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日本企業の競争力の現状と課題
資料5
平成24年4月
経 済 産 業 省
(1)コスト競争力について検討するに当たっては、インフラ輸出の主力であり、かつコスト競争力についての課題が顕在化している分野として、以下の分野をとりあげながら議論を行ってはどうか。①発電プラント(石炭火力発電、ガス火力発電)②石油関連プラント(産業構造ビジョンの主要11分野には含まれていないが国際的な
検討の視点
○インフラ輸出における競争力強化のための検討を行うに当たっては、競争力の現状(資料4)を踏まえ、(1)分野ごとのコスト競争力、及び(2)面的開発への構想段階からの関与について、その現状と課題の検討を行うべきではないか。
②石油関連プラント(産業構造ビジョンの主要11分野には含まれていないが国際的な競争が厳しくなっている分野)
(2)上流段階における面的開発への構想段階からの関与によって我が国のインフラ受
注獲得を目指すアプローチについては、インフラ輸出の重点分野であり、かつこうしたアプローチと親和性の高い分野として、以下の分野を取り上げながら議論を行ってはどうか。③スマートコミュニティー④鉄道
1
検討の論点
1.国際的な連携○価格競争力を向上するためには、日本での生産を過度に意識することなく、第三国・現地への工場立地や、第三国・現地企業との連携や海外人材の活用が有効な場合があるのではないか。
○「オールジャパン」「O&M(運営・保守管理)を含むパッケージ型」であることを過度に意識することなく、付加価値の高い部分や集中すべき部分以外については、外国企業とコンソーシアムを組むことで、受注競争力が向上する場合があるのではないか。また、調達者の調達方針(要求スペックや評価方法等)を、自らのチームの製品が有利になるように誘導するなど、外国企業の方がノウハウを蓄積している場合には、自陣営に取り込むことも有効ではないか。
2.国内事業のコスト競争力・受注競争力・技術競争力○企業OB人材等を有効活用することで、エンジニアリング作業等のコストダウンを図る方策はないか。○価格競争に巻き込まれることを回避するため、技術開発等を行うことが有効な分野はどのようなものか。○国際入札での高評価に繋がるような実績を積む機会として、国内におけるインフラ整備の機会を活用すべきではないか。○受注のための交渉力を有するグローバル人材を海外で育成することや相手国関係機関とのネットワークの強化が必要でないか。
3.性能やトータルコストへの適切な評価○納期遅延の有無、予定性能の実現、ランニングコスト、不具合による停止の多寡、メンテナンスコスト、環境性能の高低など、我が国製品の性能やトータルコストを顧客に正しく理解してもらい、受注に繋げるためには、何が必要か。
4.ファイナンスの支援強化等による受注競争力の強化○日本のECA(輸出信用機関)の優位性を有効活用して、我が国のインフラ受注の増加に繋げる方策はないか。○攻めるべき地域・分野を特定し、戦略的にリソースを配分するためには何が必要か。○外貨建てファイナンスや迅速な金融支援の実現、ビジネス形態の多様化等の観点から、公的ファイナンスはどうあるべきか。
5.面的開発○スマートコミュニティなどが想定する、長期間かつ大規模な面的開発や高度インフラサービス提供に伴う資金回収リスクを適切に負担する方策はないか。
○一件ごとの受注競争ではなく、広域的に一括して日本陣営が関与するためには政府間の協力関係構築が必要ではないか。
2
中国メーカ 韓国メーカ 欧州メーカ 日本メーカ
倒的な価格競争 進 欧 は中国 イ ド 積 はイ ド 現地製造
米国メーカ
中国 製造 場
①発電(石炭火力発電)の現状と課題
・中国:世界最大のマーケット。我が国重電メーカのライセンスによる超々臨界圧(USC)の現地生産が進展。欧米メーカは中国市場のみならず、製品の第3国輸出も視野に入れ現地工場を設立。・インド:中国に次ぐ大市場。インド政府の政策として超臨界圧(SC)の国内生産を推進。日本企業と現地メーカの合弁による生産が進展。・東南アジア:効率の悪い亜臨界圧から効率の高いSC若しくはUSCへの転換期。特にベトナム、インドネシアにおいて多くの石炭火力発電所の新設が計画されている。
世界の市場動向
・超臨界圧及び超々臨界圧石炭火力発電に関し、中国、韓国勢が猛追。*SCは各国プレーヤーの技術力が非常に均衡しており価格競争が激化。USCは機器性能・品質面で我が国に競争優位性があるものの、中国、韓国勢が価格競争力を武器に国際マーケット進出を計画中。欧州メーカの中国生産工場からの第3国輸出に留意。・IGCCについては、米国、日本、欧州、中国にて実用化に向けた実証実験が進行中。本年、米国にて米国企業によるIGCCの商業機が運転開始予定。現在、建設コストを如何に抑えるかが課題。
我が国企業の強みと課題
超臨界圧(SC)価格競争の激化
超々臨界圧(USC)欧州メーカの中国生産工場からの第3国輸出に留意
・圧倒的な価格競争力。・SC市場へ進出開始。・USCは600℃級の再熱蒸気条件が可能。日本・欧州企業から技術供与されたものであり、第3国輸出に制約あり。
・SC市場へ進出。欧米よりコスト競争力あり。・USCの再熱蒸気条件は、現在593℃に留まっている。
・SCは中国、インドでの積極的な現地製造でコストダウン。・ USCは600℃級の再熱蒸気条件が可能。中国に自社工場を建設。
・SCはインドにて現地製造に着手。・USCは世界最高の再熱蒸気条件620℃を達成。運転管理技術で優位。
石炭ガス化複合発電(IGCC)
実証化から商業化へ米国、日本、欧州が
先行
・中国のSC製造工場から第3国市場へ輸出を計画。・政府と一体でIGCC推進。
A-USC材料開発・試験
段階 3海外マーケット
•途上国:小規模系統での導入(工期短縮、複数ユニット導入
(運転しながら設
置))
①発電(ガス火力発電)の現状と課題
我が国企業の強みと課題
•米国:天然ガス価格の低位安定傾向や環境規制対応(老朽化した石炭火力のガス焚への転換等)によりGTの新設・更新需要増大。 ⇒欧日メーカーが製造拠点確保の動き。
�ガスタービン(GT):製品ラインナップ,用途で市場のニーズに対応
シンプルサイクルコンバインドサイクル
•先進国:環境負荷低減(Sox・煤塵フリー)、CO2排出抑制
•中東:IWPP向け、燃料ガスの消費抑制(輸出用確保)、オイルガス精製プラント等への電力供給用
世界の市場動向
中・小型GT
•米欧:再生可能エネルギーの負荷変動吸収対応ニーズ
大型GT
�現在本邦製GTが商用実績において世界最高効率を達成•我が国は、冷却設計技術や耐熱材料技術を駆使し千数百度以上の超高温環境でも十分
米欧と 競合
�50Hzは250MW以上 /60Hz170MW以上の機種 �65MW以下の機種
•アジア等新興国電力需要増大に伴う大型電源の確保、経済性と環境性のバランスに優れたベース電源
�OECDの燃料別発電容量の推移では、先進国2008~2035年までの全増加分の4分の1強を天然ガス焚火力発電が占める。
�再生可能エネルギーの大量導入はGTの商機拡大に繋がり得る。
我が国は、冷却設計技術や耐熱材料技術を駆使し千数百度以上の超高温環境でも十分に耐えられるGTを開発�高度な保守管理技術・メンテンナンス•生涯発電量で収益性が左右されるIPPプロジェクトでは、長期的経済性や電力の安定供給性が重視される(また電力自由化により、海外で保守業務に不慣れなIPP事業者が増加)•高度な保守管理技術・メンテンナンス、 LTSA(定期検査、部品交換等をパッケージにした契約)により長期に高効率の稼働を実現
�米欧との競合:高性能・高品質維持による差別化のためには「技術開発・実証の推進」が不可欠�海外製造・メンテンナンス拠点の確保等:コスト競争力強化、迅速なメンテンナンスサービスの展開
4
�国際的なプラント・エンジニアリング市場※は、2001年に約9兆円であったが、2010年には約30兆円となっている。
�市場は、2008年をピークに、その後横ばいで推移している。※石油化学、建設、電力、産業、水、廃棄物、製造、有害廃棄物等の分野に関するプラントを含む国際的な市場(国内向けを除く)
�我が国のエンジニアリング企業は LNG分野や 石油化学の分野でも特に高度なプロセス管理を必
世界トップの225のコントラクターの受注額の和の推移
世界の市場動向
我が国企業の強みと課題
$106.52001
$116.52002
$167.52004
$224.42006
$390.02008
$383.72010
出典:The Top 225 International Contractors 2011
※単位:10億ドル
②石油関連プラントにおける現状と課題
�我が国のエンジニアリング企業は、LNG分野や、石油化学の分野でも特に高度なプロセス管理を必要とするところで他の国の企業より技術を有し、市場でも優位な地位にある。
�近年(07、8年以降)になり、中東市場の、石油・ガスの分野で韓国企業の台頭が著しく、同地域・分野では日本企業はもちろん、欧米企業は非常に厳しい価格競争にさらされている。
石油ガス分野における大型EPC受注トップ企業企 業 名 受注額
(概算)
1 Saipem (伊) 7,300
2 Samsung Engineering(韓) 6,300
3 Daelim Industrial Company(韓) 4,386
4 SK Engineering & Construction(韓) 3,100
5 日揮 3,000
6 Hyundai Engineering & Construction(韓) 2,007
7 GS Engineering & ConstructionCorporation(韓)
1,973
8 Petrofac(英) 1,115
9 Uhde Inventa-Fischer(独) 1,100
10 Hyundai Engineering Company(韓) 1,093出典:MEED社2011年7月特別報告より
Linde13%
東洋エンジニア
リング8%
ABB LummusGlobal
5%
Fluor4%
CB&I4%
Technip4%
日揮
3%Total SA
3%Foster Wheeler3%
Aker Kvaerner3%
その他
10%
未定
40%
エチレンプラントの世界シェア
出典:平成23年3月プラント・エンジニアリング輸出多角化支援調査(日本機械輸出組合)
総生産能力 3167億トン/年
5
③スマートコミュニティ分野の現状と課題①
�エネルギー・インフラ分野に限っても、潜在市場規模は、約200兆円/年(2020年)に達する見込み。(出典:日経BPクリーンテック研究所「世界スマートシティ総覧2012」)
�世界各地で展開される都市開発・実証事業へ、欧米やシンガポール、韓国の事業者が、多数参入。
スマートコミュニティの潜在市場規模
世界の市場動向
世界の競合国企業の主な動き
150
200
250
オセアニア
中南米
北米(カナダ、米国)
欧州
(兆円)競合国企業 売上規模 取組状況
Keppel(星)約8,100億円(FY2009)
○政府系投資会社による出資を受けながら、開発会社への資本参画を通じ、住宅分譲や排水処理等の事業運営受託で収益化を図る。
○中国、インド、中東等の新興国市場へ進出。カタールでは、中東最大規模の排水処理・再利用プラント等を受注。また、仏アレバ社と協同で、北海での洋上発電基地を受注。
ARUP(英)約1,200億円(FY2009)
○都市全体の環境性能を評価できる独自ツール(SPeAR)を開発し、プロジェクト初期の構想段階から関与。
○中国Dongtanエコシティでの研究開発実績を梃子に、中国開拓に注力する方針。
6
�日本の都市開発は海外でも高い評価。特に低炭素(スマート)化、国際的な競争力を持つ中小企業誘致、クールジャパン等をコンセプトとした都市開発には、諸外国から高い関心。
�しかし、我が国は都市開発事業に一貫して取組むオーガナイザーの不在、個別事業者の対相手国政府交渉経験の不足、大規模かつ長期のファイナンスにおけるリスクテイカーの不在などの課題がある。
我が国企業の強みと課題
0
50
100
2011年 2015年 2020年 2025年 2030年
アフリカ
その他アジア
中東・中央アジア
インド
中国
日本
出典:日経BPクリーンテック研究所「世界スマートシティ総覧2012」
出典:平成22年度国際エネルギー使用合理化等委託事業「スマートシティ海外実証事業調」報告書
サムスン物産(韓)
約8,000億円(FY2009)
○韓国電力とのコンソーシアムを活用しながら、政府自治体との交渉により案件を獲得している模様。
○カナダオンタリオ州の太陽光・風力発電事業では調達から施工管理まで一括受注し、プロジェクトに総額66億ドルの投資を表明。
韓国電力公社(KEPCO)
約2.7兆円(FY2009)
○政府とともにALL KOREAの中心となってスマートグリッド化を推進。2020年にグローバルtop5の電力会社となるべく、海外事業強化を重要な成長戦略として位置付け。
○インフラ輸出(原発、スマグリ)を主導することによる電気機器サプライヤや施工会社の産業育成は、公社であるKEPCOの重要な役割の一つとの位置づけ
Siemens(独)約10.2兆円(FY2009)
○現地電力会社等への構想提案とともに、現地企業との合同調査やグローバルに対する都市評価KPI(Green City Index)の打ち出し等による種蒔きも展開。
○仏国EDD社との間でターンキー契約を締結。また、インド内6箇所に事業拠点を設置し、インドの低価格製品市場向け製品の設計・開発・生産・販売を実施。
6
課題
付加価値サービス
スマートハウススマートビル
第3層スマートインフラ
スマート公共サービス
(医療・教育・・)
クールジャパン(アウトレット・・)
日系工業団地
<エネルギー>
<環境>
再生可能エネ
スマートグリッド
水処理・再生水
分散電源電源安定化
(ガスコジェネ・・)
リサイクル
Master Plan 土地売却/サービス提供投資回収
現地ニーズをくみ取り、日本らしい付加価値を提案し、同時に日本企業をビジネスに引き込む主体(コンサル)が不足
15~20年
①第3層インフラの資金回収を第1層ビジネスと連携して取り組む
※ODAによるファイナンスがない場合は、第2層でも同様の問題が生じる。
B to C
③スマートコミュニティ分野の現状と課題②
第2層基礎
インフラ
電力・ガス、上下水周辺インフラ道路交通/通信
B to B
<交通>
<ICT>
EVインフラ ITS
クラウド センサーネットワーク
EPC O&M
時間/金額
第1層不動産開発
土地収用 区画整理 企業誘致
マスターデベロッパー
②現地ユーティリティとの連携による、高度インフラサービスの提供
JICA等支援ツールはあるが現時点では連携は限定的。
・日本らしい付加価値を提案するmasterplanを掲げて第1層に投資する主体の不足・15~20年間の土地収用に伴う多額
の金利負担やリスクをマネージするのが困難
NEDO実証
JICA/JBIC/NEXI
7
�鉄道分野の市場規模は、13.5兆円(2005-2007年平均)。これは、2003ー2005の平均(11.3兆円)より約18%の伸び。
�市場のうち、高速鉄道が占める割合は5%程度。
世界市場の鉄道種類別規模
世界の市場動向
鉄道種類別市場規模
40
60
80
100
120
140
保守等(サービス)
車両
軌道など
信号・制御
鉄道分野の世界市場とアクセス可能な市場
単位:十億ユーロ
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
出所:UNIFE “Worldwide
単位:十億ユーロ
④④鉄道分野の現状と課題
Bombardier21%
Alstom19%
Siemens16%
アンサルド
5%
CAF3%
シュタッドラー
2%
GE8%
EMD3%
日本企業
9%
中国企業
7%
ロテム
2%その他
7%
鉄道車両市場における企業別シェア
�日本企業は信頼性の高いハードウェアに強み。一方で、日本は5社で全世界の1割程度のシェア。
�コンサル、運転・管理支援等のソフト面の国際展開が弱く、案件組成段階での客先への影響力や運転・管理等を含めた提案力が低い。
我が国企業の強みと課題
0
20
2003-2005 2005-2007 アクセス可能な市場
2005-2007
0
10
高速鉄道 普通鉄道 ライトレール 地下鉄
Rail Market Study –status quo and outlook2016” より作成。
出所:日本機械輸出組合 プラント・エンジニアリング輸出多角化支援調査
出所:日本機械輸出組合 プラント・エンジニアリング輸出多角化支援調査
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