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和装振興研究会 ~きもので日本の魅力を向上する~ 論点資料 平成27年1月30日 経済産業省繊維課 資料3

和装振興研究会 ~きもので日本の魅力を向上する~ 論点資料 ......3 一方、きものは、和文化の象徴的存在であり、日本や地域の魅力向上に貢献する資源である

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和装振興研究会~きもので日本の魅力を向上する~

論点資料

平成27年1月30日

経済産業省繊維課

資料3

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Ⅰ.なぜ今「和装振興」なのか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2

Ⅱ.和装振興研究会の論点 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4

Ⅲ.きものの新規需要開拓のためには何が必要か ・ ・ ・ ・ ・ 5

Ⅳ.地方創生に向けて、地域資源としてのきものの活用策を考える ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 22

目 次

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2

ライフスタイルの変化等により、きものが日常着として着用されなくなって久しい。需要減退に伴い、きもの市場は高級品にシフトし、多くの消費者は「きものはハレの日に着る

モノ」、「特別なモノ」と認識している。しかし、近年、「和女子」といった「和モノ」に興味をもつ女性を総称する言葉が生まれるなど、

きものを含む「和モノ」に興味をもつ若い女性が増えつつある。

「和モノ」に興味を持つ背景は様々であり、いわゆる「歴女」といった歴史への興味をそのエントリーとする層から、「和モノ」を女子力アップのためのファッションアイテムととらえている層などそのきっかけは様々である。また、若い世代を中心にSNSなどで呼びかけ、きもの姿

で街を練り歩くようなイベントが開催されるなど、きものを対象としたコミュニティも形成されはじめている。彼らのきものに対する価値観は様々であるが、彼らの

行動の中に、これまでとちがったきものの可能性を見いだすことができるのではないかと考えられる。

Ⅰ.なぜ今「和装振興」なのかⅠ.なぜ今「和装振興」なのか

このような若い消費者のニーズに対応すべく、きものをもっと「手軽に」、そして「オシャレに/かっこよく」楽しめる商品を提案する若き経営者たちも現れ始めている。

(出典:萩市観光協会)

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一方、きものは、和文化の象徴的存在であり、日本や地域の魅力向上に貢献する資源であると考えられる。例えば、木村英智氏は、きものを含めた「和」と「金魚」、「水槽」を融合させた「アートアクアリ

ウム」という新しいジャンルのアートを確立させ、全国各地でイベントを開催(来場者は400万人超)されている。これは、木村氏によって、きものを含む和文化の新しい魅力が引き出され、来場者に感動を与えているものと考えられる。海外においても、近年のパリコレクションやミラノコレクションでは、きものをモチーフにした斬

新な作品が数多く発表され、また、英国では、ファッションチェーンのニュールックが販売した「KIMONO Jacket(きものをイメージした柄のジャケット)」が話題となるなど、きものに対する注目度の高さがうかがえる。

「和文化」に対する近年の若い世代の動きや、国内外からの注目をチャンスととらえ、①きもの産業のビジネスのあり方、及び②きものを有効に活用して日本や地域の魅力向上につなげていくための方策について、検討を行う。検討に当たっては、ユーザー目線を重視することを念頭に、有識者、若手経営者及びユー

ザーから構成される『和装振興研究会』を設置することとした。

Ⅰ.なぜ今「和装振興」なのかⅠ.なぜ今「和装振興」なのか

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Ⅱ. 和装振興研究会の論点

本研究会の委員を始め、有識者に対しヒアリングを実施。ヒアリング結果を踏まえ、以下のとおり本研究会で議論すべき論点案をまとめた。

論点1: きものの新規需要開拓のためには何が必要か

① 既存市場(フォーマル市場)、潜在市場(カジュアル市場)それぞれについて消費者目線に立ったビジネス戦略が必要ではないか(ポジティブマーケティングの重要性)。

② 国内できものを着る人を増やすための方策を検討すべきではないか(関係者が連携して進める取り組み)

③ 消費者目線を意識した、きものを着るシーンづくりが必要ではないか。④ 中長期的にきものビジネスを継続するために必要な人材育成を進めるべきではない

か。⑤ きものを知ってもらうための普及・教育が重要ではないか。(消費者が必要とする情報

の提供)

論点2:地方創生に向けて、地域資源としてのきもの(※)の活用策を考える

① きものの生地・染め・模様などを海外にもPRすべきではないか。また、海外市場ニーズに合致した和装用途以外の商品開発を行うべきではないか(例えばきものの素材を活用した新商品開発)。

② 地域資源としてのきものを使って、地場産業の活性化をどのように行うか。③ 地域振興や地域のまちづくりにきものをどのように活用できるか。④ 2020年の東京オリンピック・パラリンピックにきものをどのように活用できるか。

Ⅱ.和装振興研究会の論点Ⅱ.和装振興研究会の論点

(※)ここでいうきものは、きものの素材、文様、そしてきもので育まれた技術、価値観を含む。

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Ⅲ.きものの新規需要開拓のためには何が必要か

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0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

20000

S57 S59 S61 S63 H2 H4 H6 H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20 H22 H24

小売金額

正絹

正絹以外

3,010億円(平成25年)

17,240億円(昭和57年)

(億円)

(資料)矢野経済研究所「きもの年鑑」

呉服小売金額の推移(昭和57年~)

※ピークは昭和56年の1.8兆円と言われている※「正絹以外」は和装小物、浴衣等含む

呉服⼩売⾦額の推移呉服⼩売⾦額の推移

(年)

6

呉服の売上げ金額は、約1.8兆円(昭和56年)から、3,010億円(平成25年)まで減少。

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潜在市場

既存市場本物志向

ファッションとしてきものを楽しみたい

Ⅲ. 論点毎の検討

●現在の市場は、高級品にシフト。このままでは、着用人口もますます減少(縮小スパイラルへの落ち込み)。

●縮少スパイラルに歯止めをかけるためにも、新しい市場を創り出すことが必要。

●新市場から高級市場へ顧客を育てていくことも可能

市場戦略は、消費者の購入しない理由を解消するだけでなく、商品によって顧客Valueを提案することが不可欠。それぞれの市場でどんなValueを提案するべきなのか。

現在の市場は、50代以上の年代層、高所得者層の購買額が高い高級市場であり、高付加価値商品がメインであるが、年齢層で言えば20~40代をターゲットにした市場は潜在的に成長が期待される。

きもの市場における戦略の必要性きもの市場における戦略の必要性

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既存市場における主な購買層既存市場における主な購買層

4.3  0.0  0.0  3.9  4.0  5.0  5.0  5.9  12.0 0.0  4.4 

13.4 3.7  12.9 

12.6  12.5  13.2  13.9 19.6  8.0 

100.0 

14.7 

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

着物をぜひ購入し使ってみた

着物を購入し使ってみたい

(%) きものの購入希望層比率の高い世帯年収層

※調査対象者:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に居住する58~60歳の男女

(資料)平成19年度京もの戦略的マーケティング調査結果(京都市)

世帯主の年齢階級別一世帯当たり1か月あたりの和服の支出

31

45

39

135

204

595

1129

640

674

519

376

0 200 400 600 800 1000 1200

~24歳

25~29歳

30~34歳

35~39歳

40~44歳

45~49歳

50~54歳

55~59歳

60~64歳

65~69歳

70歳~

和服(男子用・婦人用)

(資料)平成25年度家計消費状況調査(総務省)

(円)

50代以上の年代層、高所得層のきもの購入比率が高い。

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20~40代女性へのきものに関する調査では、全体の95.3%が着用経験がある又は着用意向者であった。

着用経験がある 着たことはないがこれから着てみたい

過去も着たことなく、これからも着たいと思わない

回答割合 88.9% 6.4% 4.7%

【関東・関西在住の20~40歳代女性に対するきものの着用に関する消費者調査(※1)より】(※1) :絹織物の集散地を核とした和装繊維産業の工程間連携に関する調査報告書(平成20年度 経済産業省近畿経済産業局)

調査対象者 : 関東(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)、関西(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)在住の20~40歳代女性

調査方法 : WEB調査法調査期間 : 2008年12月下旬回収サンプル数 : n=9,954調査項目 : きもの(ゆかたを除く)を着たことがあるか

きものの着⽤経験きものの着⽤経験

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5.1

29.9

49.6

73.5

48.7

24.8

6.0 

19.7

22.2

34.2

22.2

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0

よくわからない

きもののことを相談できる人がいないから

手入れの仕方が分からないから

着付けができないから

着こなし方が分からないから

きものが似合うシーンが分からないから

気に入ったデザインが見つからないから

商品価値に合った価格設定かどうか分からないから

最終価格、最終仕上げ価格が表示されていないから

気軽に入れるお店がないから

どこで購入すれば良いか分からないから

着用に至らない理由として「着付けができない」、「手入れが分からない」、「気軽に入れるお店がない」、「似合うシーンが分からない」といった意見があった。

価格が不透明という意見も見られた。

今まできものを着なかった理由今まできものを着なかった理由

今まできものを着なかった理由

(資料)平成20年度近畿経済局調査10

(n=117)

(%)

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11

2.6

14.5

2.6

10.3

5.1

1.7

82.1

79.5

店員の接客対応

手入れのしやすさ

着回しのしやすさ

着こなしのしやすさ

素材

お店の入りやすさ

価格

デザイン

きものを購入する時に重視する点(%)

34.2

1.7

2.6

8.5

28.2

24.8

購入せずレンタル

100万円以上

50万超~100万円

30万超~50万円

10万超~30万円

5万超~10万円

5万円以下

きものを購入する場合の予算(%)

きものを購入する際に重視する点は「価格」と「デザイン」がダントツ。予算は10万円以下を挙げた者が過半数。「購入せずレンタル」との回答が34.2%。

きものを購⼊する際に重視する点と予算きものを購⼊する際に重視する点と予算

(資料)平成20年度近畿経済局調査

(n=117) (n=117)

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0.5 0.4 0.3 0.3 0.38.6 7.7

14.8 9.8 9 9.4

82 86.979.1 83.7 83.4 83.6

2.31.5 2.6 1.6 2.4 26.8 3.5 3.5 4.6 4.8 4.7

40代(n=222) 30代(n=260) 20代(n=115) 関西(n=307) 関東(n=290) 全体(n=597)

きものの着用頻度

日常的 儀式以外でも機会があれば 儀式で何度か着た程度 習いごと その他

(%)

(資料)平成20年度近畿経済局調査

きものの着⽤頻度きものの着⽤頻度 きもの着用経験者のうち8割以上が「儀式で何度か着た程度」と回答。きものがハレの日に着る

ものとして認識されていることがうかがえる。「日常的に着用」する者は0.3%程度しかいない。 「儀式以外でも機会があれば着用」すると回答したのは、20代女性が14.8%と最も多かった。

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7.7

15.4

52.4

73.7

38

16.1

7

31.8

19.3

27

7.9

0 10 20 30 40 50 60 70 80

その他

きもののことを相談できる人がいない

手入れの仕方が分からない

着付けができない

着こなし方が分からない

きものが似合うシーンがわからない

気に入ったデザインが見つからない

商品価値にあった価格設定かどうかわからない

最終価格、最終仕上げ価格が表示されていない

気軽に入れるお店がない

どこで購入すればよいかわからない

きものを着るにあたって分からないこと、困っていること

(%)

(資料)平成20年度近畿経済局調査

13

きもの着⽤経験者がきものを着⽤するにあたっての問題点きもの着⽤経験者がきものを着⽤するにあたっての問題点着用意向者への調査と同様、困っている点として、「着付けができない」、「手入れが分からな

い」、「気軽に入れるお店がない」、「似合うシーンがない」といった点を挙げる者が多かった。価格の妥当性を指摘する意見もかなり多い。

(n=597)

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既存市場におけるきもの購⼊に関する課題既存市場におけるきもの購⼊に関する課題

0.0 

0.0 

0.0 

2.9 

17.6 

20.6 

70.6 

26.5 

20.6 

58.8 

17.6 

0.0 

5.9 

0.0 

0.0 

0.0 

5.6 

11.1 

33.3 

77.8 

33.3 

11.1 

50.0 

27.8 

11.1 

5.6 

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0

課題や問題点は特にない

その他

魅力を感じない

販売員が適切に説明してくれない

買う場所が分からない

使用方法や手入れの仕方が難しい

値段が高い

値段相応の価値があるかが不明

他地域の製品との違いが不明

着用・使用する機会・場が少ない

広告やアピールが不足

素材・風合いなどが合わない

デザインが合わない

男性 女性

(n=1,200)

(%)

きものの購入に際しての課題や問題点(複数回答)

※調査対象者:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に居住する58~60歳の男女 (資料)平成19年度京もの戦略的マーケティング調査結果

既存市場の50代以上の年代層においては、価格が不透明・高いと指摘する意見が多かった。潜在市場と同様に「着用する機会が少ない」を挙げた者も多い。

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15

(%)

6.813.9

31.5

17.4 17.3 17.3

54.245.9

37

45.2 45.3 45.3

32.2 39.328.8

35.7 33.8 34.6

6.80.8 2.7 1.7 3.6 2.8

40代(n=59) 30代(n=122) 20代(n=73) 関西(n=115) 関東(n=139) 全体(n=254)

購入してみたい レンタルで対応し購入しない 譲りうけるので購入しない その他

今後きものを購入したいと思うか

きもの着⽤経験者のきものの購⼊意向きもの着⽤経験者のきものの購⼊意向

(資料)平成20年度近畿経済局調査

全体の45.3%が「レンタルで対応し購入しない」と回答。一方、購入意向は20代で最も多く、31.5%。

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16

4.5

4.5

6.8

20.5

18.2

56.8

22.7

31.8

25

4.5

4.5

0 10 20 30 40 50 60

その他

テレビ、インターネット等媒体からの情報

知人などの勧め

アフターサービス

購入時のサービス

店員の知識(商品、着こなし)

店員の対応、接客

商品の価格帯

商品の見やすさ、選びやすさ

品揃え

店の雰囲気

店のブランドイメージ

店の知名度

「購入してみたい」と回答した者の購入する店を決めるポイント

(%)

購⼊意向者が店を決めるポイント購⼊意向者が店を決めるポイント購入意向者の店を決めるポイントは「商品の価格帯」が56.8%でダントツ。

(資料)平成20年度近畿経済局調査(n=44)

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17

33.1 2938.1

30.2 34.4 32.1

66.9 7161.9

69.8 65.6 67.9

40代(n=163) 30代(n=138) 20代(n=42) 関西(n=192)関東(n=151)全体(n=343)

はい いいえ

販売店や商品に不満を感じたことがあるか(購入経験者)

購⼊経験者の販売店に対する不満購⼊経験者の販売店に対する不満販売店や商品に不満を感じていない人が約68%であるものの、価格への不信感のほか、店員

の対応(70%)、気軽に入れない(42.7%)等の回答があった。

3.6

16.4

2.7

5.5

7.3

5.5

43.6

36.4

9.1

9.1

7.3

36.4

13.6

70

14.5

40.9

42.7

35.5

その他

好みや希望が反映できない

流行を取り入れていない

デザイン性の高い商品が少ない

カジュアルな商品が少ない

素材や製法にこだわった商品が少ない

高額なものが多い

商品価値にあった価格設定か不信感がある

着こなし方の提案が少ない

着姿などがイメージできるディスプレイが少ない

着付け、手入れ等のアフターフォローをしていない

他店と商品、価格等を比較したいができない

品揃えが少ない

店員の対応が過剰(しつこい、強引)

店員がきものの知識、情報をもっていない

価格が不透明(表示されていない)

気軽に商品をみることができない

入りにくい雰囲気

どのような不満か

(不満があると回答した者) (%)

(資料)平成20年度近畿経済局調査 (n=110)

(%)

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18

36.2

21.1

13.6

9.9

3

6.5

9.7

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0着 1着 2着 3着 4着 5着 6着以上

きものの保有数(平成20年度)(%)

5.3

18.4

31.3

1613.3

8.8

4.2

0

5

10

15

20

25

30

35

持っている絹のきものの保有数(昭和42年度)(%)

きもの保有数きもの保有数平成20年度調査(20~40代女性)では、着用経験者の36.2%がきものを持っていないと回答。昭和42年の調査(20代以上の女性)では、31.3%が絹のきものを6~10枚保有と回答。きものを

持っていないのは全体の2.7%。

(資料)平成20年度近畿経済局調査 (資料)昭和42年内閣府調査(「絹の需要に関する世論調査」)

(n=597)

(n=4,456)

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0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0

パソコン関連

書籍・CD・DVD・ブルーレイディスク(電子書籍など除

く)

日用雑貨(食料品、衣料品、化粧品、文房具など)

耐久消費財(家電、家具など)

趣味関連品(アクセサリー、楽器、スポーツ用品など)

各種チケット・金券

ソフトウェア(ゲームも含む)

音楽(着信メロディなども含む)

画像(待受け画像なども含む)

電子書籍

オンラインゲームの利用料金などに対する課金

ニュース、雑誌記事

地図・交通情報提供サービス

60歳以上(n=6,361)50~59歳(n=5,399)40~49歳(n=5,103)30~39歳(n=4,879)20~29歳(n=4,163)

19平成25年度通信利用動向調査の結果(総務省)より作成

(%)

インターネットによる購買⽐率インターネットによる購買⽐率

世代別インターネットで購入した商品・サービス

日用雑貨のインターネットによる購買比率は比較的高い。特に、30~40代の活用が顕著。

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0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

知人とのコミュニケーションの

ため

知りたいことについて情報を探

すため

交流関係を広げるため

自分の情報や作品を発表した

いから

同じ悩み事や相談事を持つ人

を探すため

ボランティア活動や社会貢献を

するため

災害発生時の情報収集・発信

のため

昔の友人・知人を探すため

ストレスを解消するため

ひまつぶしのため

現実から逃避するため

60歳以上(n=790)

50~59歳(n=1,289)

40~49歳(n=1,885)

30~39歳(n=2,524)

20~29歳(n=2,500)

20

年齢階層別ソーシャルメディアの利用目的

(資料)平成25年度通信利用動向調査

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

年齢階層別ソーシャルメディアの利用率

(%)

(%)

ソーシャルメディアの利⽤率ソーシャルメディアの利⽤率

20代~40代の消費行動として、Online to Offlineによる購買の可能性が高い。

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カジュアル市場(潜在市場)のターゲット層となる20~40代女性を対象とする調査では、20代の若い女性の着用経験者のうち、31.5%がきもの購入したいと考え、14.8%が「儀式以外でも機会があれば着用している」ことから、特に若い層がきものに対して興味を持っていることがわかる。

一方着用への興味が、実際の購入につながらない理由としては以下があげられる。

① 着付けができない、着こなし方が分からない(着用技術の問題)

② 着るシーンが分からない(コトづくりの提案不足)

③ 価格が不透明、高い(価格の問題(流通の問題))

④ 接客・店の雰囲気(流通の問題)

⑤ 購入ルートが分からない(流通の問題)

上記課題を解決するとともに、きものによって消費者にどのようなValueを提案するのかを明確にすること(ポジティブマーケティング)が重要ではないか。

さらに、2011年頃からスマートフォン、SNSが急速に普及したことによって、ネットが消費行動(特に若い世代)に大きく影響を与えている。潜在市場開拓には、これら情報通信ツールを駆使することが重要となる(Online to Offline等)。

データから⾒えることデータから⾒えること

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Ⅳ.地方創生に向けて、地域資源としてのきものの活用策を考える

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460年にわたり培われた友禅染の技法・デザインを生かし、洋装向けの生地を提案。国内デザイナーに供給する他、イタリアの紳士服ブランド「ブリオーニ」とコラボし、ジャケットやシャツに採用。

江戸小紋等の技法・デザインの可能性を追求し、インテリア用品、ファッション小物などに活用した新商品を開発、国内外の見本市等に出展するなどして市場を開拓。※2009年度元気なモノ作り中小企業300社に選出

西陣織で培ってきた技術・デザインを応用し、日用品等の商品開発に成功。洋服地にも採用されるほか、シャネルやルイヴィトン等の店舗インテリアにも用いられる。※平成24年度クール・ジャパン戦略推進事業に採択

きものの技術・デザインの活⽤事例きものの技術・デザインの活⽤事例

きものに凝縮された技術・デザインは地域が誇る資源であり、これらの資源を活用して新規市場を切り拓く取組が進んでいる。

京友禅を洋装、アクセサリに 江戸小紋等をインテリア、アクセサリに 西陣織をインテリア、洋装に

(株式会社千總)(株式会社二葉) (株式会社細尾)

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11,490 

8,135 10,849 

14,167 

20,305 

861 622 

836 

1,036 

1,341 

02004006008001,0001,2001,4001,6001,8002,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

旅行消費額 訪日外国人旅行者数

24

訪日外国人旅行者数とその旅行消費額の推移

※2014年の調査より、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国を調査対象に追加した。

(億円) (万人)

きものによるインバウンド振興の可能性きものによるインバウンド振興の可能性 2014年の訪日外国人旅行消費の総額は、前年(1兆4,167億円)比43.3%増の2兆305億円と推計

され、過去最高額。訪日外国人旅行者数は前年(1,036万人)比29.4%増の1,341万人と推計され、こちらも過去最高

額。

(資料)2014年訪日外国人動向調査 年間値(速報)観光庁

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27.1

31.4

17.2

34.6

21.5

19.6

21.9

25.6

26.3

18.7

25.3

40.6

39.8

47

31.4

47

22.6

23.5

4

11.5

7.8

2.7

5.5

8.5

16.1

16.6

21.7

77.2

56.9

35.5

50.9

96.6

日本の生活文化体験

日本の歴史・伝統文化体験

映画・アニメ縁の地を訪問

四季の体感(花見・紅葉・雪など)

自然体験ツアー・農漁村体験

スポーツ観戦(相撲・サッカーなど)

舞台鑑賞(歌舞伎・演劇・音楽など)

イベント

テーマパーク

ナイトライフ

美術館・博物館

ショッピング

自然・景勝地観光

温泉入浴

旅館に宿泊

日本食を食べること

今回したこと 次回したいこと

25

今回実施した活動と次回実施したい活動(複数回答) (%)

海外観光客の和⽂化に対する注⽬度海外観光客の和⽂化に対する注⽬度

日本で実施したい活動として、日本の文化や歴史体験を挙げている訪日外国人は2~3割程度存在。

(資料)平成25年度 訪日外国人消費動向 (観光庁)

(今回したこと:n=19,365次回したいこと:n=14,118)

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18.9

9.1

34.7

14.3

42.7

10.9

9.3

51.6

62.1

0 10 20 30 40 50 60 70

その他買物代

マンガ・DVD・アニメ関連商品

服(和服以外)・かばん・靴

和服(着物)・民芸品

化粧品・医薬品・トイレタリー

電気製品(パソコン、音響機器など)

カメラ・ビデオカメラ・時計

その他食料品・飲料・酒・たばこ

菓子類

購入率(%)

26

土産購入者単価(円)

土産購入品目別購入率

海外観光客の和⽂化に対する注⽬度海外観光客の和⽂化に対する注⽬度

土産に和服(着物)・民芸品を購入する割合は14.3%。

(資料)平成25年度 訪日外国人消費動向 (観光庁)

購入額(円)

菓子類 9,583

マンガ・DVD・アニメ関連商品 10,572

その他食品・飲料・酒・たばこ 12,212

和服(着物)・民芸品 12,317

その他買物代 18,817

化粧品・医薬品・トイレタリ- 20,675

服(和服以外)・かばん・靴 29,517

カメラ・ビデオカメラ・時計 32,555

電気製品(パソコン、音響機器など) 55,685

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3.62.44.95.8

10.8 13.216.9

2325.6

31.53233

49.583.7

0 20 40 60 80 100

その他

ナイトライフ

ポップカルチャー

博物館、美術館

舞妓

ショッピング

日本人の生活、交流

伝統文化鑑賞・体験

庭園

桜、紅葉等の自然

日本料理

世界文化遺産

寺院・神社、名所・旧跡

来訪動機

2.6

1.3

1.5

2.4

3.5

3.9

5.5

6.8

10.6

12

12.6

19

23.2

0 5 10 15 20 25

その他

武道

香道

書道

座禅

華道

お茶屋体験

伝統工芸(焼物等)

町屋見学

日本食づくり

舞妓・侍

茶道

着物・浴衣

伝統文化体験

(%)(%)

京都市の外国⼈観光客の和⽂化への注⽬度京都市の外国⼈観光客の和⽂化への注⽬度 25.6%が京都市への来訪動機として「伝統文化鑑賞・体験」を挙げている。伝統文化体験をした者のうち、23.3%が着物・浴衣の着用体験をしたと回答。伝統文化体験の中

で最も多い。

(資料)平成25年度 京都観光総合調査 京都市産業観光局

(n=1,680) (n=1,680)

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京都伝統産業の日平成13年度に春分の日を「伝統産業の日」と定め,こ

の日を中心に市内各地できものや工芸品に関する多彩なイベントを開催。期間中、きもの姿の方は市バス・地下鉄乗車無料やクラシックコンサートへの招待など特典がある。きものショー(西陣織会館)西陣織会館では、1日7回、無料で見ることが出来る

「きものショー」を通年開催。外国人観光客に特に人気があり、昨年度来館者40万人のうち外国人が8割近く(特に多いのが中国人で、約19万人)。

(出典:西陣織会館)

地域資源を活⽤した地域振興地域資源を活⽤した地域振興

・京都府京都市 ・山口県萩市

着物ウィークin萩城下町の風景を活かし、きものが似合う町として魅

力を発信する。きもののレンタル・着付け、フォトコンテスト、和のワークショップなどを開催。「着物ウィーク in 萩パスポート」により食事・買い物等で特典を受けることもできる。2014年は10月1日~13日に開催(9回目)。きもの着

用来場者は期間中で9,500名程度。また、5年程前に民間のきものレンタルも行うカフェ

ができたことをきっかけに、普段からきものを着て町歩きをする人が増えた。

(出典:萩市観光協会)

地方自治体等は、旧城下町等の雰囲気づくりにきものを活用し、観光客を呼び込む取組を行う。

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・キモノでジャックSNS等で呼びかけ、きもの姿で集まり集合写真を撮

る京都発祥のイベント。全国各地で開催されており、特に愛知県では100名を越える参加者が集まる。寺社等以外にも東京タワーやリニア鉄道館、ハロ

ウィンイベントなど、様々な場面・場所できものを着て楽しむ。

・浴衣でモエ・エ・シャンドンシャンパンメーカーのモエ・エ・シャンドンがシャンパ

ンを提供し、浴衣でシャンパンパーティーを行うというイベント。昨年は、大阪、名古屋、福岡、仙台の4都市で7月上旬より開催。

(出典:キモノでジャック)

異分野との連携異分野との連携これまで和装との結びつきにくかった分野において、きものや浴衣を活用して、消費者参加型の

イベントが開催されている。

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きものに凝縮された技術・デザインは、人を惹きつけ、魅力向上に貢献する資源。この資源は、きもののみならず異業種分野においても新しい価値を付加できる源泉。きものの技術・デザインを応用して、きもの以外の商品の開発を行ってはどうか。

2014年の訪日外国人旅行者数は1300万人を超え、一人当たり訪日外国人旅行消費額は15万1,374円(前年比10.7%)と推計されている(過去最高)。日本(京都市も含む)への観光動機として、「伝統文化体験」を挙げる外国人は3割程度。きものを有効に活用して、さらなるインバウンド振興につなげていけるのではないか。

いくつかの地域では、きものと他の地域資源(産品、文化財、歴史など)を融合させ、観光客が体験できるシーンを演出するなど、きもので集客力を挙げる取組が進められている。各地の成功した取組を共有することが重要ではないか。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックは日本のプレゼンスを高めるまたとないチャンス。このチャンスも活かし、きものでどのように日本のブランディングを行っていくべきか。

データから⾒えることデータから⾒えること