10
Rumpf式の新 た な解 釈 とそ の 応 用 椿 淳 一 郎* Jun-ichiroTSUBAKI じめ 粉 体 層 の挙 動 を 力 学 的 に 解 析 す る場 合,実 際 に 測定 で き る の は応 力 で あ り,粒 子 接 触 点 に働 く力 の測 定 は ほ と ん どの場 合不 可 能 で あ る 。 しか し,粒 子 接 触 点 に 働 く力 を 求 め た くな る場 合 が 少 なか らず あ る し,ま た 求 め る こ とが で きれ ば 粉 体 層 の力 学 的 挙 動 の解 明 に対 して 有 効 な 武 器 とな る。 そ の た め,粉 体 層 に作 用 す る応 力 と粒 子 接 触 点に働 く力 の関係式が,こ れ までい くつか提 案 され て き た 。 そ の 中 で も,粉 体 層 引 張 り強 さ と接 触 点 に働 く付 着 力 の 関 係 を 求 め たRumpf式は 有 名 で あ る。 こ こで は,こ れ まで提 案 され て い る関 係 式 を 詳 し く紹 介 す る と と もに,Rumpf式に対 して 新 た な 意 味 づ け を 行 な い,そ の応 用 例 を い くつ か 紹 介 す る 。 1.応 力と力の関係を表す理論式 (1)式 に示 すRumpf式4)は,粉体 層 の 引 張 り強 さに 関 す る理論式 として広 く知 られ てい る。 (1) 一方 ,応 力 と力の関 係式 がい くつ か3,5,6)理 論的に誘導 され て い る。 本 章 に お い て は,そ れ らの い ず れ もが(1)式 に一致 し,し たが ってRumpf式は引張 り強 さに 関す る 式でな く,応力と力の関係を表す一般式であることを示 す。 1.1Rumpf1,2),Molerus3)の 考え方 こ こ で は,Molerusの 論 文 に 沿 って説 明 す る。 まず,粉 体層,応 力に対 して次 の仮定 を置 く。 1)粉体層 は,半 径r(直 径 の の均一球に よってラン ダムに充てんされている。 ii)応力は静水圧 の ように等方的に作用 してい る。 粉体層に作用する応力を求めるためには,粉 体層中に 平 面 を 考 え な けれ ば な らな い 。 い ま そ の平 面 を,Fig.1 Fig.1粉体 層 の 中 の 平 面 Fig.2静 水圧 の応力 と圧縮 力の分 布 に2次 元 的に示す よ うに,gg'とす る。 しか し,実 際 の 応 力 伝 達 は,Fig.1に太 線 で 示 した 曲 面gg'上の 接 触 点 に お い て 行 な わ れ,こ れ ら の 接触 点 は す べ て 平 面gg' が;横切る球(以 下切断球 と略称)上 にある。 し た が て,次 の よ うに考 えれば,応 力 と力を 関係づ け る こ とが できる。 (2) (2)式 を実際に計算す るために,粉 体層を次のように平 均 化 して考 え る。切断球 は,Fig.1からも明 らかな よ う に,様 々な位置 で他 の球 と接触 し,そ の接触 球 の数 も ま ちまちである。しか し,切断球をすべて重ね 合 れ せ れ ば,ラ ンダム充てんを仮定してい る の で,接 触球 Fig.2に 示す ように,切 断球 の回 りに一 様に分 布 して い ることになる。 このように粉体層を統計的に平均化 して 考えれば,応 力が等方的に作用す るとき,各 接触点に働 く力 も等方的に な り,切断球 の 中心 に 向 つて 同 じ大 き さ で働 くと考 え られ る。 昭和58年10.月5日 受付 *名古屋大学工学 部化学工学科(〒464名 古屋 市千 種区不老町) TEL052781-5111 30(30)粉 体工学会誌

Rumpf式 の新たな解釈とその応用 - ジャパンホテルグッズ ...konatsubaki.jhgs.jp/pdf/16.pdf講 義 Rumpf式 の新たな解釈とその応用 椿 淳一郎* Jun-ichiroTSUBAKI

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  • 講 義

    Rumpf式 の新 たな解釈 とその応用

    椿 淳 一 郎*

    Jun-ichiroTSUBAKI

    は じ め に

    粉体層 の挙動 を力学的に解析 す る場合,実 際 に測定 で

    き るのは応 力であ り,粒 子接触 点に働 く力 の測定 はほ と

    ん どの場 合不 可能で ある。 しか し,粒 子接触点に働 く力

    を求 めた くな る場合が少 なか らず ある し,ま た求め るこ

    とがで きれば粉体層 の力学的挙動 の解 明に対 して有効 な

    武 器 とな る。そ のため,粉 体層 に作用す る応 力 と粒子接

    触 点に働 く力 の関係式が,こ れ までい くつか提 案 され て

    きた。その中で も,粉 体層引張 り強 さと接触点 に働 く付

    着 力の関係を求めたRumpf式 は有名 であ る。

    ここでは,こ れ まで提 案 されてい る関係式 を詳 し く紹

    介す るとともに,Rumpf式 に対 して新たな意味 づけを

    行 ない,そ の応 用例をい くつか紹介す る。

    1.応 力 と力 の 関 係 を 表 す 理 論 式

    (1)式に示すRumpf式4)は,粉 体層の引張 り強 さに関

    す る理論式 として広 く知 られ てい る。

    (1)

    一方,応 力 と力の関 係式 がい くつ か3,5,6)理論的に誘 導

    されてい る。本章においては,そ れ らのいずれ もが(1)式

    に一致 し,し たが ってRumpf式 は引張 り強 さに 関す る

    式 でな く,応 力 と力の関係を表す一般式で あるこ とを示

    す 。

    1.1Rumpf1,2),Molerus3)の 考え方

    ここでは,Molerusの 論文に沿 って説 明す る。

    まず,粉 体層,応 力に対 して次 の仮定 を置 く。

    1)粉 体層 は,半 径r(直 径 の の均一球に よって ラ ン

    ダムに充てん されてい る。

    ii)応 力は静水圧 の ように等方的に作用 してい る。

    粉体層 に作 用す る応力を求 めるためには,粉 体層 中に

    平 面を考 えなけれ ばな らない。 いまその平 面を,Fig.1

    Fig.1粉 体 層の 中の平 面

    Fig.2静 水圧の応力と圧縮力の分布

    に2次 元 的に示す よ うに,gg'と す る。 しか し,実 際 の

    応 力伝達 は,Fig.1に 太線 で示 した 曲面gg'上 の接 触

    点にお いて行なわ れ,こ れ らの接触 点 はす べて平 面gg'

    が;横切 る球(以 下切 断球 と略 称)上 に あ る。 し た が っ

    て,次 の よ うに考 えれば,応 力 と力を 関係づ け る こ とが

    で きる。

    (2)

    (2)式を実 際に計算す るた めに,粉 体層 を次 の よ うに平

    均 化 して考 え る。切断球 は,Fig.1か らも明 らかな よ う

    に,様 々な位置 で他 の球 と接触 し,そ の接触 球 の数 も ま

    ち まちで ある。 しか し,切 断球 をすべ て重ね 合 れ せ れ

    ば,ラ ンダム充 てんを仮 定 してい る の で,接 触 球 は

    Fig.2に 示す ように,切 断球 の回 りに一 様に分 布 して い

    る ことにな る。 この よ うに粉体層 を統計 的に平 均化 して

    考 えれば,応 力が等方的 に作用す るとき,各 接 触点 に 働

    く力 も等方的に な り,切 断球 の 中心 に 向 つて 同 じ大 き さ

    で働 くと考 え られ る。

    昭和58年10.月5日受付

    *名 古屋大学工学部化学工学科(〒464名 古屋市千種区不老町)

    TEL052781-5111

    30(30)粉 体工 学会 誌

  • Fig.3均 一球で充てんされた粉体層の切断面

    Fig.4切 断 された球 粒子

    まず,(2)式 右辺 第1項,単 位面積 当 りの切 断球 の個数

    を 求 め る。平 面gg'に よる切断面 は,Fig.3の よ うに

    得 られ る。球 の半径 はrで 一 定で あ るが,切 断 され る位

    置 に よって切 断面 に表 れ る円の半径 は,0か らrま で変

    化 す る。い ま,Fig.4に 示す よ うに,中 心か らzの 位置

    で球 を切 った とす ると,そ の切 断円 の面 積Sは 次式で与

    え られ る。

    (3)

    した が って,Fig.3に 示 した平面gg'上 の切断 円 の 平

    均 面 積Sは 次式 で与 え られ る。

    (4)

    .一方,均 一 球 の ラン ダム充て んにおい ては,3次 元空

    隙 率 と2次 元空隙率 は等 しいので,平 面gg'上 の 単 位

    面 積 中の切断 円面積 の総和 は1-ε にな る。 よって,切

    断 面 単位面積 当 りの球の数nは 次式で与 え られ る。

    (5)

    次 に,(2)式 右辺第2項,切 断球1個 に働 く応 力方向 の

    力 は 次の よ うに考 え るこ とに よって求め られ る。

    (a)(b)

    Fig.5力 の働 き方

    Fig.6切 断球 に働 くz方 向 の力

    (6)

    (6)式を求 め る前に,次 の ことを考慮 しな けれ ばな らな

    い。Fig.5に 改め て示 した よ うに,曲 面gg'上 の 接触

    点 に働 く力に は2通 りあ ることで ある。一つは,接 触球

    か ら切断球に働 く力で あ り,も う一つ は逆に切断 球か ら

    接触球 に働 く力であ る。前者 の場合,切 断球 の中心は平

    面gg'の 下に あ り,後 者 の場 合は上に あ る。 し か し両

    者の存在 割合は,ラ ン ダム充 てんを仮定 してい るので ま

    った く等 しい,ま た力が切断球 か ら接触 球に働 く場合で

    もその逆 の場 合で も,作 用反作 用の法則 か らそ の大 きさ

    は まった く一 致す る。 したが って,Fig.5(a),(b)に 示す

    どち らか一方 では切 断球 と接触 球の力学 的関係 は代表で

    き ることに な る。以下 では,Fig.5の(a)の 場合で説 明を

    進 め る。

    切 断 され る球 は平面gg'に 対 して0か らrま で の 距

    離 を と りうるが,い まFig.6に 示 す よ うに ∠の 距 離 の

    切断球 を考 え,こ の球 で平面gg'の 上方 に ある球 冠(曲

    面99'に 接 す る部分)の 平均接 触点数 を求 め る。 球 冠

    上にFig.6示 す よ うな帯 を考 え る と,そ の面積 Δ0は

    次式 で与 え られ る。

    (7)

    平均 配位数 をkと すれ ば,Δ お上 の接触 点数 Δkoは 次式

    で与 え られ る。

    Vol.21No.1(1984)(31)31

  • (8)

    また,帯 ΔO上 に働 く力 の応 力方向す なわ ちz方 向成 分

    は,次 式で与 え られ る。

    (9)

    よって帯 ΔO上 に働 く力のz方 向の総和dFは,(8),(9)

    式 の積 で与 え られ るので 次式 とな る。

    (10)

    さらに,Fig.6か ら明 らかな とう り,θ は 曲面gg'の 範

    囲 内で 変化す るので,0≦ θ≦δ(た だ しcosδ=z/r)と

    な る。 した が って,平 面gg'か らZの 距離 にあ る 球 に

    働 くz方 向の力Fは,(10)式 を0か ら δまで積分 す れ ば

    得 られ る ことにな る。

    (11)

    また,zは0か らrま で と りうるので,Fのzに 対す る

    平 均Fを 求 めれば,切 断球1個 に作 用す るz方 向 の 力

    の平均,す なわち(6)式を求めた ことにな る。

    (12)

    以上で,(2)式 右辺の各項は求め られ たので,(5),(12)式

    を(2)式に代入すれば,次 の結果 を得 る。

    (13)

    (13)式で,Pを 接 触点に働 く付着 力Hで 置 き換え,σz

    を粉体 層引張 り強 さとした の がRumpf式 で あ る。

    Rumpfは,1958年 と1967年 に この考 え方 に基 ずいた誘

    導を試 みてい る。(1)式は最初の論文1)に おいて提案 され

    て いるが,誘 導過程にい くつか誤 りが含 まれていた。2

    番 目の論文2)に おいて訂正を試み ているが,完 全に訂正

    されず に,(1)式 の右辺に9/8の 係数 の掛 った式を提案 し

    て いる。Ruanpfら が最 終的に(1)式を導出 した考 え方 は,

    次 に紹介 す るように実に簡潔な ものであ った。

    1.2FRumpf4)の 考え方

    Rumpfは1970年 に,以 下 の考 え方 に よって最終的に

    Rumpf式 を導 出 したのであ るが,意 外に も国 内に おい

    て はRumpf式 の紹 介や解説は,1967年 の誤 りを 含 ん

    だ 論文21に 基ずい て行 なわれていた よ うで ある。

    この考 え方にお いても,均 一球に よって充 てん された

    粉 体層を仮定 し,応 力は等方的で ある とし て い る。 ま

    た,Fig.6に 示 した切 断球 に着 目 して解析 を進 めてい る

    点 も,1.1で 紹介 した考 え方 と同様で あ る。

    Fig.7に 示す ように,切 断球 の表 面に帯 ΔOを 考 える

    と,図 か ら明 らか な とお り,こ の ΔOの 平 面gg'上 への

    投 影面積 ΔSは,

    Fig.7z方 向か ら切断球 と平 面に働 く力

    (14)

    で与 え られ る。一方,帯 ΔO上 の平 均 接触 点数 Δkoは,

    (8)式と同様 に,

    (15)

    で与 え られ る。 また,帯 ΔO上 に働 く力のz方 向成 分 の

    総和 ΔFは,(10)式 同様次式 で与 え られ る。

    (16)

    こ こで,(14)式 の 関 係 を 用 い て(16)式のcosθ ΔOを 消 去 す

    れ ば,

    (17)

    が得 られ る。 この(17)式は,平 面gg'上 に働 く力 が切断 球

    の切断面積 に比 例す るこ とを表 してい る。 した が って(17)

    式 の右 辺を平面gg'上 の単位面積 中 に 占め る切 断 球 の

    面積1-ε まで積 分すれ ば,左 辺 の力 ΔFは 単位面 積 に

    働 く力 とな るので応 力 σzと 書 き改 め るこ と が で き,

    Rumpf式(18)式 を求 め るこ とがで き る。

    (18)

    もち ろんRumpfの 論文 におい ては圧 縮力 は想定 して

    お らず,接 触点に働 く力 と しては 付着 力,応 力 と して は

    引張 り強 さのみを 想定 してい る。

    1.3長 尾5)の考え方

    これ まで紹介 して きた考 え方 におい ては,粉 体層 に 勢

    断応 力が作用 しない等方応 力に限 定 され て いた のに対 し

    て,長 尾の考 え方 は勢断応 力 も含 め応 力一般 が扱 え る点

    です ぐれてい る。

    長 尾の考 え方 におい ては,粉 体 層 はやは り均一 球 に よ

    って ラン ダムに 充て ん され てい るが,等 方応 力 とい う仮

    32(32)粉 体 工学会 誌

  • Fig.8応 力 と力の 関係

    定はとりのぞかれている。まず長尾の基本的な考え方を

    説明する。一般i軸 に垂直な平面 苑7上 でj方 向 に作

    用す る応 力 σijは,曲 面gg'上 の接触 点に 働 く力 のj

    方 向成分P5の 総和 として表 され る。 い ま平面gg'の 面

    積 を δSiと すれ ば,次 式 で表 され る。

    (19)

    この(19)式を,Fig.8に 示 した よ うな2次 元粉体 層を例 に

    とって説 明す る。い ま,粉 体 層中に1軸 に垂 直 な 平 面

    gg'を 考 え,こ の平面 に作用 す る応 力 と接触 点に働 く力

    の関係 を求め る。平面gg'に 作用す る応力 としては,垂

    直 応 力であ るa11と 勢 断応 力で ある σ12がある。 この と

    き長 さ δl1の粉 体層 に働 く垂 直 力 σ11δl1は,長 さ δl1内

    にあ る接 触点 に働 く力の1方 向成分 の総和 ΣP三 に等 し

    く,勇 断力 σ12δl1は接触 点に働 く力の2方 向成分 の総

    和 ΣP2に 等 しい とい うのが,(19)式の意味す る所で ある。

    この(19)式を具体 的に解 くわ けで あるが,こ れ まで紹介

    して きた考 え方 では切 断球 に着 目 して きたが,長 尾 の考

    え方 では,接 触 点を形 成す る球対 に着 目してい る。

    い ま,Fig.9に 示す よ うにi軸 に対 して ξiだ け傾 い

    た球対 を考え,平 面99'よ り下側 の球をk,上 側 の 球

    をlと す る。Fig.9に 示 した傾 き&の 球対 は粉 体層中

    に数多 くあ るが,平 面gg'が 切断 で きるのは,:Fig.10

    に示す よ うに球kが 平 面99'上 に あ る場合 と球lが 平

    面99'上 に ある場合 の間に あ る球対 であ り,そ の 範 囲

    は2rcosξiと な る。い ま δSiの 面積 を基準 に して考 え

    て いるので,平 面99'が 切 断で きる傾 き ξiの球 対は,

    体積 δSi2rcosξiの 中に 含 まれ ることに な る。 したが

    って,単 位体積 中に含 まれ る接触点 数を Δ とすれば,曲

    面99'上 に傾 き ξiの 球対 に よって形 成 され る接触点数

    Nは 次式 で与 え られ る。

    (20)

    一方 ,球 対 が傾 き ξiを とる確率Pは,ξiは0か ら π

    /2ま で変化す るので,Fig.11か ら明 らかな ように,半

    Fig.9接 触球対

    Fig.10球 対 の在存 範囲

    Fig.11球 対の在存確率

    球 の表面 積 と(7)式で求め た ΔOの 比 で与 え られ,次 式 で

    表 され る。

    (21)

    したが って,傾 き ξiの接触 点に おいて伝達 され る 力 の

    j方 向成分 の総和 は,次 式 で与 え られ る。

    (22)

    よって,(19)式の右 辺 は(22)式を0か ら π/2ま で積分 す れ

    Vol.21No.1(1984)(33)33

  • Fig.12代 表球回 りの 力の分 布

    ば 求め られ る。

    (23)

    (19),(23)式よ りi軸 に垂直な面 でj方 向に作用 す る 応 力

    σijは,結 局接触点に働 く力のj方 向成分pjに よ っ て

    次 の ように求め られ ることにこなる。

    (24)

    この(24)式を,い かな る面で も勢 断応力は作 用 しない等

    方 応力 とい う仮定の もとで導 かれた結果 と比 較 す る た

    め,勢 断力の作用 しない面,す なわ ち主応 力面で考 えて

    み る。(24)式中のPjは 接触点位置 の関数 とな るため,こ

    の ままで は(24)式を計 算す ることは で きない。そ こで,長

    尾は球面上 に働 く力 も応力 と同 じよ うに楕 円分布 を して

    い るとい う仮定 を導入 している。 この仮定 は,Fig.2に

    示 した よ うに,等 方応 力 の場合 には球面上 に働 く力が一

    様 に球の中心に 向 って働 くとい う仮 定 と,同 じ考え方 と

    いえ る。 この仮定 を導入す る と,Fig.12に2次 元的に

    示 した よ うに,主 応力軸J軸(J=Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)か ら ξJ

    の角 度をなす接触点に働 く力PのJ方 向成 分P」 は次

    式で与え られ る。

    (25)

    こ こでPJは 主軸方 向に働 く力で,球 面上 に働 く力 の主

    値 であ る。

    これで(24)式中のPjを 位置 の関数 として与 え るこ とが

    で きたので,(24)式右辺 の積分 は可能 とな る。 い ま,座 標

    軸 を主応力軸に とっているので,(24)式は次 の ように書 き

    改 め られ る。

    (26)

    (26)式右辺の積分は容易 に行 な うことがで き,次 式 を 得

    る。

    (27)

    Fig.13一 般座標系

    これが長 尾の最終 結果で あ るが,Rumpf式 と比 較す る

    ために次 の よ うな変形 を行 な う。Λ は単位体 積 中の接 触

    点数で あ るか ら,次 式 に よって空 隙率 εと配 位 数kの

    関係 で次の よ うに与 え られ る。

    (28)

    こ の式を(27)式に代入す れば,Rumpf式 とまった く同 じ

    次式が得 られ る。

    (29)

    また(24)式とは逆 に,Fig.13に 示 す よ うな一般 座 標系

    で,各 軸 か ら角 ξi(i=1,2,3)の 位置 にあ る接触 点 に

    働 く力のj方 向成分は,j方 向に作用す る応 力 σij(i=

    1,2,3)に よって次式 で与 え られ る。

    (30)

    1.4金 谷6)の考 え方

    金 谷は,こ こで は誘導 を省略 す るが,仮 想 仕事 の原 理

    を用 いそ(30)式に一致す る関係式 を導 出 してい る。 い ま,

    主応 力軸を座標 軸 とす ると,座 標軸 に垂 直 な面で は勢 断

    力 は作 用 しないのでI≠Jな ら σIJ=0と な る。 した

    が って,(30)式は次式 とな る。

    (31)

    (31)式の左 辺を(25)式で書 き改め,整 理すれ ば(27)式に,し た

    が ってRumpf式 に一致 す る次式 を得 る。

    (32)

    さ らに,こ れ まで のいず れの考 え方に おい て も,球 面

    上 の接触点 分布 は一 様 と してあつ か って き た が,金 谷

    は,接 触点 分布は主応 力方 向に,そ の主応 力 の大 き さに

    ほぼ比例 して増大 す る傾 向が ある7,8)い う実験 事実 よ り,

    34(34)粉 体工学会誌誌

  • Fig.14接 触面に働 く力の法線方向成分

    平 均 接触 点分布 密度 がFig.14に 示 す よ うに,接 触点に

    接する単位面積に働 く力Pの 法線方向成分Pnに 比例

    するとして,接 触点分布を考慮している。接触点の分布

    を考慮すると(32)式は次のようになる。

    (33)

    2.Rumpf式 の 新 た な解 釈

    Rumpf式 は これ まで引張 り破断 に関す る狸論 と し て

    知 られて きたが,上 述の よ うに,様 々な考 え.方に よって

    誘 導 され て きた応 力 と力の関係式 がRumpf式 に 一 致

    す る ことよ り,Rumpf式 は応力 と力の関係 を表 す一般

    式 で あ ると結 論で き る。

    Rumpf式 の物理 的意味 は,(29)式 に よって 明 らかに さ

    れ て い る。す なわ ち,(29)式は球表面 に働 く力 の分布 が応

    力楕 円 と相似 な楕 円で表 され ることを示 して い る。 この

    こ とは,球 表面 に働 く力 も また テン ソル とな り,応 力 テ

    ン ソル と線形 に 関係づけ られ ることを示 してい る。 した

    が って主軸 で得 られた(29)式は,一 般座標系 で も成立 す る

    こ とに な り次式 の よ うに よ り一般 化 され る。

    (34)

    Fig.15に 示す よ うに,図 式を 用いればi軸 方 向の 接 触

    Fig.15Rumpf式 の物理 的意味

    Fig.16Rumpf式 の勢断試験 への応用

    Fig.17Rumpf式 の勢断試験への応用

    点に働 く力 の3方 向成分Pii,Pij,Pikが,i軸 に垂直

    な平面 に作用す る3つ の応 力 σii,σij,σikか ら求 め ら

    れ る ことにな る。

    3.Rumpf式 の 応 用

    Rumpf式 は,応 力 と力の関係 を表す一般 式で あ るこ

    とがわ か ったた め,極 め て応 用範 囲の広 い実用価値 の高

    い理論式 とな った。 ここでは,粉 体層 の力学的特性 を調

    べ る代表 的な試験 法であ る,勢 断,圧 密 引張 り試 験に

    対 して,ど の よ うにRumpf式 の適用が可 能か を 紹 介

    す る。

    3.1勢 断試験 へ の応用

    Fig.16に 示 す よ うに,勢 断面 に接す る 粒子接 触点 に

    働 く圧 縮力 Σ と勢断 力Tが,'岡 式を 用いれば,垂 直 応

    Vol.21No.1(1984(35)35

  • 力 σと勢 断応 力 τか ら次 の よ うに求め られ る。

    (35)

    (36)

    また,Fig.17(b)に 示す よ うに,応 力 のモ ール円 を 描

    くこ とがで きれ ば,主 軸 を決定 す ることがで き るので,

    Fig.17(a)に 示す よ うに,粒 子 表面 の任 意の位 置に働 く

    力 も求め ちれ るこ とにな る。具体 的には次 の手順に よれ

    ば よい。 まず,モ ール円が決 まれば主応 力 σJ(J=Ⅰ,

    Ⅱ)は 求め られ るので(29)式に よって力 の主値PJは 求 め

    られ る。次に 力Pも テ ン ソルであ るか ら,主 軸 か ら 任

    意 に θだけ傾 いた接触 点に働 く力の主軸方 向成分PJは

    次式に よって求 め られ る。

    (37)

    このよ うに,Rumpf式 を用 いれ ば,簡 単に粒子表 面

    に働 く力を応力か ら計 算で きるので,構 成 粒子に着 目し

    た勢 断機構 の ミク ロな解 析には,極 めて有 効な武器 にな

    る と思われ る。

    3.2圧 密試験 への応用

    圧 密試験の場合に も勢 断試験 の場 合 と同様に,応 力か

    ら粒子表面に働 く力 を計 算で きるこ とは当然で あ る。

    圧 密実験の結果は,空 隙率 と圧 密応 力の関係 で表 され

    る。 この圧密特性 の解析にお いて も,Rumpf式 が非 常

    に有効で あるこ とを紹介す る。

    Rumpf式 は,Kε=π を仮定す ると次 のよ うに書 き換

    え られ る。

    (38)

    (38)式中 の空隙 率関数は,Fig.18に 示 す よ うに かな り広

    い範囲 において,次 式で近似 され る9)。

    (39)

    したが って,(38)式は次 の ようなあつかいやす い式 に書 き

    改め るこ とがで きる。

    (40)

    この式 を圧 密試験に適 用す る場合 は,圧 密応力Pと 圧

    密応 力方向に働 く力Pの 関係 にな るか ら次式 とな る。

    一方,圧 密特性 であ る圧密応 力Pと 空隙率 εの 関 係

    は,Fig.199)に 示す よ うに,片 対 数紙 上で直線 関係にな

    る場合 が多い。そ こで,い ま圧密応力Pを 増大 し て も

    接 触 点にかか る力Pが 増 大 しない場 合を考え てみ る と,

    Fig.18空 隙率関数の近似式

    Fig.19圧 密特性のRumpf式 による解析

    (41)式か ら明 らかな とお り圧密特 性 の傾 き ∂ε/∂lnPは

    一1/4 .5と な る。 こめ 一1/4.5と い う傾 きの値 を うま く

    使 うと,Fig.19に 示 した よ うに,圧 密応 力の増大 に よ

    る空 隙率 の減 少 と接触 点に働 く力 の増 大を,定 量的 に区

    別す る ことが で きる。Fig.19に お いて,任 意 の基準圧 密

    応 力p0か ら傾 き 一1/4.5の 直 線を 引 くと,こ の直線 は,

    圧 密応 力のPoか らの増 大分 は,接 触 点数 の増 加(空 隙

    率 の減 少)の みに よって伝 達 され るこ とを意味 す る。い

    まあ る空隙率 におい て,接 触点 数 の増 加 のみに よって伝

    達 加能 な圧 密応力をp1'と し,実 測値 をpと す れ ば,

    P1'-P0はi接 触点数 の増 加の みに よって増大 した圧 密応

    力を表 し,p1-P1'は 接触点 にかか る力 の増大 に よる圧

    密応 力増 加分を表 してい る。

    これ を数 式に よって表現す れば 次の よ うにな る。 ここ

    で想定 してい るのは,圧 密実 験結果 が次 の実験式 で整理

    され る場合で あ る。

    36(36)粉 体工 学会誌

  • (42)

    た だ し,ki,cは 実験 定数 であ る。 この式か ら明 らかな

    'よ うに,空 隙 率を さ らに Δεだけ減 少 させ るた めに必要

    な圧 密応 力 の増 加割 合 ΔlnP(=Δp/p)は,次 式 で与 え

    られ る。

    (43)

    一方 ,接 触点 に働 く力Pが 一定 の まま圧密 され る と し

    た 場 合 は,(41)式を εで偏微 分 して,

    (14)

    が 得 られ る。 ここで(43),(44)式の比 を とれば,

    (45)

    を得 る。 この(45)式は,空 隙 率を Δεだけ減 小 させ るのに

    必 要 とされ た圧 密応 力 の増加 割合は,接 触 点に働 く力を

    一 定 に して圧 密 した場 合の圧 密応力 増加割 合の何倍 にな

    るか を表 わ してい る。 このこ とをFig。19と 対比 させれ

    ば,次 の よ うに な る。

    (46)

    したが って,圧 密試験 の結果 を空 隙率 のみな らず接触

    点 に かか る力に よって も,定 量 的に 解析で きることにな

    る。

    3.3引 張 り試 験へ の応用

    引 張 り破 断試験 は,Rumpf式 のいわ ば"発 祥 の地"で

    あ るが,Rumpf式 の新 た な解釈 に よ って,従 来 よりは

    るか に有 効な利 用が可能 に な る。す なわ ち,粉 体層 の引

    張 り強 さに対す る,空 隙率(接 触点 数)と1接 触点 当 り

    の 付 着力 の寄与 を,分 離 して定 量的 に解析 評価で きる こ

    とで あ る。そ の解 析は,圧 密試 験 の場合 と同様に,次 の

    よ うに して行 なわれ る。

    引 張 り試 験 の場 合,一 般式 であ る(40)式は,引 張 り強 さ

    σzと1接 触 点 当 りの付 着力Hの 関 係式 として,次 の よ

    うに 書 き改め られ る。

    (47)

    ここで,付 着 力Hが 空隙 率 εに よ って変化 しない と 仮

    定 す る と,引 張 り強 さ σzと空 隙率 εの関 係は,:Fig.20

    に 示 す よ うに,片 対数 紙上 で傾 き-4.5の 直線 とな る。'

    一 方,数 多 くの実 験結果9~12)は,引 張 り強 さ σzと空隙 ε

    の 関 係 が,次 の実験式 で整理 され る ことを示 してい る。

    (48)

    ただ し,k2,bは 定数 であ る。 した が って,実 測値 も片

    対 数 紙上 に プ ロッ トす るな ら,Fig.20に 示 した ように,

    傾 き"1/bの 直線 で よ く相関 きれ る。℃

    ここで,空 隙率が ε0で引張 り強 さカミσzo,1接 触 点

    当 りの付着 力がHoの 粉 体層 を,空 隙率 ε1まで 圧 密 し

    Fig.20引 張 り強 さのRumpf式 による解析

    た時の引張 り強 さにつ いて考 えてみ る。い ま,ε0か ら ε1

    までの圧密 に よって も,付 着 力はH0で 一 定で ある と考

    え ると,Fig.20か ら明 らか な よ うに,引 張 り強 さ は

    σz0から σz1'まで増 大す る。 つ ま り,σz1-σz0は 空隙 率

    の減少(接 触点数 の増大)の みに よる,引 張 り強 さの増

    加を表 わ して いる。それ に対 して実 測値 で は,σz0か ら

    σz1まで増大 して い るので,σz1-σz1'は 付着力 の増 加

    に よる引張 り強 さの増大 を表 わ してい ることにな る。

    した が って,圧 密試験 の場 合 と同様 に,

    (49)

    を求 め るこ とに よって,空 隙率 の変化 に よる引張 り強 さ

    1の変化 割合を,接 触点数 の増加に よる もの と,1接 触 点

    当 りの付着力 の増 加に よる ものに分離 して,定 量 的に解

    析評 価で きる ことにな る。

    4.具 体 的 応 用 例13}

    わ れわれは,3.2,3.3で 紹介 した解析法 を,粉 体 層の

    引張 り破断試験 に適用 して,興 味 深い結果 を得 てい るの

    で,要 約 して紹 介す る。

    粉体 層の引張 り強 さを 測定す る場合,空 隙率は予圧 密

    に よって調整 され るの で,引 張 り破断試験 で得 られ る1測

    定 デー タには,圧 密特性 も含 まれ てお り,圧 密特 性,引

    張 り強 さにつ いて の解 析,ま た 両者 の関係につ いて の解

    析 も可能 とな る。

    わ れわれ の研究室で得 られた22の 測定 デ ータが,Fig.

    21,22に その1例 を示 した ように,圧 密特 性 お よび 引張

    り強 さに関す る実験式(42),(48)式で相関 され る こ と を 確

    め,(4.5b)-1,(4.5c)-1の 値 を求め てみた。 その結果

    をFig.23に 示 した が,引 張 り試 験 の場 合(4.5b)一1の

    値 は約3か ら7で,空 隙率 の変 化に よる引張 り強 さの変

    化割 合に対 しては,1接 触点 当 りの付 着力 の増 大が,極

    めて大 きな役 割を果 してい る ことがわ か る。

    Vol.21No.1(1984)(37)37

  • Fig.21圧 密特 性

    Fig.22引 張 り強 さ

    Fig.23粒 子接触点に働 く力の重要性

    Fig.24引 張 り強 さと予圧 密応 力

    一方,.圧 密試 験の場 合(4.5c)-1の 値 は 約6か ら19で,

    圧 密応 力の変化 割合に 及ぼす空 隙率 の変化 の寄与 はほ ん

    のわず かで,圧 密応力 の変化 は,ほ とん ど粒子 接触点 に

    働 く圧 縮力 の変 化に よって生 じて いる ことがわ か る。

    次に,圧 密特 性 と引張 り強 さの関 係につ い て若 干考察

    してみ る。 引張 り強 さ σzと予圧 密応 力 φの 関 係 は,

    Fig.24に そ の1例 を示 した ように,次 の実 験式 で 表 わ

    され る。

    (50)

    ただ し,k3,mは 定数 。 さ らに理論 的考 察か ら,(50)式

    は次式 の よ うに接触点 に働 く力関係 を表 わす こ とも,明

    らか に して い る。

    (51)

    (50)式の予圧密応 力pを ある近似 の も とに,t38)式 に よ っ

    て接触 点に働 く圧 縮 力Pに 書 き改 め る と,引 張 り強 さ

    に関す る次 の半 理論式 を得 る。

    (52)

    Fig.23に 示 した結 果 と,半 理論 式(52)式に よって,予

    圧 密 と引張 り強 さの関 係を,次 の よ うに考 え る ことが で

    きる。粉 体層 を予圧密 すれば,空 隙 率は減 少 し接触点数

    は増大 す るが,Fig.23の(4.5c)-1の 値 は,そ れに も

    増 して粒子接触 点に働 く圧 縮 力Pが 増大 す る こ と を 示

    してい る。 圧 縮力Pと 付着 力Hは(51)式 で関係 づけ られ

    るか ら,圧 縮 力Pの 増大 はす なわ ち付着 力Hの 増大 を

    意 味 し,Fig.23の(4.5b)-1の 値 が1よ りは るか に 大

    き くな るので ある。

    この解 析結果 は,粉 体層 の空隙 率調整 を 目的 に して行

    な う予圧 密が,空 隙率 を減 少 させ るだ けでな く,粒 子接

    触 点に働 く圧縮 力を も増大 させ てい る こと,そ して粉 体

    層 の引張 り強 さに対 しては,空 隙 率 よ りも圧縮 力 の方 が

    38(38)粉 体工学 会誌

  • 極めて重要な因子であることを示している。 この こと

    は,空 隙率が等しくともその調整法が異なっていれば,

    粉体層はまったく異なる引張り強さを持つこ とを意味

    し,空 隙率のみによって粉体層の引張り強さを整理する

    ことには,問 題があることを示している。

    より一般的にいえば,現 在粉体層の力学的特性を表わ

    すパラメータとして空隙率が広 く用いられているが,粉

    体層の力学的特性は,空 隙率によつて代表されるもので

    はまったくなく,粒 子接触点に働く力によっても評価さ

    れるべきであるといえる。この粒子接触点に働 く力を考

    慮に入れた現象の解析と,そ の評価法の確立が粉体層力

    学の今後の重要な課題であると思われる。

    お わ り に

    以上Rumpf式 と,粉 体層の応力と粒子接触点に働く

    力を関係づけるいくつかの理論式を詳細に紹 介 しなが

    ら,Rumpf式 は従来考え.られていたような引張り強さ

    に関する理論式ではなく,単 に粉体層に作用する応力と

    接触点に働 く力の関係式であることを明らかにした。

    しかし,Rurnpf式 の適用範囲が,従 来考えられてい

    た引張り応力から,圧 縮応力や勢断応力を含めた応カー

    般に拡張されるため,Rumpf式 は極めて応用範囲が広

    く,実 用価値 の高い理論式 で ある ことを 明 らか に した。

    ま た,Rumpf式 が様 々な考 え方 に よっで誘導 され た

    理論 式 と完全 に一 致す る ことか ら,均 一球 にご よ っ て ラ

    ン ダムに充 てん された粉 体層 とい う仮定 の も と で は,

    Rumpf式 は ゆる ぎな い理 論式 であ るとい うことがで き

    る。

    したが ってRumpf式 は,実 測 可能 であ るマ ク ロ な

    情 報を基礎に して,ミ クロな視 点か ら粉 体層の 力学的挙

    動 を解 析す る上 で,強 力な武器 とな るものであ る。 ここ

    では,粉 体層 の力学的特性 の代表 的試験 法に対 して,い

    くつか応用法 を例示 し,引 張 り試 験結果 の解析 に具 体的

    に適 用 した例 に よって,そ の威 力の一端 を紹介 した。

    粉 体層力学 が他か らの借 りもの でな く.独 自の力学 体

    系 を持つ ためには,粉 体 の不連 続性 とその不連続面 での

    現象が定量的 に と りあつ かわな ければ な ら な い。 こ の

    「不 連続 」の問題解決 に対 して,Rumpf式 が いかんな

    くその実 力を発 揮 して くれ るこ とを期待 したい。

    謝 辞

    ここで紹介 した内容 は,本 学会 「粉体操作 に伴 う諸 現

    象に関す る勉強 会」で の伊 ケ崎文和 氏の資料 に負 う所 が

    大 きい。伊 ケ崎氏始め勉 強会 メンバ ーの諸 氏に,厚 くお

    礼 申 し上 げ る。

    引 用 文 献

    1)Rumpf, H.:Chem. Ing. Tech.,3p, x.44(1958)

    2)Rietsch, W. and H. Rumpf:ibid,39,885(1967)

    3}Molerus, O.:Powder Technology,12,259(1975}

    4)Rumpf, H.:Ch ern. Ing. Tech.,42,5380.970)

    5)長 尾 高 明:機 械 学 会 論 文 集,43,4038(1977)

    6)金 谷 健 一:粉 体 工 学 誌,17,504(1980)

    7)Oda, M.:Solids and Foundations,12,1(1972)

    8)Oda, M. and J. Kanishi:ibid,14,25(1974)

    9)Jimbo, G. and R. Yama2aki:European Symposium

    Particle Technology, B,1064(19$O Amsterdam)

    10)大 塚 昭 信,檀 上 和 美:粉 体 工 学 会 誌18s 591(1981)

    11)椿 淳 一 郎,加 藤 啓 一,神 保 元 二. 体 工 学 会 誌,1,873

    (1980)

    12)Jirnbo, G. and S. Hatano:the Ii'ine Particle Society

    Pacific Region Meeting(1983 Hawaii)

    13)Tsubaki, J. and G. Jimbo:Powder Tecknology,37,

    219 (1984

    Vol.21No.1(1984)(39)39