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rg/2011 November
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Brand Story 11 . Accatino
イタリアならではの靴、靴らしい靴。抜き足の素晴らしい靴。『僕は3代目。生まれる前から靴のことを考えている。』
最初に出会った時、誇らしげに自分の作った靴にキスをしながら彼はそう語った。
ファミリービジネスは妥協を許されない、
なぜならば自分の孫に笑われたくないからね。
そんなことも同時に語りながら、
彼はいつも愛嬌たっぷり、私たちのイタリアのパパである。
最高級のカーフに、独自のインソール技術。
決して派手ではない彼らの仕事に惚れる客は現地イタリア人が中心。
十数年以上取引を続ける我々のことを少しばかり変わった日本のお客だよ、と
しかしながら嬉しそうに彼らの客に紹介をする。
商談の場には、娘と息子を常に傍に置き、いつでもリタイアできるようにと
言いながら、静かに見守っていることは一度たりともない。
客が靴を手にするたびに寄ってきて少なくとも3分以上その靴を撫で回し、
時にこんな靴は注文するなと暴言を吐く。 『???』と理由を尋ねると
『コラボレートしているブランドに無理やり造らされたのさ、これは僕の作品ではない。』
とストレートにその理由を暴露する。
売るための靴造りなんてつまらないとばかりの口調で、靴哲学が論じられる。
ある時彼は棚に並べられたサンプルからいくつかの靴を選び我々の目前に並べた。
何が違うかわかるか?と、いたずらっ子の顔つき・・・
靴底?インソール?縫い目?かかとの高さ?甲の厚み?レザーの鞣し?
色々吟味する我々を楽しそうに眺めながら鼻高々に彼の出番。
『小指のね、小指の位置する部分をいつもより2mm高くしたんだよ。
するとね、驚異的に履きやすい、疲れない。分かる?この発見!』ときた。
なんだかつられて『おおっ!』と叫ぶ我々。
ACCATINOの靴は確実に継承される、イタリアの本質なのである。
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創業者の名はエルネスト・アカティーノ。1938年、イタリア・ヴァレンザの小さな靴製造工場でAccatinoの歴史は始まる。1960年代、家業を引き継いだ息子によってAccatinoは企業として成長し、洗練されたデザインの靴ブランドと周知されるようになった。3世代目を迎えた現在のAccatino。倉庫とオフィスを兼ねた広大な敷地が、今も本拠地ヴァレンザに。創業から半世紀を迎えた今日、そのものづくりはますますデザイン性が追求され、と同時に、創業当時か受け継がれる手作業、クラフトマンシップへのこだわりが完成度の高く美しい靴を生み出す理由のひとつである。上質な革、網目、織りといった素材のコントラストを組み合わせる個性が、コレクションのたびに新しく生まれ変わるのも、このブランドの魅力。美しさを保ちながらも、履き心地を優先させたヒールの高さやフォルムへの気配りが施されている。それはAccatinoのコレクションが現在、世界各国の人々へと届けられているという象徴なのである。
取扱い店舗:ROGER'S PASSAGE シューズコーナー