜地の崩壊編」に準拠して、保全対象区域(被害想定区域)を設定してい

ます。

・ 集水区域内のり尻から標高差の2倍に相当する距離の範囲(50mの制限を

設けない)

・ 崩壊法面の側線に対して、45°方向に広げた範囲

ただし、崩壊土砂の進行方向で5m以上標高が上がる場合は、その地点から

下流側の区域を土石が到達しない範囲として被害想定区域から除外してい

ます。

図1 山腹崩壊危険地区の被害想定区域の設定

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2.崩壊土砂流出危険区域の保全対象区域(被害想定区域)

土砂災害防止法に基づく基礎調査「土砂災害防止法基礎調査マニュアル(案)

土石流編」に準拠して、保全対象区域(被害想定区域)を設定しています。

・ 氾濫開始点(谷地形が開けて谷幅が広くなる地点、渓床勾配が急激に緩くな

る地点、支川が本川に合流する地点、河道の屈曲部)から、流下方向を中心

に角度30°で拡散する扇方の範囲内で上流200m区間の平均勾配が2

度未満になる地点まで。

ただし、高さ5m以上の岸がある場合は、その地点から下流側の区域を土石

が到達しない範囲として被害想定区域から除外しています。

図2 崩壊土砂流出危険地区の被害想定区域の設定

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8 法律

山地災害危険地区に設定されると法的な規制はあるのですか。

山地災害危険地区は、法律に基づく指定ではありません。

山腹崩壊、地すべり、崩壊土砂流出による災害が発生するおそれがある地区

を知っていただき警戒避難等の早期対応をすることで、災害の発生を未然に防

止するために設定しております。

山地災害危険地区の設定による規制はありません。

また、山地災害危険地区の対策工事を行うにあたり、必要な範囲を原則とし

て保安林に指定します。

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9 治山事業の進捗状況

山地災害危険地区の整備はどのくらい進んでいるのですか。

山地災害危険地区における治山事業の整備状況は、以下のとおりです。

箇所数

山腹崩壊

危険地区

地すべり

危険地区

崩壊土砂流出

危険地区

危険地区数 3,256 95 4,170 7,521

着手数 1,243 90 2,397 3,730

着手率(%) 38.2% 94.7% 57.5% 49.6%

概成数 135 15 180 330

概成率(%) 4.1% 15.8% 4.3% 4.4%

(平成25年度末現在)

今後、工事コストの縮減や他事業との連携により、未着手箇所の早期対応を図

っていきます。

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10 治山事業の進捗状況

治山事業の進捗状況を表す指標の「概成」、「一部概成」、「未成」、「未着手」

とは何ですか。

「概成」とは、計画した一連の工事が完了した場合をいいます。

「一部概成」とは、計画した一連の工事のうち一部の箇所の工事のみが完了し

た場合をいいます。

「未成」とは、着手はしたが一連の工事のうち未だ完了に至るものがない場合

をいいます。

「未着手」とは、工事に着手していない場合をいいます。

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11 山地災害危険地区の情報

山地災害危険地区に設定されている箇所について知りたいのですが、どうし

たらよいのですか。

山地災害危険地区については、静岡県庁森林保全課、各農林事務所(治山担

当課)で図書を閲覧することができます。

また、危険地区の位置(範囲)、被害想定区域等については県のホームページで

も公開しています。

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12 山地災害危険地区の対策

山地災害危険地区の対策はどうするのか。

静岡県では、山地災害から地域のみなさんの生命、財産を守るため、治山事

業により、次のような対策を行っています。

1.ハード対策

工事により危険な箇所をなくしたり、危険性を少なくして災害の原因である

山崩れ、地すべり、土石流が起こらないように、あるいは起こりにくくするた

め、土石流の恐れのある渓流に治山ダムの設置を行ったり、落石や山崩れの危

険性のある区域の森林の整備や土留工などを設置し、山地に起因する災害の未

然防止対策を積極的かつ計画的に推進しています。

2.ソフト対策

全ての山地災害危険地区の工事を完了させるには、多くの年月と多くの費用

が必要となります。そこで山地災害を未然に防止するため、山地災害危険地区

の周知徹底、防災意識の普及等のソフト対策の推進も行っています。

(1)治山パトロールの実施

公共施設や人家が近い地区を職員等がパトロールすることにより、新たな

亀裂や山崩れなどの状況、治山施設を点検し、山地災害の未然防止に努めて

います。静岡県では毎年雨期前の6月1日~15日を実施期間とし施設等の

点検とあわせて災害及び防災に対する啓発普及活動を実施しています。

(2)山地災害防止キャンペーン

山地災害に備えPR活動として、県下各地の総合庁舎等でパネル展などの

山地災害防止キャンペーンを実施しています。

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13 土砂災害防止法

土砂災害防止法の土砂災害警戒区域、土砂災害特別危険区域とはどこが違う

のか。

山地災害危険地区は、山地災害を未然に防止するために、山地災害のおそれ

がある箇所を知っていただき警戒避難等の早期対応をしていただくことが重要

と考えており、法律などで指定したものではありません。規制などもありませ

ん。

一方、土砂災害警戒区域等は航空測量及び現地確認により区域を明らかにし

て、土砂災害防止法で指定するもので、法的に警戒避難体制の整備等が進めら

れます。

【土砂災害警戒区域】

急傾斜地の崩壊等が発生した場合、住民等の生命又は身体に危害が生じると

認められる区域で、危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。

・ 市町地域防災計画への記載

・ 災害時要援護者関連施設利用者のための警戒避難体制

・ 土砂災害ハザードマップによる周知の徹底

・ 宅地建物取引における措置

【土砂災害特別危険区域】

急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は、

身体に著しい危害が生じるおそれがあると認められる区域で、特定の開発行為

に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます。

・ 特定開発行為に対する許可制

・ 建築物の構造規制

・ 建築物等の移転の勧告及び支援措置

・ 宅地建物取引における措置

土砂災害警戒区域等の詳細の内容については、静岡県庁河川砂防局砂防課へ

お問い合わせください。

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14 土砂災害防止法

土砂災害危険箇所と山地災害危険地区はどこが違うのか。

「土砂災害危険箇所」は、国土交通省の指導のもと既存地形図による図上調

査と現地確認の結果により、選定したものです。(平成12~15年度調査)

静岡県内に15,193箇所あります。

この「土砂災害危険箇所」は区域の範囲まで示すものでなく、法律等で指定

されたものでもありません。規制等もありません。

「山地災害危険地区」は、林野庁(農林水産省)の指導のもと、保安林台帳、

治山台帳、森林計画図、空中写真、地形図及び住宅地図等既存の資料及び現地

調査により、地形、地質特性からみてその崩壊危険度が一定基準以上の地区を

調査把握したものです。

「土砂災害危険箇所」同様に法的な規制はありません。

(参考)

「土砂災害危険箇所」は、「土石流危険渓流」、「急傾斜地崩壊危険箇所」、「地

すべり危険箇所」のいずれかに位置づけられております。

【土石流危険渓流】

土石流により土砂災害の危害をもたらされると予想される土地及び土石流の

発生のおそれのある渓流であり、地形図で谷型の地形をしているところです。

谷地形の判定は「谷幅<谷奥行き」の地形。また「谷幅>谷奥行き」でも土

石流の履歴がある場合や地形地質上、土石流発生のおそれがあると予想される

渓流です。

【急傾斜地崩壊危険箇所】

傾斜度が30°以上で高さが5m以上の土地が対象です。

【地すべり危険箇所】

地すべりしている区域又は地すべりするおそれのある区域として、地すべり

地形を呈している箇所、または、地すべりの徴候(亀裂、陥没、隆起等)が見

られる箇所です。

(「土砂災害防止法県版 Q アンド A」より)

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15 山地災害

山地災害はどんなとき起きるのですか。

どんな準備をしておく必要がありますか。

1.山地災害が起こる場合、山の斜面や川の流れをよく観察してみると、多く

の場合、以下のような危険信号と思われる変化が現れます。

・今までかれたことのない湧き水がとまった。

・わき水の量が急に増えた。

・山の木が傾いたり斜面に亀裂が走った。

・川がにごり、流木が混ざりはじめた。

・山の斜面から石が転がり落ちてきた。

・普段澄んでいる沢や井戸の水がにごってきた。

・雨が降り続いているのに川の水位が下がった。

・地鳴りの音が聞こえてきた。

2.危険信号をキャッチしたら。

山くずれのおそれがある地区では、テレビなどの気象情報に注意しましょう。

・危険を感じたら早めに指定された場所へ避難しましょう。

・災害が起こったら、すぐ110番か119番に通報しましょう。

・災害の危険がある場所には近づかないようにしましょう。

3.普段から災害に備えて準備をしましょう。

(1)まさかの時にすばやく避難できるよう、非常持出品の準備をしておき

ましょう。

・携帯ラジオ、懐中電灯、下着などの衣類、応急医療品、非常食

(2)万一の災害に備え、避難場所や避難経路の確認をしておきましょう。

・災害時には各市町の避難勧告、避難指示等に従いましょう。

・危険を感じた際は、早めに自主避難を行うことも大切です。

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16 山地災害

治山工事が完了すれば安全ですか。

危険地区からはずれるのですか。

治山事業は、森林の維持造成を通じて国土保全を図る事業です。

みなさまの生命、財産を守るため、治山事業により整備を進めておりますが、

近年は大型台風や集中豪雨により、想定以上の災害が発生することもあります。

また、森林は一度整備をしてもほったらかしにしておいたりすると、太陽光

が地表に届かなくなり下草がなくなり崩壊の危険が高くなります。

このため、危険だと感じたら安全な場所に避難するよう心がけてください。

山地災害危険地区は、地形、地質等により区域を決めておりますので、地形

などが変わらない限り、危険地区からはずすことはありません。

※保全対象がなくなれば危険地区からはずす場合はあります。

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17 山地災害

今まで災害がなかったが、本当に危険なのか。

自然災害は、過去に災害が発生していなくても将来的に発生しないとはいい

きれません。

近年は、局地的集中豪雨が頻発する傾向が強まっており、山地災害のおそれ

がある箇所では、いつ山地災害が発生しても不思議ではない状況にあります。

静岡県では、皆様の身近な場所に山地災害のおそれがある地区がどこにある

か知っていただくことで災害の未然防止に努めていきたいと考えております。

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18 保安林

保安林制度について教えてほしい。

保安林制度とは、水を育んだり、土砂崩れなどの災害を防止したり、美しい

景観や保健休養などの場を提供したりする特に重要な森林を「保安林」に指定

し、こうした機能が失われないように、伐採や土地の形質の変更などをできる

だけ制限し、期待される森林の働き(公益的機能)を維持しようとするもので

す。

1. 保安林の指定・解除は、表のように保安林の種類、流域及び所有者の別

によって農林水産大臣または都道府県知事が行います。

保安林の区分 指定・解除の権限

民有林

水源かん養保安林

土砂流出防備保安林

土砂崩壊防備保安林

重要流域の保安

農林水産大臣

重要流域以外の

保安林

都道府県知事

その他の保安林 都道府県知事

国有林 農林水産大臣

2.助成措置等と行為制限について

保安林制度では次のような助成措置等と行為制限を設けています。

(1)助成措置等

・ 固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税は課税されません。また、相続

税、贈与税は伐採制限の内容に応じて相続税等の評価の際に3~8割が控除

されます。

・ 一定の条件を満たしている場合には、長期で低利の資金を(株)日本政策金

融公庫から借りることができます。

・ 禁伐など立木の伐採について厳しい制限が課せられている保安林について

は、立木資産の凍結について損失の補償が受けられる場合があります。

(2)行為制限

・ 保安林で立木を伐採しようとする場合には、あらかじめ都道府県知事又は政

令市長の許可を受けなければなりません。

・ 保安林内で家畜の放牧や土石・樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更

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する行為などを行おうとする場合には、あらかじめ都道府県知事又は政令市

長の許可を受けなければなりません。

・ 立木を伐採したあと、木を植えなければもとの森林状態に回復しない場合に

は、伐採した跡地への植栽が義務付けられています。