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物性理論研究室(S研)量子輸送理論グループ
(St研)
入試説明会2020.5.30
トポロジカル量子物性 スピントロニクス
D3 今井悠介D3 船戸匠D2 (G30) 中根丈太郎D1 山崎勇樹M2 中山那由太M2 太田涼介M2 小川祐巨M2 小津泰生M1 早川雄人
教授 河野浩スピントロニクス助教 山影相 トポロジカル量子物性G30特任教授 John Wojdylo
2018年度
OB 仲澤一輝 (現:東大PD)OB 山口皓史 (現:京大PD)
St研 【物性理論研究室 量子輸送理論グループ】
金属に電池をつなぐと電流が流れます。また、金属でなくても両端に温度差があると熱が流れます。このように「流れる」現象は輸送現象とよばれ、物質の性質(物性)の基本的特性のひとつです。最近では、磁石を構成する「ミクロな磁石(=スピン)」の流れ(スピン流)が様々な面白い現象を引き起こすことが分かってきました。また、このようなスピン流が、なにもしなくても常に流れている変わった物質が理論的に予言され実際に発見されました(トポロジカル絶縁体とよばれています)。これらの現象をエレクトロニクスに応用することにより、新たなエレクトロニクスを切り開く研究が活発になされています。St研では、このように、固体中の「流れ」に着目した研究を行っています。
「分属のすすめ」より
物性物理学の2つの側面
物質の性質を、物理学の法則に基づいて解明する学問
素朴な物質モデル (粒としての原子や電子の集合体)から一歩脱して、量子力学によって、物質内部で起こっている現象の本質を理解できるようになった。
学問的な必然性 + 近代生活の要請
「物性科学のすすめ」 近角聰信 (培風館, 1977)
超伝導 磁性 半導体
量子輸送理論グループ
河野 浩、 山影 相
物質の性質 物質の機能
磁性超伝導(強)相関電子系‥‥
スピントロニクスメゾスコピック系‥‥
(何の変哲もない物質でも、、)
トポロジカル物質ディラック電子‥‥
(一体状態でも、、)(多体効果、相転移)
M1の生活
・講義
・輪講(週1回)
・セミナー(週1回)
研究テーマをもらって研究を始める
・日常的に、指導教員(や先輩)と議論・中間発表(秋、遅くとも3月)
前期は忙しい期末にはレポート締め切りの嵐後期には「集中講義」も
各自、半年に1~2回発表する。(M1は後期から)先輩の研究の話、論文紹介。
量子統計力学、固体物理関係のテキストを1冊決めて、勉強(スタッフつき)。M1学生はレポーターとして説明する。先輩も参加(?)
物質理学専攻全体で国際シンポジウムの形のときは英語で発表
M2の生活
・講義
・輪講(週1回)
・セミナー(週1回)
研究の推進、完成。論文執筆。
・日常的に、指導教員(や先輩)と議論・中間発表(夏)
・修士論文発表会(2月上旬~中旬)
「集中講義」 くらい。
各自、半年に1~2回発表する。先輩の研究の話、論文紹介。
なし。(自主参加は歓迎)
研究室内で
研究室の行事
・昼食会
・St研夏の学校
・新歓・送別会、忘年会
・ ‥‥‥
事務連絡、など。研究室運営に関する相談。
ふつうの研究室並みに
学内で。リクレーションも企画(?)好きなテーマ(テキスト)を決めて勉強。M2以外はレポーターとして参加する。M2は修士論文の中間発表。
・学会出席(国内、海外)
・海外留学 (?)
人によっては、
St研での研究
河野 スピントロニクス
山影 トポロジカル量子物性
スピントロニクスの理論
河野 浩
物質の性質 物質の機能
磁性超伝導(強)相関電子系‥‥
スピントロニクスメゾスコピック系‥‥
(何の変哲もない物質でも、、)
トポロジカル物質ディラック電子‥‥
(一体状態でも、、)(多体効果、相転移)
スピントロニクス = スピン + エレクトロニクス
電荷 スピン
Be−
中心概念はスピン流
純スピン流 スピン分極流
電子回路(CPU, RAM, etc.)
半導体 補助記憶装置(hard disk)
磁性体
スピン流を介した相互転換新しい物性物理!
スピン流の生成、検出
検出
生成 電気、磁気、光、熱、力学的回転、、、
電気、磁気、光、熱、力学的回転、、、
検出
(Kerr?)
スピン ・スピン流の変換
スピン・スピン流
電気
磁気
光
熱
力学的回転
電気
磁気
光
熱
力学的回転
生成
(円偏光?)
Transformations to/from spin current (or spin)
generation detectionElectricity
Magnetism
Light
Heat
Mechanical rotation
SpinSpin current
電流による磁壁移動
磁壁
A. Yamaguchi, T. Ono, et al. (2004)
Ferromagnetic wire Ni81Fe19 (10nm)
中心概念はスピン流
スピン流を介した相互転換
スピン流の生成、検出
新しい物性物理!
純スピン流 スピン分極流
検出
生成 電気、磁気、光、熱、力学的回転、、、
電気、磁気、光、熱、力学的回転、、、
磁壁
伝導電子
物理的機構(スピン移行効果)
スピン移行効果
角運動量保存則(電子+磁化)に基づく効果
電子から磁化にスピン角運動量が移行することによる
スピン角運動量保存を破る効果(スピン緩和)も考慮した精緻な計算
スピン移行トルク
+ b-項(散逸補正)
数式で書くと、、電子のスピン流
磁壁のスピン
Newton 方程式
Schrodinger 方程式
Maxwell 方程式
巨視的法則と微視的法則
Eqxm =xEqxm −=
1mm 1m 1nm1cm 1A
m 10 10 10 10 10 10 10 10 10 1098765432 −−−−−−−−−
Macroscopic(巨視的)
Microscopic(微視的)
原子・分子
NTkPV B=
Ej =
Ht
i =
摩擦
電気伝導熱
気体の圧力温度
)( 2E=W
拡散nD−=jetc. ,/div 0=E
統計物理
SSSHS −= SHS =
スピンの運動
巨視的法則と微視的法則
1mm 1m 1nm1cm 1A
m 10 10 10 10 10 10 10 10 10 1098765432 −−−−−−−−−
統計物理
SSSHS −= SHS =
スピンの運動
H
S
H
S
Macroscopic(巨視的)
Microscopic(微視的)
原子・分子
スピン(磁化)の運動方程式の導出:電流の効果
スピン移行トルク b–項スピンの
減衰(摩擦)スピンのくりこみ
+
量子統計力学 (ファインマン図形)場の量子論+線形応答理論
1.電流による磁壁移動の理論
R. P. Feynman“Statistical Mechanics”
阿部龍蔵「統計力学」
Abrikosov, Gorkov,Dzyaloshinski「場の量子論における統計物理学の方法」
第2量子化グリーン関数、ファインマン図形
最近の話題 : 磁化反転・磁壁移動の新機構
q スピン軌道相互作用
q温度勾配
q スピン波
- ラシュバ型スピン軌道相互作用- スピンホール効果- ジャロシンスキー・守谷相互作用
Ni
Co
Pt
DW
スピン波スピン流:
q電場による磁化反転 - 磁気異方性の制御
山口(京大PD)今井(D3)
更なる藤本(北京PD)今井(D3)
最近の話題 : 物質の多様性による広がりも
q反強磁性体
q スカーミオン系
- もれ磁場なし- 高周波スピンダイナミクス
- 低電流駆動
仲澤(東大PD)、中根(D2)、太田(M2)
- トポロジカル・ホール効果
戸田(M2→就職)
q力学的スピン流生成機構(格子歪みなど)
qスピン-フォノン系の角運動量ダイナミクス
船戸(D3)、小川(M2)
中根(D2)
磁場中の MnSi
磁気渦
中根(D2)
2.フォノンによるスピン緩和の理論
ー角運動量移行の観点からー
Einstein-de Haas 効果スピン角運動量→ 力学的回転
格子振動(フォノン)の角運動量
軌道角運動量 スピン角運動量
スピンから結晶格子に角運動量が移行
J. J. Nakane & HK, Phys. Rev. B 97, 174403 (2018)
中根(D2)
修士論文
不純物ポテンシャル
+格子歪み
局所座標変換
T. Tsuneto, Phys. Rev. 121, 402 (1961)
実験室系 格子座標系
・スピン流・スピン蓄積
Skew 散乱 Side jump
スピン軌道相互作用
3.動的格子歪みによるスピン流生成
T. Funato & HK, JPSJ 87, 073706 (2018)
船戸(D3)
修士論文
磁性トポロジカル絶縁体表面
磁化
マグノン
マグノン
異方性磁気抵抗効果の“Magnon 版”
金属
絶縁体
4.トポロジカル物質を用いたスピントロニクス
磁化を y 軸方向に倒すと、
熱伝導度が異方的に:
x軸方向の方が y 軸方向より熱が流れやすい
→ 絶縁体でも、磁化の(面内の)向きを検出可能
2次元ディラック電子
(結果の例)
Y. Imai & HK, JPSJ 87, 073709 (2018)
今井(D3)
修士論文
Berry 位相による有効磁場
立体角:
spin
5.トポロジカル・ホール効果の包括的理論
有効磁場が非局所的に
スピンによる散乱の非可換性
cf.) 近藤効果
弱結合描像強結合描像
立体角構造(スピン・カイラリティー)をもつ磁化と相互作用する電子が示す(ゼロ磁場での)ホール効果
電場
→有効磁場(局所的)
仲澤(PD)
博士論文
6.反強磁性体のトポロジカルホール効果
FerromagnetAntiferromagnet
without canting with canting
→ 反強磁性体における創発電磁場
中根(D2)
修士論文
仲澤(PD)
今井(D3)
船戸(D3)
山口(PD)
修士論文
修士論文
修士論文修士論文+α
面白い現象を自分で考え出してみたい人
物質の性質を、物理学の法則に基づいて理解したい人
歓迎!
(新しい効果)
新たな物理学の法則を見つけてみたい人
(巨視的法則)
― 興味深い物質はいくらでも!
― 何の変哲もない物質でも!
― 物性物理は可能性の宝庫です!
トポロジカル量子現象トポロジカル絶縁体(表面に零質量ディラック粒子)トポロジカル超伝導体(表面に零質量マヨラナ粒子)トポロジカル半金属(零質量ディラック・ワイル粒子)新しいフェルミ粒子(スピン1フェルミ粒子, スピン3/2, 6/8重フェルミ粒子)
Web: http://www.st.phys.nagoya-u.ac.jp/
トポロジカル物質2
絶縁体
金属 トポロジカル(半)金属
超伝導体
絶縁体 トポロジカル絶縁体
電気伝導の観点からの物質の分類
超伝導体 トポロジカル超伝導体
金属
誘電分極量子化された交差相関応答
誘電率は物質依存 普遍定数
➢ トポロジカル不変量が普遍定数を与える.
➢ 表面にゼロ質量の相対論的粒子
トポロジカル量子現象
3
系 トポロジカル不変量 量子現象
磁場下の2次元系 チャーン数 量子ホール効果
2次元系 Z2指数 (Fu-Kane-Mele) 量子スピンホール効果
3次元系 Z2指数 (Fu-Kane-Mele) 量子交差相関応答
ディラック/ワイル半金属 チャーン・サイモン形式 カイラル異常
超伝導体 チャーン数, Z2, Z4, … 非可換統計
…… …… ……
新しいトポロジカル相(不変量)⇔新しい量子現象
最近のテーマ
4
1. 新しいトポロジカル物質の探索i. モデル計算・第一原理計算ii. 実験研究者との共同研究
2. 物質探索のためのトポロジカル相の分類理論
3. トポロジカル量子現象の探索
例1:新しいトポロジカル物質線ノード半金属
5
CaAgP
AY et al., J. Phys. Soc. Jpn. 85, 013708 (2016).
二階微分
-0.4 0 0.4 -0.4 0 0.4
kz (Å-1)
-0.4
-0.2
EF
実験(共同研究)による実証
第一原理計算のよる物質予測
トポロジカル不変量
例2:トポロジカル相の分類理論マヨラナ粒子
6
空間次元
「トポロジカル周期表」
結晶対称性&
超伝導対称性トポロジカル不変量
AY et al., Crystals 7, 58 (2018).どの結晶構造でどの対称性の超伝導がトポロジカルになるか一目でわかる
例3:マヨラナ粒子の異方的磁気応答
7
ゼーマン効果
スピン1/2磁場
真空中のマヨラナ粒子→磁気トロイダルのみ
磁気双極子
トポロジカル超伝導体表面におけるマヨラナ粒子
磁気八極子(演算子)
Spin-3/2
AY et al., Phys. Rev. Lett. 2019
最近のテーマ
8
1. 新しいトポロジカル物質の探索i. モデル計算・第一原理計算ii. 実験研究者との共同研究
2. 物質探索のためのトポロジカル相の分類理論
3. トポロジカル量子現象の探索
➢ 量子力学➢ 群の表現論
➢ 第一原理計算➢ ……
大学院生
9
山崎勇樹(D1)「マヨラナクラマース対の電磁応答」
中山那由太(M2)「線ノード半金属における歪による電子状態エンジニアリング」
小津泰生(M2)「マヨラナ粒子の非可換統計の安定性」