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地震、地質・地盤に関する小委員会(第 12 回) 1 日時 平成 20 年9月 30 日(火) 13:30~16:00 2 場所 新潟自治労会館 6階 601、602 会議室 (新潟市中央区新光町6-7) 議題 柏崎刈羽原子力発電所周辺の地質調査結果について 4 出席者 <委員> 石橋克彦 神戸大学名誉教授 衣笠善博 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授 立石雅昭 新潟大学自然科学系教授 山崎晴雄 首都大学東京大学院都市環境学部地理環境コース教授 <新潟県(事務局)> 松岡輝彦 防災局原子力安全対策課長 大川剛史 防災局原子力安全広報監 <柏崎市> 名塚仁 市民生活部防災・原子力課課長代理 <刈羽村> 中山里志 企画広報課長 ※説明者 東京電力 5 議事録 (東京電力による資料地小委 12-1 の説明は省略) 山崎委員長 どうもありがとうございました。只今ご説明をいただきました先日の現地調査も含めた中身のご 説明をいただきましたが、皆さんからご意見・ご質問をいただきたいと思うんですが、石橋委員の ほうからですね、コメントのペーパーが出ておりますので、そのご説明を最初にお願いいたします。 石橋委員 現地視察のコメントを出すようにと言われたので、出さなきゃいけないのかと思って出しました。 私は、各委員から出たコメントを事務局が表みたいにして、今日提示なさるのかなと思って、私の コメントを印刷して配られるとは思わなかったんですけど。 「口頭で補足する」と書いてありますが、特別補足することもありません、ここに書いてある通 りです。ちょっと4番は別ですので、後の話題に関係すると思いますし、裏にも関係しますから、

地震、地質・地盤に関する小委員会(第 12 回)地震、地質・地盤に関する小委員会(第12回) 1 日時 平成20年9月30日(火) 13:30~16:00 2 場所

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地震、地質・地盤に関する小委員会(第 12 回)

1 日時

平成 20 年9月 30 日(火) 13:30~16:00

2 場所

新潟自治労会館 6階 601、602 会議室 (新潟市中央区新光町6-7)

3 議題

柏崎刈羽原子力発電所周辺の地質調査結果について

4 出席者

<委員>

石橋克彦 神戸大学名誉教授

衣笠善博 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授

立石雅昭 新潟大学自然科学系教授

山崎晴雄 首都大学東京大学院都市環境学部地理環境コース教授

<新潟県(事務局)>

松岡輝彦 防災局原子力安全対策課長

大川剛史 防災局原子力安全広報監

<柏崎市>

名塚仁 市民生活部防災・原子力課課長代理

<刈羽村>

中山里志 企画広報課長

※説明者 東京電力

5 議事録

(東京電力による資料地小委 12-1 の説明は省略)

山崎委員長

どうもありがとうございました。只今ご説明をいただきました先日の現地調査も含めた中身のご

説明をいただきましたが、皆さんからご意見・ご質問をいただきたいと思うんですが、石橋委員の

ほうからですね、コメントのペーパーが出ておりますので、そのご説明を最初にお願いいたします。

石橋委員

現地視察のコメントを出すようにと言われたので、出さなきゃいけないのかと思って出しました。

私は、各委員から出たコメントを事務局が表みたいにして、今日提示なさるのかなと思って、私の

コメントを印刷して配られるとは思わなかったんですけど。

「口頭で補足する」と書いてありますが、特別補足することもありません、ここに書いてある通

りです。ちょっと4番は別ですので、後の話題に関係すると思いますし、裏にも関係しますから、

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1、2、3の3つです。

ざっと読みますと、まず、真殿坂断層が去年の7月の地震の際に動いたかどうかっていうことに

関しては、視察した限りではそうは断定できないと思います、という感じです。見たところは非常

に限られていますし。しかしですね、私、水準測量の大局的な結果というのは気になっていまして、

それに関していろんなご説明ありましたけども、そのことを思うと活動しなかったと結論できる段

階でもないという感じです。

それから2番目。活断層かどうかっていうことですけども、これは今のご説明を伺っても、まだ

釈然としない点があります。それと、今の資料の4ページにあった、水成層の分布、風成・水成境

界部分の標高の分布と、別に配られている資料番号のない地元三団体から県知事に宛てた 9月 8日

付けの要請に出ている図とで、標高が若干違うんですよね。それで、一番海沿いのですね、一番高

い、今の説明資料の2ページの大湊の辺が 45m、一番高くても 50mということですけども、それ

と、この新しいほうの、地元三団体の大塚山露頭ですか、ロケーションfですかね、水成層 55m+

とかいうの、やっぱりそこが高いわけで、そもそもその標高の認定がまだ不十分というか、両方の

見解が分かれていて、まだ議論が必要なんではないかという感じが非常に強くて、したがって、滑

らかに平野のほうまで繋がっているから後期更新世の段差がないんだとは、なるほどそうですかと

は、ちょっと今思えません。やはり、活断層の可能性はまだ残っていると思いますから、まだまだ

検討が必要であると思います。

3番目、海底遺跡については、私は歴史地震の研究が専門の1つでありまして、こういう問題に

関しては十分な歴史学的な検討が必要なので、まだそれが甚だ不十分ですから、どっちとも言えな

いという感じです。以上です。

山崎委員長

では他の意見、はい、どうぞ。

事務局(松岡)

事務局のほうから、若干、分かり易く説明しなければいけないものですから。石橋先生の1、2、

3の中で、分からない部分があるのでちょっと教えていただきたいなと。全く素人なんで申し訳な

いのですが。

1番目のところで、「視察箇所が限られており」ということで、見たところもあるのですが、「活

動したとも、しなかったとも断定できない」という話なんですが、あと、どんなものが必要になれ

ば、結論と言いますか、そういうものが判断できるのかというのが、そこのところを教えていただ

けると、今後の対応をどういう形でできるかというのが、1つ出てくるかなという気もするのです

が。それが1つです。

それから2番目としては、真殿坂断層が活断層である可能性が高いと言った時に、この辺の根拠

は何か、何をもって可能性が高いと思われているのかという部分で、どういうことをもってそう判

断しているのかと。それから、今後どういうことをすれば、そういう議論の中で、もう少し詰めて

いけるのかというところが、私どもとしては、説明するに当たって、もう少し踏み込んだような話

が欲しいなというところでございます。

3番目のほうにつきましては、歴史学的検討というのは、具体的に何をどうすればよいのかとい

うのが分からないので、その辺のところを教えていただければ、今後、進め方にも参考に出来るか

なと思っております。すみませんがよろしくお願いします。

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石橋委員

では、後ろからいきますと、歴史学的検討って、例えば、北前船の寄港地だったのが本当なのか

というか、そもそも北前船というのが、どこから出て、どこへ行くのか、まあ蝦夷まで行くのでし

ょうけども、それの寄港地がいろいろあるわけで、有名なところでは若狭湾とか佐渡とかあるわけ

ですけども、そういう、やっぱり背景を、きちんと知っていないと、少なくとも私個人としては、

椎谷岬のあそこでですね、石柱に北前船を繋いだとかいうのが、本当にそうなのかなという感じが

するわけです。それから、先住民がどういうふうに、いつの時代に、どう暮らしていたか、とかで

すね。要するにそういう時代考証みたいなことも非常に克明にやらないと、いろんな歴史地震の1

つ1つ、分からないことがいっぱいあって、結構、言い伝えが、誤った言い伝えが、特に時代を、

とかく自分たちに近い時代に引き寄せたいという人間の感覚があるらしくて、時代が間違っている

ことやなんかが多いんです。だからそういうことを全部、時代背景やなんかを考証してですね、な

るほどこういう背景でそういうことがあったらしいとか、ありえないとか、そういう検討を詳しく

しないといけないだろうということです。少なくとも私は、それがないと判断しにくいと思います。

いいでしょうか。

それから2番目の活断層か否か、私、やっぱり一番は、段丘面の高度の不連続が本当にあるのか

ないのか、その点だと思います。ですから、私はその問題に関しては専門家ではありませんから、

見ても分からない点もあるわけですけど、この現地を詳しく見ている地元の方たちと、それと違う

見解を持っている専門家とがですね、これ片っ端、1つ1つの場所を歩いて、まず全部認定したう

えで高さを測って、この地元から出ている青い太線が食い違っているのと、東京電力から出ている

多少湾曲していてもなだらかに、滑らかに繋がっているんだっていうのとを比べて、どっちが本当

らしいかというのを検討すべきだと思うんですけど。

まあ、そのほかに活断層として沖積の、あっ、それとさっき1つ言い忘れたのがですね、これ去

年動いたかどうかということで問題になっていましたけど、農道が冠水したとかいうあの辺り。そ

れは前からそういう軟弱地盤でそういうことがあるというわけですけども、そもそもその部分に軟

弱であるというね、それは、私は1つの可能性として、活断層であって、最近の地質時代に繰り返

し活動したことによって、そこんところに軟弱な場所が出来ている、ちょっと言葉は不正確かもし

れないけれども、一種の断層破砕帯みたいなものとして、軟弱な場所が出来ているということもあ

るかもしれないと思うので、それも活断層である可能性があると考える1つの根拠です。それから、

阿多鳥浜がフラットだから 24 万年くらい動いていないということに関しては、これは何度か立石

さんがおっしゃっていますけども、そもそもこのテフラがですね、フラットに積もったということ

が不自然ではないかという議論があって、私はそれはそうだなという感じがしますので、フラット

だから動いていないという論理がおかしいんじゃないかという気がしています。

それから 1番の、どうやったら分かるのかというは、これは、例えばその、寺尾排水路が真殿坂

向斜のところだけで壊れているということを地元の方はおっしゃっていたわけですけども、それは

やっぱりそこのところを通しで見てですね、確かにそうなのか、その壊れ具合からいって、それは

単に振動で壊れたんだとか、軟弱地盤でその振動が強くて壊れたのかとか、それは見ないと分から

ないですね。それと、さっき、変状地形というようなことでご説明がありましたけども、地元三団

体からも、そういう場所が真殿坂断層、真殿坂向斜に沿って、線状あるいは帯状に分布していると

いうのが出ているわけで、そこをずっと見たいですよね。見ないことには判断が出来ないと思いま

す。

ざっとそういうことです。

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事務局(松岡)

もう2点だけお願いします。1番目のほうで、あと何か必要かということで、他のところを見な

いと相対的な判断はできないということなんですが、今回見られた滝谷農道とかあの辺のところご

ざいますね、あの辺については、何か感想みたいなものがあるのかなというのが1つと、それから、

椎谷海岸の海底遺跡の部分の歴史学的検討が、北前船の寄港地とか先住民族の話のときに、これが

真殿坂断層が動いたとか活動したかということにどう結びつくのか、ということが私は分からなか

ったものですから、その辺をちょっと教えていただければと思います。その2つです。

石橋委員

また後ろからいきますと、私個人としてはですね、この椎谷海岸の海底遺跡のことは、真殿坂断

層とは関係ないと思います。

それから、滝谷農道の冠水地点。あれをみた限りでは、だから去年の7月16日に真殿坂断層が

ズレ動いたとは、私は思いません。

山崎委員長

どうもありがとうございました。

ちょっと、私からもコメントさせていただきたいと思うのですけれども、一つはですね、さっき、

2番目の活断層か否かをどうやって調査するかということで、断層がズレたかどうかということは、

ある基準がズレているかどうか。基準というのは、地層の面であるとか、自然にできた繋がりの良

いものが食い違っていた、あるいは、非常に大きな高度差があるというものを基準にしているわけ

です。

ですから、今回、東電さんの資料の方でですね、安田層の上面であるとか、阿多鳥浜火山灰、リ

ファレンスと言うのですけれども、リファレンスを使って調査をしていって「高度差が無い」とい

う議論は、活断層の調査としては合理的なものであろうと思っています。ですから、それが正確が

どうかということは別の問題ですけれども、そうやって調査をしていくということは、重要な方法

だと思います。

それから、阿多鳥浜が水平に溜まったかどうかという議論なんですけれども、確かに海底ですか

ら多少のデコボコはあるんですけれども、しかし、これは堆積する砂層の中に溜まっているわけで

すから、基本的に数メートルの高度差というものはあるかも知れないけれど、大きな谷が掘れたと

ころを谷底に沿って溜まったという状況ではありませんので、それは無いと思います。

実は先日ですね、先週、学生の調査で下北半島の津軽海峡沿いの海岸沿いの崖をずっと見てきた

のですけれども、昔の谷をですね、新しい地層が埋めているのですけれども、谷底を埋めるのはす

ぐ埋まってしまって、すぐ平坦な地層が続いていくということで、阿多鳥浜火山灰を指標にしてい

くというのは、調査の上ではおかしな話しではないという気がいたします。

それから、もう一つ地震断層かどうかということなんですけども、これは、非常に今までの能登

半島地震とか、その前の中越もそうだったんだけれども、神戸の兵庫県南部地震、この地震の時に

もですね、神戸の街の中に地震断層が出たという議論が盛んに行われました。で、いつの断層でも

必ず出てくるんですね。ですけれども、基本的にですね、地震断層というのは、本当にそういう地

表の割れ目みたいのに出てくるのかというのがちょっと疑問があります。武田さん、すみませんけ

れども、さっきそこに入れたファイルを出していただけませんか。

これは真面目に論文書いていないですけれども、私、日本の地震断層を全部当たって調べたこと

があります。立川断層というのを調査する時に、何で地表に緩い坂ができているのか、という疑問

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がありました。それでなんですけど、これちょっと難しい絵なんですが、横軸は被覆層、つまり柔

らかい地層の厚さを書いてあります。縦方向は、地震でズレた本当の断層のズレの量が書いてあり

ます。いろいろな数字が書いてありますけれども、これは地表に変形が出てきた時の幅と実際の高

さの比です。ですから、1.5 とか 1.1 というのは、横幅に対して大きく上にズレている。つまり、

急な崖が出来ているということを示しています。それから、0 点いくつなんていうのは、横幅に対

してズレの量がほんのちょっとである、というものを示しています。そうしますとですね、基本的

には大体、まあ、この等高線は私が引いたので、いい加減かも知れませんけれども、つまり、薄い

地層の時には、割りと変位量が小さくても大きくてもシャープな崖が出ます。ところが、地層が厚

くなってくるとですね、みんな崖は出ないんですね。緩い坂になってくるんです。それは、10メ

ートルくらいの変位量が起きてもですね、5メートルくらいのズレが起きてもやっぱり緩い坂にな

る。5メートル、10メートルは出ていないですけど、2,3メートルのズレだと、例えば、福井

地震なんていうのは、実際断層があった、測量したら分かったのですけれども、ズレが出ていませ

ん。ということになりますので、つまり、崖が出るというところは、割りと硬い地盤で、柔らかい

ところに割れ目ができたりするというのは、地すべりとか、表層の影響が多いとまず考えたほうが

良い。必ずしもそれが100%とは言えないけれども、先ずそういう目でぼくは見ます。次、お願

いします。

これは、神戸の地震の時にですね、淡路島に出て来た、水溜りが出来て田んぼが変形しているの

ですね。これは、実はこちらに断層が出ていて、凹んだのですけれども、これは、実は割りと軟ら

かいところです。次、お願いします。

この延長部の山の中に行くと、こんなシャープな花崗岩基盤ですけれども出てきますし、それか

ら、住宅地で基盤が浅い、被覆層が浅いところでは、雁行亀裂、この家の下を通っているんですけ

れども、こういうものが出てくると。

ですから、柔らかい地盤のところでは、むしろ変位量が大きくてもボワーッとした地形が出てく

る。つまり変位量が小さくて、沖積層だけに変形が出るというのは、違う理由を考えたほうが良い

というのが一つあります。次、お願いします。

これは逆に沖積層の中でものすごく明瞭な断層が出ていますけれども、これは液状化です。液状

化というのは、この部分が横へ移動して、下が液状化をして移動しているんですね、ラテラルスプ

レッディング、側方流動とか側方移動。ですから、ここには正断層がずーっと出ます。それから、

横には横ズレ断層が出ます。一番左、見えませんけれども、海岸に近いところには、逆断層が出て

いるということもあります。次、お願いします。

これも同じように反対側から見ていますけれとも、畝が湾曲してますね、これは、20年くらい

前の日本海中部地震の時の八郎潟の縁で見た現象です。それから次お願いします。

これは余分な話ですけれども、先ほどの井戸の話ですけれども、あちこちの海岸にこういうもの

があります。ポットホールと言うんですけれども、中に石があって、非常に綺麗な丸いものですが、

これは、波で洗われて、石が動いて削ってしまうんですね。次お願いします。

これは、どこかというと、青森県の五能線沿線なんですけれども、地震で隆起したところですね。

そこで今は水かぶってないんですけど、時々、しぶきがかかっているという現象があります。

以上のように、ここでおしまいですけれども、私、特にこの地域調査したわけでは無いですけれ

ども、全体的な印象として、実際に出る地震断層とはちょっと違うなという印象を持ったというの

が私の感想でございます。

それから、先ほど石橋先生から「なぜ、滝谷が軟弱地盤になるのか」ということなんですけれど

も、この図を使わせていただきます。ここに本流がありますね。本流に対する支流の谷というのは、

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本流の方が、物の流出量が多いので、水が出にくくなる。砂とシルトという話がありましたけれど

も、砂でなくても砂利でも良いんですけれども、要するに逆に言うとダムアップされてしまうんで

すね、こちらにダムができてしまって上流側に池ができるのと同じ姿。これは、あちこちにあって

ですね、例えば、自治体の名前を出すと恐縮なんですけども、石橋先生が調査された小田原なんて

いうのも本流の酒匂川に対して小田原城がある後ろの谷は、こういう状態です。ですから、地震の

時、もの凄く揺れて、被害が出ます。それは、やっぱり本流に対して支流側がダムアップされてこ

ういうもの。正にこういうところに出来ているので、多分これはそういう現象であると。もし、地

震に関係するものであれば、この尾根の方にもっと明瞭な現象が出てくるべきではないかという気

がいたします。

これは、私の見解で、本当にそうかどうか分かりませんけども、そういうことで、他の理由でも

かなり、よくお調べになっているのは非常によく分かって、敬服しているのですけれども、そうい

う現象を目でみる必要もあるのではないかというコメントでございます。

石橋委員

傍聴の方等に分かりにくい、誤解が出たりするといけないので補足しますと、山崎さんがおっし

ゃった「地震断層」という言葉は、なかなか正確に伝わらないかも知れない。今おっしゃったのは、

「地表地震断層」ということですね。一番はっきりしているのは、震源断層面という地震波を出し

た地震の本体が、そのままずっと地表に顔を出して、地表地震断層というものとして現れる。それ

はもう、地下の地震本体と一体になっているもので、正真正銘の立派な断層です。

私は、この真殿坂断層が、そういう意味で、地表地震断層が7月16日に出たものだとはやっぱ

り思えない。そういう明瞭なものは無いわけで。動いたか動かないかと言っているのは、やや深い

ところで、深さ数キロとかそういうところで動いたかもしれない、絶対動かなかったとまでは言え

ない。そういう意味であります。

で、活断層というのは、長い地質時代、最近の地質時代の長い間に地下で繰り返し動いて、それ

が立派に地表まで出るか出ないかは、場合によってちょっと違う。で、この真殿坂断層が、仮に活

断層であったとした場合、どういう性格のものかというと、それは分かりませんけれども、かなり

可能性があるのは、少なくとも中越沖地震を重視すれば、中越沖地震を起こした本体ではないこと

は多分確かで、しかも西へ傾き下がる逆断層で、地質断層としてもそういうものでしょうから、だ

から上盤の中に二次的にできた、北西-南東圧縮力によって上盤の中にできている断層。あるいは、

長岡平野西縁断層帯、この辺でいうと片貝断層くらいになるんですかね、そこから派生している断

層かも知れない。そんな感じです。

もう一つ難しい問題は、これが活断層だということがかなり確からしくなった場合、ではそこか

ら強振動が出るか出ないのかが、また大きな問題になってきて、そうなると多分、入倉さんなんて

いうのは浅い部分は強振動は出さないとおっしゃってますから、そういう見解もあるわけです。

そういうふうに、まだ活断層かどうか分からないし、仮に分かったとしても、性格が次の問題と

して分からない、そういうものだと思います。

山崎委員長

立石先生、どうぞ。

立石委員

この前の現地視察に関わって補足説明と言うことで行われましたが、この地域の地殻変動全体に

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関わってですね、私が一貫して主張してきている点についてはですね、今回も具体的には言及がな

かったので、その点についてこの地域の地殻変動に関わって、あらためて質問させていただきます。

資料の2ページ。この段丘面分布という図の中で、離水面の、これは安田面の地表面標高やある

いは大湊砂層上限面の標高とあわせてですね、プロットされているわけですけども、この高度分布

の図と今回の中越沖地震に伴う丘陵地域の地殻変動、これとが対応すると考えられるものなのかど

うなのか、その点について明確にしていただきたいと思うんですね。

私自身は真殿坂の断層が今回も動いたということについては、明瞭な証拠はない。どちらかとい

うとですね、敷地内のことも含めてね、いまのところこれが動いたという根拠は、我々は手にして

いないと思っているんですけども。そのことと、この地域全体が隆起をする、とりわけ南の方が低

くて、北の方に高くなるというそういう運動というものが観測されているわけですけども、そのこ

ととこの安田面の離水面を中心としたこの高度分布、これが一致するというふうに東京電力では考

えておられるのかどうか、このことがいつも曖昧にされたまま来ているので、その点はっきりさせ

ていただきたい。この高度分布はそういうものとは関係ないというふうにお考えなのかどうなの

か?以上です。

東京電力(武田)

12-3の資料の中に今立石先生ご指摘された点に関係する図がありますので、11ページ目を。

先生ご指摘されたのは今回の中越沖地震の際に椎谷のあたりが30センチくらい隆起して、平野の

あたりについてはやや沈降があって、その沈降している様子が丁度、今ご覧いただいた段丘面の高

度分布、旧汀線なり離水面の形状に似ているんじゃないかということで。では、もともと東京電力

は離水面の分布形状だと言いながら、それは実は地震に伴って形造られた形状ではないのかという

ご指摘。これまでも何度かご指摘いただいた、いただくたびに、酒井だとか私も同じような答えを

させていただいたかと思うんですけども。丁度、発電所のあたりに隆起が見られて、これは国土地

理院さんが解析された結果なので、観測されたものを全て再現したものではございませんけども。

「だいち」でとらえられたデータ等から丘陵のあたりには隆起があって、平野側には沈降があって

それをこの2枚のモデルでご説明されたものですけども。こういった観測データがあって、こうい

った解析結果があってという中で、もともとは100%、あたかもサロマ湖の湖底のような形状と

ご説明させていただいてきましたけれども、そういったものの中にこういったものの影響も含まれ

ているというふうに考えていることをこれまでも申し上げてきたと思います。なので、前々はあた

かも100:0の世界でお話しをしていましたけども、何割かは分からないですけどもこういった

影響も含まれているだろうと。ただ、この影響が100%であの形状が作られたとも思っておりま

せんので、そこを何対何と切り分けるのは、私自身出来ないと思っております。

また、観測された事実が必ずしもこの断層の動きだけで説明できるのかなというとそうではなく

て、もともと沖積層が厚く堆積しておりますし、滝谷のあたりで沈降が見られたという様子もあり

ますとおり、沖積層があの地震動を受ける中で、平野全体が沈降するという動きも何らか影響があ

るのかなと。それを全部定量的に分けるというのは難しいけども、100か0かという中で言うと、

こういったものの影響もあるんだろうと。

東京電力(酒井)

これは資料1-3で、つまり中越沖地震の動きと地形がどうかというご質問なわけですけども、

去年の7月に中越沖地震が起きましたから、そういうご質問が出るのはきわめて自然だと思うんで

すが、一方、これは今日、後ろの方でご説明予定の資料ですけど、長岡平野西縁断層帯が動けば、

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やはりこの地域は隆起傾向なわけですね、そうでなければ今回の地震のタイプが繰り返しただけで

あれば、柏崎平野の縁辺部の段丘が高くなるはずがないんですね今回の沈降していますから。です

ので柏崎の地域が被る地震、地震というか地殻変動というのは今回は中越沖、ただし、恐らくもう

少し高い頻度で長岡平野西縁断層帯があって、そういうものの繰り返しとして今の地形にあると。

ただし、いろいろ異論があるところだと思うんですけども、段丘面高度というのが1対1で、全て

が内陸地殻内の断層ではないだろうと思います。やはりバックグランドで、一定のものがあって、

それに内陸地殻内の断層運動があって、内陸地殻内の断層ももちろん中越沖だけじゃなくて、いろ

んなタイプのものがあって、その複合した形で今の地形が認められていて、考えていることと今の

柏崎で認められる地形というのは矛盾はしていないんじゃないかとというふうに考えます。

立石委員

よく分かりました。

確認しておきたいのはですね、必ずしもF-B断層だけではありませんけれども、この周辺地域

で起こっている、とりわけ時間的なことで言えばですね、20数万年以降と言っていいと思うんで

すけども、それ以降何回もこの地域は地震動を受けてですね、それに伴って現在のような、安田層

中の離水面、これの高度分布をもたらすような変動を受けてきた。これは全ての変動量を地震動で

説明できることではないけれども、少なくともここ十数万あるいは二十万といっていいと思うんで

すけども、その期間そういう影響を受けてきているといういうふうに捉えているんだということで

解釈していいということですよね。

東京電力(酒井)

そうですね。

立石委員

全てではもちろんないですけどもね。それで、当時の海水面の高度を考えればですね、全般的に

は20mくらいは新潟周辺地域が隆起してきている、それにプラスのですね、20数m前後はそう

いうものの影響を浴びながら、全体としては地震動に伴って、ぐいっ、ぐいっと隆起をしてくる運

動がかなり影響していると。その中で次に質問したいのはですね、そうするといわゆる敷地を含む

西山丘陵地域と平野との間のこの落差、これはですね、それは今の、先ほどの12-2-11の資

料から言っても、地震動のたびに基本的にはその地域は沈んできている可能性があるんではない

か?この地域にですね、私自身が一番問題に認識しているのはですね、平野と丘陵の境界にですね、

そういう比較的新しい時期の運動があるんじゃないかと。丘陵を作るというか、片一方は隆起をし

片一方は沈下するという、その境界部が先ほどのたまたまここでは真殿坂というふうに言われてい

る古い時期から動いてきたそういう場所に一致をしている。しかし真殿坂は一方で平野と丘陵の境

界に斜向して敷地の方に延びているわけですね。その部分まで動いているというのはそれは言えな

い。しかし、平野と丘陵の境というところでですね、より南の方つまり柏崎の市街地の方にずっと

延びていく丘陵の境界部分ですけども、そちらの方に伸びていく新しい境界が存在をするのではな

いかと、これは運動量としては決して大きなものではないのでね、明確に断層として現在つかめる

かどうか分かりませんけども、一方では隆起をし、一方では沈降するという、そういう境界の性状

をもう少しはっきりさせる必要があるというふうに私自身は思っているわけですね。

どうしても真殿坂の断層の延長が動いたかどうかということが、非常に問題にされてきているわ

けだけども、私自身は平野と丘陵の境界部分、ここの運動がどういう影響を与えるのかということ

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について先ほど石橋さんからもありましたけども、副次的な断層ということでとらえられるものな

のかどうなのか、その辺は明瞭にしてもらった方が問題がはっきりしてくるんではないかというふ

うに思っているんですね。これがこの間ずっと考えてきたことですし、それから指摘もしてきたこ

とだと思っています。

阿多鳥浜についてもですね、先ほど山崎委員長のほうから 水平に溜まるということはある意味

至極当然なことなんでしょうけども、それは海成層だということが実証されてはじめて海域で比較

的平坦なところで溜まるということが言えるんだけども、安田層のベースのところというのは、必

ずしも海成層ではないわけですよ。しかも阿多鳥浜というのは従来言ってきている安田層とは一つ

前の地層なわけでね、その部分がどのようにして溜まったかという部分については何ら今まで論文

というのはないわけですよ。公表されたデータというのはないわけですね。阿多鳥浜の周辺は、特

にこの地域ではですね、どのようにして溜まったかということについては、海のものなのか、川の

堆積物なのかということも分からないという状況の中で水平になるということについてね、やっぱ

り文章化されていないというのが私の見解です。

海水準の低下の量からいうと阿多鳥浜以降、この地域がほとんど動いていないとすれば、そこに

阿多鳥浜が残ること自身がかなり稀なことですよ。沈んでいればですよ、その次の海面低下の時に

もその境界面はその上に行く可能性はありますが、沈んでいなければ、ほとんど同じところまで海

面低下が生じる訳ですから、ほとんどが削剥されてしまうはずなんですよ。そこの部分でやはりこ

の地域の例えば運動量、運動像をどのように考えるかということにまだ私の方としては納得できな

いことがあってですね、その辺をうまく説明していただきたいと思っているわけです。

石橋委員

さっき2つ言い忘れたんで簡単に。

山崎さんが変位基準のことを仰いましたけども、これ繰返しダメ押しみたいなことですけども、

私は変位基準として、一番調べれば分かるだろうし見えるし大事なのが大湊砂層のトップだと思う

わけで。そこはまだ見解の相違というか、残るのはしょうがないけれど、議論がまだ、それこそ乾

いていないと思いますので、今後調査と検討がまだ必要だと思います。

それから、さっきちょっと、真殿坂断層がもしそういう2次的に浅いところの2次的なもので地

震波を強烈に出さなければ、そうであれば重要じゃないみたいな印象を与えたかもしれないけど、

これが敷地の中へ延びるんであれば、ズレということは断層の影響として非常に大きなことですか

ら、揺れでなくてズレというのが、そういう意味で真殿坂断層の挙動をきちんと知ることは非常に

重要であると思います。

それに関連して、今立石さんが仰った、丘陵の地形の構造に斜向して敷地の中に行くんじゃなく

て、もうちょっと、もしかしたら東のほうへ延びるかもしれないという。それは実は渡辺満久さん

が去年の第四紀学会の時にそういう調査結果あるいは解釈を示していて、柏崎のやや高いところと

南東側の低地の間に、彼が再定義した真殿坂断層もどきがあって、それが今回動いて、それは「だ

いち」のパターンにも見えていて、実際、柏崎の繁華街(えんま通り)の被害の原因であったかも

しれないという議論があります。それは、その後立ち消えになっているような気が私はするんだけ

ども、気にはなっています。それに対しては、第四紀学会の会場では山崎さんから質問があって、

侵食地形ではないのかとか色々そういう議論があるんですけど、そういう問題もまだ残っていると

思っています。以上です。

山崎委員長

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ありがとうございます。衣笠委員お願いします。

衣笠委員

あまり発言しないようにしていたんですけども、今の石橋委員の変位基準の話で。

図の6ページを出して下さい。この図で今、石橋委員は大湊砂層とか番神砂層のこの青い線で示

される変位基準に問題があるからもっともっと詳しく調べなきゃいけないと仰ったんですけども、

この図ではそればかしではなくてもっと数多くの変位基準が示され、例えば安田層のトップも変位

基準の 1つであるわけです。それには明瞭な変位が認められない。その下に結晶質テフラというの

が書いてあってそれも変位基準の 1つであって、それも変位をしていないというか明らかに大きな

変位はしていない。それから先程問題になっている阿多鳥浜テフラというのも、大きな明瞭な変位

はしていない。さらに加えて西山層のトップというか安田層の基底も変位基準の1つ。これも大き

な変位をしていない。これだけ変位基準がありながら、ここだけをもってさらにデータが不足だと

いうのは如何なものかというか、地質学の常識に反する。これだけのこういう構造というのは、中

学の理科、高校の理科の教科書にも書かれていることで、これだけ変位基準に変位が認められない

のにここでもってもっともっと資料を集めろというのは、僕はもうおかしな話だと思います。

併せて言うなら、この資料の4ページに地元三団体の方々の作られた図面があって、それでも安

田層の基底面はほぼ平坦に書かれている。即ち、安田層の基底面に変位が起きていないのに上に変

位が起きている、石橋委員が言われるようなこの青い線についてもっともっと資料を追加しなきゃ

いけないというのも、これもおかしな話。これは地質学の基本原理から地層累重の法則に反する意

見であるので、もうこの点は解決済みだということにしたほうが良いと思いますので、委員長の判

断をお願いしたいと思います。

立石委員

ちょっと待ってください。いいですか。この図は下のほうの基準面、これは東電さんから言って

もらったらいいんだけれども、下のほうの基準面は東電の資料を基にして書いてるんです。東電の

資料で書いているので、だからずれていないのは当たり前なのです。

衣笠委員

そこは議論するつもりはない。

立石委員

だから、阿多鳥浜の基準面についても、これはずれてないということは、東京電力が公表してい

るデータに基づいて三団体が書いた図であって上だけを問題にしているんです。

衣笠委員

それは分かりますが、こういう資料をお出しになる時は図の中でちゃんと論理的になっているよ

うな図をお示しにならないと、私の言ったようなことでここ変位していないからこんなもの当てに

ならないもうお終いというふうに撥ねつけられる可能性もありますので、何かお出しになるんだっ

たら、少なくとも1枚の図の中では論理的になっている図をお出しになったほうがいいと思います。

石橋委員

余計な言葉がいろいろ多かったと思いますけれども、後で議事録読んでいただければ、私の言っ

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たことは衣笠さんが仰ったようなことを言ったんじゃなくて、変位基準が他にはないなんていうこ

とは1つも言ってません。それから、下のほうは、これ連続的に全部押さえているわけではないわ

けです。推定ですよね。ボーリングが何箇所もあったり、反射の断面とかはあるでしょうけども、

地質図の下のほうというのは。

私が言ったのは、データをもっと集めなきゃいけないと言ったんじゃなくて、番神の風成・水成

の境目というのは、現実に露頭が何箇所かあって、そこでの認定、それから特に高度の測定、それ

に食い違いがあるから、そこをもっと詰めなければいけないと言ったので、そういうことを言った

んです。そこはちゃんと見えているわけですから。見えているところからまず攻めていくことが大

事であろうということです。

山崎委員長

地滑りという解釈もありますので。意見いろいろと出ましたけれども、ここでは結論を特に出し

ませんけれども、聞いている方がご判断をいただけるということで思います。

それでは大分予定よりも遅れていますので進ませていただきます。次は、建屋ですね。資料の地

小委12-2です。建屋水準測量に関する補足説明がありますのでお願いします。

(東京電力による資料地小委 12-2 の説明は省略)

山崎委員長

それではご意見。石橋委員の・・。質問先にやります。

衣笠委員

17 ページ。基礎版の面外変形の話です。1号の面外変形量は 0.2mm、それから7号のほうは 0.3mm

と仰々しく書いてあるんだけども、これだけの精度があるんですかというのが質問です。

それからもう1つの質問は、このページに書かれているコンクリートの圧縮強度、引張強度等が

書いてありますが、これは基礎版のコンクリートの圧縮強度、引張強度であるわけです。K-6/

7はMMR(人工岩)の上に乗っているんでMMRの圧縮強度、引張強度と比較したらどうなるか、

ちょっと教えていただきたいと思います。

山崎委員長

ではお願いします。

東京電力(本田)

まず、面外変形量なんですけども、あくまでも今回得られました測量に基づいて4点の値を正と

しまして、そこから幾何学的に算数的に数学的に変形量、面外変形量として計算として出させてい

ただいた結果としまして、精度はと言われれば建屋水準測量の結果に基づいている精度だというふ

うに考えております。

衣笠委員

後のほうの 35ページとか 37ページのほうで結構大きなばらつきみたいなことを議論しておられ

て、一桁、場合によっては二桁大きいばらつきの話もしておられているのにも関わらず、ここでは

0.2mm、0.3mm なんて書いてあって、いかにも面外変形が起きたような印象を与えてしまうんですが、

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精度を踏まえて議論したほうがいいのかなと思っています。

それからMMRの引張強度が分かったら教えてください。

東京電力(酒井)

少々古い人間でして、0.1N/mm2ですから1kg/cm2です。西山モルタル、マンメイドロックは引っ

張り強度数 kg/cm2だったと記憶しております。ですから 0.3~0.4N/mm2ではないかと思います。但

し、改めてちゃんと考えたいと思うのですが、7号機の下のマンメイドロックは打設に際して施工

目地を入れてそこで不連続にしている。これマットですから、こういう盤で評価していますが、実

際には7号建屋の下を6分割ぐらいで切っていますから、これと同じようなことにはならないので

はないかと思います。これは確認します。

山崎委員長

よろしいですか。石橋先生の方から質問状が出ていますね。それではこれのご説明をお願いします。

石橋委員

私のペーパーの、先ずコメントというところの4番目にですね、17 日に構内水準点も見せていた

だいたので、それへのコメントということで書いたので、確認したいのですが、そこに質問があり

ます。構内水準点の設置と建屋水準測量は、どの原子力発電所でも標準的に実施することになって

いるのですか? つまり日本中の他の電力会社の原子力発電所でもこれは標準的にやるべきこと

になっているのですか?

東京電力(酒井)

なっていないと思います。当社は柏崎と福島でやっていますけれど、これは必ずしも全電力で必

ずやるとなっていることではないと記憶しています。

石橋委員

では(私のペーパーの)「そうでない場合」ということになるわけですけれども、どうしてこう

いうことをなさろうと思ったんですか?

東京電力(西村)

いろいろな考え方があると思うのですけれども、いろいろなものを観測をしていくことは大事だ

と思っていて、当社の場合は自主的に施設保全の観点でやっていこうということでございまず。ご

指摘のようなレギュレーションになっているということではなくて、自主的にやっております。

石橋委員

この間、別のことで伺った地下水位の連続観測であるとか間隙水圧の連続測定であるとか、あま

りなさっていなかったようなので。だけど、これは非常に大変なことをずっと継続してなさってい

るので、特別な意味があるのかと思ったのですけれど。結構です。

次に書いてある柏崎刈羽のこれまでの測量とか、福島の測量の結果との比較というのは、ご説明

いただきましたから、このページはそれで結構です。

裏に行ってですね、今日、こういうご説明があるとは知らずに出した質問とお願いということな

んですけども、ちょっと読みます。

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柏崎刈羽原子力発電所においてバラバラな隆起・傾動が明らかになったと。その原因については

今日、多少、解釈をご説明いただいたわけですけれども、それを伺っても、依然として納得できる

説明では私にとってありません。8月 26 日のこの小委員会、それから同じ日にたまたま東京で第

16 回の合同ワーキングが開かれた、そこで地殻変動量の局所的な変動幅、ばらつきの範囲内に概ね

入るというご説明があったわけですけれども、その時、私は非常に疑問を呈しましたし、合同ワー

キングでも地理院の宇根さんから批判的意見があったと思います。ですので、今日、補足があった

わけですけれど、まだ私には納得できないわけです。

そもそも、特に傾斜です、それの真の原因ですね、ばらつきの範囲に入るとかいうのでなくて、

実際、具体的にある建物の四隅で隆起量が違って傾斜して、しかも剛体的ではない傾斜が生じたわ

けですから、なぜそういうことが生じたのかということを追求することが非常に大事だと思います。

と言うのは、この問題は、新耐震設計審査指針の規定で、「建物・構築物は、十分な支持性能をも

つ地盤に設置されなければならない」という、そのことに直接関係する可能性が非常に大きいと思

っています。

前回は、まさか西山層では液状化なんか起こらないでしょうねとか、西山層が浮き石だったこと

はないでしょうとかいうことを言いまして、まあそれはないのだろうと思います。だけど、西山層、

支持地盤から上に乗っかっている埋め戻し土であるとか、あるいは全部が全部埋め戻し土なのか、

それとも場所によっては前からある砂丘の砂とかもあるのかもしれないけども、そういうところで

の深いところまでの液状化っていうことについても8月 26 日には申しました。今日は、そういう

可能性はないんだろうということがその時に言われたので、違う質問をしたいと思うわけです。

真ん中より下のアンダーラインがしてある3行ですけれども、建屋レベルの変動の原因は、もち

ろん隆起の大部分は震源断層運動による全般的隆起であるわけですけれども、そうだと思いますけ

れども、それ以外の個々ばらばらの隆起、結果的な傾斜ですね。それは急激かつ強大、過大な地震

荷重がかかったわけで、それと建屋の荷重と複合によって、支持地盤である軟岩の西山層が単純に

ですね、破壊した、要するにぐしゃっと破壊した、ということではないんでしょうか、それが可能

性として一つ考えられることだと思います。それが否定されるのであれば、その根拠や証拠を示し

ていただきたい、説明していただきたいと思います。それが明確に、根拠、証拠を示して否定でき

ない場合には、やっぱり私は、非常に大事な問題なので、ボーリング調査等によって検証すべきこ

とではないかと思います。つまり建屋のごく近傍で西山層までボーリングして、そこで破壊は起こ

っていないということを検証すべきではないかと思います。

それに加えて支持地盤の上の層で深いところまで広範囲で液状化が発生したという可能性も、こ

の間の説明では完全には否定されていなかったので、プラスの要因として絡んでいる可能性、つま

り側方拘束が弱くなった、あるいは極端に言えば浮力が働いたとかですね、そういう可能性がある

と、それはそれで考えております。

今日のご説明で、要するに、隆起はまあいいんですけども、ずっと測量をしていて、地震によっ

て著しい変動の大部分は稼いだわけですね、時系列で見ていると。もちろん平均的な隆起量はさっ

き言ったように広域的な地殻変動でしょうから、それはいいんですけれども、傾斜の方、例えば7

ページの表を見てみると、当初測量を始めた時点から地震後2回目までの傾斜変化の最大値に比べ

て、いくつかの号機では、やっぱり中越沖地震を挟む期間でその大部分を稼いでいるわけですよね。

そこで大きく傾斜が起こったわけで。それというのは、さっき S波速度を出して、号機によって物

性が違うんだという話がありましたけれども、ある号機でも四隅でレスポンスというか、要するに

変動、四隅の絶対隆起量と言うか、それが違ったから傾斜しているわけで、号機によって速度や物

性値が違うということでは説明しきれないと思います。

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またお答えがあれば追加の質問をしたいと思いますけれども、基本的にお尋ねしたいことは以上

です。ちょっと補足すると、18 ページに建屋傾斜の目安値というのが出ていますけれども、建築基

礎構造設計指針ですか、1/1000 から1/2000、これは一般的な建築物の指針ですよね。

東京電力(酒井)

一般的な建築物です。

石橋委員

旧指針で、重要な建物・構築物は岩盤に設置しなければならないというような規定があって、と

にかく岩盤設置なわけです。西山層が軟岩、土木の方でいう岩石の分類で言うと一軸圧縮強度等か

らみると軟岩である。それがそもそも旧指針の岩盤設置に合致しているのかというと私はちょっと

疑問に感じるところがあるのだけれども、でもともかく、旧指針では岩盤設置と言っているわけで、

そういう土俵での話ですから、そこにこの一般の建築物の構造設計指針なんていうのが出てくるの

がそもそもおかしいと思うんですよね。これは、ある意味では指針の方が定量的にきちっと示して

いなかったという、一種ザル的なところがあったからしょうがないのかもしれないけれども。

さっきのご説明のメインのひとつであるところの建物とか中の設備・機器に対する安全性の点で

影響は無かったという、それはそれでいいと思うんです。ですから、変動したけれどもそのことに

よる結果的な安全性への影響はないという、それはそうであればそれでいいのですが、それで済む

話ではないと思うんですね。

とにかく地盤に大きな問題があったかもしれないということで、そこはもっときちんと考える必

要があると思います。私は断層が動いたとか褶曲が成長したとかいうことでは、やっぱりこのバラ

バラなレベル変動の分布は説明しにくいだろうと思っていまして、何か局所的な支持地盤の破壊で

すね、広い意味での破壊、液状化、非線形現象であるとか液状化であるとか、単純な圧縮破壊みた

いな、何かそういうことでないとこういう結果は出てこないと思うので、今言ったようなことを伺

いたいと思います。

山崎委員長

ちょっと、私から質問なんですが、今の西山層の破壊というのは最後に液状化とか何か言われま

したけど、具体的にどういうことなんですか。断層ではないんですか。

石橋委員

断層ではないと思いますね。だから、要するに「ぐしゃっ」と。私、土木ではないから正確には

言えませんけれども。要するに建物の荷重が乗っている訳ですね、支持地盤の上に。そこに強烈な

加速度が来たわけです、下から瞬間的に。で地震荷重が加わって、それで一軸圧縮破壊に至ったこ

とがね、要するに「ぐしゃっ」と。

山崎委員長

要するに、間隙率が変わっちゃうとか、そういうことなんですか。

石橋委員

液状化と言ったのは忘れて下さい。液状化とは関係ないです。

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山崎委員長

要するに、証拠を示せと書いてあるんですけれども、具体的に何を示せば・・・・。

石橋委員

だからボーリングをやってみてね、もし破壊していれば、その「ぐしゃぐしゃ」なったのが掴め

ると思うんですよ。

東京電力(酒井)

私自身も石橋先生が破壊と言われている現象がですね、具体的にイメージが少し掴めない部分も

あるんですけれども。西山層というのはですね、先ほどありました一軸の圧縮強度で大体、30kg/cm2、

3N/mm2、いわゆる 30 キロですね、で、圧縮破壊、例えば支持性能という点でですね、純粋に載荷

板をおいて支持力破壊をさせると、それをその安全審査の段階で試掘抗の中でやりますけれども、

その時の最大荷重はですね、多分 60 キロとか 70 キロとか、最大マキシマムの荷重レベルですよね

70kg/cm2、多分 700t/m2ですよね。

要するに何を言いたいかというと、確かに工学的な分類では、ソフトロックですから軟岩なんで

すね。ただし、ちまたそこら辺にある軟弱地盤とか地盤とは、やっぱり固さとか強さで訳が違うわ

けですね。ですので、今回の地震においても基本的にその支持性能は維持されたというのがですね、

大方の見方であろうと。ちゃんと調べないといけないけれども、IAEAとかもそういうようなコ

メントをしていたのではないかと推測していますが、要するに埋戻に設置していた変圧器の間のあ

あいうところで火災の原因になったけれども、基本的に岩着の構造物に殆ど被害が認められないと

いう事で、要するに岩盤支持の有効性は確認されているという認識で、これはかなり当社だけじゃ

なく、そういうことであろうと思います。で、先ほど言いましたように、支持力で見れば、cm2 当

たり 70 キロぐらい。一軸あるいは三軸圧縮強度軸差強度でも 30 キロくらい。ということで、基本

的には地震動レベルを考えたとしても、西山層の破壊ということは、極めて考えづらいと思ってい

まして、一つあれですが、実はですね昨年の秋ぐらいに、調査計画を国の委員会等で説明する時に

ですね、その破壊云々という話が出たわけでありませんが、やはり強い振動を受けたということで、

その地震前後でですね、許認可時点の物性値が変っていないかというための調査をするべきである

と。これは地盤関係の先生からコメントがありまして、そういう調査を実施しております。ボーリ

ングを 300 メートルくらい掘って、各号炉あたり最低1本掘って、それで設置許可の段階の物性値

とVsとかVpとかさっき言った三軸圧縮強度、そういうものが変化していないかと。勿論ちゃん

とコアを取れている訳で、そういうものでご懸念には答えられるのではないかというふうに考えて

はいます。ただし、その調査結果を今取り纏め中であったと思いますが、そういう調査はしていま

す。ということです。

あとその石橋先生からのお話の中で、今回この傾斜に関して、それが旧指針ベースでのですね、

岩盤支持の話に関しての抵触というか、ということもあったかと思うんですけれども、ちょっと私

の理解が足りなければ恐縮なんですが。

実際に柏崎の地点の設置許可の申請に際しましては、設置許可の申請の段階で支持地盤に求めら

れる性能として、支持力と沈下とスベリ、これに関しては設置許可申請書に記載していて、それで

審査の中で評価されていると。ちなみにその傾斜に関しても弾性論、あくまでも弾性論的な計算に

なりますけれども、例えば原子炉建屋が載っかっている横にタービン建屋が載っかる。そのタービ

ン建屋の影響で面いちではなくて、若干の傾斜をします。そういう傾斜量最大で千何百分の1云々

という数字を設置許可申請書に示しておりますけれども、ある意味では、当社としましては、そう

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いう傾斜の量を記載した上で許認可を得ているということで、例えば今回の地震で傾斜が出たから、

それが、もともと考えていた支持地盤の持つ性能に対して間違いだということではないのではない

かというふうに考えています。で、その傾斜自体の量というのが、全くその建物とか機器・配管に

関して影響があるものではありませんので、やはりそれは全く影響を与えるものではないというこ

とは、結局今回の地震を踏まえても、西山層の支持性能は確保されたというふうに考えるのが合理

的ではないかというふうに考えています。

ちょっと全てのご質問に答えたかどうだか分かりませんが、一応まずはここまで。

石橋委員

旧指針に抵触しているんじゃないかということは、別にそれほど強調しているわけではありませ

ん。私が一番関心があるのは、とにかく何故こういうことが起こったのか、何事が起こったのかを、

きちんと知る事が非常に大事だろうというわけです。それで東電さんもですね、具体的に物理的に

何事が起こったかということは、まだ把握していらっしゃらないんだろうと。ですからバラつきの

範囲に入るとか、そういう説明をしているだけだと思うんですね。

それで、一つ単純な質問ですけれども、原子炉建屋を載っけた時、それは何 kg/cm2ぐらいなんで

すか。

東京電力(酒井)

6~7kg/cm2です。ABWRはちょっと軽くて6、BWR-5は7です。

石橋委員

それから、密度はどのくらいなんですか、建屋の。1より小さいということはないのですか。

東京電力(西村)

すみません、ちょっと数字を持ち合わせていませんので、不正確であったら後ほど訂正いたしま

すが、密度の考え方は、我々工事方ですとコンクリートの密度だとかいう話しがあるんですけども、

多分ご質問は全体として建屋の容積を考えた時に、1を切るかどうかということだと思いますので、

そういう意味では1以上だったと思いますので、もしそうでなければ訂正させていただきますが。

石橋委員

あと、先ほどの説明へのコメントなんですけども、バラツキ論がですね、8月 26 日のご説明で

地理院の水準測量や何かでやったのは、まあちょっとまずいかもしれないので、その岩盤のところ

での実測値と比べたと仰った訳ですけれども。まずはそれ、言い訳というか、もされていましたけ

れども、確かに精度が、非常にあれは問題だと思うのと、それからそういうことがですね、この各

号機の四隅のその狭い範囲で、やっぱりそれを持って来るというのは、私はおかしいと思いますね、

物理的にというか。それが感想というかコメントです。

それからもう一つ、さっき衣笠委員がお尋ねになったマンメイドロックのことで、半ばお答えが

あったような感じなんですが、私もちょっと思ったのは、あれ6・7号機なんですか?そのマンメ

イドロックの上に。

東京電力(酒井)

7号です。

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石橋委員

7号だけですか?何かMMRがこう広くあって、その上に二つぐらい載っているのかと思ったん

だけども。

東京電力(酒井)

建屋直下全面にマンメイドロックを置いているのは7号です。その他の号機もですね、試掘抗の

方が建屋設置盤よりも深い場合等においては、マンメイドロックは小規模ながら使っているので、

全面的に使ってそこそこの厚さで使っているというのが7号でして、それ以外は全く使っていない

というわけではありません、正確にいうとそういうことです。

石橋委員

7号の場合には、だからそのMMRの一番下の四隅で何かおかしなことが起こったんですかね。

バラバラなことが。

東京電力(酒井)

いやそう考える必然性は、私は無いと思いますけれども。西山層があって西山層のマンメイドロ

ックがあって建屋が載って、今回、測り方は全て建屋に対して測っていて、それが一定の今範囲に

入っていると説明をしているので、その時にことさらこれはマンメイドロックか、これはというこ

とでは・・・。逆に何故そう考えなければいけないのかなと思います。

因みに西山モルタルというのはマンメイドロックなんですけれども、コンクリートよりは西山層

の物性値に近づけるために、通常のコンクリートよりはかなり西山層に近い物性を使っていて、そ

こに著しく西山層と西山モルタル、マンメイドロックという中で考える必要は無いのではないかと

いうふうに考えていますけど。

石橋委員

じゃあそれはいいとして、要するに何が起こったかということに関しては、どういうご見解なん

でしょうか?

東京電力(酒井)

説明の最後にも本田が言いましたとおり、要するに今回1/4000 程度に対応する、建屋間で隆起

の差が出ているわけですね。これ、非常に小さい数字であると思うんですね。ですので、非常に小

さい数字に対してこれがそれぞれに関してをこういう理由によるのであるということを言うのは

やはり当社としては非常に難しいのではないかという見解です。

つまり、確かに一等水準点は全て岩盤に設置しているわけではないですし、北-1測線の岩盤上

の測量に関しても、今回建屋の水準測量の精度と同じではないとは思います。ただし、そういう基

本的にはある地殻変動というのは、その定規でスパット切ったように現れるというふうに、普通は

そうならないと考えられるのが普通ではないかと私は思います。

それで得られているデータ、勿論、地理院さんの一等水準点というのは岩盤上ではないのは確か

ですけれども、かといって、それが基準点として、要するに田んぼの縁とかですね、どうしょうも

ないところには設置されてはいないと思います。比較的その中では道路上の比較的ちゃんとしたと

ころに設置をされている。それから北-1のところも確かにその測量精度はありますけれども、こ

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ちらはその岩盤上のデータを使っていると。そのデータを持ってきて距離辺りのバラツキがどの程

度が普通かという、個人的にはそこのアルゴリズムは間違っていないと思います。10m間隔のデー

タ、3km、5km、それからだいたい 150m間ぐらいで、期待される誤差はどれくらいかという

考え方は、私は間違っていないと思っていて、ただし、水準点が全て岩盤上のデータではないとい

うことと、北-1測線に関しては地震前の地下探査の距離補正のための測量だったので、そこの精

度の話しはありますが、そのバラツキを導き出す方法自体に関しては、おかくしないというふうに

は考えています。

石橋委員

私が思うにはね、そっちの方の話、リファレンスにとっている方の話ではなくて、この原子炉建

屋の方ではですね、これ 100mもないわけですよね、一辺が 100m足らず、その 100m四方のところ

では、震源断層運動による地殻変動は一様だと思うんですよ。そこでそういうバラツキが出るとは

私は思えないんですけどね。まあいいです。

それと、あと話が構内基準点からの構内水準測量の誤差の中ですと言われれば一番話は簡単で、

こんなゴチャゴチャ質問をしないで、分かりやすいというか、その測量の誤差の範囲の中に埋もれ

ちゃっているといえばそれはいいんですけど、測量精度は非常に良くて、誤差を越えて傾斜やなん

かが出ていると仰るから、そしたらやっぱりそれの原因を考えなければいけなくて、それでさっき

言ったように 100m四方の中では一様だろうと思うから、それがバラバラ、四隅がバラバラになっ

たのは何故だろうかと知りたいと、そういうことです。

東京電力(酒井)

実は、私からも先生にひとつだけ確認をさせていただきたいんですが、本田の説明の中でも本田

が言いましたが、地震前後にデータが採れていて、且つ岩盤上で、且つ短区間のデータが採れてい

るというものが他で無いかなと、海外も含めて無いかなということでかなり調べたんですが、この

50mとか 100mとか、150mとかいう範囲の中で、という距離の中で、地震前後の岩盤上のデータと

いうものが、採られているデータというものが調べた限り無いんですね。

私もエンジニアとしての直感としては、バラツキでは無いかと思っています。逆に石橋先生が、

これはバラツキでは無くて 150mくらいで一様であると考えられるとした時に、そう考えられてい

る根拠なり、何かデータとかというものをお持ちなんでしょうか。もしそういうものがあれば、我々

が評価しているバラツキというものが、本当にバラツキで片づけて良いのか、本当はもっともっと

一様だと期待されるのかということになって来ると思うんですけど、現実にそういうデータという

のは如何でしょうか。

石橋委員

いや確かにそれ非常に大事なご指摘だと思います。私、すみません、そういうデータは今のとこ

ろ知りません。それは、そういうデータを求める努力はするべきで、だから、どっかそのテストフ

ィールドを作って、地震が起こりそうなところの岩盤でね、網を張って待っている必要が、いや実

際あると思いますね。東海地震とか何とかで。それは理学的にも工学的にも非常に大事なことだと

思います。一様だろうと思うのは、酒井さんがエンジニアとしての直感であるのと同じように、私

も漠然とした地震屋としての直感ですけれども。

実はこの問題はですね、こういう問題は、耐震指針検討分科会で議論になったことがあるわけで

す。私は、地震による隆起のことをちゃんと規定に書くべきだろうということを主張したんだけど

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も、そんなのはもう全く一様に隆起するから必要ないという強い意見が2、3人の方から出たわけ

で、そういうことです。

山崎委員長

すみません。時間の方がありまして今日とても予定通りには終わりそうにないんですけども、行

けるとこまで行きたいと思います。それですみません、次、先に進ませていただきます。

次はですね、地震小委のですね地小委の12-3ですね。敷地周辺の地質・地質構造に関する補

足説明ということでご説明をお願いします。

(東京電力による資料地小委 12-3 の説明は省略)

山崎委員長

どうもありがとうございます。それではご意見、ご質問、お願いします。

衣笠委員

1つだけお願いですが、F―B断層、いつの間にか、36kmになってしまっているんですが、あれ

は不確実性を考慮して念のために評価をする値として 36 ということになっているので、実態とし

ては 27kmが現実的なモデルだろうと思います。だから、27kmのケースでの検討もぜひお願いし

たいと思います。

東京電力(武田)

はい、承知しました。

石橋委員

8ページのですね、質問ですけども。離水ベンチの露頭写真で、右上に KB3というのがあります

けども、この KB3の一番高いところに何か、私素人ですけども、ノッチみたいな格好しているのが

見えるけど、これは違うんですか? KB2のほうは、ここに写真がないけども、図では KB2ですね、

ノッチを認定されていますね、高いところに。

東京電力(武田)

地形の専門的な人に急遽歩いてもらって見ていただいた中で、ノッチと見えるのが非常に微妙で、

ここではベンチとして2段認識していただいたということで、ノッチかどうかという点については、

KB5でご説明したものほど明瞭なものではないということです。

石橋委員

これらについては、離水ベンチ、年代試料は今のところないんですね。

東京電力(武田)

ええ、基本的に見ていただいたとおり、礫岩のようなものが露岩した状態で年代分析できるよう

な試料は得られていないです。

石橋委員

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貝殻や何かがへばりついているというのは。

東京電力(武田)

そういった分析できるような試料としては得られていないです。なので今回出たものをもって、

どれ位の隆起速度にあるかとか、そういった定量的なことは議論できる状態にはないです。

石橋委員

それから地殻変動の計算ですけどもね、F-B 断層長さ 27kmか 36kmかっていうことは別とし

て、F-B断層については、強震動モデルではなくて、それを広げたような、それで一応、単位変位

量1mとしてやってみるというんで、それはそれでいいと思うんですけども、長岡平野西縁断層の

方は、基準地震動を見積もるためにはですね、まあ念のため長さ 91kmにすると言って、こういう

荒っぽい、単純な長方形のモデルでやるのは、まあしょうがないと思うんですけれども、今のお話

のような実際の変動、この場所の大地の変動と比較するという時にはですね、ちょっとやっぱり、

これはまずいと思うんですね。きちんと角田・弥彦は角田・弥彦、気比ノ宮、片貝、それぞれをせ

っかく調査なさったんだから、それらのジオメトリーでやらないと、何がなんだか分からなくなる

と思います。まあ、全体の傾向はそれはいいけれども。

それとあと、傾斜角もですね、いろんなところの委員から、50 度は高角過ぎるだの、35 度でも

やってみろとかいう意見も出て、それで基準地震動のほうはなさったんだと思いますけども、こう

いう変動論では、後期更新世の変動プラスそれ以前のですね、いろんな変動、佐渡島から中越地域

一帯にわたる、そういうものを全部具体的に再現できるようなモデルというかイメージを踏まえた

上で、計算をした方が私はいいと思います。しかも東京電力さんは一生懸命調査されて、特に、角

田・弥彦なんていうのは、最近の活動はどうも落ちているようであると。ある測線で見た場合には、

沖積層の基底がほとんどずれていない、西山層のトップはまあ3kmくらいずれているけれども。

昔は活発だったけれども、最近活動が落ちているとか、そういうこともちゃんとおっっしゃってい

るし、ジオメトリーもその3つの断層で違うということを出してらっしゃるわけだから、そういう

年代論とジオメトリーとを全部できるだけ実際に近いようなことで検討しないとまずいと思いま

すね。これだったらね、角田山とか弥彦山が海の中にぽっかりできるかもしれない、みたいになっ

ちゃうわけで、特に低角の 35 度の場合なんていうのは。それを強く私は思います。

東京電力(武田)

ご指摘いただいた通りだと思います。なので、今回、強振動のモデルをちょっとずらしただけです

けども、先ほど、衣笠先生からもいただきましたとおり、どこが動いているかという基本的な断層

のモデルできちんとやるということをやりたいと思います。

石橋委員

でも、4月7日の第二回に初めて出て以来、度々、海成段丘、隆起海成段丘の成因というような

ことに地震と絡めて、要するに地震性地殻変動という観点から言っていたわけで、だけど当初は、

日本列島いたるところで隆起しているから地震だか何だか分からないというような話だったんだ

けれども、今回、こういう計算結果が出てきて、勿論、全部が地震ではないかも知れないというわ

けだけれども、でも、要するに MIS-5e の隆起海成段丘の高度のかなりの部分は地震である可能性

があるという考え方に立って、こういう検討をなされたということはですね、大変結構なことで、

やっと同じ土俵に乗ったという感じです。

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さっき言った、第三紀後期以来、後期更新世、あるいは現代に至るまでのこの地域のいろいろな

断層もあるわけで、そういうものを全部踏まえたイメージを描くという意味では、私の試算もまだ

非常に不十分なわけでして、一応、11月の地震学会にも講演を申し込んでいますから、それまで

にはもっと詰めたいと思っておりますけれども、そういう意味で今後、検討できればいいと思いま

す。

山崎委員長

他のご意見は。立石さん。

立石委員

今回示された離水ベンチの露頭写真ということに係わって、椎谷岬の隆起というのがありますね。

この隆起海岸において、遺構としてのポットホール、甌穴が浸水しているというのは、論理的には

矛盾しているわけですよね。一般的には、隆起海岸において、もともと甌穴が海岸においてできる

ためには、砕波帯で、かなり強いエネルギーのもとで礫がコロコロ転がるという条件ができて初め

てできる。そこに、もし隆起海岸であれば、当然、浸水するのではなく、上に出て来なきゃいけな

い。そういう問題があって、あそこらのあれはまだ乾いていないということで、今、陸地になって

いる部分は確かに隆起をしている。だけどその先が、私は何本か見られるような亀裂がすでにあっ

て、その運動の反映として、沈むところと隆起するところがあるんだというふうに思っている。

ただ、それは今回動いたかどうかということについてはこれはまた別の話しです。今回、新たに

あそこに断層ができるなんていうことはあり得ないわけで、そういう問題とはまた別に、そこの部

分で隆起するところと沈むところというのは、いくつかの断層を挟んで、ブロック状の動きは認め

られるのだろうと。それで沈むところにポットホールがある可能性、そういうふうに考えないと、

一般的に隆起海岸だということで説明することは無理だというふうに私は思っています。

山崎委員長

私からちょっと言わせていただくと、新潟は海岸侵食が進んでいますので、椎谷の海岸がどの位

侵食されたかは分からないですけれども。少なくとも、海水準というのは、今の高さにずっとあっ

たわけではなくて、8千年前とか9千年前はもっと低かったんですね。ですから、いつの時期かと

いうのは、今おっしゃるといつも隆起しているみたいなあれですけれども、海面は徐々に上がって

きて、7千年から8千年くらいでピークに達しているわけで、その時期にノッチができたりすると

いうことで、隆起の兆候だということにもなるわけですけれども、逆に低い時期もあったわけです

ので、一概に沈降もあったのかも知れないということもなかなか言えない。確かに先ほど酒井さん

が言われたように、いろいろな変動が重なっていますから、場合によっては沈降するような動きが

あったのかもしれない。

有名な北海道南西沖地震の時に、奥尻島は間違いなく隆起していると思って行ったら、沈降して

いたんですね。そういうこともありますので、一概には言えないのですけれども、海水準変動であ

る程度説明できる可能性もあるのではないかとということは指摘しておきます。ただ、侵食量の問

題もありますので、最近できた地形であればもちろん新しいわけですから、それが少し難しい。な

かなか、年代が出せないところですね。

他にはいかがでしょうか。時間も4時になりました。私の不手際でなかなか前の方で議論してし

まいまして、肝心の基準地震動に関する議論が全く抜けているんですけれども、申し訳ありません

が繰り延べをさせていただきたいと思っております。

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それでは事務局、お願いします。

事務局(松岡)

どうも活発な議論ありがとうございました。それでは、その他と言いますか、次の会議の日程で

ございますが、第 13 回の小委員会につきましては、10 月 15 日水曜日、13 時 30 分からということ

で、自治会館の方で予定してございますので、よろしくお願いしたいと思います。

山崎委員長

それでは、本日の小委員会、終了したいと思います。委員の皆さまにはお忙しいところ、議事進

行にご協力いただきましてありがとうございました。それでは、事務局に進行をお返しします。

事務局(大川)

それでは、本日の地震、地質・地盤に関する小委員会につきましては、これで終了させていただ

きます。どうもありがとうございました。