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1 別紙様式1-1 鹿児島県立錦江湾高等学校 指定第1期目 29~33 ➊平成29年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告書(要約) 研究開発課題 生徒主体の深い学びと広い学びを目指す錦江湾SSH探究プロジェクト 研究開発の概要 生徒一人一人が主体的に活動し自らの将来を論理的・科学的にデザインできるグローバルかつ探 究的な人材育成を目指し、以下の研究課題を設定し研究開発を実施した。 学校設定教科・科目として理数科に「アクティブサイエンス」、普通科に「ロジックプログ ラム」を設定し、理数科のみ実施していた課題研究を普通科も含めた全校規模で実施した。 1年次を基礎訓練期、2年次を探究展開期、3年次を普及発展期と位置づけ、年ごとに深化 拡充する探究モデルを展開する。 課題研究の充実の拠点として「SSH図書コーナー」を設置する。 大学や企業等連携の多様化を図り、高度な課題研究とともに社会貢献も推進し、キャリアデ ザイン力を育成する。 国際性の向上・普及のため、海外科学交流等を推進する。 プログラムの評価の観点・基準・方法を開発し年次更新を推進する。 SSH卒業生等ロールモデルとなる人材ネットワークを構築する。 校内に授業改善委員会を組織し、職員全体でアクティブラーニングによる授業改善・評価・ カリキュラムの研究を推進する。学校設定科目も研究・開発する。 平成29年度実施規模 1年生 普通科160名 理数科76名 ※2・3年生 理数科138名については、経過措置期間で実施計画した「錦江湾スーパー サイエンスプラン」をもとに実施した。 研究開発内容 研究計画 第1年次(平成29年度)-基礎訓練期まで- (1) 校内指導と外部連携 (2) SSH図書コーナーの設置と活用 (3) 理数科アクティブサイエンス「ベーシックサイエンス」(BS) (4) 普通科ロジックプログラム 「ロジックプログラムⅠ」(LP) (5) SSH特別事業 (6) サイエンス部の活性化 (7) 地域・社会への成果普及と貢献 (8) 研究成果の公表・普及 第2年次(平成30年度) -探究展開期まで- (1) アクティブサイエンス,ロジックプログラムの適切な実施と評価(探究発展期まで) ・1年生は前年度の評価により修正されたブログラムの実施 ・理数科2年生「サイエンスリサーチ」 ・普通科2年生「ロジックプログラムⅡ」 ※ 3年生(理数科)については経過措置期間で実施計画した「錦江湾スーパーサイエンスプ ラン」を大学や小中学校との連携を進めながら実施していく。 (2) 理数科海外サイエンス班、普通科の代表者による海外サイエンス研修の実施 2年国内研修旅行はSSHのプレゼン交流等を含む計画を予定。

指定第1期目 29~33 ① · 2020. 8. 11. · 生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・ 科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

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別紙様式1-1

鹿児島県立錦江湾高等学校 指定第1期目 29~33

➊平成29年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告書(要約)

① 研究開発課題

生徒主体の深い学びと広い学びを目指す錦江湾SSH探究プロジェクト

② 研究開発の概要

生徒一人一人が主体的に活動し自らの将来を論理的・科学的にデザインできるグローバルかつ探

究的な人材育成を目指し、以下の研究課題を設定し研究開発を実施した。

① 学校設定教科・科目として理数科に「アクティブサイエンス」、普通科に「ロジックプログ

ラム」を設定し、理数科のみ実施していた課題研究を普通科も含めた全校規模で実施した。

② 1年次を基礎訓練期、2年次を探究展開期、3年次を普及発展期と位置づけ、年ごとに深化

拡充する探究モデルを展開する。

③ 課題研究の充実の拠点として「SSH図書コーナー」を設置する。

④ 大学や企業等連携の多様化を図り、高度な課題研究とともに社会貢献も推進し、キャリアデ

ザイン力を育成する。

⑤ 国際性の向上・普及のため、海外科学交流等を推進する。

⑥ プログラムの評価の観点・基準・方法を開発し年次更新を推進する。

⑦ SSH卒業生等ロールモデルとなる人材ネットワークを構築する。

⑧ 校内に授業改善委員会を組織し、職員全体でアクティブラーニングによる授業改善・評価・

カリキュラムの研究を推進する。学校設定科目も研究・開発する。

③ 平成29年度実施規模

1年生 普通科160名 理数科76名

※2・3年生 理数科138名については、経過措置期間で実施計画した「錦江湾スーパー

サイエンスプラン」をもとに実施した。

④ 研究開発内容

研究計画

第1年次(平成29年度)-基礎訓練期まで-

(1) 校内指導と外部連携 (2) SSH図書コーナーの設置と活用

(3) 理数科アクティブサイエンス「ベーシックサイエンス」(BS)

(4) 普通科ロジックプログラム 「ロジックプログラムⅠ」(LP)

(5) SSH特別事業 (6) サイエンス部の活性化

(7) 地域・社会への成果普及と貢献 (8) 研究成果の公表・普及

第2年次(平成30年度) -探究展開期まで-

(1) アクティブサイエンス,ロジックプログラムの適切な実施と評価(探究発展期まで)

・1年生は前年度の評価により修正されたブログラムの実施

・理数科2年生「サイエンスリサーチ」 ・普通科2年生「ロジックプログラムⅡ」

※ 3年生(理数科)については経過措置期間で実施計画した「錦江湾スーパーサイエンスプ

ラン」を大学や小中学校との連携を進めながら実施していく。

(2) 理数科海外サイエンス班、普通科の代表者による海外サイエンス研修の実施

2年国内研修旅行はSSHのプレゼン交流等を含む計画を予定。

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(3) アクティブラーニングによる指導改善と3年次の新たな学校設定教科・科目の研究開発

第3年次(平成31年度) -普及発展期までの完成年度-

(1) アクティブサイエンス,ロジックプログラムの適切な実施と評価(普及発展期まで)

・1・2生年は前年度の評価により修正されたプログラムの実施

・理数科3年生「サイエンスキャリア」 ・普通科3年生「ロジックプログラムⅢ」

(2) 理数科2年生全生徒による海外サイエンス研修の実施

普通科2年全生徒による国内研修にSSHプレゼン交流を導入する予定

(3) 次年度の高大接続改革に対する取組も踏まえた中間評価への対応

(4) 4年目・5年目に向けて3年間のプログラムの評価による見直し

第4年次(平成32年度) -成熟期-

(1) 新たなプログラムの推進と最終年度に向けた検討

(2) 学校設定教科・科目についての改善

第5年次(平成33年度) -最終評価期-

(1) 次年度の構想を踏まえて最終年度のプログラムの実施

(2) 5年間の探究活動と普及活動,諸実績の総括的評価と次年度への対応

(3) 第Ⅳ期計画への総合的対応策の準備

教育課程上の特例等特記すべき事項

教育課程の特例として以下のように学校設定教科・科目を設定

(1)理数科アクティブサイエンス

「ベーシックサイエンス」 理数科1年で3単位

「サイエンスリサーチ」 理数科2年で2単位

「サイエンスキャリア」 理数科3年で1単位

「サイエンスリサーチ」と「サイエンスキャリア」は2期移行措置プロブラムを継続実施

(2)普通科ロジックプログラム

「ロジックプログラムⅠ」 普通科1年で3単位

平成29年度の教育課程の内容

「ベーシックサイエンス」

教科「情報」科目「社会と情報」2単位と総合的な学習の時間1単位に替えて3単位で実施。

理科については、基礎事項習得→実験→考察の探究サイクルで実施することで基礎事項を活用し

た探究技術と科学的・論理的思考力を育成。情報は、情報モラルとプレゼンテーション能力を習

得し、2年次の課題研究の基礎を築く。

「ロジックプログラムⅠ」

教科「情報」科目「社会と情報」2単位と総合的な学習の時間1単位に替えて3単位で実施。

課題解決型のテーマ学習を実施し、幅広い分野の講座を設置することで、幅広い科学的・社会的

素養と科学的・論理的思考力を育成し、2年次の課題研究の基礎を築く。

「サイエンスリサーチ」

担当教諭の下、グループ研究を推進し、県内外の大学等の研究施設とも連携し課題研究を行う。

「サイエンスキャリア」

校外研究発表会等でプレゼンテーション。研究成果の論文化、課題の深化・拡充。

具体的な研究事項・活動内容

(1) 校内指導と外部連携の関連

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校内の担当教諭による指導が主導し、校外でしかできない活動を外部連携とした。

(2)SSH図書コーナーの設置と活用

生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・

科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

(3)理数科アクティブサイエンス

① 1年生 ベーシックサイエンス(BS) 基礎訓練期

探究基礎訓練・科学リテラシー講座・アカデミックイベント・課題研究導入から構成される

プログラムにより、生徒の論理的・科学的思考力を育成する。その結果、活動展開期(2年)

で実施する課題研究が生徒主体で充実したものにする。

(以下は経過措置プログラムで実施)

②2年生サイエンスリサーチ(SR) ③3年生サイエンスキャリア(SC)

(4)普通科ロジックプログラム

① 1年生 ロジックプログラムⅠ

新聞ポスターの作成・科学リテラシー講座・課題研究導入から構成されるプログラムにより

論理的・科学的思考力を育成する。活動展開期(2年)での生徒主体化、充実化を図る。

(5)SSH特別事業

① SSHフィールドワーク

錦江湾洋上研修 アカデミックイベント 出水野外実習 リアルしごとびと

② 講義・講演

課題研究の進め方 SSH卒業生アドバイス講座 等

(6)サイエンス部の活性化

SSH生徒理科研究発表大会 鹿児島県生徒理科研究発表大会 鹿児島県発明くふう展

日本学生科学賞鹿児島大会 九州高等学校理科研究発表大会 生物オリンピック

(7)地域・社会へ成果普及と貢献

小学校出前授業 中学校出前授業 大型商業施設での実験教室

県立博物館ボランティア(博物館まつり・科学の祭典・定例会)

(8)研究成果の公表・普及

サイエンスインターハイ@sojo 中国・四国・九州地区高等学校課題研究発表大会

SSH生徒研究発表会 日本動物学会 junior日本農芸化学学会

(9)運営指導委員会の開催

⑤ 研究開発の成果と課題

実施による成果とその評価

(1)校内指導と外部連携

課題研究の充実のため、校内指導の徹底と外部連携の拡充を図った。

・国内3大学11学科 海外2大学

・16団体・民間企業 等 と課題研究、各種講座での連携を図った。

・OB・OGの人材リストの作成と「SSH卒業生からのアドバイス講座」を実施した。

(2)SSH図書コーナーの設置と活用

課題研究のテーマ設定の主体化のため新規蔵書・設備の導入と活用講座を設定した。

・新規図書484冊 PCと新聞検索ソフト A3コピー機 を導入した。

・講座 「書誌学」と「図書の検索方法」により利用の活性化が図れた。

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(3)理数科アクティブサイエンス

基礎訓練期(2年生で実施する課題研究にむけて理科基礎力の定着とテーマの設定)

・「基礎研究」 基礎知識→実験→考察の探究サイクルの確立により、基礎知識と実験技術

を活用した探究記述を獲得し、科学的・論理的思考力を育成できた。

・「アカデミックイベント」鹿児島大学と連携し、4コースに分かれて本格的な科学機器を

用いた実験講座により、早期に理数への興味・関心を高めることができた。

・「リテラシー講座」 幅広い分野の基礎知識を習得し科学的思考力が向上した。

・「テーマ設定」1生年3学期の設定で、目的意識の深化や探究時間の確保を可能とした。

(4)普通科ロジックプログラム

・「新聞ポスター作り」 新聞に触れる機会の少ない生徒達にとって今回の活動は多くの収

穫があった。「情報収集力」や「調べた内容をまとめる力」がついたと実感

している生徒が多い。

・「リテラシー講座」 校内外の先生方に日頃の授業では学ぶことの出来ない内容で、これ

から取り組む課題研究に様々なヒントを得ることが出来た。

・「プレ課題研究」 クラスを解体し、分野別にグループ編成をすることで、生徒は自分の

希望する分野の研究ができる。また、担当教員も自身の専門に近いグループ

の担当をすることで、より的確な指導を行うことができる。この活動を通し

て対話的・協同的取り組みが期待でき、発表の機会を設けることで、表現力

の向上が期待できる。

(5) SSH特別事業

1年早期に専門の講師による「錦江湾洋上研修」、「フィールドワーク」を実施し、生徒の

科学への興味・関心を高め、SSHへの主体的な意識を持たせることができた。

(6) サイエンス部の活性化

新入生への教育システムが完成し、研究と実験教室の2本柱からなる部の活動を自主的に運

営できるようになった。大会にも積極的に参加し多くの賞を受賞できた。

(7) 地域社会への成果普及と貢献

小学校・中学校・大型商業施設での3回の出前授業について、生徒が主体となり企画・運営

することが出来た。今年度で1000人以上の子供に理科の楽しさを伝えることができた。博

物館ボランティアでも総計183名の参加で、企画の中心として活動することができた。

(8) 研究結果の公表・普及

5つの大会に参加し、県知事賞をはじめ多くの賞をとることができた。

実施上の課題と今後の取組

○海外サイエンス研修について、今年度は大学研究室と高校の連携先の下見を実施することが

できた。来年度からの実施に向けて、以下の項目について準備を進める予定である。

・英語によるプレゼンテーション力の強化

・英語力向上のためのグローバルコミュニケーションスキル(GCS)講座の講師選定

・31年度の2年理数科全員参加の海外サイエンス研修に向けての諸準備

○Ⅲ期SSH計画2年目(探究展開期)に向け、以下項目につき準備を進めることとしている。

・今年度から始まったロジックプログラムの評価と来年度計画の修正

・先進校の視察等による課題研究の内容の改善

・事業の推進のための新たな人材の確保

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別紙様式2-1

鹿児島県立錦江湾高等学校 指定第1期目 29~33

➋平成29年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題

① 研究開発の成果

(1)校内指導と外部連携

課題研究について、生徒が主体的にテーマを設定し研究がより充実するよう、外部連携の拡大

を図った。大学については国内3大学11学科、海外2大学、民間企業等と連携できた。連携先

が拡大できたことにより、専門的な指導が受けられることに加え、高度な実験機器を用いてデー

タを出せるため、探究の内容や精度が向上した。その結果、多くの研究大会で受賞することがで

き、生徒の探究に対する自信の育成に繋がった。

科学に対する興味・関心を高め、幅広い視野で探究に必要な基礎知識とその活用方法を習得す

るために一連の「リテラシー講座」を実施した。校内指導者に加えて外部指導者を採用すること

で、多種多様な講座を設定し、生徒は興味・関心に応じて講座を選択できる形態とした。

OB・OGの人材活用を図るため、SSHⅠ期生とⅡ期生、特にサイエンス部で活動した生徒を

中心に聞き取り調査を行い、協力可能な人材リストを作成した。今年度はその中から2名、「先輩

からのアドバイス講座」の講師として、社会人の立場と研究者の立場から講演とサイエンス部の生

徒への研究アドバイスを依頼した。講師の2人は高校時代、国際大会で発表したトップレベルの研

究を行い、現在それぞれの分野で活躍しており、生徒たちにロールモデルを示すことができた。

また「リアルしごとびと」では、多様な職種の一線で活躍する社会人と対話させるため、民間

から16名の講師を招いた。双方向的な対話があり、進路に対する視野を広げることができた。

(2)SSH図書コーナーの設置と活用

課題研究は理数科のみで実施していたが、今年度から普通科も含めた全校体制での実施になる

ため、情報の収集センターとしてSSH図書コーナーを設置した。新規に484冊の図書を導入

し、新聞検索ソフトも購入した。また、生徒の情報収集がスムーズに進むよう新たに検索用PC

を2台導入し、専用のA3プリンターも併置した。

生徒がSSH図書館を有効に使えるよう、夏季休暇の早い時期に、図書の検索方法を学ぶため

の講座を1年全生徒に実施した。図書の貸し出し数、検索用PCの活用度は、課題研究のテーマ

を設定する時期に特に高かった。SSH図書コーナーを課題研究の拠点とするグループは多く、

課題研究の実施に大きな力となった。

(3)理数科アクティブサイエンス

2年で実施する課題研究において、生徒主体のテーマ設定を推進し、探究活動を主体的に展開

できるよう以下の取組を行った。

「探究基礎」においては、土台となる基礎的内容から課題を見つけ、仮説を立て、検証する過

程を習得することを目標に探究活動を展開した。基礎的知識の習得→実験→考察のサイクルで授

業をすすめる時間を確保するため、扱う範囲を絞って実施した。例えば、生物では、遺伝子につ

いての基礎的な内容を学習した後に行った「遺伝子の組み換え」実験では、実験の背景、実験方

法の論理的な組立や同じ技術がどのような形で応用できるかを考えさせることで、科学的な探究

過程への理解力と論理的思考力を育成することを目指した。教員一人あたり生徒20人以下の少

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人数制で実施することで、一人一人の進捗状況に応じた指導ができた。生徒へのアンケートから

も、78%の生徒が「非常に興味がある」・「興味がある」と答えている。このことからもこの

サイクルが有効であったことがうかがえる。

また、幅広いリテラシー能力と論理的・科学的思考力を育成するために「リテラシー講座」を

設定した。夏季休業期間を中心に8講座を実施した。情報検索の仕方から生命科学倫理まで、幅

広い分野を扱い、論理的・科学的思考力の育成とともにプレゼンテーション能力・論文作成能力

の基礎を育成した。

夏季休業期間に実施した「アカデミックイベント」は科学への興味・関心を喚起し、理数科で

の科学への学習意欲を高めるため、高校入学後、早期実施を試みた。生徒の興味に応じた内容に

なるよう物理・化学・生物・地学のコースを設定し、どれも大学の施設での高度な実験を取り入

れた。生徒へのアンケート調査では、91%の生徒が「非常に興味がある」・「興味がある」を

選択し、92%の生徒が実験に対する興味が「非常に高まった」・「高まった」を選択している

ことは特筆に値する。

これまで課題研究のテーマは2学年の初めに設定していたが、今期からは1学年の3学期に設

定することにした。SSH図書コーナーでは、生徒が冬季休業中にテーマを考え、1月から担当

者とテーマについて検討を重ねることで、生徒が主体となってテーマの設定から研究の目的、方

法までを計画することができた。年度末に実施した発表大会でプレゼンテーションを行い、大学

等の指導者から有効なアドバイスを得る機会があり、課題研究の質と研究意欲が向上した。

(4)普通科ロジックプログラム

【新聞ポスター作り】

新聞に触れる機会の少ない生徒達にとって今回の活動は多くの収穫があったと考える。新聞を

通して様々な社会問題を考えるきっかけになっただけでなく、「情報収集力」や「調べた内容を

まとめる力」がついたと実感している生徒が多い。

【リテラシー講座】

3学期から始動する課題研究に向けて、校内の先生方には共通のテーマで全クラスに、大学の

講義は文系・理系を意識して希望をとった上で受講させた。どの講座も日頃の授業では学ぶこと

の出来ない内容で、これから取り組む課題研究に様々なヒントを得ることが出来た。

【プレ課題研究】

クラス単位でなく、グループ編成をすることで、生徒は自分の希望する分野の研究が出来た。

また、担当教員も自身の専門に近いグループの担当をすることで、より的確な指導を行うことが

出来た。2月に予定するSSH研究発表会に向け班ごとに取り組むことで対話的・協同的取り組みが

期待でき、発表の機会を設けることで、表現力の向上を図ることが出来た。

(5)SSH特別事業

入学後すぐに実施した「錦江湾洋上研修」は、地元鹿児島の桜島と錦江湾を題材に、鹿児島の

自然について科学的視点から興味関心を高めることが出来た。錦江湾と桜島の形成と特徴、さらに

は鹿児島の地質についての講義を聴きながら湾内を1周した。大学講師による専門的説明により、

これまでの学習とは違う本格的な科学に初めて触れさせることが出来た。

「講座・講演」では、本校SSHのOB・OGの人材リストを作成したことで、SSH第2期

生による講演とサイエンス部への実験指導を実施することが出来た。大学院博士課程の学生と社

会人の2名を講師とした。高校時代のSSH研究での学びや、その学びの大学や大学院での深化

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拡充の過程、また企業に就職して高校時代に学んだSSHがどのように生きるかなどを聴き、生

徒にとって大変有意義な講演となった。国際大会で発表したテーマを現在も継続研究している姿

や、実社会で活躍している姿は、生徒に対して一つの未来像「ロールモデル」を示すことが出来

た。

(6)サイエンス部の活性化

研究と実験教室の2本を柱とした、生徒が主体となった活動ができるよう、新入生の教育プログ

ラムを作成した。夏季休業までは顧問と2年生の指導により研究の基礎を学ばせ、その後、各自が

研究活動を始めることで、新入生の基礎能力と部の活動への参加意欲を高めることが出来た。

化学部と生物部では新たなテーマで研究活動に取り組んだ。週に1度、報告会を設定し研究の進

捗状況を説明し、部員間で研究結果を討議することで研究の質が向上した。これらの活動により、

生徒のデータを分析する力、考察力、プレゼンテーション能力を伸ばす体制ができた。全国規模の

大会にも積極的に参加し、各種の大会で入賞も多く、着実に結果を残している。

実験教室についても、プレゼンテーション能力の向上と地域への理科教育の普及を目的とした、

サイエンス部独自の実験教室を実施できた。1学年を中心に夏季休業から、生徒が主体となって企

画・運営を行い、高い評価を得ることが出来た。

(7)地域社会への成果普及と貢献

理数科1年生とサイエンス部により、小学校・中学校・大規模商業施設において合計3回の出

前授業を実施した。対象となる学年に応じた実験内容になるよう配慮し、実験の楽しさを伝える

とともに、実験の意味・理論を説明し、子供たちの理科の能力が上がるように心がけた。小中学

校は約10校に分かれて、実験教室を展開した。また、大型商業施設での出前授業は、今年で4

回目となり、実験の参加者の数は約800人で、メディアでも大きく取り上げられ夏季休業の恒

例行事となっている。どの出前授業もサイエンス部が中心となって企画から実施まで全てを生徒

が主体となって実施できた。地域の子供へのSSH活動の広報や理科教育の浸透と同時に、実施

した高校生にとっても企画・運営能力や説明能力の向上など得るところが多い事業であった。

地域へのボランティア活動でも大きな成果を収めることが出来た。連携している鹿児島県立博

物館のボランティア参加数は、博物館まつり・科学の祭典・定例会を合わせて、2年生を中心に

総計183名で、各イベントとも県内中高生ボランティアの中心として活躍した。

(8)研究結果の公表・普及

以下の校外での発表会に参加し受賞した。

サイエンスインターハイ@sojo

応用生命科学科賞 コンペティション部門入賞 2班

平成29年度SSH生徒理科研究発表大会

ポスター発表賞

第19回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会

日本動物学会

日本農芸化学会2019年度大会(ジュニア農芸化学会)

生物オリンピック

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② 研究開発の課題

(1) 校内指導と外部連携

次年度の課題研究では、生徒が主体的に設定したテーマに応じて「海外サイエンス班」・「外

部連携班(県外・県内)」・「校内研究班」にわかれて探究活動を展開する予定である。これま

で、県内の大学を中心に連携を行ってきたが、生徒のテーマに応じて、県外の大学や企業、海外

の大学にも連携先を求め、より深い学びとなる課題研究を構築していくことが課題である。

(2) SSH図書コーナーの設置と活用

今年度、新規購入の図書や検索ソフト、コピー機の導入など、設備面では当初計画を達成でき

た。来年度は早い段階から有効活用が図れるよう、オリエンテーション段階で活用のための講座

を設定したい。その際、生徒たちに必要な基礎文献を読ませていくために、文献の選定と調べ読

みの方法を教えていくことが課題である。

(3) 理数科アクティブサイエンス

1年次の基礎訓練期ではテーマを設定したが、2年次の具体的探究活動の展開に向けて、以下

の実施環境を整えなければならない。

・そのテーマや課題が探究過程によって、結論を導けるのかの見通しを再度持たせる。

・テーマに応じて、県外の大学・企業への連携先を拡大し、より深い学びを実現する。

・海外大学連携の推進と英語によるプレゼンテーション力の強化を推進する。

・生徒の英語力の向上のためのグローバルコミュニケーションスキル(GCS)講座の

カリキュラムの作成や講師の選定を推進する。

(4) 普通科ロジックプログラム

1年次の基礎訓練期では基礎能力を育成した後、プレ課題研究まで実施することが出来た。

2年次の具体的探究活動の展開に向けて、以下の実施環境を整えなければならない。

・課題研究のテーマの多様化に対応して、大学以外にも公立図書館・官公庁・企業等の連携先

を拡大する。

・指導者による差がないよう指導方法についての校内研究等を充実させる。

・指導者間の情報共有の場を新たに設定する。

(5) SSH特別事業

今年度実施した「錦江湾洋上研修」と「出水野外実習」に加えて、鹿児島県の自然条件を生かし

たフィールドワークをさらに設定することが課題である。

「リアルしごとびと」では、来年度は生徒の課題研究のテーマ、それに基づく進路希望に対応し

た講師選定を行うことが課題である。

(6) サイエンス部の強化

化学部を除いて、各部とも部員不足が問題となっている。来年度は部員の獲得から始め、研究

テーマもよりイノベーティブなものに広げていきたい。

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(7) 地域社会への成果普及と貢献

地域の小中学校と大型商業施設商業施設での出前授業では、連携先と内容がさらに充実するよ

う新しい実験の開発を含めて、生徒に対して提案能力の育成を図りたい。

(8) 研究成果の公表・普及

今年度はこれまでの大会に加えて新たに日本動物学会とジュニア農芸化学会に参加した。来年

度は、国内大会に加えて、国際大会への参加も検討していきたい。

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第1章 研究開発の課題

1 研究テーマ

生徒主体の深い学びと広い学びを目指す錦江湾SSH探究プロジェクト

~生き方を論理的・科学的にデザインできる、グローバルで探究的な人材育成を目指すプログラムの

開発と実践~

2 研究開発の目的・目標

(1) 目的

理数科のSSHの取組を全校に拡大して、全職員体制で生徒一人一人が主体的にテーマを設定し、

創造的に学習する過程をとおして、自らの将来を論理的・科学的にデザインできるグローバルかつ探

究的な人材育成を目指す。そのため、これからの時代に必要な国際性や協調的な視野も踏まえた、深

い学びと広い学びを軸として、普通科・理数科ともに取り組む教育プログラムを開発・実践する。

(2)目標

① 探究の深化を図るため、Ⅱ期プログラムを改善した理数科「アクティブサイエンス」を開発し、

学校全体で、テーマ設定の多様化と生徒個々の探究活動の活性化を図って、国際性を備えた科学系人

材の育成を目指す。普通科への拡大は、理数科の成果と手法を活用し、論理的思考力の育成を目指す

グループによる課題解決プログラム「ロジックプログラム」を開発し、生徒主体の探究活動を展開す

る。

② 探究の拡大を図るため,外部提携の視野を拡大し,地元大学のみならず,学術界、産業界、メデ

ィア、政策形成者、海外、そしてSSH卒業生等のロールモデル人材ネットワークを早期に構築し活

用を行い、生徒の意欲やロールモデルの育成を促す。国際的視野の拡がりを促すため、海外理数交流

を推進する。

③ 1年次を基礎訓練期、2年次を探究展開期、3年次を普及発展期と位置づけ、学年ごとに深化・

拡充する探究モデルを開発するとともに、適切な評価の観点や規準、方法を構築して、年次ごとの修

正・更新を可能とする。

なお,本プロジェクトの学びの拠点として「SSH図書室」を設置する。

④ 教職員体制の役割分担を明確化した組織体制を確立する。

⑤ AL・探究的授業を軸とした授業研究を推進し、授業法の改善・指導力向上を目指す。授業評価

や学校設定科目(「科学倫理」等)も研究・開発する。

3 研究開発の概要

生徒一人一人が主体的に活動し自らの将来を論理的・科学的にデザインできるグローバルかつ探究

的な人材育成を目指し、以下の研究課題を設定し研究開発を実施した。

① 理数科に「アクティブサイエンス」、普通科に「ロジックプログラム」を開発し、理数科のみ

実施していた課題研究を普通科にも広げた全校規模で実施する。

② 1年次を基礎訓練期、2年次を探究展開期、3年次を普及発展期と位置づけ、年ごとに深化・

拡充する探究モデルを展開する。

③ 課題研究の充実の拠点として「SSH図書コーナー」を設置する。

④ 産業界、学術界、政策形成者、マスコミ、海外等へと活用の多様化を図ることで、生徒の視

を拡大し、キャリアデザイン力を育成することが出来る。

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⑤ SSH事業を全職員で取り組む組織体制を改善し、各部・各学年・各教科の連携化を図り、

アクティブラーニングによる授業改善等も行う。

⑥ 国際化教育を推進し、海外大学・高校等での課題研究の発表などを行う。

生き方を科学的・論理的にデザインできる探究的人材

アクティブラーニング授業改善委員会【全校体制の授業改善】

校内SSH運営委員会(週1回)【共通認識形成】

県理数教育連絡協議会【他校との連携による厚み】

探究展開期 【テーマを深める】

(理)サイエンスリサーチ

(普)ロジックプログラムⅡ

協働的探究活動・検証高度化・まとめ

多様なグループ活動,フィールドワー

ク,外部連携,海外サイエンス研修

(理)サイエンスキャリア

(普)ロジックプログラム

成果の発表普及・全体評価・発展探究

課題研究成果発表会,学会等への参

加,小中学校実験教室等,総括評

価,

探究の基礎理解と習得・テーマ設定

科学知識・統計学・科学リテラー等の

講座,実験・情報探査,卒業生アドバイス

(理)ベーシックサイエンス

(普)ロジックプログラムⅠ

基礎訓練期 【テーマをつかむ】

普及発展期 【テーマを広げる】

(理)サイエンスキャリア

(普)ロジックプログラムⅢ

成果の発表普及・全体評価・発展探究

課題研究成果発表会,学会等への参加,

小中学校実験教室等

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第2章 研究開発の経緯

第2章 研究開発の経緯

校内指導と外部連携 SSH図書コーナー ベーシックサイエンス ロジックプログラム

4月 OB・OGへの聞き取り PC・コピー機の導入 「オリエンテーションⅠ」 「オリエンテーションⅠ」

リストの作成 新聞検索ソフト導入 「先輩からのアドバイス講座Ⅰ」「新聞記者による講演」課題研究 探究基礎 「先輩からのアドバイス講座Ⅰ」

大学 連携依頼 新聞ポスター作り(通年) (ステップ1)

5月 課題研究 新規図書の導入 探究基礎 新聞ポスター作り大学 連携先の決定 (ステップ2)

文化祭での発表

6月 探究基礎 新聞ポスター作り(ステップ3)

7月 講師依頼 探究基礎 新聞ポスター作りリテラシー講座 リテラシー講座 (ステップ3)リアルしごとびと 「ロジック国語」 新聞ポスターコンテスト

「科学倫理」 「情報探査」

8月 新規図書の導入 リテラシー講座 「書誌学」アカデミックタイム

9月 探究基礎 リテラシー講座 「科学倫理(AI) 「科学倫理(生命) 「科学倫理(環境)」

10月 講師依頼 探究基礎 リテラシー講座リテラシー講座  「書誌学」

 「情報探査」 「ロジック国語」

11月 講師依頼 新規図書の導入 探究基礎 リテラシー講座リテラシー講座  「科学英語」

 「低温の工学」 「芸術科学」 「医学・薬学」

12月 講師依頼 図書検索講座 探究基礎 リテラシー講座リテラシー講座 講座「課題研究の進め方」  「からだとこころ」リアルしごとびと  「数理パズル」先輩からの 講座「課題研究の進め方」アドバイス講座

1月 課題研究導入 プレ課題研究リテラシー講座「科学英語」

2月 課題研究導入 プレ課題研究リテラシー講座 プレ課題研究発表会「数学探究」

3月 大学 連携依頼 課題研究導入 課題研究準備企業 連携依頼 研究テーマプレゼンテーション

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SSH特別事業 サイエンス部の活性化 地域・社会への貢献 その他

4月 「洋上研修」 新入部員オリエンテーション

5月 博物館ボランティア博物館祭りボランティア

6月

7月 「アカデミックイベント」 生物オリンピック 小学校出前授業リアルしごとびと

サイエンスインターハイ @sojo

8月 アカデミックイベント SSH研究発表大会 博物館ボランティアサイエンスカフェ 中国・四国・九州地区 湾高わくわく実験教室

理数科課題研究発表大会

9月 日本動物学会 博物館ボランティア

10月 第1回運営指導委員会

11月 鹿児島県生徒理科 SSH視察受け入れ 研究発表大会日本学生化学賞 発表大会

12月 「SSH卒業生 博物館ボランティア SSH視察受け入れ  アドバイス講座」 中学校出前授業リアルしごとびと

1月 出水野外実習

2月 いきいき教育活動表彰 課題研究発表大会九州生徒理科研究発表大会 第2回運営指導委員会

先進校視察

海外サイエンス研修3月 ジュニア農芸化学会 博物館ボランティア

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第3章 研究開発の内容

校内指導と外部連携

1 目的・仮説

外部人材の有効活用を図ることで、課題研究に向けた基礎事項の習得とテーマへの深い理解や視野

を育成することが出来る。

2 内容

これまでのSSH事業で地元国立大学を中心に外部と連携した活動を行ってきた。これまでの繋が

りをもとに、次の点に焦点をあてた新たな人材ネットワークの構築を行った。

○テーマの多様化・高度化への対応

○国際化への取組

○民間企業との連携

○県内小中高大学連携による理数系教育の充実

計画の1年目は、2年生で実施する課題研究のテーマを生徒が主体的に設定できるようにするため

に、課題研究の基礎知識・技術を習得できるように外部連携の枠を広げる取組を行った。

(1) 連携大学と学部の拡大

来年度の課題研究は生徒が設定したテーマの内容に応じて、校内サイエンス班、外部連携班(県内・

県外)、海外サイエンス班に分かれて実施する。そのことを踏まえて、今年度は大学の連携先の拡大と

海外の大学・高校の連携先の拡大に努めた。

(2)OB・OGの人材活用

OB・OGの人材活用を図るため、SSHⅠ期生とⅡ期生、特にサイエンス部で活動した生徒を中

心に聞き取り調査を実施した。その中からSSH活動に協力してくれるOB・OGの人材リストを制

作した。今年度はその中から2名、「先輩からのアドバイス講座」の講師として、講演とサイエンス部

の生徒への研究アドバイスを依頼した。

(3) 民間企業との連携

今年度から始めた普通科のロジックプログラムの「リテラシー講座」や「リアルしごとびと」にお

いて、民間企業との有効な連携先を探した。普通科での課題研究の進め方や生徒が主体的にテーマを

設定出来るよう、民間の研究者と連携して計画を進めた。

連携先一覧表

【大学】

大学 学部・学科 指導者

課題研究 鹿児島大学

大学院理工学研究科 物理・宇宙専攻 泰 浩起 准教授

大学院理工学研究科 生命化学専攻 加藤 太一郎 助教

大学院理工学研究科 生命化学専攻 神長 暁子 助教

農学部食料生命科学科 加治屋 勝子 講師

大学院理工学研究科 生命化学専攻 塔筋 弘章 助教

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共同獣医学部 三浦 直樹 助教

大学院理工学研究科 海洋土木工学専攻 柿沼 太郎 准教授

アカデミック

イベント

鹿児島大学

大学院理工学研究科 物理・宇宙専攻 泰 浩起 准教授

農学部 尾上 昌平 技術員

大学院理工学研究科 生命化学専攻 岡村 浩昭 教授

大学院理工学研究科 生命化学専攻 塔筋 弘章 助教

水産学部水産学科 中村 啓彦 准教授

水産学部水産学科 仁科 文子 助教

リテラシー講座

鹿児島大学

大学院理工学研究科 物理・宇宙専攻 重田 出 助教

大学院理工学研究科 情報数理専攻 新森 修一 教授

医学部保健学科 井上 尚美 講師

鹿児島大学教育学部 坂本 育生 教授

鹿児島国際大学 国際文化学部 久保 禎 教授

志學館大学 人間関係学部 大島 英世 教授

海外研修 (候補大学) 成功大学 台湾

トレヌンガ大学 マレーシア

アドバイス講座 OB 筑波大学 大学院博士課程後期 藏滿 司夢

【教育関係・民間企業 等】

アドバイス講座 OB 鹿児島県信用保証協会 厚地 賢人

課題研究の進め方 教育コンサルタント 一般財団法人 Glocal Academy 岡本 尚也

薬剤師 鹿児島県薬剤師会薬局 亀之園 学

保育士 きずな保育園 濱田 愛

救急看護師認定看護師 今給黎病院 橋口 恒夫

中学教師 和田中学校 河野 康正

プロスポーツ選手 鹿児島 UFC 寺田 匡史

鹿児島市役所 鹿児島市役所 古殿 紀章

リアル 経営コンサルタント DDE 総合研究所 野添 勇作

しごとびと 航空管制官 鹿児島空港事務所 緒方 友翔

水族館学芸員 かごしま水族館 柏木 由香

歯科衛生士 鹿児島大学病院 秋山 陽平

製造販売業 株式会社マルトモ 丸本 信利

臨床心理士 前原 理恵

農業家 シーアグジャパン 肥後 玄十

臨床工学士 天陽会 中央病院 中原 三佐誉

社会福祉士 児玉 里美

新聞記者 南日本新聞 西山 智裕

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3 評価・検証

今年度から理数科のみ実施していた課題研究を、普通科文系生徒も含めた全生徒に対象を拡大した。

そのため、外部との連携先と連携数の拡大に努めた。

課題研究の連携先を拡大したことにより、適切な指導を受けられることに加えて高度な実験機器を

用いて実験データが出せるため実験の内容や精度が向上した。その結果、多くの研究発表大会で受賞

するなど、生徒は研究に対して自信を持つことが出来るようになった。

リテラシー講座については、講師の数を増やすことで生徒が聴きたい講座を選択できるようにした。

そのため、生徒の課題研究への取組が生き生きしてきた。特に文系生徒の課題研究の進め方について

得ることが多く、課題研究の計画が充実した。

講演と実験へのアドバイスを行った生徒は、本校で行った課題研究のテーマを大学院でも継続して

研究している。このことは生徒の自信につながり、ロールモデルを示すことが出来た。

来年度から始まる海外サイエンス研究については、大学と高校の連携先を見つけることから始めて、

2つの候補先に絞って幅広い角度から連携大学を検討した。今年度は連携大学と高校について下見ま

でを行う予定である。

SSH図書コーナーの設置と活用

1 目的・仮説

科学について幅広い多様な図書を充実させることで、課題研究を進めるに際して、テーマや仮説を

深化充実させることができる。

2 内容

本校のアクティブサイエンスやロジックプログラムは、科学的・論理的思考力の育成を図るため、

テーマや仮説の深化充実を重視する。情報探査は科学的発見や発明の根幹となることから、自然科学・

社会科学・人文科学等の幅広い多様な情報の入手が必要である。探究の拠点として、まほら館(図書

館)にSSH図書コーナーを設置し、必要な図書や電子データを配置した。また、生徒が使用しやす

いよう専用のコピー機も設置した。

情報の収集方法についても、1年生の『リテラシー講座』で図書の検索方法については「書誌学」、

インターネットによる検索方法については「情報探査」で実施し、生徒が課題検索等で図書コーナー

を有効に利用できるようにした。

・新規導入図書 484冊

・新聞検索プログラム 2本

・専用検索用PC 2台

・専用A3プリンター 1台

3 評価・検証

新規導入の図書は、課題研究に活用できる図書をとの観点から専門性を考慮し幅広い範囲から揃え

た。図書の貸し出し数も多く活用度は高かった。ロジックプログラムの1学期は新聞ポスターの作成

をテーマに実施したが、新聞検索プログラムを導入したことは非常に有効であった。また、プリンタ

ーを導入したことも好評で、SSH図書館を拠点とするグループは多く、課題研究のテーマ設定と内

容の検索に大きな力となった。

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理数科アクティブサイエンス

ベーシックサイエンス(BS)

1 目的・仮説

探究基礎・科学リテラシー講座・サイエンスイベント・課題研究導入の4つで構成されるベーシッ

クサイエンスを実施することで、活動展開期(2年)に実施する課題研究が生徒主体で充実したもの

になる。

2 実施内容・方法

(1)対象学年 1年理数科

(2)時 数 3単位

(3)内 容 理科と情報の融合科目で必履修科目

概要

学期 内 容

○サイエンスイベント

「オリエンテーションⅠ」、「先輩からのアドバイス講座Ⅰ」

○探究基礎

[理科分野]

運動の表し方・・・速度、加速度、落体の運動、自由落下運動

遺伝子の本体構造・・・DNAの構造、DNAの抽出、遺伝情報の複製と分配、細胞周期

[情報分野]

情報社会と情報モラル・・・情報社会の光と影、情報社会と情報モラル、情報社会における

個人の責任

夏季

休業

○リテラシー講座

「ロジック国語」「科学倫理(3講座)」「情報探査」「書誌学」

○サイエンスイベント

「アカデミックタイム」

○探究基礎

[理科分野]

仕事と力学的エネルギー・・・仕事、運動エネルギー、位置エネルギー

力学的エネルギーの保存

バイオテクノロジー・・・遺伝子を扱う技術、バイオテクノロジーの応用 、遺伝子組み換え

[情報分野]

インターネットを用いて情報収集する方法、科学情報の収集

○サイエンスイベント

「小中学校出前授業」、研究者講義「課題研究の進め方」

「先輩からのアドバイス講座Ⅱ」

○リテラシー講座

「科学英語」「数学探究」

○課題研究導入

テーマ設定、研究内容の検討、研究計画の作成、研究計画プレゼンテーション

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(1) 探究基礎

1 目的・仮説

基礎知識の習得→実験→考察のサイクルからなる授業により、課題研究を実施するための基礎的知識

と実験技術の習得と科学的・論理的思考力を育成出来る。

2 内容

1クラスを2班に分けて少人数で実施した。土台となる基礎的内容から課題を見つけ仮説を立て検証

する過程を習得できることを目標に展開した。基礎知識の習得→実験→考察のサイクルで授業を進め

た。時間を確保するために取り上げる範囲をこれまでの課題研究で基礎訓練の理解と実験技術の習得が

不十分なため研究がしづらいことが多かった生物と物理に範囲を絞り実施した。生物についてはDNA・

遺伝子に関する分野、物理については力学に関する分野で、発展的な実験も含めるようにした。範囲を

絞りこんだ分、基礎的内容から発展的な内容まで時間をかけて説明することが出来た。情報については

コンピューターの仕組みや情報モラルの学習などの基本事項の学習とともに、プレゼンテーション力の

育成につながるような内容も取り入れた。

○実施の効果とその評価

理科分野については、課題研究で取り上げられることが多い分野に範囲を絞って実施したが、基

礎的な部分からか応用的な部分までカバーすることができた。実験においても発展的内容の実験で

ある「遺伝子組み換え実験」では、実験の背景、実験方法の論理的な組み立てや同じ技術がどのよ

うな形で応用されているかなどを考えさせた。生徒の取組がよくレポートのできも良かった。少人

数で実施したので、生徒の理解度が把握しやすく、実験においても個別指導が十分に出来た。

生徒へのアンケート調査からも生徒が授業に興味深く取り組んでいることがわかる。能力分野別

にみても、全ての分野で半数以上の生徒が、能力が向上したと感じていることがわかる。特に、課

題発見力、情報収集力やまとめる力で生徒は能力が高まったと感じている。生徒の感想からはねら

い通りの組み立てが出来たと考えている。

0

10

20

30

40

50

60

70探究基礎訓練

大変興味深い

興味深い

あまり興味がない

まったく興味がない

大変興味深い 興味深い あまり興味がない まったく興味がない

14 % 64 % 19 % 4 %

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(2) リテラシー講座

1 目的・仮説

幅広い分野からなるリテラシー講座を設定することで、課題研究を実施するための基礎的知識の習

得と科学的・論理的思考力を育成出来る。

2 内容

通常の授業時間に加えて夏期休業中にもリテラシー講座を設定した。プレゼンテーション能力、論

文にする能力を高めるための講座も設定した。

講座名 担当者 内容

ロジック国語 紺屋 自分の考えを論理的に形成して表現する能力を育成する。

科学倫理

生命

環境

AI

玉利

前園

科学技術の進歩にともない急速に変化していく現代社会について3つの

テーマについて課題探究型で学習する。通常の授業を発展させて、科学

的思考力と論理的思考力を育むとともに科学に係わる倫理的要素の重要

性に気づかせる

0

10

20

30

40

50

60

70

課題を発見し,解決する力

情報を収集し,処理分析する力

調べたことをまとめる力

わかりやすく表現する力

他者と意見交換する力

大変高まった

高まった

変わらない

以前より低くなった

探究基礎(能力分野別)

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった

課題を発見し,解決する力 3 % 50 % 47 % 0 %

情報を収集し,処理分析する力 3 % 51 % 46 % 0 %

調べたことをまとめる力 9 % 61 % 30 % 0 %

わかりやすく表現する力 5 % 43 % 51 % 0 %

他者と意見交換する力 14 % 47 % 38 % 1 %

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情報探査

河野

現代社会の基盤を構成している情報に関わる知識や技術を科学的な見方

・考え方で理解し、習得させるとともに、情報機器を活用して情報に関

する科学的思考力・判断力等を養う。

書誌学 林 図書の分類方法の基礎を理解する。課題研究のテーマ設定、研究内容が

深化するよう図書の検索から新聞記事データベースの利用方法を学ぶ。

科学英語

福島

科学に関する英文の資料を題材に、英文を読む能力を養う。読み取った

内容について、英語で発表を行い、英語によるコミュニケーション能力

を養う。

数学探究

坂口

数学と人間の関わりや数学の社会的有用性についての知識を深めるとと

もに、事象を数学的に考察する能力を養い、数学を積極的に活用する態

度を育てる。

3 評価・検証

多くの講座は問題解決型の形式で行ったり、PCを用いた授業形式で行ったり、アクティブラー

ニングの手法を取り入れ、実施形式に工夫をこらして実施した。どの講座も生徒が生き生きと活動

し生徒の理解度も高かった。

(3)サイエンスイベント

大学等と連携して校内の授業では扱えない高度な科学についての講座・実験に参加することで、2年

時の課題研究で必要な情報収集や結果の分析、論文作成やプレゼンテーションの能力を向上させるこ

とを目指した。

講座

1 目的・仮説

入学直後の時期に「オリエンテーションⅠ」・「先輩によるアドバイス講座Ⅰ」を受けることで、

これからの3年間のSSHの概要を理解でき、これからの活動に対する意欲を高めることができる。

2 実施内容

「オリエンテーションⅠ」・「先輩によるアドバイス講座Ⅰ」

・対象学年 1年生普通科・理数科

・日 時 4月19日 5・6校時

・内容

普通科ロジックプログラムと理数科アクティブサイエンスにわけて2会場で実施した。「オリエン

テーションⅠ」では、3年間の学習過程の概要、評価規準や施設設備、SSH図書館などについて説明し

た。「先輩によるアドバイス講座」では、3年生が昨年行った課題研究をプレゼンテーションした。

テーマ設定の仕方や苦労したことを説明した後、質疑応答に応じた。

3 評価・検証

本校はSSHがあることを入学理由に挙げる生徒も多い。今年度から始まるⅢ期SSHの概要を

理解することが出来た。また、プレゼンテーションを行った上級生も発表の良い練習の場にするこ

とが出来た。

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アカデミックイベント

1 目的・仮説

1年時の夏季休業中に大学との連携により高度な科学機器を用いた科学の講義を受けることで、科

学に対する興味・関心を高め、さらに将来の進路の方向性を見つけることができる。実験結果をレポ

ートにまとめることで、報告書作りや2年次の発表大会に必要な表現力をまとめることが出来る。

2 実施内容

(1)対象学年 1年理数科

(2)日 時 8月1日(火)~2日(水)

(3)内 容

Aコース 物理(身近な放射線の科学と物理現象のシミュレーション)

内容

鹿児島大学自然科学教育研究支援センター アイソトープ実験施設や理学部物理学科との連携に

よる放射線や放射能・エネルギー問題を考える講義と実験

1日目 鹿児島大学での環境放射線測定や放射線実験

2日目 身近な物理現象のコンピュータシミュレーション

担当者 東 寛久、冨永 勝太、下大田 智子

講師 尾上 昌平(農,技術専門職)、秦 浩起(理 准教授)

場所 1日目 鹿児島大学自然科学教育研究支援センター アイソトープ実験施設

2日目 鹿児島大学理学部物理学科

対象 物理学・工学・医学・薬学・化学系志望者

Bコース 化学(植物の毒と薬・生理活性化合物の化学)

内容

薄層クロマトグラフィーを使った有機化合物の同定実験・茶葉からのカフェインの抽出・単

離や再結晶による精製などの化学実験及び鹿児島大学の見学・研究室訪問等

担当者 河野 裕一郎、木下 隆志、保島 美穂

講師 鹿児島大学 理学部生命化学科 教授 岡村 浩昭

場所 鹿児島大学理学部

対象 化学・工学(化学系)薬学・農学(農芸化学)・栄養学・水産学志望者

Cコース 生物(ウニの受精と発生)

内容

ウニを使った受精のしくみや初期発生過程の顕微鏡観察及び写真撮影やスケッチ、鹿児島大学

の見学・研究室訪問等

担当者 白須 明、薗田 いづみ

講師 鹿児島大学理学部 (塔筋弘章 准教授)

場所 鹿児島大学理学部

対象 生物学・医学・薬学・農学(獣医・畜産)・水産学志望者

Dコース 地学(気象観測と海洋の科学)

内容

気象観測と気象と海洋の関係性の学習及び温度・湿度・風向風速などの気象観測等

担当者 久保 重人

講師 鹿児島大学水産学部水産学科 准教授 中村 啓彦,助教 仁科 文子

場所 鹿児島大学水産学部

対象 地学・地理学・宇宙・土木・農学・水産学・公務員(防災)志望者

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3 評価・検証

鹿児島大学理学部との連携により物理・化学・生物・地学の4コース設定し、生徒は希望するコー

スに参加できるようにした。各コースともに高等学校での学習内容と関連をもつ内容とし、先端機器

も用いた2日間の実験実習とした。生徒は初めての大学での本格的な科学の実験に参加し、研究者の

話を直に聞き、先端機器に触れることで自然科学に対するモチベーションが高まった。

受講後の生徒のアンケートにおいても、ほとんどの生徒がアカデミックイベントを興味深く取り組

んでいたことがわかる。また、科学に対する興味及び実験に対する興味はほとんどの生徒が大変高ま

ったあるいは高まった答えている。1年次の早い段階に科学に対する興味を喚起するという目的に対

して非常に有効なイベントであることがわかった。

大変興味深い 興味深い あまり興味がない まったく興味がない

37% 54% 8% 0%

0

10

20

30

40

50

60

アカデミックイベントの感想

大変興味深い

興味深い

あまり興味がない

まったく興味がない

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大変高まった 高まった 変わらない 以前より低く

なった

科学に対する興味 35% 53% 12% 0%

実験に対する興味 40% 52% 8% 0%

分からないことや興味のある

ことを調べようとする気持ち

13% 63% 23% 0%

論理的に考える力 8% 68% 23% 0%

(4)課題研究導入

1 目的・仮説

生徒が主体となって次年度実施する課題研究のテーマ及び研究の目的、方法を設定し発表する。1

年次の3学期に実施することで、次年度の課題研究を計画的に進めることが出来、内容が充実する。

2 実施内容

生徒が自らテーマを設定するために、生徒自身が行ってみたい課題研究テーマとその理由を考え、実

施可能かどうかをグループで話し合い、各グループでのテーマ決定を行った。次に、SSH 図書・インタ

ーネットでの文献検索サイト(CiNii)を利用し、先行文献について調査を行った。しかし、文献調査

を行うことにより、自分たちが設置したテーマが先行文献として存在する事などにより、テーマ変更

が行われたグループが存在した。課題研究の計画については、2月20日に行われた SSH 研究発表会

で発表を行い、運営指導委員からの助言・指導をいただいた。

3 評価・検証

自ら進んでテーマを設定することの難しさを生徒自身で体験できた。生徒が先行論文を調査するこ

とにより、テーマ設定に必要な知識不足が理解でき、自ら進んで SSH 図書や先行文献を読む姿勢が生

まれ、生徒主体の深い学びと広い学びができつつあると考えている。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

科学に対する興味

実験に対する興味

調べようとする気持ち

論理的に考える力

アカデミックイベント(能力分野別)

大変高まった

高まった

変わらない

以前より低くなった

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ロジックプログラム(LP)

1 目的・仮説

基礎訓練期・探究展開期・普及発展期としたカリキュラムを推進することで、学びを深化充実させ

ながら、論理的・科学的思考力を育成できる。

2 実施内容・方法

(1)対象学年 普通科

(2)日 時 LPの時間 1年次3時間 2年次1時間 3年次1時間

(3)内容

情報との融合科目で必履修科目

概要

学期 内 容

○サイエンスイベント

「オリエンテーションⅠ」、「先輩からのアドバイス講座Ⅰ」、「洋上体験学習」

○新聞ポスターの制作

南日本新聞社の記者による講義

新聞ポスターの制作(3つのステップ)

・新聞を回し読みながら気になった記事を自由に選びA2用紙に貼り、各自発表。

・4~5日分の新聞からテーマを統一して記事を選んでA2用紙に貼り、各自発表。

・一つの記事を元に、書籍やインターネットなどから関連する内容を記事にしてA2用紙

に貼り、各自発表。

新聞ポスターコンテスト

[情報分野]

情報社会と情報モラル・・・情報社会の光と影、情報社会と情報モラル、情報社会における

方と個人の責任

○リテラシー講座

・本校職員と外部講師による講座

・振り返り講座

・課題研究の進め方

・先輩からのアドバイス講座Ⅱ

[情報分野]

インターネットを用いて情報収集する方法、科学情報の収集

○プレ課題研究

・テーマ設定

・プレゼンテーション

・課題研究にむけて

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(1) 新聞ポスターの制作

1 目的・仮説

生徒主体の深い学びと広い学びを目指し、生き方を論理的・科学的にデザインできる、グロー

バルで探究的な人材育成を目指すために、この単元を設定した。情報源として新聞は、インター

ネットに比べると即時性では劣るが、情報の収集・分析、文章化するノウハウを長年培ったプロ

が作成している。また、グループで取り組ませることで対話的・協同的な活動が期待できる。最

後に新聞ポスターコンテストを計画することで、広く第三者に伝える技術を育成し、生徒同士や

外部に対して発表を行うことにより、プレゼン能力を育むことが出来ると期待する。

2 内容

南日本新聞社の記者に協力をいただいて、新聞の構成や読み方についての講義から、回し読み新聞

の指導、新聞ポスターコンテストの審査まで幅広くサポートしていただいた。グループで取り組んだ

新聞ポスター作りには3つのステップを設定し、発展的内容になるよう工夫した。最初に作成したポ

スターでは、4-5日分の新聞を回し読みながら気になった記事を自由に選びA2用紙に貼り,記事に

対するコメントを書き添えて、完成後グループごとにクラス発表を行った。次に作成したポスターで

は4-5日分の新聞からテーマを統一して記事を選んでA2用紙に貼り,完成後グループごとにクラ

ス発表を行った。最後に作成したポスターは二番目に作成したポスターから一つだけ記事を選んで、

書籍やインターネットなどから関連する内容を記事にしてA2用紙に貼り,クラス発表を行った。審

査の結果各クラスから3グループ代表を選出し、1学年普通科全体で新聞ポスターコンテストを実施

した。

3 評価・検証

新聞に触れる機会の少ない生徒達にとって今回の活動は多くの収穫があったと考える。新聞を通

して様々な社会問題を考えるきっかけになっただけでなく、下のグラフに見られるように、「情報

収集力」や「調べることをまとめる力」がついたと実感している生徒が多いことがわかる。一方で

「わかりやすく表現する力」が伸び悩んでいるので、人前で発表する機会を増やしていきたい。

大変興味深い 興味深い あまり興味がない まったく興味がない

8 53 33 6

0

10

20

30

40

50

60新聞ポスターの制作

大変興味深い

興味深い

あまり興味がない

まったく興味がない

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大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった

課題を発見し,解決する力 8 47 45 0

情報を収集し,処理分析する力 9 50 40 1

調べたことをまとめる力 14 50 36 0

わかりやすく表現する力 7 38 55 0

他者と意見交換する力 11 44 44 0

(2) リテラシー講座

1 目的・仮説

幅広い分野からなるリテラシー講座を設定することで、課題研究を実施するための基礎的知識の

習得と科学的・論理的思考力を育成できる。

2 内容

1時間目にリテラシー講座を設定し、2時間目には振り返りと「課題研究メソッド」を活用した

課題研究の進め方を組み込んだ。リテラシー講座では本校職員・大学教授・本校OB・一般企業まで

幅広い人材に多角的な視点から講座を実施していただいた。

講座名 担当者 内容

「生命倫理」

生命

環境

AI

本校職員

玉利・

前薗

科学技術の進歩にともない急速に変化していく現代社会につ

いて3つのテーマについて課題探究型で学習する。通常の授

業を発展させて、科学的思考力を育むとともに科学に係わる

倫理的要素の重要性に気づかせる。

「情報探査」 本校職員

河野

現代社会の基盤を構成している情報に関わる知識や技術を科

学的な見方・考え方で理解し、習得させるとともに、情報機器

を活用して情報に関する科学的思考力・判断力等を養う。

0

10

20

30

40

50

60

課題を発見し,解決する力

情報を集し,処理分析する力

調べたことをまとめる力

わかりやすく表現する力

他者と意見交換する力

新聞ポスターの制作

大変高まった

高まった

変わらない

以前より低くなった

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「書誌学」 本校職員

図書の分類方法の基礎を理解する。課題研究のテーマ設定、研

究内容が深化するよう図書の検索から新聞記事データベース

の利用方法を学ぶ

「超伝導現象

-高温超伝導

体-」

鹿児島大学

理学部助教

重田 出

超伝導現象とはどのようなものであるか、特に、高温超伝導体

を中心にどうして超伝導という現象が起こるのかについて学

ぶ。

「母性看護学・

助産学」

鹿児島大学

医学部講師

井上 尚美

いのちの誕生に寄り添う看護の魅力について、現場での実例

や、映像で具体的に学ぶ。

「コンピュー

ター・アルゴリ

ズムと数学」

鹿児島大学

理学部教授

新森 修一

コンピューターの処理手順や計算方法である「アルゴリズム」

について、アルゴリズムの数学的な評価方法やデータの整列

アルゴリズムなどを具体的に学ぶ。

「英語科教育」 鹿児島大学

教育学部教授

坂本 育生

現在の日本における国際化の現状から英検の問題を使った英

語リスニング力の向上について幅広く学ぶ。

「ハーモニー

の仕組みにつ

いて」

鹿児島国際大学

国際文化学部教授

久保 禎

音楽の重要な構成要素であるハーモニーについてJ-POPから

童謡まで幅広く多角的に体験を交え学ぶ。

「カウンセリ

ング事始め」

志學館大学

人間関係学部

准教授大島 英世

からだを動かしてこころをらくにする方法や姿勢を真っ直ぐ

にするとこころの構えがしっかりして、十分に力を発揮でき

るようになることを体験し学ぶ。

「先輩からの

アドバイス講

座」

本校OB

鹿児島県信用保

証協会

厚地賢人

筑波大学

博士後期課程3年

藏滿 司夢

本校在学中にSSHで取り組んだ課題研究の方法を当時の資料

を交えながら紹介し、課題研究で培った情報収集力や情報分

析力、プレゼンテーション力が大学や社会人になっても必要

である事を学ぶ。

「課題研究の

進め方」

一般財団法人

Glocal Academy

岡本 尚也

「課題研究メソッド」の著者である岡本先生に課題研究の基

礎的な知識から取り組む上で留意すべき事など様々な角度か

ら今後の課題研究のすすめ方を学ぶ。

3 評価・検証

3学期から始動する課題研究に向けて、校内の先生方には共通のテーマで全クラスに、大学の講義

は文系・理系を意識して希望をとった上で受講させた。どの講座も日頃の授業では学ぶことの出来

ない内容で、これから取り組む課題研究に様々なヒントを得ることが出来た。

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(3) プレ課題研究

1 目的・仮説

2年次にそれぞれが個人研究を取り組むために、今年度中にグループで課題研究に取り組んでみ

ることで、一人では解決できない課題や、気づけなかった視点などを共有する。また、中間発表と

なるSSH研究発表会でポスター発表をすることで課題である表現力を育む機会としたい。

2 内容

クラスを解体し、分野ごとにグループを次の7つに編成する。①LP医療科学②LP生命科学③LP自

然科学④LP人文科学⑤LP社会科学⑥LPスポーツ科学⑦LP保育・教育。それぞれに担当教諭を配置し、

グループ内で4-5人の課題研究または個人研究に分かれてSSH研究発表会に向けポスター作成およ

び発表準備を行う。

3 評価・検証

クラス単位でなく、グループ編成をすることで、生徒は自分の希望する分野の研究ができる。ま

た、担当教員も自身の専門に近いグループの担当をすることで、より的確な指導を行うことができ

る。2月に予定するSSH研究発表会に向け班ごとに取り組むことで対話的・協働的取り組みが期待で

き、発表の機会を設けることで、表現力の向上が期待できる。

SSH特別事業

錦江湾洋上体験学習

1 目的・仮説

入学して間もない1年生に、錦江湾高等学校から毎日目にする桜島と錦江湾を題材に鹿児島の自然

について科学的視点から興味関心を高めることを目的とし、桜島フェリーを貸し切り、錦江湾上での

巡検を実施した。

2 実施内容

対象学年 1年普通科・理数科

(1)日 時 4月21日

(2)講 師 鹿児島大学名誉教授 大木公彦氏

(3)行 程

9:00 桜島フェリーターミナル集合

9:30~12:30 錦江湾クルージングおよび洋上研修

13:30~15:30 かごしま市立水族館での研修

3 評価・検証

鹿児島大学の大木公彦名誉教授を講師に、錦江湾と桜島の形成と特徴、さらには鹿児島の地質につ

いての講義を聴きながら湾内を1周した。錦江湾と桜島と火山活動の関係がわかりやすく説明された。

生徒は熱心にメモをとり、鹿児島の自然環境のすばらしさを改めて感じていた。

下船後は、かごしま市立水族館に行き、鹿児島湾や西南諸島に生息する水生生物を観察し、錦江湾

の生態系について学習した。

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サイエンスカフェ

1 目的・仮説

医療分野で研究する大学教授の講話を聴き、最先端の研究施設で実習をすることで科学を学ぶ意欲

を高めることができる。また、今後の進路選択の大きく寄与することが出来る。

2 実施内容

参加者 3年 普通科1名 理数科1名

(1)日 時 7月28日、29日

(2)会場 TWIns(東京女子医科大学・早稲田大学 連携 先端生命医科学研究教育施設)

(3)行程

3 評価・検証

普通科・理数科から医療系への進学を希望している生徒がそれぞれ1名参加した。

心臓の模型を作るなど学校では体験できない実習に生徒は非常に興味深く取り組んでいた。人工心

臓を作ることに取り組む研究者の講話の迫力に聴き入った。また、医療技術の開発は幅広い分野の研

究者の共同作業から成り立つことを知り、これからの進路選択の参考になった。

自由討論会では、同じ医療系の進学を目指す全国の高校生と交流を深めることができた。

リアルしごとびと

1 目的・仮説

しごとに携わっている各分野の講師を招いてトークセッションを開いたり、実際に講師と対話を行

ったりすることによって、生徒の職業観の育成と学習意欲の高揚を図る。

2 実施内容

(1)対象学年 1年普通科・理数科

(2)日 時 1回目 7月11日(水) 14:30~16:30

2回目12月 5日(火) 14:30~16:30

(3)内 容

興味・関心のある職業に係わるアンケート調査をもとに講師を選定した。生徒は事前の講師情報と

当日最初の講師全員のプレゼンをもとに前後半30分ずつ別々の講師のところに移動して対話した。

講師のショートプレゼン後に個人ないし何人かで講師の仕事や就いた動機などいろいろな質問をして

いくことで、様々な職業についての職業観を育む。

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1回目

亀之園 学 薬剤師 鹿児島県薬剤師会薬局

濱田 愛 保育士 きずな保育園

橋口 恒夫 救急看護師認定看護師 今給黎病院

川野 康正 中学教師 和田中学校

寺田 匡史 プロスポーツ選手 鹿児島 UFC

古殿 紀章 鹿児島市役所 鹿児島市役所

野添 勇作 経営コンサルタント DDE 総合研究所

緒方 友翔 航空管制官 鹿児島空港事務所

2回目

柏木 由香 水族館学芸員 かごしま水族館

秋山 陽平 歯科衛生士 鹿児島大学病院

丸本 信利 製造販売業 株式会社マルトモ

前原 理恵 臨床心理士

肥後 玄十 農業家 シーアグジャパン

中原 三佐誉 臨床工学士 社会医療法人 天陽会 中央病院

児玉 里美 社会福祉士

西山 智裕 新聞記者 南日本新聞

3 評価・検証

生徒自身が興味・関心のある職業を中心に講師の選定がなされており、中には本校出身者も講師

に入っているので、身近な形で職業人に接することができている。また、講師を8人設定し前後半

で16人の講師から2人の講師を生徒は選べる幅があり、同時に講師側からの一方的情報提供に終

始せず生徒側から随時質問できるのも身近な職業理解につながっている。なお、生徒の選択に極端

な偏りがないように学年団で複数ついたり、時間配分のサポート等をしている。

1年生の段階では1学期に進路適性検査を実施し、夏季休暇中の三者面談で将来像についても語

り込み、2学期の学年PTAで普通科の文理選択や理数科の科目選択等に収斂されているが、この

行事はそうした生徒の進路選択の前後にあり、直接的な効果というより行事名の「リアルしごとび

と」の言葉通り社会人の仕事の「リアルさ」を、対話を通じて体験させることで職業観育成の一助

となっていることは前後の感想文にも一様にみられる。最終的には3年間を通じて生徒一人一人が

個々の進路選択を行うので、試行錯誤の過程における初期段階での貴重な体験と考える。

出水野外実習

1 目的・仮説

鹿児島の恵まれた自然を題材に野外観察の方法を学ぶ。鹿児島県出水東干拓地において、野鳥観察

を中心に干拓地に生息する動物の生態を観察する。また、課題研究で用いるタイリクバラタナゴの生

態を観察した後、採集する。

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2 実施内容

(1) 対象学年 1年理数科4名 普通科2名

(2) 日 時 平成30年1月27日(土)

(3) 場 所 鹿児島県高尾野町東干拓地

(4) 指導者 白 須 明

(5) 行 程

8:00 錦江湾高等学校 発

10:20 東干拓地 着

・観察方法・調査方法の説明

・タイリクバラタナゴの観察と採集

・野鳥の観察・調査

14:00 東干拓地 発

16:20 錦江湾高等学校 着

3 評価・検証

本格的な生態観察は参加者全員が初めてで、観察の方法を説明した後、生態調査を行った。東干拓

地は、ナベヅルとマナヅルの世界的に有名な越冬地で、これらのツルを始めとして多くの野鳥を観察

することが出来た。干拓地を流れる用水路には多種の淡水魚が生息し、課題研究で観察材料にするこ

とが決まっているタイリクバラタナゴの生態観察と採集を行った。採集に用いる網も生徒が自作し、

鹿児島の恵まれた自然観察を素材とした調査活動に生徒は生き生きと取り組んでいた。

海外サイエンス研修(下見)

1 目的・仮説

海外の大学・高校で合同実験や課題研究のプレゼンテーションを行うことで、グローバルで探究的

な人材育成ができる。また、英語による発表および交流会により英語力とコミュニケーション力の向

上が図れる。

2 実施内容

(1)訪問者 上田教頭 河野教諭 山口教諭

(2)日 時 平成30年2月6日~9日 3泊4日

(3)訪問地 台湾 国立成功大学 建国高級中学

(4)行 程

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月 日 地名 現地時刻 内容

2/6

(火)

錦江湾高校

鹿児島空港

台北桃園空港

高鋨桃園駅

台南駅

9:00

12:00

13:25

18:00

空路、台北へ

MRTにて桃園へ

新幹線にて台南へ

2/7

(水)

国立成功大学

台南駅

台北駅

10:00

12:30

13:30

16:30

研修内容の打ち合わせ

新幹線にて移動

2/8

(木)

台北駅

建国高級中学校

研修場所見学

9:00

10:00

12:30

13:30

MRTにて移動

研修内容の打ち合わせ

2/9

(金)

台北桃園空港

鹿児島空港

錦江湾高校

8:15

11:00

14:00

空路、鹿児島へ

3、評価・検証

①國立成功大學

実験指導者となる劉瑞祥 教授から事前の実験・講義を受けた。課題研究の成果を発表方法につ

いての打ち合わせをした後、次年度の実験の安全性や必要な機器・器具についても確認も行った。

また、台南市内の交通、安全、食事についても確認した。

②台北市立建国高級中学

錦江湾高校と建国高級中学がお互いの研究成果を互いに発表することを確認した。台湾と日本

の特産物(お茶など)について、共同研究を行うという提案があった。また、台北市内の交通、

安全、食事についても確認した。

サイエンス部の活性化

1 目的・仮説

理数科・普通科を問わずに未来の科学者を目指す生徒を募集し、先進的な研究活動と実験教室を自

主的に企画運営する能力を育成することで理系エキスパートを養成できる。

2 部員数

1年 2年 3年

天文物理部 1人 1人

化学部 7人 5人 2人

生物部 2人 4人

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3 活動

研究と実験教室の2本を柱として、生徒が主体となって活動できるよう、新入生に対して育成シス

テムを実践している。夏休みまでは顧問と2年生の指導による研究の基礎を学ばせ、その後は、各自

が研究活動に入る。また、週に1度、報告会を設定し、研究の進捗状況を説明し、部員間で研究につ

いてのアドバイスを行っている。

(1)研究活動

研究テーマ

【化学部】

・音波を用いた雨滴径・雨量測定システム(R System)の開発

・イオンペンの実験

・UVB 測定器(UVB ちゃん)の開発

【生物部】

・大根のカルス形成

・タイリクバラタナゴの縄張り

(2)実験教室

プレゼンテーション能力の向上と地域への理科教育の普及を目的とした、サイエンス部独自の実験

教室を実施している。化学部1年を中心に夏休みから、生徒が企画・運営を行っている。

【サイエンス部単独で実施】 【理数科と連携して実施】

・武小学校実験教室 ・小学校実験教室

・平川児童クラブ実験教室 ・中学校実験教室

・てげてげハイスクールフェスティバル ・大型商業設備での実験教室

4 大会参加と表彰

【化学部】

九州大会5年連続出場

5年間で38個の賞を受賞

SSH研究発表会(JST) ポスター賞

日本学生科学賞鹿児島審査会(読売新聞) 鹿児島県教育委員会賞

第65回鹿児島県発明くふう展(鹿児島県発明協会) 県知事賞

【生物部】

生物オリンピック参加

日本動物学会発表

5 評価・検証

錦江湾高等学校のサイエンス部は、これまで国内・外で数々の受賞歴を持ち、天文物理部・化学部・

生物部とも活発な活動を展開してきた。今年度は、化学部と生物部を中心に新たなテーマを設定し活

発な研究活動とサイエンス部独自の実験教室も数多く実施することが出来た。新入生に対する育成プ

ログラムが有効にはたらき、1年生からテーマを設定し研究活動に取り組むことが出来た。週に一度

研究の結果についても部員間でディスカッションする報告会を設定することで、研究の質を向上させ

ることが出来た。これらの活動により、生徒のデータを分析する力、考察力、プレゼンテーション能

力を伸ばす体制ができたと考えている。

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地域・社会への普及と貢献

地域小学校出前授業

1 目的・仮説

小学生を対象に体験科学教室を実施する。本校生徒は実験教室を企画・実施することにより伝える

力やプレゼンテーション能力を高め、小学生は科学に対する興味・関心を高めることができる。また、

この事業によりSSHの取り組みを地域の住民に知ってもらうことができる。

2 実施内容

(1)対象学年 サイエンス部と希望者

(2)日 時 7月4日

(3)内 容

サイエンス部員が中心となって、企画から運営まで全て生徒自身が行う。近隣の小学校を訪問し、

「身近な科学」をテーマに簡単な実験を紹介し、実験方法や原理・考え方などを指導した。訪問先は

可能な限り出身校になるように配所した。

実施校 実施クラス 実施校時 実施時間 実験

喜 入小学校 6年い・ろ組(42人) 5・6校時 14:20~15:55 ⅠⅡⅢ

瀬々串小学校 6年1組(23人) 5校時 14:05~14:50 Ⅱ Ⅲ

谷 山小学校 6年1組(41人) 5校時 14:10~14:55 Ⅰ Ⅲ

平 川小学校 5年1組( 8人) 5校時 14:10~14:55 Ⅰ Ⅲ

【実施した実験】

Ⅰ 『人工イクラを作ろう』

Ⅱ 『発泡スチロールの手形を作ろう』

Ⅲ 『紙とんぼを作ろう』

3 評価・検証

サイエンス部のメンバーが中心となって企画した実験を参加者全員で準備し実施することができ

た。実験内容が小学生にとって興味深く取り組めるものを選び、高校生にも年齢が近く親近感がある

ため、各小学校とも小学生は生き生きと実験に取り組んでいた。小学校の教諭からも内容と指導の両

方で高い評価を受けることが出来た。

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湾高わくわく実験教室

1 目的・仮説

鹿児島市内大型商業施設でおもに小学生を対象に体験科学教室を実施する。生徒は実験教室を企画・

実施することにより伝える力やプレゼンテーション能力を高め、小学生は科学に対する興味・関心を

高めることができる。また、この事業によりSSHの取り組みを地域さらには鹿児島市民に広く知っても

らうことができる。

2 実施内容

(1)対象生徒 サイエンス部と希望者

(2)日 時 8月26日

(3)後 援 鹿児島市教育委員会・南日本新聞・NHK鹿児島放送局・MBC南日本放送・KTS鹿児島

テレビ・KKB鹿児島放送・KYT鹿児島読売テレビ

(4)内 容

鹿児島市内にあるイオンモール鹿児島の店内広場で主に小学生を対象に実験教室を実施した。「身

近な科学」をテーマに簡単な実験を紹介し、実験方法や原理・考え方などを指導した。地元紙や情報

誌、イオンモール鹿児島のホームページに事前告知を掲載してもらった。PRポスターを作成し、地元

の小学校にも配布した。

【実施した実験】

Ⅰ 『人工イクラを作ろう』

Ⅱ 『発泡スチロールの手形を作ろう』

Ⅲ 『スライムを作ろう』

Ⅳ 『紙トンボを作ろう』

Ⅴ 『クリップモーターを作ろう』

Ⅵ 『静電気で遊ぼう』

Ⅶ 『紙おむつで芳香剤を作ろう』

Ⅷ 『電磁石で魚釣り』

Ⅸ 『ベンハムのコマ』

Ⅹ 『ストロー笛を作ろう』

3 評価・検証

イオンモール鹿児島での湾高ワクワク実験教室も4回目となり、実験の参加者数(約800人)も

過去最高と大盛況であった。参加者の年齢・学年にかかわらず楽しく実験に取り組めるよう多くのブ

ーとスを設け、実験内容も難易度の幅を広くした。参加希望者が多く整理券を配布するほどであり、

いくつものブースに参加する小学生も多かった。運営に際して多くの報道機関の後援を得ることがで

きた。

地域中学校出前授業

1 目的・仮説

中学生を対象に体験科学教室を実施する。本校生徒は実験教室を企画・実施することにより伝える

力やプレゼンテーション能力を高め、中学生は科学に対する興味・関心を高めることができる。また、

この事業によりSSHの取り組みを地域の住民に知ってもらうことができる。

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2 実施内容

(1)対象学年 理数科1年全員

(2)日 時 12月13日(水)

(3)内 容

本出前授業はアクティブサイエンスの授業の一環として実施した。理数科1年全員をグループに分

け、企画から運営まで全て生徒自身が行った。近隣の中学校を訪問し、「身近な科学」をテーマに簡

単な実験を紹介し、実験方法や原理・考え方などを指導した。実験の原理を説明することで中学生の

科学的思考力が育成できるようにした。訪問先は可能な限り出身校になるように配所した。

実施校 実施クラス 実施校時 実施時間 実験

福 平中学校 1年1組(30人) 6校時 15:20~16:10 Ⅰ Ⅱ

和 田中学校 1年6組(36人) 6校時 14:40~15:30 Ⅲ Ⅳ

谷 山中学校 2年4組(37人) 6校時 15:00~15:50 Ⅲ Ⅳ

東谷山中学校 1年2組(37人) 6校時 14:45~15:35 Ⅰ Ⅶ

西紫原中学校 3年2組(38人) 6校時 15:20~16:10 Ⅷ Ⅸ

【実施した実験】

Ⅰ 『つかめる水』

Ⅱ 『イオンペン』

Ⅲ 『紙コプター』

Ⅳ 『クリップモーターを作ろう』

Ⅴ 『ベンハムのコマ』

Ⅵ 『人工イクラを作ろう』

Ⅶ 『芳香剤を作ろう』

Ⅷ 『スライムを作ろう』

Ⅸ 『手形を作ろう』

3 評価・検証

生徒が企画した実験を参加者全員で準備し、実施することができた。引率と連絡以外の部分はほぼ

全て生徒が行うことから、生徒の企画運営力を養うにも有効な行事である。実験内容は中学生が授業

で習うことに関係するものが多く、中学生の理科に対する理解力の向上につながったと思われる。年

齢が近く親近感があるため高校生に対して質問も多く、生徒は実験の方法や原理について適切に説明

していた。生徒の配置は可能な限り出身中学校になるようにした。中学校の教諭は生徒の成長に感心

し、中高の連携という意味でも有意義であった。

研究成果の公表・普及

○ サイエンスインターハイ@sojo

実施日 平成29年7月30日

会 場 崇城大学

発表テーマ

「プログラミングを利用した三角形の性質の調査」

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「犬の性格と遺伝子の相関」 コンペティション部門入賞

「花渡川で見つけた日本新記録の P.shikueii」 応用生命科学科賞

「シュレッダーごみからバイオエタノールの合成」

「アルコール発酵の活用」

「オゾン測定器 オゾン君の開発」

「UVB測定器の開発」

「音波による雨滴径・雨量測定システムの開発」 コンペティション部門入賞

「横ずれ断層に伴うリーデル断層のモデル実験」

九州各地から28校約700名の参加で実施された。SSH校からの参加が多く、高レベルの研究

発表が多い大会であった。本校は3年の仕上げの研究発表として参加した班が多く、どの班もよく練

習を積んでの参加であった。コンペティション部門の入賞が2班と応用生命科学科賞の受賞で今年度

も優れた結果を収めることが出来た。

○平成29年度SSH生徒理科研究発表大会

実施日 平成29年8月10日

会 場 神戸国際展示場

発表テーマ

「オゾン濃度測定器(オゾン君)の開発」

Development of “Ozone-kun”, a device to measure O3 concentration in the air

全国のSSH指定校が集まり、各学校を代表する研究の発表会が開催された。本校は連携大学の指

導者陣からも評価が高い「オゾン君」が参加した。大気中のオゾン濃度の簡易測定器の制作で、測定

能力が市販測定器とほぼ同じ精度で、市販測定器の1/100の低コストで制作できた。審査ではポ

スター発表賞を受賞した。他校の優れた研究にふれることが出来たことに加えて、海外の高校生とも

交流が出来、生徒にとっては非常に良い経験となった。

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○第19回中国・四国・九州地区理数科高等学校課題研究発表大会

実施日 平成29年8月10・11日

会 場 岡山大学

発表テーマ

「花渡川で見つけた日本新記録の P.shikueii」

「シュレッダーごみからバイオエタノールの合成をめざして」

中国・四国・九州地区理数科高等学校38校約600名の生徒が参加した。本校からは2班が上記

のテーマでポスター発表を行った。他校の研究発表を聴き質問したり、また、本校の研究に対して質

問を受けたり意見を活発に交わすことが出来た。高レベルの研究発表が多く、生徒には大変勉強にな

った。

○日本動物学会

実施日 平成29年9月23日

会 場 富山市民会館

発表テーマ

「犬の性格と遺伝子の相関」 中高生ポスター発表優秀賞

高校生ポスター発表に60校が参加した。本校のテーマは今年で4年間の継続しているもので、結

果がまとまりつつある今年、日本動物学会で発表した。研究テーマについての専門の先生が参加され

ており、研究についてのアドバイスを受けることができ、生徒にとっては貴重な経験となった。他校

の研究も専門性が高く興味深いテーマが多かった。

○平成29年度 第61回 日本学生科学賞鹿児島審査会

実施日 平成29年11月5日

会 場 鹿児島市立科学館

研究テーマ

「音波用いた雨滴径・雨量測定」 地学部門 鹿児島県教育委員会賞

高校生を対象とした歴史と伝統のある日本一の科学コンクールである日本学生科学賞の鹿児島審査

会において、「音波用いた雨滴径・雨量測定」が第2位にあたる鹿児島県教育委員会賞を受賞した。

12月にある中央審査に進んだ。

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○平成29年度 第24回鹿児島県高等学校生徒理科研究発表大会

実施日 平成29年11月10日

会 場 宝山ホール(鹿児島県文化センター)

研究テーマ

「アントシアニンと電気分解について」 化学部門 優秀賞

「音波用いた雨粒径・雨量測定」 物理部門

「UVB の測定装置の開発」 生物部門

鹿児島県の理科系の部活動が、36テーマ、約200人の生徒が参加した。本校から3班が上記の

研究発表を行った。特に「アントシアニンと電気分解について」の研究はイオン鹿児島や近隣の小中

学校の実験教室で疑問に思った内容を題材に研究発表を行い、優秀賞を受賞し、平成30年2月11

日・12日にある平成29年度九州高等学校生徒理科研究発表大会 大分大会へ出場することになっ

た。

○平成29年度 第 65 回鹿児島県発明くふう展

実施日 平成29年12月23日

会 場 かごしま県民交流センター

研究テーマ

「オゾン濃度測定器(オゾン君)の開発」 鹿児島県知事賞

県内の小学校・中学校・高校から数多くの出品される第 65 回鹿児島県発明くふう展において、最

高賞にあたる鹿児島県知事賞を受賞した。その結果、第76回全日本学生児童発明くふう展の中央

審査に進んだ。

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○平成29年度 九州高等学校生徒理科研究発表大会

実施日 平成30年2月12日

会 場 別府大学

研究テーマ

「紫キャベツ色素が、黄色や黒色に!?」 化学部門 優秀賞

九州内の理科系の部活動の生徒が参加した。県大会で発表した「アントシアニンと電気分解について」

の研究から更なる研究を深め、実験を繰り返した結果、化学部門で第2位の成績にあたる優秀賞を受

賞した。

○日本農芸化学会2019年度大会(ジュニア農芸化学会) 参加予定

実施日 平成30年3月17日

会 場 名城大学

発表テーマ

「パッションフルーツの果皮から抽出した天然着色料の開発」

第4章 実施の効果とその評価

「生徒一人一人が主体的に活動し自らの将来を論理的・科学的にデザインできるグローバルかつ探

究的な人材を育成する」をテーマに第3期SSHの1年目を実施した。第3期SSH計画の内容は第

1章研究開発の概要に示したが、その主軸となるのは、理数科に「アクティブサイエンス(BS)」、

普通科に「ロジックプログラム(LP)」を設定し、全校規模で課題研究を実施することである。

各事業内容の効果とその評価はこれまでに示したので、ここでは「アクティブサイエンス」と「ロ

ジックプログラム」について、職員と生徒のアンケート調査の結果をもとに評価を行った。評価の観

点は次の5点とした。

・学んだ知識について課題を発見し活用する力(発見・活用力)

・情報(データ)を収集し、処理・分析する力(処理・分析力)

・調べたことや考えをまとめる力(まとめる力)

・調べたことや考えたことを表現(説明)する力(表現力)

・他者と意見を交換する力(コミュニケーション力)

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(1)職員アンケート結果から

第3期SSHの1年目を終えて、生徒の変容について上記の5観点から職員にアンケー調査した。

(%)

アンケート結果から、5観点とも多くの教諭が生徒の能力は向上していると考えていることがわか

る。「まとめ力」と「表現力」の「非常に高まった」と「高まった」を合わせた割合は、それぞれ、

74.3%と71.8%で非常に高い。第3期SSHでは普通科ロジックプログラムでは、新聞を題

材に問題解決型の学習を、理数科アクティブサイエンスでは基礎研究において 基礎知識→実験→考

察のサイクルからなる学習を実施している。新聞社や大学と連携し、生徒が主体的に活動する内容を

取り入れたことが能力の向上につながったと考えている。提出されたレポート内容からも「まとめる

力」と「表現力」が向上していることが読み取れた。これらの活動はクループ活動を主とするものが

多い。このことが「コミュニケーション力」の向上につながったと考えている。アンケート結果では

「非常に高まった」と「高まった」を合わせた割合が74.4%と非常に高い。

レポート結果以外からも生徒の能力の向上が窺えた。ひとつは鹿児島県立博物館と連携したボラン

ティア活動を実施しているが、ボランティアの参加者数は他校に比べて圧倒的に多い。博物館の職員

からも本校生の企画力の高さについて高い評価を得ている。もうひとつは小中学生への出前授業であ

る。生徒の企画による実験教室を実施しているが、児童・生徒への説明力が高いと学校職員から高い

評価を得ている。

(2)生徒アンケートから

○ ロジックプログラム

上記の5観点について実施したアンケート結果を次に示す。

(%)

アンケート結果から、ロジックプログラムの授業について「大変興味深い」と「興味深い」を加え

た割合は60.6%で、多くの生徒がロジックプログラムの授業に興味を持って参加していることが

わかる。「発見・活用力」、「処理・分析力」、「表現力」、「コミュニケーション力」で比較的高い数値

が出ていることは、新聞を題材とした課題解決型学習の実施効果が現れた考えている。「表現力」に

ついては想定していたよりも低い値になった。発表の場を多く設定したつもりであるが、来年度は方

非常に積極的 積極的 あまり積極的でない 分からない2.5 52.5 20.0 25.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった0.0 62.5 37.5 0.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった2.5 62.5 32.5 2.5

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった5.1 69.2 25.6 0.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった5.1 66.7 28.2 0.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった2.6 71.8 25.6 0.0

他者と意見を交換する力

SSHの授業に積極的に参加していましたか。

学んだ知識について課題を発見し,活用する力

情報(データ)を収集し処理・分析する力

調べたことや考えをまとめる力

調べたことや考えたことを分かりやすく表現(説明)する力

大変興味深い 興味深い あまり興味がない 全く興味がない9.9 50.7 30.3 9.2

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった1.3 55.9 41.4 1.3

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった3.3 47.4 47.4 2.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった6.6 55.6 36.4 1.3

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった4.0 37.7 57.0 1.3

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった9.3 48.3 40.4 1.3

他者と意見を交換する力

LPの授業について,どのように思いますか。

学んだ知識について課題を発見し,活用する力

情報(データ)を収集し処理・分析する力

調べたことや考えをまとめる力

調べたことや考えたことを分かりやすく表現(説明)する力

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法と設定の場などで修正していかねばならない。

コメントでは、「これまで受けたことのない授業形態で調べる力やコミュニケーション力が高まっ

た」や「幅広い分野で専門的な話が聞けた」など、授業の形態と能力の向上の両面で好意的な意見が

非常に多かった。

○ アクティブサイエンス

上記の5観点について実施したアンケート結果を次に示す。

(%)

アンケート結果から、アクティブサイエンスの授業について「大変興味深い」と「興味深い」を加

えた割合は73.6%で、非常に多くの生徒がアクティブサイエンスの授業に興味を持って参加して

いることがわかる。アクティブサイエンスは理数科で実施するが、近年、理数科に入学する生徒が理

数科目を得意としない生徒がかなりの割合で入学していることを考えると、この数値は実施内容に自

信を与えてくれた。ただ、「発見・活用力」、「処理・分析力」、「表現力」では「大変高まった」と

「高まった」を合わせた割合がわずかに50%を下回ることは、今後、これらの能力が向上するよう

改善を加えなければならない。

コメントでは、「興味深い実験があり興味深く授業に参加した」や「出前授業でコミュニケーショ

ン力の必要性を感じた」など授業の形態と能力の向上の両面で好意的な意見が多かった。

第5章 校内におけるSSHの組織的推進体制

新たな指定(SSH第3期)を受けて、新たな組織体制のもとSSH事業を実施した。

SSH部にSSH統合調整部門を中心に9の部門を設け、全教科の教員が参加する体制をとって

いる。

・SSH総合調整 研究計画の企画・立案 進行管理 各機関との連絡調整

・研究・開発 SSH全般における評価方法の開発・実践・検証

・職員研修 職員研修の企画・運営

・情報発信 SSH全般における広報・記録 Web ページの作成・更新

・調査統計 報告に必要な資料の収集 アンケートの作成・実施・集計

・外部連携 連携事業に対する企画・運営 海外サイエンス交流の連絡調整

・人材ネットワーク 人材ネットワークの構築 アドバイス講座の企画・運営

・アクティブサイエンス BS・SR・SCの企画・運営 アカデミックイベントの企画・運営

・ロジックプログラム ロジックプログラムⅠ・Ⅱ・Ⅲの企画・運営

大変興味深い 興味深い あまり興味がない 全く興味がない11.1 45.0 17.0 2.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった4.2 40.3 54.2 0.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった5.6 40.3 52.8 1.4

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった9.9 43.7 45.1 0.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった7.0 40.8 52.1 0.0

大変高まった 高まった 変わらない 以前より低くなった12.7 42.3 45.1 0.0

他者と意見を交換する力

BSの授業について,どのように思いますか。

学んだ知識について課題を発見し,活用する力

情報(データ)を収集し処理・分析する力

調べたことや考えをまとめる力

調べたことや考えたことを分かりやすく表現(説明)する力

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(1) SSH運営指導委員会

外部専門的見地からSSH事業全般について指導、助言、評価を得た。

氏 名 所 属 職 名

清 原 貞 夫

平 井 一 臣

本 間 俊 雄

藏 脇 淳 一

岩 井 久

高 津 孝

土 田 理

井 口 正 人

渡 邊 剛

中 間 弘

水 流 芳 則

大久保 哲 志

鹿児島大学

鹿児島大学

鹿児島大学大学院理工学研究科

鹿児島大学理学部

鹿児島大学農学部

児島大学法文学部

鹿児島大学教育学部

京都大学火山活動研究センター

鹿児島市立緑丘中学校

鹿児島県立博物館

鹿児島県立薩摩中央高等学校

鹿児島県総合教育センター

理事

理事

研究科長

学部長

学部長

学部長

学部長

教授

中理事務局長

館長

県高理会長

所長

組織図

SSH運営指導委員会

文部科学省

大学等研究機関

中高理科部会

県教育センター

県立博物館

鹿児島県教育委員会 科学技術振興機構

(JST)

鹿児島県立錦江湾高等学校

(代表:学校長)

<SSH運営委員会>

○ 全企画の審議機関

<SSH部>

○ SSH総合調整

○ 研究・開発

○ 職員研修

○ 情報発信

○ 調査・統計

○ 外部連携

○ 人材ネットワーク

○ アクティブサイエンス

○ ロジックプログラム

職員会議

(普通科部会・

理数科部会)

県SSH・

理数科校

連絡協議会

校務分掌各部会

各教科会

各学年会

小学校

中学校

企 業

地 域 アクティブラー

ニング

授業改善研究会

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(2) SSH企画会・SSH担当者会

毎週、SSH主任・SSH副主任(AS主任)・LP主任でSSH事業の企画及び進捗状況につい

て話し合いを行っている。その後、SSH各部門の代表者とSR担当者を加えてSSH担当者会で

内容を検討している。2つの会を持つことで、各事業の進捗状況を互いに確認でき、また、受け持

ちの業務への自覚も高まり、運営をスムーズに進めることが出来た。

(3)県SSH・理数科連絡協議会

SSH指定を目指している高校、理数科を持つ高校とSSH事業の内容と課題研究の内容と進め

方について会を持ち話し合っている。課題研究についての情報交換など学ぶとことの多い会になっ

ている。

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第6章 研究開発上の課題及び今後の研究開発上の課題

(1)理数科・普通科による全校体制での課題研究

第3期SSHは第1期SSH・第2期SSHの研究成果を土台に計画したが、大きな変更点は理数

科に「アクティブサイエンス」、普通科に「ロジックプログラム」を設定し、従来の理数科のみで実施

していた課題研究を普通科も含めた全校規模で実施することである。1年目の今年、全校職員の協力

体制のもと計画を進めることが出来たが、課題としては次の3点がある。

① 課題研究のテーマの多様化

来年度から普通科文系においても課題研究を実施するが、自然科学系のテーマだけで実施するのは

現実的ではないので、人文科学系・社会科学系のテーマで実施することを計画している。研究の質を

高めるために、生徒が情報を得るための場の設定、連携先の拡大、情報庫としてのSSH図書館のさ

らなる充実に努めなければならない。

② 課題研究の指導体制の構築

全校体制で課題研究を実施するに際し、課題研究の指導者の数も大幅に増やさなければならない。

今年度も課題研修の職員研修を実施したが、来年度は実施内容と実施時期に工夫を加えたい。

③ 担当者間での情報共有

今年度は毎週、SSH主任・アクティブサイエンス主任・ロジックプログラム主任によるSSH企

画会で検討した内容を、課題研究担当者を加えたSSH担当者会で情報の共有を図っていた。情報の

共有化はSSH計画の運営に果たす役割は大変大きなものであった。来年度、全校体制で課題研究を

実施するため担当者数が増えるので、情報を共有するための有効な方法を考えなくてはならない。

(2)国際性の向上・普及のため海外化学交流の推進

第3期SSH計画のもう1つの大きな変更点は、国際性の向上・普及のため2年次に海外サイエン

ス研究を計画したことである。 今年度、海外連携校を台湾の国立成功大学と建国高級高校に決定し、

両校の教員と研修内容についての打ち合わせまで行った。研修では共同研究と課題研究の発表を英語

で実施することとしたので、英語を用いたコミュニケーション能力の向上を図らねばならない。英語

力の向上のため外部講師によるグローバルコミュニケーションスキル(GCS)講座の実施以外にも、

本校英語教員による指導体制を構築していかなければならない。

英語力以外でも、グローバル人材に求められる資質は多様である。その多様な資質の育成に注目し

た研究開発に改良していく必要がある。

(3)県SSH・理数科連絡協議会の活性化

研究開発の情報交換の場として県SSH・理数科連絡協議会を設置している。今年度は全体会とし

ては2度の場を設定したが、教員間のレベルでは課題研究を中心に頻繁に情報交換を行い有効な情

報を得ている。今後は、SSH採択を目指している高校にも呼びかけ、参加校と参加者数を増やし

県内のSSH活動を活性化のための場としたい。

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第7章 関係資料

サイエンスリサーチ(SR) ※第2期計画からの継続事業

1 目的・仮説

Ⅰ年次に実施したベーシックサイエンスで学んだことをもとに、自ら課題を見つけテーマを設定し

課題研究を進める。テーマに対する仮説を設定し実験計画を立案し、実験・観察をする。このことに

より論理的思考力を育成し、科学的に研究する能力や将来科学研究に関わる進路を選択しようとする

意欲を喚起できる。

2 実施内容

(1)対象学年 2年理数科

(2)日 時 SRの時間 及び土・日・長期休業中 2単位

(3)課題研究テーマ及び連携先

資質や能力、興味や関心に応じてグループに別れ課題研究を進めた。各班の研究の一覧表と要旨を

以下に示す。

鹿児島大学 指導教官 課題研究テーマ 高校

担当職員

大学院理工学研究科 泰 浩起 准教授 火山灰の浸透~水はどのようにし

て火山灰に浸透するか~ 東

下大田

大学院理工学研究科 加藤太一郎 助教 蛍光物資に関する研究 富

大学院理工学研究科 神長 暁子 助教 音波を用いた雨滴径・雨量測定 河

野 保島

農学部 加治屋勝子 講師 パッションフルーツの果皮から抽

出した天然着色料の開発

大学院理工学研究科 塔筋 弘章 助教 DNA 分析によるクメジマナガレゴ

カイの分類と分布

須 園田

共同獣医学部 三浦 直樹 助教 犬の性格と遺伝子の相関~DRD4

のアミノ酸配列の分析~

学 大学院理工学研究科 柿沼 太郎 助教

砂浜における水みち形成に関する

研究

保 下大田

ドラえもんの秘密道具についての 渡

井 保島

科学的立場による研究 下

育 バレーボールの科学

岡 園田

楽 大学院理工学研究科 大塚 作一 教授 管楽器の音程の温度特性の研究

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3 評価・検証

理科・数学以外にも食品、体育、音楽と幅広い分野にわって生徒の興味・関心を重視したテーマを

設定することが出来た。実験計画から実験、プレゼンテーションまで生徒がいきいきと活動する姿が

印象的であった。大学と連携した発展的な内容の研究も多く、各班とも充実した研究をすることが出

来た。2月の課題研究発表大会では600人の聴衆の前で、全ての班がプレゼンテーションを行った。

大学を始めとする研究者との質疑応答も良い経験になったと思われる。

サイエンスキャリア(SC ) ※第2期計画からの継続事業

1 目的・仮説

2年次サイエンスリサーチで実施した研究結果を論文化することで科学的素養の向上を図る。また、

研究発表会が学会で発表することにより、研究内容の改善とプレゼンテーション能力の向上が図れる。

2 実施内容

(1)対象学年 3年理数科

(2)日 時 SCの時間(金曜1時間目) 1単位

(3)論文テーマ及び連携先

課題研究テーマ 高校担当職員 鹿児島大学 指導者

理 サーミスタ温度特性 東 寛久 理工学研究科 物理・宇宙専攻 泰 浩起 准教授

インジコカルミンによるオ

ゾンの測定法 河野 裕一郎 理工学研究科 生命化学専攻 神長 暁子 助教

シュレッダーゴミからバイオ

エタノールの合成をめざして 木下 隆志

アルコール発酵の活用 富永 勝太

花渡川で見つかった日本新記

録の P.shikueii について 白須 明 理工学研究科 生命化学専攻 塔筋 弘章 助教

犬の性格と遺伝子の相関Ⅳ 郡山 博司 共同獣医学部 三浦 直樹 助教

横ずれ断層に伴うリーデル

せん断のモデル実験 久保 重人

プログラムを利用した三角

形の性質の調査 寺田 哲哉 教育学部 磯川 幸直 教授

正多面体は本当に5個だけ

なのか 若松 敏彦

バレーボール選手におけるビジョ

ントレーニングの効果についてⅡ 肱岡 斉子

剣道における体幹トレーニ

ングの効果について 濵田 竜一

輪状甲状筋の訓練によるカ

ラオケ歌唱力向上の研究 友利 翔子

理工学研究科 情報生体システ

ム工学専攻 大塚 作一 教授

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- 48 -

3 評価・検証

昨年実施した課題研究を論文化し、研究発表会でプレゼンテーションすることで研究について理解

が深まり、研究を深化させることが出来た。「花渡川で見つかった日本新記録の P.shikueii について」

が崇城大学主催の研究発表大会で学科長賞を受賞したことを始めとして多くの発表会で実績を残すこ

とが出来た。

第1回運営指導委員会

1 日時 平成29年10月18日(水)14:10~16:40

2 場所 鹿児島県立錦江湾高等学校 大会議室

3 会順

(1) 授業参観(ベーシックサイエンス、ロジックプログラム)

(2) 開会のあいさつ

(3) 委員紹介・日程説明

(4) 高校職員紹介

(5) 意見交換

・第Ⅲ期SSH計画概要について

・アクティブサイエンスについて

・ロジックプログラムについて

・その他

4 出席者

運営指導委員(◎委員長)

名 前 所 属 職 名

◎ 清 原 貞 夫 鹿児島大学 理事

渡 邊 剛 鹿児島市緑丘中学校 県中理事務局長

大久保 哲 志 鹿児島県総合教育センター 所長

長 船 祐 介 鹿児島県立博物館 主任研究主事

県教育委員会

前 田 光 久 鹿児島県教育委員会高校教育課 課長

七 夕 剛 成 鹿児島県教育委員会高校教育課 指導主事

5 主な協議内容(司会:清原 貞夫 委員長)

【運営指導委員】

錦江湾高校ではSSH、甲南高校ではSGHの指定を受けていることは知っていたが、今日の説明

を聞いて、素晴らしい活動と実績を残していることを知った。市内の一般の方、中学の生徒や保護者

は意外とSSHの活動を知らないと思う。どのようなPRをしているのか。

【SSH事務局】

地域に対しては出前授業や大型商業施設での実験教室でSSHの活動を行い、その様子が新聞やテ

レビで取り上げられている。

中学生への広報活動に力を入れているが、中学の現場では進学情報のみしか知られていないように

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感じる。普通科にもSSHがあること含め、もっと積極的にSSHの内容をPRしていきたい。

【運営指導委員】

大学でもPRに力を入れている。PR効果を分析しているが、新聞に載せたPR広告を高校生は見

ていない。有効なのはオープンキャンパスや高校の進路担当教諭への説明である。高校でも同様と思

われるので、錦江湾高校も中学校へのPRに力を入れられてはと思う。

【運営指導委員】

生徒へのアンケート結果の報告があったが、課題発見力がついたとの回答が多いことに驚いた。小

学生が行う理科研究でも課題と方法が決まれば、後はスムーズに進めることができる。課題発見力を

つけるためにどのような取組をされているのか。

【SSH事務局】

第Ⅲ期から始めたロジックプログラムの新聞ポスター作りは、3つのステップから構成されている。

基本的に4人1組グループでポスターを作っていくのだが、ステップ1では新聞に親しんでもらうた

めに、4日分の新聞の中から好きな記事を選んで切り取り、A2サイズの用紙に貼って感想を述べる

ものを作成した。ステップ2では選んだ記事をテーマ別に分けてグループで統一したテーマのポスタ

ーを作成した。このステップ2で作成したポスターを文化祭で展示して、他者からの評価をもらった。

この集まった評価を参考に、ステップ2のポスターの中から1つ記事を絞って、その記事に関するこ

とを、書籍・新聞・インターネットなど様々な角度から調べ、それぞれ担当者が200~300字程

度の記事にしてポスターを作成し、クラスでプレゼンを行った。各クラスから③グループ代表を選ん

で、7月14日に1学年普通科全員でポスターコンテストを実施した。またこのコンテストに参加し

た生徒たちは、夏に行われた中学生の1日体験入学で、講師役として中学生たちの回し読み新聞の指

導にあたってもらった。これらの活動を通じて、課題発見力・プレゼン力・相手にわかりやすいよう

伝える力など、様々な力を身につけることが出来た。

【運営指導委員】

中学校で3年生の担任をしている。第Ⅲ期SSHでは普通科を含めて全校でSSH活動に取り組む

と説明があったが、SSH活動がその後の生徒の進路にどのようにつながるのか教えていただきたい。

【SSH事務局】

第Ⅲ期SSHでは普通科も加えた全校生で課題研究に取り組むことに特徴がある。報告であったよ

うに、課題研究で取り組んだテーマを大学院で研究を続けている卒業生などはSSHの目指すところ

の理想型といえる。SSHで育成された科学的・論理的思考力は、将来、直接的・間接的にいろいろ

な場面で生きてくると考えている。

また、これから大学の入試制度が大きく変わるが、大学入試において大学側が提出を求める、何を

どのように学んだかという活動履歴にSSH活動はまさに対応したものといえる。

【運営指導委員】

高大接続改革において、新しいタイプの学生を育成することを求められている。新しいタイプの学

生を育てることのキーワードは、授業外学習力=どれだけ自主的に学習に取り組むことができるかで

ある。創造力や思考力の育成を目指すSSHの取組はこれからの時代に合ったものといえる。

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- 50 -

第2回運営指導委員会

1 日時 平成30年2月20日(火)15:20~16:40

2 場所 かごしま県民交流センター 小研修室2

3 会順

(1)開会のあいさつ

(2)研究開発指定校校長あいさつ

(3)委員紹介・日程説明

(4)協議

① 第3期SSH1年目の進捗状況と来年度の展望

・1年目の進捗状況

・ロジックプログラム

・アクティブサイエンス

・その他(SSH図書コーナー等)

② 協議「第3期SSH1年目の取り組みと展望」

4 出席者

運営指導委員(◎委員長)

名 前 所 属 職 名

◎ 清 原 貞 夫 鹿児島大学 理事

平 井 一 臣 鹿児島大学 理事

本 間 俊 雄 鹿児島大学 理工学研究科長

藏 脇 淳 一 鹿児島大学 理学部長

岩 井 久 鹿児島大学 農学部長

高 津 孝 鹿児島大学 法文学部長

土 田 理 鹿児島大学 教育学部長

渡 邊 剛 鹿児島市緑丘中学校 県中理事務局長

中 間 弘 鹿児島県立博物館 館長

大久保 哲 志 鹿児島県総合教育センター 所長

県教育委員会

福 留 和 宏 鹿児島県教育委員会高校教育課 指導監

七 夕 剛 成 鹿児島県教育委員会高校教育課 指導主事

西 孝 典 鹿児島県総合教育センター 研究主事

JST

鈴 木 清 史 SSH南地区 主任調査員

5 主な協議内容(司会:清原 貞夫 委員長)

【運営指導委員】

1年生は1年間でよくここまで能力が伸びたと思います。さらに、資料を読むだけではなく、相手

の目を見て、ポイントを押さえた簡潔な説明ができればもっと良いと思います。図版については著作

権の問題がありますので、出典を明示するか、自分で作成・撮影する。表はリライトするようご指導

ください。

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- 51 -

【運営指導委員】

「書誌学」で奥付の意味まできちんと教えられていますが、この教育は文理共通して重要な教育で

す。卒論に臨む学部生でもここまでできる生徒は少ない。さらに、データや資料の意味を生徒に教え

てほしいと思います。

【運営指導委員】

参考文献はインターネットの引用が多かったと思いましたが、リテラシー教育等は現在どのよう

に高校で教えていますか。

【SSH事務局】

「情報探査」と「書誌学」の授業では、CiNii 等で検索した論文の使用を推奨し、実際に生徒に操作

させました。科学だけではなく、社会・人文学の文献も出てくることも体感させました。この授業は

全ての1年生に行いましたが、生徒は発表で活かしきれなかったのが現状です。

また、本校では新聞社の記事を検索できるサービスを契約し、一度に 50 人が使用できる体制を整え

ています。

【SSH事務局】

3期はSSHの取組みが理数科から普通科へと広がりました。理数科はこれまでのSSHの蓄積が

あり、研究でも大学の先生方との連携がとれていますが、普通科はそういう体制がまだ不十分です。

今後、普通科へもそのような連携体制を広げていただければと期待しています。

【運営指導委員】

今の生徒は生活体験が少なく、身近な環境から適切な課題意識を持ちづらい状況です。その結果、

途方もない課題や解明済みの課題を選びがちです。このような生徒に課題意識を持たせるため、どの

ような取組みをしていますか?

【SSH事務局】

本校では「生の体験」を大切にした取組みを行っています。例えば、海外との交流の機会があった

際には、積極的に小グループに分けて誰もが英語で交流せざるをえない状況を作りました。「交流した

くても英語が話せないショック」という生の感覚を持たせるためです。このような「生の体験」が課

題意識を持つために大事だと考えます。さらに、「待つ」という点を心がけています。今回の発表も教

員が教え、先導してしまえば簡単で高度なものができますが、それでは課題意識は育ちません。今回

の発表でも、教職員はひたすら待ち、生徒が課題意識を持って主体的に動くように努めていました。

【SSH事務局】

2年の課題研究を担当しました。当初、大学の先生から3つのテーマを提示していただきましたが、

生徒がその中にあったパッションフルーツの文字を見て、本県の特産品ですが「食べたことがない」

と言いました。そこで奄美に住む兄に送ってもらい、生徒に食べさせたところ、生徒は中身が少なく

皮が多いことに驚き、鹿児島のためにもこの皮を活用できないかと、自発的に研究題材を決めていっ

た経緯があります。結果として、良い研究結果につながりました。先程の言葉にもありましたが、実

際に目の前で見て「生の体験」をすると新鮮な驚きがあり、生徒は興味を持って考え始めます。

【運営指導委員】

海外のコミュニケーションは良い取組みだと思います。体験がないとモチベーションが上がりづら

く、生徒は先に進めません。台湾での研修や修学旅行は効果が上がるのではないかと期待しています。

こういう機会をさらに広げ、大学の留学生との交流など、生徒が体験を積む機会を増やして頂ければ

ありがたい。

【運営指導委員】

それでは、各ご意見を参考にしていただいて、特に普通科に対する取組は大変だと思いますが、次

年度はこの取り組みをより発展させていただくようお願いします。

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- 52 -

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- 53 -

錦江湾高等学校 普通科

1

共通 文系 理系 文系 理系 文系 理系

国 語 総 合 ◎ 4 5 5 5

現 代 文 B 4 3 3 3 2 6 5

古 典 B 4 3 2 3 2 6 4

世 界 史 A ◎ 2 2 2 2

世 界 史 B 4 - - - - - -

日 本 史 A ○ 2 - - -

日 本 史 B 4 ② - ③ - ③ - ③ - ③  ②   ⑥  ②   ⑥

地 理 A ○ 2 - - -

地 理 B 4 - - - - - -

倫 理 ◎ 2 3 2 3 2

政 治 ・ 経 済 ◎ 2 3 2 3 2

数 学 Ⅰ ◎ 3 3 3 3

数 学 Ⅱ 4 1 2 3 3 6 4

数 学 Ⅲ 5 1 5 6

数 学 A 2 1 1 1 1 3 2

数 学 B 2 2 1 1 2 3 3

科 学 と 人 間 生 活 ◎ 2 2 2 2

物 理 基 礎 ○ 2 - -

物 理 4 - -

化 学 基 礎 ○ 2 2 2

化 学 4 1 4 5

生 物 基 礎 ○ 2 2 -③ 2  ④ 4 -③  ④

生 物 4 - -

地 学 基 礎 ○ 2 2 2 4

地 学 4

体 育 3 2 3 2 2 7 8

保 健 ◎ 2 1 1 1 2 2

音 楽 Ⅰ ○ 2 - - - -

音 楽 Ⅱ 2 -

美 術 Ⅰ ○ 2 -② -① -③ -②

美 術 Ⅱ 2 -

書 道 Ⅰ ○ 2 - - - -

書 道 Ⅱ 2 -② ②

コミュニケーショ ン英語Ⅰ ◎ 3 3 3 3

コミュニケーショ ン英語Ⅱ 4 4 3 4 3

コミュニケーショ ン英語Ⅲ 4 4 3 4 3

英 語 表 現 Ⅰ 2 2 2 2

英 語 表 現 Ⅱ 4 2 2 2 2 4 4

庭 家 庭 基 礎 ◎ 2 2 2 2

報 社 会 と 情 報 ◎ 2 2 2 2

31 31 31 29or31 31 91or93 93

主として専

門学科に

おいて開

設される

各教科・科

庭 フ ー ド デ ザ イ ン -

0 0 0 2or0 0 2or0 0

総学 1 1 1 1 1 3 3

32 32 32 32 32 96 96

特別活動 1 1 1 1 1 3 3

33 33 33 33 33 99 99

※ 3年文系は,「音楽Ⅱ」「美術Ⅱ」「書道Ⅱ」「フードデザイン」から1科目選択履修する。

H R 活 動

週あたり総時数

科 目 単 位 数 計

2~6

科 目 単 位 数 計

錦江湾学 3~6

合        計

 理系は2年次で選択した「基

礎の付く科目」に対応する「基

礎の付かない科目」1科目を選

択履修する。

 2年次理系では化学基礎の

履修後に化学を履修する。

保体

◎7~8

芸術

 1年次の音楽Ⅰ,美術Ⅰ,書道

Ⅰについては1科目選択履修

する。

 2年次文系では1年次に選択

した科目と同様の科目を継続

履修する。

外国語

各学科に共通する各教科・科目

国語

地理歴史

 日本史A,地理Aについては1

科目選択履修する。

 世界史B,日本史B,地理Bに

ついては1科目選択し,2年次,

3年次継続履修する

公民

数学

 数学Ⅱは数学Ⅰを履修後に

履修する。数学Ⅲは数学Ⅱを

履修後に履修する。

理科

入学年度 平成28年度

備  考教 科 科   目

学年 2 3 合計

標準単位

Page 54: 指定第1期目 29~33 ① · 2020. 8. 11. · 生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・ 科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

- 54 -

錦江湾高等学校 普通科

1

共通 文系 理系 文系 理系 文系 理系

国 語 総 合 ◎ 4 5 5 5

現 代 文 B 4 3 3 3 2 6 5

古 典 B 4 3 2 3 2 6 4

世 界 史 A ◎ 2 2 2 2

世 界 史 B 4 - - - - - -

日 本 史 A ○ 2 - - -

日 本 史 B 4 ② - ③ - ③ - ③ - ③  ②   ⑥  ②   ⑥

地 理 A ○ 2 - - -

地 理 B 4 - - - - - -

倫 理 ◎ 2 3 2 3 2

政 治 ・ 経 済 ◎ 2 3 2 3 2

数 学 Ⅰ ◎ 3 3 3 3

数 学 Ⅱ 4 1 2 3 3 6 4

数 学 Ⅲ 5 1 5 6

数 学 A 2 1 1 1 1 3 2

数 学 B 2 2 1 1 2 3 3

科 学 と 人 間 生 活 ◎ 2 2 2 2

物 理 基 礎 ○ 2 - -

物 理 4 - -

化 学 基 礎 ○ 2 2 2

化 学 4 1 4 5

生 物 基 礎 ○ 2 2 -③ 2  ④ 4 -③  ④

生 物 4 - -

地 学 基 礎 ○ 2 2 2 4

地 学 4

体 育 3 2 3 2 2 7 8

保 健 ◎ 2 1 1 1 2 2

音 楽 Ⅰ ○ 2 - - - -

音 楽 Ⅱ 2 -

美 術 Ⅰ ○ 2 -② -① -③ -②

美 術 Ⅱ 2 -

書 道 Ⅰ ○ 2 - - - -

書 道 Ⅱ 2 -② ②

コミュニケーショ ン英語Ⅰ ◎ 3 3 3 3

コミュニケーショ ン英語Ⅱ 4 4 3 4 3

コミュニケーショ ン英語Ⅲ 4 4 3 4 3

英 語 表 現 Ⅰ 2 2 2 2

英 語 表 現 Ⅱ 4 2 2 2 2 4 4

家庭 家 庭 基 礎 ◎ 2 2 2 2

情報 社 会 と 情 報 ◎ 2 ロジックプログラムⅠで代替する。

29 31 31 29or31 31 89or91 91

主として専門

学科におい

て開設され

る各教科・

科目

家庭 フードデザイン -

0 0 0 2or0 0 2or0 0

*ロジックプロク ゙ラムⅠ 3 3 3 3

*ロジックプロク ゙ラムⅡ 1 1 1 1 1

*ロジックプロク ゙ラムⅢ 1 1 1 1 1

3 1 1 1 1 5 5

総学 ロジックプログラムⅠ・Ⅱ・Ⅲで代替する

32 32 32 32 32 96 96特別活動 1 1 1 1 1 3 3

33 33 33 33 33 99 99

※ 3年文系は,「音楽Ⅱ」「美術Ⅱ」「書道Ⅱ」「フードデザイン」から1科目選択履修する。

科 目 単 位 数 計

H R 活 動

週あたり総時数

科 目 単 位 数 計

2~6

科 目 単 位 数 計

錦江湾学 3~6

合        計

学校

設定

教科

ロジック

プログラム

 理系は2年次で選択した「基

礎の付く科目」に対応する「基

礎の付かない科目」1科目を選

択履修する。

 2年次理系では化学基礎の

履修後に化学を履修する。

保体

◎7~8

芸術

 1年次の音楽Ⅰ,美術Ⅰ,書道

Ⅰについては1科目選択履修

する。

 2年次文系では1年次に選択

した科目と同様の科目を継続

履修する。

外国語

各学科に共通する各教科・科目

国語

地理歴史

 日本史A,地理Aについては1

科目選択履修する。

 世界史B,日本史B,地理Bに

ついては1科目選択し,2年次,

3年次継続履修する

公民

数学

 数学Ⅱは数学Ⅰを履修後に

履修する。数学Ⅲは数学Ⅱを

履修後に履修する。

理科

入学年度 平成29年度

備  考教 科 科   目

学年 2 3 合計

標準単位

Page 55: 指定第1期目 29~33 ① · 2020. 8. 11. · 生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・ 科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

- 55 -

錦江湾高等学校 普通科

1

共通 文系 理系 文系 理系 文系 理系

国 語 総 合 ◎ 4 5 5 5

現 代 文 B 4 3 3 3 2 6 5

古 典 B 4 3 2 3 2 6 4

世 界 史 A ◎ 2 2 2 2

世 界 史 B 4 - - - - - -

日 本 史 A ○ 2 - - -

日 本 史 B 4 ② - ③ - ③ - ③ - ③  ②   ⑥  ②   ⑥

地 理 A ○ 2 - - -

地 理 B 4 - - - - - -

倫 理 ◎ 2 3 2 3 2

政 治 ・ 経 済 ◎ 2 3 2 3 2

数 学 Ⅰ ◎ 3 3 3 3

数 学 Ⅱ 4 1 2 3 3 6 4

数 学 Ⅲ 5 1 5 6

数 学 A 2 1 1 1 1 3 2

数 学 B 2 2 1 1 2 3 3

科 学 と 人 間 生 活 ◎ 2 2 2 2

物 理 基 礎 ○ 2 - -

物 理 4 - -

化 学 基 礎 ○ 2 2 2

化 学 4 1 4 5

生 物 基 礎 ○ 2 2 - ③ 2  ④ 4 -③ ④

生 物 4 - -

地 学 基 礎 ○ 2 2 2 4

地 学 4

体 育 3 2 3 2 2 7 8

保 健 ◎ 2 1 1 1 2 2

音 楽 Ⅰ ○ 2 - - - -

音 楽 Ⅱ 2 -

美 術 Ⅰ ○ 2 -② -① -③ -②

美 術 Ⅱ 2 -

書 道 Ⅰ ○ 2 - - - -

書 道 Ⅱ 2 - ② ②

コミュニケーショ ン英語Ⅰ ◎ 3 3 3 3

コミュニケーショ ン英語Ⅱ 4 4 3 4 3

コミュニケーショ ン英語Ⅲ 4 4 3 4 3

英 語 表 現 Ⅰ 2 2 2 2

英 語 表 現 Ⅱ 4 2 2 2 2 4 4

家庭 家 庭 基 礎 ◎ 2 2 2 2

情報 社 会 と 情 報 ◎ 2 ロジックプログラムⅠで代替する。

29 31 31 29or31 31 89or91 91

主として専門

学科におい

て開設され

る各教科・

科目

家庭 フードデザイン -

0 0 0 2or0 0 2or0 0

*ロジックプロク ゙ラムⅠ 3 3 3 3

*ロジックプロク ゙ラムⅡ 1 1 1 1 1

*ロジックプロク ゙ラムⅢ 1 1 1 1 1

3 1 1 1 1 5 5

総学 ロジックプログラムⅠ・Ⅱ・Ⅲで代替する

32 32 32 32 32 96 96特別活動 1 1 1 1 1 3 3

33 33 33 33 33 99 99

※ 3年文系は,「音楽Ⅱ」「美術Ⅱ」「書道Ⅱ」「フードデザイン」から1科目選択履修する。

入学年度 平成30年度

備  考教 科 科   目

学年 2 3 合計

地理歴史

 日本史A,地理Aについては1

科目選択履修する。

 世界史B,日本史B,地理Bに

ついては1科目選択し,2年次,

3年次継続履修する

公民

標準単位

 数学Ⅱは数学Ⅰを履修後に

履修する。数学Ⅲは数学Ⅱを

履修後に履修する。

科 目 単 位 数 計

 理系は2年次で選択した「基

礎の付く科目」に対応する「基

礎の付かない科目」1科目を選

択履修する。

 2年次理系では化学基礎の

履修後に化学を履修する。

保体

◎7~8

芸術

 1年次の音楽Ⅰ,美術Ⅰ,書道

Ⅰについては1科目選択履修

する。

 2年次文系では1年次に選択

した科目と同様の科目を継続

履修する。

外国語

理科

各学科に共通する各教科・科目

国語

錦江湾学 3~6

合        計

H R 活 動

数学

週あたり総時数

科 目 単 位 数 計

2~6

科 目 単 位 数 計

学校

設定

教科

ロジック

プログラム

Page 56: 指定第1期目 29~33 ① · 2020. 8. 11. · 生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・ 科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

- 56 -

錦江湾高等学校 理数科

国 語 総 合 ◎ 4 5 5

現 代 文 B 4 2 2 4

古 典 B 4 2 2 4

世 界 史 A ◎ 2 2 2

日 本 史 B ○ 4 -② -② -④

地 理 B ○ 4 - - -

倫 理 ◎ 2 2 2

政 治 ・ 経 済 ◎ 2 2 2

体 育 3 2 2 7

保 健 ◎ 2 1 1 2

音 楽 Ⅰ ○ 2 - -

美 術 Ⅰ 〇 2 - ② - ②

書 道 Ⅰ ○ 2 - -

コミュニケーショ ン英語Ⅰ ◎ 3 3 3

コミュニケーショ ン英語Ⅱ 4 4 4

コミュニケーショ ン英語Ⅲ 4 4 4

英 語 表 現 Ⅰ 2 2 2

英 語 表 現 Ⅱ 4 2 2 4

家庭 家 庭 基 礎 ◎ 2 2 2

情報 * サ イ エ ン ス 情報 ◎ 2 2 2

22 17 16 55

理 数 数 学 Ⅰ 5 5

理 数 数 学 Ⅱ 5 5 10

理 数 数 学 特 論 1 2 2 5

理 数 物 理 - - - -

理 数 化 学 3 4 7

理 数 生 物 -③ -③ -④ -③ ⑦

理 数 地 学 - - - -

* サ イ エ ン ス 基礎 1 1 1

* サ イ エ ンス リ サ ー チ 2 2 2

* サ イ エ ンス キ ャ リ ア 1 1 1

10 15 16 41

総学

サイエンス基礎,サイエンスリ

サーチ,サイエンスキャリアで

代替する。

32 32 32 96

特別活動 1 1 1 3

33 33 33 99

入学年度 平成28年度

備  考教 科 科   目

学年1 2 3 合計

標準単位

各学科に共通する各教科・科目

国語

地理歴史

 日本史B,地理Bについては1

科目選択し2年次,3年次継続

履修する。

公民

保体

◎7~8

芸術

 音楽Ⅰ,美術Ⅰ,書道Ⅰについ

ては1科目選択履修する。

外国語

科 目 単 位 数 計

主として専門学科において開

設される各教科・科目

理数

◎4~9  理数数学特論は理数数学Ⅰの履修後に履修する。

 1年次は理数物理,理数生

物,理数地学から1科目選択

し,2年次,3年次は,1年次で

履修した科目以外から1科目選

択し,2・3年次継続履修する。

8~15

3~6

○4~8

◎4~8

○4~8

○4~8

科 目 単 位 数 計

錦江湾学 3~6

合    計

H R 活 動

週あたり総時数

Page 57: 指定第1期目 29~33 ① · 2020. 8. 11. · 生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・ 科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

- 57 -

錦江湾高等学校 理数科

国 語 総 合 ◎ 4 5 5

現 代 文 B 4 2 2 4

古 典 B 4 2 2 4

世 界 史 A ◎ 2 2 2

日 本 史 B ○ 4 -② -② -④

地 理 B ○ 4 - - -

倫 理 ◎ 2 2 2

政 治 ・ 経 済 ◎ 2 2 2

体 育 3 2 2 7

保 健 ◎ 2 1 1 2

音 楽 Ⅰ ○ 2 - -

美 術 Ⅰ 〇 2 - ② - ②

書 道 Ⅰ ○ 2 - -

コミュニケーショ ン英語Ⅰ ◎ 3 3 3

コミュニケーショ ン英語Ⅱ 4 4 4

コミュニケーショ ン英語Ⅲ 4 4 4

英 語 表 現 Ⅰ 2 2 2

英 語 表 現 Ⅱ 4 2 2 4

家庭 家 庭 基 礎 ◎ 2 2 2

情報 社 会 と 情 報 ◎ 2 ベーシックサイエンスで代替する。

20 17 16 53

理 数 数 学 Ⅰ 5 5

理 数 数 学 Ⅱ 5 5 10

理 数 数 学 特 論 1 2 2 5

理 数 物 理 - - -

理 数 化 学 3 4 7

理 数 生 物 -③ -④ -⑦

理 数 地 学 3 3

* ヘ ゙ ー シ ッ ク サ イ エ ン ス 3 3 3

* サ イ エ ンス リ サ ー チ 2 2 2

* サ イ エ ンス キ ャ リ ア 1 1 1

12 15 16 43

総学ベーシックサイエンス,サイエンスリサーチ,

サイエンスキャリアで代替する。

32 32 32 96

特別活動 1 1 1 3

33 33 33 99

科 目 単 位 数 計

錦江湾学 3~6

合    計

H R 活 動

週あたり総時数

主として専門学科において開

設される各教科・科目

理数

◎4~9  理数数学特論は理数数学Ⅰ

の履修後に履修する。

 理数物理,理数生物については,1科目選択し,2年次,3年

次継続履修する。

8~15

3~6

○4~8

◎4~8

○4~8

○4~8

芸術

 音楽Ⅰ,美術Ⅰ,書道Ⅰについ

ては1科目選択履修する。

外国語

科 目 単 位 数 計

標準単位

各学科に共通する各教科・科目

国語

地理歴史

 日本史B,地理Bについては1科目選択し2年次,3年次継続

履修する。

公民

保体

◎7~8

入学年度 平成29年度

備  考教 科 科   目

学年1 2 3 合計

Page 58: 指定第1期目 29~33 ① · 2020. 8. 11. · 生徒の科学への興味の深化充実、課題研究の情報庫としてSSH図書コーナーを設置する・ 科学図書の充実とインターネット環境の充実に努める。生徒個別化・主体化の推進。

- 58 -

錦江湾高等学校 理数科

国 語 総 合 ◎ 4 5 5

現 代 文 B 4 2 2 4

古 典 B 4 2 2 4

世 界 史 A ◎ 2 2 2

日 本 史 B ○ 4 -② -② -④

地 理 B ○ 4 - - -

倫 理 ◎ 2 2 2

政 治 ・ 経 済 ◎ 2 2 2

体 育 3 2 2 7

保 健 ◎ 2 1 1 2

音 楽 Ⅰ ○ 2 - -

美 術 Ⅰ 〇 2 - ② - ②

書 道 Ⅰ ○ 2 - -

コミュニケーショ ン英語Ⅰ ◎ 3 3 3

コミュニケーショ ン英語Ⅱ 4 4 4

コミュニケーショ ン英語Ⅲ 4 4 4

英 語 表 現 Ⅰ 2 2 2

英 語 表 現 Ⅱ 4 2 2 4

家庭 家 庭 基 礎 ◎ 2 2 2

情報 社 会 と 情 報 ◎ 2 ベーシックサイエンスで代替する。

20 17 16 53

理 数 数 学 Ⅰ 5 5

理 数 数 学 Ⅱ 5 5 10

理 数 数 学 特 論 1 2 2 5

理 数 物 理 - - -

理 数 化 学 3 4 7

理 数 生 物 -③ -④ -⑦

理 数 地 学 3 3

* ヘ ゙ ー シ ッ ク サ イ エ ン ス 3 3 3

* サ イ エ ンス リ サ ー チ 2 2 2

* サ イ エ ンス キ ャ リ ア 1 1 1

12 15 16 43

総学ベーシックサイエンス,サイエンスリサーチ,

サイエンスキャリアで代替する。

32 32 32 96

特別活動 1 1 1 3

33 33 33 99

入学年度 平成30年度

備  考教 科 科   目

学年1 2 3 合計

標準単位

各学科に共通する各教科・科目

国語

地理歴史

 日本史B,地理Bについては1科目選択し2年次,3年次継続履修する。

公民

保体

◎7~8

芸術

 音楽Ⅰ,美術Ⅰ,書道Ⅰについ

ては1科目選択履修する。

外国語

科 目 単 位 数 計

主として専門学科において開

設される各教科・科目

理数

◎4~9  理数数学特論は理数数学Ⅰ

の履修後に履修する。 理数物理,理数生物については,1科目選択し,2年次,3年

次継続履修する。

8~15

3~6

○4~8

◎4~8

○4~8

○4~8

科 目 単 位 数 計

錦江湾学 3~6

合    計

H R 活 動

週あたり総時数