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6 ISSN 0911-8969 VOL.36 NO.5 2010 No.329 富士通ジャーナル JUN. 2010 http://jp.fujitsu.com/about/journal/ p.10 導入事例 p.02 注目のソリューション p.14 先端テクノロジー クラウド向けデータストア最適配置技術 ワークプレイス- LCMサービス 三協・立山ホールディングス株式会社 様 三井化学株式会社 様 クラウド基盤を活用し ICT機器の ライフサイクルをトータルに支援する プロダクト& サービス p.08 国内最大規模のショールーム・検証サポート施設 「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」を開設 各種オフィス業務のWebシステム化を簡単に 短期間で実現する SaaS型ソリューション「RapidWeb+」

富士通ジャーナル2010 6月号 VOL.36 NO - Fujitsujp.fujitsu.com/journal/publication_number/329/journal329.pdf · 様々な作業を、月額料金でご提供するアウ:

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6ISSN 0911-8969 VOL.36 NO.5 2010 No.329

富士通ジャーナルJUN. 2010

http://jp.fujitsu.com/about/journal/

p.10導入事例

p.02注目のソリューション

p.14先端テクノロジー

クラウド向けデータストア最適配置技術

ワークプレイス-LCMサービス

●三協・立山ホールディングス株式会社 様●三井化学株式会社 様

クラウド基盤を活用し ICT機器のライフサイクルをトータルに支援する

プロダクト&サービス p.08国内最大規模のショールーム・検証サポート施設「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」を開設

各種オフィス業務のWebシステム化を簡単に短期間で実現するSaaS型ソリューション「RapidWeb+」

クラウド基盤を活用しICT機器のライフサイクルをトータルに支援する

ワークプレイス-LCMサービス富士通では自社データセンターのクラウド基盤を活用し、企業内において多様化・マルチ

ベンダー化するICT機器のライフサイクル(企画・設計、導入、運用から撤去・廃棄まで)

LCMサービス」を開始しました。7つのサービス体 -をトータルに支援する「ワークプレイス

系を柔軟に組み合わせることで、お客様に最適なICTインフラ運用管理サービスをご提

❶複合機プリンタ、Fax、スキャナ等を一体化した機器。

❷ICT Information and Communication Technology。情報通信技術。情報や通信に関する技術の総称で、ITに替わる表現として定着しつつある。

供していきます。

負荷低減・  いまや企業内では

コスト削減と、 一人1台のパソコン柔軟性の高い 環境が当たり前にな環境の両立 り、最近ではワークス

タイルの変化や経営

のスピードアップに対するニーズの高まり

を受け、オフィス内のパソコンに加え、外出

先や自宅でも業務を行えるようモバイルパ

ソコンの活用も進んでいます。

 さらに、パソコンだけではなく、携帯電

話、スマートフォン、IP電話、プリンタ、複合

■図1 サービスイメージ

機❶まで、使用する機器は多様化し、使用環

境も国内オフィスや海外拠点、外出先や自

宅等に広がっています。

 そこで大きな問題になっているのが、 ICT❷

機器管理の運用負荷の増大です。コストを

抑えつつ、いかに増え続ける運用負荷を低

減していくか。そして同時にオフィス外での

安心・安全な環境を実現するためのセキュ

リティ対策を実現していくか。まさに、負荷低

減・コスト削減と、柔軟性の高いエンドユー

ザー環境の両立が求められているのです。

お客様

システム管理者

事務所

自宅

外出先

富士通

サービスマネージャーによる全体統制

お問い合わせ一元化

海外拠点への適用拡大高品質な ICT 運用管理・エンドユーザーサポート

マルチデバイス・マルチベンダーサポート

シンクライアント対応

サービスマネジメントのクラウド活用

コラボレーション基盤のクラウド活用

・サービスマネジメントシステム(インシデント管理、資産管理)

・メール、ファイル共有、ユニファイドコミュニケーション

サービス提供

02

クライアント  こうした課題に対 スにプリンタ、複合機、サーバ等のICT機器

環境仮想化や し、富士通では2004 全般に対象を拡大。モバイルアクセスやセICTリソース 年より約400社のお キュリティ対策等、幅広い業務にも対応し、提供へのニーズ

客様にご提供してき お客様の運用コスト・管理負荷を抑えなが

たパソコン向けの支 ら、柔軟性を確保したエンドユーザー環境

援サービス「PC-LCMサービス」を大幅に強 の実現に貢献していきます(図1)。

化し、「ワークプレイス-LCMサービス」とし

てご提供を開始しました。 ワーク  2010年1月から販

 2009年12月にサービスの発表を行い、 4 プレイス - 売を開始した「ワー

月末時点で110件の商談が寄せられまし LCMサービスの クプレイス-LCMサー

た。そこからお客様の要望を分析したとこ 販売を開始 ビス」は、企業内にお

ろ、4つの大きな傾向がわかりました。 いて多様化・マルチ

 まず1つは、シンクライアント ❸やクライア ベンダー化するICT機器(パソコン、プリン

ント環境仮想化へのニーズです。ユーザー タ、複合機、サーバ等)の調達、導入、日常的

が使用するパソコンをシンクライアントに な運用や最新環境への移行等で発生する

し、サーバ側でアプリケーションやファイル 様々な作業を、月額料金でご提供するアウ

等を管理することで、運用管理の低減やセ トソーシングサービスです。

キュリティの向上、管理コストの削減を図る  また、各種業務ソフトウェアをネットワー

ものです。 ク経由でパソコンに提供するサービス

 2つめは、リソース提供のニーズです。 ( DaaS) ❹をメニューに追加し、ハードウェ

ユーザー環境のパソコンやプリンタ、複合 アからソフトウェアまでワンストップでご利

機、サーバ等のICT資産を所有せずに「サー 用いただく環境をご提供します。

ビス」として利用することで、ICT資産の統  「ワークプレイス-LCMサービス」は、次の

制を図るものです。 ような7つのサービス体系を持っています。

 3つめは、マルチベンダー対応へのニー

ズです。他社製品も含めたICTリソースの一 1.ワークプレイスインフラサービス括した管理を可能にするものです。  エンドユーザー環境に必要となるインフ

 そして4つめが、グローバル対応への ラ(パソコン、シンクライアント、複合機、ソ

ニーズです。海外拠点でも ICTリソースを フトウェア等)を月額料金でご提供します。

「サービス」として利用することで、グロー 他社製ハードウェアやソフトウェアのリソー

バルに均質化されたICT運用を行いガバナ ス提供にも対応しているので、お客様は富

ンスの強化を図るとともに、統廃合への迅 士通製か他社製かにとらわれず必要なICT

速な対応も可能にするものです。 リソースをサービスとして利用することが

 「ワークプレイス-LCMサービス」では、こ でき、資産管理負担の削減、一括コストの

うしたお客様のニーズに応えられるように、 削減を実現できます。

従来パソコンのみを対象としていたサービ  また、利用形態に適したセキュリティや、

❸シンクライアントユーザーが使う端末に最低限の機能だけを持たせ、処理をサーバ側に集中させたシステム。

❹DaaSDesktop as a Service。クライアントユーザー向けに仮想デスクトップ環境を提供するサービス。

03注目のソリューション / F UJITSU JOURNAL / JUN.2010

■図2 ワークプレイスインフラサービス/セキュリティ

セキュリティ・オペレーション・センター

パソコン操作ログ解析サービス

お客様環境

パソコン操作解析レポート送付

お客様管理者データ消去/パソコンロック

紛失・盗難 パソコン

(パソコン内)アンチウイルスソフトデータ暗号化ソフトパソコン操作抑止ソフトパソコン操作ログ取得ソフト

パソコン操作ログ

連携

生体認証

ユーザー

オフィス

認証サーバ

Secure Login Box

パソコン操作ログ管理サーバ

パソコン操作ログ送付

自宅/外出先

❺セキュリティ・オペレー ション・センターパソコンのログ解析サービス等、セキュリティサービスの集中拠点。 

❻ディスパッチお問い合わせの案件に応じて適切な担当者に振り分けること。 

❼インシデント管理お問い合わせの案件に対して、トラブル発生時から解決までの進捗を管理すること。

インターネット回線、モバイル接続等ネット

ワークもサポート。富士通のセキュリティ・

オペレーション・センター ❺を活用すること

で、パソコンからの情報漏洩や、不正パソ

コンからLAN環境への接続を抑止し、安全

な環境を実現します(図2)。

2.仮想デスクトップサービス クライアント仮想化環境をクラウド基盤

からサービスとして提供し、短期間での導

入を実現します。

 クライアント仮想化環境の提供では、業務

形態にあわせ、お客様に最適な仮想化方式

をご提案し、月額サービスでご提供します。

 また、クライアント仮想化導入・移行支援

では、富士通クラウド基盤にてシンクライ

アント管理システムの装備・提供が可能に

なり、お客様による仮想化ソフトやサーバ

の調達・導入が不要になります。導入時に

あらかじめ検証された「標準テンプレート」

を活用することで、シンクライアント環境の

設計・構築を低コスト・短期間で実現でき

ます。

3.サービスデスクサービス 「サービスデスクサービス」では、Q&A、

トラブル、サービス要求等お問い合わせの

総合受付窓口となるとともに、お問い合わ

せ対応、ディスパッチ ❻、インシデント管理 ❼、

ナレッジ管理のサービスをご提供します。

 この「サービスデスクサービス」の中核と

なるのが、富士通のサービスデスクセン

ターです。センターでは、平日時間帯での

対応はもとより、システム管理者が不在と

なりがちな夜間・休日も含めた「24時間365

日」体制でLCMサービスを実施。月間50万

件を超える圧倒的な処理能力を誇り、電話

やEメールでの英語応答、マルチベンダー

環境にも対応しています。

 また、国内8ヵ所をはじめ、海外30ヵ所に

サービスデスクを設置。多様な言語にも対

応し、グローバルなサポート体制を築いて

います(図3)。

4.デスクトップマネージドサービス パソコン等のICT運用をライフサイクルに

わたってサポートします。

04

■図3 サービスデスク

機器の増移設

トラブル発生時 の出動

お問い合わせ

回答/進捗報告

全ての案件をサービスデスクが中心となりディスパッチ対応等を実施します。

富士通サービスデスクセンター

連携 連携

お客様

業務領域の拡大全国 CE 拠点

キッティングセンター

インシデント管理(進捗管理)/ナレッジ管理

業務系操作/ QA対応

・オフィス系 QA 対応・パソコントラブル対応

各種申請受付/手配

資産管理(構成管理)

データベースデータベース

富士通クラウド基盤(Trusted-Service Platform)

●資産管理システム ●インシデント管理システム

 導入にあたっては、お客様の現行運用の

調査から課題の分析、運用の設計。導入後

は、故障したパソコンの予備機交換、リ

モート復旧等のトラブル対応をはじめ、機

器の増移設・撤去や追加、再セットアップ。

そして、管理面では資産管理やセキュリ

ティ管理、アプリケーション管理、ビジネス

インフラ管理までをアウトソーシングによ

りご提供。先進のクラウド技術と高品質な

センター機能を活用することで、運用コス

トの削減や短期間での導入を実現します。

 「デスクトップマネージドサービス」なら

ではの機能として、外出時にパソコンの紛

失や盗難があった場合にも、即時かつ確実

なデータ消去を実行する「PCリモート消去

機能」を提供。紛失・盗難の際の情報漏洩

を確実に防止します。

5.マネージドプリントサービス オフィス環境に設置されたプリンタ、複

合機をライフサイクルでサポートします。

 サービスは、導入前の調査と分析から、

実際の設置や導入支援、導入後の運営・機

器管理、分析報告、改善計画提案まで、ド

キュメント環境の運用をライフサイクルで

アウトソーシング。エンドユーザー環境の

ICT運用とのプロセス統合により、さらなる

効率化を実現します。

 「マネージドプリントサービス」を推進し

ていくにあたり、富士通では2010年2月に、

プリンティング分野に強みをもつキヤノン

と協業。キヤノンのプリンティング技術と富

士通のクラウド技術を活用して、複合機や

プリンタ、ICT機器等の管理についてワンス

トップで高品質なサービスを包括的にご提

供できる体制を整えました。

6.コラボレーションサービス メール、グループウェア、ファイルサーバ

/ファイルストレージ ❽や、Web会議・IP電

❽ファイルストレージ長期保存・操作性・移行性に優れたストレージシステム。

05注目のソリューション / F UJITSU JOURNAL / JUN.2010

❾SLAService Level Agreement。事業者が利用者にサービスの品質を保証する制度で、それらが実現できなかった場合の規定等をサービス契約に含める。

話等のコミュニケーションツールもクラウ

ド型でご提供します。

 クラウド型のコラボレーションサービス

を利用することで、導入期間の短縮や、導

入コストの削減、ビジネス環境の変化にあ

わせた拡張・縮小の柔軟性の確保、従量料

金制による使用に見合った柔軟な価格体

系が享受できます。

7.サービスマネジメント 長期にわたる運用サービスにおいては、

継続的なサービス改善及び品質向上が重

要です。卓越した経験と厳しい社内選定を

クリアしたサービスマネージャーが、徹底

した三現主義(現場・現実・現物)に基づき

状況を把握・分析し、運用品質改善を自律

的かつ継続的に実施します。

 「サービスマネジメント」では、サービス

レベルの維持・管理(SLA) ❾をはじめ、定期

的な点検による自律的改善、重大障害時の

統制・対応、顧客満足度調査に基づく改善、

要員のスキル・モチベーション維持・向上

等を行い、継続的な品質改善につなげて

いきます。

 クラウド基盤を活用することで、システム

管理業務負荷の軽減や、仮想環境を利用

することによるシステム拡張性の向上、シ

ステム管理の一元化による運用品質の向

上等を実現します。

お客様の  「ワークプレイス-

成長戦略、 LCMサービス」は、グローバル お客様ニーズに対戦略を支援 応し、柔軟な組み合

わせでサービスを

ご提供します。お客様の要件定義から、最

適な運用設計・環境構築までトータルに

インテグレーション。富士通の標準的なナ

レッジ・ツールを活用することにより、高

品質で効率的なサービスの導入を実現し

ます。

 ここでご紹介したサービスを利用するこ

とで、ICT資産を「所有」から「利用」へと切り

替え、コストの削減を図りながら、ビジネス

環境の変化に柔軟に対応していく。そして

社内リソースを、将来を見据えた戦略的な

投資に集中することで、企業の競争力を高

めるとともに、均質化したICT運用をベース

にグローバル化を加速させていく。富士通

ではサービスを通じて、これからもそんな

お客様のニーズにお応えしていきたいと考

えています。

 最後に、「ワークプレイス-LCMサービス」

を活用した特徴的な3つの対応例について

ご紹介します。

オールインワン適用パターン

 営業拠点が全国に広がっている会社で

は、拠点毎にICT環境が異なっており、本社

のシステム管理者の負荷が増大し、セキュ

リティに関する事故も発生していました。そ

こで、ICT機器更新のタイミングで、「ワーク

プレイス-LCMサービス」の各種サービスを

フルセットでご提案。

 必要なICT機器(パソコン、IP電話、複合

機等)や仮想デスクトップ環境(DaaS)を低

コストで安心な「サービス」としてご提供。

運用管理をサービスデスクセンターで行う

ことで、システム管理者の負荷を軽減し、セ

キュリティも向上しました。

06

グローバル展開パターン営業向けモバイル活用パターン

 モバイルパソコンや携帯電話等のモバ  中国を中心にアジアに展開している企

イル端末を利用した営業スタイルを標準 業が、海外拠点のクライアント環境の強

にして他社との差異化を図りたい企業に、 化を目的に「サービスデスクサービス」を

機器の調達から保守、管理までをワンス 活用。

トップでサポート。  上海にあるサービスデスク及びキッティ

 各種お問い合わせやパソコンの故障、紛 ングセンターが、お問い合わせ、機器の交

失/盗難時には、サービスデスクセンター 換やソフトのオンラインインストールに迅

が、365日24時間対応します。在庫管理から 速に対応します。また、統合運用管理ソフト

キッティング、修理までを提供することで、 ウェア「Systemwalker」を導入することで、

運用管理の負荷が軽減。パソコンの盗難や 資産管理やセキュリティ管理等の運用統制

紛失時にもリモートでデータを消去できる がとれ、日本から中国にある各拠点の管理

ので、情報漏洩を抑止でき、安全な環境で ができるようになりました(図4)。

営業展開できるようになります。

■図4 グローバル展開の事例ー上海を中心に中国で広く事業展開されている日本のお客様の場合ー

中  国日  本

検 索検 索富士通ジャーナル 現場の声 http://jp.fujitsu.com/about/journal/ictservices/persons/201006.shtml

ご紹介したソリューションや製品の開発背景やポイントを、現場の第一線で活動する富士通社員自らが解説!

ICT機器の多様化や運用管理の煩雑化を背景に、アウトソーシング・ニーズは高まるばかりです。企業の課題を見える化し、適確にサービスを組み合わせ解決へと結びつけるプロセスを、3人のサービスマネジメント担当者が語ります。

「現場の声」

お客様

富士通

本社情報システム部

お客様(上海)

現地管理者

お客様拠点

オンサイト対応

管理・指示・統制

報告/指示

報告/指示

報告/指示

定期報告お問い合わせ/回答

定期報告お問い合わせ/回答

富士通(上海)

サービスマネジメント(中国国内サービス管理)

キッティングセンター

“見える化 ”

サービスマネジメント(グローバル全体サービス管理)

グローバルサービスマネージャー

サービスデスクサービス

インシデント管理

(北京・大連・広州)

リジョーナルサービスマネージャー

富士通中国保守拠点

07注目のソリューション / FUJITSU JOURNAL / JUN.2010

お客様のビジネスを支援する    富士通の製品とサービス

富士通トラステッド・クラウド・スクエア

クラウド・コンピューティング時代に向けた国内最大規模のショールーム・検証サポート施設

「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」を開設 クラウド・コンピューティング時代を迎え、ICT活用ニーズも大きく変化しはじめています。富士通では、2010年4月、クラウド・コンピューティングをお客様にご体感いただくショールームとして、また、ICTシステムの検証サポート施設として、国内最大規模となる「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」を開設しました。

クラウド時代の ングを検討する際に活用いただくことができるデモンス

富士通の技術・製品・サービスを確認・体感 トレーションやセミナーをご用意しています。また、データ

 富士通では、これからのビジネスに貢献するICTシ センターや次世代スーパーコンピュータの展示コーナー等、富士通の技術・製品・サービスを具体的にご確認いたステム構築に欠かせないクラウド・コンピューティンだけます。

グを確認・体感できる国内最大規模 ❶のショールーム、お客様ICTシステム検証サポート施設「富士通ト クラウド・コンピューティングとICTシステムの検証

ラステッド・クラウド・スクエア」を開設しました。 最新の富士通サーバ、ストレージ機器を約300台完備。技

 プライベート・クラウド ❷を支える仮想化技術や術・製品・サービスの専門技術者による直接サポートによりICTシステムの実機での検証が可能です。また、富士通

サーバ統合によるICTインフラの最適化、ネットワー データセンターのクラウドサービス基盤を活用した検証、ク経由で利用するクラウドサービス等について、デ プライベート・クラウド構築に向けた各種システムやSaaSモンストレーションやICTシステムの検証等を通し アプリケーションの動作検証、お客様先からのインターて、ご確認いただけます。 ネット経由でのリモート検証等、様々なニーズに対応いた

 富士通では、「富士通トラステッド・クラウド・スク します。❶延床面積(3,600㎡)で国内最大規模(2010年4月現在、富士通調べ)。エア」を活用し、お客様にクラウド・コンピューティ❷特定の企業・組織が専用のICTインフラを使用してサービス環境を構築す

ングをご体感いただくとともに、企業内におけるICT  るクラウドの形態。

システム構築の検証サポートを実施することで、お ■富士通トラステッド・クラウド・スクエア内

客様のICTシステム全体の最適化を支援してまいります。

クラウド・コンピューティングを体感できるデモンストレーション、展示、セミナー富士通のご提供するデータセンター型のクラウドサービス「オンデマンド仮想システムサービス」や、SaaS、プライベート・クラウド構築に向けた仮想化・標準化・自動化ソリューション等、お客様がクラウド・コンピューティ

詳しくは    http://jp.fujitsu.com/about/journal/cloud/products-services/201006/

08

http://jp.fujitsu.com/about/journal/products-services/検 索検 索富士通ジャーナル プロダクト&サービス

富士通ジャーナルサイトでは、冊子でご紹介した製品の詳しい情報や、冊子ではご紹介しきれないお奨めの製品情報を随時更新しています。ぜひご覧ください。

富士通ジャーナルサイトもあわせてチェック!

プロダクト&サービス / FUJITSU JOURNAL / JUN.2010 09

SaaS型RapidWeb+

 SaaS※型「RapidWeb+」は、申請・承認、情報管理、報告書等オフィスでの案件管理業務を短期間でWebシステム化します。 入力データは、データベースで一元管理するため、データの集約・集計作業を必要とせず、柔軟な検索機能によりデータの確認も容易です。これにより業務上の無駄を排し、業務手順のスピードアップ、生産性の向上を実現できます。

 「RapidWeb+」はSaaS型であるため、低コストでの運用・導入が可能です。サーバ・ソフトウェアの開発や保守の手間もかかりません。富士通データセンターの高セキュリティインフラ環境を利用するため、セキュリティも万全です。 お客様は、豊富な業務テンプレートから必要な

ものを選択して利用できます。画面に表示する項目名、並び順はお客様のご要望にあわせて設定します。 また、テンプレートにご希望のものが無い場合、お客様の業務をヒアリング後、設定します。ユーザーグループ単位で参照や更新等の利用者権限を設定することも可能です。 日本語以外に、英語、中国語(簡体字)にも対応していますので海外に拠点を持つお客様のグローバルなシステム化対応も可能です。 「RapidWeb+」では、システム化する業務の種類は問いません。使い方はアイデア次第です。最短(5日間)でサービスを利用開始でき、すぐにでもオフィス業務効率の改善に取り組むことができます。

オフィス業務のスピードアップと生産性向上

特長や主な機能

オフィス業務効率化ツール

企業内では、商談管理や固定資産管理等、主にExcelで運用する非定型のオフィス業務があります。Excelは簡便ですが、多人数では集計時間がかかり、最新版や更新履歴が不明等の問題点があります。システム化するにも非定型業務のため収集項目の変更が多く、コストが見合いません。そこで富士通は、非定型なオフィス業務を短期間で提供するSaaS型「RapidWeb+」の販売を開始しました。

各種オフィス業務のWebシステム化を簡単に短期間で実現するSaaS型ソリューション「RapidWeb+」

詳しくは   http://jp.fujitsu.com/about/journal/cloud/products-services/201006-02/

ラピッドウェブプラス

※Software as a Service。ネットワークを利用してアプリケーション機能をサー  ビスとして提供する形態。

■導入までの流れ

1日目

STEP1:

現状Excelシートを元に業務要件をヒアリング

2日目

STEP2:

Excelシートを元にDBテーブルと画面項目定義体、メニュー、ロールを作成

5日目4日目3日目

STEP3: 利用開始!

RapidWeb+画面をお客様と確認

「 PRIMERGY」三協・立山ホールディングス株式会社 様

「VMware」を活用した仮想技術で、サーバ統合と在宅勤務環境を短期同時構築

仮想化のメリットを生かし、さらなる運用コストの削減を目指す

三協・立山ホールディングス(株)様ではサーバ台数の増加によるシステム運用コストの増大が大きな課題になっていました。また一方で、在宅勤務制度を施行するにあたり、セキュリティを確保し、安全な環境を整備する必要がありました。そこで、同社は富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX920」をプラットフォームに、「VMware vSphere 4」を活用したサーバ仮想化によるサーバ台数の削減と、「VMware View 4」を活用した仮想デスクトップによる在宅勤務者への環境整備を同時に実施するプロジェクトを開始しました。

左/情報システム統括室システム企画部 部長 野田 幸男 氏中/情報システム統括室システム企画部 運用課 主事 松本 行央 氏右/情報システム統括室システム企画部 運用課 主事  今泉 嘉幸 氏

経営統合で膨れあがったサーバの運用管理コストが大きな課題に

 三協・立山ホールディングス(株)様は2003年12月に

三協アルミニウム工業(株)様と立山アルミニウム工業

(株)様が経営統合して発足した企業です。同社は地球

環境問題を経営の重要課題の一つと捉え、全ての事業

活動を通じて地域や地球の環境保全に積極的に取り

組み、人と自然にやさしい豊かな社会づくりへの貢献

を目指しています。そうした中、現在発売中の住宅版エ

コポイント対応商品、後付け樹脂内窓「プラメイクE」

は、住宅の窓に付けるだけの簡単な施工で、新築の枠

一体型二重サッシと変わらない断熱効果を発揮し、冷

暖房費を大幅に削減でき、業界より注目を集めています。

 同社は、2社の経営統合により、サーバの管理台数が

増大し、管理手法も異なっていたため、全体最適を考

慮した整理が必要な状況にありました。

 野田氏は「経営統合時に、情報システム統括室に着

任し、サーバ台数の多さに驚きました。その結果、開発

費より運用費の方が多いという状況があり、それを変え

るためには、まずサーバの台数を減らして、最終的には

クラウド・コンピューティングのような環境にしていく以

外にありません」と、語られます。

安定性とサポート力に優れた富士通のサーバを基盤に仮想化 情報システム統括室ではサーバの仮想化が可能か

どうかを検討するために、仮想化ソフトウェア「VMware

ESXi」を使い、他社の仮想化製品との比較・検証作業を行

いました。その結果、採用されたのが「VMware vSphere 4」

と「VMware View 4」、そして、プラットフォームには富士通

のブレードサーバ「PRIMERGY BX920」が選ばれました。

 「各社のサーバの中で安定稼働しているのが富士通

製品で、マシントラブルもありません。さらに、障害発生

時の対応も迅速で、いち早く原因を究明して復旧させ

る等、サポート面でも非常に信頼できます。また、今後

サーバ統合を進めていく上で、「PRIMERGY BX920」の

性能と拡張性も高く評価できました」と、松本氏は富士

通を選んだ理由を説明されます。

 一方で、同社では、在宅勤務制度を施行し、育児や介

護が必要な社員に対して、オフィスで行っていた見積業

務等を在宅でもできる環境を提供することにしました。

業務上のセキュリティを考慮し、安全・円滑に在宅業務

ができることを条件に検討した結果、「VMware View 4」

による仮想デスクトップの形態を選択しました。

 「仮想デスクトップと仮想サーバを同一のソフトウェ

ア「VMware vCenter Server」で管理できること、既存の

アプリケーションの変更をせずに早期構築が可能な点

が「VMware View 4」の採用のポイントになりました」

10

導入事例 / FUJITSU JOURNAL / JUN.2010 11

と、松本氏は話されます。

 今泉氏は「テレワークの話は以前からありましたが、

最終的に「VMware vSphere 4」と「VMware View 4」の

導入を決めたのが2009年10月、機器類の納入が11月

でした。正月明けにはテレワーク勤務をスタートさせ、2

月にはサーバの移行も始めるという極めて短期間の導

入作業でしたが、富士通の協力も得て、予定通り2ヵ月

で終えることができました」と、振り返られます。

 構築された仮想環境は、ブレードサーバ「PRIMERGY

BX920」の上で「VMware vSphere 4」による本社関連シ

ステムの仮想サーバ、そして「VMware View 4」による

テレワーク用の仮想デスクトップが動いています(図)。

また、これらの仮想・物理サーバとクライアントは、富士

通のサーバ自動化・可視化ソフトウェア「ServerView

Resource Coordinator VE」で運用管理されています。

 2月から始まったサーバの仮想環境への移行は、老

朽化したサーバから順次進められており、2010年8月ま

でには約50台が仮想化される予定です。一方、テレ

ワークは既に全国に在住する社員が行っており、イン

ターネットを介してVPNで社内LANに接続し、見積りや

提案書作成の業務を行っています。

 「今回、仮想環境への移行が始まったことで、目標と

するサーバ群の運用コスト引き下げの第一ステップを

踏み出すことができました。また、仮想デスクトップに

よるテレワークによって、社員のワークライフバランス

の実現と新しい雇用モデル創出への挑戦も開始するこ

とができました」(野田氏)。

 同社では、遅くとも2012年5月までには、本社関連の

サーバを仮想環境をベースとしたサーバ統合環境に

移行させる予定です。また、在宅勤務者からは、いまま

でのクライアントPCよりもレスポンスが速くなった、職

場にいた時と違和感なく効率的に仕事ができるとの評

価から、2010年度はテレワークの対象業務分野を広

げ、在宅勤務者も拡大していく方針です。

 こうした取り組みを通して、同社では運用コストの徹

底した削減を果たしたインフラとICTを活用した新しい

雇用モデルを生み出し、競争力向上につなげていく考

えです。

「PRIMERGY BX 920」上で、サーバとデスクトップを仮想化

運用コスト削減とビジネスモデル創出の一歩を踏み出す

三協・立山ホールディングス株式会社設  立 2003年12月1日資 本 金 150億円従業員数 170名U R L http://www.sthdg.co.jp/

(2009年11月30日現在)

■仮想サーバと仮想デスクトップ環境のシステム構成

VPNルータ(ASA5510)

仮想化サーバPRIMERGY BX900

VMware View 4 #1

VMware vSphere 4 #1

View Manager 4

Linux(Safeauther)

業務LAN管理LAN

ストレージ

仮想クライアント

環境仮

想環境管理

仮想サーバ環境

ブレード管理サーバServerView Resource Coordinator VEVMware Consolidated Backup

VMware vCenter Server 4 #1

VMware vSphere 4 #2仮想スイッチ

仮想スイッチ 仮想スイッチ

仮想スイッチ 仮想スイッチ 仮想スイッチ

仮想ゲストサーバ

仮想デスクトップ

仮想デスクトップ

仮想デスクトップ

仮想ゲストサーバ 仮想ゲストサーバ

VMware View 4 #2

仮想ディスク(仮想デスクトップ用)

仮想ディスク(仮想デスクトップ用)

仮想ディスク(仮想デスクトップ用)

FIer事例三井化学株式会社 様

隠れた問題点を洗い出し、課題の本質を導き出す

徹底的にデータを分析し、事実に迫り、お客様とともに、改善へ取り組む

総合化学メーカーの三井化学(株)様では、注目を集めるリチウムイオン電池の構成素材

である電解液事業を行っています。需要が拡大する中、製品搬送用容器の物流可視化

と業務改善を目的にフィールド・イノベータ(以下、F Ier(エフアイヤー)と略す)を導入。

FIerとのセッションの中で、課題の本質として事業全体のサプライチェーンの調整能力

の向上が必要なことに気づき、プロジェクトテーマを拡張。FIerとともに改善に向けた取

り組みを開始しました。

左/機能化学品事業本部 企画管理部 チームリーダー

中/機能化学品事業本部 企画管理部 主席部員

右/機能化学品事業本部 機能化学品開発部 主席研究員

市場の急拡大で、業務が複雑化し、効率化が重要な課題に  環境にやさしい乗り物としてエコカーへの関心が高

まっています。国内の自動車メーカーから新車が次々と

発表され、今後、普及が始まっていくものと期待されて

います。三井化学(株)様では、1990年代に携帯電話や

パソコン向けにリチウムイオン電池の構成材料である

電解液開発を進め、事業を展開。エコカーのエネル

ギー源としてリチウムイオン電池の使用の広がりが期

待される中で需要が急速に伸びてきています。

檜原 昭男 氏三嶋 雅史 氏高松 邦幸 氏

 「2015年には自動車の1~2割がエコカーになるという

予測もあり、当社の事業として大きな成長が期待されて

います。市場が急激に拡大する中で、お取引先様も広が

り、原材料の調達や物流面等の業務が複雑化してきて

います。新しい領域で市場をリードするポジションを獲

得していくために、いかに業務改善を進め効率化を図

っていくかが重要な課題になっていました」と、檜原氏

は語られます。

 事業の改善活動の中でまず問題になったのが、容器

管理業務の改善でした。電解液は劣化を防ぎ鮮度を保

つ等、品質を維持するために特殊な形状の容器で納品

しています。容器は高価なこともあり、リユースしていま

す。そこで、今後の需要が伸びていく中、容器の運用面

での効率的な仕組みが求められ、三井化学(株)様の市

原工場での物流管理業務改善が評価された富士通の

フィールド・イノベーション活動を今回のプロジェクトで

も展開することになりました。

■三井化学(株)様におけるフィールド・イノベーションの活動手順

12

業務概況の把握 業務の可視化

【業務プロセス】 集中討議

【施策立案】

【データ分析】

問題点の抽出 課題・解決策の定義

マネージャーインタビュー

カードセッション・フォーキャスト・ P/O・原材料発注・製品在庫・容器管理

担当者インタビュー

工場現地調査倉庫現地調査 【実行施策精査】

過去1年間の実績情報による需給シミュレーション(製品・原材料)

実行計画の策定

概略業務フロー作成(1 4 業務)

基幹システム情報個別管理情報解析 150パターン

課題・気づき(9 5 件)

解決策の策定(4 3 件)

実行施策(2 1件)

事業全体によるサプライチェーンの見直しが必要なことに気づく FIerは早速、電解液事業における容器管理業務の可

視化と改善をテーマに、お客様と一緒にセッションを行

いました。これまで漠然としていた問題や課題が具体化

され、どこに問題があり、どういった形で改善していけ

ばよいかの全体像をつかむことができました。

 「そこで気づいたのは、容器管理だけを改善したので

はダメだということ。需要予測のフォーキャストから始

まって、どう原材料の購入計画を立て、それを生産計画

に落とし込み、物流計画を立てていくか。事業全体のサ

プライチェーンを見直さなければならないということで

した」と、今回のプロジェクトの推進役となった三嶋氏

は話されます。お客様が気づかなかった隠れた問題点

を洗い出し、課題の本質を導き出す。まさにフィール

ド・イノベーションの真骨頂がそこにありました。

シミュレーションツールはExcelを使い一日で作成 2009年11月から本格的な活動がスタート。マネージャー

や担当者のインタビュー、現地確認等を通じて業務概

要を把握。データ分析等を行い、業務を可視化していき

ました。現状データ分析では、フォーキャストや原材料

発注、製品出荷、容器管理等について、150パターンもの

分析を行い真実に迫りました。

 「何が問題かという議論にいきなり入っても、担当者

一人ひとりでイメージは違いますし、現場が苦労してい

ると言うだけでは上司も納得してくれません。その前提

として大事になるのが事実の確認です。現場のデータ

を分析することで問題点の本質にたどりつき、議論も進

めやすくなりました。FIerの方が分析に多くの工程を割

いていることにも感心させられました。自分たちでやっ

たら1/10もできなかったでしょうし、地道に作業を続

けてくれたことで、事実の大切さに改めて気づかされま

した」(檜原氏)。

 「実際のフォーキャスト分析では、自分たちが需要変

動が大きいと心配していたある製品が実は4週間の平

均を取るとあまり変動がなく心配のいらないものであ

ること、逆に思い込みで安定していると思っていた製品

の方が気をつけなければいけないものであるといっ

た、製品毎の傾向もわかってきました。また、需給計画

の実体把握も、Excelで1年間分の実績データを可視化

したことで管理精度向上の価値を理解し、改善方法が

見えてきました。このExcelでのシミュレーションツール

は、メンテナンスが楽になるようにマクロを使わず、操

作も必要最低限に絞り、わかりやすく作っていただけま

したので、今後活用の価値は高いと思っています」と、

高松氏は語られます。改善に必要なものがあれば知識

を活かしてつくる。それができるのも、FIerが業務現場

での課題解決に、お客様と同じ目線に立ち一緒に取り

組むという姿勢を持っているからにほかなりません。

内部の仕組みができていなければ強い事業はつくれない FIerの活動は、2009年11月から2010年3月でファース

トステップが終わり、4月からセカンドステップへと入っ

ています。ファーストステップでは、150パターンの現状

データ分析からシステム部のメンバーを含め、議論を繰

り返し95件の課題を抽出。さらにその中から21件の検

討施策をまとめ上げました。

 「今後は、検討した需給計画業務ならびに容器管理

業務の改善に向けて、実際に現場への定着を進めてい

きます」(檜原氏)。

 電解液事業はこれから拡大していく発展的な事業で

あり、それだけにお取引先様等対外的なところに目が行

きがちですが、今回の活動を通じて、内部をしっかり固

めることも大事だという思いを強くしたと言われます。内

部の仕組みがしっかりしていなければ強い事業はつくれ

ない。これからが大切な時期になると言えそうです。

三井化学株式会社創  立  1997年 10月1日 (設立 1955年 7月1日)資 本 金 125,053百万円従業員数 連結1万 2,892人U R L  http://jp.mitsuichem.com

( 2010年 3月 31日現在)

導入事例 / F UJITSU JOURNAL / JUN.2010 13

1 1

クラウド向けデータストア最適配置技術

RDBや分散KVSの特徴を活かした自動選択・切替を実現

分散KVSは、AmazonやGoogleが大規模なサービス向けに採用しビジネスを成功に導

いたことで、大きな注目を集めています。富士通研究所は、この分散KVSやRDBといった

複数のデータストアを、扱うデータの特性に応じて自動的に選択し、Webアプリケーショ

ンからデータストアへのアクセスを適切に切り替えることが可能な、クラウド向けデータス

❶RDBRelational DataBase。1件のデータを複数の項目(フィールド)の集合として表現し、データの集合をテーブルと呼ばれる表で表す方式。

❷一貫性参照時に、最後に書き込んだ情報を確実に読み取れることを保証すること。

❸分散KVS Key-Value Store(キーバリュー型データストア)の略。RDBで標準的にサポートしているトランザクション管理やテーブル結合等の機能は持っていない、シンプルなデータストアであるが、高いスケーラビリティを有している。

❹NoSQLNot only SQL、SQL(RDB)だけでなく、異なる種類のデータストアと、その使いこなしが重要という考え方。

トア最適配置技術を開発しました。

 現在、ICTシステムRDBの限界と分散KVSの の多くで採用されて

台頭 いる RDB ❶は、複雑な

検索や集計を得意と

し、データの一貫性 ❷

を保証するロック機構を備えています。一

方で、複数のデータベースサーバで処理を

行う分散環境では、このロック機構のため

に、サーバの台数に比例した性能を得るこ

とが困難です。運用開始後に柔軟にサーバ

の台数を増減することもできません。

 さらに、アプリケーションが扱うデータ

の中には、構造化されていなかったり、書

き込みが膨大であったりと、RDBに適さな

いものも多く、こうしたデータも含めて

RDBに配置してしまうと、RDBの性能が低

下します。

 クラウドの時代となり、このような問題を

解決しうる技術として注目されているのが、

「分散KVS ❸」です。

 分散KVSは、データの一貫性保証を行わ

ない代わりに、複数のサーバでデータを管

理することによるスケーラビリティや、仮に

サーバが1台ダウンしてもサービスを継続

できる高可用性を備え、かつRDBよりも低

コストで実現することが可能です。

データストアの  富士通研究所で

特徴を活かした は、 NoSQL❹という考

データ最適 え方に基づき、 RDB配置技術 や分散KVS等のデー

タストアの特徴を活

かし、データを最適なデータストアに配置

する技術を開発しました。本技術では、業

務データの特性に応じて、サーバ台数に応

じた性能の向上を図れるシステムを自動的

に構築します。プログラムロジックを変更

することなく、データストアに対するアプリ

ケーションのアクセスを切り替えることがで

きるので、仕様変更等への迅速な対応が可

能になります。

適切なデータストアの自動選択と実行環境の自動構築

 データの一貫性やデータ間の関連性、検

索条件の複雑性といったデータ特性をもと

に、クラウドが適切なデータストアを選択。

選択したデータストアにあわせて仮想マシ

ン(VM)をプロビジョニングし、クラウド上

の実行環境システムを自動的に構築しま

す。運用中の高負荷発生時にはサーバ台数

を動的に変更し、常に最適な構成を維持す

ることが可能です。

データストアとしてはRDBと分散KVSを利

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■ クラウド向けデータストア最適配置技術

アプリケーション

①データストア自動選択

②データストアアクセス自動切換技術

プログラム内にデータの特性を付属情報として記述

データの特性一貫性=即時

RDB を利用

KVS を利用

データの特性一貫性=緩やかデータ間関連=なし

更新 RDB

複製

参照 RDB

参照 RDB

KVS KVS

KVS KVS

KVSKVS

大量の参照を分散処理

大量の更新/参照を分散処理

用します。RDB固有の機能を必要としない

データは分散KVSで管理します。RDB利用

時にも、一貫性を必要としない検索ではレ

プリケーション ❺で分散処理を行います。

 データ特性の記述には、Java5で導入さ

れた付属情報を記述する「アノテーション

(注釈)」を利用します。

データストアの抽象化

 複数のデータストアへのアクセスを、 Java

Persistence API(JPA)と呼ばれるアクセス方

式で共通化しました。使用するデータストア

にあわせて、データアクセス用のプログラム

が動的に切り替えられるため、プログラムロ

ジックの変更なくRDBや分散KVSを使い分

けることが可能です。

 本技術により、クラスモールスタートと ウド上でシステムを

適正な投資が 運用する企業では、可能 エンドユーザーから

のアクセスの増減に

対して柔軟な対応が可能なシステムを素早

く構築できるようになります。また、サービ

ス開始時は初期費用を抑えてスモールス

タートし、ビジネス規模の拡大に応じてシス

テムを拡張していくといったことも可能です。

 例えば、ニュースサイト等の有料情報提

供システムの立ち上げに際して、「可用性の

維持と検索性能」「スモールスタートによる

初期コスト抑制」といった要件があったとし

ます。この場合のデータストア構成は、検索

処理に必須となるインデックスのみをRDB

に格納し、必要に応じてレプリケーションに

より検索を高速化し、販売するコンテンツ情

報は高可用の分散KVSで管理する、といっ

た構成を素早く構築できます。

 このように、アイデア次第で、適正な投資

と短い開発期間で容易に市場に参入でき

るようになりますので、より付加価値の高

いサービスや新ビジネスの提供が可能に

なります。

クラウドの  富士通研究所では

さらなる 現在、所内のクラウ

有効活用に ド環境にて本技術の向けて 検証を行っていま

す。今後は、本技術を

お客様に広く知っていただきながらフィー

ドバックをもとに改良を加え、2011年度以

降の実運用化を目指します。

 富士通研究所は、長年蓄積してきたリソー

スを最大限活用するとともに、常に業界を

リードする先端技術で、これからもお客様

のビジネスに最適なクラウド技術をご提供

していきます。

❺レプリケーションデータベースを複製し、参照系の負荷分散を可能とする技術。

先端テクノロジー / F UJITSU JOURNAL / JUN.2010 15

©富士通株式会社2010 本誌記事・写真・イラストの無断転載を禁じます。 Copyright ©2010 by FUJITSU LIMITED

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WE0027-2010年06月AP

発  行本誌ならびに本誌掲載の製品・サービスに関するお問い合わせ先

印  刷

富士通株式会社マーケティング本部 eマーケティングセンター〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2(汐留シティセンター)

富士通コンタクトライン TEL 0120-933-200受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日・年末年始を除く)URL http://jp.fujitsu.com/about/journal/contact/富士通ジャーナル 富士通アプリコ株式会社

企業と農村の協働による山梨県のワインファームで社員と家族が農業体験富士通グループは、山梨県が農村地域の活性化を目的として推進する「やまなし企業の農園づくり」制度を利用し、甲州市のブドウ農園に「富士通GP2020ワインファーム」を開設しました。2010年3月より、地域社会や生物多様性保全への貢献と環境教育を目的に、社員らの農業体験の場として活用しています。

 「富士通GP2020ワインファーム」は、山梨県甲州市の

ブドウ農家「有限会社夢郷葡萄研究所」との協働協定に

より誕生しました。名称の「GP2020」とは、地球環境問題

の解決へ向けて富士通グループが果たすべき役割を

示した中期環境ビジョン「Green Policy 2020」のこと。農

地の維持に協力することは地域社会に貢献し、里山の

生物多様性保全にもつながると考え、環境社会貢献活

動の一環として活動を実施しています。

 初回の活動は、ブドウ栽培についての講義の後、剪

定枝の片付けやごみ拾い等の畑の保全作業、上に伸び

た枝を支線に固定する誘引作業を行いました。支線に

残っているツルや固定用のヒモをきれいに取り除くこ

とで害虫等を予防し、農薬の使用を抑えることで環境負

荷の削減にもつながります。

 年3回の公式活動では、6月にブドウの病気などを防

止する傘紙取り付け、秋にはブドウの収穫を行い、ブド

ウの成長過程に応じた農作業を体験できます。また、収

穫したブドウを醸造してオリジナルワイン300本を製造

する予定です。

 これらの活動の目的は、参加者が農業体験を楽しみ

ながら、自然の恩恵を受けて成り立つ農業のことや、農

地の適切な管理がもたらす生物多様性保全への貢献

について理解していくところにあります。今後も「Green

Policy 2020」の実現に一層の努力を続け、地域社会や

生物多様性の保全に貢献してまいります。

山梨県と協働の「富士通GP2020ワインファーム」

農業体験活動で環境意識を育む

富士通グループはチャレンジ25キャンペーンに参加しています。

●事前の講義によって有意義な作業を行うことができ、ブドウの樹に触れる楽しさも味わえた。

●農業は植えて終わりではない。地道なメンテナンスの必要性を作業から身をもって理解できた。●環境に配慮したブドウ栽培の方法と、参加者それぞれが率先して作業に取り組む姿勢に感動した。

参加者の声

畑の保全や枝の誘引作業を実施 社員と家族が農業体験