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SNS先進国、
日本独自のマーケティング理論と実践
2012年7月27日
慶應義塾大学
清水聰
消費者を取り巻くこの10年の変化
• インターネットの普及(30%→90%へ)。
• 情報武装した情報先端消費者層の多様化。
• 情報発信する消費者の増大と情報格差。
1)情報先端層の活用の可能性
→情報源として潜在顧客が先端層のクチコミを活用
2)新しい意思決定プロセスの必要性
→購買までで終わるのではなく購買後の影響を加味した包括的意思決定プロセスが必要
1) 先端層の研究
• 「イノベーター」:早めに採用、カテゴリーヘビーユーザー。
• 「オピニオンリーダー」:他者への影響
• 「リードユーザー」:商品開発に活躍
• 「インフルエンサー」:他人に影響する人
• 「マーケットメイブン」:市場の達人
• 情報量が多い時代、他人に影響を与える人や、企業にとって有益な情報を提供する一般人が増えてきている。
2) 消費者の意思決定プロセスの研究
• 刺激反応型:購買の場での刺激で購買
• 情報処理型:認知、関心、情報収集、態度決定、購買。
• AIDMA:広告メッセージの到達モデル
• AIDEES、AISAS:購買後の情報発信を考慮したモデル
• SIPS:クチコミがスタートの購買モデル
→ インターネットの登場でさまざまな購買パターンが登場
すべてを網羅した意思決定の概念モデルは存在しない
1) 先端層についての研究事例
マイボイスコムと読売広告社は、独自のライフスタイルによる生活者分類を行った34,000人のオリジナルパネル(キキミミパネル「33-Voice」)を構築し、2010年6月よりサービスを開始しました。
□ 10年間の調査データを活用/慶應義塾大学商学部 清水聰教授との共同研究を 基にしたYOMIKOオリジナルのライフスタイル分類を適用
□ 約35万人のマイボイスモニターのうち、首都圏、関西圏の約3万4千人を調査、組織化
□ 情報感度に大きな違いのある、5つのセグメントに分類
マイボイスコム+YOMIKO パネル 読広生活者調査Canvass 1,715人×10年
マイボイスモニター 35万人
「従来のマーケティングで注目されていた高感度層」
→ この人達が好む商品はヒットする可能性が高い
キキミミパネル33-Voice を活用することで、従来の指標(市場シェア、POSデータ、ブランドの歴史)では 判別できない「ブランドの力(パワー)・活力」を定量的に把握することができます。 また、これらの調査パネルに対して、郵送調査やグループインタビューなどを実施することも可能です。
情報感度
高
情報感度
低
はや耳 聞き耳 むれ耳 そら耳 とお耳
「従来のマーケティングで無視されていた情報感度の鈍い層」
→ この人達が好む商品は、市場から退出する危険性が高い
ヒット商品の情報共有をしている人の構成比をみると、
情報先端層(ここでは聞き耳層)の割合が非常に大きい。
情報先端層の行動:本当に情報を伝達しているのか
3.4 4.2 3.7 4.3 4.1
12.3 15.225.4 26.7 29.7
57.659.6
59.3 58.5 57.7
8.57.8
4.7 3.718.2 13.36.7 5.8 4.75.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
セグメント 認知あり 探索あり 購入あり 共有あり
%
はや耳
聞き耳
むれ耳
そら耳
とお耳
キリン フリー
情報感度の高い消費者は、よい商品での情報発信が多い。
誰が発信するのか、が情報の質を決める。
情報共有までのステップとの構成比
3.4 4.7 5.3 1.1
12.318.8 20.3
39.150.8
57.6
58.9
50.642.6
8.5
6.4 5.14.6 3.3
18.211.1 10.5
4.6 3.3
0.0
59.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
セグメント 認知あり 探索あり 購入あり 共有あり
%
はや耳
聞き耳
むれ耳
そら耳
とお耳
オリンパス マイクロ一眼 PEN
3.4 4.2 2.3 1.4 0.9
12.316.6
36.345.9 51.3
57.659.4
52.341.4 35.9
8.57.1
4.4 6.818.2 12.84.7 6.3 5.1
5.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
セグメント 認知あり 探索あり 購入あり 共有あり
%
はや耳
聞き耳
むれ耳
そら耳
とお耳
特に情報の2番目の先端層の動きに注目。 最先端の人が必ずしも情報共有しているわけではない。
情報共有までのステップとの構成比
ハウス めざめるカラダ 朝カレー
この分析からの示唆
• 情報感度の高い層の方が、ヒット商品についての情報収集、購買、情報発信する割合が高い。
• 特に最も情報感度の高い層が、必ずしも発信しているわけではないことに注意が必要。
• 誰が情報発信しているのかを注目すべき
2)クチコミがきっかけになることの分析
• 大日本印刷との共同研究(メディアバリュー研究)
• 2000年以来、消費者の意思決定プロセスごとに触れているメディアについての調査を行う。
• 購買に至るまでの段階で、どのメディアに触れているのかを、2006年の調査と2011年の調査で比較。
• サンプル数は900。
DNPは、インターネットが普及し始めた2001年から、
コミュニケーション環境の変化に伴う生活者の変化や購買行動の
変化を捉える生活者調査研究に取り組んでいます。
加工食品(2006)
チラシ広告
友人知人+家族
家族からの情報
友人知人からの情報
テレビ
メーカー店舗サイト
コミュニティ・ポータルサイト
その他
メディア接触なし
メディア接触なし
友人知人のみ
ネット情報
家族情報メイン
家族情報+テレビ
家族情報+友人知人
テレビメイン
店員からの情報メイン
家族情報+友人知人+チラシ
その他
テレビ+チラシ
ネットメディア利用
友人知人+テレビ
家族
テレビ
その他
友人知人+チラシ
メディア接触なし
メディア接触なし
友人知人+家族+ネット非利用
友人知人のみ
店頭・チラシなどの小売の情報
友人知人または家族+ネット
雑誌
店舗・メーカーサイトのみ
テレビ
通販カタログ
その他
=100件以上
=40件以上100件未満
=40件未満
※赤線( )は、関心の高い生活者で特に見られた傾向。また青線( )については、関心の低い層に限定して見られた傾向となっている。
メディア接触なし
店頭販促
店員からの情報
友人知人のみ
ネット情報
家族のみ
テレビ
友人知人+家族
新聞
その他 メディア接触なし
テレビ利用
友人知人のみ
店頭メイン
チラシ利用
友人知人+雑誌
友人知人+通販カタログ
ネット利用
その他
友人知人
チラシ広告
家族からの情報
テレビ
コミュニティ・ポータルサイト
その他
店員からの情報
メディア接触なし
テレビ+チラシ
ネットメディア利用
雑誌+友人知人+テレビ
チラシ+友人知人
友人知人からの情報
新聞
テレビ
新聞+テレビ
テレビ+チラシ+雑誌
その他
メディア接触なし
加工食品(2010)
意思決定プロセスの参考情報源は変化しているのか
普段接触メディア 比較検討時
接触メディア
購買時
接触メディア
購買後
接触メディア
家電製品(2006)
=100件以上
=40件以上100件未満
=40件未満
家電製品(2010)
店員からの情報
メーカー・店舗サイト
テレビ
家族情報
その他
メディア接触なし
メディア接触なし
テレビ+メーカー・店舗サイト
テレビ+チラシ+店員
テレビ+雑誌
チラシ
テレビ+チラシ
店員からの情報
テレビ+店員
ネット系メディア
その他
店員からの情報のみ
メーカー・店舗サイト
テレビのみ
家族からの情報のみ
店員+家族
コミュニティサイト
店頭販促
その他
メディア接触なし
店員情報その他
テレビ+店員
メーカー・店舗サイト+店員
チラシ
店員からの情報のみ
テレビ
メーカー・店舗サイト
その他
メディア接触なし
家族からの情報
テレビ
店員からの情報
メーカー・店舗サイト
その他
メディア接触なし
店員からの情報のみ
パンフレット+店員
家族からの情報のみ
チラシ
店員+友人知人
メーカー・店舗サイト
その他
メディア接触なし
テレビ+店員
メーカー・店舗サイト
家族からの情報
店員からの情報
テレビ
その他
チラシ
メディア接触なし テレビ+チラシ+友人知人
チラシ
新聞+テレビ
メーカー・店舗サイト
パンフレット
新聞+テレビ+チラシ+雑誌+店員
店員からの情報のみ
雑誌
友人知人からの情報
テレビ+店員
新聞+テレビ+チラシ
新聞+テレビ+雑誌
新聞+テレビ+チラシ+店員
その他
メディア接触なし
※赤線( )は、関心の高い生活者で特に見られた傾向。また青線( )については、関心の低い層に限定して見られた傾向となっている。
1)と2)の分析より
• すべての層が情報を発信するわけではない。やや先端層(キキミミ)がよい情報を発信する割合が高い。
★ ネット利用者でネット上に情報を発信する人の割合は、2006年が17.1%、2010年は45.3%
• 加工食品では、まだまだクチコミ情報がきっかけメディアとはなっていないが、家電ではクチコミ情報がきっかけメディアとしても登場してきており、従来の情報探索のためのネットではなくなってきている。
→消費者の情報感度の違い、商品の違いを加味した新たな意思決定プロセスを考える必要性あり
購買に至るまでの行動 購買後の行動
購買の場での行動
・ 考慮集合の形成と情報接触
・ メディアへの接触
・ ・・・・ ・ TVCMなどのマスメディア
・ コミットメントの研究
・ 消費者満足
・ ロイヤルティ
・ Buzz ・ ・・・・ ・ ネットメディア
・ 態度変容・強化と店頭マーケティング
・ 商品購入時の購買意図
・ 非計画購買
・ ・・・・ ・ プロモーション
循環型マーケティングの
理論と戦略
・4P戦略はどう変るか
・新たな顧客マネジメント
消費者は何処からでも
購買のために入ってくる
循環を考えたコミュニケーションの枠組み
最初の段階から
入ってきたほうが
クチコミも強い
導入 成長・成熟期
最適な循環をつくるメディア・ミックスの提案が重要になる
マス→売場→Buzz→マス→売場→Buzz→・・・のリレーを
上手くつくり、話題になるかどうかが市場に残れるカギになるのでは?
最終的なゴール:情報循環と商品の普及
循環を確かめるための実験内容
1)マイボイスのキキミミパネルのうち、ブログを書いている人をピックアップ。
2)その中で、そのブログURLの閲覧許諾を得られた人の実際のブログを、ホットリンク社のブログデータからマッチング。
3)アサヒビールの新製品「ドライゼロ」をサンプル配布し、ブログを書いてもらい、その内容をテキストマイニングする。
4)サンプル配布前、配布直後、発売後1ヵ月後にビール類についての調査をかけ、当該パネルの意識や普段からの情報発信、また自らの発言が他人に影響力があったのかどうかを確かめる。
実験から明らかになったこと
• 情報発信しているのは情報感度の高い層だけではない。
• 発信するキーワードの数の違いもない。
• 但し、情報感度の高い層は自らの情報が、情報循環に役立つと考えており、実際その内容も濃い。
• キーワードの数やTwitterの数だけを見ていてもダメ。
• 情報を回してくれる層にいかに評価されるか、きちんと書いてもらえるかが大事。
• 実験のプラットフォームではなく、恒常的にデータが集められるプラットフォームを作成する必要アリ。
• 特に購買履歴と関連したフィールドが必要。