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日本版SDGsの提案(試案) SCP推進に向けたガバナンスのあり方 1 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 環境研究総合推進費戦略課題(S-11)『持続可能な開発目標とガバナンスに関す る総合的研究- 地球の限られた資源と環境容量に基づくポスト2015年開発・成長 目標の制定と実現へ向けて 』プロジェクトリーダー 蟹江憲史 資料4

日本版SDGsの提案(試案) と 推進に向けたガバナ …...日本版SDGsの提案(試案) と SCP推進に向けたガバナンスのあり方 1 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科

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日本版SDGsの提案(試案)と

SCP推進に向けたガバナンスのあり方

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慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科環境研究総合推進費戦略課題(S-11)『持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究-地球の限られた資源と環境容量に基づくポスト2015年開発・成長

目標の制定と実現へ向けて –』プロジェクトリーダー

蟹江憲史

資料4

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SDGsによるガバナンス:多様なレベルでのガバナンスメカニズム設定が課題

国連レベルのみならず、地域や国内レベルでのSDGs設定、実施、フォローアップとレビューが必要

地域・国家レベルのSDGs策定及び実施

国レベルでのSDGsはどうあるべきか?実施メカニズムをどうするか?

ステークホルダー参加メカニズムはどう構築するか?

社会、経済、環境面の政策統合メカニズムをどう作るのか?司令塔は誰/どこが担うのか?

国連レベルでの実施実施メカニズムをどう設定するか?

グローバルレベルと地域、国レベルをつなぐメカニズムはどうすればよいのか?

SDGs目標 12. 持続可能な消費生産形態の確保

12.1 持続的な消費と生産に関する 10 年枠組みプログラム(10YFP)を実施し、先進国主導の下、開発途上国の開発状況や能力を勘案し、すべての国々が対策を講じる。

12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成する。(100%)

12.3 2030 年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ(100%)、

収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。

12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物の環境に配慮した管理を達成し(100%)、

大気、水、土壌への排出を大幅に削減することにより、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限に留める。

12.5 2030 年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。

12.6 大企業や多国籍企業をはじめとする企業に対し、持続可能な慣行を導入し、

定期報告に持続可能性に関する情報を盛り込むよう奨励する。

12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

12.8 2030 年までに、あらゆる場所の人々が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

12.a 開発途上国に対し、より持続可能な生産消費形態を促進する科学的・技術的能力の強化を支援する。

12.b 持続可能な開発が雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業にもたらす影響のモニタリングツールを開発・導入する。

12.c 破壊的な消費を奨励する非効率的な化石燃料の補助金を合理化する。これは、課税の再編や該当する場合はこうした有害な補助金の段階的廃止による環境影響の明確化などを通じ、各国の状況に応じて市場の歪みを是正することにより行うことができる。また、 その際は開発途上国の特別なニーズや状況を考慮し、開発への悪影響を最小限に留め、貧困層や対象コミュニティを保護するようにする。 3

政策ツールとしての持続可能な開発目標

4http://globalgoals.org/

1. 実際には、目標12以外にもSCPは関係(例:エネルギー選択(目標7)、食料廃棄物削減(目標2)、実施(目標17))。したがって、実施や各国別SDGs設定には課題間のリンクが重要に。 ⇒SCPを多様な政策分野に内部化するためのツールになる可能性

2. The Multi-stakeholder Forum on Science Technology and Innovation for the SDGsやHLPFといったメカニズムを通じ、日本

の政策パッケージや技術を世界的に広めるためのツールとしての可能性【内容面について他のテーマとの連携】

SDGsの目標間のリンク

GSDR 2015

SDGsの今後の課題

1. 実施メカニズム(制度)の確立1. 「誰も置き去りにしない」

格差解消、そのためには統合的解決が必要

2. 新たなグローバルガバナンスの仕組み確立 気候変動COPなどの法的枠組みの限界→「目標によるガバナ

ンス」の挑戦

国連の仕組みとしてハイレベル(GA)で政治的指針

国や地域でのテーラーメードの実施

ステークホルダーによる新たな仕組み創出 日本でも対応が必要

→ 課題:統合的な(横断的)課題解決の制度を作れるか

2. フォローアップとレビュー(評価)6

2030年アジェンダの効果的な実施に向けた特徴

地域レベルでの相互学習やベスト・プラクティスの共有が奨励

Technology Facilitation Mechanismの設置。以下の3つで構成。

United Nations Interagency Task Team on Science, Technology and Innovation for the SDGs

Multistakeholder Forum on Science, Technology and Innovation for the SDGs

オンライン・プラットフォーム

GAのもとのHLPFがポリシーガイダンスを与える(4年に一度、次回は2019年)

HLPFで実施状況の情報交換など。HLPFのレビューにはcivil societyやprivate sectorのレポートも含まれうる。

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2.フォローアップとレビュー

国別にターゲットや実施をテーラーメード

国別でのターゲット設定、補完的指標設定が想定

国別報告書による包括的レビューの実施

国レベル及びサブ・ナショナルレベルにおいて以下を奨励

アジェンダ実施への対応

定期的かつ包括的レビューの実施

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配慮製品提供

責任購入

コンサル協力事業創出パートナー

コンサル協力

責任投資

広告表彰

支援表彰

支援表彰

啓発

情報提供

政策支援

コンサル協力

政策提言

支援 啓発

啓発

責任投資

支援

支援

SDGsJapanプラットフォーム

中央

省庁

地方

行政

消費者

投資家

企業

NPO/

NGO

研究者

メディア

共通ロゴスローガン

いま起きつつあること:CSRからSDGsへの関心

SDGsコンサルティング

SDGsタスクフォース

MASAHIRO KAWATEI@HAKUHODO

日本で対応すべき課題1. 国内における実施へ向けた「司令塔」設立 既存の枠組で対応出来ない横断的課題(災害対応、食料廃棄物、雇用や地方創生等)への対応【政治的権威が必要】

国内政策としての課題と国際政策としての課題

2. ベストプラクティス(政策・産業)の国際的推進 ベストプラクティスの国際普及による日本の成長と、国際的評価向上による日本の地位向上

3. 2030目標の普及推進 特に、SDGsは経済成長戦略であるという認識醸成 地方創生のような既存政策の強化にも有用

4. 政府ー企業ーNGO等のパートナーシップ促進

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日本版SDGs

Japanese SDGs

2000年に採択され、 2015年に達成期限を迎えたミレニアム開発目標(MDGs) は、貧困と飢餓の撲滅、初等教育の普及ジェンダーの平等推進など途上国の経済社会開発に主眼を置いていた。これまでのMDGs実施の結果、乳幼児死亡率の削減やマラリアの蔓延の防止などの課題について大きな前進がみられたが、貧困の撲滅など達成できなかった課題も残されている。加えて、近年では気候変動や生物多様性の保護という環境の問題や、持続的な経済成長や雇用という経済の問題、人権や社会的な平等という社会の問題も増加してきた。このような背景を受けて、2012年に開催された国連持続可

能な開発会議(Rio+20)では、MDGsが達成し切れなかった課題を補完するような持続可能な開発目標(SDGs) を設定することが決定した。その後、約3年間の議論の結果、2015年9月の国連サミットにおいてSDGsが決定されることとなった。17の目標と169のターゲットで構成されるSDGsは、貧困、農業、健康と福祉、教育、ジェンダー、水、エネルギー、都市問題、持続可能な消費と生産、生態系の保護、またそのための手法についての目標が含まれており、地球システム維持に関する課題を包括的に扱う国際アジェンダである。

持続可能な開発目標(SDGs) とは

日本版SDGs提案の背景と目的

日本版SDGs提案のプロセス

国連SDGsと既存の国内目標

の照合

専門家によるブレインストーミン

日本版SDGs案(たたき台)の作

ステークホルダーとの対話

2015年9月の国連総会での決定後、SDGsは各国が中心となり、実施およびその進捗の計測が行われることになる。各国版のSDGsをどのように構成し、実施するかは、各国の優先順位を勘案し、各国が決定することが政治的に決まっている。一方、持続可能な開発の実現のためには、環境・経済・社会の各側面を統合して実施することが重要であることが国連文書等でも認識されており、科学的見地からもその重要性が強調されている。こうしたことから、本提案は、環境・経済・社会の諸領域のなかで統合的解決が必要な分野について、日本にとっての政策

的優先順位を鑑みたうえで、SDGsの再構成を行った。この6分野が日本が統合的に進めるべきSDGsである。これらの目標実施に関しては、当該分野の国連SDG(例えば水の場合目標6)のみに終始するものではなく、いくつか他の目標のなかに関連するSDGが含まれている。したがって、日本版SDGsを実施すれば、そうした多岐にわたる国連目標やターゲットが自動的に達成されることになる。一方それらに含まれない国連目標やターゲットに関しては、これまでの政策枠組みの延長により達成可能である。

持続可能な開発目標(SDGs)目標1: あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を撲滅する目標2: 飢餓を撲滅し、食糧安全保障および栄養改善を実現し、

持続可能な農業を促進する目標3: あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、

福祉を促進する目標4: すべての人々に、包括的かつ公平な質の高い教育を

保証し、生涯学習の機会を促進する目標5: ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女子の

エンパワーメントを図る目標6: すべての人々に、水と衛生の利用可能性と持続可能

な管理を確保する目標7: すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な現

代的エネルギーへのアクセスを確保する目標8: 持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、すべての

人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する

目標9: レジリエントなインフラの構築、包括的かつ持続可能な産業化の推進およびイノベーションの促進を図る

目標10:国内および国家間の不平等を是正する目標11:包括的、安全、レジリエントかつ持続可能な都市および

人間居住を実現する目標12:持続可能な消費と生産(SCP)の形態を確保する目標13:気候変動およびその影響に取り組むための緊急対策を

講じる目標14:持続可能な開発のために、海洋資源を保全し、持続的

に利用する目標15:陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森

林の持続可能な管理、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・防止および生物多様性の損失の阻止に取り組む

目標16:持続可能な開発のために平和で包括的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスの提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包括的な制度を構築する

目標17:持続可能な開発のために、実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する ドラフト版

Target 1.1

Target 1.2

Target 1.3

Target 1.4

食料

食料生産における環境負荷の低減

農産品の持続可能性情報へのアクセス

食料の安定供給と地方再生の実現

気候変動への適応と種子・遺伝子の保全

Target 3.1

Target 3.2

Target 3.3

エネルギー

効率的なエネルギー利用

再生可能エネルギーの普及拡大

エネルギーリテラシーの向上と、エネルギー自治

Target 2.1

Target 2.2

Target 2.3

Target 2.4

Target 2.5

水資源の循環、需給バランスの確保

水環境の改善と生態系の保全・再生

あらゆるリスクに備えた水の安定的供給と節水

水リテラシーの向上

世界の水問題解決への貢献

Target 4.1

Target 4.2健康

健康長寿命社会の実現

こころの健康の維持と薬物乱用の防止・治療の促進

Target 6.1

Target 6.2

Target 6.3

Target 6.4

教育

教育への公正なアクセスの推進

持続可能な開発のための教育(ESD)の推進

教育および社会におけるインクルージョンの推進

地球規模課題解決のための高等教育・研究分野の国際協力の推進

Target 5.1

Target 5.2

Target 5.3

格差・働き方

公平で質の高い医療・介護・福祉サービスの確保

経済的・社会的格差に起因する出産障壁の撤廃

公平で安心して働ける労働環境の整備

国連のSDGsとの関連分野 目標

ドラフト版