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平成25年度 共同調査研究事業 地方公共団体におけるオープンガバメントの 地方公共団体におけるオープンガバメントの 地方公共団体におけるオープンガバメントの 地方公共団体におけるオープンガバメントの 推進に関する調査研究 推進に関する調査研究 推進に関する調査研究 推進に関する調査研究 平成26年3月 財団法人 地方自治情報センター 資料2別紙

地方公共団体におけるオープンガバメントの 推進に関する調査研究 · 進める場合、情報部門が確実にできることから始め、それらの事例

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Page 1: 地方公共団体におけるオープンガバメントの 推進に関する調査研究 · 進める場合、情報部門が確実にできることから始め、それらの事例

平 成 2 5 年 度 共同調査研究事業

地方公共団体におけるオープンガバメントの地方公共団体におけるオープンガバメントの地方公共団体におけるオープンガバメントの地方公共団体におけるオープンガバメントの 推進に関する調査研究推進に関する調査研究推進に関する調査研究推進に関する調査研究

平成26年3月

財団法人 地方自治情報センター

資料2別紙

1036
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(抜粋)
CS955114
長方形
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第5章第5章第5章第5章 オープンデータの課題オープンデータの課題オープンデータの課題オープンデータの課題

第1節第1節第1節第1節 取り組みから見えた問題・課題取り組みから見えた問題・課題取り組みから見えた問題・課題取り組みから見えた問題・課題

第 3回研究会において、これまでの研究参加団体の取り組み状況や研究内

容を元に、地方公共団体がオープンデータを取り組むに当たって、どのよう

な問題、課題があるのかについてグループワークを通して研究を行った。

グループワークは、研究会参加者を 2班に分け、まずは個々人での課題の

洗い出しを行い、次に班内で課題を共有、それらの課題を分類し、分類した

課題間の相互関係を明らかにすることで、問題点、課題を整理した。そして、

最後に 2班の検討内容を集約した(図‐2)。

図-1図-1図-1図-1 グループワークの様子グループワークの様子グループワークの様子グループワークの様子

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図図図図‐‐‐‐2222 グループワークの検討内容グループワークの検討内容グループワークの検討内容グループワークの検討内容

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研究団体は規模、地理的条件、取り組みの実績等の条件が様々だが、グルー

プワークで洗い出された問題、課題の多くは共通していた。

グループワークや先進事例、各団体の取り組み実績等から研究会ではオー

プンデータを進めていく上での課題を次の5つのフェーズごとに整理した。

■■■■ オープンデータオープンデータオープンデータオープンデータへの取り組みへの取り組みへの取り組みへの取り組み

■■■■ 組織的な取り組み組織的な取り組み組織的な取り組み組織的な取り組みへの展開への展開への展開への展開

■■■■ 技術的な手法技術的な手法技術的な手法技術的な手法のののの選択選択選択選択

■■■■ 業務プロセス業務プロセス業務プロセス業務プロセスのののの検討検討検討検討

■■■■ オープンデータオープンデータオープンデータオープンデータの利活用の利活用の利活用の利活用促進促進促進促進

第2節第2節第2節第2節 オープンデータオープンデータオープンデータオープンデータへの取り組みへの取り組みへの取り組みへの取り組み

オープンデータにまだ取り組んでいない多くの団体にとって、始めるため

の第一歩を踏み出すことが最初の課題ではないかと考えられる。まずはその

点について述べていきたい。

1111 動機付け動機付け動機付け動機付け

始めるためには「なぜやらなければならないのか?」が明確になって

いなければ、難しいと考えられる。

既に第 2章で述べているように、国のオープンデータに係る政策が具

体的に示され、加速してきている。また、住民参加型のイベントが各地

で開催され、社会全体にオープンデータが広まりつつある。その広まり

を受け、利用側は、地方公共団体がより多くの情報を二次利用可能な形

で提供することを望んでおり、その要望に応えることがやらなければな

らない理由の一つである。また、地方公共団体の役割は「電子行政オー

プンデータ戦略」で既に明確にされている(「第2章 第1節 電子行

政オープンデータ戦略の提言」を参照)。地方公共団体は、その役割を

果たすためにもオープンデータの取り組みを進めなければならない。

2222 情報部門の役割情報部門の役割情報部門の役割情報部門の役割

情報部門は、オープンデータに取り組むけん引役であるべきだろう。

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情報部門であればデータの特性やセキュリティに関する知識もあり、庁

内の調整役としても適任ではないかと考える。

データを所管する部門から取り組もうとする声が上がってくること

は稀で、情報部門が初期のけん引役とならなければ、取り組みが進まな

いというのが実情であろう。先進事例として挙げた福井県鯖江市では、

トップダウンによる取り組みとしてスタートしている点が大きなアドバ

ンテージだったことに加えて、初期の取り組みのスピード感を失わない

ために、情報部門が主体的に取り組みを進め、データを所管する部署か

らオープンデータの公開の承諾を得るという形を取ったことが今につな

がっている。

また、既にホームページ上で公開されているデータのみを対象とする

ならば、情報部門が先行してオープンデータ化に取り組み、二次利用可

能かつ機械判読可能な形式で公開することについて、庁内からの異論も

少ないのではないだろうか。

また、けん引役としての実績を重ねることが、全庁での取り組みにつ

いての庁内の理解を得ることにつながるのではないだろうか。

地方公共団体におけるオープンデータへの取り組み過程のうち、一般

的な場合とスピード優先ですすめた場合とを模式的にあらわしたものが

図-3、図-4である。

図図図図‐‐‐‐3333 一般的な取り組みの進め方一般的な取り組みの進め方一般的な取り組みの進め方一般的な取り組みの進め方

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図-4図-4図-4図-4 スピード優先での進め方スピード優先での進め方スピード優先での進め方スピード優先での進め方

第3節第3節第3節第3節 組織的な取り組み組織的な取り組み組織的な取り組み組織的な取り組みへの展開への展開への展開への展開

情報部門がけん引役となりオープンデータに取り組むという意思決定がな

された次のステップは、組織的な取り組みへと昇華させることである。その

ためには、「トップと職員の理解を得ること」が重要となる。その課題と対

策について、述べていく。

1111 トップの理解を得るトップの理解を得るトップの理解を得るトップの理解を得る

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・オープンデータの意義や必要性、将来性が理解されていない。

・組織全体の認識を高めるために必要である。

(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア 「電子行政オープンデータ戦略」や関連資料を元に説明する「電子行政オープンデータ戦略」や関連資料を元に説明する「電子行政オープンデータ戦略」や関連資料を元に説明する「電子行政オープンデータ戦略」や関連資料を元に説明する

オープンデータの必要性、重要性については「電子行政オープン

データ戦略」で明らかになっており、それを参考に説明するのが良

いだろう。また、東日本大震災では防災関連の多くの公共データが

利用された事例も具体的なニーズとして提示できるだろう。

また、議会においても、その取り組み状況について質疑がおこな

われるケースが増えつつある。それぞれの組織に対するニーズや環

境などに応じた考え方を整理しておくことも必要である。

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イイイイ 先進事例や効果が分かりやすい事例を示す先進事例や効果が分かりやすい事例を示す先進事例や効果が分かりやすい事例を示す先進事例や効果が分かりやすい事例を示す

「AEDの設置場所」「赤ちゃんの駅」「障がい者用トイレの所在

地」等は、公開することで得られる効果が分かりやすい事例だと考

えられる。また、諸外国の先進的な事例を示すことも重要である。

ウウウウ 情報の資産的価値を説明する情報の資産的価値を説明する情報の資産的価値を説明する情報の資産的価値を説明する

今後、地方公共団体の経営資源のうち「人」「モノ」「金」が大

きく増える見込みは低い。しかし、「情報」だけは今後も増加し続

ける。増え続ける「情報」を有効活用する手段がオープンデータで

あることもトップの理解につながると考えられる。

(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

アアアア ボトムアップについてボトムアップについてボトムアップについてボトムアップについて

トップから号令がかかれば、組織としての取り組みが加速するこ

とが期待できる。しかし、トップの理解を得ることで取り組みを円

滑にすすめる手法は時間がかかることが多い。スピード感をもって

進める場合、情報部門が確実にできることから始め、それらの事例

をもってトップの理解を求めるボトムアップの手法も考えられる。

イイイイ ニーズについてニーズについてニーズについてニーズについて

トップへ説明する際に「住民からのニーズはあるのか?」という

問いが予想される。ニーズについては第6節で詳しく述べるが、地

方公共団体が二次利用可能なデータを公開することに対する期待

は高まっているものの、現時点で利用者側からの細かいニーズを提

示することは困難だろう。ニーズがあるから取り組むのではなく、

ニーズを呼び込むためにオープンデータに取り組まなければなら

ないと訴えることが有効ではないだろうか。

2222 職員の理解を得る職員の理解を得る職員の理解を得る職員の理解を得る

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・オープンデータ自体を知らない。

・オープンデータに取り組む意義や目的が分からない。

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・オープンデータがもたらす効果が分からない。

・データの悪用や改ざんに不安がある。

・データの維持管理にかかる負担が増えるのではないか。

・オープンデータと情報公開制度との違いが分からない。

・オープンデータへの取り組み方が分からない。

・現状、公開を意識したデータ作りをしていない。

(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア オープンデータの取り組みに対する誤解を解くオープンデータの取り組みに対する誤解を解くオープンデータの取り組みに対する誤解を解くオープンデータの取り組みに対する誤解を解く

オープンデータについて、現在の情報公開の取り組みとの違いが

多くの職員に理解されていない。「個人情報を含むデータも二次利

用可能な形で公開する」と誤解されることもあり、オープンデータ

の内容や目的、期待される効果などを理解してもらうために教育や

啓発が必要であると考えられる。

また、これまでの見やすい、分かりやすいデータにするための加

工が犠牲になると誤解される場合もある。これは、オープンデータ

とこれまでホームページで行ってきた情報発信が混同されている

ことが原因と考えられる。地方公共団体のホームページは、イン

ターネットを通じて広く取り組みを伝えること、行政の窓口として

機能することを目的に運用されてきた。この伝える部分に見やす

さ、分かりやすさが求められ、最大値や平均値などの計算、グラフ

や表にする可視化などの様々な加工が施されてきた。オープンデー

タの取り組みとは、これまでの見やすく、分かりやすい情報発信に

加え、その元データも二次利用可能な形で公開することを職員に理

解してもらう必要がある。

イイイイ 悪用や改ざんのリスクは、現状も存在することを明示する悪用や改ざんのリスクは、現状も存在することを明示する悪用や改ざんのリスクは、現状も存在することを明示する悪用や改ざんのリスクは、現状も存在することを明示する

悪用や改ざんについては、PDF形式であっても悪意を持った改ざ

んは可能であり、取り組み以前から存在するリスクである。二次利

用可能な形式で公開されれば、そのリスクはこれまでよりも高くな

ることは明らかだが、二次利用によって生じた損害に対する責任を

地方公共団体は負わない旨を明確にすることでの対処が考えられ

る。

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ウウウウ 公開中のデータからオープンデータ化に着手する公開中のデータからオープンデータ化に着手する公開中のデータからオープンデータ化に着手する公開中のデータからオープンデータ化に着手する

既に公開している情報を Excel 形式や CSV 形式に変換するシン

プルな作業から始めることで、負担増の不安を少しでも緩和し、取

り組みを浸透させることができると考えられる。負担増に対する不

安の元は、オープンデータに取り組むことによって増える業務が見

えないからである。

エエエエ 情報公開制度との違いを明確にする情報公開制度との違いを明確にする情報公開制度との違いを明確にする情報公開制度との違いを明確にする

オープンデータを説明する際、既存の情報公開制度が必ず引き合

いに出されるが、本質的に異なるものである。情報公開制度は、利

用者が申請した上で、時間やコストをかけて情報を得るのに対し

て、オープンデータは、公開されたデータのダウンロードによって

得る仕組みである。

また、情報公開制度による情報開示の場合、公開する行政文書が

増えれば増えるほど、そのコピー代(地方公共団体によっては、申

請者負担)だけでなく、個人情報や機密情報の有無をチェックし、

公開できない部分を除く作業が増えるなど、申請者と地方公共団体

の両者に時間とコストがかかることとなる。

しかし、オープンデータにすることによって、双方のコストの削

減ができると考えられる。

表表表表‐‐‐‐1111 オープンデータと情報公開制度の違いオープンデータと情報公開制度の違いオープンデータと情報公開制度の違いオープンデータと情報公開制度の違い

項目 オープンデータ 情報公開制度

時間 ホームページやポータルサ

イトからダウンロードする

ため、ほとんど時間がかか

らない。

開示決定は開示請求から

30日以内。開示決定後、30日以内に開示方法の申し出

等があり、入手に多くの時

間を要する。

※「行政機関の保有する情

報の公開に関する法律」第

十条、第十四条 2を参照 媒体 CSVやExcelなどのデータ

で提供される 行政文書の写しが紙媒体で

提供される

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費用 基本的に負担なし 対象となる行政文書が多い

ほどかかる。また、地方公

共団体によっては、申請者

が負担。 二次利用の

明記 CC ライセンスなどを利用

して明記されている 明記されていない

手続き ホームページやポータルサ

イトなどインターネット上

に公開されているため、手

続きは不要

開示の要求のほか、開示の

方法や政令で定められてい

る事項を申し出るなど手続

きが必要 ※「行政機関の保有する情

報の公開に関する法律」第

十四条 2を参照

オオオオ 誤りや不足を補うことが可能であることを理解してもらう誤りや不足を補うことが可能であることを理解してもらう誤りや不足を補うことが可能であることを理解してもらう誤りや不足を補うことが可能であることを理解してもらう

データが完全ではないため、公開に消極的な意見もあるが、これ

は、オープンデータの問題ではなく、データの鮮度を維持するため

の内部プロセスとして改善すべき事項である。また、仮に不完全で

あっても、広く公開し多くの人の目に触れれば、その誤りや不足分

を補うことも可能である。

ただし、不完全なデータを公開することによって利用者の不利益

につながる場合もあるため、利用者や関係者への影響範囲は十分に

検討した上で、公開しなければならない。

(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

地方公共団体が保有する情報の多くは、情報部門ではなく各担当部

署がその責において管理しているため、オープンデータの取り組みを

行うに当たっては、各担当部署の理解と協力が不可欠である。

今後、各担当部署が自発的に取り組むことが期待されるが、取り組

みの初期段階においては、理解と協力を得るために、業務量の増加を

最小限に抑えられる情報を選定することで、取り組みやすさを優先す

べきと考える。

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第4節第4節第4節第4節 技術的手法技術的手法技術的手法技術的手法のののの選択選択選択選択

次にオープンデータの取り組みに必要となる技術的な観点に基づく課題に

ついて整理していく。

1111 利用者への配慮利用者への配慮利用者への配慮利用者への配慮

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・職員のデータ加工のスキルが不足している。

・公開されたデータを分析することによって個人が特定できる可能性

がある。

・精度が低いと活用につながらない。

(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア データ加工のデータ加工のデータ加工のデータ加工の手順手順手順手順を作成するを作成するを作成するを作成する

既に公開済みのデータをオープンデータとして公開する場合、既

存のデータに項目を追加するだけで利活用が期待されるデータに

することが可能である。

例えば、位置情報の追加が挙げられる。現在の施設情報は「施設

名称」「住所」「郵便番号」「電話番号」が一般的な項目であるが、

これに緯度経度の情報を加えることで、地図アプリケーションなど

で利用することが可能となる。

取り組みを進めていくためには、上記の例のように内部管理上の

データに新たな情報を加え、利活用が期待されるデータにする手順

を整備しなければならないと考えられる。

2222 オープンデータ作成の基本的オープンデータ作成の基本的オープンデータ作成の基本的オープンデータ作成の基本的な指針を明確にするな指針を明確にするな指針を明確にするな指針を明確にする

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・どんな形式が適しているのか分からない。

・どんな項目が必要なのか分からない。

・オープンデータのやり方が分からない。

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(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア 5段階評価を基準にデータの形式を定める5段階評価を基準にデータの形式を定める5段階評価を基準にデータの形式を定める5段階評価を基準にデータの形式を定める

現在ホームページで公開されているデータは、情報の改ざん防止

など完全性の観点から PDF 形式で掲載されているものが多い。こ

れは、Linked Dateの創始者でもある Tim Berners‐Leeが提唱し

ている「5 Star Open Data」の 1段階に当たる(第2章 表‐2を

参照)。

取り組みを進めていく上では、「2段階(Excel等)」か「3段階

(CSV等)」であればそれほど技術的なハードルは高くないので、

ここを目指すべきと考える。

■2段階(Excel形式、Word形式)

紙文書をWordや Excelなどの文書・表計算ソフトによって電

子化した時点で、2段階の要件は満たしている。

■3段階(CSV形式、XML形式)

Excelで作成したファイルを CSV形式で保存する。

Accessで作成したデータを XML形式でエクスポートする。

イイイイ データ作成における基本事項を定めるデータ作成における基本事項を定めるデータ作成における基本事項を定めるデータ作成における基本事項を定める

現時点で地方公共団体を対象としたオープンデータの項目や形

式などの標準化は進んでいないものの、いずれ標準化されることが

期待されている。しかし、これから始めようとする場合、組織内に

おける基本ルールは必要であると考えられる。オープンデータのや

り方が分からない等の問題、データ作成において指針となるものを

明示しなければ、職員による取り組みが失速してしまう可能性があ

る。

「二次利用の促進のための府省のデータ公開に関する基本的考

え方(ガイドライン)」の別添「数値(表)、文章、地理空間情報

のデータ作成に当たっての留意事項(案)」は、地方公共団体も活

用できる内容となっており、各地方公共団体の事情に応じた基本事

項を作成する際には、参考にするとよいと考える。

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(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

アアアア 項目について項目について項目について項目について

どんな項目が必要か分からないという意見もあるが、これは現時

点で明示することは困難だと思われる。地方公共団体は、利用者側

がどんな項目を求めているのかが掴めていない。一方、利用者側

は、地方公共団体が持っているデータの項目が分からない。データ

を公開して双方の「気付き」を生みだすことにより、どんな項目が

必要なのか分からないという問題が解決できると言える。

したがって、項目については、個人情報は含まないという原則に

基づいて公開しながら、双方の気付きによって適宜追加していくの

が妥当と考える。

第5節第5節第5節第5節 業務プロセス業務プロセス業務プロセス業務プロセスのののの検討検討検討検討

本節では、オープンデータを業務レベルで取り組むとする場合の問題と課

題について述べていく。

1111 管理責任を定める管理責任を定める管理責任を定める管理責任を定める

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・公開したデータについて、どんな責任を持つのか分からない。

・二次利用に関する利用規約が無い。

・著作権の表示について取り決めが無い。

・データを保有している担当部署が分からない。

(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア 民間のライセンス等を利用する民間のライセンス等を利用する民間のライセンス等を利用する民間のライセンス等を利用する

現在、オープンデータに取り組んでいる多くの地方公共団体にお

いて活用されている民間ライセンスは、「クリエイティブ・コモン

ズ・ライセンス(CC ライセンス)」である。

CC ライセンスとは、「インターネット時代のための新しい著作

権ルールの普及を目指し、様々な作品の作者が自ら「この条件を守

れば私の作品を自由に使って良いですよ」という意思表示をするた

めのツール」のことである。(注1)

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CC ライセンスは、表‐2、表‐3のとおり、4種類の表示を組

み合わせた6種類のライセンスを提供している。多くの先進団体で

用いている「表示」は、「原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目

的での二次利用も許可される最も自由度の高い CC ライセンス」で

ある。CC ライセンスを利用する場合は、ウェブサイト上にあるど

のように利用してもらいたいかという質問に回答することで、主張

する権利に適したライセンス表示を入手することができる。

表表表表‐‐‐‐2222 作品利用のための条件作品利用のための条件作品利用のための条件作品利用のための条件 表示 内容

作品のクレジットを表示すること

営利目的での利用をしないこと

元の作品を改変しないこと

元の作品と同じ組み合わせの CC ライセンスで公開すること

表-3表-3表-3表-3 基基基基本的な本的な本的な本的な CCCCCCCC ライセンスライセンスライセンスライセンス 種類 内容 説明

表示 原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示することを主な条件と

し、改変はもちろん、営利目的での二次

利用も許可される最も自由度の高い CCライセンス。

表示‐継承 原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示し、改変した場合には元

の作品と同じ CC ライセンス(このライ

センス)で公開することを主な条件に、

営利目的での二次利用も許可される CCライセンス。

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表示‐改変 原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示し、かつ元の作品を改変

しないことを主な条件に、営利目的での

利用(転載、コピー、共有)が行える CCライセンス。

表示‐非営利 原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示し、かつ非営利目的であ

ることを主な条件に、改変したり再配布

したりすることができるCCライセンス。

表示‐非営利

‐継承 原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示し、かつ非営利目的に限

り、また改変を行った際には元の作品と

同じ組み合わせの CC ライセンスで公開

することを主な条件に、改変したり再配

布したりすることができる CC ライセン

ス。

表示‐非営利

‐改変禁止 原作者のクレジット(氏名、作品タイト

ルなど)を表示し、かつ非営利目的であ

り、そして元の作品を改変しないことを

主な条件に、作品を自由に再配布できる

CCライセンス。 (出典:〔クリエイティブ・コモンズ・ジャパン〕「クリエイティブ・コモン

ズ・ライセンスとは」<http://creativecommons.jp/>(平成 28年 2月 28日現

在))

イイイイ データのデータのデータのデータの所管所管所管所管部門を明確にする部門を明確にする部門を明確にする部門を明確にする

第2節において、取り組み当初は情報部門がけん引役となって進

めていくことが望ましいと述べた。しかし、データについての管理

は、業務を通じてデータを作成し、運用している各担当部署である

ことを改めて明確にしておかなければならない。

ウウウウ 公開に伴う責任の範囲について明確にする公開に伴う責任の範囲について明確にする公開に伴う責任の範囲について明確にする公開に伴う責任の範囲について明確にする

地方公共団体が保有する情報を二次利用可能な形式で公開した

場合、その情報に対する責任の所在はどこなのか、リスクマネジメ

ントは誰がするのかという議論が出てくる。

しかし、ここで重要なのは、それがオープンデータに特有の問題

なのか、オープンデータに限らず行政の情報公開全般に関する問題

なのかをきちんと整理することである。例えば、公開したデータの

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誤り等は、紙媒体でも起こり得る問題である。オープンデータであ

ろうがなかろうが、正確性には十分注意を払い、ミスをしないよう

ダブルチェックの体制を整えるなど、これまでの事務においてと何

ら変わりがない。また、情報公開の可否の判断についても、職務権

限規定等の従前のルールに従って行えばよい。

一方、公開した情報が二次利用の段階で改変された場合等に対し

ての責任をどうするかというオープンデータ特有の問題について

は、既に第3節で述べたとおり「第三者が二次利用し、当該二次利

用されたデータを利用したものが損害を生じた場合でも、当市は責

を負わない」と明記することが有効な対応策の一つである。

(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

アアアア 著作権の考え方について著作権の考え方について著作権の考え方について著作権の考え方について

オープンデータにおける著作権の考え方については、「二次利用

促進のための府省のデータ公開に関する基本的考え方(ガイドライ

ン)」の「各府省がインターネットを通じて公開するデータの著作

権等の位置づけ」が参考となるだろう。

例えば、「単なる事実や数値データは、それ自体としては、著作

物とならず、著作権の保護対象にならない。」と明記されている。

これは、地方公共団体においても共通するものと考える。なお、数

値データについては、既に判例でも著作権が生じないとされてい

る。

2222 公開ポリシーを定める公開ポリシーを定める公開ポリシーを定める公開ポリシーを定める

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・公開先が統一されていない。

・公開までのプロセスが統一されていない。

・公開の可否判断を誰がするのかが決まっていない。

・公開する、しないの指針が分からない。

・現行法上、データを公開してもいいのか分からない。

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(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア 情報部門が公開までのプロセスを情報部門が公開までのプロセスを情報部門が公開までのプロセスを情報部門が公開までのプロセスを設計設計設計設計するするするする

具体的には以下のようなことは、取り組みを進めていく上で決め

ておくべきことであると考える。

・ 公開先を選択する。

・ データを公開する基準を定める。

・ データの二次利用のルールを定める。

・ 公開に至るまでのフローを定める。

イイイイ 公開を承認するフローを定める公開を承認するフローを定める公開を承認するフローを定める公開を承認するフローを定める

データの公開によって、利用者及び関係者に不利益が生じないか

ということを検討する必要がある。職員が匿名化や加工のスキルを

身につければ、個人の情報を特定できる可能性が高い情報が公開さ

れることも考えられる。その際、公開の審査・承認を行う機能とフ

ローが必要となる。

しかしながら、取り組みの初期においては、データ公開の審査機

能は、それほど高度なものは求められないと考えられる。初期の

オープンデータの多くは、既に公開されているデータであり、その

データと同じレベルの承認のみで十分と言える。

ウウウウ システムにオープンデータ化の機能を組み込むシステムにオープンデータ化の機能を組み込むシステムにオープンデータ化の機能を組み込むシステムにオープンデータ化の機能を組み込む

オープンデータを継続的な業務として行うならば、データの加工

等に手間がかからない方法が望ましい。

例えば、地図情報サービスや健診等のスケジュール通知システム

等、市民向けに公開されているシステムにおいて、登録している情

報を市民自らが二次利用可能な形式でダウンロードできるような

機能があれば、オープンデータとしてデータ形式を変換し、公開す

る必要がなくなり、住民も欲しい時にその時点での情報を入手する

ことができるようになる。

また、住民がダウンロードできる機能を付けられなかった場合で

も、管理する職員側のメニューから容易にデータを出力できる機能

があれば、データ作成の手間も軽減できる。

さらに、データに共通のコードを持たせるなど、公開を前提とし

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たデータの持ち方をさせることで、編集作業が容易になるととも

に、データ間での結びつきを持たせた活用ができるようになる。

システムの機能追加に当たっては、新規導入時や入替時などのタ

イミングでなければ難しいと思われるが、システム調達の段階か

ら、オープンデータを見据え、費用対効果を検証したうえで最適な

システムの選定することで、オープンデータを取り組みやすい環境

を作っていくことが重要である。

(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

アアアア 合法性について合法性について合法性について合法性について

事実や数値データは、著作権の保護対象外であるため、同節の「

1 管理責任について定める」で述べているように違法となること

はない。

しかし、法に基づき作成、収集した情報については、取り扱いを

規定している場合もあるため、公開に当たっては、関連法規の整理

は必要である。この点は、これまでの情報公開制度と同じである。

また、地方公共団体が調査などで事業者あるいは住民から収集し

たデータを二次利用可能な形式で公開する場合、事前に調査対象者

等の関係者との二次利用する旨の合意形成や利用目的の明確な表

示が必要となる。

イイイイ コストについてコストについてコストについてコストについて

既存のシステムにオープンデータの仕組みを追加で組み込む費

用が発生する場合やデータの利用者が明らかに限られる場合に

は、有料化も内部の意見として挙がる事が予想される。その場合、

受益者負担の観点から検討する必要があると考えられる。

3333 更新ポリシーを定める更新ポリシーを定める更新ポリシーを定める更新ポリシーを定める

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・データが常に最新とは限らない。

・全て網羅されているとは限らない。

・公開されたデータの維持を誰がやるのかが決まっていない。

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(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア データの性質を分析して、更新の間隔を定めるデータの性質を分析して、更新の間隔を定めるデータの性質を分析して、更新の間隔を定めるデータの性質を分析して、更新の間隔を定める

利用者側にとって、データの鮮度は非常に重要である。そのた

め、可能な限り最新のデータを公開することが望ましいが、更新頻

度は、費用・業務量とのバランスによって判断する必要がある。

公開に当たっては、情報の性質や変更する頻度を精査した上で、

総合的に判断し、決定しなければならない。また、更新頻度はあら

かじめ定めておくことが望ましく、定例的な業務として手順に組み

込むことで継続性を保つことができる。

イイイイ データの維持・管理の役割分担について定めるデータの維持・管理の役割分担について定めるデータの維持・管理の役割分担について定めるデータの維持・管理の役割分担について定める

データの管理責任と同様に、最新の情報への更新や不足している

情報の追加、過去の情報の整理など、当該データの維持管理は各担

当部署の役割として位置付ける。

(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

アアアア 情報の更新頻度について情報の更新頻度について情報の更新頻度について情報の更新頻度について

情報を更新するタイミングとしては、リアルタイム、内容に変更

があった時、時点(毎年度、毎年、毎月、四半期毎など)を決めて

定期的に行う等がある。

例えば、リアルタイムで更新を行うには、何らかのシステムを利

用する必要があるが、現行システムにそのような機能がなければ、

システムの構築や改修により費用がかかることとなる。また、変更

の都度更新する場合についても、変更が毎日なのか、1年毎なのか

等により、業務量が大幅に異なってくる。

第6節第6節第6節第6節 オープンデータの利活用オープンデータの利活用オープンデータの利活用オープンデータの利活用促進促進促進促進

1111 ニーズを把握するニーズを把握するニーズを把握するニーズを把握する

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・利用者がどんなデータを求めているのか分からない。

・現時点で明確な利用者のニーズを把握できていない。

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(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア アイデアイデアイデアイデアソンやハッカソンなどのイベントを開催するアソンやハッカソンなどのイベントを開催するアソンやハッカソンなどのイベントを開催するアソンやハッカソンなどのイベントを開催する

現在、技術者を中心としたイベントが各地で開催されている。ま

た、オープンデータに積極的に取り組んでいる横浜市は、市民と協

力して住民参加型のイベントを共同開催している。今後、地方公共

団体は、上記のような技術者と行政をつなぐ機会や住民がオープン

データを身近に感じられる機会を作っていくことが求められると

考える。イベントを通じて、地域の課題や問題意識の共有ができ、

そのために「こんなデータを使いたい、見せて欲しい」といったニー

ズが生まれると考える。あるいは、大和市のように自らイベントに

参加することでニーズを見つけることもできると思われる。

イイイイ 行政事務を見直し、ニーズを発掘する行政事務を見直し、ニーズを発掘する行政事務を見直し、ニーズを発掘する行政事務を見直し、ニーズを発掘する

行政事務の中にも、オープンデータに取り組むことによって、業

務の効率化やコストの削減、住民サービスの質の向上を図ることが

できると考えられる。

統計や道路、建築物等の情報について、照会の都度、職員が対応

しているものなどは、内容によってはオープンデータとして公開す

ることで、業務の効率化が図ることができると考える。

また、これまで紙媒体等で管理していたものがオープンデータの

取り組みを進めていく過程でデータ化されていけば、行政課題の解

決の糸口になる可能性もある。広島県呉市は電子化されたレセプト

データの活用によって一定の成果を挙げている。

2222 データを把握するデータを把握するデータを把握するデータを把握する

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・どんなデータがあるのか分からない。

・データの量が膨大なため、すぐに公開できない。

・何から取り掛かったらいいのか分からない。

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(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア 保有保有保有保有している情報を洗い出すしている情報を洗い出すしている情報を洗い出すしている情報を洗い出す

取り組みの初期の段階では、ある程度のデータ洗い出しは避けら

れないと考える。各地方公共団体の地理的特性(豪雪地帯、海に面

している、空港などの特別施設があるなど)や規模などによって、

保有するデータに差はあるが、統計情報や施設情報など基本的な

データは共通項目が多い。各地方公共団体による整備ではなく、国

あるいは県の主導によって、共通するデータがカタログ化されるこ

とに期待したいが、これから始めようとする地方公共団体は、情報

を洗い出し、データを保有する担当部署と協力するための材料を集

めなければならないだろう。ただし、データを把握するのに力を注

ぎすぎると、取り組みが停滞する恐れがあるため、注意が必要であ

る。

研究団体は以下のような方法で、情報の把握に努めた。

(例1)庁内セキュリティ監査の際にヒアリングを実施するなど関

係課との調整や協力体制を築き、その中からどのような情

報があるのか調査し、オープンデータとして公開した。

(例2)情報部門が所管するシステムに登録されている情報(シス

テムの管理は情報部門だが、登録されている情報は各担当

部署が管理する)からオープンデータ化を進めた。

イイイイ 先進事例のデータを参考にする先進事例のデータを参考にする先進事例のデータを参考にする先進事例のデータを参考にする

洗い出しとは別のアプローチとして、既に取り組んでいる地方公

共団体のデータなどを参考に進めていくこともできるだろう。先進

事例のデータから担当部署にそのデータの有無を確認し、オープン

データ化の可能性を検討する。既に他地方公共団体が行っているこ

とであり、担当部署の合意を得やすく、実現の可能性は高い。

(3)(3)(3)(3)補足補足補足補足

アアアア 検索性について検索性について検索性について検索性について

地方公共団体の業務内容は多岐にわたるため情報量が多い。その

ため、地方公共団体のホームページは、部署別やサービス別に情報

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を公開していることが多い。関連する情報が集約されているため、

ある程度知りたいことが明確な場合には、検索性は高いが、オープ

ンデータを利用したい場合には、データが点在することになり、構

造上利用しづらいものとなる。利用する側の検索性を高めるため

に、オープンデータを集約したページを作成し、必ずそこに掲載す

るなどのルールを決める。あるいは、公開されているデータのカタ

ログを作るなど「有益な情報入手の容易化」を図ることが必要と考

える。

3333 外部に取り組みを周外部に取り組みを周外部に取り組みを周外部に取り組みを周知する知する知する知する

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・地方公共団体が取り組んでいることが知られていない。

・どんなデータが利用できるのか知られていない。

・法令等に従い、既にやっているが、知られていない。

・オープンデータとは何か知られていない。

(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア トップがオープンデータの取り組みを公式に発表するトップがオープンデータの取り組みを公式に発表するトップがオープンデータの取り組みを公式に発表するトップがオープンデータの取り組みを公式に発表する

地方公共団体のトップが取り組みについて公式に発表すること

で、報道機関などを通じて取り組んでいることを広めることができ

る。

イイイイ LinkDataLinkDataLinkDataLinkData などの普及団体のポータルサイトを利用するなどの普及団体のポータルサイトを利用するなどの普及団体のポータルサイトを利用するなどの普及団体のポータルサイトを利用する

LinkData は、テーブルデータの作成支援と公開をサポートしな

がらオープンデータを共有するサイトで、「独立行政法人 理化学

研究所」が開設したサイトである。また、技術者との連携も期待で

きるサイト内容となっている。先進団体の鯖江市も同サイトに多く

のデータを公開している。

こうしたデータポータルサイトを多くの地方公共団体が利用す

ることによって、横断的な検索が可能になり、地方公共団体間の比

較や広域のデータ利用等も期待できる。しかし、行政が運営してい

るわけではないため、各地方公共団体でその利用について判断が必

要になるだろう。

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図-図-図-図-5555 LinkDataLinkDataLinkDataLinkData.org.org.org.orgのトップのトップのトップのトップページページページページ

4444 利活用を促す利活用を促す利活用を促す利活用を促す

(1)(1)(1)(1)問題点問題点問題点問題点

・データを使うアプリ開発、新ビジネス創出の支援が不足。

・地域に技術者が不足している。

・都市部と地方ではデジタル格差があり、地域住民の利活用が期待で

きない。

(2)(2)(2)(2)対策対策対策対策

アアアア コンテストやワークショップを開催するコンテストやワークショップを開催するコンテストやワークショップを開催するコンテストやワークショップを開催する

地域に技術者が不足している点については、すぐに解消すること

は難しいだろう。しかし、データやアプリはその地域間格差を越え

ることができると考える。地方公共団体が公開したデータを使った

アプリコンテストやワークショップを開催し、技術者とデータをつ

なぐ機会を演出することができれば、新しい価値を生み出せると考

える。

(注1)クリエイティブ・コモンズ・ジャパン「クリエイティブ・コモンズ・

ライセンスとは」より引用(http://creativecommons.jp/licenses/)(平成 26年

1月 28日現在)