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時代がもとめるカリキュラム・マネジメント · 1 1 現行学習指導要領の延長線上に位置付く今次改訂,カリキュラム・マネジメントの前提としての資質・能力観の共有

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時代がもとめるカリキュラム・マネジメント ● 目次 ●

1. 現行学習指導要領の延長線上に位置付く今次改訂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2. カリキュラム・マネジメントの前提としての資質・能力観の共有・・・・・ 1

3. 「育成を目指す資質・能力」の三つの柱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

4. 授業改善の基本的な考え方としてのアクティブ・ラーニング・・・・・・・・ 4

5. カリキュラム・マネジメントとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

6. カリキュラム・マネジメントの三つの視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

  (1)教科横断的な視点の教育課程編成・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

  (2)各種調査結果の活用とPDCAサイクルの確立・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

  (3)校園内外の人的・物的資源の活用・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

7. カリキュラム・マネジメントのモデルと構成要素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

  (1)カリマネ・モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

  (2)カリマネの構成要素と手続き及び実現のための校内研修・・・・ 10

8. カリキュラム・マネジメントの5つのレベル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

  (1)「学校のカリマネ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

  (2)「教科・領域のカリマネ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

  (3)「学年のカリマネ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

  (4)「学級のカリマネ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

9. カリキュラム・マネジメントの最終ゴールとしての

子供一人一人の自己の学びのカリマネ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

10. 学校のカリキュラム・マネジメント実現を支援する

地域のカリマネ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

11. カリキュラム・マネジメントを理解するワークショップ・ ・・・・・・・・・ 17

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現行学習指導要領の延長線上に位置付く今次改訂,カリキュラム・マネジメントの前提としての資質・能力観の共有

1.・・・現行学習指導要領の延長線上に・位置付く今次改訂

新学習指導要領告示及び同解説書作成をもって,改訂作業が終了した。改訂の全貌は教育課程企画特別部会『論点整理』(2015年)の中でほぼ明らかにされているので既に周知されつつあるが,「社会に開かれた教育課程」「育成を目指す資質・能力」「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」「カリキュラム・マネジメント(以下,引用や小見出し等を除き,原則的に「カリマネ」と略す)」などの聞き慣れない言葉に戸惑いを感じている教員は少なくないだろう。現行学習指導要領においても「言語活動の充実」「思考力・判断力・表現力の育成」「各教科等と実社会・実生活との関連」を重視してきた。今次改訂はこれらの延長線上に位置付くもので,目の前に大きな壁が立ちはだかっているわけではない。「社会に開かれた教育課程」などの前述の4つのキーワードはいずれも,1998年の学習指導要領で創設された「総合的な学習の時間」においてはこれまで重視され実践されてきたことである。また,筆者はこれまで多くの素晴らしい授業や学校に出会ってきたが,突き詰めればよい授業は「主体的・対話的で深い学び」であり,短期間で学力向上や生徒指導改善を成し遂げてきた学校にはカリマネが根付いていたと実感する1)。

2.・・・カリキュラム・マネジメントの前提としての資質・能力観の共有

これまでは学習指導要領の改訂の度に新

たな資質・能力観(昨今「資質・能力」という用語が用いられているので,従来「学力」と称されていたものも「資質・能力」と称す)が登場し,また国内外の各研究機関や研究者が多様な資質・能力観(例えば,「生きる力」「キー・コンピテンシー」「人間力」「学士力」「基礎的・汎用的能力」「成人力」など)を提唱してきた。今回示された「育成を目指す資質・能力の三つの柱」はそれらを整理し,幼児から社会人に至るまで一本の資質・能力観で貫いたものと考えることができる。学校教育のように組織的・計画的に教育

活動を展開していく上で重要なことは,その学校で育成を目指す資質・能力観の具体化と共有化である。つまり,目標のベクトルを揃えることが必要である。改めて,今次改訂が提唱している「育成を目指す資質・能力」について確認しておきたい。「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」の『論点整理』(2014年3月31日)や新学習指導要領改訂の方向性を明確に示した「中央教育審議会教育課程企画特別部会」の『論点整理』(2015年8月26日)及び「中央教育審議会教育課程企画特別部会」の『答申』(2016年12月21日)では,先行き不透明な時代を生き抜くとともに未来の社会を創るこれからの子供たちにどのような資質・能力を学校教育の中でどう育成すべきかを一貫して検討してきた。なお,『審議のまとめ(素案)』(2016年8月1日)までは「育成すべき資質・能力」と表記され,同『審議のまとめ(案)』(2016年8月19日)以降は「育成を目指す資質・能力」に改められている。

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「育成を目指す資質・能力」の三つの柱

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前述の『答申』(2016年12月)にも「資質・能力の在り方については,OECDにおけるキーコンピテンシーの議論や,問題発見・解決能力,21世紀型スキルなど,これまでも多くの提言が国内外でなされてきた。これらは全て,社会において自立的に生きるために必要とされる力とは何かを具体的に特定し,学校教育の成果をそうした力の育成につなげていこうとする試みである。~略~」(p.15の脚注)と述べられているように,これまで国内外において実に様々な資質・能力が提案されてきた。村川(2014)はその整理を試み,共通点が多いことを明らかにし,おおよそ3つに整理した2)。義務教育から高等学校段階で共通性が高いのは「問題解決力」と「対人関係形成力・協調性・コミュニケーション力」,「自律性・主体性」である。教育課程企画特別部会の『論点整理』

(2015年8月)では「アクティブ・ラーニング」を「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」と説明しているが,それとの符合は極めて高い。アクティブ・ラーニングが学習形態や学習方法の改善にとどまらず,「先行き不透明な時代におい

て,どのような課題に遭遇しても決して諦めることなく,かといって一人で背負い込むことなく,多様な人と関わりコミュニケーションを取りながらよりよい解決策を見いだしていこうとする生き方」の育成に繋がるものであることが伺える。

3.・・「育成を目指す資質・能力」の三つの柱

『論点整理』(2015年8月)では,各教科等の学習を通じて育成する資質・能力として,①何を知っているか・何ができるかという「個別の知識・技能」,②知っていること・できることをどう使うかという「思考力・判断力・表現力等」,③どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るかという「学びに向かう力や人間性等」という三つの柱で構造的に示した。その後の改訂に向けた各教科等及び学校種別のワーキングにおいてはこの三つの柱を中心に協議が進められ,これまで各教科等や発達段階を越えて複数存在していた資質・能力を,幼児教育段階から高等学校段階までを貫くものとして一本化された。

1996PISA 2000

20022003

2006

20082008

20112013

21 2013

2014 1

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「育成を目指す資質・能力」の三つの柱

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『審議のまとめ』(2016年8月)と比べ,『答申』(2016年12月)では文言において若干の修正が見られる。一つ目は,「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」である。「各教科等において習得する知識や技能であるが,個別の事実的な知識のみを指すものではなく,それらが相互に関連付けられ,さらに社会の中で生きて働く知識となる」としている。「相互に関連付ける」「生きて働く」が強調されている。例えば,具体的な授業イメージとして「鎌倉幕府に関する学習により習得した知識や技能を生かして,室町幕府と江戸幕府を含め3つの幕府を子供自身に比較し分析する」である。このような学習により,「各幕府の制度や組織等に関する個別的な知識が関連付けられて定着するだけでなく,その際に習得した視点や分析方法が他の時代や他の分野,場合によっては他の教科でも活用できる」と考える。二つ目は,「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」である。前述のように「将来の予測

が困難な社会の中で未知の状況に出会っても決して怯まず・諦めることなく,既有の体験や知識・技能を生かして解決策を自ら考えた上で,一人で背負いこもうとせずに多様な他者と関わり,対話を繰り返しながらよりよい解決策を見いだしていこうとする生き方」が強調されている。そのために必要な思考力・判断力・表現力を育成する過程として,①対象の関わりを通して問題発見・解決を探究的に行う,②個人の考えを形成した上で伝え合いにより集団としての考えを形成する,③一人一人の思いや願いを基に意味や価値を創造する,の3つを挙げている。三つ目は,「どのように社会・世界と関

わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」である。具体的には「学習意欲や自己統制力,自己を客観的に捉える力,人間関係形成力,多様性を尊重する態度や互いのよさを生かして協働する力,持続可能な社会づくりに向けた態度,リーダーシップやチームワークなど」である。いずれも,当時の下村博文文科大臣諮問(2014年11月20日)で述べられ

どのように社会・世界と関わり,よりより人生を送るか

何を理解しているか何ができるか

理解していること・できることをどう使うか

知識・技能 思考力・判断力・表現力等

学びに向かう力・人間性等

育成を目指す資質・能力の三つの柱

「確かな学力」「健やかな体」「豊かな心」を総合的にとらえて構造化

「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」補足資料 p.7 より作成

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授業改善の基本的な考え方としてのアクティブ・ラーニング

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た我が国の子供たちには弱いとされている資質・能力である。しかし,総合的な学習の時間を重視し取り組んでいる学校の児童・生徒にはこれらの資質・能力が身に付いていることを,日本生活科・総合的学習教育学会(2015年)の調査で示されている3)4)。身近な地域の課題を取り上げ,地域の多様な年代や立場の人との関わりを通してその課題解決を図ろうとする学びの成果と考えられる。新学習指導要領においては,総合的な学習の時間だけでなく各教科等においても同様の学びの実現が期待される。これらの資質・能力の三つの柱は,「各教科等において育む資質・能力」,「教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」,「現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力」の全てに共通するものである。また,各校はこれらの資質・能力の枠組みを踏まえた上で,子供や地域の実態に応じて,カリマネの中心である学校教育目標等として具体化される。

4.・・・授業改善の基本的な考え方としてのアクティブ・ラーニング

カリマネの要となるのは日々の授業であり,前述の資質・能力の育成及び授業改善の鍵を握るのがアクティブ・ラーニングである。『論点整理』(2015年8月)では,アクティブ・ラーニングを「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」と説明した。前述したように,国内外において育成しようとしている様々な資質・能力の3つの共通点に符合する。その後,『審議のまとめ』(2016年8月)では「主

体的・対話的で深い学び」と説明し,また,学習指導要領(2017年3月)においても,アクティブ・ラーニングという用語は一切使わずに「主体的・対話的で深い学び」としている。筆者は,「育成すべき資質・能力を踏ま

えた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」(2012年12月~ 2014年3月)の委員として,国が学習方法まで示すことには反対の意を述べた委員の一人である。我が国は各教科等において様々な研究団体・組織が多様な授業方法・学習方略を開発・提案し,豊かな実践を生み出してきた歴史がある。しかし,中央教育審議会に対する文科大臣諮問(2014年11月)で「アクティブ・ラーニング」が示され,教育委員会や学校現場はその言葉に最も反応し,子供一人一人が自ら考えをもち,それを表明し,協議を重ねてよりよい解決を見いだそうとする学びの試行が各地で進められてきた。筆者が関わっている一部の地域・学校という限定された範囲ではあるが,この2,3年で小・中・高共に授業の雰囲気が様変わりしてきていることを実感する。「アクティブ・ラーニング」は学校現場や各教育機関に大きなインパクトを与えたといえる。一つは,「主体的な学び」である。「学ぶ

ことに興味や関心をもち,自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら,見通しをもって粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り返って次につなげる学び」としている。一つは,「対話的な学び」である。「子供同士の協働,教職員や地域の人との対話,先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ,自己の考えを広げ深める学び」とし

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カリキュラム・マネジメントとは

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ている。一つは,「深い学び」である。「各教科等で習得した概念や考え方を活用した『見方・考え方』を働かせ,問いを見いだして解決したり,自己の考えを形成し表したり,思いを基に構想,創造したりすることに向かう学び」としている。「協働的」が「対話的」に変更された理由は「単に同じ場所に身を置き作業しているといった状態にとどまらず,そこにいる一人一人が自己の考えをもち,他者とやり取りしながらよりよい解決策を見いだすこと」の強調であり,「深い学び」が付け加わったのは「話し合いが活発であっても,習得した知識や技能を用いず,教科等のねらいに届かない活動が必ずしも少なくないこと」を懸念してのことと考えられる。

5.・・・カリキュラム・マネジメントとは

「カリキュラム・マネジメント」は,比較的新しい用語である。関連学会で本格的に登場したのは20年ほど前,公的な文書で示されたのが『中教審答申』(2003年10月)で「校長や教員等が学習指導要領や教育課程についての理解を深め,教育課程の開発や経営(カリキュラム・マネジメント)に関する能力を養うことが極めて重要である」「社会全体から学校に対して様々な役割・機能が期待される中で,学校がその本来の役割・機能を十全に果たすためには,各学校が現在行っている教育活動全体について,自己評価等を通じて不断に検証し,改善を図ることが必要である。その際,家庭や地域社会が分担・協力した方がよりよい成果が得られると考えられる教育活動等については,~中略~家庭や地域

社会がその役割を分担したり,協力したりするように促していくことも必要である」と述べており,その後に家庭や地域社会に対する評価結果の公開と結果を踏まえての協力への呼びかけを提言している。カリマネのみならず「社会に開かれた教育課程」の考えが既に見られる。この答申を受けて,現場教員を対象にし

たカリマネに関する研修が,独立行政法人教員研修センター主催(2017年度より「独立行政法人教職員支援機構」に名称変更」)の「カリキュラム・マネジメント指導者養成研修」として2006年より実施され,その後その研修受講生を中心に各地の教育センターで研修が少しずつ広がっていった。しかしながら,各地の教育センターにおけるカリマネに関する研修が本格化するのは2015年の論点整理以降と考える。筆者は,2007年より独立行政法人教員

研修センター主催の「カリキュラム・マネジメント指導者養成研修」や各地の教育センター,鳴門教育大学教職大学院において講演や講義を数多く行ってきたが,研修や講義の前には不安げだった受講生が,終わるころには安堵の表情に変わっていく姿を数多く目にしてきた。言葉は新しいが,カリマネが意味することの多くはこれまで学校現場で展開してきたことと大きな違いはないことに気付くからである。『答申』(2016年12月)の「『カリキュラム・マネジメント』の重要性」(p.23)の項の中で,次のように説明している(注:一部省略。〇数字は筆者による)。①�教育課程とは,学校教育の目的や目標を達成するために,教育の内容を子供の心身の発達に応じ,授業時数との関

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カリキュラム・マネジメントの三つの視点

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連において総合的に組織した学校の教育計画である。②編成の主体は各学校である。③�学習指導要領等を受け止めつつ,子供たちの姿や地域の実情等を踏まえて,各学校が設定する学校教育目標を実現するために,学習指導要領等に基づき教育課程を編成し,それを実施・評価し改善していく。①と②に関しては,現行学習指導要領の総則にも同様に述べられている。教育課程編成の主体は各学校であり,その責任者は校長であることには変わりはない。各学校が編成する教育課程は後述の「学校のカリマネ」のカリキュラムの部分と捉えると理解しやすい。③で示されているように,学習指導要領に基づき子供や地域の実態や実情を踏まえて策定した,具体的な目標の設定,その実現のための教育活動の内容や方法,評価方法,組織体制等の基本方針が「学校のカリマネ」であり,その土台の上で各教科・領域等においてどのような授業を展開してどんな力を付けていくのかという「各教科等のカリマネ」や担当した子供の実態から1年間かけてどのような学級経営,授業づくりを行っていくかという「学級のカリマネ」などがある。教職員一人一人が,先行き不透明な時代を生き抜いていく子供たちにどのような資質・能力を育むべきかを常に意識し,その実現のために,学校全体の教育活動・経営活動に関しての主体者として,日々の授業や生徒指導等に臨むことが求められる。

6.・・・カリキュラム・マネジメントの・三つの視点

『答申』(2016)では,カリマネの側面として次の三つが示されている(p.23)。

(1)教科横断的な視点の教育課程編成学校の教育目標を踏まえた教科横断的な

視点で,目標達成に必要な教育内容を組織的に配列する目標達成に向けた内容の組織化である。各教科及び総合的な学習の時間,道徳,特別活動などの学びを繋ぐ視点が必要である。前述の日本生活科・総合的学習教育学会

の小学校対象の調査で最も秀でた結果だったのが広島県福山市立新市小学校(5年生42名)である5)。肯定的回答が100%だった設問が,「人の役に立てるような人になりたいと思う」「自分と異なる考えや意見でもしっかり聞いて理解しようとする」「考えや意見が違っても相手のよい点を認めることができる」「総合では生きていく上で大切なことを学んでいる」「総合で学んだことは,普段の自分の生活や将来に役立つと思う」などの10項目である。当時は生活科と総合的な学習の研究を中

心に行っていたが,国語や算数の学力も大きく伸びた。県版学力調査の結果を見ると,両教科の平均点が2010年度は共に県平均と同水準であったが,2013年度は県平均を国語が8.8ポイント,算数は11.2ポイント上回っている。その後も右肩上がりが続いた。その当時,新採用から4年間を勤務した

能島美希教諭(2011 ~ 2014年在籍,現広島県福山市立今津小学校教諭)は,「総

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カリキュラム・マネジメントの三つの視点

合の研究を始めてから,自己肯定感だけでなく,国語や算数などの学力調査結果も毎年右肩上がりに伸びている。その要因の一つとして,『教科と教科とを結び付ける横断的な学習の仕方が身に付く』が挙げられる。総合では,『アンケート結果をまとめるために,算数で学んだ円グラフが使えそうだ。』『国語で学習した新聞の書き方を使って,調べたことをまとめてみよう。』など,児童が教科で学習したことを生かす活動が設定しやすい。他教科での学びが生かせる,という経験を繰り返すことで,児童の中に,教科と教科とを結び付けて考えるという意識が自然と培われていく。実際に国語や算数の授業の中で,児童から『先生。これ,総合の○○で使えそう。』という言葉が出てくることが多々あった。学習したことを生活の中で生かすことは,学習内容をより定着させるだけでなく,活用する力の育成にも繋がる。また,総合の単元構成を考える中で,教師にも教科と教科を結び付けて考えようとする意識が身に付く。教師の意識が変わることで,授業内容も他教科との関連を意識したものに変わる。授業内容が変われば,それを受ける児童の意識

も変わる。総合を通して『すべての教科・すべての教育活動の中で,力を伸ばしていく』という考え方が,児童にも教師にも身に付くことが,学力アップに繫がる大きな一歩となる。」と述べている。殆どの教科を担当する小学校では,生活

科や総合的な学習を介して,教科学習と社会とを繋げたり,教科と教科とを繋げたりすることや必要に応じて学習内容の再編成を行うことは可能であるが,中学校や高等学校では,教科担任制のために同様のことは困難である。例えば,岩手県立盛岡第三高等学校のように,授業公開を日常化し一部分でもよいので他教科の授業を見合うことで,今どのような内容を扱っているのかを知ることとなり,担当教科の内容と他教科等の内容との関連を意識した指導が可能となる6)。

(2)各種調査結果の活用とPDCAサイクルの確立全国学力・学習状況調査(以下,全国学

調)や県版学力調査,新体力テスト等の各種調査のデータの取りっぱなしに終わらずに,授業改善や学校改革に生かすことが重

カリキュラム・マネジメントの3側面 ) 各教科等の教育内容を相互の関係で捉え,学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で,その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。 ) 教育内容の質の向上に向けて,子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき,教育課程を編成し,実施し,評価して改善を図る一連のPDCA サイクルを確立すること。 ) 教育内容と,教育活動に必要な人的・物的資源等を,地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

中央教育審議会答申(平成28年12月21日)

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カリキュラム・マネジメントの三つの視点

要であり,それらの調査結果や日々の子供たちの姿を踏まえて,教育課程の「P(計画)・D(実施)・C(評価)・A(改善)サイクル」を確立することが必要である。例えば,全国学調の結果を一部の学年や教科の教員だけで分析・検討するのではなく,結果はすべて学校の成果であり,課題であると受け止めることが大切である。特に,課題に関しては具体的な改善策を学校全体で模索し,その実現に取り組むことが必要である。新体力テストに関しても,その結果に基づいて子供たちに特定の能力を伸ばす運動プログラムを考えさせ実行し,体力の改善を図った取組みも見られる。全国学調や県版学力テスト等の結果を踏まえて,研究の方向性や年間指導計画を見直すことも重要であるが,日頃の子供の姿を基に日常的に見直し・改善を図っていくことが重要である。その日の授業の反応を踏まえて次の授業の内容や方法を改善していくことは一般的に行われていることであり,特に幼稚園や特別支援学校・学級では常態化している。

(3)校園内外の人的・物的資源の活用カリキュラムを実践していく上で,校園

内外の人的・物的資源(人,もの,金,時間など)を有効に活用する必要がある。また,カリマネには,学校と家庭・地域をつなぐ視点が重要である。15年ほど前になるが,先進的に総合的な学習の時間に取り組んでいた熊本県立鹿本高等学校では,その定着・充実のために総合的な学習の時間に関する研修を週あたり7回実施していた。各教員の教科等の授業時間を調整し,平日の校時程の中で学年

ごとの研修時間を2時間ずつ確保していた。今次改訂では「主体的・対話的で深い学び」のための授業改善の研修時間の確保が必要になる。その際にこのような工夫を行っていきたい。三重県鈴鹿市立千代崎中学校では,言語

活動を重視した授業づくりを進めていく上で授業研究が重要と考え,空き時間が一緒の教員でチームを組み一つの授業を参観し,ワークショップで成果や課題,改善点を整理・分析・構造化した。自習を行うことなく,3週間(実質3日間)で15の授業研究を行っている7)。短期間の間に多様な教科の授業を参観した教員も多く,この方法も前述の盛岡第三高のように教科横断的な視点をもち,指導に生かすよい取り組みである。是非参考にしていただきたい。三重県のある中学校では,英語の授業の

中で企業を退職した地域の方がボランティアとして生徒の指導にあたっている。長期にわたる海外勤務で培った英語力を生かし,グループ指導や個別指導だけでなく,日本人英語教師とのやり取りも流暢である。また,「英語を学ぶことの意味」を生徒が実感することとなり,キャリアモデルにもなっている。英語だけでなく,様々な分野に堪能な方が地域には存在する。そのような人材を授業で活用することが,「社会に開かれた教育課程」実現への早道でもある。かつて東京都東村山市立大岱小学校では,

夏期休暇中のお盆を除く平日の午前中にサマースクールを実施していた8)。その際に,活躍していたのが中学生である。部活の合間に小学校を訪れ,小学生の学習の面倒を見ていた。この事例を筆者の教職大学院授業で知った中学校教員は地元に戻ってから,

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カリキュラム・マネジメントのモデルと構成要素

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短期間ながら小学校のサマースクールにおいて,中学生がボランティアで関わることを実現した。「小学生に関わることで,中学生の方が成長しています」と熱く報告してくれた。地域の人材の中に中学生や高校生を含めて考えることもできる。目の前の子供の実態を踏まえつつも次代を見据えて育成すべき資質・能力の明確化・共通化を図り,その達成のための校園内外の人的・物的資源を最大限に活用し,教育活動の内容や方法を不断に見直す,先を見通しつつも俯瞰的に教育活動全体を関連付けて見ることが求められている。

7.・・・カリキュラム・マネジメントの・モデルと構成要素

(1)カリマネ・モデル下のカリマネ・モデルは岐阜大学の田村知子准教授の作成によるものである9)。カリマネに関する各種研修で最もよく活用されている。カリマネの構成要素と相互関連が構造的に示されている。筆者は田村氏の

許諾をいただき,右端に「将来求められる資質・能力」を付け加えている。田村氏のカリマネ・モデルに出会ったの

は,2002年の日本カリキュラム学会である。それ以来,このモデルをベースに学校指導を行っている。学校の各構成要素を関連的・構造的に捉え,全体を俯瞰的に見る上で有効である。例えば,次頁の写真は文部科学省中央教

育審議会初等中等教育分科会教育課程部会中学校部会の第1回目の会議のワークショップの成果物である。15人ほどの委員が3チームに分かれて中学校教育の課題を書き出し,整理した。筆者は属したチーム内で,ファシリテータを務めることとなった。結果的には,田村氏のカリマネ・モデルに近似したものとなった。私たちのチームが整理した課題はおおよ

そ次の通りである。まず,今の中学生が大人になった時,そ

の時代を生き抜く上で,どのような職業に就こうと,どのような問題に遭遇しようと共通に求められる資質・能力が出された。

ア.教育目標の具現化 

オ リーダーシップ

ウ.組織構造 エ.組織文化(広義個人的価値観

カ.家庭・地域社会等 キ.教育課程行政

イ.カリキュラムのPDCA

(A:改善) C:評価

改変

D:実施 P:計画

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カリキュラム・マネジメントのモデルと構成要素

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そのような資質・能力を発揮するためには,教科等で身に付ける知識や技能が必要だが学力差の存在がある。以上が目標に関わる要素である。この目標の達成と学力差の縮減のためには,学び方を改善する必要がある。その鍵を握るのがアクティブ・ラーニングでありカリマネである。この部分がカリキュラム(授業を含む)である。カリマネの実現及びアクティブ・ラーニ

ングによる授業改善のためには,新たな力量とそのための研修が求められるが,中学校は手いっぱいの状態である。そこで,校内外の人的・物的資源の有効活用が必要となる。この部分がマネジメントである。このように,カリマネ・モデルで中学校が抱える課題が整理できたのである。

(2)カリマネの構成要素と手続き及び・実現のための校内研修カリマネの構成要素及び手順を次の10

点と考えている。カリマネ・モデルを確認しながら,読み進めていただきたい。また,組織的にカリマネを展開していくための校内研修にも触れる。ここで紹介する研修は全て拙書7)で紹介されている。

① 児童・生徒や地域の実態把握及び教職員や保護者等の思いや願いの把握:6節でも述べたが,全国学調や県版学力

テスト,新体力テスト等の各種調査を活用するとともに,日頃の子供の姿,保護者や地域の方の思いを広く受け止め,成果や課題等の確認を行い,カリマネの評価に生かしたい。研修として「児童・生徒の実態把握と共有化ワークショップ」「地域を知るフィールドワークとウェビング」を勧める。

② ①を踏まえての学校教育目標の設定と共通理解:児童・生徒や地域の実態把握等に加えて,

これまで述べてきたようにこれからの時代

目標

カリキュラム・授業

マネジメント

力量・研修

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カリキュラム・マネジメントのモデルと構成要素

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を生きていくために必要な資質・能力も加味して学校教育目標を設定するとともに,その過程を教職員全体で行うことで具体化・共有化を図りたい。研修として「児童・生徒の実態把握と共有化ワークショップ」を勧める。

③ ②を達成するための教育活動の内容や方法についての基本的な理念や方針の設定:学校教育目標の共通理解を図る,つまり目標のベクトルを揃えるだけでは授業は変わらない,目標実現のための方法のベクトルを揃える必要がある。その際に配慮すべきことは,「何をどこまで揃えるか」である。教科の特性や教員の個性,学級の実態に応じて違えることは重要である。研修として「総意で取り組む学校研究とするワークショップ」を勧める。

④ ③を実現するための各教育活動の目標や内容,方法の具体化:学校全体としての授業づくりの方向性が決まれば,各教科等の授業づくりや教材開発のレベルでの検討を行う。「学校のカリマネ」を踏まえ,「教科等のカリマネ」「学級のカリマネ」や「キャリア教育」「防災教育」「人権教育」等のカリマネを実施したい。特に,総合的な学習の時間に関しては,各教科等との関連を意識したカリマネを作成したい。研修としては後述するが,「総合的な学習の時間と各教科等との関連ワークショップ」を勧める。

⑤ ④に基づいた日々の教育活動と経営活動:まさしく日々の授業や行事,学級経営や

学年経営,校務分掌や会議などの様々な教育活動の実施である。

⑥ ④に関わる形成的及び総括的な評価・改善:教員は日々の授業や学級経営,生徒指導

等において,実践を見直し,評価・改善を図るという営みを続けている。小さなスパンでのPDCAサイクルを回している。特に,幼稚園や特別支援学校等では,環境整備も含め時には個々の子供を意識しカリマネを実践している。授業の評価・改善を組織的に行うのがいわゆる授業研究である。主に学校が取り組んでいる研究テーマや教科等を中心に行われる。研修としては,様々な手法による「ワークショップ型授業研究」やカリマネ評価に関わる「行事等の直後改善プラン」「特色ある教育活動の中間見直し」「ポスターセッションによる成果と課題の共有化」「年間指導計画を全教職員で見直し次年度に繋げる」などのワークショップを勧める。

⑦ ⑤を支える指導体制及び運営体制,学習環境及び研修環境,経費や時間など:授業一つをとっても教員一人だけで進め

ることには限界がある。他の教員とのティームティーチングや複数教員による習熟度別指導やグループ別指導にとどまらず,総合的な学習の時間だけでなく教科指導においても地域人材や専門家の登用が考えられる。学習環境の整備と活用についても「学校のカリマネ」を踏まえ,教職員の共通理

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カリキュラム・マネジメントの5つのレベル

解の下で協働的に進める必要がある。研修としては「校内環境整備(家庭科室)ワークショップ」が参考になる。

⑧ 教職員の力量向上や職能開発,意識改革など:今次改訂に向け,その実現のための力量向上及びそのための研修の内容や方法の工夫が求められる。近年増えつつある若手教員の育成においても教職員の協働性を構築する上でも,ワークショップ研修を勧める。

⑨ 家庭・地域との連携及び外部機関(教育委員会や他の学校など)との連携:今次改訂が進める,目指す資質・能力の育成や「社会に開かれた教育課程」の実現のためには,これまで以上に家庭や地域との連携・協力は欠かせない。教育活動への部分的かつ受容的な参加から,全体的かつ能動的な参画へと変革していきたい。研修としては,「(学校評議員による=筆者注)社会に開かれた教育課程を目指す」ワークショップが有効である。また,資質・能力を幼保から小,小から中,中から高へと繋げて育んでいくものである。学校間の連携・接続の質が問われてくる。研修としては,「中学校区や高等学校区の合同研修」が有効である。

⑩ 全体に関わる管理職のリーダーシップとカリキュラムリーダーシップ:「学校のカリマネ」に関してのリーダーは校長,副校長・教頭,教務主任である。しかし,「教科等のカリマネ」や「学年のカリマネ」のリーダーは教科主任や総合学習主任,食育主任,学年主任などが該当す

る。「学級のカリマネ」に関しては学級担任が相当する。たとえ新任であっても,学級担任としてカリマネについての知識が求められるのである。学級担任,学年主任,教科主任と少しずつカリマネの対象を拡大していきながら,「学校のカリマネ」に向けてカリマネの力量を高めていけばよいだろう。「学校のカリマネ」とは端的にいえば,

「地域や子供,学校の実態や特性を踏まえ,目標とその実現のための具体的な教育活動を計画・実施する。限られた物的・人的資源を活用し,最大限の教育効果を上げる。授業の見直し・検討を図りながら形成的に教育活動の評価・改善を図る」と考えている。そのために,この10個の構成要素を意識し関連させていくことが必要である。

8.・・・カリキュラム・マネジメントの・5つのレベル

これまでにも触れてきたが,筆者はカリマネを以下の5つのレベルで捉えている。

(1)「学校のカリマネ」本来いわれている「カリマネ」はこれに

該当する。学校経営ビジョンやグランドデザインなどである。主に,校長や教頭,教務主任等が中心となり作成することが多いが,教職員全員で構想していくことが望ましい。子供の実態や次代を見据え,どのような資質・能力を育むべきか,学校教育目標を具体化・共有化するとともに,その実現化に向けての授業づくりのための基本方針(例えば,「授業スタンダード」や「学習規律」)や研修体制,研修計画等を策定

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カリキュラム・マネジメントの5つのレベル

して,目標及び方法のベクトルを揃えることである。

(2)「教科・領域のカリマネ」教科も対象であるが,子供や地域の実態を踏まえて作成・実施されるスタート・カリキュラムや外国語活動,総合的な学習の時間などは,特に学校の特色を生かしたカリマネが必要である。スタート・カリキュラムにも学校としてのカリマネ(スタート・カリキュラムの全体計画)があり,前年度末までに作成することが求められる。その上で,新年度に入り,各担任が子供の実態等に応じて学級としてのカリマネ(週案レベル)を計画し,実施・評価・改善することが望ましい10)。原則的には,スタート・カリキュラムとは,小学校1年生の入学後から約一月程度の期間の生活科を核とした特別なカリキュラムである。この考えを参考にして,静岡県立静岡西高等学校ではこれまでの初期指導を見直し,スタート・カリキュラムとして再構成した。実質的には,初日に「仲間づくりのエンカウンター」と「クラス目標

づくり」,4日目に「学習のルールづくり」といった,仲間づくりやクラス目標づくり,学習規律づくりを生徒主体で行った11)。その結果,学校適応に関して高い成果を得ている。生徒は,中学校や高等学校にも小学校1年生同様に不安と期待を抱えて入学してくる。高等学校の場合には不本意入学の生徒が少なくない学校も存在する。この事例が示すように,スタート・カリキュラムを前年度末までに立てておき,指導計画やワークシート等を準備しておくことによって,1年団の教師も安心して新年度を迎え,入学生徒と自信とゆとりをもって対峙できる。学校全体を大きく変えるには大きなエネルギーがいるが,1年次のスタート・カリキュラムを1年団の教員で構想・計画・実施することで,学校全体の「カリキュラム・マネジメント」を構築していく契機となる。

(3)「学年のカリマネ」「学校のカリマネ」を拠り所としながら,担当学年の子供の実態を踏まえて,学年団

月 日 時限 11 12 13 14 15 164月 10日(月) 1 学力テスト【英語】(各HR)

クラスびらき学年びらき

2英語の課題回収(各HR)

LHR「仲間づくりのエンカウンター」(各HR)3 クラス目標づくり(各HR)4 学年集会・頭髪服装検査(体育館)

昼休み 昼食・着替え5 身体測定(体育館/各HR)

6集団行動(体育館)

(集団行動終了後、女子のみ)レントゲン・心電図・貧血検査の説明

平成 29年度(2017年度) 第1学年 初期指導 日程表

月 日 時限 11 12 13 14 15 164月 13日(木) 1 写真撮影(会議室) 学習リサーチ(各HR) 学習リサーチ(各HR)

これからの生活に向けて

2 学習リサーチ(各HR) 写真撮影(会議室) ※ LHR ※ LHR3 ※ LHR ※ LHR ※ LHR ※ LHR 写真撮影(会議室)4 LHR「学習ルールづくり」(各HR)

昼休み

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カリキュラム・マネジメントの最終ゴールとしての子供一人一人の自己の学びのカリマネ

として子供をどう育てていくかの基本方針を考え,実践し,見直していくことである。

(4)「学級のカリマネ」「学校や学年のカリマネ」を拠り所としながら,担当した子供の実態を踏まえて,一年間かけてどのような力を付けていきたいのか,そのためには仲間づくり,授業づくり,学級経営等をどう進めていくのか,教室環境をどう整備していくのか。新任教員にも求められるカリマネである。下の図は,東京都新宿区教育委員会の池田守指導主事(元東村山市立大岱小学校研究主任)が新宿区立西新宿小学校在籍中(2016年度)に作成した学級のカリマネである。田村知子氏のカリマネ・モデルをベースに作成している。短期間で生徒指導の問題を解消し,学力向上を成し得た東村山市立大岱小のノウハウが学級カリマネに反映されている。

「教科・領域のカリマネ」や「学年のカリマネ」,「学級のカリマネ」の前提は,「学校のカリマネ」である。「学校のカリマネ」がしっかりと策定され機能していることで,「教科・領域のカリマネ」や「学年のカリマネ」,「学級のカリマネ」を展開していくことができる。若い教師も,「学校のカリマネ」や「学年のカリマネ」を土台として学級づくりや教科指導を進めることができる。

9.・・・カリキュラム・マネジメントの最終ゴールとしての子供一人一人の自己の学びのカリマネ

これらのカリマネに対して5つ目は,「子供一人一人の自己の学びのカリマネ」(以下,「子供のカリマネ」)である12)。子供一人一人がなりたい姿や付けたい力を思

⬆ ⬆⬆

⬆⬆

新宿区立西新宿小学校 平成 28年度 第5学年 学級経営方針

教育目標 進んで考える子 ◎思いやりのある子 心と体を鍛える

教育活動 C A

PD学校内

学校外

経営活動

・新宿エコギャラリー ・稲作体験(総合的な学習の時間) ・伝統文化教育・髙尾 100年の森(遠足・総合的な学習の時間)・早寝早起き朝ごはん(PTA) ・西新宿おたのしみ会

○新宿養護学校との交流(総合的な学習の時間)○オリンピック・パラリンピック推進(ゴール・ボール体験)○コォーディネーショントレーニング推進

○自分たちで学級を動かしているといった実感○自分たちの学びや学び方に対する自信と誇り○個を大切にしつつも集団を優先する態度○高学年としての意識、行動

・自己肯定感 ・自己有用感・自己受容感 ・自己承認感

学校が好き友達が好き家庭・地域社会等のつながり 行政・他校等のつながり

組織文化(子供が自ら動く学級風土)

○学級担任、教科担任のリーダーシップ○教育活動ごとの担当者(子供)によるリーダーシップ

子供が自分を マネジメントする

新宿区教育課題研究校

道徳科研究発表会

リーダーシップ

○1人1仕事制  ○ワークショップ型話し合い○プロジェクトチーム(運動会対策委員会、読書推進委員会、あいさつの花委員会、夏季施設委員会等)○ペア、3人グループ、6人班机配置  ○日直、係引き継ぎ体制

組織構造(子供が動き創り上げる学級)

子供や地域の実態(長所や課題)学級目標 「当たり前のことを当たり前に」

[計画・改善]●KJ法的手法を活用した目標設定会議・計画会議[評価]

●子供の振り返りノート による教師評価●自己評価、相互評価

[学級独自の取り組み]●まなブック  ●言語わざ●学びの貯金ノート  ●道徳ノート●心の金メダル●学びの時間カード(音読、読書記録)●Happy 名語録  ●自学帳●話をしっかり聞きま帳●頑張ったでシール対決●各種プロジェクト (合唱、長縄、外遊び)●ワークショップ型学級会

○集団で学ぶことの良さや意義を理解している子供が多く、学校・学級に対して誇りをもちつつある。○新宿区学力定着度調査では、基礎的な学力について定着が見られてきた。○「書くこと」について、抵抗感をもつ子供が徐々に少なくなってきている。○言語わざやまなブックといった研究の取り組みの良さを実感できている。▲各教科において、学習に意欲差がある。▲悩みや不安を抱える子供がいる。

・言語わざを活用し、事実を比較・関連・総合させ、思考力・判断力・表現力を高める学び合いがいつでもできる。

・各教科、特別活動等に全力で取り組み、自分たちの目標を必ず達成する。・学習規律を徹底し、西新宿小スタイル 10を身に付ける。・下学年から「あんな5年生になりたい」と思われるよう行動する。【自己有用感、自尊感情の育成】【西新宿小学校への所属意識】

カリマネ学級経営案

西新宿小 池田守(大岱小元研究主任)

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カリキュラム・マネジメントの最終ゴールとしての子供一人一人の自己の学びのカリマネ

い描いて,その実現を目指して生活したり学んだりしていくことである。カリマネの最終ゴールといえる。先に述べた,アクティブ・ラーニングの視点の一つである「自己のキャリア形成」に通底するものである。変化の激しい社会を生き抜くために生涯にわたって学び続ける主体者を育てることが求められている。「子供のカリマネ」のpdcaは,「育成を目指す資質・能力」の三つの柱を基に考案・構築したモデルである。一般的にカリマネで用いられるPDCAと区別するために,「子供のカリマネ」に関わるpdcaは小文字表記としている。pでは,「育成を目指す資質・能力の三つの柱」を意識して学級の学習課題を子供一人一人が自分事として捉えるとともに,自己の学習課題を設定し,学習活動への見通しをもつ。dでは,子供一人一人が学級及び自己の学習課題をもって,具体的な学習活動を展開する。cでは,単元または授業の終末に,学習

活動にどのように関わってきたかを,話し言葉や書き言葉を通して振り返る。その際,「育成を目指す資質・能力」の三つの柱との関連を意識させると,「振り返り」の内容は,以下の3つのパターンに分類できる。一つは,「c:振り返り① 学習課題に

ついて,理解したこと・できたこと」に関わる振り返りである。一つは,「c:振り返り② アクティブ・ラーニングを通して思考・判断・表現したこと」 に関わる振り返りである。一つは,「c:振り返り③ 学習によって得た新たな考え方や自分自身のよさや生き方に関わること」 に関わる振り返りである。例えば,次頁の資料の感想は,小学校5

年生が国語教材「世界で一番やかましい音」(東京書籍教科書「新編新しい国語五」)の学習後に書いたものである。実線は「c:振り返り①」,二重線は 「c:振り返り②」,点線は 「c:振り返り③」 に関わるものと判断できる。特に,「c:振り返り③」 については「伝え合いによる多様な意見の表出による意見の整理の困難さ」

「育成を目指す資質・能力」の三つの柱「育成を目指す資質・能力」の三つの柱

a:振り返りによる新たな気付きと学びへの意欲・期待

学習によって得た新たな考え方や自分自身のよさや生き方に関わること

学びに向かう力・人間性等の涵養

知識・技能の習得

③学びを人生や社会に生かそうとする

①生きて働く

学習課題に対して,理解したこと・できたこと

c:振り返り①アクティブ・ラーニングを通して,思考・判断・表現したこと

(八釼・村川・三田 2016)

c:振り返り②

思考力・判断力・表現力等の育成②未知の状況にも対応できる

c:振り返り③

d:学習活動

p:学習課題の設定と学習活動への見通し

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学校のカリキュラム・マネジメント実現を支援する地域のカリマネ

に対しては,同じ事象であるにもかかわらず「楽しかった」と述べ,「次の物語文では意見をたくさん出して早く答えを見つける」と括っている。なお,これら3つの振り返りのパターンに,順序性はない。学習課題や学習活動の内容や質に起因するものと捉える。例えば,学習課題や学習活動が「①知識・技能の習得」を目指すものであれば「振り返り①」,「②思考力・判断力・表現力等の育成」を目指すものであれば「振り返り②」,「③学びに向かう力,人間性等の涵養」に関わるものであれば「振り返り③」,が振り返りの中心となる。単元の終末に活動全体を振り返る場合には,「振り返り①②③」のすべての内容を振り返ることとなる。一連の学習を通し,振り返りとして「c:振り返り③ 学習によって得た新たな考え方や自分自身のよさや生き方に関わること」 を自覚できた時,「a:新たな気付きと学びへの意欲・期待」が誘発され,次の「p:学習課題の設定や学習活動への

見通し」に繋がる。学級において「主体的・対話的で深い学

び」が展開されることで,カリマネの最終目標である「子供のカリマネ」のpdcaが子供一人一人の意識の中で自覚化されていくと考える。

10.・・・学校のカリキュラム・マネジメント実現を支援する地域のカリマネ

今後,「学校のカリマネ」の充実化を図る上で欠かせないのが「地域のカリマネ」と考える。ある学校が素晴らしい実践を行っても,校長や主たる研究メンバーが異動するとなし崩しになる事例を少なからず目にしてきた。また,今後「資質・能力の育成」及び「社会に開かれた教育課程」を実現していく上で,地域教育行政が各学校の「学校のカリマネ」を支援していくことが求められる。大分県佐伯市は,市全体で教育改革のベ

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「世界で一番やかましい音」の感想

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カリキュラム・マネジメントを理解するワークショップ

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クトルを揃えようとしている。平成28年1月末に 「総合的な学習の時間を要とした『ふるさと創生プラン』戦略会議」 という名の研修会を実施した。小中高の管理職や教諭,行政,研究者による混成チームを5つつくった。まず,「ふるさとを愛し,ふるさとの未来を創造する力」 として,具体的にどのような資質・能力を育んでいけばよいのか,チームごとに3つ選定した。そして,その3つの力を育むために,小・中・高が総合及び各教科等の学習の内容や方法に関してどうタテ連携を図り,家庭や地域,行政がどうヨコ連携を図りながら学校を支援していけばよいのか,各々の経験や専門性を出し合い繋げ合って構想を練った。作業自体は40分足らずであったために構造化までには至らなかったが,事務所で整理し戦略を考える参考にした。この佐伯市の取り組みは,「地域のカリマネ」の典型である。「ふるさとを愛し,ふるさとの未来を創造する力」 の育成を市として掲げ,小・中・高が総合的な学習及

び各教科等の学習の内容や方法に関してどうタテ連携を図り,また,家庭や地域,行政がヨコ連携を図りながら学校を支援していこうと構想している。このような市や町単位での教育改革に向けた「カリキュラム・マネジメント」が今後求められてくる。

11.・・・カリキュラム・マネジメント・を理解するワークショップ

「カリキュラム・マネジメント」に関する独立行政法人教職員支援機構や各地の教育センターにおいて,研修で学んだことを同僚に還元するための研修として提案してきたのは,生活科や総合的な学習の時間の年間指導計画の夏の中間見直しや年度末の見直しである13)。手法は「指導案拡大シート」の応用であ

る。指導案の代わりに,年間指導計画を模造紙サイズやA3に拡大したものを用意する。それ以外に付せんを4色(水色,黄色,桃色,緑色。50×75または75×75。写

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カリキュラム・マネジメントを理解するワークショップ

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真は50×75を使用している)用意する。年間指導計画の見直し・改善で一般的に行っているのは,まさにワークショップ型授業研究における「指導案拡大シート」の応用版で,付せんの使い分けは,一年間取り組んできた経験を踏まえて,「よかったので来年も続けるべき」(水色),「うまくいかなかったので止めた方がいい。改善の余地がある」(黄色),「今年はできなかったけど来年はこうすればいいのでは」(桃色)である。3色の付箋に実践を踏まえての気付きやコメントを書き,該当箇所に貼っていくのである。そして,その成果物を次年度の該当学年の教員へバトンのように手渡す。改善案の作成自体は次年度の教員に委ねる。子供や地域の実態や特性を踏まえて,継承しつつも形骸化しないために有効な方法である。「カリキュラム・マネジメント」の理解に繋げるための研修としては,総合的な学習の時間の年間指導計画の見直し・改善を全教員で行う。付せんの使い分けを以下の

ようにする。①�「探究的な学習過程」の視点からの見直し(水色)。例えば,「集めた情報の整理・分析を行う場合に適切な思考ツールを活用する」など。

②�「言語活動の充実や主体的・対話的で深い学び」の視点からの見直し(黄色)。例えば,「子供たちが協議した結果を教師がまとめないで子供に任せる」など。

③�「各教科,道徳,外国語活動,特別活動との関連」の視点からの見直し(桃色)。例えば,「子供たちが行ったアンケートのデータ整理の時に,算数で学んだグラフの中から適切なものを選ばせる」など。

④�「家庭や地域との連携・協力,社会貢献」の視点からの見直し(緑色)。例えば,「学習成果をまとめただけで終わらせるのではなく,地域や他の人に役立てられないかを考えさせる」など。②は今次改訂のポイントの一つである

「主体的・対話的で深い学び」の視点から

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カリキュラム・マネジメントを理解するワークショップ

の授業改善に向けた見直しであり,③は3つの側面(本誌p.7参照)のⅰの教科横断的な視点からの見直しであり,④は3つの側面のⅲの地域等の外部資源の活用の視点からの見直しである。そして,このワークショップ自体が3つの側面のⅱの教育課程の設計・実施・評価・改善のPDCAサイクルを体験することに他ならない。答申等を読み解いてカリマネを理解する

研修では,二の足を踏む教員は少なくないだろう。筆者も講演の折には,豊かな事例を紐解きながらカリマネの3つの側面や構成要素との関連を種明かししている。夏休みや年度末等に,総合的な学習の時

間の年間指導計画の見直し・改善のワークショップを行った後で,カリキュラム・マネジメントの3側面等との関連について種明かしをしてみたらどうだろうか。

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引用・参考文献

[引用・参考文献]1) 村川雅弘・田村知子・野口徹・西留安雄編著『「カリマネ」で学校はここまで変わる!』ぎょ

うせい,2013年2) 村川雅弘「これまでの“資質・能力”を考える」,『教職研修』教育開発研究所,平成26年1

月号,pp.22-25,2014年3) 村川雅弘・久野弘幸・田村学ほか「総合的な学習で育まれる学力とカリキュラムⅠ(小学校

編)」,『せいかつか&そうごう』日本生活科・総合的学習教育学会,第22号,pp.12-21,2015年

4)久野弘幸・村川雅弘・田村学ほか「総合的な学習で育まれる学力とカリキュラムⅡ(中学・高校編)」,『せいかつか&そうごう』日本生活科・総合的学習教育学会,第22号,pp.22-31,2015年

5) 広島県福山市立新市小学校「『新市スタディー&マナー』で教職員一丸の学力づくり」,前掲書1),pp.71-81

6) 村川雅弘「確かな学力と豊かな人間力の育成を目指すバランスあるカリキュラム」,前掲書1),pp.142-149

7) 村川雅弘「多くの教師の授業公開・授業研究を実現する」,『ワークショップ型教員研修 はじめの第一歩』教育開発研究所,p.51,2016年

8) 村川雅弘・田村知子・東村山市立大岱小学校『学びを起こす授業改革』ぎょうせい,2011年

9) 田村知子「カリキュラムマネジメントの全体構造を利用した実態分析」,田村知子・村川雅弘・吉冨芳正・西岡加名恵編著『カリキュラムマネジメント・ハンドブック』ぎょうせい,pp.36-51,2016年

10) 八釼明美「『スタートカリキュラム』のカリキュラムマネジメント」,前掲書9),pp.128-134

11) 村川雅弘「高等学校のスタートカリキュラムとアクティブ・ラーニング」,『新教育課程ライブラリⅡ』Vol.6,ぎょうせい,pp.58-61,2017年

12) 村川雅弘・八釼明美・三田大樹・石堂裕「資質・能力の育成につなげるアクティブ・ラーニング」,『せいかつか&そうごう』第24号,日本生活科・総合的学習教育学会,pp.14-23,2017年

13) 村川雅弘「総合的な学習の時間と各教科等との関連」,前掲著7),pp.74-78

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