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─ ─75 ( )
わめて貴重な事例である。しかしながら噴火が長期間に
及んだこともあり本噴火の推移の全貌をまとめて論述し
た研究は少ない。ここでは大正噴火の推移の全体像を把
握するための第一歩として,噴火の目撃記録や写真から
読み取れる現象を時間順に並べて整理する。
2 作業内容
大正噴火の推移はOmori(1914,1916b),Koto(1916),
山口(1927),鹿児島県編(1927)など多くの文献に記録
されている。特に震災予防調査会の大森房吉による一連
の報告(Omori,1914,1916a,b,1920a,b,1922)は,内容
も多岐にわたり非常に貴重な文献である。しかしなが
ら,1年以上に及ぶ活動期間の中で各著者が現地で調査
を行った期間は限られており,著者自身の調査期間中の
1 はじめに
桜島火山の大正噴火(1914-1915年)は日本で20世紀
に起きた噴火の中で最大規模の噴火事例である。この噴
火は鹿児島市街の目前で起きたこともあり,詳細な目撃
記録や写真が多く残されている。大正噴火では大量の溶
岩が流出して桜島が大隈半島と陸続きになったことや,
噴火後に鹿児島湾の中央部を中心に沈降が起きたことな
どが知られている。最初期には東西の山腹で大規模な火
砕噴火があり,降下軽石や溶岩流がもたらされた。その
後,爆発的噴火が断続的に起こるようになり,同時期に
始まった溶岩の流出は長期間続いた。噴火でもたらされ
た噴出物の保存は良好で,噴火当時の記録も多いため,
大正噴火は安山岩質火山の噴火様式の実態を知る上でき
安井 真也*・高橋 正樹*・石原 和弘**・味喜 大介**
The 1914-1915 Sakurajima eruption was the largest eruption in the 20 th century in Japan. Andesitic magma of about 1.5km3 in volume was erupted throughout the eruption. Several documents based on the investigation were published by Dr. Omori, Dr. Koto and others immediately after the eruption. In order to clarify the eruptive sequence in detail, records on this eruption including eye-witnessed accounts and photographs at that time have been compiled along time axis. Summarized table provides information on waxing and waning of the activity and indicates temporal variation in eruptive style. Whole view of the eruptive sequence is considered as follows. Pumice fall and lava flows were generated from the fissure vents on the western and the eastern flank of the volcano and pyroclastic cones were formed around the vents throughout the initial, vigorous, pyroclastic eruption for about several tens hours. After then, generation of lava flows associated with intense explosions lasted for several weeks on the both side. Thereafter, outflow of lava with intermittent explosions continued for more than one year on the eastern side. Although frequency and intensity of the explosions are considered to have decreased with time, it is characteristic that generation of lava was continuous and long-lasting on the eastern side.
Keywords : Sakurajima Volcano, the 1914-1915 Eruption, eruptive sequence, eruptive style
桜島火山大正噴火の記録
Records on the 1914-1915 Eruption of Sakurajima Volcano, Japan
Maya YASUI*, Masaki TAKAHASHI*, Kazuhiro ISHIHARA** and Daisuke MIKI**
(Received November 30, 2005)
* Department of Geography, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan
** Sakurajima Volcano Research Center, Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University: Sakurajima -Yokoyama, Kagoshima-shi, Kagoshima, 891-1419 Japan
* 日本大学文理学部地球システム科学科 : 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40** 京都大学防災研究所附属火山活動研究センター : 〒891-1419 鹿児島県鹿児島市桜島横山町
日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要
No.41 (2006) pp.75-107
1
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─76( )
成果を中心にまとめられたものが多い。噴火の開始に至
る過程と開始後約 1ヶ月半の期間の噴火推移に関する記
録は多いが(例えば,Koto,1916;Jaggar,1914,1924;山
科,1998,1999),本噴火の推移を俯瞰した文献は少なく,
特に活動後半の実態に不明な点が多い。ここでは各種文
献に記録された噴火現象の観察結果を抽出し,時間軸に
沿って日別に表にまとめた(表 1)。噴火は桜島の東西の
両山腹で起きたため,文献中の記述を西側山腹と東側山
腹とにわけて記した。記述内容はいずれも要点を簡潔に
記すように努めた。文献記録に表れた地名と大正噴火の
噴出物の分布を図 1に表す。図 1中の火口番号(1,2,3
……)は,表 1の東西山腹の各記入欄の記述の中で第 1,
2……火口と記した番号に対応する。日付が不明な記述
については日付欄にX日あるいは中旬などと記した。時
間表示には24時間制を用いた。表 1にまとめた文献の
記述内容のうち噴火様式あるいは噴出形態が読み取れる
ものについては,表中の噴火様式の欄に略号を記した。
略号の説明は表 1のキャプションを参照されたい。また,
いくつかの記述に関しては,本資料の著者によるコメン
トを表 1の備考欄あるいは東西山腹の各記入欄内に※の
記号に続けて記した。ここで扱った文献のうち,鹿児島
県編(1927)の第 1章第11節には,気象台の鹿児島測候
所の観測に基づいた噴火の経過日誌の内容が1914年 1
月11日から6月18日までについて掲載されている。当
時の鹿児島測候所は鹿児島市街地の北西方約 1kmの丘
の上に位置していた。噴火開始後約 2ヶ月間の日誌では,
正面に見える桜島の西側山腹を「前面」,山頂の向う側
の東側山腹を「背面」と呼び,どちらの山腹に由来する
現象か区別して記されている。日誌には測候所からの目
視観測による噴煙に関する記述が最も多いが,鳴動や空
振,降灰や硫黄臭など測候所の位置で観測された事項に
ついての記述も詳しく書かれている。空振や鳴動に関し
ては,1914年3月19日以降東西どちらの山腹に由来する
ものか区別がされなくなるが,3月上旬以降に西側山腹
の活動が静穏になったとみられることから(表 1),東
側山腹に由来すると考えられる。
写真による映像記録については,主にOmori(1916b),
Koto(1916)および鹿児島県立博物館編(1988)に収録
された図版を観察した。大森房吉らの調査時に撮影され
た写真の原版が現在国立科学博物館に保存されている。
ここではそれらの写真の観察も行い,表1では観察結果
の記述の後に博物館での整理番号を付した。これらの写
真のうち,Omori(1914,1916b)に掲載されていない写
真数点を写真 1に示す。また鹿児島県立博物館編(1988)
の写真集に未掲載で,現在同博物館に保管されている写
真も観察した。また噴火後に発行された絵葉書にも貴重
図 1 桜島火山大正噴火の噴出物の分布と文献に記された主要な地名の分布 降下火砕堆積物の等層厚線(cm)は小林(1986)による。
2
黒神
─ ─77 ( )
桜島火山大正噴火の記録
写真 1 桜島火山大正噴火当時の震災予防調査会による写真 (1) 西側最上部第 1火口内部の様子。成層構造と柱状節理の発達する溶結火砕岩の断面
が見える。1915年4月30日撮影。「横山方面第 1大火孔」科博整理番号541-06。 (2) 最上部火口付近から見下ろした西側山腹の堆積物の中流~下流域。手前には亀裂が
発達する火砕丘の斜面が,画面中央上にはブロック化する様子,画面中央上に溶岩
流の下流部,鹿児島湾をはさんで鹿児島市が画面上方に見える。1915年4月30日撮影。「横山方面鎔岩ノ出口」科博整理番号541-04。
1
2
3
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
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4
3
写真 1 桜島火山大正噴火当時の震災予防調査会による写真 (3) 咲
さっ
花か
平びら
から見た東側山腹の火口周辺と溶岩分布域。画面左上の白煙を上げるのが最
上部火口。1914年9~10月撮影。科博整理番号537-09。 (4) 南岳?より東側山腹の瀬戸海峡方面を撮影。1915年4月24日撮影。原画コメント「南
立ヨリ鎔岩流瞰下ス」科博整理番号541-07。
4
─ ─79 ( )
桜島火山大正噴火の記録
5
6
写真 1 (5) 東側山腹の最上部火口付近から見た鍋山の南方斜面。平滑な火砕丘斜面と鍋山の中間付近で爆発的噴火が生じている。1914年4月中旬撮影。科博整理番号536-06。
(6) 大隈半島牛根付近からみた瀬戸海峡。海峡を埋め立てた溶岩流が海水と接触し,盛んに水蒸気を上げている。鍋山付近の火口と後方西側山腹から噴煙が上昇。1914年4月撮影。科博整理番号536-07。
科博:国立科学博物館
5
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─80( )
な写真があり,ここでは主に鹿児島史料保存センター大
武文庫の絵葉書コレクションから2004年 1月開催の「桜
島大正噴火の絵はがき展」に出展された絵葉書を観察し
た。発行所の明らかな絵葉書については表 1中に発行所
名を明記した。これらの写真について現地形との比較か
ら構図を検討した上で,読み取れる噴火現象や噴出物の
特徴などを表 1にできるだけ客観的に記載した。
3 記録から読み取れる噴火現象とその時間変化
表 1からは東西両山腹における噴火活動の時期や噴火
の強度,噴火様式などに関する多くの情報が得られる。
任意の日付の記録に着目すると,複数の文献の記述がほ
ぼ同様の内容であり,写真の観察結果も文献の記述内容
と調和的である場合が多い(例:1914年1月23日東側,
1月24日西側,および 3月22日東側)。従って表1の記
載は,大正噴火の推移を表していると考えて差し支えな
いとみられる。
最初期の噴火では噴火開始後70数時間にわたって時
間~分単位での詳しい記述がみられる。西側山腹で起
きた現象の記述が多いが,鹿児島市街の目前で起きた大
噴火であったためと考えられる。1914年1月12日の午前
10時過ぎの噴火開始直後から東西山腹で噴煙が著しく
上昇し,垂直な噴煙柱からは大量の火砕物が降下したこ
とが特徴的に読み取れる。また西側山腹では複数回にわ
たって火砕流が流下した。東西山腹とも12日あるいは
13日に流出を始めた溶岩流が15日から16日にかけて海
へ流入した。東側山腹の溶岩流は徐々に瀬戸海峡を埋め
立て,1月末から2月初めに大隈半島に接岸した。爆発
的噴火に関しては,1月中旬から下旬にかけて東西山腹
とも旺盛で,頻繁に黒色噴煙を数1000mの高度まで上
昇させて降灰をもたらし,鹿児島市街でも鳴動や空振を
感じることが多かった。西側山腹の爆発的噴火は2月上
旬に特に活発で,毎時数回爆発があったが,それ以降発
生頻度や規模が衰退していったことがKoto(1916)や 鹿
児島県編(1927)から読み取れる。西側山腹では3月上
旬に時々白煙を上げる活動を行ったのを最後に活動が終
息したとみられる。以上の結果は,西側の噴火活動が東
側に比べて短期間で終了した事実を反映している。西側
山腹に流出した溶岩流の体積は東側の約 4分の 1である
(石原・他,1981)。東側山腹では2月中強大な爆発的噴
火が頻繁に起きたが,測候所では数回以内の鳴動を観測
するのみの日もあった。3月初めにはやや強い噴火が続
き,下旬には鍋山周辺の火口で溶岩が溢流しているのが
確認された(山口,1927)。2月から3月中旬頃までの期間
は,東側山腹で爆発的噴火が活発な時期と不活発な時期
が数日間隔で繰り返されているようにもみえる。その後
3月中旬から4月初めは比較的強い噴火が多かったよう
である。3月中旬以降は西側山腹に関する記述はほとん
どみられなくなる。鹿児島測候所の日誌は,雲により桜
島が目視できない場合においても,鳴動の頻発や降灰な
ど噴火を示唆する情報に富み,6月中旬頃まで東側で爆
発的噴火が断続的に起きていたことが読み取れる。4月
から6月上旬までの間は,時々激しい爆発的噴火がある
ものの,だんだんと活動が不活発となり,5月中旬から
は数日間静穏になる場合もみられる。6月中旬には強大
な噴火が続いたことから,「近来にない盛況で,活動の
再来か」と記されている(鹿児島県編,1927)。鹿児島県
編(1927)に掲載された日誌記録は6月中旬までの分で
あり,その後は9月中旬まで記録がほとんどみられない。
これは,この時期に調査を実施した研究者が少なかった
ためとみられる。ただし,山口(1968)は7月上旬に海
上から灼熱の溶岩が海へ流入する様子を目撃しており,
噴火活動の継続を示している。9月下旬以降は大森房吉
が調査を実施した時期の記録が主となる。調査は1914
年9月下旬,1915年4月,5月,および9月に行われ,そ
れぞれの間は記録の空白期となる。1914年9月下旬の調
査では東側山腹において爆発的噴火が断続的に起きてい
たことが記録されている(Omori,1916b)。10月下旬か
ら1915年1月上旬までの期間は,桜島南部の古里におい
て微動や爆発音が観測されている(Omori,1920b)。そ
の後の観測の終了により詳細は不明であるが,以上の記
録からは少なくとも1915年初めまで断続的に噴火が続
いていたものとみられる。1915年の春には爆発音を伴わ
ない爆発が時々起きていた (Omori,1916b)。この時期
には,ほとんど前進はしないものの,赤熱の溶岩が観察
されている。1915年9月の測量結果からは,1915年の夏
あるいは初秋頃まで東側山腹で溶岩流の流動が継続して
いたようである。
以上をまとめると,大正噴火は噴火様式の違いから3
つのステージにわけられる。各ステージは連続的に変化
したようである。ステージ 1は活動最初期の1914年1月
12日午前10時すぎに始まった火砕噴火で,西側山腹で
は30数時間継続した。東側山腹の火砕噴火は記録が少
なく継続期間が明確でないが,西側よりは早く終了した
ようである。ステージ 1では東西山腹ともに10km以上
の高度まで(山科,1999)プリニー式噴煙柱が立ち昇って
降下軽石をもたらすとともに,噴煙柱の根元では大量の
火砕物降下があった。小規模な火砕流も複数回流下し
た。ステージ 2では東西山腹とも数週間にわたって複数
の火口で頻繁に爆発的噴火が起こり,溶岩が溢流した。
6
─ ─81 ( )
桜島火山大正噴火の記録
※表1で引用した文献は,以下のリストに個々の文献番号を付す.
石原和弘・高山鉄朗・田中良和・平林順一(1981):桜島火山の溶岩流( I)有史時代の溶岩流の容積.京都大学防災研究所年報,24,B-1,1-10.
石原和弘・井口正人・加茂幸介(1985):桜島火山の溶岩流(II)大正溶岩流のシミュレーション.京都大学防災研究所年報,28,B-1,1-11.(文献9)
鹿児島県編(1927): 櫻島大正噴火誌.466p.(文献3)鹿児島県立博物館編(1988):大正三年桜島大噴火写真集.鹿児島県教育委員会,p.64.(文献11)
金井眞澄(1914):櫻島噴火略報.地学雑,26,369-378.(文献14)
小林哲夫 (1986) :桜島火山の形成史と火砕流.文部省科学研究費自然災害特別研究,計画研究「火山噴火に伴う乾
燥粉体流(火砕流等)の特質と災害」報告書,137-163.(文献10)
Koto,B. (1916): The great eruption of Sakura-jima in 1914. J. Coll. Sci., Imp. Univ. Tokyo, 38, Art 3, pp.1-237.(文献 2)
Jaggar, T. A. (1914): Letter from Sakurajima. Weekly Bull. Of Hawaiian Volcano Observatory, Vol. II, No.13, 48-52.(文
引用文献
献 4)Jaggar, T. A. (1924): Sakurajima, Japan’s greatest volcanic
eruption - A Convulsion of nature whose ravages were minimized by scientific knowledge, compared with the terrors and destruction of the recent Tokyo earthquake. National geographic magazine, pp.441-470.(文献 5)
Omori, F.(1914, 1916a, b, 1920a, b, 1922):The Sakura-jima eruptions and earthquakes I, II, III, IV, V and VI. Bull.Earthq.Invest.Commun., 8, 1-34, 35-179, 181-321. 323-343, 353-462, 467-518.(文献 1)
山口鎌次 (1927):桜島火山熔岩類の化学的研究.地質雑,34,1-28.(文献 6)
山口鎌次 (1968):小浅間熔岩円頂丘の頂上を貫く裂罅の起原についての新解釈.立正女子大学研究紀要,2,30-50.(文献 7)
山口鎌次 (1975):桜島火山の研究.日本地学教育学会,p.128.(文献 8)
山科健一郎 (1998):資料からみた1914年桜島大正噴火の開始と噴火に先立つ過程.火山,43(5),385-401.(文献12)
山科健一郎 (1999):桜島火山1914年噴火の噴煙高度-目撃資料の検討.火山,44(2),71-82.(文献13)
規模の大きい爆発的噴火では数千メートルまで噴煙が上
昇し,多量の降灰をもたらした。1914年 2月からのス
テージ 3の活動は東側山腹を主とするようになった。ス
テージ 3では穏やかな溶岩溢流が主であり,爆発的噴火
が断続したがその頻度は時間とともに低くなった。ス
テージ 3の継続期間は不明であるが,1年以上あるいは
最長で1915年秋まで溶岩の供給が続いた可能性がある。
以上の記録解析から明らかとなった噴火推移や考えられ
る噴火様式の実態の詳細については,別途報告する(安
井・ほか,投稿中)。
謝辞
国立科学博物館の大迫正弘氏には大正噴火の写真の観察に
際して大変お世話になりました。鹿児島県立博物館の桑水流
淳二氏には大正噴火の写真からの情報掲載の便宜をはかって
いただきました。日本大学文理学部非常勤講師の竹本弘幸博
士とNPO法人桜島ミュージアムの福島大輔博士には当時の写真や絵葉書についてご教示いただきました。日本大学文理
学部地球システム科学科の大野希一博士には適切な査読コメ
ントをいただきました。以上の方々に深く感謝いたします。
7
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─82( )
表 1
桜島火山大正噴火の日別記録と写真映像から読み取れる現象
表中の括弧内の数字(
x)は以下の文献番号に対応する。各文献の出典は引用文献を参照。
文献番号
1:
Om
ori (
Part
-I:1914,
II:1916
a,II
I:1916
b,IV:1920
a,V:
1920
b,an
d V
I:1922),
2:
Kot
o (1916),
3:鹿児島県編(
1927),
4:Ja
ggar
(1914),
5:Ja
ggar(
1924),
6:山口(
1927),
7:山口(
1968),
8:山口(
1975),
9:石原・他
(1985),
10:小林
(1986) ,11:鹿児島県立博物館(
1988),
12:山科(
1998),
13:山科(
1999),
14:金井(
1914)。
噴火様式の凡例
PL
INIA
N:
プリニー式噴火,
PFL:火砕流,
LFT
N:溶岩噴泉,
LAVA:溶岩流,
EX
P:黒煙を数千
mまで噴き上げる爆発的噴火。爆発音や空振,鳴動が観測される場合が多い。
噴火当時の研究者の調査期間
大森 房吉:
1914年
1月16日~
26日,4月
7日~
20日,9月
21日~
26日,1915年
4月18日~不明,5月
4日~
22日,9月
22日~
10月
2日,1916年
10月,1918年
5月
小藤文次郎:
1914年
1月15日~
21日,5月頃,1915年
4月18~
5月7日
山口 鎌次:
1914年
3月,5月,7月ほか多数?
T
.Jag
gar
: 1914年
2月9~
20日
桜島火山・大正噴火の記録
西 側 山 腹
東 側 山 腹
年月
日付
時刻
経過時間
文献の記述
( ):
文献番号
写真の観察結果
噴火様式
文献の記述
( ):
文献番号
写真の観察結果
噴火様式
備 考
1914
JAN
916時以後,桜島島内で有感地震が何度もあったらしい(
12),北岳の西側斜面で落石(
2 -p.58).
1010日以来,地震,鳴轟,崩壊等の奇現象があった.鍋山方面では
10日以来地震が頻発して人々は不安な状態が続いた(
3 -p.53).
11鹿児島市街でも地震が頻発.桜島では山体斜面の崩落が繰返された(
12),
3時11分無感の微震有.午後地震が頻発.12日の
10時までに合計
400回に及ぶ.多くは微震であったが弱震以
上は
33回あった.震動は主に水平動で上下動はきわめて軽微であった(
3).
12
8-
9時
8時御岳の西側で雲霧状の白煙上が
る(
3),山頂火口から白煙(
9).
有村で井戸から水が噴出する(
2 -p.67),桜島北麓でも湧水増大(
11),
8時
30分有村付近一帯の海岸で温湯
冷泉湧出して溢れる.有村温泉浴槽
には臭気ある泥水が噴出
.地盤の亀
裂各所(
3 -p.53).
9:10
山頂火口(南岳)から,5分後に湯の
平近くから白煙が上がる(
2).
9:58
9時
56分より, 火山灰, 礫, 砂,弾
を交えた黒色の噴気は渦巻き立っ
て,大小岩石は白い光芒を引いて
愛宕丘から西方と北方赤水,横山
等の山麓に落下し爆発する様名状
できない.海中に入るものは白烟
を上げる(
14).
噴火開始(
13),第
1火口から最初
の噴出, 爆発音はなし(
1-Ⅲ-
p.20
8).
10:05
0:00
引の平の北側の谷海抜
400
mの地点
から噴煙(
9),
10時
10分谷の基底よ
り火光が射出,声響が起こる(
3).
PLIN
IAN
西側の
5 -10分後,鍋山付近から噴
煙(
9),(西側で)声響が起こると
同時に南岳の背面にも大黒煙が昇
騰(
3).
PLIN
IAN
8
─ ─83 ( )
桜島火山大正噴火の記録
JAN
12
10:15
時々勢い凄ましく,噴煙はますま
す盛んに轟声をあげた(
3 -p.53).
10時
15分鍋山の南肩
400
mより噴
火.西側より幅の広い黒煙が濛々と
噴出,遠雷のように轟く鳴響ととも
に猛烈な爆発.天空高く吹き上げら
れた熱岩砂礫は火煙を曳いて縦横
に飛散落下した.熱岩砂礫が海上に
墜落して水煙を高く打ち上げる等,
西側に比べ猛烈を極めた(
3-
p.53).
鹿児島市から撮影.東側の噴煙
は認められない(県博
No.47,田
島写真館).
PLIN
IAN
10時
20分頃
東西
1150
mの長さにわたる垂直な
噴煙柱が
5000
m以上の高度まで上
昇(
1 -Ⅲ-
p.209).
東西の第
1火口付近から垂直噴
煙(
1 -Ⅲ-
Fig.6).
PLIN
IAN
Fig.6の写真からは東側ではこの時
点でまだ単一の火口からの噴火で
あり,噴煙の高さは約
1130
m(
1-
Ⅲ-
p.209).
10時
20-
25分頃,垂水から撮影.
東西の第
1火口付近から垂直噴
煙.この時点では西側に比べ上
昇高度がかなり低い.鍋山の辺
りでは噴煙が上昇していない(
1-Ⅲ-
Fig.6).
10:30 ~
11:00
10時
30分頃からさかんに巨大な岩
石が暗褐色の光茫を曳いて渦巻き昇
る黒烟の間噴出飛散しその状況は壮
絶を極めた(
3).噴火開始
20分後,
Fig.6によると噴煙柱高度はすでに
5000
m以上.東西ともに噴煙は北東
から東北東へ流される(
1-Ⅲ-
p.209),プリニー式大噴煙(高度
8000
m以上)とその崩壊に伴う小規
模火砕流.同様の状態が
1日以上継
続.家屋の火事がないことから火砕
流の到達は火口から
3km以内(
10).
PLIN
IAN,
PFL
PLIN
IAN
10:40
割れ目火口が西にむかって増える
(2).
10時
45-
50分頃,垂水から撮影.
東西とも垂直噴煙が盛大(
1 -Ⅲ
-Fi
g.7).
Fig.7の写真からは東側の噴煙柱の
幅は東西約
1300
m(1 -Ⅲ-
p.209).
10時
45-
50分頃,垂水から撮影.
東西とも垂直噴煙が盛大.鍋山
付近でも噴煙?(
1 -Ⅲ-
Fig.7).
PLIN
IAN
11時頃
1
厚い黒雲が恐ろしい爆発音と灼熱の
石の放出物とスパークスと同時に放
出され,13時まで継続(
2 -p.68),噴
煙柱の中で
“ den
se e
rupt
ive
smok
es”
が垂直に上昇.火口群から多量の
熱い溶岩片がガスと蒸気の白い尾
を引きながら放出される(
1-Ⅲ-
p.21
0).濛々とした黒煙が高く昇
り,11時
10分頃から降灰が降るの
が見える(
3-
p.53).
鹿児島城山公園より撮影.垂直
で巨大な噴煙柱が上昇する.噴
煙柱は第
1火口から西方にかけ
て1
kmぐらいの幅をもつ.噴煙
柱の途中からおびただしい数の
火砕物降下(
1 -Ⅲ-
Fig.8).
LFT
N
11時頃から黒神方面で焼失する家
屋がでた(
3 -p.53).
※降下火砕物による火災
鹿児島城山公園より撮影.山頂
の向こうに垂直な噴煙柱が上昇
するのが認められる(
1-Ⅲ-
Fig.8).
PLIN
IAN
9
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─84( )
JAN
12
11:30
大量の灼熱の石が激しい夕立のよ
うに火口から
3 -3.5k
mの海まで降
り注いだ(
2).
11時
30分頃より渦
巻き昇る黒煙の間から盛んに巨大
な岩石(~
9m)が暗褐色の光芒を
曳いて噴出落下するのが見える.
その噴出飛散の状況は甚だ猛烈を
極める.黒煙の中には無数の電光
が縦横に閃き渡り凄絶を極める.
戸障子が空震で鳴響を始める(
3 -p.53).
LFT
N
正午頃,瀬戸部落が焼滅(
3-
p.53).※降下火砕物による火災
14:00
4
正午より地震は減るが空振とうな
りが続き,どちらも頻度と強度を
増していった(
2-
p.66).濛々と
した黒煙白煙が全山を包む.鳴轟
次第に強烈となる(
3).
有村と脇で火災,鍋山周辺は黒い煙
に包まれる.鍋山で溶岩流流出開始
らしい(
1 -Ⅲ-
p.210).13-
14時
の間有村温泉場もすべて炎火の厄
にあった.いずれも茅屋だったため
高熱の焼石降下により発火した.脇
部落も前後して灰と化した(
3-
p.53).※降下火砕物による火災
LAVA?
東側:有村は
第1火口から
約2k
mの距離.
15:30頃
5.5
鹿児島市で爆発音きこえる(
1 -Ⅲ
-p.209).初めて爆声が起こり,
数百の砲弾が一時に天空に破裂す
るようだった.戸障子やガラス窓
はガチャガチャと鳴響を発するか
壊れ,人々は戦慄呆然となった
(3),爆発音を伴う激しい噴火に移
行(最高高度
8000
m)(
9).
15時頃から時間とともに噴火爆発
の度がしだいに強烈となった(
3-
p.53).
16時頃
6燃える溶岩片が海におちてしぶき
が上がる(
1 -Ⅲ-
p.210)※場所の
記載なし.
18:29
M7.1の地震発生
.地震の前に流動
性に富む溶岩が既に湯の平火口か
らゆっくりと這い下り始めていた
(2 -
p.67)※湯の平火口は第
2火口
とみられる,烈震と同時に火影拡
大,鳴轟強大(
3).
LAVA
18:30
8.5
横山と小池の家屋焼失(
1-Ⅲ-
p.214),
20時より爆声次第に募る
(3).
PFL
12か
13日の夜,第
6か
7火口から
溶岩流出.鍋山東方の南北方向の谷
に沿って流下.(
1 -Ⅲ-
p.252).
LAVA
19:30
鹿児島市沿岸に小規模な津波
(11).
10
─ ─85 ( )
桜島火山大正噴火の記録
JAN
1222:30 ~
22:40
12.4
最盛期(噴煙柱高度
1万m以上と推
定)(
1 -Ⅲ-
p.209).
小浜で焼石により森林火災(
1-
Ⅲ).※小浜は第
1火口の南東
4.7
km
13
1時頃
噴火が最高潮(
11),最も旺盛を極
める(
3).
822
最盛期終了(
1-Ⅲ-
p.209).
7時
半頃から灰に包まれて(山が)見え
ない.加えて爆音さらに烈しく,
一層淒壮の念を深くする(
14).
10時頃
24
最初の溶岩流は
12日の
20時
15分か
ら13日の
8時
30分の間に流れ始め
たという人もいる.13日
10時
33分
の写真ではすでに海岸に接近して
いる(
2 -p.67).
袴腰後方で噴煙が盛ん.溶岩の
末端崖が見える(
2-
pl-
V,
Fig.3).
LAVA
目撃談によると,第
6か
7火口から
瀬戸方面へ流下した溶岩は
10時ま
ですでに海に到達していたとみら
れる.これが正しいとすると,第
1か
2火口から有村の海岸まで
2.3k
mを平均時速
110mで流下したと見積
もられる
(1 -Ⅲ-
p.210,
p.253).
LAVA
終日
鳴動は
6時頃軽減するが,日中は間
断なく続く(
3),爆発的噴火が継
続(
9).
EX
P
午後
30
やや勢いが衰える(
10)日中以後は
爆発的な性質がかなり下がり,8000
-10000
mまでの高度は時間的に限
られていたらしい(
13),
17時頃島
影が初めて現れる(
3).
15時前後
山姿が認められる.最も活動の激
烈なのは
12日午前
10時から
13日
16時頃とみられる.軽石降下が終
わり,16時か
17時から溶岩を流出
し始める(
14).
20:14
34
最大規模の噴火(火砕流)(
9)火粉
山頂より山麓に連り,盛んに溶岩を
流出する.鳴動轟々爆声を連発し,
黒煙東方に,閃電縦横に放射し,北
岸で火災起こる(
3).
PFL
夕方溶岩を初めて噴出,その吐出は
急激であったが数日にして止んだ.
流下は
2月上旬まで続いた(
6).
LAVA
20:14 ~
20:30
全山真赤.赤生原など山麓の村落
全焼(
10).
20時
30分爆声止む.鳴
動が断続するようになり,戸障子
の振鳴がほとんど止む(
3).
PFL
夜
第1火口の北北西
4kmの距離の武
と藤野で数軒が焼失(
1-Ⅲ-
p.215).
PFL
20時頃
36溶岩流流出が目撃される(
1 -Ⅲ).
LAVA
東西山腹から溶岩流が溢流(
8).
LAVA
爆発音は弱まり,鳴動が断続(
9).
13夜
まで
第1-
3火口が活動.第
2火口は溶
岩流を出した最大の火口(
9).
11
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─86( )
JAN
14
7時以降
45
2時より
4時頃まで降雨あり.噴烟
の力が漸次衰える(
14).
1時以後噴煙はなお盛んだが鳴動
は.7時溶岩の噴気爆発盛ん.前夜
流下した溶岩は袴腰まで約
500
mの
距離で,幅約
2km,厚さ
6-
10m.
袴腰から沖小島付近の海上は一面
軽石に充ちるが正午頃までに南方
へ流出(
3),溶岩流は袴腰の背面
約600
mに到達.溶岩流の流速が激
減.前日
20時から
7時まで
245
m/h
が,7時から
18日正午まで
11m
/h,
その後
25日正午までに
2.4
m/hに
なった(
1 -Ⅲ-
p.234).
鹿児島市城山から見た西側斜面.
山上
1500
mほどの噴煙.溶岩流
上に噴煙が見える(
11-
No.18).
城山公園からの写真.1500
m位
の噴煙.袴腰後方に溶岩?その
上にも噴煙(県博
No.60).
LAVA
&
EX
P
鹿児島市城山から撮影.東側の
噴煙が見える(
11-
No.18).海
に流入する溶岩.水蒸気上昇が
顕著.垂水より北村氏撮影(県
博N
o.82).
EX
P
10:30
以降
48
2500-
3000
mの噴煙を伴う小規模
火砕流の繰り返し(
10).
17時頃か
ら溶岩の噴気衰える.横山の真東
海抜約
200
mの火口の活動が夜間著
しいが,日中に比べ衰退(
3).
※第
6火口?
17時鹿児島市城山より山口鎌次
撮影.1000
m位の噴煙.山口
(1967)立正女子大紀要第2図.
PFL
& E
XP
正午,東側についての情報なし(
2-
p.75).
17時城山より山口鎌次撮影.東
側からも噴煙?山口(
1967)立
正女子大紀要第2図.
LAVA
14以降
下位の火口(第
3-
5火口)が活動
(9).
EX
P?
15
10:30
72
溶岩の先端が袴腰の南の海岸の後
方100
mに到達(
1).大溶岩は徐々
に流下して海岸に接近しつつある
(3).
11時地質学者で最初に小藤文
次郎が現地に到着(
2 -p.76).
赤水海岸まで
200
mまでに溶岩
が迫る(
2-
p.l V
I -1)
.溶岩の
上に噴煙有(絵葉書).
LAVA
有村と脇で溶岩が海に流入(
1-
Ⅲ).
カリフラワー状の噴煙が数
1000
m?まで上昇(
2-
pl-
VI
-1).
LAVA
&
EX
P
10:45 ~
14:30
火砕流が数回発生.愛宕山方面に
13時
30分頃と
14時
15分頃の2回
黒煙が押し寄せ,海まで到達(
10).
10時
45分愛宕山上より黒煙高騰,
11時より鳴動は甚だ大きくなる
.14
時10分大噴煙(
3),遠雷のような
音に続く爆発音が終日頻繁に起き
た.午前中に粘性の高い溶岩が火
口から
3kmの距離の平らな海岸部
まで到達した(
2 -p.75).
15日午後,湯の平下方~袴腰東
方で割れ目噴火?(県博
No.61).
武より横山を見る.1000
m以下
の噴煙,冒険決死隊撮影(絵葉
書).
PFL
3時活発になる.第
2と
3火口が最
も活発
.溶岩が第
4火口を満たし,2
つの流れとなって流下.西の流れは
有村と脇を埋め,東は瀬戸を埋め
た.海岸から
10mまでになった.
西側の溶岩より流速が大きいと思
われる(
2 -p.77).
冒険決死隊による(南岳?)九合
目から見下ろした写真.東桜島
有村及び鍋山大噴火口の爆発の
光景.黒っぽいカリフラワー状
噴煙(絵葉書).
LAVA
&
EX
P
12
─ ─87 ( )
桜島火山大正噴火の記録
JAN
15夕方 ~夜
溶岩が海に到達.爆発はかなり衰
える.溶岩の勢いも衰える(
4-
p.131),
17時
15分鳴動一時止む,
夜に入り山麓溶岩上で爆発盛ん.22
時噴火が大いに衰える.22時
30分
7個の噴火口一列に連直して轟々
たる音響強し(
3),夜湯の平火口
からの溶岩流は暗い赤色の帯と
なって見えた.同火口は定期的に
暗い煙と赤熱の破片を放出した.
下方の火口は赤熱する巨大な溶鉱
炉のようだった.嵐の海岸で聞く
波の音のような音が周期的に聞こ
えた(
2 -p.77).
17時,海岸に到達した溶岩流,
袴腰後方と山上には噴煙なし.
烏島の北方の溶岩流は海に到達
し,水蒸気が上がる.烏島南方
に溶岩流は見えない.城山から
撮影(
11-
No.19).
袴腰上方の火口から噴煙.手前
の溶岩上にも小規模噴煙や火
柱?が認められる(県博
No.61,
64)前進中の小池ローブが写って
いる.割れ目火口付近から噴煙
(県博
No.62,63).夜,袴腰上方
と湯の平付近の火口で灼熱の火
柱が上がる(科博
551 -
06).
LAVA
&
EX
P
爆発は非常に激しいままである(
4-
p.131).
“黒烟中に空中電気の火花閃めけ
る状”大阪毎日新聞社(県博
No.233),鹿児島市から撮影.
山頂上
1000
m位の高さの噴煙が
見える(県博
No.61),高さ
2500
m位の噴煙,鹿児島埠頭よ
り夜撮影(
2 -Fi
g.16).
EX
P
16100
10時溶岩の縁が海に到達しつつあ
る現場を観察.未固結の溶岩トン
ネル中に形成された
spat
ter
coneか
ら周期的に爆発音がして黒白の煙
が放出するのを見る.家畜救出の
錦丸に乗船し,海上から溶岩を見
る.第
1火口から上がった白煙が色
になり,最後に
17時
15分に黒色噴
煙を上げて爆発した(
2-
p.78),
午後,溶岩流が海岸に達し,水蒸
気をあげている.時々爆発(
1).
前日より活動が強大になる(
9).
(鹿児島測候所より見て)溶岩の右
側は既に烏島に接繽し,左側は海
岸に接近しつつある.8時
3分鳴動
強く噴火盛ん.9時声響減少するが
9時40分鳴動強く噴火盛ん,55分に
は大鳴動.13時
25分,16時
50分,
17時,19時
35分,21時
32分,23時
噴火,鳴動.23時噴煙が南へ流れ
鹿児島湾に充満する.23時
46分強
い鳴動(
3).
流動性に富む溶岩が海岸に到達
し,塩分に富む水蒸気が上がる
(2 -
Pl-
VI -
2).
EX
P
瀬戸海峡で濃い白色の水蒸気が盛
んに上がる(
1-Ⅲ-
p.253),瀬戸
方面の溶岩は海に流入したらしい.
半ゆでの魚の群れが大隈の二川(牛
根二川)に出現.西に比べ活発で黒
色の噴煙が
2000
mまで上がる(
2 -p.78, 116 -
117).
東から見た桜島.南岳山上に西
側山腹からの噴煙?が南に流さ
れているのが見える.鍋山の火
口1付近からも噴煙(
1-Ⅲ-
Fig.76),大隈半島と桜島の間の
溶岩から水蒸気(
1-Ⅲ-
Fig.106).山上より鍋山の大噴
火.灰白色の噴煙(絵葉書,大
阪毎日新聞).
LAVA
&
EX
P
西側:数時間
おきに噴火
17
深夜から早朝にかけて市内で強い
爆発音を聴く.4時に大爆発.市内
は降灰で暗くなり,午前中ロウソ
クが必要だった.桜島は噴煙に厚
く包まれて状況不明(
2 -p.79),
13時火煙盛ん.15時,同
25分,34分
鳴動噴火強し.16時
20分噴煙薩摩
南部へ流布.23時頃より鳴動強大.
鹿児島市内では
4時
30分から夜半
まで降灰(
3).
烏島が埋まる寸前にある(
2 -Pl
-V
I -3) .
LAVA
&
EX
P
国分駅から溶岩の光を見るが,東側
の方が顕著だった(
2 -p.79),有村
を埋めた溶岩はさらに
300
m前進
し,先端は海中.海水を沸騰させ,
塩分を含んだ煙を上げている.瀬戸
方面への溶岩は
15時に海峡の幅を
18mまでに狭めた(
2 -p.81).
LAVA
13
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─88( )
JAN
18
11:30
121
5時から活動は静まる(
2 -p.82).
11時
30分から衰えていた活動が盛
り返し,爆発音と噴煙を伴う噴火の
強度が増す.火口は最も低い火口列
(第
4火口)に限られる(
1 -Ⅲ-
p.223).5時より鳴動が沈静化,朝
島影れる.烏島へ向かう溶岩からは
白煙が盛んに騰がる.8時
25分より
時々遠雷のような声響.10時
30分鳴
動(
3).
白っぽい
300
m程度の低い噴煙
が見える.赤生原沖より撮影(県
博N
o.68).
LAVA
&
EX
P
福山から瀬戸海峡まで調査に出か
ける.厚い軽石層を細かい火山灰層
が覆っていて歩行は困難ではな
かった.第
3と
4火口が最も活発で
初期に活動した第
1と
2の活動はな
し.周期的な爆発音と空振が第
3か4火口からの溶岩の溢流を知らせて
いる.両火口は地下で連結している
らしい.海峡の溶岩の縁までは近づ
けなかった(
2 -p.84).
麓より対岸を撮影(撮影時刻不
明).溶岩流先端と鍋山方面から
煙盛ん(
2 -PV
II-
3).
EX
P
午後
溶岩流が烏島に接近,北側の溶岩
は袴腰の
100
m以内に迫る(
1-Ⅲ
-p.223).
15時に烏島の北の縁に
溶岩が接岸する(
2-
p.82).
12時
20分轟鳴連続して数回.14時
36分
と51分に強い声音響.20時
37分,
21時
20分と
23時
5分強い轟鳴,噴
煙は南下して佐多方面へ及ぶ(
3).
上方火口(引の平北方)と,下方火
口の両方からの溶岩が合流(
14).
13時,袴腰より南方を撮影.※
画面手前に海が見えることから,
溶岩は袴腰に着岸していないら
しい(
2 -Pl-
VII-
1) .14時袴
腰後方の火口から
1000
m以下の
噴煙.(県博
No.66),
16時
20分
鹿児島から烏島を埋没中の溶岩
流を撮影.烏島南方では,現在
の分布域の南縁部分が海に流入
中らしい(
11-
No.21).
LAVA
&
EX
P
19
烏島は溶岩に包まれて場所がわから
ない.午後,軽石の浮流が著しく海
面の大部分を覆う.0時
15分,同
25分,同
47分,1時
37分等に鳴動強い.
2時5分より轟鳴強大,朝減少.11
時13分,15時
50分,17時
15分,21
時45分,22時
55分,23時
5分等に顕
著な鳴動(
3).烏島が完全に溶岩で
埋まる.前進する溶岩の速度は時速
5.6
mと見積もられる.市内で
14時
20分から降灰,18時頃激しく,19時
頃終了(
2 -p.105,
85).
西方の海上より桜島を撮影.袴
腰の背後で小規模噴煙.赤生原
側の溶岩の末端が見える.袴腰
南方の溶岩からの水蒸気上昇が
顕著(
1 -Ⅲ-
Fig.36と
58).午
後,最上部火口付近から?撮影.
画面右手に湯の平とみられる丘,
左手の火砕丘状高まりの上に噴
煙(県博
No.69 二ノ宮写真館).
LAVA
&
EX
P
国分で強い爆発音と空振を
13時
8分と
21分にきく.14時
50分のそれは
やや鋭かった(
2 -p.85).
西方の海上より桜島を撮影.東
側で高さ
1000
m以下の噴煙が南
方へ流されている(
1-Ⅲ-
Fig.36).
EX
P
14
─ ─89 ( )
桜島火山大正噴火の記録
JAN
20
1月
20日以降,時々爆発.溶岩下
の水やガスによる水蒸気爆発(
4 -p.131)海中への溶岩の流入により
溶岩原端からの水蒸気の放出が増
加する.烏島はすでに埋没し,そ
の位置は簡単にわからない(
1 -Ⅲ
-p.223).鳴動は止んだが火口は
周期的に静かなうなりを続けてい
る.167
mの愛宕山の丘は溶岩に埋
まっていないが,その南方は溶岩
で満ちている(
2 -p.86),
1時38分
と3時
23分,同
55分に大きい鳴動.
4時50分より
5時頃まで轟声が数分
時毎にある.8時
41分強い鳴動.10
時20分,11時
55分火稍盛んで音響
強い.火勢は徐々に衰退,火粉の
噴騰も減少.溶岩上の爆発は殆ど
止む(
3).
溶岩上に灰色噴煙(東京尚美堂
の絵葉書).
1月
20あるいは
21日
の写真に袴腰付近の溶岩と,割
れ目火口付近に低い噴煙が認め
られる(県博
No.70,71).
LAVA
&
EX
P
西側の爆発はほぼ止んだが,東側は
激しい.第
1-
6火口の爆発,第
3,6火口から灼熱の溶岩が噴出(
1-
Ⅲ).古里と有村沖では海水が混濁
して灰色がかった緑色である.暖め
られた海水の流れにより海上には
薄霧のような水蒸気が立ち込めて
いる(
1-Ⅲ-
p.224).鍋山の火口
を見に垂水から蒸気船に乗る.西側
に比べ非常に活発で,定期的に爆発
音を発し,空振と地鳴りがある.湯
の浜と野尻間の被害は少なく,軽石
も降っていない.しかし火山灰が一
様に地表を覆っている(
2 -p.86).
LAVA
&
EX
P
東側:海水の
混濁⇒溶岩が
海水と接触し
て細かく粉砕
されたためと
みられる.
21
(おそらく西側で)3300
mまで噴煙
が上昇,鹿児島で
17時以降爆発音
と振動(
1-Ⅲ-
p.224).
2時
25分
と3時
5分轟声強い.3時
41分強烈
な鳴動.同
50分から強大で連続す
る轟声.5時
7分一大轟声と共に噴
煙盛ん.同
50分連続する轟声.6時
35分やや強い轟鳴.7時
5分怒濤の
ような音響あり,同
30分頃から衰
えるが断続する.8時
33分強い轟
声.13時強い音響.その後著しい
異状はないが,夜また優勢になり,
19時より強大な鳴動.最高部の火
口より盛んに噴火.戸障子振鳴(
3)
※東側由来の鳴動が含まれている
可能性有.
EX
P
西側に比べ活発で,軽石や火山灰を
大隈の反対側の海岸まで降下させ
た(
2 -p.87).
1)黒神村より鍋山方面を撮影.
鍋山の東~北東方には溶岩は見
られない.最上部火口上には噴
煙なし.第
4~
7火口上で黒煙上
昇.2)黒神村端より鍋山方面を
撮影.鍋山内から手前に溶岩が
見える.後方では黒煙が上昇(大
阪朝日新聞社 桜島噴火写真
帳).
EX
P
西側:数時間
おきに噴火
22
噴火は引き続き優勢を持続し,数分
時毎に強大な鳴動を発して家屋戸障
子振撼する.(※東西どちら由来か
不明)2時
47分と
19時
50分に大きい
鳴動.3時より降灰,8時より濃厚と
なる(
3),湯の平火口での“
spat
ter
erup
tion”についてコメント(
2 -p.146)鹿児島市内が灰っぽい.爆
発音が大きい(
1 -Ⅲ-
p.224).袴
腰南方の溶岩流の北側(側端崖?)
の流速は
0.3
m/h.これは先端の
2.4
m/hに比べ非常に遅い(
1 -Ⅲ-
p.235).※昭和溶岩は
4m
/h以下
LAVA
&
EX
P
特に変化なし(
2 -p.87).
15
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─90( )
JAN
23
昨夜からの降灰が
5時止む.噴火は
衰えるが,鳴轟は断続する(顕著な
ものは約
19回).顕著な鳴動は
4時
55分.日中噴煙は東方へ流れる.
20時少量の降灰あり
23時止む(
3).
西側の火口群の噴火のエネルギー
は激減して,連続的な爆発は止ん
だ.上方の
2つの火口は活動停止し
た.溶岩の下流の方からの白い水
蒸気は
300
mの高さまで上がった(
1-Ⅲ-
p.224)
.
EX
P
幅400
m深さ約
15mあった瀬戸海峡
が幅
24mに.9時地震.深夜から地
すべりのようなうなり音.日中はお
そらく溶岩の溢流のために穏やか
だったが,夜またうなり始める.明
石権現が完全に溶岩に覆われた.鍋
山からの舌状溶岩が黒神の方へか
なり押し出した(
2-
p.87-
88).
噴煙中の水分と灰が混ざった強酸
性の泥雨が黒神のあたりで降る.青
いシルクのハンカチが赤くなった.
第3火口は爆発をしていて,6火口
では黒い噴煙の合間に灼熱の溶岩
を放出しているのが見えた(
1 -Ⅲ
-p.224 -
225).
北東から鍋山方面を撮影.鍋山
東方に黒神方面へ流下した溶岩
の末端が認められる,鍋山背後
からは噴煙上昇が顕著(
1 -Ⅲ-
Fig.78) .
LAVA
&
EX
P
24
未明より鳴動が強いのが
8時
30分
より衰弱する.噴煙は東北へ流布.
正午頃より噴火が微強となりが,
回数も減少し,白煙が盛んに上が
る.14時頃山容の全貌が見えた.
鳴動著しく約
40回に達する.20時
5分黒煙噴騰.多少の閃電を発する.
22時以後は轟鳴は止むが声響が伝
わる(
3).白煙が見えるのみで,
溶岩は塩分を含んだ煙を上げなが
ら非常にゆっくりと海へ流入して
いた(
2 -p.88).
海上を前進中の溶岩.袴腰の東
方の溶岩は白煙をあげる(
11-
No.22).
LAVA
&
EX
P
古里村の東縁から
1/3
kmの溶岩原
の西縁では,海岸から高さ
300
mま
での間で,強烈で実に嫌な塩素臭が
した.溶岩のサイドモレーンの基底
から幅
10mの間は,地表を覆った
火山灰が所どころ湿っぽく,薄い黄
色の皮で覆われていた.第
1火口か
らは白い煙が少し上がり,他の火口
からは
3000
mまで噴煙が上がって
いた(
1-Ⅲ-
p225).白煙に包ま
れているが東側はきわめて静穏
だった.瀬戸海峡は少し狭くなった
が,前日と同様の状態である(
2-
p.88).
明石権現の両側と瀬戸海峡で溶岩
が海へ流入.水蒸気の後方に第4
火口?の噴煙が見える(科博
530
-03).黒神の集落の向こうに鍋
山の噴煙(絵葉書).有村南方の
船上から撮影.灼熱部有,溶岩前
面の水蒸気盛ん(
2 -PX-
1).
垂水村小浜より明石権現両側での
海への溶岩流入
.水蒸気が盛んに
上昇.加治木中の中江氏撮影(県
博N
o. 141).
10時
40分溶岩先端
からの火山灰含む濃い水蒸気煙上
昇,後方鍋山付近で厚い噴煙が上
昇中(県博
No.16
2)垂水浜より荒
崎鼻で白色水蒸気 湯の浜ー有
村ー瀬戸海峡間で水蒸気?(県博
No.87)10時
40分濃い水蒸気煙が
海へ流入する溶岩の先端から上昇
(11-
No.23).
LAVA
&
EX
P
25
湯の平の火口はほとんど活動をしな
くなり,下方の火口も小規模な二次
噴火をするのみ(
2 -p.88).第
1火口は完全に静かで,青白い煙を弱弱
しく上げるのみ(
1 -Ⅲ-
p.225).
上部の大火口の活動はほとんど停
止,山麓の小火口が交互に小噴火.
10時頃より声響起こり,11時
15分
鳴動やや強い.夜間数回の轟鳴(
3).
※東側からの鳴動の可能性もある.
16時,鹿児島より撮影.2000
m以下の噴煙.袴腰付近でも小規
模な噴煙が上がる(県博
No.56
二ノ宮写真館).
EX
P
噴火旺盛,噴煙高い(
3).うなりを
あげ,全域が水蒸気に包まれてい
る.少量の降灰と火山ガスがたなび
く(
2 -p.88).
EX
P
1.25-
26頃
活動ほぼ鎮静化(
10).
20日以降
3~
4分から
6~
7分おきの間欠的な
噴騰となっていたのが,26日頃か
らは
20~
35分おきとなる(
14).
16
─ ─91 ( )
桜島火山大正噴火の記録
JAN
26
噴火は衰微に傾き,噴煙もまた減
少する.午後小噴火が断続的に発
現するのみで,著しい活動はない.
夜,各火口上わずかに火光が見え
る.溶岩の流下猶止まず,その先
端は殆ど神瀬,桜島間の中間に達
する(
3).
LAVA
7時,11時
42分,23時
51分にうなり
音.2000
mまで噴煙を上げ,依然と
して活発.全域が白い煙で包まれ
る.溶岩は海中を少し前進.瀬戸海
峡は
6m狭まって
18mの幅となり,
60度に煮え立つ海峡を船でこいで
いくことはできない(
2 -p.89).噴
火が盛ん.噴煙は山頂上約
1000
mまで達する.大きい鳴動が
2回.小
さい鳴動が
25回(
3).
EX
P
1.26
.頃溶岩流を流出する活動は終了.溶
岩の総体積
0.25
km3 (
9).
LAVA
&
EX
P
27
(大噴火開始後の)比較的規模の大
きな(爆発的)噴火の頻発は終了
(1
-V-
p.441).数分から
10数分お
きに小噴火を繰返すのみ.大きい
鳴動が
12回有(
3).溶岩流の動き
がほぼ止まる(
2 -p.89).
EX
P
15時の干潮時に海峡の幅は
9m,深
さ3.6
m.表面から
90cmが熱いが,
下方は冷たい(
2 -p.89).
大隈半島側の海岸より撮影,瀬
戸海峡埋め立てまであと
10mほ
どとみられる(
11-
No.25).
LAVA
28
上部の大火口は全く活動を終息さ
せたらしい.山麓の小火口から時々
噴火.勢力は甚だ衰退し煙量も減
少(
3).湯の平の火口の溶岩が動
かないのが明らかである.夜間の
溶岩の光は弱くなり,5点で見え
るのみである(
2 -p.89).
EX
P
この日(溶岩と大隈半島の間の)瀬
戸海峡を渡った人が3人.麓では定
期的な衝撃でなかなか眠れない(
2-
p.90),鳴動
30回(
3).※東側由
来かは不明
EX
P?
29
噴火の勢力は微弱.夜間に火口の
光影が薄弱であるが
5箇所で確認さ
れる(
3).
海峡埋め立て陸続きになる(
10).
噴煙依然として高騰する.轟鳴のや
や著明なもの
16回に過ぎない(
3).
活動活発で常に溶岩を流出してい
る.14時に起きた2次爆発のために
高さ
18mの溶岩が海峡を塞いでい
るのを福岡大学のグループが見つ
けた(
2 -p.90).最後の沸騰した海
水のプールが埋まった(
5).ついに
海峡がブロックアップした(
1-Ⅲ
-p.253).
LAVA
&
EX
P
30
特に何もなし(
2 -p.90).
西側でも噴煙?(
1 -Ⅲ-
Fig.80).
やや大きい鳴動
5回有.正午より噴
煙盛ん,16時
23分砲声のような鳴
動と共に黒煙高く噴騰(
3).
1月
30-
31日 激しい噴煙が東側で上が
る(
2 -p.90).
東から見た鍋山.第
2-
5と
7火
口から灰色の噴煙が上昇(
1 -Ⅲ
-Fi
g.80).
EX
P
31
噴煙が希薄となり最上部の大火口
壁が見えるようになる.中部の火
口も殆ど終息.山麓の
3箇所からは
時々微弱な噴煙.2回著しく噴煙上
がる(
3).
12時
30分爆発があり,
鹿児島市で空振(
2 -p.90).
EX
P
噴煙が優勢で,10時
20分と
15時
5分は顕著で,黒煙が高騰する(
3),
強い噴煙上昇(
2).
EX
P
17
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─92( )
FEB
1
毎時
2,3回小噴火を繰返す(
3).
4日間にわたり湯の平付近の火口は
静穏を保つ.5時
43分鹿児島市で地
震.14時
17分,16時
20分,19時
56分に強い噴煙の噴出とともに鳴動
がある(
2 -p.90).
EX
P
有村の近くに一つの島が出現(
T1
の溶岩島).後になって溶岩の先端
が海底から上昇したものとわかる.
16時の地震の際に強い爆発有.
Mr.
Schw
artsによると瀬戸海峡が完全
に閉塞した(
2-
p.90).噴煙膨大,
大噴煙をあげる.14時
17分,16時
20分砲声のような音響と大噴煙が
著しい(
3).
「鍋山爆発および同口より湧出セ
ル溶岩の廣原」二ノ宮写真館,
鍋山北東の溶岩流下の様子とみ
られる.鍋山南方の火口位置か
らは低い黒灰色の噴煙(県博
No.120).
LAVA
&
EX
P
2
毎時
4,5回噴煙が発現.2時
5分,
20時
35分,20時
43分鳴動強大,戸
障子振響(
3).夜間に
3,4回溶岩
が光る(
2 -p.90).
EX
P
活動度は増すが噴煙の量は減る.18
時55分,19時
15分,22時
56分に強
く鳴動(
2),昨夜来噴煙の量が減少
したらしい(
3).
EX
P
3
毎時
3,4回位噴煙が発現するが,
勢力は微弱で声響なし,海上溶岩
の白煙希薄となりその流下の漸次
停留に赴きつつあることを示す
(3).毎時
2,3回小爆発をするのみ.
0時10分の爆発時に溶岩が一度光っ
た(
2 -p.91).
EX
P
10時
10分黒煙昇騰,夜鳴動が断続
(3),なお活発で,夜遅くから翌朝
にかけて灰を放出.21時
57分に強
い爆発音.溶岩の先端は2方向とも
海に向かってわずかに押し出され
た(
2 -p.91).
LAVA
&
EX
P
4
毎時
1,2回位噴煙が発現
.11時
7分
強鳴.15時
40分から
17時過ぎまで
降灰.また
22時より少量の降灰
(3).
EX
P
2月上旬に東西共に溶岩流動停止.
しかし東では別の火口から新しい
溶岩(第
2期)を吐出,翌年の春に
及んだ.第1期の海岸線は戸柱鼻と
辰崎を結ぶ線内に留まる(
8).夜と
翌朝に灰を噴出し,大隈で降灰.21
時57分に強い爆発音.溶岩の前面
は両方ともゆっくりと海の方へ前
進していた.(
2 -p.91).
海潟より有村方面を撮影.有村
島はまだ埋まっていない.溶岩
先端
3箇所から水蒸気上昇が顕
著.後方にも噴煙あり(
1 -Ⅲ-
Fig.81).牛根海岸より対岸を撮
影.正面の溶岩の北側で溶岩が
海に流入中らしい.白色の水蒸
気がみられる.鍋山第4火口あ
たりから灰色噴煙.垂水の北村
氏撮影.(県博
No.92).
LAVA
&
EX
P
5
噴煙度数を増加し,毎時
4,5回の
轟鳴有.正午頃より毎時
1,2回に
減じまた低音となる(
3).噴騰が
さらに減少し,2月
5日頃からは
1日数回となる(
14).
EX
P
空振で戸障子振鳴する(
3).
EX
P?
6
噴煙毎時
1,2回に減少.0時
15分砲
声のような鳴動有(
3).
EX
P
東からの空振が
9時と
11時にあり,
市内でガラスがゆれた.19時
55分
には.溶岩の溢流の明るい光が見え
た(
2 -p.91).度々微弱な鳴動によ
り戸障子鳴る.9時からまた旺盛と
なり,16時
10分の鳴動はやや高い
(3).
LAVA
&
EX
P?
火映?
18
─ ─93 ( )
桜島火山大正噴火の記録
FEB
7
昨日と同様の状況.4時
46分の鳴動
はやや強いがその他に著しい現象
はなし(
3).
4時40分小爆発に伴っ
てやや強い鳴動(
2 -p.91).
EX
P
18時半から市内で降灰.東のどの
火口に由来するかは不明(
2-
p.92).正午,鳴動.6時
35分降灰,
夜は希薄になり
23時頃止む(
3)
有村南方の船上から
溶岩前面の水蒸気盛ん(
2-
PX-
2)
LAVA
&
EX
P
8
噴煙が上がる回数が著しく減るが,
微震と轟鳴,巨大な鳴動有(
3).
EX
P?
鳴動が断続して聴取されるが
9時以
降は北西風が強く到達しない.山頂
上500
mまでの高さまで噴煙が昇
り,大隈南部へ流布(
3),午前,大
隈海岸を襲った
a cl
oud-
burs
tによ
り牛根村で
400世帯が軽石と灰の洪
水につかった(
2 -p.92).
EX
P
9
水煙が盛ん.小轟声を数回挙げた
のみ(
3).穏やかで
3時
25分に一
度噴煙を上げたのみ(
2 -p.92).
EX
P?
2月中,灼熱の溶岩流が
3つの火口
(それぞれ上方に爆裂火口,下方に
溶岩流出口)から流出.高所から蛇
行する溶岩流が見えるが下方は視
界の外.流速は時速
30mほど(
5 -p.454).
13時に強い噴煙(
2-
p.92),
13時頃噴煙の昇騰が甚だし
いのが見えたが,その他には著しい
現象なし(
3).
LAVA
&
EX
P
10噴煙が出たのは数回以下で,概ね
微弱.21時
14分にやや強い鳴動
(3),特に何もなし(
2 -p.92)
EX
P?
噴煙盛んに昇騰する.18時やや強い
鳴動(
3).
EX
P
11
噴煙は終息に近い.数回の轟鳴を
聞くがどれも弱小である(
3).溶
岩は塩分を含む煙をまだ上げてい
る(
2 -p.92).
強い噴煙.18時
42分からうなり始
める(
2-
p.92)噴煙が引き続き旺
盛で,正午前後に山頂上
1000
m以
上の高さまで上がる,夕刻より時々
鳴動(
3).
EX
P
12
活動はほとんど終息するが,11時
17分大黒煙を昇騰する.鳴動はな
いが戸障子が振鳴する.小噴煙数
回(
3).
EX
P
18時
42分から時々遠雷のような声
響あり,噴煙は低い(
3).
EX
P
13
噴煙稀に発現するがその勢力微々
たり.6時
41分強い轟音と共に黒煙
噴騰,戸障子鳴る(
3).
23時に明る
くなり,23時
44分に鳴動(
2-
p.92).
EX
P
7時20分,16時,18時
41分に鳴動.
最後のものはやや強く,市内でガラ
ス揺れる(
2 -p.92).瀬戸海峡の溶
岩は
18mの高さ(
4 -p.131),噴煙
は前日と似る.16時以後鳴動が断
続,18時
41分強い音響止む(
3).
LAVA
&
EX
P
19
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─94( )
FEB
14
17時
40分小白煙を吐いたのを見る
のみ(
3).
EX
P?
通常通り強く煙を上げうなる.夜に
灼熱の溶岩が火口でぎらぎら輝く
(2 -
p.93),噴煙が依然として旺盛.
山頂より
1000
m以上の高度まで噴
煙昇騰.志布志方面へ流布.20時半
より遠雷のような声響が断続して
伝わる(
3).
閉鎖された瀬戸海峡(
11-
No.26).
EX
P
火映?
15
5時
13分噴煙高くあがる. 家屋
戸障子が振撼し続け,轟声有.近
頃希な噴煙現象を呈する.6時半よ
り降灰.直径
0.5
mmの太い砂粒や,
長さ
1m
mの細長い粒が降灰に交じ
る.10時
31分また轟声.正午から
は降灰が薄く,15時半に止む(
3).
EX
P
垂水で
2回目の火山泥流.2月
14,
15日第
2火口が最も活発(
1-
V-
p.462),活動旺盛,鳴動断続(
3),
数回ブーンという音を発し,市内で
降灰(
2 -p.93).
鍋山付近の溶岩の側面.厚さ
5m
ほどの塊状溶岩.垂水の北村氏
撮影(県博
No.137),鍋山東方の
溶岩.火山灰に厚く覆われた塊
状溶岩の側端崖.
T. J
agga
r撮影
(県博
No.221),鍋山付近の火口
から灰色噴煙上昇
T. J
agga
r撮影
(県博
No.222).
EX
P
16
わずかに噴気(
2-
p.93).著しい
現象はないが,14時
30分強い鳴動
と共に噴煙昇騰する.16時
40分希
薄な降灰,21時頃濃厚となり,23時
30分に止む(
3).
EX
P
22時
58分にうなり,空振が市内の
ガラスをゆらす.16時
40分からわ
ずかな降灰(
2 -p.93).明け方噴煙
の昇騰が盛ん.鳴動が断続(
3)(大
噴火開始後の)比較的規模の大きな
(爆発的)噴火の頻発は終了(
1 -V
-p.441).
EX
P
17
数回の小噴煙(
3),時折うなり,1
時28分に炎を上げ,7時
45分に白
煙を上げる(
2 -p.93).
EX
P
噴煙は低い(
2 -p.93),午前中噴煙
は低く東方へ流れる.午後昇高騰し
て巨大な積雲状となり,東方へ徐流
する(
3).
EX
P
1812時
21分小爆発.砲声のような声
響.戸障子振鳴(
3).
EX
P6時と
21時半にわずかな爆発音(
2-
p.94),
6時頃より轟々遠雷のよう
な声響(
3).
EX
P?
19
7時
50分と
11時
30分に小噴煙を上
げる.4日間にわたって桜島は霧に
隠される(
2 -p.94).
15時
6分小黒
煙,小鳴動.23時
30分小鳴動(
3).
EX
P
瀬戸海峡そばの海水温度測定~
58度(
5).空振(
2 -p.94).瀬戸海峡
のコンタクトが
45m高くなってい
る(
4-
p.131)※溶岩の厚みが増
加?
LAVA
中旬
1月から連続不断の鳴響は
2月16日よりやや鎮静し,または断続して来るに至る.17日
13時頃はほとんど鎮静した.その後微弱の鳴動はなお断続するが概して衰退し,20日
14時
30分頃
から一時轟声が全く鎮静することがある.このような静穏は爆発が開始後はじめての現象である(
3),(東側では)2月
9 -20日の間爆発は衰え,低い方の
3つの火口は爆発しなくなった.
しかし溶岩は溢流させていた(
4 -p.131).
207時
30分小轟音,噴煙が起こるが
その他の異状なし(
3).
7時半にう
なり音(
2 -p.94).
EX
P霧が噴煙を覆う(
2 -p.94),東側か
らの鳴動は伝わって来ない(
3).
217時
17分大鳴動,その後小鳴動
4回有(
3).
EX
P?
20
─ ─95 ( )
桜島火山大正噴火の記録
FEB
22
4時
56分強い鳴動.18時噴煙が認
められるが濃霧のため状況不明.22
時5分遠雷のような音響,22時
43分空震により戸障子鳴動.(
3).
EX
P
23
4時56分強轟鳴(
3).
EX
P?
6時
49分小轟声,9時
18分地震.噴
煙昇騰,巨大な積雲状になる.17時
4分以後時々鳴動.20時
48分やや強
い空振で戸障子振鳴(
3).
2時と
6時49分にうなる(
2 -p.94).
EX
P
24
5時
15分噴火,噴煙高く昇る.薩
摩南部から大隈北部に少量の降灰.
7時
45分から
20時
30分まで希薄な
降灰(
3).
0時44分から強いブーン
という音が聞こえ,10時
54分から
は5回聞こえた(
2 -p.94).
EX
P
22時
40分から
5回鳴動,遠雷のよ
うな声響(
3).
EX
P?
25
11時
18分と
15時
33分に小爆発
2回.東西ともやや活発(
2 -p.94),
2時41分強い轟鳴,3時
50分と
5時
40分空振伝わり戸障子が振鳴.14時
26分小爆発起こり,灰色噴煙を噴
き戸障子振鳴.その他小噴煙
3,4
回有(
3).
EX
P
午後噴煙また旺盛,噴煙が層積雲を
突破して高騰,南大隈へ流布.17時
10分頃より遠雷のような鳴動(
3).
午前中弱弱しい噴煙が午後に突然
高く凝乳状の噴煙に変わる(
2-
p.94).
EX
P
26
4時
47分鳴動(
2 -p.94).
4時47分
小轟声(※西側由来かは不明)10時
17分小爆発.火光を発して戸障子
が振鳴.続いてやや強い鳴響(
3).
EX
P
常に噴煙を上げる(
2 -p.94).鳴響
はなし.噴煙の状況は前日と変わら
ない.薩摩南部へ流布(
3).
EX
P
文献
2(K
oto,
1916)の記録
は3月
1日で
終了.
27
活動認められず(
3).
朝から
16時まで噴煙をかなりの高
度まで上げる.鳴動は
5回(
2-
p.94).朝から噴煙高騰,14時
30分
山影全く見えず,16時
30分以降に
朦朧と見える.鳴動は
5回(
3).
EX
P
28
17時
34分に黒煙を伴う激しい爆発.
鹿児島市で窓が揺れる.22時
53分
に鳴動(
2 -p.94).
1時より時々泥
雨降る.夜半に硫黄臭.17時
34分
小爆発,最近少なかった鳴動を発
する.黒煙が猛騰.22時
52分轟鳴
(3).
EX
P
常に鳴動があるが,比較的静穏(
2-
p.95).鳴動頻発.戸障子が振鳴.
夜,声響大きく,頻繁に聞こえる
(3).
EX
P?
21
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─96( )
MA
R
1
前日からの泥雨は
7時頃止む.6時
25分また小爆発し,噴煙が騰がる.
6時
51分にも小轟音.20時
39分や
や強い鳴動(
3).
EX
P
比較的静穏(
2 -p.95).鳴動が断続
して到来.煙灰は薩摩南部へ流布
(3).
EX
P
217時
20分轟鳴が約
1分間連続する.
その後小轟声二回有(
3).
EX
P?
8回轟鳴,23時
15分小鳴動(
3).
EX
P?
3
2時
30分より鳴動が
1時間ほど断続,
10時
37分にも鳴動,噴煙は高隈方
面へ流れる.午後噴煙の高騰顕著
(3).
EX
P
4
5時
1分,1分間の轟鳴が
1回(
3).
EX
P?
6時56分鳴動あり.10時ごろより噴
煙が高騰して正午頃には海抜
2000
mに及ぶ.14時
50分から鳴動
が遠雷のように断続して波及する
(3).海上の
3箇所で
2日前から水
蒸気の上昇が確認された.噴火前の
海岸線から
3km沖の海中まで溶岩
が到達したと考えられる.水深は
元々
128-
146
mあったのが
73-
113
mまで減じた(
1 -Ⅲ-
p.242).
EX
P,
LAVA
東側:溶岩の
前進は継続.
有村沖では現
在の溶岩の分
布範囲に到達
したらしい.
5
昨夜来静穏.今朝溶岩の岬端より
顕著な白煙の昇騰が見える(
3).
EX
P?
2時
30分頃から
6時まで少量の降灰.
午後噴煙が濛々と高騰し,大隈北部
へ流布.22時頃より鳴動.時々遠雷
のような声響を発する.10時
52分,
18時
36分に微震,19時
33分無感の
微震有(
3).
EX
P?
613時
12分白煙を吐き,轟声をあげ
る(
3).
EX
P?
5時
21分弱震有.雲霧のため噴煙の
状況不明.夜,小鳴動(
3).
EX
P?
7
21時
22分までに小噴気が数回(
3).
EX
P?
強い西風のため噴煙は低く,大隈中
部へ流布.22時頃より時々山頂の高
さ以上に噴高騰するのが見える.20
時8分以降は小鳴動は伝わらず(
3).
EX
P
8
8時
30分から
14時
30分まで市内で
少量の降灰.雲霧のため噴煙の状況
不明.10時
14分微震.12時
58分小
鳴動,13時
18分やや強い地鳴(
3).
EX
P
916時小噴気を発する(
3).
1時
20分小鳴動波及,4時
8分と
5時46分微震,17時噴煙蒸騰し山頂に巨
大な積雲状を呈する(
3).
EX
P
103時
30分と
4時
30分前後に小声響数
回.雲霧のため詳細不明(
3).
EX
P?
早朝鳴動
1回,
5時半頃より少量の降
灰.20時
37分以後鳴動頻繁(
3).
EX
P?
22
─ ─97 ( )
桜島火山大正噴火の記録
MA
R
11
1時頃より泥雨の降下著しい.4時頃
から
8時30分まで少量の降灰.煙灰
薩摩南部へ流布しつつあったのが
風向が変わり
20時頃からは大隈西
岸に沿って南下.前日来鳴動が断続
的に波及,夜半に止む(
3).
EX
P
12
噴煙高騰し
11時頃には濃霞のよう
になる.13時
40分頃より
15時頃ま
で少量の降灰.22時
55分以後鳴動
が時々微かに伝わる(
3).
EX
P
上-中
旬
7 -12日沈静(
3).
西側の活動終息
(9が
3を引用).
3月
11日,12日爆発の再発.3000
mまで噴煙,流れ続ける溶岩上に噴石
が多数降る(
5).
※鍋山東方への溶岩流の記述とみ
られる.
LAVA
&
EX
P
137日以来沈静していたが,
14時
23分
強い轟音と共に白煙噴騰.空振で戸
障子鳴る.17時
20分微震(
3).
EX
P1時
30分頃硫黄臭,2時過ぎまで微
量の降灰.噴煙高騰し大隈北部へ流
布(
3).
EX
P
14
0時
41分より時々鳴動.7時と
7時
55分にはやや強い鳴轟を発し,20分
間継続して鳴動.昇騰した噴煙は大
隈南部へ流布.0時
15分には昇騰著
しく西方へ鳴轟が伝わる.宮崎地方
では
0時
15分に音響と空振を感じ
る.夕方,無感地震(
3).
EX
P
15
湯の平(サンボンカキ)と引の平
の写真.サンボンカキの溶岩流
表面の陥落を示す(
11-
No.30
山口鎌次撮影).
※手前にオーバーハングしてい
ることから溶岩堤防とみられる
5時過ぎより鳴動が全く波及しな
い.17時
47分黒煙濛々として高騰
顕著(
3).
EX
P
16噴煙南東へ流れる.9時
12分小鳴動
数回波及.18時
30分より小鳴動
(3).
EX
P
17
2時
5分より時々空振.4時から希
薄な降灰,6時濃厚,午後灰交じり
の降雨.17時硫黄臭.20時
20分まで
小鳴動が時々あり.13時
37分と
21時
15分微震有(
3).
EX
P
18
9時噴煙南隅へ流布.16時
30分より
黒煙が上がり,その後白煙上がる.
次第に噴煙の量が増大し,18時
30分から小噴煙が断続的に昇騰する
(3).
EX
P
23
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─98( )
MA
R
19
3時
50分より小波動が鹿児島へ時々
波及する.10時煙灰で山影が全く隠
れ,主に大隈半島北部で降灰.10時
35分硫黄臭.鳴動断続.18時
29の声
響やや強い(
3).
EX
P
201時
15分鳴動がやや強い.6時
26分
空振.昨日より時々濃淡があるが降
灰が止まず夜半まで続く(
3).
EX
P
21
噴煙が直上して山嶺に壮大な積雲
状を形成し,大隈南部方面へ流れ
る.17時以後小鳴動
4回,極微地震
3回(
3).
EX
P
22
鍋山火口壁の南東隅を突破して出来
た新火口の底の西隅より新たに灼熱
した溶岩が流出しつつあった.南東
の方向に延々長蛇のような形で,第
1期溶岩の平坦な表面上を押し出し
ていた.溶岩表面は冷却して黒色
だったが内部は灼熱して昼間でも真
赤に見えた(
6),鍋山南東部の火口
底(第
6火口付近)から灼熱の溶岩
が徐々に流動.噴出口から
50mほ
ど下方までは幅約
10m,厚さ
1.5
m内外.細長い流れが先端では扇型に
拡大.先端は瀬戸海峡方面に到達し
ていたので
2月中旬か下旬に流出開
始と考える(
8).この頃は第
6火口
より上位の各火口は連続して爆発を
継続していた(
7).
14時および夜半
前後に数回小鳴動.空振
3回(
3).
鍋山の上方?より瀬戸海峡方面
を見る.瀬戸海峡を埋めた尾根
状の溶岩の北方に2次溶岩有(
2-
PXI -
2).鍋山上方火口より
噴煙.権現山よりみる第
3,4火
口からの噴煙(
11-
No.31),火
口底から流出する赤熱した溶岩.
後方に擂鉢状の火口が見える.
溶岩流周囲の斜面は火山灰に厚
く覆われている(
11-
No.32),
鍋山南西側大火口の黒色噴煙,
上方より第四位.(県博
No.252
山口撮影).
LAVA
&
EX
P
東側:鍋山東
方への溶岩流
を記述したと
みられる.
234時
37分やや強く戸障子振鳴.時々
硫黄臭.大隈中部で降灰(
3).
EX
P
24雲霧のため状況不明だが,大隈中部
へ噴煙が流れているらしい(
3).
EX
P
25
9時
2分巨大な黒煙が猛騰し,山頂
上1000
m以上に達する.10時ごろ
より薩摩南部へ降灰.23時
46分空
振(
3).
EX
P
26
7時頃から一時的に衰えて噴煙が低
い.午後からまた噴煙が盛んになり
白煙が濛々と南隅一帯の空に拡が
る.22時小鳴動
2回(
3).
EX
P
24
─ ─99 ( )
桜島火山大正噴火の記録
MA
R
27
早朝より薩摩南端まで降灰.11時頃
からは大隈南部へ降灰.11時
45分
巨大な黒煙が山嶺上約
1000
mまで
噴騰する.19時と
20時に小鳴動あ
り(
3).
EX
P
28早朝に北東へ流れていた噴煙は
徐々に南へ向きを変える.鳴動はな
し(
3).
EX
P
295時
30分頃から降灰.11時一旦止
み,20時頃からまた降灰.硫黄臭.
7時より小鳴動と空振(
3).
EX
P
30
5時すぎより鳴動なし.午前は雲霧に
隠れて噴煙の詳細不明.午後噴煙が
大隈中部へ流れる.(
3).15時咲花平
から撮影された写真に溶岩島は出現
していない(
7 -p.39)
有村方面で海へ流入する溶岩.
水蒸気が盛んに上昇.14時垂水
北村氏撮影(県博
No.145).
LAVA
&
EX
P
31
引の平直下の亀裂の発達する様
子.「浮石状溶岩ノ引ノ平方面流
下ノ状,亀裂の深さ
10から
15m」山口鎌次撮影 (県博
No.123).
1時前後小鳴動.朝から噴煙が高騰
し形状が壮大.噴煙は大隈中部以南
へ流布.午後には薄煙が四方へ充満
して濃霞のようになる.13時ごろ硫
黄臭(
3).
EX
P
APR
1
午前は大隈中部へ流れ,午後は北部
へ噴煙が流れる.18時
30分以後小
鳴動が波及し,夜半に止む.23時
12分強い音響(
3).
EX
P
2夜明け頃噴煙が高騰する.午後は薄
煙が四方に充満して濃霞のように
なる(
3).
EX
P
3朝から雲霧で状況不明.時々冠雲の
上に噴煙を見る.大隈中部に流れる
(3).
EX
P
4
4月 溶岩原に水蒸気のサークルが
認められる.高さ
50-
100
mの蒸
気の柱で,激しい雨の後は
300
mま
で上昇.一般に早朝に顕著で,晴
れた日の午後には見えない(
1 -Ⅲ
-p.243 -
247).
10時ごろより噴煙が大隈南部へ流
布(
3).
鍋山の西側の最高点より撮影.
第3と
4火口の爆発.第2火口
から流下する溶岩が鍋山の西と
権現山の間の谷に写っている(
1-Ⅲ-
Fig.82,83).
EX
P
東側:第
1火
口周辺の火砕
丘が撮影され
ている.
5噴煙全く上昇せず山背に隠れ南靡
しつつある.17時
40分以来時々小
鳴動(
3).
EX
P
67時から
11時頃降灰,17時また降灰.
断続的な降灰(
3).
EX
P
7白煙が積雲を形成し大隈中部に向か
う.19時
30分小鳴動
2回(
3).
EX
P?
25
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─100( )
APR
810時から噴煙上がるが強風のため
高騰はせず,高隈方面に流布.この
日鳴動なし(
3).
EX
P
9
溶岩原の南西の縁のそばの海水温
17-
40度(気温
13度)(
1-Ⅲ-
p.292).
噴煙の状況は前日来著しい変化な
し.7時
15分遠雷のような鳴動.19
時50分より夜半まで断続的に響く
(3).有村の溶岩の末端と側端では
たえず激しい音をたてて溶岩の崩れ
落ちが起きている.第
2火口で
12時
14分に爆発.同日中何度か爆発(
1-Ⅲ-
p.226).
LAVA
&
EX
P
10
7時
40分以降時々鳴動.煙灰が山頂
を越えて西側山腹から薩摩中部ま
で流布.9時
35分硫黄臭,続いて降
灰が
13時
20分まで続く.15時また
硫黄臭.鳴動は夜半以後聞かなくな
る(
3)鹿児島で何度か爆発音をき
く.障子が少し震えた(
1-Ⅲ-
p.226).
EX
P
11噴煙は高隈方面へ低く流れる.夜鳴
動(
3).
EX
P
中旬
12-
20
鹿児島測候所で降灰と小鳴動が数日
観測される.15日と
19日には黒煙の
猛騰が確認される.小鳴動は全く聞
かれない日もあれば,10数回観測さ
れる日もある(
3) .
※4月中旬からの
2ヶ月間の中でみ
ると,この期間はやや活発
12
赤生原側の溶岩は
4月中旬以前ま
でに前進が停まる(
1-Ⅲ-
p.237).
LAVA
3月22日に静穏だった火口が爆発性
となって2時間毎に猛烈に大爆発
をした.この爆発は
9月頃にも一日
数回起こったようである.溶岩流は
著しく分量を増し,火口は半ば埋め
立てられていた.3月
22日の火口に
接近を試みるが,少し東方にできた
新しい爆裂火口(第
7火口)から爆
発.現在壁に溶岩が露出する大火口
となっている.1914年秋頃まで
2時
間毎に間欠的に爆発(
8).牛根海岸
沖の海水温
52度,咲花平湾
31度(
1-Ⅲ-
p.294).
0時40分頃から降灰.
2時より濃厚となり絶え間なく降下
する.13時頃降灰止む.19時
14分小
鳴動(
3).
大森による
4月
7-
20日の間の
写真(牛根付近より瀬戸海峡対
岸の桜島南東海岸を撮影).瀬戸
海峡を埋めた尾根状の溶岩の後
方に別の溶岩が見られる.尾根
状の溶岩の手前には盛んな水蒸
気があがる.鍋山南の火口から
は低い噴煙上昇がみえる(科博
536 -
07).※溶岩が海へ流入中
とみられる.
LAVA
&
EX
P
26
─ ─101 ( )
桜島火山大正噴火の記録
APR
1516時と
19時に小鳴動数回.19時黒
煙が濛々と上がり,噴煙は大隈西岸
に沿って南へ流布(
3).
EX
P
18朝から鹿児島でかすかな鳴動が聞
かれる.少量の降灰(
1-Ⅲ-
p.226).
EX
P
下旬
21-
30
鹿児島測候所ではほぼ連日に降灰
と鳴動が観測される.26日は
11時
13分に鳴動が連続数回あり,午後
にも遠雷のような鳴動が
3回あっ
た.4月
28日には噴煙が昇騰し,多
量の降灰があった.29日は午前から
正午過ぎまで濃淡があるが絶え間
なく降灰.午後は毎時
1-
2回発作
のように鳴動があった(
3).
※4月
中旬からの
2ヶ月間の中でみると,
この期間はやや活発で,降灰が多い
のが特徴.
/東側の海域で
4月下旬
に音響測深が実施される.溶岩の前
面の沖合への一定の流動と二次溶
岩によって分布に変化が生じた(
2-
p104
脚注
1) .
MAY
上旬
1 -10
降灰,鳴動ともに
4月下旬に比べ頻
度が減る.1日と
4日の早朝に鳴動
が断続する.5日にやや大きい噴火
があった(
3).
※この期間は
4月下旬に比べやや不
活発
5
昨夜からの降灰が
13時
40分すぎに
止む.午前中鳴動
3回,10時
15分過
ぎより噴煙上騰,濃霞を突破して積
雲状.0時
51分微震,18時
13分鳴動
(3).
EX
P
9
鍋山南西の
230
mの谷底の火口(第
4火口直下)からの溶岩溢流を観察.
第1期の溶岩の上を徐々に流動.幅
10m位で,銀杏の葉のように拡大.
爆発することがなく,静かに溶岩を
溢流していた.流出口の上に爆裂火
口有,時々活動(
8).
LAVA
&
EX
P
東側:明石権
現北方の溶岩
流の記述とみ
られる.
中旬
11-
20
測候所で小鳴動が観測されたのは
11日と
12日のみ.11日
2時
11分地
鳴と有感地震.4日間ほど噴煙が
時々上昇するが,いずれも北西風に
遮られて低流する(
3).※この期間
は活動が比較的静穏
27
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─102( )
MAY
174月以降7月初めまでの間に溶岩島
出現(
7 -p.39).
高さ
122
mの海老の塚より黒い
噴煙をあげる第
5火口を撮影.
手前は溶岩流(
2 -Fi
g.29).
EX
P
1617時頃から溶岩中より濃厚な白煙
が積雲状に約
1000
mまで著しく昇
騰(
3).
EX
P?
西側:水蒸気
爆発?
下旬
21-
31
ほぼ連日に鳴動が鹿児島測候所で
観測される.22日は連続的,27日は
断続的に鳴動があった.噴煙が盛ん
に上昇する日が多い.25,27および
28日はやや大きい噴火があり,轟
鳴,空震,噴煙高騰,降灰が記録さ
れる(
3).
※5月中旬に比べ活動が活発
22
8時
10分より連続的に鳴動.噴煙は
昇騰するが四方に拡散して濃霧の
ような形状.14時
30分噴煙昇り薩
摩中部へ流布(
3).
EX
P
25
0時
39分小鳴動.11時から
15時少
量の降灰.13時
12分轟鳴強く空震
により戸障子が振鳴.午後
2回の声
響あり,17時に噴煙高騰し,鳴響を
6回聞く(
3).
14時半,咲花平より牛根方面の
溶岩を撮影.東西に長く伸長す
る尾根状の溶岩上に水蒸気の上
がる東西方向の亀裂が複数見ら
れる.北方には溶岩は見られな
い.溶岩の西方の延長上には溶
岩島が複数認められる.垂水北
村氏撮影(県博
No.
135),
17時半,
咲花平より有村方面の溶岩を撮
影.溶岩の先端に黒色の爪状部
分が複数認められる.有村島が
見える.潮吹崎で白煙上昇?垂
水北村氏撮影(県博
No.
136)14
時30分瀬戸海峡方面を撮影.
EX
P
261時
20分強い空振があり戸障子振
鳴.8時
20分から少量の降灰と硫黄
臭(
3).
EX
P
27
終日降灰.12時
29分から
19時
20分
の間に断続的な小鳴動
11回.日中
は鳴動を聞かないが,23時
20分頃
遠雷のような声響(
3).
EX
P
28
引き続き降灰.時々大粒の灰が降下
する.5時
43分小鳴動とともに噴煙
上昇.降灰で山影がほとんど見えな
い(
3).
EX
P
28
─ ─103 ( )
桜島火山大正噴火の記録
JUN
上旬
1 -9
鹿児島測候所で鳴動あるいは声音
響が
1-
2回きかれた日が数日ある
のみで,降灰の記録はない.5日と
10日以降は煙が多少上昇するのが
見えた日が数日.5日
9時
30分白煙
が2000
mまで昇騰(
3).※静穏
1
6月
1-
8日静穏(
3).
6月海軍によ
る測深結果によれば,溶岩の先端は
元の海岸(明石権現)より
1600
mの
ところに有る(
1 -Ⅲ-
p.244).
54日以来時々噴煙が上がるが鳴動は
なし.9時
30分頃白煙が昇騰,約
2000
mに及ぶ(
3).
EX
P
919時過ぎから噴煙上昇し,大隈中
部へ流布(
3).
EX
P
中旬
10-
15※
4月中旬以降,最も活動が活発
10
4時頃から噴煙が高騰.11時
46分黒
煙昇騰と鳴動,同
53分噴煙の昇騰
が顕著で近来にない盛況.23時
25分より翌
2時
30分まで測候所で降
灰確認(
3).
EX
P
11
10日より噴煙が依然として優勢で,
鳴動と空振を伴う.0時
15分大黒煙
が猛騰し,鳴動強大.同
25分強鳴
と空振.4時頃やや衰えるが噴煙は
なお高騰して薩摩南部へ流布.10時
頃測候所で硫黄臭を確認.煙灰が山
体を包む.昨今の状態は活動の再来
かと人々の注意を惹いた(
3).
EX
P
12
2時
12分強い轟声.昨日より引き続
き噴煙と鳴動が旺盛.15時頃から雲
霧で噴煙の状況は不明だが,高騰し
ているらしい.18時
50分鳴声が強
く,間断ない(
3).
EX
P
13
12日朝より声響はしないが噴煙なお
顕著.15時
10分約
1000
m以上まで噴
煙が昇る.23時黒煙猛騰.13日
2時す
ぎより時々鳴動.8時噴煙が依然とし
て多量に噴出(
3).
EX
P
29
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─104( )
JUN
14
22時
24分強大な空振.5時より噴騰
再び旺盛となり薩摩中部へ流布.8
時10分頃から濃厚な降灰と硫黄臭
が(鹿児島市方面へ)襲来.10時
50分より小鳴動が間断なく,時々空
振.降灰は
15時
30分まで続く.そ
の後も噴煙高騰,23時
20分強い空
振(
3).
EX
P
150時
27分強い空振.同
44分は極め
て強大な空振.煙灰は大隈北部へ低
流.5時以降鳴動は聞こえない(
3).
EX
P
16-
18
16-
18日噴煙は高騰せず,鳴動も
なし.16日
22時
20分から
23時
30分
まで時々遠雷のような声響がきこ
えた(
3).※静穏
EX
P?
文献
3の鹿児
島測候所日誌
は18日までで
掲載終了.
JUL
上旬
7月上旬 船上より灼熱した溶岩が
流れ出る様子を目撃.連続的に崩壊
する溶岩から水蒸気が
100
m以上の
高さまで上昇(
7).
LAVA
AU
G
7
牛根村の麓海岸より瀬戸の溶岩
を望む.鍋山付近で水蒸気上昇.
瀬戸海峡を埋めた溶岩の北方に
水蒸気が見える.山口鎌次撮影
(県博
No.140).
x
第
4火口が最も活発.第
3,5,
6” ,
7火口も時々爆発.古い溶岩の割れ目
から新しい溶岩が見える.有村で溶
岩前進(
1 -Ⅲ-
p.227).
鍋山付近噴煙なし,第1火口
からは水蒸気(科博
537 -
01).
LAVA
22鹿児島で低い鳴動を
20-
21時に
2度聞く (
1 -Ⅲ-
p.227).
EX
P?
23
引の平の上で(調査中),
13時
23分と
13時
31分に爆発音を聞く.硫黄臭
は4月に比べずっと弱い (
1 -Ⅲ-
p.228).
EX
P
SEP
24
垂水のほうから
17時
45分に第
7火
口から灰色の噴煙が
860
mぐらいま
で上がるのを目撃.ブーンという音
が3秒続くが振動はなし.その後
18時
23分に第
3,4火口から巨大な
花火のような噴火(
1 -Ⅲ-
p.228).
EX
P
30
─ ─105 ( )
桜島火山大正噴火の記録
SEP
25
垂水から観察.11~
17時の間に第
3,7,
5火口が爆発(
1-Ⅲ-
p.22
9).湯の浜沖の海水温は
50-
57.5度.海底の溶岩から気泡が上
昇する(
1-Ⅲ-
p.29
6) ,有村沖に
突出する溶岩海岸の
400
m沖で
34.7
-40
.7度(
1-Ⅲ-
p.29
5,T
able
X
IV).
LAVA
&
EX
P
26
鍋山の東の低所の
2箇所の火口から
時々爆発.割れ目の端からは溶岩流
が流出を続けている.夜に起きた第
4火口の爆発では赤い灼熱の溶岩塊
が350
mの高さまで放出された(
1 -Ⅲ-
p.229).
LAVA
&
EX
P
東側:第
8火
口を記述した
ものらしい.
27
日中は静穏で,第
3火口からの小規
模噴煙を観察した.15時すぎに湯の
浜から強いブーンという音を
2回き
く.このとき,垂水でも爆発音と振
動が感じられた(
1-Ⅲ-
p.229).
湯の浜村の東縁と溶岩の西の縁の
距離は
342
m.時々溶岩の側面と前
面から溶岩塊の崩れ落ちがあった
(1 -Ⅲ-
p.237).
LAVA
&
EX
P
地表を前進す
る溶岩流の記
録.
28
第4火口での噴火を
2回
8時
24分と
8時
25分に垂水から目撃.桜島と同
じ高度まで到達するのにそれぞれ
46秒と
48秒かかったので,平均の
上昇速度は
19m
/sである(
1 -Ⅲ-
p.230).
EX
P
3021時
53分にブーンという音が鹿児
島で聞こえた(
1 -Ⅲ-
p.230).
EX
P
9-
10月 第
3と
4火口は花火のよ
うな噴火を依然として続ける(
1-
Ⅲ-
p.205).
OC
T2
午前
8時代と
14時代に
2回づつ船
上から鍋山の東のベースにある第
7火口からの噴火を目撃(
1-Ⅲ-
p.230).
10月
2日海老の塚の火口か
ら水蒸気上がる.他にも同様の井戸
がいくつかあった(
1 -Ⅲ-
p.201),
黒神から第
3,4,
7火口の爆発を目
撃.薄い白煙の放出に続いて大音響
が起こり,低い音のみを生じて黒煙
が噴出した(
1 -Ⅲ-
p.220).
EX
P
31
安井 真也・高橋 正樹・石原 和弘・味喜 大介
─ ─106( )
DE
C
噴火開始後すぐに複数の火口から
流出し始めたステージ1の溶岩は,
噴出率が急激に下がり,1914年の終
わりまで流出を続けた(
1-Ⅲ-
p.301).
7月上旬に目撃した溶岩は
沖合いへ伸長を続け,12月には見違
える位まで伸び出していた.12月に
海中に突出した溶岩流を撮影した
写真では,溶岩の先端から白煙が上
がっているため,流動は
1915年の
初めまで続いたらしい(
7).
LAVA
1915
APR
春
3月末から
4月始めにステージ
2の
溶岩流出開始(
1-Ⅲ-
p.301),溶
岩は徐々に流出したものであり,先
端の活動は
4月頃まで続いたようで
ある(
6).
LAVA
6
有村方面で(溶岩)の流出が目撃さ
れる.鹿児島県の技術主任・大井氏
によると強力で爆発を伴う水蒸気
が溶岩の周縁で上がる(
1-Ⅲ-
p.302).
※おそらく溶岩の前進を目撃.
LAVA
21
湯の浜では
side
mor
aine(側端崖)か
らの溶岩塊の崩れ落ち(
cru
mbl
ing
dow
n)はなし.有村方面の溶岩の先
端から白い水蒸気が上がる場所がい
くつかある.鍋山登山中に,鍋山南
東山腹に立ち枯れた木がある場所
を発見.溶岩に覆われなかった場所
である(
1 -Ⅲ-
p.237,
p.252).
※陸上での溶
岩流動はな
し.
24
鍋山第
4火口の火口底にルーズ
な溶岩(灼熱?)有(
1-Ⅲ-
Fig.91).鍋山第
4火口付近から
瀬戸海峡までを南立(南岳山頂
部?)から見下ろす.第
1火口周
辺の火砕丘や第
4火口からの黒
色の溶岩が見える(科博
541-
07),鳥足状溶岩デルタの写真.
溶岩の先端で水蒸気上昇あるい
は灼熱部が光る.
※南立(南岳山頂部)より撮影?
(2-
Pl-
XII-
Fig.1,
2).
32
─ ─107 ( )
桜島火山大正噴火の記録
APR
x
4 -5月 複数箇所から水蒸気が上
昇,「有村崎」,「潮吹崎」と命名(
1-Ⅲ-
p.307),第
4火口の爆発音を
伴わない小規模な
outb
urst(
1 -Ⅲ-
p.231).4月東側第
4火口で細長い
U字型の小丘を観察.元はアーチ状,
洞窟状の(溶岩流の)通路だったも
のの天井が軸に沿って陥没したもの
らしい((
1 -Ⅲ-
p.197,
Fig.100).
権現山より見た,鍋山北西部の
溶岩(※火砕成溶岩状)(
1-Ⅲ
-Fi
g.84),鍋山第
4火口の小爆
発(
1 -Ⅲ-
Fig.86),
第4’火口
直下の
U字型の溶岩の供給源(
1-Ⅲ-
Fig.100).
EX
P
23-
28(溶岩の)先端には赤熱部が見られ
たが,前進はみられなかった(
1-
Ⅲ-
p.309).
25
古里から瀬戸間,有村の溶岩の
50m沖と,溶岩島内側の小さい池
の海水温~
41度(
1-Ⅲ-
p.298,
Tabl
e X
IV).
MAY
4第
6’と
7火口の縁からわずかに噴
気が上がるのみで他の火口は静穏
(1 -Ⅲ-
p.190).
5
爆発音を伴わない小爆発が第
4火口
から起きた.カリフラワー状の噴煙
はピンク色で最大
700
mまで上昇し
た(
1 -Ⅲ-
p.231).後免から新島,
牛根から新島付近の海水温
43.5度(
1-Ⅲ-
p.300).
EX
P
x黒い溶岩の供給源である第
4’火口
内では,空気が激しくちらちら揺れ
ていた(
1 -Ⅲ-
p.187).
SEP
x
鹿児島県が実施した水深測量の結
果を
Fig.24に示す.1914年
4月と
1915年
9月の溶岩の分布には著しい
変化がみられる.海へ向かう溶岩の
前面のコンスタントな移動と二次
溶岩によるものである(
2-
p.104,
脚注
1).
22辰崎,江ノ島,潮吹崎間の角度を計
測.4/
23-
9/22の間に
14m前進(
1日
10cm)(
1 -Ⅲ-
p.30
9).
LAVA
年月
日付
時刻
経過時間
文献の記述( ):
文献番号
写真の観察結果
噴火様式
文献の記述( ):
文献番号
写真の観察結果
噴火様式
備 考
西 側 山 腹
東 側 山 腹
33