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市⺠・地域が主役の⾃然エネルギー普及の仕組み
豊田陽介(気候ネットワーク)[email protected]
今、⾃然エネルギーが求められる背景
• 地球温暖化の問題– 地球温暖化はほぼ間違いなく⼈為的影響– 危険な気候変動を回避するためには⼤幅削減が必
要• 原⼦⼒の危険性と政策の限界
– 未だ収束しない原発事故の影響
– 有限なウラン資源と大量の核廃棄物
• 新たな産業としての期待– 再エネ普及は経済成長にもつながる
– 各国で多くの雇用を生み出している
⾃然エネルギー普及のためには?
• 高い目標が必要– 国として自然エネルギーを重視する
– 温暖化防止のために必要な目標値の設定
• 政策が必要– 高い目標を達成する手段としての政策
– 補助金から買取制度へ
• 取組みモデルが必要– 買取制度を地域・市民が活用していく!
– モデルを市民でつくっていくことが重要
⽇本の⾃然エネルギー導⼊量の推移
出典:総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会2014年6月17日 資料より
再エネ特措法による導⼊状況(2014年10⽉末時点の設備認定状況)
約7000万kW 約95%が太陽光発電
出典:資源エネルギー庁特設ページより作成0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
万kW
2014年10⽉までの設備認定量・導⼊量
バイオマス
地熱(15000kW未満)
⽔⼒(1000kW以上)
⽔⼒(200kW以上)
⽔⼒(200kW未満)
⾵⼒(20kW以上)
太陽光(1000kW以上)
太陽光(10kW以上)
太陽光(10kW未満)
導⼊量では太陽光が1000万kWを超えた!
⾃然エネルギーは誰のもの?
• 地域資源である⾃然エネルギーを、地域に根ざした主体が、地域の発展につながるように活⽤する。
• 地域のエネルギー⾃給、地域経済の活性化など、地域社会の持続的な発展に寄与していくことが期待できる。
→市⺠や地域主体の⾃然エネルギーの活⽤は、地域づくりにつながる
森林未来都市を⽬指す下川町• 概要
– 現在人口3500人。ピーク時は15500人。
– 町の9割を森林に覆われその内8割が国有林。
• 近年は循環型林業経営に取り組み、森林FSC認証や森林バイオマス利用を進める。
• 現在、町の公共施設の暖房の60%以上が木質燃料。
• 削減された燃料相当1600万円
を基金として子育て支援などに活用。
エネルギー⾃給による雇⽤創出とリスクマネジメント
• 化石燃料価格変動、オイルショックのリスク回避、町民負担軽減、危機に対する安心提供
• エネルギー購入費の町内循環と雇用創出
公共施設の42%に導入
公共施設
木質ボイラー
熱供給
実績
木質原料木質原料
木質原料供給ビジネス
地域内循環
地域内循環
地域のエネルギー⾃⽴のメリット
• 地域のお⾦を地域で回す– 海外に流れていた燃料費が、地元に残る。
– 地域の資源供給者、エネルギー生産者はもとより、メンテナンス業者、融資先の地方銀行にもお金が回る。
• 新しい雇⽤を⽣み出す– 地域のRE事業や省エネ事業は、雇用も分散させ、地域の中にさまざまな職を生み出す。
– ドイツでのRE分野の雇用は、2011年に約38.2万人– 原発は2009年統計で3.6万人、自動車産業は約70万人
• ⼈や企業が集まる– 地域のイメージは企業にとっても重要– 環境の良い地域で働くことは、モチベーションに関わる– 環境首都となったフライブルクには、知的財産が集中
エネルギー⾃⽴に必要なフレームワーク
• 地域のエネルギーコンセプトづくり
– 現状を分析し、短・中・長期の目標、戦略をたてる。
– 地域のステークホルダーを巻き込むことが重要
• 市民や住民がエネルギー生産者になる
– 自らがエネルギーを生産することに関わる
– 直接の出資者や株主になったり、ファンドに小口出資する方法がある。
• 電気だけでなく、熱や燃料も
• 新しいインフラ導入
市⺠・地域共同発電所とは
• 市⺠や地域の主体が中⼼となって建設・運営する再⽣可能エネルギー発電所– 市⺠や地域住⺠からの資⾦が⼀定の割合を占めて
いる
– 市⺠や地域住⺠が意思決定に関わっている
– 収益の⼀定部分が何らかの⽅法で市⺠や地域に還元される
– 発展性や展望がある(ビジョンや戦略性)
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市⺠・地域共同発電所の導⼊実績と2014年度の⾒通し
2013年度末までの導⼊量は475基(暫定値)となった。2014年の稼働を予定しているものを含めると
およそ600基を超える⾒通し。
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1 3 8 20 30 49 64 83 108176 201
270325
363 376393 403
475
600
0
100
200
300
400
500
600
700
1994
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
福島県農⺠連とNPOの協働
• 原発事故の影響を受け農家は⼤きな被害を受けている。– 都市に暮らす市⺠にできる
ことは?– 農家の展望は?
• 福島とのつながりを⽣み、地域の活性化につながる取り組みとして市⺠共同発電所に取り組む。– 設置費⽤2000万円は全国の
市⺠からの出資で集めた。– 収益の⼀部は復興基⾦に
13
2013年9⽉に50kWの太陽光発電を福島県伊達市に設置。
市⺠がつくる福島あたみまち市⺠共同発電所
• 福島農⺠連と連携した第2号機– 210kWの太陽光発電所
– 福島県郡山市内の農家所有の土地を活用
• 全国から6,700万円もの出資が集まる– 総額7800万円の内、5800万円を募集
– 1口10万円、予想配当1.2%、20年間で償還
– 発電収⼊の2%は、「福島復興基⾦」に充てる• 2⽉19⽇に発電開始!
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広がる福島農⺠連のミドルクラスソーラー1400⼾でのエネルギー⾃給を⽬指す
せのがわおひさま共同発電所
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せのがわおひさま共同発電所
名称 せのがわおひさま共同発電所
所在地設置場所
広島市安芸区農地を⼀部転⽤(雑種地)
設備容量 30kW
売電開始 2013年5⽉
パネル ソーラーフロンティア
事業主体 有限責任事業組合せのがわおひさま共同発電
事業総額 約1,200万円
発電は順調に推移およそ14%の利⽤率
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地域レベルでの再エネ事業の類型化
事例調査によって得られた知見をベースに,現在,日本国内の地域レベルで展開されている再エネ事業について,実施・関与主体,事業の意図,などの観点から類型化を図った
その結果,以下の5タイプに類型化
① 「開発重視型」
② 「地域・住民主導型」
③ 「自治体主導型」
④ 「地域協働型」
⑤ 「社会貢献・ソーシャルビジネス(SB)型」
平岡、豊田、的場、井上 「地域協働型」再生可能エネルギー導入の現状と推進のためのガバナンス構築に関する実証的研究」より
18
地域協働型再エネ事業推進のためのガバナンス構築
地域協働型再エネ事業の推進のための「ガバナンス」(制度・仕組み,推進体制,企画・実践プロセス等)の構築について,主に自治体に期待される役割に焦点を当てて考察
① 「地域全体での戦略の設定」
② 「地域の関係主体が集まり議論・協働する場の設定」
③ 「再エネ事業の進行管理・マネジメントに関する仕組みの導入」
④ 「中間支援システムの整備」
平岡、豊田、的場、井上 「地域協働型」再生可能エネルギー導入の現状と推進のためのガバナンス構築に関する実証的研究」より
19
地域協働型再エネ事業推進のためのガバナンス構築
自治体全体で共有される,地域づくり型再エネ事業推進のための戦略の設定
再エネ政策推進に関する条例や計画等の策定
自治体として,地域づくり型再エネ事業を重視する姿勢を内外にアピール
地域全体で横断・総合的な再エネ事業を推進するための基盤構築
平岡、豊田、的場、井上 「地域協働型」再生可能エネルギー導入の現状と推進のためのガバナンス構築に関する実証的研究」より
⾃然エネルギー条例のひろがり
• ⾃然エネルギー基本条例とは– 再⽣可能エネルギーの利活⽤の推進は、地域産業振興や住⺠⾃治の促進といった側⾯からも注⽬を集める。
– そういった観点から再⽣可能エネルギーを地域固有の資源であるとして、その理念や利⽤⽅法、主体の役割などを⽰した枠組み条例。
• 条例づくりの広がり– 現在、湖南市、新城市、⼟佐清⽔市、飯⽥市、中之
条町、東神楽町、洲本市、⼩⽥原市、⼋丈町、設楽町、飯島町、宝塚市などで制定されている。
– 飯⽥市の条例は、より踏み込んだ内容になっている
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地域協働型再エネ事業推進のためのガバナンス構築
地域の複数の関係主体が集まり,地域協働型再エネ事業について議論,協働作業を行う場の設定
協議会(パートナーシップ組織)の設置
地域内の多様な人材・組織の間で,情報が共有されるだけでなく,主体間のネットワーク化やそれらの間で関連事業を推進していく機運の醸成が図られ,地域づくり型再エネ事業の形成・発展のきっかけとなる可能性 (参考事例・・・小浜温泉エネルギーなど)
平岡、豊田、的場、井上 「地域協働型」再生可能エネルギー導入の現状と推進のためのガバナンス構築に関する実証的研究」より
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地域協働型再エネ事業推進のためのガバナンス構築
再エネ事業の進⾏管理・マネジメントに関する仕組みの導⼊(⇒ クオリティ・マネジメント・システムの構築)
目標設定,計画策定,実行,進捗状況の点検評価などの,地域協働型再エネ事業を推進するための一連のプロセスの進行管理・マネジメントを行うためのシステム
参考事例・・・オーストリア「E5自治体」など
地域主体によるガバナンス構築を⽀える中間⽀援システム(⇒ コンサルティング,ネットワーキング,シンクタンク機能等)
非営利・公共的な立場から,地域協働型再エネ事業を行う主体への,相談・助言,仲介,情報収集・提供,人材・組織育成等の支援を行う活動,組織
参考事例・・・下川町クラスター推進部,徳島地域エネルギー
平岡、豊田、的場、井上 「地域協働型」再生可能エネルギー導入の現状と推進のためのガバナンス構築に関する実証的研究」より
ご意⾒・ご質問などは特定⾮営利活動法⼈気候ネットワーク
京都事務局 豊⽥まで
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