37
1 まえがき もくじ ・・・・・・・1 はじめに ・・・・・・・3 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」とは ・・・・・・・4 学校における合理的配慮とは? ・・・・・・・6 合理的配慮はどのように進めればよいのでしょう ・・・・・・・7 個別の教育支援計画 個別の教育支援計画 様式例 ・・・・・・・8 記入例 ・・・・・・12 記入のポイント ・・・・・・15 個別の教育支援計画策定のポイント例 ・・・・・・18 個別の教育支援計画Q&A ・・・・・・19 「合理的配慮」とは? 具体的にはどんな「合理的配慮」をすればよいの? 「合理的配慮」の内容はどのように検討・決定・提供されるの? Q 4 「合意形成」とは? Q 5 「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の違いは? Q 6 「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」どちらを作成するの? Q 7 「個別の教育支援計画」の様式は? Q 8 「個別の教育支援計画」は誰が策定するの? Q 9 「個別の教育支援計画」の策定が必要なのはどのような子? Q10 「個別の教育支援計画」はいつ、どのように策定するの? Q11 策定後の「個別の教育支援計画」は、いつどのように評価や修正をするの? Q12 策定した「個別の教育支援計画」はどのように活用するの? Q13 「個別の教育支援計画」の取り扱い方は? Q14 「個別の教育支援計画」を引き継ぐときは? Q15 合意形成から合理的配慮実施までの保護者の関わりは?

「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

1

まえがき

もくじ ・・・・・・・1

はじめに ・・・・・・・3

Ⅰ 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮

1 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」とは ・・・・・・・4

2 学校における合理的配慮とは? ・・・・・・・6

3 合理的配慮はどのように進めればよいのでしょう ? ・・・・・・・7

Ⅱ 個別の教育支援計画

1 個別の教育支援計画 様式例 ・・・・・・・8

2 記入例 ・・・・・・12

3 記入のポイント ・・・・・・15

4 個別の教育支援計画策定のポイント例 ・・・・・・18

Ⅲ 個別の教育支援計画Q&A ・・・・・・19

Q 1 「合理的配慮」とは?

Q 2 具体的にはどんな「合理的配慮」をすればよいの?

Q 3 「合理的配慮」の内容はどのように検討・決定・提供されるの?

Q 4 「合意形成」とは?

Q 5 「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の違いは?

Q 6 「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」どちらを作成するの?

Q 7 「個別の教育支援計画」の様式は?

Q 8 「個別の教育支援計画」は誰が策定するの?

Q 9 「個別の教育支援計画」の策定が必要なのはどのような子?

Q10 「個別の教育支援計画」はいつ、どのように策定するの?

Q11 策定後の「個別の教育支援計画」は、いつどのように評価や修正をするの?

Q12 策定した「個別の教育支援計画」はどのように活用するの?

Q13 「個別の教育支援計画」の取り扱い方は?

Q14 「個別の教育支援計画」を引き継ぐときは?

Q15 合意形成から合理的配慮実施までの保護者の関わりは?

Page 2: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

2

Ⅴ 事例

○小学校の事例 ・・・・・・23

○中学校の事例 ・・・・・・24

○特別支援学校の事例 ・・・・・・25

資料

○共生社会の形成を目指して(障害者権利条約との関連) ・・・・・・26

○合理的配慮と基礎的環境整備とは? ・・・・・・27

○合意形成とは? ・・・・・・28

○個別の指導計画様式 ・・・・・・29

あとがき

Page 3: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

3

合理的配慮って 例えばどんなこと・・?

ことばだけでの理解が難しい子どもに

絵や写真カード、ICT機器の活用をする

見えにくさがある子どもの

席を配慮して黒板が見えやすいようにする

これらのように合理的配慮には、これまで私たちが子どもの困り感に合わせて実施し

てきた支援も含まれます。合理的配慮はその内容を「個別の教育支援計画」に明記する

ことが望ましいとされています。

人前での発表に困難さがある子どもに

十分な時間を確保したり、

レポートなどの代替措置をしたりする

聞こえにくさがある子どもに

英語のヒアリングで

音のボリュームを調整する

教室の中での合理的配慮例

個別の教育支援計画って?

どのように作成すればいいの?

3

Page 4: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに
Page 5: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

4

1 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」とは

小学校学習指導要領総則第4の2(7)に記載されています。

障害のある児童などについては、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、

例えば指導についての計画又は家庭や医療、福祉等の業務を行う関係機関と連携した

支援のための計画を個別に作成することなどにより、個々の児童の障害の状態等に

応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと。

(中学校学習指導要領では総則第4の2(8)に同等の記載有り)

「個別の教育支援計画」とは? 「個別の指導計画」とは?

長期的な視点に立ち、

関係機関との連携を図り、

必要な支援を継続するための計画

乳幼児期から学校卒業までを見通した

長期的な視点で、一貫した教育的支援を行う

ことが目的です。

合理的配慮を明記することが望ましいです。

学校が中心となって、本人・保護者と策定

します。その際、関係機関(教育、医療、保

健、福祉、労働等)との連携が望ましいです。

関係者が、本人や保護者の願い、目標、

支援内容、方法等の情報を共有し、役割分担

をして適切な支援に生かします。

*生涯にわたって支援をするために「個別の支援計画」

があります。それを、教育機関(学校・教育委員会)

が中心となって策定する場合を「個別の教育支援計

画」と呼びます。

短い期間を決め、

効果的な指導、適切な支援を行うための

きめ細やかな計画

「個別の教育支援計画」に明記した

「合理的配慮」を踏まえ、短期間の具体的

な指導を行うことが目的です。

学校で作成し、指導目標や内容・方法を

明確にします。

本人・保護者、教職員などが共通理解を

して、きめ細かな指導を行います。

半年・一年ごとや単元ごとに計画しま

す。

支援をつなぎ

豊かな生活を実現させよう!

できそうなことから、

一つずつ、願いをかなえよう!

Page 6: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

5

①保護者や関係機関と情報を共有できます

②目標や支援が明確になります

③校内での共通理解や体制づくりに役立ちます

④障害に応じたきめ細やかな指導ができます

⑤引継ぎの資料となり、一貫性のある指導ができます

⑥本人が成長したとき、自己理解に役立ちます

【個別の支援計画、個別の教育支援計画、個別の指導計画の関係図】

独立行政法人国立特殊教育総合研究所『「個別の教育支援計画」の策定に関する実際的研究』(平成 18年)より引用

「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」を

作成することで、以下のような方向性が生まれます。

保護者・学校・関係機関が

同じ目標で進められますね

同じ支援だと本人も

混乱しなくていいですね

【作成の手順】

個別の教育支援計画の策定を踏まえて、個別の指導計画が作成されます。

Page 7: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

6

障害のある者とない者が共に学ぶ教育をインクルーシブ教育と言います(P26参照)。

そこでは、個々に必要な「合理的配慮」が提供されることなどが必要とされています。

合理的配慮は、基礎的環境整備を基にして、個別に決定されるものです。

中教審報告(平成24年)に、その関係が下図のように示されています。

学校における合理的配慮とは

障害のある子どもが、より学習や生活がしやすいように

その子どもに合った必要な変更や調整を

過度な負担がない範囲で行うことです。

Aさんの

ための配慮

Bさんの

ための

配慮

Cさん

基礎的環境整備

国、都道府県、市町村等による環境整備のこと

例:通級指導教室の新設、バリアフリーの施設設備の整備、専門性のある教員の配置、

支援員の配置、交流及び共同学習の推進など

合理的配慮

基礎的環境整備を基に設置者・学校が

その子の状況に応じた配慮を行うこと

子どもたちの能力を

最大限発揮できるようにしましょう!

2 学校における合理的配慮とは?

Page 8: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

7

合理的配慮は、各学校の設置者及び学校が、本人・保護者と可能な限り合意形成を図っ

た上で、一人一人の障害の状態や教育的ニーズに応じて決定されます。その検討の前提と

して、学校は子どもの実態把握をしておく必要があります。これを踏まえて、個別の教育

支援計画を作成する中で、合理的配慮の具体的内容を可能な限り合意形成を図った上で決

定し、提供します。

下記は、基本モデルの一例です。(詳しくは P18資料参照)

3 合理的配慮は どのように進めればよいのでしょう?

合意形成

本人・保護者・学校等で、必要で可能な支援を話し合い調整・決定します。

実態把握・配慮の申し出(意思の表明)

子どもの興味・関心や学習上または

生活上の困難等の実態把握を行います。

「個別の教育支援計画」の策定・「個別の指導計画」の作成

決定した目標や願い、合理的配慮等を明記します。

(医療・福祉など他機関との連携も)

合理的配慮に基づく支援・指導

実際の学校生活の中で、支援・指導を行います。

例:一斉の指示が聞き

取れず、各教科の

課題が提出できずに

困っています。

評価・見直し

必要に応じて、提供した配慮の変更や見直しを行います。

例:各教科の課題や持ち物

を メモや一覧表にして

子どもに渡します。

Page 9: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに
Page 10: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

8

個別の教育支援計画(様式例)

幼稚園・保育所等名( )

学校名( 学校)

ふりがな

氏 名

生年月日

年 月 日

氏名ふりがな

(続柄 ) 家族状況(ペット含)

住所 〒

TEL

緊急

連絡先 ①名前 (続柄 )Tel

②名前 (続柄 )Tel

診断名

(複数可)

医療機関名

(左に対応)

診断に至るまでの経過 現在までの治療・相談歴

特に本人が困っていること

療育手帳 有・無 等級 手帳番号 年 月 日交付

身体障害者 手帳

有・無 等級 手帳番号 年 月 日交付

精神障害者 保健福祉手帳

有・無 等級 手帳番号 年 月 日交付

受給者証 有・無

・ 番号

・ 番号

諸検査

服薬

アレルギー

など

生 育 歴 療育・保育・教育歴 ・出下時体重( g) ・ 首のすわり( 歳 ヶ月)

・一人歩き( 歳 ヶ月) ・ 発 語( 歳 ヶ月)

・視線(合う・合わない) ・指 さ し(有・無)

・人見知り(有・無) ・場所見知り(有・無)

・特記事項

Page 11: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

9

氏名 ( 年 組) 記入者名

興味関心・魅力

<本人> <保護者>

ニーズ・願い

<本人> <保護者>

<総合的な支援方針>

< 目 標 >

<支援の見通し>

□1年

□2年

□3年

□その他

策定日 年 月 日( ) 見直し日 年 月 日( ) 総合評価日 年 月 日( )

療育・教育

放課後・休日・地域

医療・健康

行政・福祉等

追 加 用 の り し ろ

Page 12: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

10

【 合 理 的 配 慮 の 記 載 】 優先 順位 配慮が必要な状況・実態 配慮すべき事柄(3観点11項目を参考) 評 価

総 合 評 価

評価者署名:

以上の内容に同意します。(自署)

年 月 日 本人氏名 保護者氏名

担任氏名 園長・学校長名

追 加 用 の り し ろ

Page 13: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

11

メモ欄 (様式にない項目やその他の重要事項を書いたり、必要に応じて個別の指導計画を貼ったりして活用する。)

Page 14: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

12

個別の教育支援計画

幼稚園・保育所名( )

学校名 (千葉市立******小学校)

ふりがな

氏 名 *** **

生年月日

H**年 *月**日

氏名ふりがな

*** *** (続柄 父 ) 家族状況(ペット含)

住所 〒

TEL

***(父*歳)

***(母*歳)

***(姉*歳)

本人(*歳)犬2匹 緊急

連絡先 ①名前 (続柄 )Tel

②名前 (続柄 )Tel

診断名

(複数可) 自閉症スペクトラム障害

医療機関名

(左に対応) ◯◯病院

診断に至るまでの経過 現在までの治療・相談歴

年長の頃から、不器用な様子があった。小学校に

入ってから家でパニックを起こすことが多く、病院

に受診した。

H23.5 保健師に運動のことを相談(担当***)

H27.4 〇〇病院に受診 服薬(担当*****)

H27.5 千葉市養護教育センターに相談

(担当****) 特に本人が困っていること

書くのが苦手。繰り返し同じことをするのが苦

手。家で、パニックを起こす。

療育手帳 有・無 等級 手帳番号 年 月 日交付

身体障害者 手帳

有・無 等級 手帳番号 年 月 日交付

精神障害者 保健福祉手帳

有・無 等級 手帳番号 年 月 日交付

受給者証 有・無

・ 番号

・ 番号

諸検査

服薬

アレルギー

など

・WISC-Ⅳ(FSIQ** VCI** PRI** WMI** PSI**)H27.6 養護教育センターにて

・頓服薬◯◯

生 育 歴 療育・保育・教育歴 ・出下時体重( g) ・ 首のすわり( 歳 ヶ月)

・一人歩き( 歳 ヶ月) ・ 発 語( 歳 ヶ月)

・視線(合う・合わない) ・指 さ し(有・無)

・人見知り(有・無) ・場所見知り(有・無)

・特記事項

H22.4 △△保育所 担任:****

H25.4 ◯◯◯小学校入学

1-1担任:***** 2-1担任:****

保育所の頃から運動にぎこちなさがあった。場所見知りがあり、初めての場所だと泣いたり逃げ出したりした。

記入例

Page 15: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

13

氏名*** ** ( *年 *組) 記入者名*** *

興味関心・魅力

<本人>

決めたことは最後までやりたい。

お話作りが好き。

<保護者>

難しい内容の本でも、一度関心をもったら何度

も読んでいる。理解もしている。

ニーズ・願い

<本人>

漢字ドリルや計算問題など同じことを繰り返す

と疲れる。繰り返しの多い課題はやりたくない。

リラックスする時間がほしい。

<保護者>

家でのパニック(1時間)が週に4回ある。

気持ちを落ち着けて、無理なく学習に参加して

ほしい。

<総合的な支援方針>

疲労感を和らげるための配慮を行い、学習への参加を高めるとともに家庭での安

定を図る。そのためにも自分で状況を伝える力を身に付けさせたい。

< 目 標 >

自分のペースを知り、無理のない学習参加ができる。

<支援の見通し>

☑1年

□2年

□3年

□その他

策定日 H**年 6月 4日(木) 見直し日 H**年 12月10日(木) 総合評価日 H**年 3月 7日(月)

パニックになる前に、宿題の量を調整する。

療育・教育

養護教育センター TEL **-***-**

学校生活について相談。担当は◯◯。

放課後・休日・地域

医療・健康

◯〇病院 月に1回通院。TEL ***-***

パニックを抑えるための頓服薬をもらう。(薬の名前)担当は◯◯

行政・福祉等

追 加 用 の り し ろ

Page 16: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

14

【 合 理 的 配 慮 の 記 載 】 優先 順位 配慮が必要な状況・実態 配慮すべき事柄(3観点11項目を参考) 評 価

・疲れがたまると、学習に集中

できず、疲労がたまって家でパ

ニックを起こしてしまう。学校

での疲労を少なくする必要が

ある。

・漢字練習やドリルなど同じ課

題を繰り返す課題で疲労しや

すい。注意が持続できる量の調

整が必要である。

・書くことなど苦手な部分にお

ける指導が必要。

・クールダウンをする機会の提供。

(①−2−3心理・健康面の配慮)

・課題の量を減らす。

(①−1−2学習内容の変更・調整)

・LD等通級指導教室に通級し、週1回

の個別の指導を受ける。

(②−1専門性のある指導体制の整備)

・非常に有効。本人も今

後も継続希望する。

(12/10)

・自分の状態を担任に伝

えることもできるよう

になってきた。(3/7)

・量を減らすことで、学

習参加が高まっている。

(12/10)

・通常の量もこなせるよ

うになってきた。継続す

る。(3/7)

・今後も継続する。(3/7)

総 合 評 価

上記の内容は、本人自身の安心感につながっていることから、今後も継続する。課題の量については、

徐々に通常の課題ができるようになってきているので、本人と適宜相談し合いながら配慮の程度を検討す

る必要がある。

評価者署名:***** ****** **** *****

以上の内容に同意します。(自署)

H**年 6月4日 本人氏名 *** ** 保護者氏名 *** ***

担任氏名 *** * 園長・学校長名 *** ***

追 加 用 の り し ろ

Page 17: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

15

記入のポイント

保護者が記入する。

療育センターでの指導や民間の個別指導なども記入する。診断をした医師の名前など担当者名を書くとよい。

頻繁に見られる苦手さ、困りを記入する。

書ける範囲で記入する。

診断またはニーズの高まりに至るまでの経緯を簡潔に書く。

診断名がはっきりしない場合は書かなくてもよい。**疑いでも可能。

現在一緒に生活している家族について記入する。

連携・連絡を取る必要がある場合には担当、担任の名前なども書いておくとよい。

更新した場合は適宜書き足したり、削除したりする。

保護者の了解なく関係諸機関に提示してはいけない。管理には十分注意をする。

《Check Point!!》

◯個別の教育支援計画の様式は A3見開きに印刷して活用します。その際、表紙にプロフィ

ールの様式、内側見開きに支援方針・関係機関の書かれた表と合理的配慮の記載、裏表紙

はメモ欄がくるようにします。

◯表紙の記載は保護者の同意が必要です。

◯全てを一度に書き込む必要はありません。空欄があってもよいです。

◯診断名がない場合は、本人の困り感を書く欄に具体的に記述するようにしましょう。

Page 18: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

16

氏名*** ** ( *年 *組) 記入者名*** *

興味関心・魅力

<本人>

決めたことは最後までやりたい。

お話作りが好き。

<保護者>

難しい内容の本でも、一度関心をもったら何度

も読んでいる。理解もしている。

ズ・願い

<本人>

漢字ドリルや計算問題など同じことを繰り返す

と疲れる。繰り返しの多い課題はやりたくない。

リラックスする時間がほしい。

<保護者>

家でのパニック(1時間)が週に4回ある。

気持ちを落ち着けて、無理なく学習に参加して

ほしい。

<総合的な支援方針>

疲労感を和らげるための配慮を行い、学習への参加を高めるとともに家庭での安

定を図る。そのためにも自分で状況を伝える力を身に付けさせたい。

< 目 標 >

自分のペースを知り、無理のない学習参加ができる。

<支援の見通し>

☑1 年

□2 年

□3 年

□その他

策定日 H**年 6 月 4 日( 木) 見直し日 H**年 1 2 月1 0 日( 木) 総合評価日 H**年 3 月 7 日( 月)

パニックになる前に、宿題の量を調整する。

療育・教育

養護教育センター TEL**-***-**

学校生活について相談。担当は◯◯。

放課後・休日・地域

医療・健康

◯〇病院 月に1回通院。TEL***-***

パニックを抑えるための頓服薬をもらう。(薬の名前)担当は◯◯

行政・福祉等

追 加 用 の り し ろ

面談時に確認した内容を学校の担当者が記入する。

学年が変わった時に新規作成し、張り付ける。

保護者が考える本人の興味関心や魅力を記入する。

本人の肯定的側面の理解や支援の手がかりとして活用できる内容を記入する。

本人自身がとらえている内容をまとめ、記入する。

本人や保護者の願いを受けて、学校側の視点も加え支援方針をまとめる。

本人の願う生活に近づくための目標にする。 年齢や状況に応

じてどの程度のスパンが適切か検討する。

主な相談内容をまとめる。服薬の状況、目的なども記入する。

習い事や塾または特徴的な生活について記入する。

内容が変わったら、適宜修正する。

放課後支援、福祉的サービスなどを記入する。

家庭での様子や取り組みについて記入する。

策定日は、総合的な支援の方針に基づいた合理的配慮に同意を得て署 名 し た 日付。見直し日、総合評価日を必ず年度内に位置付ける。

《Check Point!!》

◯総合的な支援方針が決まるまで、保護者と面談を繰り返したり、本人とどんな配慮がよい状

態につながるのかを検討したりする過程が重要です。焦らずに合意形成を行います。

◯より具体的な方針、手立てや長期・短期目標については、個別の指導計画に記載します。

◯PDCA サイクルで進められるよう、見直し日や総合評価日を必ず設定します。

◯関係諸機関の情報は変更があったら適宜修正します。赤で修正するとわかりやすくなります。

Page 19: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

17

【 合 理 的 配 慮 の 記 載 】 優先 順位 配慮が必要な状況・ 実態 配慮すべき事柄( 3 観点1 1 項目を参考) 評 価

・疲れがたまると、学習に集中

できず、疲労がたまって家でパ

ニックを起こしてしまう。学校

での疲労を少なくする必要が

ある。

・漢字練習やドリルなど同じ課

題を繰り返す課題で疲労しや

すい。注意が持続できる量の調

整が必要である。

・書くことなど苦手な部分にお

ける指導が必要。

・クールダウンをする機会の提供。

(①−2−3心理・健康面の配慮)

・ 課題の量を減らす。

(①−1−2学習内容の変更・調整)

・LD等通級指導教室に通級し、週1回

の個別の指導を受ける。

(②−1専門性のある指導体制の整備)

・非常に有効。本人も今

後も継続希望する。

(12/10)

・自分の状態を担任に伝

えることもできるよう

になってきた。(3/7)

・量を減らすことで、学

習参加が高まっている。

(12/10)

・通常の量もこなせるよ

うになってきた。継続す

る。(3/7)

・今後も継続する。(3/7)

総 合 評 価

上記の内容は、本人自身の安心感につながっていることから、今後も継続する。課題の量については、

徐々に通常の課題ができるようになってきているので、本人と適宜相談し合いながら配慮の程度を検討す

る必要がある。

評価者署名: ***** ****** **** *****

以上の内容に同意します。( 自署)

H**年 6 月4 日 本人氏名 *** ** 保護者氏名 *** ***

担任氏名 *** * 園長・ 学校長名 *** ***

追 加 用 の り し ろ

策定メンバーの合意を得た内容を学校の担当者が記入する。

学年が変わった時に新規作成し、貼り付ける。

配慮が必要な状況、支援の方針を記述する。

具体的な配慮事項を記述する。3観点11項目における位置付けも書く(P 資料参照)

優先順位は、1、2、3…などの数字や高い、低い、時々などの言葉で示すとよい。

見直し日や総合評価日にまとめる。有効性や継続の必要性、経過などを書く。その際、必ず日付を書く。

本人の自署は実態に応じて求める。保護者代筆可。署名後にコピーし、保護者に渡す。

成果や課題を整理し、継続事項や再検討事項を明確にする。最後に、評価を行ったメンバーで署名し、まとめとする。引継ぎにも活用。

《Check Point!!》

◯年度が変わり、新たに作成する際には追加の必要がある分だけ書き込み、同じ内容は、「昨

年度と同様」と書くとよいでしょう。ただし、合理的配慮の提供までに、改めて合意形成

を行う必要がある場合があります。

◯4ページ目のメモ欄は、必要に応じて自由に活用するためのものです。

◯本人が将来的に学校以外の場でも、自分から申し出ができるようになることが大事です。

環境調整だけでなく、自己理解を育むことも重要です。

Page 20: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

18

【個別の教育支援計画策定のポイント(一例)】 *表内の網掛けは、個別の教育支援計画の記入に関する部分です。

配慮の申し出・実態の把握

□校内において合理的配慮提供の流れを設定・共有

してあるか。

□担任だけでなく、特別支援教育コーディネーター

(以下、「特別支援教育 Co」と略)と協力して実

態を把握したか。

□把握した実態を保護者と共有したか。

□本人に配慮の必要性を確認したか。

□個別の教育支援計画にプロフィールを書いても

らった後、回収したか。

合意形成

□合理的配慮の提供について関係者が了解してい

るか。

□配慮すべき事柄について本人が理解・納得してい

るか。

□本人と一緒に何が有効な配慮なのかを、適宜確か

めたか。

□合意形成ができるまで、本人や保護者と面談を行

ったか。

□必要に応じて、関係機関に協力を要請したり、情

報を集めたりしたか。

個別の教育支援計画の策定

□自署があるか。

□見直し日を決めたか。

□継続可能な内容になっているか。

□個別の教育支援計画の保管場所を決めたか。

□学校全体で共通理解ができているか。

□身につけさせたい力を焦点化し、個別の指導計画

を作成したか。

合理的配慮の提供

□無理のない合理的配慮になっているか。

□有効性や経過を確認する方法を定めているか。

□教育的ニーズのある子について、校内で共通理解

をする場を設けているか。

評価・見直し

□面談の日程を週報などで確認できるようになっ

ているか。

□評価についての情報を集めたか。

□有効性を本人と確認したか。

□見直し日に、総合評価日を決めたか。

□次年度に継続するか検討したか。

□書き込む欄がない、または年度が変わったとき

に、新規作成したか。

□卒業時に、個別の教育支援計画の原本を保護者に

返却したか。

□保管用のコピーの了解を得たか。

◯本人・保護者との面談:個別の教育支援計画について説明し、同意を得る。 ・実態を共有する。 ・合理的配慮の提供に至るまでの流れを説明する。 ・個別の教育支援計画の取扱い(活用・管理)や様式の内容を説明する。 ・個別の教育支援計画への記入(プロフィール欄)を依頼する。

◯関係機関との連携 ・情報を集める。

・協力の要請をする。

◯実態の把握 ・行動観察(特別支援教育 Coと連携)

・実態把握シート(養護教育センター参考)

◯本人・保護者からの配慮の申し出

(意思の表明)

◯学校側からの提案 ・実態の把握を行う。

・すでに行っている支援を報告する。

(継続の場合は学校側から連絡する)

◯校内委員会による検討・共有 ・校内における可能な合理的配慮を検討する。

◯本人・保護者との面談:総合的な支援の方針をまとめる。 ・本人、保護者のニーズや願い、把握した実態を、担任や特別支援教育 Coが調整

し、個別の教育支援計画に記入する。

・支援の見通し期間を定めた後、総合的な支援の方針をまとめ、記入する。

・支援の方針に基づいて、必要な配慮を検討する。

◯有効な合理的配慮の調整・決定 ・本人や保護者とともに合理的配慮が有効かどう

かを、実際に行ってみながら適宜確認する。

◯本人・保護者との面談:個別の教育支援計画を策定する。 ・有効だと思われる合理的配慮を個別の教育支援計画に明記する。

・目標の達成の見通しに応じて見直し日を定める。

・これまでの内容を確認し、個別の教育支援計画に署名する。

・内容を確認したら、コピーを保護者に渡し、原本は学校で保管する。

合理的配慮の提供

◯有効性の確認と調整 ・特別支援教育 Co と協力して、合理的配慮の有効性を確かめる。 ・校内委員会等で経過を報告する。

◯継続・引継ぎ ・校内委員会を通して引き継ぐ。

◯進学・転学 ・原本を保護者に渡しコピーを学校

で保管(5年間)する。

◯個別の指導計画の作成 ・身に付けさせたい力に焦点を当てて作成する。

◯関係機関との連携 ・関係機関の支援方針をま

とめたり、支援に関する

情報を集めたりする。

◯本人・保護者との面談:合理的配慮の見直しを行う。 ・本人の評価をもとに合理的配慮を評価し、変更や調整を行う。

・合理的配慮の経過、変更、調整を個別の教育支援計画に記入する。

◯本人・保護者との面談:個別の教育支援計画の総合評価を行う。 ・合理的配慮の有効性とともに本人のニーズ、成長についてまとめる。 ・次年度の引き継ぎ内容をまとめる。 ・内容を確認後、個別の教育支援計画に記入し、署名する。

◯校内委員会、学校全体での共通理解

合理的配慮の提供・有効性の確認と調整

Page 21: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに
Page 22: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

19

A 合理的配慮を提供するために、本人・保護者・学校等が合意を図っ

て、配慮の内容について決定することです。

【P28参照】

Q4「合意形成」とは?

A 国、都道府県、市町村等による基礎的環境整備を基に、設置者・学

校がその子どもの状況に応じて個別に行う、変更・調整のことです。

【P6、27参照】

Q1「合理的配慮」とは?

A 障害のある子どもがより学習や生活をしやすくするために、過度な

負担を課さない範囲でその子どもに合った支援・指導をします。合

理的配慮の具体例は国立特別支援教育総合研究所のHPに掲載され

ています(「インクルDB」で検索)。 【P23~25参照】

Q2 具体的にはどんな「合理的配慮」をすればよいの?

A 本人・保護者・学校等で、必要で可能な支援の話し合い(合意形成)

をした後、決定した合理的配慮を「個別の教育支援計画」に明記し、

その後、実際の学校生活の中で提供していきます。

【P7、18参照】

Q3「合理的配慮」の内容はどのように検討・決定・提供されるの?

Page 23: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

20

A 養護教育センターホームページからダウンロードし、本人・保護者・

学校・その他支援機関の合意事項を記述していきます(機密書類)。

記述する際には「個別の教育支援計画策定のポイント」内のチェッ

ク項目を参照し、漏れ落ちがないようにします。ただし、様式に記

載されているすべての項目を埋める必要はありません。

【P8参照】

Q7「個別の教育支援計画」の様式は?

A 特別支援教育コーディネーターや校内委員会の協力のもと策定し、

担任が記入します。可能なところは、本人・保護者に記入していた

だいてもよいでしょう。(最終合意の際には、本人・保護者・担任・

学校長の署名があるとより良いでしょう) 【P8~18参照】

Q8「個別の教育支援計画」は誰が策定するの?

A 「個別の指導計画」はあくまでも校内での指導資料として作成する

ものであり、「個別の教育支援計画」の中の具体的な支援計画の一

部という位置付けとなります。

【P4、5参照】

Q5「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の違いは?

A 保護者の了解を得て、両方作成することが望ましいです。

「個別の教育支援計画」は、保護者からの情報に基づき策定するため、

保護者の了解を得る必要があります。「個別の指導計画」は、保護者

の了解があることが望ましいですが、了解がなくても作成することは

できます。 【P4,5参照】

Q6「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」のどちらを作成するの?

Page 24: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

21

A 個人情報なので、家庭環境調査等と同じ扱いをします。学校間での

文書のやりとりは「親展」扱いとし、FAXでの送受信は避けます。

保管年限は、各自治体や各学校が指導要録の指導に関する記録やそ

の他の個票等の保存期間を参考に適切に定めます(千葉市では5年

が目安です)。

Q13 「個別の教育支援計画」の取り扱い方は?

A 特別な教育的ニーズのある子どもを対象とし、校内委員会で必要と

され、保護者の同意が得られた子について作成します。

【P4,5参照】

Q9「個別の教育支援計画」の策定が必要なのはどのような子?

A 一定期間支援を行った後、校内委員会等で話し合い、評価します。

①日常の記録や関わりのある教職員からの聞き取り等を基に変容

を見て、配慮事項(支援内容)が適切だったか評価します。

②必要に応じて本人や保護者と話し合い、計画を修正します。

【P18参照】

Q11 策定後の「個別の教育支援計画」は、いつどのように評価や修正をするの?

A 保護者や担任・校内委員会等で、この資料をもとに特別な支援実施

の計画を具体化して合理的配慮を行ったり、評価したりします。進

級時の引継ぎ資料にも活用できます。 【P18参照】

Q12 策定した「個別の教育支援計画」はどのように活用するの?

A 本人・保護者の要望、または、学校側の判断により必要とした時

点で、保護者の了解を得て作成します。(了解が得られなくても合意

形成のための働きかけは継続することが大切です) 【P18参照】

Q10「個別の教育支援計画」はいつ、どのように策定するの?

Page 25: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

22

「個別の教育支援計画」の活用イメージ図

A ①合意形成後「個別の教育支援計画」の保護者記入欄を記入しても

らいます。

②「個別の教育支援計画」が完成したら、原本をコピーして渡し、

保護者に保管してもらいます。

③「個別の教育支援計画」を見直す時には、再度合意形成を図り、

記載事項を確認してもらいます。

④子どもの卒業時(又は転学時)には、保護者に原本を渡し、進学

先・転学先に提出してもらうようにします。学校でコピーを保管

することを了解していただきます。 【P18参照】

Q15 合意形成から合理的配慮実施までの保護者の関わりは?

A「個別の教育支援計画」を転学先・進学先に引き継ぐ場合は、保護者

を通して行うことが必要です。学校が保護者の同意なしに、直接引

き継ぐことはできません。卒業後は、原本を保護者に返すのが原則

となります。卒業後(又は転学後)に保管するのは、コピーした写

しのみで、原本は保護者を通して転学先・進学先に引き継ぎます。

【P?参照】

Q14 「個別の教育支援計画」を引き継ぐときは?

みんなと

同じように

学習が進められて

嬉しいな!

Page 26: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに
Page 27: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

23

<小学校>

◯小学3年生 通常学級在籍 自閉症スペクトラム障害・ADD

◯家でパニックを起こす。パニックが起きると1時間程続く。それが週に3回ある。

◯書くことに困難があり、板書を視写したり繰り返し計算問題を行ったりすると疲れてうつ伏せになってしまう。

ステップ1 実態把握

ステップ2 個別の教育支援計画の策定(合意形成)

ステップ4 合理的配慮をふまえたきめ細やかな支援・指導の実施

ステップ5 評価・振り返り

ステップ3 個別の指導計画の作成

◯心理検査:WISC-Ⅳを実施 →言語理解は高い。処理速度が低く、視覚的短期記憶を苦手としている。

◯行動観察:ノートを最後まで取りきれない。計算問題、漢字の書き取りでは、表情が暗く、うつ伏せになる。

消しゴムを使う機会が多く、何度も同じところを消す。途中で作業を止めることができない。

◯聞き取り:書くことに疲れを感じる。疲れてくると学習に集中できず、周りの音がうるさく感じて嫌な気持ちになる。

<それぞれの願いを確認し、優先順位を決めていく>

本人の願い 疲れたら休みたい。でも、学習には参加したい。

保護者の願い 自分のペースをつかんで学習に参加してほしい。家では、落ち着いて過ごしてほしい。

学校の願い 心理的に安定した状態で学習に取り組んでほしい。

<長期的な見通しをもって支援方針を立てる>

目 標 疲れないように自分で学習のペースを調整することができる。

<合理的配慮として提供する事柄(観点)>

・課題の量を減らす(①−1−2 学習内容の変更・調整)

・クールダウンをする機会の提供(①−2−3 心理・健康面の配慮)

<学校でできる1年間の目標や具体的な手立てを設定>

長期目標 疲れた時の自分に気付き、自分で書く量を調整することで、教室を離れずに学習に取り組むことができる。

短期目標(前期) ・自分が取り組める書く分量を担任に伝える。

・疲れを感じたら、先生のそばに行き自分の状態を知らせる。

◯調整した分量を書くことができる。→課題に取り組む前に書く分量を伝え、できるかどうか確認する。

◯疲れを感じたら、先生のそばに行き自分の状態を知らせる。→先生のそばに行く時や状態を伝える時のサインを決める。

◯疲れた時は、時間を決めて、教室外でクールダウンをする。→クールダウンの場所やルールを決め、校内で共通理解を図る。

・クールダウンを適宜とることで、家でパニックを起こす回数が減ってきた。

・課題を調整することで、クールダウンの必要も減り、疲れることなく学習に参加できるようになってきた。

→●今後も合理的配慮を継続することで、教室で安定して過ごせることが予想される。

●書くことそのものに対する苦手さは変わらない。疲れずに書けるような力をつけるために個別の指導が必要。

書くことが困難で疲れやすいため、自分で学習のペースを調節したい子

Page 28: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

24

<中学校>

○中学1年生 通常学級在籍 自閉症スペクトラム障害

○一斉指示では聞き取りが難しく、持ち物や宿題等の聞き逃しが多い。

○困ったときには誰かから声をかけてもらうことを待っている。

○板書を書き写すことが難しい。

○心理検査:WISC-Ⅳ実施 →作業に時間がかかる。短期記憶も苦手としている。

○行動観察:ノートはとれていない教科が多いが、とりたい気持ちはある。取り掛かるまでに時間がかか

るため、最後まで書ききれない。授業中はボーっとしている。個別に指示を出すと作業に取

り組むことができるが、一斉指示では難しい。

○聞き取り:小学校ではノートに書く量を調整していた。指示は個別に確認をしていた。

<それぞれの願いを確認し、優先順位を決めていく>

本人の願い 忘れ物をしないようにしたい。 みんなと同じように生活したい。

保護者の願い 本人が自信をなくさないようにしてほしい。

学校の願い 自分から行動ができるようになってほしい。

<将来も含め長期的な見通し(複数年単位)をもって目標設定>

目 標 ・プラス思考で前向きに生活できるようにする。

<合理的配慮として提供する事柄(観点)>

・個別に話をする時間の確保(①-2-3 心理面・健康面の配慮)

・情報の個別提供(①-1-1 学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮)

<学校でできる1年間の目標や具体的な手立てを設定>

長期目標 本人が満足感をもって学校生活を送れるようにする。

短期目標(前期)・わからない時には自分から質問をする。・忘れ物を少なくする。

○わからない時には自分から質問をする。→放課後に学年主任と話をする時間を設定する。

○忘れ物を少なくする。→持ち物や宿題を付せんで個別に提示する。

・学年主任との話が定着し、わからないこともその話の中で聞けるようになってきた。

・忘れ物はまだ多い。付せんの処理の仕方に問題があった。

→●後期は学年主任との話を少し減らす。必要があれば自分から話に行くような体制を作る。

●個別にもらった付せんをまとめて貼っておけるノートを準備する。

●板書の書き写しについても、今後目標として設定していく。

ステップ1 実態把握

ステップ2 個別の教育支援計画の策定(合意形成)

ステップ3 個別の指導計画の作成

ステップ4 合理的配慮をふまえたきめ細かな支援・指導の実施

ステップ5 評価・振り返り

自分から行動するなど、前向きに生活できるようにしたい子

Page 29: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

25

<特別支援学校>

○特別支援学校高等部1年生 中学校まで通常の学級に在籍 軽度知的障害

○企業就労を目指している。基本的生活習慣の定着が不十分である。

○言葉の使い方や表現方法を誤って覚えている。人と関わる時の態度が不適切である。

○行動観察:身だしなみや衛生面、食事のマナーなど基本的生活習慣の定着が不十分である。

人と関わるときの言葉遣いや態度が良くない。また、注意や指導を素直に聞き入れよ

うとする姿勢も見られない。

○聞き取り:中学校の時は周囲から指摘されることがなく、そのまま覚えてしまっていた。

<それぞれの願いを確認し、優先順位を決めていく>

本人の願い 会社で働きたい。自分の趣味を楽しみながら生活したい。

保護者の願い 就職して、少しでも自立した生活ができるようになってほしい。

学校の願い 会社で働くために最低限必要なことを身に付けてもらいたい。

<将来も含め長期的な見通し(複数年単位)をもって目標設定>

目 標 ・自立した社会人を目指す。

<合理的配慮として提供する事柄(観点)>

・指導環境の整備(③-2 発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮)

・マナーやルールを学習する機会や体験の提供(①-2-2 学習機会や体験の確保)

<学校でできる1年間の目標や具体的な手立てを設定>

長期目標 基本的な生活習慣の定着を図る。

短期目標(前期) ・身だしなみを自分で確認する。・返事や正しい言葉遣いができるようになる。

○身だしなみを自分で確認する。→教室内に鏡を置き、チェック項目を掲示する。

身だしなみチェック表を使い、自己チェックできるようにする。

○挨拶や返事を正しい表現方法で行う。→気になる表現があったときには、ビジネスマナーマニュアルを

使い、その場で個別に確認する。

・身だしなみを他者から指摘される前に、自分で気を付けられるようになってきた。

・適度な声の大きさで、はっきりと挨拶や返事ができるようになった。

→●身だしなみについては、細かい衛生面の課題を含め、定着を図っていく。

●正しい表現方法だけではなく、言葉遣いや人と関わる態度についても目標としていく。

ステップ1 実態把握

ステップ2 個別の教育支援計画の策定(合意形成)

ステップ3 個別の指導計画の作成

ステップ4 合理的配慮をふまえたきめ細かな支援・指導の実施

ステップ5 評価・振り返り

基本的な生活習慣を身に付け、自立した社会人をめざしたい子

Page 30: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに
Page 31: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

26

共生社会の形成 これまで十分に社会参加できる環境になかった

障害者等が、積極的に参加・貢献できる社会

「合理的配慮」は、世界的な動きや社会要請等からきているものです。平成18年

に国連で「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」が採択され、「共生社会(障

害者等が積極的に社会参加・貢献ができる社会)」を作ることが必要とされました。

教育の分野では、「インクルーシブ教育システム」の理念が重要であるとされました。

合理的配慮や特別支援教育の推進を通して、それらを実現してくことが求められて

います。

共生社会の形成を目指して

インクルーシブ教育システム構築

障害のある者とない者が

共に学ぶ仕組み

特別支援教育の推進 子ども一人一人のニーズを把握し、

適切な指導及び支援を行うこと

交流及び共同学習

早期からの教育支援

就学相談・指導など

地域と連携した支援 医療・保健・福祉・

労働等との連携

・能力や可能性を最大限に伸ばす

・地域社会の中で積極的に活動し豊かに生きる

・障害者理解の推進

多様な学びの場

個別の教育支援計画

個別の指導計画

合理的配慮

基礎的環境整備

Aさんの配慮

Bさん C

国、都道府県、

市町村、学校等

による環境整備

基礎的環境整備を基に

設置や及び学校が、その

子の状況に応じ

て合理的配慮

を行う

Page 32: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

27

合理的配慮は、以下のように定義されています。(中央教育審議会報告、H24)

合理的配慮と基礎的環境整備の観点も示されています。

合理的配慮と基礎的環境整備とは?

学校における合理的配慮の3観点11項目

観点① 教育内容・方法

①―1 教育内容

①―1-1 学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮

①―1-2 学習内容の変更・調整

①―2 教育方法

①―2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮

①―2-2 学習機会や体験の確保

①―2-3 心理面・健康面の配慮

観点② 支援体制

②―1 専門性のある指導体制の整備

②―2 幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮

②―3 災害時等の支援体制の整備

観点③ 施設・設備

③―1 校内環境のバリアフリー化

③―2 発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮

③―3 災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮

基礎的環境整備 8項目

(1)ネットワークの形成・連続性のある多様な学びの場の活用

(2)専門性のある指導体制の確保

(3)個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成等による指導

(4)教材の確保

(5)施設・設備の整備

(6)専門性のある教員、支援員等の人的配置

(7)個に応じた指導や学びの場の設定等による特別な指導

(8)交流及び共同学習の推進

【合理的配慮とは】

障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学

校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応

じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、

財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」

Page 33: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

28

合理的配慮の提供には、「子どもが授業内容を理解し、活動に参加している充実感を持ち

ながら、生きる力を身につけていけるか」という視点が最も大切です。その上で、学校が

保護者や本人に情報提供をしつつ、意見を十分に聞き取ることが必要です。

その中で、設置者・学校と保護者(必要に応じ本人)が、配慮について合意を図った上で

決定することが原則です。これを「合意形成」と言います。

そのためには、話し合いを適宜持つことが必要になる場合もあります。

下記のポイントに留意して、合意形成を図っていきましょう。

【合理的配慮 学校における検討事項例】

・何のために、その合理的配慮を提供するのか?

・必要とされる合理的配慮は何か?

・何を優先して提供する必要があるか?

・体制面、財政面から均衡を失した、又は過度の負担になっていないか?

・教育の目的・内容・機能の本質的な変更となっていないか?

・法令違反になっていないか?

合意形成 とは?

検討の結果、理にかなっていなければ、本人・保護者から

要望のあった内容について、提供できない場合もあります。

引き続き十分な情報提供と、代替えの合理的配慮等について

合意形成を図ることが大切です。

Page 34: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

29

問 題 の

概要

諸検査及

び考察

保護

者・

子ど

もの

願い

健康

運動

面・

手先

学習

態度

社会性

情緒面

対人関係

個別の指導計画 千葉市立 学校 年 組 担任名

Page 35: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

30

実態の分析と指導の方向性

今 年 度 の 目 標 (長期目標) 指導の場(担当者)

社会

情緒

対人

関係

前 期 の 取 り 組 み

指 導 目 標 (短期目標) 具 体 的 な 手 立 て

学習

生活

社会

情緒

対人

関係

Page 36: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

31

前期の指導の評価(変容と課題・手立ての有効性) 後期の指導の方向性

後期への引継ぎ事項

Page 37: 「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」と合理的配慮 個別の … · 3 合理的配慮って 例えばどんなこと・・? ことばだけでの理解が難しい子どもに

<引用文献・参考文献>

共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)

中央教育審議会初等中等教育分科会 平成 24 年 7 月

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針

文部科学省 平成 27 年 11 月

インクルーシブ教育システム構築支援データベース(インクル DB) http://inclusive.nise.go.jp/

国立特別支援教育総合研究所

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号) 内閣府

<研究協力員>

○通年講師

調査研究委員長 千葉市立あやめ台小学校長 宮澤 仁

副委員長 千葉市立畑小学校教頭 大塚 恵美子

○研究協力員 千葉市立鶴沢小学校教諭 花城 毅

千葉市立山王小学校教諭 髙瀨 景子

千葉市立仁戸名小学校教諭 白石 恵

千葉市立作新小学校教諭 清水 大樹

千葉市立幕張中学校養護教諭 石村 由美子

千葉市立花見川中学校教諭 廣森 貴恭

千葉市立高等特別支援学校教諭 白岩 純

○所内担当 相談・研究班 指導主事 森山 静香(主担当)

山路 里美

研修班 指導主事 冨井 陽子

平成27年度

合理的配慮に基づく「個別の教育支援計画」の作成

発行日 平成28年3月31日

発行者 千葉市養護教育センター

所 長 植草 伸之

〒261-0003 千葉市美浜区高浜3-2-3

Tel 043-277-0101

Fax 043-277-1852

HPアドレス http://www.cabinet-cbc.ed.jp/youse/