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http://www.sciencesignaling.org/ Science Signaling ຊޠ൛μΠδΣετɹvol.6

Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol · および『Science Signaling』の情報源をより効率的に使用するためのツールを個人向けに提供します。

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Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6

Science Signaling科学情報を電子媒体で毎週お届けします

内容

使いやすいツールとリソース

編集委員会

サイトワイド法人向け年間購読

連絡先

ScienceSignaling.org

細胞制御の分野で影響力の大きな研究:

• 生化学• 生命情報科学• 細胞生物学• 開発• 免疫学• 微生物学• 分子生物学• 神経科学• 薬理学• 生理学と医学• システム生物学

オリジナル論文を掲載ScienceSignaling.org

Science Signalingは、ダイナミックな細胞情報伝達分野において画期的な研究と論評に関する最新情報を研究者に提供しています。基礎科学から治療開発、分子からネットワークおよびシステム設計まで、研究者、教員、学生の方々に毎週最新の情報をお届けします。Science Signalingでは、情報伝達の躍進につながる概念と方法にすぐにアクセスすることが可能です。

• 毎週2~4本の査読済みオリジナル論文のフルテキスト

• 最近発表された研究と方法についての科学者による見解

• 細胞情報伝達における最新の研究成果を要約した専門家によるレビュー論文

• 細胞情報伝達用語と定義の用語集

• 定期更新されるシグナル伝達物質およびその関係を含むインタラクティブ細胞情報伝達データベース

• 重要な研究に関してScience Signaling編集者が紹介する論文記事

• 「My Science Signaling」は、検索、引用文献、キーワード、または著者アラートなどの保存、情報管理および『Science Signaling』の情報源をより効率的に使用するためのツールを個人向けに提供します。

• コミュニティーセクションには、オンラインフォーラム、イベントカレンダー、デジタルミーティングによるプレゼンテーション、細胞情報伝達コミュニティ・ディレクトリ、電子レターなどが含まれ、著者、研究者、専門家、学生を結びつけます。

• リソースセクションには、講師用の情報源、学生が投稿したジャーナルクラブ論文、研究費調達に関するガイダンス、仕事検索ツール、シグナリングをテーマにしたポッドキャストなどが含まれます。

Michael B. Yaffe, M.D., Ph.D.:学術編集主任、David H. Koch Institute for IntegrativeCancer ResearchおよびMassachusetts Institute of Technology生物学准教授

Nancy R. Gough, Ph.D.:米国科学振興協会(AAAS)編集者

編集委員会、レビュー編集者委員会、バイオインフォマティクス委員会の一覧表については、次のウェブサイトをご覧ください。http://www.ScienceSignaling.org/about/edboard.dtl

• 週刊オンライン版、毎週火曜日発行、年間51回刊行 ISSN: 1937-9145

• 月刊プリント版(オンデマンド印刷) ISSN: 1945-0877

• COUNTER IIIに準拠した利用統計を管理者に提供しています。SUSHI、ederated Search、Open URL

にも準拠しています。

• 購読には、1999年9月28日の創刊号Vol.1999 ( #1)からのアーカイブへのアクセスが含まれます

2   Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6

1-866-265-4152(米国内フリーダイヤル)+1-202-326-6730(米国外)[email protected]

6  Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6 Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6  3

Nancy R. Gough1 Edi tor of Sc ience Signal ing, Amer ican Associat ion for the Advancement of Science, 1200 New York Avenue, N.W., Washington, DC 20005, USA.

© 2010 American Association for the Advancement of Science (AAAS). All Rights Reserved.

内容については細心の注意を払っていますが、情報の正確性、専門性について、発行者はいかなる責任を負うものではありません。正確な情報は必ず原文でご確認ください。

Editorial Guide

Focus Issue:教育ツールと学習機会Focus Issue: Teaching Tools and Learning Opportunities

Nancy R. Gough1*

 Science Signaling と Science は、科学教育の重要な課題に協力して取

り 組 む(www.sciencemag.org/special/education2010/)。Science は、

科学におけるリテラシーを重要視し、科学文献を理解する方法、科学を

伝える方法に目を向ける。Science Signaling は、4 月 20 日号および 27

日号において、カノニカルシグナル伝達経路(canonical signaling

pathway)についての短い動画が対になった Thatcher による一連の教

育リソース、ならびに、学生または博士号取得後の研究生(ポスドク)

が作成した一連の Journal Club 論文を掲載する。学生が作成した

Journal Club 論文は、免疫系細胞におけるシグナル伝達、神経細胞にお

けるシグナル伝達、植物におけるシグナル伝達など、多岐にわたるトピッ

クを扱っている。

 経験に勝る学習はなく、すべての研究者や科学者の中核をなすスキル

は、効果的な、文書による情報伝達力である。したがって、2007 年夏、

Science Signaling(当時は Science's STKE であった)は、大学院生およ

びポスドクが、特定の新しい研究論文または特定のトピックについて短

い解説論文を作成する経験ができるように、Journal Club セクションを

立ち上げた。学生やポスドクは、大学院課程の課題、実験実習の一部な

いしコースとして設けられた抄読会のような場面で議論された論文、あ

るいは単純に面白いと感じた論文に基づいて Journal Club 論文を提出す

ることができる。これらの論文は、読者には、細胞シグナル伝達研究の

新たな視点をもたらす。著者は、科学文献の批判的分析および科学コミュ

ニケーションのプロセスを経験する。編集者は、コメントおよび本文修

正のための索引のついた編集アドバイスを組み合わせることで、表現が

明確、簡潔、正確になるよう著者を指導する。Journal Club 論文に投稿

したいと考える学生またはポスドクは、要旨および扱おうとしている主

な引用文献を含む、投稿前の問い合わせ(presubmission inquiry)

(http://stke.sciencemag.org/cgi/feedback)を提出することが求められる。

 科学コミュニケーションはまた、科学を教える能力、次世代の科学者

を育成する能力の根底をなす。多くの科学者は、教育に関して正式な訓

練はほとんど受けていないが、大学に職をもつ科学者の大部分は、学生

を教育し、研究を行うよう訓練するいくらかの責任がある。大学に属す

る科学者は、コミュニティーカレッジ、主に学部教育機関、あるいは研

究教育機関の教職員の場合もある。彼らは、極めて知識のある分野、あ

るいは専門分野から離れた分野について、クラスやコース全体を教える

立場になるかもしれない。大学に属する科学者は、執筆者(論文および

研究助成金申請)、研究者(実験の計画および実施)、教師(講義および

育成)という、少なくとも 3 つの役割をもつ。Science Signaling に発表

される教育リソースは、細胞シグナル伝達に関連する複雑なトピックを

教える際に役立った教材や経験を教師が共有する機会を提供している。

教育リソースに含まれる教材の種類は様々であり、今週号で Thatcher

が示したような動画から教授細目、講義ノート、抄読会クラスの運営方

法やインターネット上の教育ツールの使い方の例、オンラインコースま

たはチュートリアル、実験実習、評価戦略にわたっている。投稿された

教育リソースは、科学的正確性について査読され、発見の可能性を最大

化するために、提示が明確になるよう編集される。こうして、著者は、

作成した教材の質を向上させるフィードバックを受け取ることで、望ま

しくは、より能力の高い教師になるであろう。教育リソースは、それら

の教材を用いる教師に教わった学生が、他のツールを用いて教わった学

生よりも、より良く学習することを証明した研究に裏付けられているわ

けではないが、科学教育者が、同僚の経験から学び、すでに入手可能な

教材を作成する二度手間を最小化し、教えやすくするための出発点を提

供している。

 Science Signaling は、アメリカ科学振興協会(AAAS)およびアメリカ

国立科学財団の資金援助を受けた、査読された教材のリポジトリである

生物科学教育ネットワーク(Biological Science Education Network:

BEN; http://www.biosciednet.org)を共同創始した。このデータベース

の開発に参加することで、Science Signaling は、生物学のトピックを教

える際に有用な、複数のソースに由来するデジタルリソースをリポジト

リに含むことができるように、分類システム(メタデータスキーマ)の

規定に貢献した。Science Signaling に発表された教育リソースには BEN

の索引を付け、目に触れやすくしている。BEN の索引が付いた Science

Signaling の 他のリソースとして、Podcast、Perspective、および

Review があり、これらのリソースは、シグナル伝達に関連する複雑な

トピックについて学生の理解をうながすのに有用であるうえに、教師に

背景情報を提供することにも役立つ。

 これらの努力に加えて、Glossary および ST NetWatch の Educator

Site セクションといった、ウェブサイトで利用可能な他のリソースを通

して、Science Signaling は、科学コミュニケーションを向上させ、科学

リテラシーを増強するために、科学者および学生と共に取り組んでいる。

Citation:N. R. Gough, Focus Issue: Teaching Tools and Learning Opportunities. Sci. Signal. 3, eg3 (2010).

4  Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6 Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6  5

Research ArticlesA compilation of editors’ summaries of research published from February - April

Sci. Signal., 2 February 2010Vol. 3, Issue 107, p. ra8[DOI: 10.1126/scisignal.2000568]

「おとり」となる非コード RNANoncoding RNA Decoys

ステロイド受容体はリガンドの結合により活性化される転写因子

である。その活性化により、これらのタンパク質は、標的遺伝子

のプロモータに存在する「応答配列(response element)」と呼ばれ

る特異的DNA配列に結合し、転写を刺激する。このほどKinoらは、

蛋白質産生に関わらない非コード RNAもステロイド受容体と相互

作用でき、DNA 応答配列への結合を阻害することで、ステロイド

受容体の活性を抑制することを明らかにした。著者らは、栄養や

成長因子が欠乏した場合に細胞に蓄積する「増殖停止特異的 5

(Gas5)」という非コード RNA が、グルココルチコイド受容体と結

合する事を通して DNAグルココルチコイド応答配列と競合し、グ

ルココルチコイドを介する転写を阻害することを明らかにした。

この作用により、Gas5 はグルココルチコイドを介して抗アポトー

シスに関わる遺伝子の転写を抑制することで、栄養や成長因子が

欠乏するという細胞ストレスへの応答として、アポトーシスを起

しやすいように細胞を感作する。また Gas5 は他のステロイド受容

体とも相互作用し、その転写活性を阻害した。この結果は、「おとり」

RNA 応答配列が、一般的な転写因子活性の調節機序である可能性

を示唆している。

Citation:T. Kino, D. E. Hurt, T. Ichijo, N. Nader, G. P. Chrousos, Noncoding RNA Gas5 Is a Growth Arrest– and Starvation-Associated Repressor of the Glucocorticoid Receptor. Sci. Signal. 3, ra8 (2010).

Sci. Signal., 16 February 2010Vol. 3, Issue 109, p. ra12[DOI: 10.1126/scisignal.2000482]

キナーゼの選択性を探るExploring Kinase Selectivity

キナーゼは細胞挙動のマスター調節因子である。キナーゼは数が多

く、基質はさらに多数存在するため、網羅的解析を可能にするアプ

ローチが、キナーゼの生物学の研究に有用な手段となる。Mokらは、

小型化したペプチドライブラリのスクリーニングにより、出芽酵母

(Saccharomyces cerevisiae)のキナーゼ 122 個中 61 個について、

リン酸化部位の選択性を明らかにした。これらのデータを他のデー

タセットや構造情報と統合し、キナーゼの触媒残基と基質選択性の

関連にまつわる情報を明らかにした。さらに、これまで限られた機

能情報しか得られていなかったものも含め、キナーゼの基質を同定

して実験的に検証し、この種の解析がキナーゼの生物学的機能を検

討するための出発点になる可能性を示した。

Citation:J. Mok, P. M. Kim, H. Y. K. Lam, S. Piccirillo, X. Zhou, G. R. Jeschke, D. L. Sheridan, S. A. Parker, V. Desai, M. Jwa, E. Cameroni, H. Niu, M. Good, A. Remenyi, J.-L. N. Ma, Y.-J. Sheu, H. E. Sassi, R. Sopko, C. S. M. Chan, C. De Virgilio, N. M. Hollingsworth, W. A. Lim, D. F. Stern, B. Stillman, B. J. Andrews, M. B. Gerstein, M. Snyder, B. E. Turk, Deciphering Protein Kinase Speci�city �rough Large-Scale Analysis of Yeast Phosphorylation Site Motifs. Sci. Signal. 3, ra12 (2010).

4  Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6 Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6  5

Research ArticlesA compilation of editors’ summaries of research published from February - April

Sci. Signal., 23 February 2010Vol. 3, Issue 110, p. ra13[DOI: 10.1126/scisignal.2000634]

死からの蘇生Rising from the Dead

組織損傷は細胞死を招く。アポトーシス細胞死は、損傷を受けた細

胞を消失させ、組織再生の道を整える。カスパーゼと呼ばれる酵素

は、アポトーシスを起こした細胞で活性化されるが、Liらによれば、

死の過程の実行を助けるだけでなく、カスパーゼ 3および 7が、

死にゆく細胞から増殖シグナルが放出されるのを促進する。著者ら

は、カスパーゼ 3または 7を欠失したマウスでは皮膚の創傷治癒

と肝臓再生が損なわれることを見出した。さらに、照射細胞を伴っ

て、または伴わずに導入された、あるいは、照射組織または損傷を

受けていない組織に導入された幹細胞または前駆細胞は、照射細胞

または照射組織が存在する場合に、より活発に増殖した。著者らは、

死に誘導される増殖に関連するこれらの分子的イベントを「フェ

ニックス・ライジング(phoenix rising)」経路と呼んだ。この経路は、

カスパーゼを介したホスホリパーゼ A2 の活性化と、その後に続く、

細胞増殖の促進因子である脂質シグナルのプロスタグランジン E2の産生と放出に関与している。

Citation:F. Li, Q. Huang, J. Chen, Y. Peng, D. R. Roop, J. S. Bedford, C.-Y. Li, Apoptotic Cells Activate the "Phoenix Rising" Pathway to Promote Wound Healing and Tissue Regeneration. Sci. Signal. 3, ra13 (2010).

Sci. Signal., 23 March 2010Vol. 3, Issue 114, p. ra22[DOI: 10.1126/scisignal.2000818]

カルシウム水門の開放?Opening the Calcium Floodgates?

認知症の主因であるアルツハイマー病(AD)は、米国での罹患者数

が約 500 万人に及ぶ神経変性疾患である。ADのほとんどの症例

は孤発性であるが、早期発症型家族性 AD(FAD)は小胞体(ER)に

局在する膜貫通タンパク質プレセリン(PS)の突然変異に連鎖して

いる。Cheung らは、FAD 患者由来ヒトリンパ芽球や FAD モデル

マウス由来皮質ニューロンなど各種の細胞系において、イノシトー

ル三リン酸受容体(IP3R)を介する ER からの Ca2+ 放出に対する野

生型および変異型 PS の影響を検討した。その結果、FADに連鎖す

る PS 変異体は、FADの常染色体優性遺伝と一致する機能獲得機序

を介して IP3R チャネル開閉を調節することにより、Ca2+ 放出を亢

進した。FAD 連鎖 PS 変異体は、IP3R チャネル開閉モードを個々

のチャネルの開確率が刺激

後に増加するように変化さ

せ、その結果、Ca2+ シグナ

ルを亢進させたが、異なる

タイプの認知症に連鎖した

PS 変異体にはこのような作

用は見られなかった。

Citation:K.-H. Cheung, L.Mei,D.-O. D. Mak, I. Hayashi, T. Iwatsubo, D. E. Kang, J. K. Foskett, Gain-of-Function Enhancement of IP3 Receptor Modal Gating by Familial Alzheimer’ s Disease–Linked Presenilin Mutants in Human Cells and Mouse Neurons. Sci. Signal. 3, ra22 (2010).

Citation:T. R. Xu, V. Vyshemirsky, A. Gormand, A. von Kriegsheim, M. Girolami, G. S. Baillie, D. Ketley, A. J. Dunlop, G. Milligan, M. D. Houslay, W. Kolch, Inferring Signaling Pathway Topologies from Multiple Perturbation Measurements of Speci�c Biochemical Species. Sci. Signal. 3, ra20 (2010).

Sci. Signal., 16 March 2010Vol. 3, Issue 113, p. ra20[DOI: 10.1126/scisignal.2000517]

正しい経路を選ぶPicking the Right Path

複数の系における大規模な解析と実験が行われ、新たな関連性や

役者となり得るものが加えられた結果、シグナル伝達ネットワー

クは徐々に複雑さを増している。Xuらは、シグナル伝達経路を通

じた様々な経路をランク付けするための数学的アプローチを提示

し、合理的に検討することができる仮説を展開している。彼らは

そのアプローチを「ベイズ推論を基礎としたモデル(Bayesian

inference‒based modeling)」を表す BIBm と呼び、この BIBm を、

上皮成長因子(EGF)が細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)を刺激

するシグナル伝達経路を解明するために応用している。限られた

生化学的実験を用いて、著者らは 4種のモデルを検討し、2つの

Raf ファミリーメンバーによるモデルが最高にランク付けされるこ

とを明らかにした。さらにこのモデルは 2つの細胞株において妥

当性が確認され、Raf-1 と B-Raf の両者が、EGF に応える ERK の活

性化に寄与することが示された。

6  Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6 Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6  3© 2010 American Association for the Advancement of Science (AAAS). All Rights Reserved.

Research ArticlesA compilation of editors’ summaries of research published from February - April

Sci. Signal., 30 March 2010Vol. 3, Issue 115, p. ra25[DOI: 10.1126/scisignal.2000616]

細胞接着におけるLKB1シグナル経路An LKB1 Pathway for Cell Adhesion

腫瘍抑制遺伝子LKB1は、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)

サブファミリーのキナーゼをリン酸化により活性化するセリン/

スレオニン キナーゼである。代謝制御におけるLKB1とAMPKの

役割はよく知られており、LKB1-AMPK経路におけるいくつかの下

流標的分子も明らかになっている。しかし、他のAMPK サブファ

ミリーキナーゼの機能および標的分子についてはよくわかってい

ない。AMPKサブファミリーのNUAK1も腫瘍浸潤との関連が示さ

れてきたが、その機序は不明であった。Zagórskaらはプロテオミ

クススクリーニングを行い、NUAK1とプロテインホスファターゼ

1β(PP1β)およびPP1β制御サブユニットMYPT1の相関を明ら

かにした。PP1β-MYPT1複合体は、モータータンパク質ミオシン

の調節サブユニットであるミオシン軽鎖2など、細胞骨格形成に関

与する各種タンパク質のリン酸化を調節する。NUAK1による

MYPT1中の複数の残基のリン酸化は14-3-3タンパク質をMYPT1

にリクルートし、PP1βの脱リン酸化活性を低下させた。細胞の基

質からの剥離はNUAK1を介してPP1β-MYPT1複合体の脱リン酸

化活性を低下させ、ミオシン軽鎖2のリン酸化を亢進し、また、

NUAK1活性を失わせると細胞剥離を阻害した。これらの結果から、

ミオシンの脱リン酸化活性を阻害することにより細胞接着を減弱

化するというLKB1の新たな機能が明らかになり、NUAK1は細胞

骨格モータータンパク質を活性化し、細胞剥離を促進することによ

り腫瘍浸潤に寄与することが示唆された。

Citation:A. Zagórska, M. Deak, D. G. Campbell, S. Banerjee, M. Hirano, S. Aizawa, A. R. Prescott, D. R. Alessi, New Roles for the LKB1-NUAK Pathway in Controlling Myosin Phosphatase Complexes and Cell Adhesion. Sci. Signal. 3, ra25 (2010).

Sci. Signal., 6 April 2010Vol. 3, Issue 116, p. ra27[DOI: 10.1126/scisignal.2000468]

完全性の支配者Masters of Integrity

生存と忠実な複製のために、細胞はゲノムの完全性を維持するだけ

でなく、コードされた産物の発現の調節、転写物の質の確保、タン

パク質産生の代謝状態との調整も行わなければならない。ホスファ

チジルイノシトール3-キナーゼ関連プロテインキナーゼ(PIKK)

ファミリーのメンバーは、ゲノムの完全性と正確な遺伝子発現を確

保するためのDNAおよびRNAに基づく過程に重要な役割を果た

す。AAA+ファミリーメンバーである2つのタンパク質RUVBL1と

RUVBL2は、クロマチンに基づく過程に関わる複合体を形成する

が、Izumiらは、これらのタンパク質がPIKKファミリー全メンバー

の活性と存在量を調節することを示した。さらに有害な可能性の

あるタンパク質が産生されないように、中途で翻訳集結したmRNA

転写物を除去するための過程であるナンセンスコドン依存mRNA

分解における役割を検証し、RUVBL1とRUVBL2が、PIKKメンバー

であるSMG-1との相互作用を介して、ナンセンスコドンコドン依

存mRNA分解に関与する高分子複合体の形成に寄与していること

を示した。

Citation:N. Izumi, A. Yamashita, A. Iwamatsu, R. Kurata, H. Nakamura, B. Saari, H. Hirano, P. Anderson, S. Ohno, AAA+ Proteins RUVBL1 and RUVBL2 Coordinate PIKK Activity and Function in Nonsense-Mediated mRNA Decay. Sci. Signal. 3, ra27 (2010).

Sci. Signal., 13 April 2010Vol. 3, Issue 117, p. ra29[DOI: 10.1126/scisignal.2000594]

たちの悪い組み合わせA Malignant Combination

タンパク質をコードせず、遺伝子発現の転写後調節因子として働く

小さなRNAであるマイクロRNA(miRNA)の量は、がんで頻繁に変

化する。実際のところ、多様なmiRNAが、がん遺伝子または腫瘍抑

制因子として作用すると考えられている。Polisenoらは、前立腺が

んにおいて腫瘍抑制因子PTENのmiRNA調節が果たしうる役割に

ついて調べた。彼らは、PTENをコードしている遺伝子を標的とす

るmiRNAを数ファミリーから同定し、それによって、PTEN量を減

少させ、これらのmiRNAの一部の量がヒトの前立腺がんで増加す

ることを示した。興味深いことに、3つの PTEN標的miRNAが、

DNAヘリカーゼミニ染色体維持タンパク質7(MCM7、ヒトの多様

ながんで量の増加を示す)をコードする遺伝子と同じイントロン内

に位置し、MCM7と協同して in vitroで線維芽細胞を形質転換し、

トランスジェニックマウスの前立腺で過剰発現されると腫瘍を誘発

した。このように、MCM7遺伝子座には、協同して前立腺がんの発

生を促進させる複数の発がん要素がコードされているようである。

Citation:L. Poliseno, L. Salmena, L. Riccardi, A. Fornari, M. S. Song, R. M. Hobbs, P. Sportoletti, S. Varmeh, A. Egia, G. Fedele, L. Rameh, M. Loda, P. P. Pandol�, Identi�cation of the miR-106b~25 MicroRNA Cluster as a Proto-Oncogenic PTEN-Targeting Intron �at Cooperates with Its Host Gene MCM7 in Transformation. Sci. Signal. 3, ra29 (2010).

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2   Science Signaling 日本語版ダイジェスト vol.6

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