5
般般般般 般般般般般般般般 般般般般 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, IEICE Technical Report INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS 般般 般般般般般般般般般般般 般般 般般 般般般 般般 般般 †般般般般般般般般般 般般般般般般般般般般般般般 般599-8531 般般般般般般般般般般 1 般 1 般 ‡般般般般般般般 般般般般般般 般572-8508 般般般般般般般般般般般 17 般般 8 般 E-mail: [email protected] ああああ 般般般般般般 ,..,,. あああああ 般般般般 ,,, A Study on Brain Activities during Blood Draw Technique Viewpoint from cerebral blood flowTakahito Tamai Yukie Majima Tsuneo Kawano †Graduate School of Humanities and Sustainable System Sciences, Osaka Prefecture University 1-1 Gakuen-chouNaka-kuSakai-shiOsaka599-8531 Japan ‡Graduate School of Science and Engineering, Setsunan University 17-8 Ikedanaka-machiNeyagawa-shiOsaka572-8508 Japan E-mail: [email protected] Abstract Nursing skills are highly implicit, and no effective method has been established for transferring to the next generation. Therefore, in this research, we aim to construct a nursing technology education support system formalizing skills of experienced nurses. In this presentation, in order to objectively evaluate the mental state and emotion of human beings, we attempted to clarify the difference in brain activity between skilled nurse and fresh nurse at the time of blood sampling technique. Keywords nursing skillsinjection techniquetacit knowledgecerebral blood flow This article is a technical report without peer review, and its polished and/or extended version may be published elsewhere. Copyright ©20●● by IEICE

œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

一般社団法人 電子情報通信学会 信学技報THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,                                 IEICE Technical Report INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS

採血技術実施時の脳の活動に関する一考察

-脳血流量からの視点-

玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ 

†大阪府立大学大学院 人間社会システム科学研究科 〒599-8531 大阪府堺市中区学園町 1 番 1 号

‡摂南大学大学院 理工学研究科 〒572-8508 大阪府寝屋川市池田中町 17 番地 8 号

E-mail: †[email protected]

あらまし 熟練した看護技術は暗黙性が高く,次世代へ伝承するための有効な手法は確立されていない.そこ

で本研究では熟練看護師の持つ技術を形式化することを試みる.本発表ではその中でも,ヒトの精神状態や感情

を客観的に評価することを目的として,採血技術実施時の熟練看護師と新人看護師の脳の活動の違いを脳血流量

から明らかにする.

キーワード 看護技術,採血,暗黙知,脳血流

A Study on Brain Activities during Blood Draw Technique

-Viewpoint from cerebral blood flow-

Takahito Tamai† Yukie Majima† Tsuneo Kawano‡ 

†Graduate School of Humanities and Sustainable System Sciences, Osaka Prefecture University

1-1 Gakuen-chou,Naka-ku,Sakai-shi,Osaka,599-8531 Japan

‡Graduate School of Science and Engineering, Setsunan University

17-8 Ikedanaka-machi,Neyagawa-shi,Osaka,572-8508 Japan

E-mail: †[email protected]

Abstract  Nursing skills are highly implicit, and no effective method has been established for transferring to the next

generation. Therefore, in this research, we aim to construct a nursing technology education support system formalizing skills of

experienced nurses. In this presentation, in order to objectively evaluate the mental state and emotion of human beings, we

attempted to clarify the difference in brain activity between skilled nurse and fresh nurse at the time of blood sampling

technique.

Keywords nursing skills,injection technique,tacit knowledge,cerebral blood flow

1. はじめに

近年,日本では少子高齢化,国民の医療ニーズの増加,

医療の高度化・複雑化が進んでいる[1].それに伴い,医療

に従事する人材のスキルアップは重要な課題である.また,

看護職の離職率の高さ,特に新卒看護師の早期離職は長年

の課題である[2].離職の理由として,日本看護協会の調査

では「看護教育終了時点での能力と現場で求められる能力

にギャップがある」,「看護職員に従来よりも高い能力が

This article is a technical report without peer review, and its polished and/or extended version may be published elsewhere.Copyright ©20●● by IEICE

Page 2: œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

求められるようになってきている」など,看護技術に関す

る要因が多く挙げられている[3].このことから,看護基礎

教育における教育内容,教育のあり方を見直すことが求め

られている.しかし,看護技術の習得において熟練看護師

がもつ「技」や「コツ」の技術(暗黙知)を次世代へ伝え

ることは難しく[4],暗黙知の形式知化,共有の効率化が求

められている.

そこで本研究では,熟練看護師が持つ技術(暗黙知)を

明らかにし,形式知化することを試みる.本稿では看護技

術の中でも特に採血技術に着目し,採血実施時の熟練看護

師と新人看護師の脳の活動の違いを明らかにすることを目

的とする.採血は新人看護師が最初に行う身体侵襲技術で

あり,看護学生時代には直接体験の機会を得ることが難し

く教育方法の工夫が必要とされている.そのため,最後に

看護技術教育支援システムについても言及する.

2. 関連研究

2.1. 看護技術の暗黙知に関する研究

暗黙知には「認知的側面」と「技術的側面」があり[5],

その 2 つに対して形式化して共有することが必要である.

われわれは先行研究において,静脈注射技術のコツをイン

タビュー調査から明らかにし,技術の実施手順を自己学習

できるシステムを開発した.また,看護師独自の採血実施

時の補助手指の動作である皮膚の進展や圧力に着目し看護

師と看護学生の手技を比較することでその暗黙知を明らか

にした[6][7].

2.2. 生体情報に関する研究

生体情報とは,「ヒトの自律神経が支配する活動の中で

ヒトが意識せずに発する情報」であり,ヒトの心身状態と

関連がある.生体情報の例として,脈拍や呼吸数,脳波な

どが挙げられる.この中でも特に脳波は,ヒトの精神状態

や感情を顕著に表すパラメータとされており,看護技術実

施時の脳波を測定した研究[8]が行われている.この研究で

は,熟練看護師は静脈注射を行う際に患者をリラックス状

態へ導くための声掛けにコツ(暗黙知)がある可能性が示

唆された.

一方,本研究が取り扱う脳血流とは,脳内の血管を流れ

る血液のことである.非侵襲生体情報として研究[9]がされ

ており,医療分野でも応用を目指して進められている.本

稿では,前頭部に流れる血流を取り扱う.また,脳の左

側・右側では活性化する部分が異なると言われており,表 1

にそれぞれの脳の特徴を示す[10].本研究では脳血流内の酸

素化ヘモグロビン濃度の変化において脳の活動量を推定す

る.

表 1:脳の機能と特徴

右脳 「イメージ脳」と呼ばれ,思い描いたイメージや感情に従い思考する際に活性化する

左脳 「言語脳」と呼ばれ,物事を順序立てて論理的に思考したり言語を理解したりする際に活性化する

3. 実験

3.1. 実験概要

 今回は看護技術の中でも特に,日常業務において実施す

る頻度が高い「採血技術」に着目し,実施中の脳の活動を

計測する.採血はシミュレーション用腕モデルを用いた.

採血の臨場感を出すために腕モデルの前には患者役を設置

し,看護師は患者と会話しながら採血できる環境とした.

実験場所・期間を表 2,実験環境を図 1 に示す.

 なお,本研究は大阪府立大学人間社会システム科学研究

科の倫理委員会の承認を得て実施している.

表 2:実験場所・期間

実施期間 2018 年 11月~12月の 4 日間

実施場所 A病院 看護実習室

図 1:実験環境

3.2. 実験対象者

 研究協力への同意が得られた,病院に勤務する現役看護

師 19名を対象とした.看護師のラダーレベルと人数の内訳

を表 3 に示す.ラダーレベルとは日本看護協会が定める看

護師の能力開発・評価のシステムの 1 つであり,その能

力・キャリアにおいてⅠ~Ⅴの 5段階が存在し,数字が大

Page 3: œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

きい人ほど高い看護実践能力を有しているとする評価軸で

ある.今回は対象看護師が勤務する病院が定めているラ

ダーレベルを参照し,新人看護師と熟練看護師の 2群に分け

た.

表 3:看護師のラダーレベルと内訳

実験区分 ラダーレベル 人数(人) 合計(人)

新人看護師 Ⅰ 9 9

Ⅱ 0

熟練看護師

Ⅲ 4 10

Ⅳ 4Ⅴ 2

計 19

3.3. 使用機器

3.3.1 脳血流計

脳の活動を分析するに当たり,日立社のウェアラブル光

トポグラフィ(NIRS)「WOT-220」(以下,脳血流計)を

用いて大脳皮質血流内の酸素化ヘモグロビン濃度の変化を

計測した.この脳血流計は CH(チャンネル)が 10個あり,

それぞれが脳血流内の酸素化ヘモグロビンを測定する.

図 2:脳血流計を装着した様子

3.3.2 採血シミュレーション用腕モデル

採血シミュレーションを行うに当たり,今回は高研社の

「LM-086」を用いた.この腕モデルは,採血を行う血管を

選択することができ,血管モデルにはいくつかの種類があ

る.図 3 に腕モデル,図 4 に血管モデルの種類と難易度を示

す.

図 3:腕モデルに装着している血管モデル 

図 4:血管モデルの種類と難易度

対象者には,事前にシミュレーションモデルに採血する

こと,複数の血管モデルに交換して実施することを説明し

た.ただし,実験時にはどの血管モデルに対して採血を行

うのかはわからないものとした.

4. 分析方法

実験より得られた脳血流内ヘモグロビン濃度の推移から

看護師の脳の活動を考察する.データをグラフ化し,その

グラフから特徴を抽出し,録画したカメラ映像の目視によ

りどのような行動をした際にどのような脳の活動が行われ

ているのかについて考察を行う.以下,分析の手順を示す.

4.1. CH の選定

脳血流計の 10個ある CH を左脳・右脳と 2 つのエリアに

分け,それぞれのエリアから正常に動作している CH の平

均値を算出した.正常に動作しているとは,(1)機器の

キャリブレーション時に「Normal」状態であること,(2)

測定値があからさまに極端な異常値を検出していないこと

の 2 つの条件を満たしていることとした.

4.2. グラフの平滑化

脳血流計から計測された生データはノイズが多く,グラ

フ化しても全体の特徴がわかりにくい.よって本研究では,

グラフの特徴を捉えやすくするためにいくつかの処理を施

し平滑化を行った.以下にその手順について述べる.

4.2.1移動平均法

グラフの特徴を抽出するために,隣り合うデータの値と

の平均値でその値を定める移動平均法を用いて,グラフの

平滑化を行った.測定に使用した脳血流計は,0.2秒に 1 つ

のデータをとるため,5 つの平均(両隣それぞれ 2 つまでの

値の平均)で算出することとした. 移動平均法の数式を

以下に示す.

ys (i )= 12N+1

( y (i+N )+ y (i+N−1 )+⋯+ y (i−N ))

Page 4: œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

ys:平滑値

N:片側の隣接データ点の数

2N+1:範囲 = 5

4.2.2. RMS(二乗平均平方根)

振動しているデータの大きさを求め,データ数を減らす

ために,移動平均法により算出された値の RMS(実効値)

を算出する.前述した通り 0.2秒に 1 つのデータを出すため,

5 つで 1 つの値の RMS を算出した.以下に RMS を算出する

数式を示す.

X n=√ X 12+X2

2+⋯+Xn2

nX n:RMS

n:区間 = 5

4.3. 正規化

脳血流内のヘモグロビン濃度の変化の絶対量には個人差

があるため,各看護師におけるヘモグロビン濃度の変化量

で分析することとし,0~1 で表されるようにした.

4.4. 映像による目視

得られたデータをグラフ化した後,特徴がみられる箇所

(時刻)に着目した.実験中は 3 つのカメラ(全体,腕,表

情)で録画しており,特徴がみられる時刻の映像と照らし

合わせて考察する.録画した映像の内容とその画面例は以

下の通り(図 5,6,7)である.

図 5:全体カメラの映像例

図 6:腕カメラの映像例

5. 結果・考察

グラフのヘモグロビン濃度の推移に特徴がある部分と実

験中の映像を照らし合わせながら,脳の活動を定性的に考

察した.またグラフ中の縦線マークは,(1)採血開始

(2)注射針刺入(3)採血終了を表すものである.また,

看護師の ID と血管モデルの種類番号,5回の採血実施分,

合計 15個のマークがグラフにあり,1回分の試行を太縦線

で区切っている.グラフ上部にそれぞれ採血の成功(○)・失

敗(×)を表す.本稿では,19 人の結果を確認した後に,特に

顕著に表れた3つのパターンについて述べる.

5.1.  5 つの山がはっきりと表れているパターン 1

図 7,8 に示すように採血実施毎に酸素化ヘモグロビンの

推移に山型が見られるパターンである.この傾向がみられ

た看護師は,注射の成功率が高く,80%を超えていた.ま

た,ラダーレベルがⅣの No.9 の看護師は採血 1回につき山

が一つできているだけでなく,注射針を刺す前に一度下降

する傾向がみられ,M字型になっているようにみえる.映

像で確認すると,患者の腕にアルコール消毒を行う瞬間で

あった.これに対し,ラダーレベルⅠの No.1 の看護師は,

アルコール消毒の瞬間には下降が見られず,山なりになっ

ている.これらのことから,ラダーレベルが高く採血技術

が高い熟練看護師は,採血する前のアルコール消毒時に落

ち着くようなルーティン化できており,良い心理状態で採

血に臨めていると考えられる.

Page 5: œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

図 7:5 つの山(パターン 1)におけるグラフ例 1

図 8:5 つの山(パターン 1)におけるグラフ例 2

5.2. 右脳活性化パターン 2

 図 9 に示すように右脳が左脳よりも優位に活性化してい

るパターンである.ラダーレベルが低く採血の失敗が続い

ている看護師に多く見られた.これは,採血の失敗に動揺

や焦りを感じ,感情を司る右脳が活性したことが要因と考

えられる.図 9 においては,採血が成功している 3,4回目

より,失敗している 1,2,5回目の方が,右脳が活動している

ことから,採血失敗による影響が考えられる.またこれら

の看護師は,採血中に患者との会話が少なく,余裕がない

様子も見受けられた.通常,看護師は患者をリラックス状

態に導くだけでなく,自身もリラックスして会話をするよ

うに心がけていることから,今後は脳血流計以外に,リ

ラックス状態を評価する指標となる脳の α波の推移と共に

分析していく.

図 9:右脳活性化(パターン 2)におけるグラフ例 1

図 10:右脳活性化(パターン 2)におけるグラフ例 2

5.3. 脳の活動変化が細かく激しいパターン 3

図 11 に示すように全体的にグラフの変化が激しいパター

ンであるが,その中でも特に,血管を探している時間(採

血開始~注射針刺入)に激しく振動している.しかし,グ

ラフの変化は激しいものの,酸素化ヘモグロビン濃度の値

についてはそれほど高い結果ではなかった.そのため,酸

素化ヘモグロビン濃度の値とグラフにおける変化の仕方に

ついての関連性について検討することが今後の課題として

挙げられる.

No.12 の看護師は,実験途中に注射針を誤って自身の指に

刺してしまい,出血してしまうなどのアクシデントが発生

した(図 12 のグラフの後半あたり).このことから自身の

意図しない状況は,脳の活動にも影響が出て,振動が激し

くなったことが考えられる.

ラダーレベルⅤの看護師は,実験後のインタビューで実

験に使用した腕モデルと実際の患者の腕との感覚が違い過

ぎることを指摘しており,本実験での採血の成功・失敗を

技術の熟達度と関連付けることは難しい.今後は実験に用

いる腕モデルの妥当性についても検討していきたい.

Page 6: œ€終版.docx · Web view採血技術実施時の脳の活動に関する一考察 -脳血流量からの視点- 玉井 臣人† 真嶋 由貴惠† 川野 常夫‡ †大阪府立大学大学院

図 11:脳活動変化が激しい(パターン 3)におけるグラ

フ例 1

図 12:脳活動変化が激しい(パターン 3)におけるグラ

フ例 2

5.4. 看護技術教育支援システム構築へ向けて

本実験の結果を踏まえて,看護技術教育支援システムの

構築に向けて考察を行う.熟練看護師は血管を探し採血を

するまでの一連の手順を,安定して同じような思考・手技

で行っている可能性が示唆された.これらのことから,逆

に脳の活動が手順の理解度・習熟度を測るひとつの指標に

なるのではないかと考えられる.例えば,熟練看護師の看

護技術実践時の脳の活動データを収集し,いくつかのサン

プルを作る.そのサンプルと学習者の脳の活動を比較する

ことで,看護技術実践時のどの部分に違いがあるのか把握

でき,現在の学習度を判断する基準になるのではないかと

考える.

また,実践後の脳の活動の変化や自身のバイタルサインの

データなどと,録画した映像を照らし合わせることで,当

時の自身の技術を見直すことができるリフレクション型学

習支援システムも検討する.

6. まとめ

本研究では,言語化が困難な看護技術における熟練看護

師の暗黙知を明らかにしすることを目的とし,採血実施中

の熟練看護師と新人看護師における脳の活動の違いを,脳

血流内の酸素化ヘモグロビン濃度の変化の視点から明らか

にした.その結果,一部の熟練看護師は採血の実施毎に同

じような脳の活動をしていることが明らかになった.また ,

採血中に患者と会話しない看護師は,患者だけでなく自身

もリラックス状態へ導けていない可能性が示唆された.今

後は,脳波など脳血流以外の別の評価指標を用いて分析・

検証を行う必要がある.さらに,生体情報を基に看護技術

の習熟度を測定できる指標の開発,自身の看護実践を内省

できるようなリフレクション型の学習支援システムなど,

検討を進めていきたい.

謝辞

本研究は JSPS 科研費 17H04433,16H05571,17K19845 の

助成を受けたものである.研究にご協力いただいた A病院

の看護師の皆様に深謝する.

文 献[1] 内閣府,2016 年度版高齢社会白書,2016.[2] 日本看護協会,「2016 年 病院看護実態調査」結果速

報,2018[3] 日本看護協会,新卒看護職員の早期離職実態調査, 2004[4] 岸田直久,石亀篤司,真嶋由貴恵:“注射技術における

音楽刺激と対話による 脳波の同期を誘発するシステムに つ い て の 検 討 ” , 人 間 工 学Vol.50,Supplement,pp.294-295,2004

[5] 野中郁次郎,竹内弘高:『知識創造企業』,東洋経済新報社,1996

[6] 松田健,真嶋由貴惠,大谷康介:“静脈穿刺における血管固定のための圧力データ分析”,第 4回MICT,pp.1-3,2018

[7] 上田直輝,泉正夫,真嶋由貴惠,松田健,前川泰子:“注射技術における左手指接触力と皮膚進展の相関”,電子情報通信学会,信学技報 2017-43, pp.11-16,2018

[8] Tsuneo Kawano,Yukie Majima,Yasuko Maekawa, et al.: “ Inter-brain Synchronization between Nurse and Patient During Drawing Blood” , Proceedings of the 9th International Joint Conference on Biomedical Engineering Systems and Technologies(HEALTHINF),Vol.5,pp.507-511,2016

[9] 嶋田貴充,松田幸久,紋川明和他:“統合失調症患者における MRI と NIRS による脳形態と脳機能の研究”,第110回日本精神神経学会,2-P01-10,2014

[10] 西鷹浩司:“左脳優位型と右脳優位型の認知地図の比較:人間の空間知覚特性から見た街路空間計画その2“,日本建築学会会計画系論文集,68巻 566 号,2003