未利用空間・施設を活用した 「芝」にかかわる育成拠点形成による 地方創生

芝山町における『芝』をキーワードとした人材育成にかかわる

拠点形成による新たな就業の場の創出と雇用・就業機会の増大

千葉県芝山町

NPO法人 成田臨空スポーツ文化推進ネットワーク

一般財団法人 日本スポーツコミッション

2016/01/22

1-1)芝山町とは

　芝山町は千葉県の北東部北総台地のほぼ中央に

位置し、稲作やスイカ、花き栽培などの農業が産業

の中心。また、成田国際空港の南側に位置し、町域

のほとんどが成田空港を離着陸する航空機の航路

の真下に位置し、航空機の高度が低い場所であるた

め、成田空港周辺市町村の中でも最も騒音被害の

大きい地域でもある。

　航空機離着陸の危険区域に当たるエリア等は成田

空港の管理用地となり、何の活用もなされぬまま放

置され、現在に至っている。

1

1-2)芝山町の問題点①

　近年農業従事者の高齢化、加えて成田国際

空港に隣接しているため、農業後継者や若者

たちの空港関連業務への従事者が増加傾向

にある。そのため、更なる農業離れが進み、耕

作放棄農地が年々増え続けている。

　また、成田空港の管理用地が手付かずのま

ま放置され、耕作放棄農地の増加とともに、生

産性を伴わない空き地の拡大が懸念事項と

なっている。

出典：農林業センサス

�2�� �7�� �12�� �17�� �22�������� 5,621' 6,023' 10,712' 14,400' 16,000'

������� 2,444' 5,431' 5,385' 5,800' 7,200'

���� �� 3,477' 2,785' 3,632' 2,200' 2,900'

������ 144,040' 134,267' 123,602' 108,600' 105,800'

0'

20,000'

40,000'

60,000'

80,000'

100,000'

120,000'

140,000'

�a��

������������������������

2

1-2)芝山町の問題点②

　空き地の利用としてソーラーパネル設置が急速に進みつつあるが、メンテナンス面や景観上

の懸念、とりわけ成田国際空港への航空機離着陸直後の景観がソーラーパネルで埋め尽くさ

れる様が、「日本の空の玄関口」としてふさわしいものであるのかとの問題提起がされている。

　また、少子化も深刻な問題であり、2015年3月には町内の小学校の統廃合で2校が閉校とな

り、現存１校のみとなった。こういった廃校舎は騒音に対する助成により耐震構造で防音効果

の高い建物、冷暖房完備といった設備的な部分が充実したものであり、これらの産業的二次

活用も急ぎ検討の必要がある。

出典：国勢調査

3

成田空港管理用地

で未利用空間の

有効活用

2)『芝』に特化した地域振興

高齢化と増加する

耕作放棄農地の

有効活用

学校跡地および

未利用施設の

有効活用

■経済性／発展性のある土地の有効利用

■「日本の空の玄関口」成田国際空港を活用した利便性の良さと

　 ネームバリュー の活用

『芝』育成の拠点形成と『芝山町の芝』の事業化、

及びその芝地空間を活用した地域振興

4

3-1)『芝』育成の拠点形成と事業化への取り組み

耕作放棄 農地

成田空港 管理用地

廃校跡地

芝育成 研究施設

宿泊施設

芝育成用地

芝地空間

合宿/スポーツ大会実施 少子化対策、子ども育成

芝育成研究 町外からの人材流入

インバウンド対応宿泊施設 観光誘致

芝山町『芝』ブランド化 地域ブランド確立

芝育成留学生/研究生受入 国際交流/障がい者雇用の創出

各種イベント誘致 地域プロモーション

地域健康寿命の向上 高齢化対策、健康づくり

芝育成・管理の人材育成 地域の雇用拡充

現状課題 主要プロジェクト 施策 期待する効果

5

M� cI � BA �#$ l#( �b

YW,�|2 hS- jS- l�hgS- XP��~|.'

YW,����������� i�j� jg� hlg� qp

V�17^� Thlegggr ?! ?! ?!

Y�Pa|�� hS- iS- l�hgS- XP��~|.'

����R�5�2 j�l�f# ko�f# kgg�f# qp

��f�=�EU2 g�f# heogg�f# iekgg�f# qp

������ + g�f# hgg�f# jmg�f# qp

^9d6_/2 g6 �6 J ^9d6x|_/ ��|^9d6x|_/

Y"GtYu����� � � �����LQ ��~\<

YKO5[2 gS- �S- � 0`[Q

&6R|�;>E gS- iS- lS- XP��~|.'

%sK8s���R gS- hS- j�nS- qp

���

���&6R|D9�;>E�YW,�}Y�Pa>E{*Zz5[|3�

,FP@]���V�17^�zy�V�w|YW,�9|LQ

4^D9���9

>�3��9

YW,�9�v�)���C��5[|N:Hz>E

5[3��9

3-2)事業展開の評価指標と目標

芝山町『芝』育成の拠点を形成

芝に関わる人材育成と雇用を創出し、芝地空間を活用した地域振興を図る

6

3-3)各団体の個別役割分担

団体 役割

芝山町 　事業および人材養成にかかる 　備品の購入

　成田空港との折衝 　事業および活動の助成

NPO法人 成田臨空スポーツ文化推進ネットワーク 　芝産業事業統括（調査、策定、 　事業構築と推進等）

　芝地の実証実験 　施設運営管理

成田空港 　用地提供 　活動支援 　イベント、プログラム提携

一般財団法人 日本スポーツコミッション 　まちづくりDMO形成調査 　未利用地・施設利活用調査

学校法人 千葉黎明学園 千葉黎明高等学校 　芝育成及び研究 　芝産業人材育成

地域医療機関 　大会、合宿、イベント参加者等 　の医療対応

　健康寿命延伸相談 　

マスメディア 　芝山町「芝」ブランドPR 　芝地の実証実験実施（大会 　やイベント等）の告知

　

企業等 　芝地実証実験への協力 　協賛・ノウハウの提供 　物品提供

専門アドバイザー 　芝産業人材育成カリキュラム 　構築アドバイス

　芝育成システム構築アドバ 　イス

　芝育成研究アドバイス

その他の団体 　大会、イベント、フェス運営委託 　HP、告知印刷物の制作等 　障がい者や高齢者雇用、 　ボランティア関連等

7

4-1)事業の概要①

項目 概要

　事業の目的 　芝にかかる研修拠点形成による芝山町の活性化

方法 　芝に関する研修センターを核とした人材育成と芝産業の創出及び交流の促進

手段 　町内にある遊休地、未利用地・施設を活用

事業主体 　まちづくりDMOを形成 成田臨空スポーツ文化推進ネットワークが核組織

スケジュール

　平成27年度補正（平成29年3月まで）： 　　具体的方策の概要に示す１〜6の調査・事業の実施 　平成29年度： 　　芝育成事業開始/既存および新規創出芝地での研究および実証実験 　平成30年度： 　　芝育成事業の推進/芝育成研修センター開設 　平成31年度： 　　芝育成事業の推進/芝育成研究施設や芝地空間を活用した新コミュニティの形成 　平成31年度以降： 　　芝育成事業の継続と自立準備/成田臨空地域への事業波及

具体的方策の概要等

　 １ まちづくりDMO形成のための調査 　２ 未利用地・施設利活用のための調査と整備・実施 　３ 芝産業人材育成（グラウンドキーパー養成）のためのカリキュラム構築事業 　４ 既存芝地の実証実験（スポーツイベントの開催等）の実施 　５ 人材育成にかかる備品の購入（実証実験関係含む） 　６ 芝ブランド化および流通システムの構築 ７ 芝育成事業開始/既存および新規創出芝地での研究および実証実験の実施 　８ 芝育成事業の推進/芝育成研修センター開設 　９ 芝育成事業の推進/芝育成研究施設や芝地空間を活用した新コミュニティの形成 10 芝育成事業の継続と自立準備/成田臨空地域への事業波及

8

4-1)事業の概要②

項目 概要

具体的方策：27年度補正対応

　 　１ まちづくりDMO形成のための調査 　　・まちづくり組織の実態把握 　　・まちづくりにおける問題的課題の整理 　　・まちづくり組織形成にかかる先進地視察 　　・まちづくり組織が担う役割と機能の検討 　　・まちづくり組織の活動内容の検討 　２ 未利用地・施設利活用のための調査 　　・未利用地・施等の実態把握 　　・　　　　　　〃　　の問題的課題整理 　　・未利用地・湯窮地活用方法の検討 　　・未利用施設等の活用方法の検討 　３ 芝産業人材育成（グラウンドキーパー養成）のためのカリキュラム構築事業 　　・人材育成システムの構築 　　・人材育成に資する専門家の選出と技術の整理 　　・黎明高校との連携方策の検討 　　・高齢者・障がい者活用の手目の検討：関係組織との連携 　　・人材育成カリキュラムにかかる実証実験 　　・人材育成にかかる先進地視察（国内外） 　　・人材育成カリキュラムの構築 　　・研修センターの事業化計画の策定 　４ 既存芝地の実証実験（スポーツイベントの開催等）の実施 　　・芝の耐久性珪砂のため 　　・町民等のコミュニティ形成のため 　　・高校生等のボランティア育成のため等 　５ 事業および人材育成にかかる備品の購入（実証実験関係含む）

成田臨空スポーツ文化推進ネットワークと日本スポーツコミッションが実施 成田臨空スポーツ文化推進ネットワークと日本スポーツコミッションが実施 成田臨空スポーツ文化推進ネットワークが実施し、 その他関係組織が協力 成田臨空スポーツ文化推進ネットワークとその他関係組織が実施 芝山町が対応

9

4-1)事業の概要③

項目 概要

具体的方策：29年度以降

　28年度の調査結果に沿い、芝山町地域戦略策定を踏まえ事業を推進 　６ 芝ブランド化および流通システムの構築 ７　芝育成事業開始/既存および新規創出芝地での研究および実証実験の実施 　８　芝育成事業の推進/芝育成研修センター開設 　９　芝育成事業の推進/芝育成研究施設や芝地空間を活用した新コミュニティの形成 10　芝育成事業の継続と自立準備/成田臨空地域への事業波及 　

芝山町、成田臨空スポーツ文化推進ネットワーク、日本スポーツコミッションおよびその他関係組織と協力して実施

10

4-2)事業展開計画案11

4-3)事業の効果①

『芝』を積極的に育成し、芝地空間を増やすことにより…

　■芝山町の『芝』育成にかかわる人材育成と雇用の創出

　■芝地空間の創出＝芝地を活用したスポーツによる振興

•  芝の育成ノウハウ、新種育成やそれに関わる人材育成の全国的な核となる

•  芝の育成、管理に関わる次世代の人材育成と地域住民の雇用の創出

•  芝地空間を利用する若年層の地域流入と高齢層との新たなコミュニティの創生

•  地域住民の健康増進（健康寿命延伸への取り組み、幼児の裸足教育等）

•  高齢者、障がい者の積極的な雇用と共生

•  成田空港のLCC増便、高速バス・シャトルバスの多さ、宿泊施設の充実といった利便

性の良さを活かた芝地空間の活用（スポーツ合宿や全国大会利用等）

•  TOKYO2020オリンピック・パラリンピックを中心とした日本国内における様々な国際大

会を視野に入れ、日本の玄関＝成田国際空港に降り立ち直ぐに選手調整の場として

芝地空間の利用を誘致

12

4-3)事業の効果②13

事業の概要等

■芝の研究（育成ノウハウ、新種育成等）とそ

れに関わる人材育成の全国的な核となる拠

点を形成する

■芝の育成、管理に関わる次世代の人材育成

と地域住民の雇用を創出する

■芝育成事業により創出される芝地空間（グラ

ウンド等）を活用したスポーツによる振興によ

り、地域住民の健康寿命の延伸、またスポー

ツ大会やイベント、合宿利用等を誘致し外部

からの人員流入と地域の活性化を図る

5)事業の概要

重要業績評価指数（KPI）

【事業初年度】 　・芝育成および研究拠点：1箇所 　・芝地空間：2箇所 　・芝地空間の活用数：48回 【事業5年後以降】

　補助無しでの芝育成事業化と、成田臨空地域への波及および連携事業化を目指す

地方版総合戦略に盛り込む予定の基本目標等

【基本目標】 　あたらしい人の流れをつくる

【事業展開】

　NPO、大学等との交流促進

【具体的なプラン】

NPO等との連携による総合型地域スポーツクラブの整備

ポイント

　成田国際空港を有する地域であるメリット・デメリットを積極活用。騒音等による未利用地および施設を利活用、また成田国際空港の持つ国内外への交通の『要』である利便性の良さを利用する。

14

6)展望と目標

芝山町　■『芝』育成の拠点形成と芝にかかわる人材育成および雇用の創出

　■芝地空間（グラウンド等）を活用したスポーツによる地域振興

成田空港に隣接する臨空地域（9市町）への波及 ※芝山町と同様に滑走路及び騒音問題で休眠している用地があり、同じ問題を抱えている地域

芝地空間（グラウンド等）を数多く確保し、日本型スポーツシューレを形成

“成田臨空地域”全体の、芝とスポーツでの

地域創生と新たなまちづくりを目指す=

15

資料1)『芝』育成実施/展開例モデルケース①

芝山町中学校跡地での芝地空間展開実施例

発案：町民意、NPO法人 成田臨空スポーツ文化推進ネットワーク／土地：成田空港保有地／予算：芝山町

【使用頻度の推移に関して】 　■〜２０１4 年まで・・・土グラウンド 　　平均稼働数　2〜3回／年 　　　Ex)芝山中学校部活動、消防出初め式 　■２０１５年夏〜・・・芝地グラウンド化 　　平均稼働回数　6回／月×6ヶ月 　　　Ex)芝山中学校部活動、外部団体の 　　　　　スポーツ練習、試合等 　→芝生化後対前年度800%の稼働率（半年間）

※２０１６年はカンボジアチャリティマッチ大会実施（決

定）他、各種大会、イベント利用の問い合わせあり

　　　　　　　　　　　　　 　↓ 　芝生グラウンド化による稼働率UPが見込める

付録1

資料2)『芝』育成実施/展開例モデルケース②

塩釜方式天然芝の関東圏における試験栽培実験　　試験栽培期間：2015年7月8日〜8月20日

　　協力：一般社団法人八街アカデミック・スポーツクラブ、千葉黎明高校

※芝山町に隣接した八街市・千葉黎明高校内に「芝学科」設立の動きがあり、その育成・研究用地として芝山町の用地活用の連携を進めている。

2015/07/08 塩釜方式天然芝採取 2015/07/12 植え込み 2015/07/28 2週間経過

2015/08/20　40日経過

2015/08/08 約1ヶ月経過

塩釜方式天然芝は、適切なメンテナンスを施した場合、関東圏でも約40日程度で芝面の育成に成功。 今後、スポーツグラウンド等での活用も視野に入れ、芝目を詰め

た状での検証を引き続き実施。

付録2

資料3)  NPO法人の設立の経緯と活動

NPO法人  成田臨空スポーツ文化推進ネットワーク

　騒音問題等で成田空港に買い上げられた用地の有効活用や開発の提言を進めていた芝山町町民が中心となり、スポーツを通したまちづくりを理想とした“NPO法人 成田臨空スポーツ文化推進ネットワーク”を2014年に設立。

　「成田空港周辺地域において、サッカーをはじめとする様々なスポーツの振興を行い、スポーツを通したまちづくりと観光ネットワークを拡げ、地域の活性に寄与

すること」を目的とした特定非営利活動法人で、成田臨空エリアを魅力ある元気なまちにするために、スポーツを根幹とした環境づくりについて、自治体へ提案などを行っている。

　スポーツを根幹に地域振興を考える経緯の中で、多くの子どもたちやスポーツを楽しむ人々が、人工芝やむき出しの土の上で練習や大会が行われている現状に直面し、豊かな芝生グラウンドでのスポーツ環境整備が必要との考えに至る。

　休眠地を活用した芝の育成は芝山町にとって新たな農産業の創出、雇用の拡充や人材育成にも繋がり、また芝育成によって得られる芝地グラウンドを活用したスポーツ振興による地域の活性化は、同じ問題を抱える成田臨空地域への波及も見込めるものとして、積極的に活動をしている。

付録3

資料4)関連組織の概要

一般財団法人　日本スポーツコミッション  

設立趣旨

　一般財団法人日本スポーツコミッションは、まちづくり・地域づくりの視点から、如何にしてスポーツを活用した地域の活性化を図っていくかについて調査研究し、活動していく組織として2009年5月に設立しました。

　この地域の活性化には、経済的視点が重要であることは重々承知しておりますが、まちづくりや地域づくりには、人材やアイデンティティ、コミュニティ、交流、情報発信などの社会的視点が必要と考えております。

　したがいまして私どもは、スポーツの有する経済的視点のみならず、社会的視点の両面からスポーツを捉え、その活用によるまちづくり、地域づくり、ひいては地域の活性化を図っていこうとするものであります。

付録4