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セラミックス 2013 6 4 日(火),11日(火) 材料工学科 教授 永山 勝久 89 回目 『ニューセラミックスの製造法』 2号館 2301教室

SIC - セラミックスnagayama/Ceramics130530.pdf『ニューセラミックスの製造工程』の概要 『①ニューセラミックス原料』は、「非金属・無機・固体粉末」

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  • セラミックス

    2013 年 6 月 4 日(火),11日(火)

    材料工学科 教授 永山 勝久

    第 8,9 回目

    『ニューセラミックスの製造法』

    ( 2号館 2301教室 )

  • 『ニューセラミックスの製造工程』の概要

    『①ニューセラミックス原料』は、「非金属・無機・固体粉末」 であり、純度,成分,粒子径(微細・均一化)などが高精度に

    制御されたものが使用される

    目的の製品機能に合わせて配合した原料は、バインダーと

    呼ばれる『粘結剤(成形助剤,焼結助剤など)と混合』する

    その後、製品形状に近い『②精密成形や切削加工』を行い、

    温度制御された焼成炉内で、高温で焼き固める(焼結)する 上記、『③焼成(焼結)過程』で、原料中に含まれる水分や

    バインダーなどが除去され『粉末粒子同士が融合・合体』し、

    内部の空隙の消失に伴い、均一・微細構造かつ先端高機能

    特性を有する『ニューセラミックス製品』が出来上がる

    なお、「最終仕上げ加工・検査工程」として、『④切削・接合』

    等の高精度の加工と『⑤製品としての特性検査』を行う

  • ファインセラミックスの製造工程(代表例) ① 原料成分調整・混合・粉砕・乾燥工程 ⇒ ② 成形工程 ③ 焼成(焼結)工程 ⇒ ④ 仕上げ加工 ⇒ ⑤ 製品検査工程

    http://www.jfca-net.or.jp/

    より引用

    http://www.jfca-net.or.jp/http://www.jfca-net.or.jp/http://www.jfca-net.or.jp/

  • メタライズ

    ・・・焼結体表面に金属粉末やセラミックスなどの混合粉末(ペースト)を塗布し、高温で熱処理し、導体パターンの形成や気密封止を行なうための工程

    接合・接着

    ・・・セラミックス製品同士やセラミックス製品と金属・樹脂を一体化させ、複合製品として付加価値を高める重要な工程

  • ファインセラミックスの原料には、無機系固体粉末で、純度、粒子径、粒子分布などが高精度に制御されたものが使われている 目的の機能(製品)に成分調整・配合した原料は、さらにバインダーと呼ばれる粘結剤と混合する。 設計された通りに精密成形や切削加工が施され、温度制御された焼成炉によって高温で焼結(焼成)を行う この焼結過程で、原料に含まれる水分やバインダーが取り除かれ、さらに熱処理をすることで、粉末粒子同士が合体・融合し、空隙が減少し、緻密で非常に硬い『ニューセラミックス製品』が出来上がる

    【重要】

  • 1.1 ニューセラミックスの代表的な原料工程 - ①・1 原料調合・混合・粉砕 工程 - ニューセラミックスの製造プロセスにおける、最初の工程が 『①原料調合・混合・粉砕工程』であり、製品特性や品質安定 性を決める、極めて重要な出発工程となる セラミックボールが充填された『ボールミル』と呼ばれる装置 内に、原料粉末を水などの溶媒と共に入れ、原料の均一化 や粒子サイズ分布等を揃えるため に、ボールミルを回転または振動 させ、原料粉末の成分調整と成形 助剤(バインダーなど)を添加させ、 『出発原料の成分調合・混合・粉砕 (粒子径の均一・微細化)』を行う なお、上記工程で均一・微細混合 された原料を『スラリー』と呼ぶ

  • 【補足1】 ニューセラミックス原料の 混合・混練・分散 工程 -日本ガイシ(株):http://www.ngk.co.jp/index.html より- 多成分からなる原料粉末に、バインダーと水を混ぜ、十分混練する。ニューセラミックスは、微細原料粉体を均一に混ぜるため、 ① 粉体混合 ⇒ ② 混練 ⇒ ③ スラリー生成 が重要になる (※ スラリー:溶媒及び水中の均一混合・混練原料粉末集合体)

    http://www.ngk.co.jp/index.html

  • 【補足2】 ニューセラミックス原料の微細構造 - 原料調合・混合・混練・均一分散 状態 -

    成形前の原料に潤滑性や粘りを出すためには、粘土やバインダーが不可欠となる。原料の混練工程においては、均質に分散させた粘土やバインダーや水などを混合し、さらに原料を乾燥させて、次の工程で、成形しやすいように一つの塊(塊状)にする

  • 1.2 ニューセラミックスの代表的な原料工程

    - ①・2 噴霧・乾燥 工程 - 『①原料調合・混合・粉砕工程』で調整された「スラリー」は、 熱風を発生する装置「スプレードライヤー :熱風粉末乾燥機」

    で『①・2 噴霧・乾燥処理』を行う

    これは、次の重要な工程となる『②成形工程』で、成形型中

    での充填率および成形体の密度を高めるために、スラリーを

    乾燥させる成形前の工程となる

  • 2.1 ニューセラミックスの代表的な成形工程 - ②・1 加圧・成形 工程(プレス工程) - 『①・2 噴霧・乾燥工程』で生成した乾燥させた原料粉末を、

    「金属製の金型中に充填」し、上下方向から圧力を加えて

    (一軸加圧,プレス成型)、高密度な成形体をつくる手法

    寸法精度が要求される、「複雑な機械部品等の成形」に適

    した手法かつ量産性の高い成形方法

  • 2.2 ニューセラミックスの代表的な成形工程 - ②・2 冷間静水圧加圧成形(CIP) 工程 - 『①・2 噴霧・乾燥工程』で生成した原料粉末を、ゴム製型 中に充填し、蓋をして、水が入っている高圧容器内に入れ、 水圧を高めて、全方向から等方的かつ均一に加圧し、均質・ 高密度な製品形状に近い成形体をつくる代表的な成形方法 『CIP法』・・・大型,厚みのある製品の成形に適した方法

    CIP:Cold Isostatic Press

  • 2.3 ニューセラミックスの代表的な成形工程

    - ②・3 押出成形加工 工程 - 乾燥原料粉末に、水やバインダーなどを加えて粘土状にし、

    これに圧力を加えながら金型を用いて『押出し成形する方法』 金型内で原料を押出すため、同一断面形状を持つ円柱体

    やTまたは+型ブロック等(長さ方向に形状を有する成形体)

    の成形に適した方法

    図 円筒形金型中での押出成形加工 を用いた円柱体(左)と+型ブロック 成形体の製造工程(概念図)

  • 2.4 ニューセラミックスの代表的な成形工程

    - ②・4 射出・鋳込成形 工程- 乾燥させた原料に樹脂を混合し、加熱溶融させ、流動性を 付与し、『高温の金型中に射出し、成形する方法』 『鋳込成形法』は、「混合原料粉末に溶媒等を加え、吸水性 の型中に流し込む方法(高温の溶融原料を金型中に鋳込み これを冷却し成形体を取り出す)」であり、『射出,鋳込成形』 共に、高い寸法精度が要求される、複雑な三次元形状を有 する成形に適した方法

  • 2.5 ニューセラミックスの代表的な成形工程 - ②・5 テープ成形 工程 - 原料粉末にバインダーと溶媒を加えた「スラリー」をつくり、

    薄いテープ形状の成形体を連続的に作る方法 『テープ成形』では、一般に均質なスラリーをフイルム上に

    薄く延ばして成形する 『ドクターブレード法』 が用いられる

    薄いテープを積層して作る『IC用のセラミックパッケージ』や

    『積層セラミックコンデンサ』などの製造に適した成形方法

    - ②・6 切削加工 工程- セラミックス製品は大変硬いため、 出来る限り焼結前に、ダイヤモンド 砥石や超硬工具を用いた研削加工 を行うことが不可欠となる (焼結後の切削加工は極めて困難)ため、焼結前に切削加工

  • 3.1 ニューセラミックスの代表的な焼成工程 『焼結・焼成工程』は、「セラミックス成形体(充填率:約60%) を、融点以下で加熱し、粉体同士を合体させることで緻密化 を進行・促進」させ、気孔のない緻密・焼結体を得る 高温のセラミック粉体は、微細球状粒子の接触点を介して 互いに界面拡散を起こし、粒子は一体化(合体・緻密化)する 『焼結方法(焼結条件)』には、真空中、大気中、不活性ガス 雰囲気中で行うなど、目的に応じて種々の方法がある

  • 3.2 ニューセラミックスの代表的な焼成工程 - ③・1 成形・焼成工程 (ホットプレスHP)-

    高温下で成形体に高い圧力(一軸加圧)を加えて、内部に 気孔(空隙)のない緻密な焼結体を得る代表的方法 「カーボン製の型中に原料粉末を充填」し、高温に加熱後、 上下方向から『カーボン製ラムにより加圧し、焼結体を得る』 (※ 短時間での緻密・ 焼結体の成形と焼結 が可能 但し,平板,円板等 の単純形状を有する 成形・焼結に限定)

    ホットプレス:Hot Press

  • 3.3 ニューセラミックスの代表的な焼成工程

    - ③・2 熱間静水圧加圧焼結(HIP) - 高温状態で原料粉末に周囲から等方的にガス圧を加えて、 焼結反応を促進させ、高密度な焼結体を作製する方法 通常、最初に予備焼結を行い、成形体の密度を理論密度 の95%程度まで高めた後、加熱炉を組み込んだ圧力容器に 入れ、加熱と同時に1,000~2,000気圧のガス圧を等方的に 加える焼成方法

    (HIP:Hot Isostatic Press)

  • 4.1 ニューセラミックスの代表的な 研削・接合工程 - ④・1 研削・研磨 - セラミックスは高硬度を有するため ダイヤモンド砥石等を使って寸法精 度の高い製品や鏡面に研磨された 製品を作る重要な仕上げ加工・工程

    4.2 ニューセラミックスの 代表的な研削・接合工程 - ④・2 メタライズ - 焼結体表面に金属粉末や導電 ペーストを塗布し、熱処理を行い、 セラミックス製品の表面に金属層 を形成し、導体パターン(回路)や 気密封止処理などを行なう工程

  • 4.3 ニューセラミックスの 代表的な研削・接合工程 - ④・3 接合・接着 - セラミックス製品同士やセラミック ス製品と金属や樹脂を接着材など を用いて一体化させ、複合・実用製 品として付加価値を高める重要な工程 ( 例えば,IC回路用基板は、セラミックスに 電子回路が集積された半導体Siを実装する ための無数の配線用電極が接合される)

    5.ニューセラミックスの代表的な 検査工程 - ⑤ 製品検査 - 高度な測定・計測・検査技術を用いて、 セラミッックス製品(知識集約型製品)の 高い機能特性を検査する最終工程

  • ①集積回路IC(Integrated Circuit)

    :半導体で構成された電子回路 複数の回路が複数の端子を有する

    小型パッケージに封入されている

    (・・・多数の素子を一つにまとめた

    電子部品)

    ②大規模集積回路LSI (Large Scale Integration)

    :1970年代に開発されたコンピュータ

    のメインメモリ用電子部品

  • 焼結(焼成)工程 『焼結工程』では、圧縮成形されたセラミック人工原料(充填率約60%)を、融点以下で加熱し、粉体粒子同士 を合体させることで緻密化を進行・促進させる 高温のセラミックス成形体は、粒子の接触点を通じて 互いに物質移動(界面拡散)を起こし、一体化させる 焼結方法は、真空中、大気中および不活性雰囲気中 など、目的に応じて種々の条件下で焼結を行う

  • [1]セラミックスの焼結法 『焼結法(Sintering)とは何か』

    [定義]:粉末成形体を融点以下の温度に加熱して、

    粉末粒子が互いに表面拡散し、多結晶焼結体

    に変化する現象

    (1)焼結体(多結晶体)の分類[・・・焼成状態による分類]

    ①多孔質体(:ポ-ラス体)

    ②普通焼結体

    ③緻密焼結体

    1.焼結反応の促進:原料粉末の合体反応の促進

    2.内部に空隙(残存ガスに起因)のない焼結体

    ・・・ 『ニュ-セラミックス,ファインラミックス』

    従来型セラミックス (窯業製品)

    (界面拡散)

    ファインセラミックスの製造法

  • (2)焼結過程 ① 『焼結初期(:低温焼結)』 = 「焼結反応前期段階」 ・・・焼成前の粉末成形体と変化は殆どない状態 ( ⇒ 粉末粒子間に大小の空隙(隙間)があり、 気孔率は30~50%程度の多孔体) ② 『焼結中期(:中温焼結)』 = 「焼結反応中期段階」 ・・・粉末粒子間の界面拡散反応が進行し成形体の収縮に 伴う気孔の減少が開始する ③ 『焼結終期(:高温焼結)』=「焼結反応後期段階」 ・・・粉末粒子間の気孔が消滅し、結晶粒が成長する (⇒粉末粒子どうしの界面反応(拡散)に伴う粒成長の発生) ↓ ex.【 Al2O3セラミックスの焼結過程 】 に伴う ①外観(成形体の形状)[:図3.4参照] ②内部変化(成形体の密度,収縮率)[:図3.5参照] ③組織(微細構造)変化[:図3.6参照]

  • 図3.4 Al2O3セラミックスの 図3.5 Al2O3セラミックスの 焼成温度と外観変化 焼成温度と(a)密度と (左から1000,1200, (b)収縮率 1400,1500,1600℃)

    Al2O3セラミックス ・・・焼成温度が高くなるに従い 収縮率と密度が1200℃付近 から急激に増大 ⇒ 『緻密化の進行』

  • 図3.6 Al2O3セラミックスの 焼成温度と内部微細構造 の変化(電子顕微鏡写真)

    Al2O3セラミックスの微細構造変化 ①1200℃まで :内部に粗大な気孔が残存 ②1400℃ :内部の気孔は減少するが、 粒子界面の拡散は進行中 ③1500℃以上 :マクロ(左),ミクロ(右)観察 結果共に、緻密焼結体生成 を示す微細構造

  • (3)焼結による粉末粒子の形状変化(:焼結反応の概念) [:図1 参照] 『焼結による粉末粒子の形状変化』 ⇒ 『緻密焼結体ニューセラミックスの生成過程』 (a)焼結前期段階(低温焼結):焼結前の成形体と変化なし (b)焼結中期段階(中温焼結):粉末粒子どうしの界面拡散反応が 進行し、気孔減少に伴う収縮の発生[:L→L’]

    ※ 焼結反応が進行し、「焼結後期段階(高温焼結,(c))」になると 粒子間の気孔が完全に消滅し、1つの球状粒子に成長する [ ⇒ 直径L”の球体 に移行(・・・ L’→ L”( L’>L” ))]

    L”

    図1 セラミックス焼結体の緻密化機構

    (c)

  • [2] ニュ-セラミックスの製造法

    ニュ-セラミックスの製造法 [:図3.1参照] (1)一般的製造法 ・・・『多結晶体・焼結法』 (:原料調整→成形→焼結:通常の工程) (2)特殊製造法 ① 繊維製造法 : 複合材料 へ利用(FRP、FRM) ② 単結晶製造法[:図3.2,図3.3 参照] ③ 結晶化ガラス製造法,④非晶質体製造法 ⑤ 薄膜製造法,⑥ 表面コ-ティング法 ガラス すなわち アモルファス を利用 → ナノテク、 ナノマテリアル へ移行

    薄膜プロセス

  • 図3.1 ニュ-セラミックスの製造法

  • [3] セラミックスの種々の焼結法

    (1)ホットプレス法(Hot Pressing:HP法)[:図 参照] :カ-ボン製の型(ダイス)内に原料粉末を入れ、高周波加熱 により加熱しながら加圧(上方から1軸加圧)・焼結する方法

    【圧力】:200~400kg/cm2 【温度】 SiC :2000~2200℃ Si3N4:1700~1800℃ 【特徴】 :高温,短時間での 緻密焼結体製造が可能 (高純度,高密度の 緻密焼結体製造法 )

    図 ホットプレス法

  • (2)反応焼結法(Reaction Sintering:RS法) :固相の原料成形体に気相あるいは液相を化学反応させ、 セラミックスの合成と緻密化を同時に行い焼結体を得る方法 ex.1) Si3N4の反応焼結 :Si微粉末成形体を窒素雰囲気中で加熱・化学反応 3Si+2N2→Si3N4 ex.2) SiCの反応焼結 :SiCの成形体とC粉末からなる成形体をSiの気相 または液相と高温で反応させ、SiC+Siの焼結体を得る (・・・焼結体の気孔にSiが充填 ⇒ 緻密化を促進)

    (3)常圧焼結法(Pressureless Sintering:PLS法) :大気圧下,各種雰囲気中で、焼結助剤(バインダ-)を 用いて緻密に焼結させる方法 ⇒ 『一般的なセラミックスの焼結方法』 【特徴】:複雑形状の焼結製品の製造が可能で、生産性に 優れる

  • (4)熱間静水圧焼結法:HIP法(Hot Isostatic Pressing) :不活性ガス雰囲気を圧力媒体として、周囲から等方的 に加圧しながら高温で焼結する方法 例)Si3N4のHIP法・・・圧力:2000気圧,温度:2000℃

    (5)ガス圧焼結法:GPS法(Gass Pressure Sintering) :非酸化物系セラミックス(例えば,Si3N4 )の成形体を 50~120気圧のN2ガス雰囲気中で1800~2000℃ の 高温状態で焼結を行う方法 (6)2段焼結法:PS法(Post Sintering) :新しい焼結法で、反応焼結法と常圧焼結法を 組み合せた手法 例)Si3N4の焼結法 [・・・ Si3N4の緻密焼結体製造法]

  • (7)化学気相析出法:CVD(Chemical Vapor Deposition) :加熱領域に原料ガスを導入し、化学反応により非揮発性 物質を基板上に析出させる方法[:図3.7 参照]

    【特徴】 ① 材料の融点より低い温度で合成できる ② 高純度,高密度のものが合成できる ③ 2元素以上で構成される材料の組成制御が可能 ④ 結晶構造を制御でき、特定の結晶面を配向可能 ⑤ 薄膜中の粒子径を制御できる ⑥ 焼結に必要な粘結剤や焼結助剤が不要 ⑦ 複雑な形状の焼結体に被覆できる ⑧ 準安定状態の物質の合成が可能 ⑨ 多層被覆(表面コーティング)が容易にできる

    1.各種半導体用薄膜, 2.アモルファス太陽電池用薄膜 3.ダイヤモンド薄膜(コーチィング,微粒子) など 各種ガスを出発原料に用いた多くの薄膜材料の作製に多用

  • 図3.7 CVD法による工程概要 図3.8 セラミックス焼結法の比較

  • [4] 一般的なニューセラミックスの製造工程 『セラミックスの製造工程』 [:図3.9 参照]

    (1)原料調整

    (2)成形

    (3)焼成(焼結)

    図3.9 セラミックスの製造工程と特性の関係

    *沈殿方法 ①金属イオンを含む水溶液 +アンモニア水と混合 ↓ ②金属水酸化物を生成 ex)Al2O3の場合 Al2(OH)3:水酸化アルミ が出発原料 ↓ ③分解・仮焼させ 原料酸化物を作製 (ex.Al2O3人工原料粉末)

    *

    セラミックス原料粉末の製造工程

    (・・・各製造工程における諸因子が、 焼結体(最終製品)の特性を支配する)

    最終製品となる 「セラミックス焼結体 の特性支配因子」

  • IC基板の製造工程 『焼結』:成形体を加熱・熱処理(焼結)によって粒子同士の拡散を促進 ⇒ 相互拡散の促進や緻密な焼結体を得るために焼結助剤の添加 ex.Si3N4の焼結・・・焼結助剤:MgO,Y2O3を添加 ※ 『焼結法によるファインセラミックスの製造プロセス』[:図3.10参照]

    図3.10 焼結法によるファインセラミックス(IC基板)の製造プロセス

    【重要】 『 ニューセラミックス の製造工程 』

    ① 人工原料粉末の 成分調整・混合工程 ↓ ② 成形体の作製 (焼結前工程) ↓

    ③ 焼結(焼成)工程 ↓ ④ 最終製品化 (仕上げ工程)

    ① ② ③ ④

    *成形、焼結 促進用添加剤

    (有機物系 バインダー)

  • 『補足』 【酸化物系セラミックス製品の内訳】 (1)ファインセラミックス(ニュ-セラミックス):80% ① エレクトロニクスセラミックス(・・・電子・磁気関連) ② エンジニアリングセラミックス(・・・機械・構造用) ③ バイオセラミックス(・・・生体・医療・治療用) (2)窯業製品:20%

    ①エレクトロニクスセラミックス 絶縁体、誘電体、圧電体 半導体、永久磁石材料 磁気記録材料 など

    ②エンジニアリングセラミックス 機械的機能を有するもの 耐摩耗、切削、耐熱材料 など

    ③バイオセラミックス 生体適合機能を有するもの 人工骨、人工歯根材料 など

    セラミックス人工骨 リン酸カルシウム :Ca3(PO4)2

    バイオセラミックス

  • 『製造方法の飛躍的な進歩』 (1) 微視的(ミクロ)構造の制御が可能 ⇒ 電気・電子・磁気的機能特性に有効 (・・・誘電性,圧電性,半導性,磁気特性 等) ① 添加元素,② 高純度・微細化,③ 焼結条件制御 等 (2) 巨視的(マクロ)構造の制御が可能(⇒ 構造欠陥除去)

    『ファインセラミックス原料粉末の条件』 ( ⇒ セラミックス製品の製造に対する最重要因子) ① 粉末形状が等方的

    (・・・真球形状が最適) ② 粒径が均一かつ超微細 ③ 高純度(人工原料) ④ 構成相を制御可能

    ニューセラミックスの人工原料粉末

    ※ 『セラミックス原料粉末』は、①気相法、②固相法、③液相法 (共沈法・化合物沈澱法・加水分解法)などの方法で作製される

  • ダイヤモンド構造 と グラファイト(黒鉛)構造 (炭素C の 第1形態 と 第2形態 の構造)

    sp3混成軌道を形成 (最も安定な電子対を形成)

    C原子同士がsp2混成軌道を形成 正六角形の平面構造,六方晶構造 (・・・層と層の間(面間)は 弱いファンデルワールス結合)

  • 単位胞中にsp3混成軌道 (正四面体構造)が4つ存在

    1Å=10−10 m = 0.1 nm

  • 燃料電池(fuel cell) 電気化学反応によって電力を取り出す装置 :-極の水素と+極の空気中酸素等を常温または高温環境 で反応させることにより、継続的に電力を取り出すことがで

    きる発電装置 ⇒ 水素を補充することで連続的発電が可能

    『燃料電池の種類』 1 固体高分子形燃料電池 (PEFC)

    2 りん酸形燃料電池 (PAFC)

    3 溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC)

    4 固体酸化物形燃料電池 (SOFC)・・・セラミックス燃料電池

    5 アルカリ電解質形燃料電池 (AFC)

    6 直接形燃料電池 (DFC)

    7 バイオ燃料電池

  • 燃料電池 『固体酸化物形燃料電池(SOFC,Solid Oxide Fuel Cell)』

    電解質に酸化物イオンの透過性が高い安定化ジルコニア

    ZrO2 等の『ペロブスカイト酸化物イオン伝導性セラミックス』

    を用い、空気極で生成した酸素オンO2-が電解質を透過し、

    燃料極で水素と反応させ、電気エネルギーを発生させる

    水素だけではなく天然ガスや石炭ガス等も燃料として用い

    ることが可能で、発電効率も高く、すでに56.1%LHVを達成

    し、家庭用・業務用の1kW-10kW級としても開発されている

    電極材としては導電性セラミックスを用い、火力発電所の

    代替などの用途が期待されている

    日本では2009年6月世界最高レベルの63%の発電効率を達成している

    注)LHV(低位発熱量基準):燃料が燃焼した時に発生するエネルギー

  • 光ファイバー用セラミックス材料 石英ガラス(SiO2)製光ファイバーは、1秒間に地球を5周程度回る速度(秒速約20万km)で大容量のデジタル信号を高速伝送し、損失量は1kmで数%程度と極めて小さい

  • 1) 『ナノセラミックス』 の定義

    :ナノサイズの超微細結晶粒からなる「ナノ多結晶体」やナノレベルの超微細構造制御が可能な「無機膜」などがあり、ナノ粒子化により機能特性(電気・電子・磁気特性)や構造特性(超硬度、超延性など)の顕著な改善を可能とする「次世代社会を牽引する新たな材料」

    「無機材料研究(セラミックス材料)」の新たな展開を可能とし、特に「環境保全・新エネルギー関連」への応用が期待

    応用例:「ナノ光触媒」 ・・・ex.酸化チタン:TiO2 ①地球温暖化防止・環境浄化用材料 ②環境ホルモンの分解用材料 ③光触媒デバイス用材料 ④色素増感型太陽電池 など

  • 高温高強度セラミックス材料 - 金属に代わる次世代構造材料 -

    1.自動車用材料

    ①排ガス浄化用セラミックス

    HC(炭化水素),CO(一酸化炭素),

    NOx,SOx(窒素,硫黄酸化物) 等

    を吸蔵させる触媒用セラミックス担体(吸着フィルター)

    ②排気ガス測定センサー用

    ③スパークプラブ

    (ガソリン着火素子

    ・・・自動車への

    最初の応用)

  • ④エンジン用セラミックス

    ・・・高温・高強度・活性雰囲気

    ・冷却不要な高性能エンジン

    ⑤ターボチャージャー

    ・・・高温・高強度・軽量特性を

    有する高性能ターボチャジャー

    (窒化珪素Si3N4)

    『セラミックエンジン』 :エンジン部品(シリンダ、ピストン、ターボチャージャー等) にセラミックを使用することにより性能向上を目指し展開中 ⇒ 今後のさらなる研究開発が急務