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2019⾼専防災コンテスト第2回地域防災⼒向上チャレンジ
地すべりを検出する1m深地温計測法を利⽤した防災杭システムの検討
提案者
学校名 熊本⾼等専⾨学校代表者名 ⼊江博樹 拠点化プロジェクト系グローバル⼈材育成グループ 教授連絡先 (0965)53-1282 [email protected]共同
提案者名福田幸太郎 田村蓮汰 赤城弘幸 橋本寧音 田端本気 白川大晃 豊永浩史(建築社会デザイン⼯学科 4年⽣)
提案するアイデアの概要
アイデアタイトル 地すべりを検出する1m深地温計測法を利⽤した防災杭システムの検討
対象地域 熊本県⻄原村および熊本県⼋代市
対象とする地域の課題
⻄原村では地震後にできたと思われる地割れが、地すべりを引き起こすのではとの不安が残っているが、国や⾃治体の監視の⼿が回っていないところがある。傾斜地や法⾯の監視を市⺠の⼿で⾏える⽅法が求められている。
チャレンジしたい
アイデア
IoTを活⽤して、MEMSセンサーを利⽤して、斜⾯を監視し、地すべりを検知したり、斜⾯の状態を監視するための装置を開発する。
1)地すべりの発⽣の検知には、MEMS加速度センサを利⽤して傾斜の変化を検知する防災杭センサーを利⽤する。(従来と同じ⽅法2)地すべりの警戒度を知るために、1m深地温計測と⼟壌⽔分センサの利⽤について検討する。3)地すべりのモニターした情報をWiFi等の無線を利⽤して、インターネットのサーバに送り、対象地域の市⺠がスマフォやPCの画⾯で、センサーの状況を知ることできる。
熊本高専八代キャンパス 1
地すべりの発生・素因は地すべりが発生する場所の地形や地質、地質構造、水門地質条件などが地すべりが発生しやすい状態にあること・誘因は、降雨や積雪に伴う地下水圧の上昇等の自然的誘因。斜面の切土や盛土、トンネル掘削等の土工による人為的誘因がある
地すべりの前兆現象
•亀裂•段差・はらみ出し•樹木の傾きや変化•山鳴りなどの音
【従来からよく利用される観測方法】・地盤伸縮計による観測クラックをまたぐように固定杭と伸縮計を設置する。インバー線でつなぎ、落葉等が計測結果に影響しないよう保護管(塩ビパイプ等)で保護する
0. このプロジェクトに取り組む背景
・抜き板(丁張り)
のこぎり目を入れ、目の動きによって亀裂の広がりや地形の隆起・沈下がわかる。
熊本高専八代キャンパス 2
地下水との関係
地すべりの活動は、大雨の最中や降雨後などに活発化する場合が多い。
粘土などの水を通しにくい地層の上の層が、雨水や雪解け水によって地下水位が上昇することにより浮力が生じて、すべってしまうために引き起こされる。
このことから、地下水の分布状況と地すべりの活動度合いとの関係を詳細に把握するために、多くの地すべり地では継続的に地下水位の観測が実施されている。
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/nochikensetsu/1286053214808.html参考:
熊本高専八代キャンパス 3
1 アイデアの概要(1)・(私たちの提案の主旨)〜 ⼀歩先の⾏動を⾏うための、防災情報の提供を⽬指す 〜地すべりの検知の「ゆるい」情報を収集・提供
(背景)・精細な予知や予兆を検知するセンサーは、多くの企業や研究者らから提案されている。すでに製品化されて、⾃治体や企業で導⼊も進んでいる。・(課題1)予知モデルには、地質などの専⾨知識が必要。・(課題2)いつ発⽣するかわからず、⻑期間の稼働が前提。・(課題3)IT、⼟⽊、防災の専⾨家に住⺠⽬線が必要だが…。
この4者はバラバラに動いている。
ー> ⼊江研究室も 企業との共同で防災杭センサー開発した。
<開発してわかったこと1>街の価格で、コスパが良くても、中⼭間地域では⾼い。受益者負担では市⺠レベルでの導⼊が難しい。買う⼈がいない。<開発してわかったこと2>・地域の防災機器の開発をしても、地域にお⾦が落ちない。・地すべりの発⽣の⽇時と場所がわかるだけでもいい(らしい)・杉林の中では、電源の確保が難しい。電池交換はだれが︖
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1 アイデアの概要(2)・街場のコストは⼈件費が最も⾼い国の助成⾦を使っても、都会のコンサルタントに還流・電池交換などのメンテナンスを地元の⼈が⾃分達でできるといい。(地場の電気屋さん、⼯業⾼校の⽣徒達)・もっと技術を単純に知識と技術も中⼭間地域へ。⼈件費は地域で負担。
地すべりの検知⼿法・限界集落の道路周辺の危険箇所を無⼈で監視する。・住⺠と⾃治体が同時に危険を認知。
避難する住⺠は別経路の探索が可能⾃治体も通⾏⽌めなど措置を早期に対応可
提案する防災杭センサーの観測対象(これまで)傾斜センサー(加速度センサー)(今回の提案)温度(1m深地温)+⼟壌⽔分センサ(導電センサ)
(今回の提案のメリット)・地温を計測することで、地下⽔の上昇の影響を推測することができることを期待。・(設置場所や時期の効果が不明なので試してみたい)。・温度センサーは加速度センサよりも安価なので、多点化への期待ができる。
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1 アイデアの概要(3)
・提案する装置
・Wifi付きマイコン(ESP32) 1つ・温度センサー(LM61BiZ) 3つ・⼟壌⽔分センサー(導電率型) 3つ
(温度センサー)+(WiFi付きマイコン)↓
(WiFiルータ)↓
Webサーバ(Ambient Iot)↓
PCやWebでのグラフの閲覧(1m地温の変化を確認)
地図上に温度変化がある場所を プロット(これについては、今のところ⼈⼿で
将来はAIを活⽤したい)この 「1m深地温等温線図」、のようなものを描きたい
https://www.jasdim.or.jp/gijutsu/jisuberi_joho/tyosa/tion/model.htmlより
マイコンでの気温計測の例
http://www.kokon.co.jp/book/b147714.html
アイデアの元ネタは、図書館の本から見つけた
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2 取り組む理由・期待される効果そもそも、⾃分たちは避難するような場所には住んでいない。(と思っている)・地産地防(ちさんちぼう)︔地域で産み出した知恵で、地域の防災に取り組むこと
マイコンと温度センサーという初歩的な電⼦回路で、斜⾯監視のセンサーの有効性が確認できれば、 地域の⼈々が、オーダメードなセンサーシステムを構築できる。コンサルタント料や⼈件費が、対象地域で回ることになる。
・(地すべりの検知)⾼精細な計測や予測は、企業や国が設置する⾼度なセンサー杭が担当する。
我々が提案する杭センサーは、地温や気温を⽇常的に計測することで、地域の微気象の計測に活⽤(今の所は、具体的に何の役に⽴つのかは、地域の⼈たちと考えてゆく)
温度は農業や林業への活⽤が期待する。サーバに⾃動保存したり⽇頃から温度変化を⾒る習慣で、ちょっとした変化に気がつくことが増えることを期待。
危ない場所の地すべりを検出することで、⾃分たちの場所の避難を早めたり、避難経路を安全にすることに役⽴てることできる。
ー> 地域住⺠が⾃分で考え⾏動するための、⼀歩先の情報を、無⼈で遠隔から得ることができる。
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3 アピールポイント・IoTを使った環境モニタリングの開発に利⽤者⽬線で取り組む点が、我々の取り組みの特徴である。安価で⼊⼿可能な技術を利⽤することで、中⾼⽣でも真似が簡単にできることを⽬指す。
・使⽤するIoT技術については、⽐較的安価に⼊⼿が可能な部品や装置を利⽤する。開発するソフトウェアに関しても、インターネットの情報を利⽤することで、⼩規模なプログラミング開発で済むように⼼がける。
・⾼度な電気電⼦の専⾨知識を習得していない⼀般の市⺠が、組み⽴てて、運⽤やメンテナンスができるような装置の開発を⽬指す。
・オーダメード化が可能な技術で、地産地防(ちさんちぼう︔地域で産み出した知恵で、地域の防災に取り組むこと)を⽬指す。
・地すべりの発⽣の有無の検出、法⾯の健全性の検査確認といった、⽇常平常の⽣活を過ごせることを担保するための情報取得を⽬指す。
(予知・予報、法⾯の異常検知など、より⾼度な情報取得は、⾼度な技術を持つ専⾨家に任せる)従来の提案とは競合しない
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4 結果
• WiFiを搭載したマイコンESP32をArduino IDEでプログラミング
• 温度センサ(LM61)を内蔵したφ5のアルミパイプ(1.5m長)を製作した。
• アンビエントデータ株式会社(https://ambidata.io/)が提供するライブラリを使うことで、とてもシンプルなコードで地温をグラフ表示できた。
• ー>完成が遅れたので、十分なデータが取れなかった。
• A/D変換の値が安定しない• センサの電気配線が長いようだ
• 1月2月は学年末の授業課題が予想外に多く作業が進まず、
• 2月の学年末試験後は、コロナウィルスで休校になった。
Ambient.io でのグラフ表示例
最低限の動作のためのコード例
マイコンボードと 1m深地温センサ
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5. 今後の課題• 1mの深さにアルミパイプを埋める工夫が必要
• アルミパイプを加工して、電動ドリルに取り付ける長さ1.5mのアースドリルを自作した。安価に製作可
• 砂利が多い地面では、さらなる工夫が必要。• A/D変換のノイズ対策が必要
• 温度センサの電圧信号をきれいに伝える回路に工夫• 省電力化
• プログラムを工夫して、スリープなどで省電力化• インターネットへ接続する無線方式
• 現在は、スマフォのテザリングを利用した(省エネ、防水面で不利)• Raspberry Piなどを利用した省エネWifiルータを検討
• 地温の変化を多くの地点で計測• 地下水の影響を可視化したい• 季節ごとの地温の変化の特徴を調べたい
• ユーザにわかりやすい伝え方の工夫• IFTTT(イフト)を利用して,LINE等との連携を検討
• 引き続き、5年生の卒業研究のテーマとして取り組みたい
サービス サービス
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