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34 駆動装置 機器架台 主軸 整流板 ドラフトチューブ インペラ ガイド翼 図1 DTC400 構造 水槽上部床 【日本機械工業連合会会長賞】 下水高度処理用ドラフトチューブ式 小型高効率撹拌装置(DTC400) アタカ大機株式会社 東京都港区 1. 機器の概要 DTC400 は、下水処理場の嫌気槽や無 酸素槽用の撹拌装置である。 DTC400 は、図1に示すように、水槽 上部に設置した駆動装置および機器架 台、水槽内に設置されるドラフトチュ ーブ、主軸、インペラ(撹拌翼)、整流 板等で構成され、ドラフトチューブ内 に設置されたインペラ(撹拌翼)の回 転により発生する下降流により、水槽 内を低動力で効率良く撹拌することが できる。 2. 機器の技術的特徴および効果 2.1 技術的特徴 ①ドラフトチューブによる吸込み効果により、水面付近の水を水槽底部まで送水 可能なので、水槽内全体を均質に撹拌することができる。 ②ドラフトチューブによる吸込み効果により、水面に発生するスカムの堆積を防 止することができ、消泡水の使用量を低減することができる。 ③ドラフトチューブの長さを変えることで、様々な水深の水槽を撹拌可能である。 ④駆動装置が水槽上にあるので、日常のメンテナンスが容易である。

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駆動装置

機器架台

主軸

整流板

ドラフトチューブ

インペラ

ガイド翼

図1 DTC400 構造

水槽上部床

【日本機械工業連合会会長賞】

下水高度処理用ドラフトチューブ式

小型高効率撹拌装置(DTC400)

アタカ大機株式会社

東京都港区

1. 機器の概要

DTC400 は、下水処理場の嫌気槽や無

酸素槽用の撹拌装置である。

DTC400 は、図1に示すように、水槽

上部に設置した駆動装置および機器架

台、水槽内に設置されるドラフトチュ

ーブ、主軸、インペラ(撹拌翼)、整流

板等で構成され、ドラフトチューブ内

に設置されたインペラ(撹拌翼)の回

転により発生する下降流により、水槽

内を低動力で効率良く撹拌することが

できる。

2. 機器の技術的特徴および効果

2.1 技術的特徴

①ドラフトチューブによる吸込み効果により、水面付近の水を水槽底部まで送水

可能なので、水槽内全体を均質に撹拌することができる。

②ドラフトチューブによる吸込み効果により、水面に発生するスカムの堆積を防

止することができ、消泡水の使用量を低減することができる。

③ドラフトチューブの長さを変えることで、様々な水深の水槽を撹拌可能である。

④駆動装置が水槽上にあるので、日常のメンテナンスが容易である。

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⑤水槽の排水を行わずに撹拌機のオーバーホールが可能である。

⑥直径 400mm の小型特殊インペラの採用により、撹拌動力投入密度 1.5~3.0W/m3

で水槽底部流速 0.1m/s 以上を確保可能。(弊社従来機種より 50~70%省エネ

化)

⑦インペラの直径を従来機の 1/2 とし装置全体を小型化したことにより、撹拌機

の重量を従来機種の 40%に軽量化した。

⑧インペラ(撹拌翼)が小型であるため、撹拌機の設置に必要な開口寸法を小さ

くすることができる。

2.2 効果

(1) 撹拌性能

図2に、水槽寸法 7.0mL×7.0mW×5.7mH の平面形状が正方形の水槽を撹拌動

力 0.42kW(撹拌動力投入密度:1.5W/m3)で撹拌したときの撹拌状況を示す。

ドラフトチューブの吸込み口および吐出し口での流速が高く、水面付近の水

を水槽底部まで送水し、槽内全体に循環流を形成することができるので、底部

流速 0.1m/s を確保するとともに、水槽全体の撹拌を行うことができる。

図2 DTC400 撹拌状況

槽底部槽底部 ((槽底槽底+10cm)+10cm)

機器中心断面機器中心断面((槽壁平行槽壁平行))

槽容積:槽容積:280280 mm3 3 ((77mm××7m7m××5.75.7m)m)

槽底部槽底部 ((槽底槽底+10cm)+10cm)

機器中心断面機器中心断面((槽壁平行槽壁平行))

槽容積:槽容積:280280 mm3 3 ((77mm××7m7m××5.75.7m)m)

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また、ドラフトチューブの吸込み口付近の流速が高いので、水面に発生する

スカムが成長する前に分散させることができ、水面でのスカムの堆積を防止す

ることが可能である。

(2) 省エネ効果

表1に弊社従来機種に対する DTC400 の省エネ効果を示す。

従来機種と比べて撹拌に必要な動力を 70%低減できるので、消費電力量、温

室効果ガス排出量ともに 70%削減することができる。

表1 DTC400 の省エネ効果

従来機種 DTC400 差異 削減率

設置水槽寸法 8.0mW×8.0mL×10.0mH(640m3) - -

選定機種 DTC800-3.7kW DTC400-1.5kW - -

動力投入密度(W/m3) 5.0 1.5 3.5 70.0%

必要動力(kW) 3.2 0.96 2.24 70.0%

消費電力量(kWh/年) 22,426 6,728 15,698 70.0%

温室効果ガス排出量

(kg-CO2/年)※ 10,708 3,212 7,496 70.0%

※温室効果ガス排出係数:0.382kg-CO2/kWh として算出

(3) 維持管理性

DTC400 は水槽上部に駆動装置

があり、日常的な維持管理は駆動

装置の騒音、振動、温度、電流値

の確認程度で済み、装置の吊上げ

等の作業は必要ない。

また、定期的なメンテナンスは

上下軸受へのグリスアップ(年2

回推奨)のみとなる。図3に示し

たように、上下軸受ともグリスニ

ップルは駆動装置の側に設けてお

り、上から給脂できるのでメンテ

ナンスは大変容易である。

軸 受

駆動装置

グリスニップル (上下軸受とも)

図3 メンテナンス箇所

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オーバーホール時には上下軸受および駆動装置

の部品交換が必要だが、図4のように駆動装置~

インペラのみを吊上げることでオーバーホールが

可能なため、オーバーホールの際に水槽の排水を

行う必要はない。

また、インペラは水面下約1mの浅い位置に設

置されており、水槽の水深にかかわらず吊上げに

必要な高さが2~3m程度で済む。そのため、水

槽の上に屋根のある施設でも容易にオーバーホー

ルを行うことが可能である。

3. 用途

DTC400 は、主に下水処理施設の嫌気槽や無酸素槽用の撹拌装置として、高度処

理を行う下水処理場に数多く採用されている。

平成 18 年度の販売開始から現在(平成 22 年度)までに 105 台の受注実績があ

る。

図4 オーバーホール時 吊上げ方法

図5 DTC400 設置例

(左:水槽内部)

(上:水槽上部)