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Title 景氣觀測について Author(s) 祭原, 光太郎 Citation 經濟論叢 (1934), 38(5): 1049-1061 Issue Date 1934-05-01 URL http://dx.doi.org/10.14989/130443 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

Title 景氣觀測について 經濟論叢 (1934), 38(5): 1049-1061 ...景気観測 Jコ U 、て 祭 光 太 郎 原 て企業鰹醤に於ける必要 如何なる商人 k 雄も、景気について闘心を持たぬものはない。勿論景気の影響を受〈るこ左の

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Title 景氣觀測について

Author(s) 祭原, 光太郎

Citation 經濟論叢 (1934), 38(5): 1049-1061

Issue Date 1934-05-01

URL http://dx.doi.org/10.14989/130443

Right

Type Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

Kyoto University

Page 2: Title 景氣觀測について 經濟論叢 (1934), 38(5): 1049-1061 ...景気観測 Jコ U 、て 祭 光 太 郎 原 て企業鰹醤に於ける必要 如何なる商人 k 雄も、景気について闘心を持たぬものはない。勿論景気の影響を受〈るこ左の

-A逗回毎六局ユヤ-旦恵三層圏

a--s可《健司-周一図書符巳

ff電量日ー-J"J ~弓主~. JIlil If習;

f

相績税Z登録積三の交錯:・::・:::・法章博士神戸正雄

節約の矛盾について

::::JE--:;"文準博士高田保馬

人口調密の原因親、•...

2こ博士財部静治

日蘭合商の諸問題:ゃい;;市市-何世申立-博士谷口吉彦

調

4州

北海道鯨定置漁業に於ける漁場動員・経由主主岡本清造

麿

Y

ドオの比較生産費説について一・・:純一空宇土朴克釆

景気観測について・:・:・・・:・経済率士祭原光太郎

靖張再生産式について:・・・・経濁率土柴田敬

肥前有阻陶業の禁蓮・:・・経済宰士江頭恒治

新着外園鰹済雑誌主要論題

一一

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JコU 、

て企業鰹醤に於ける必要

如何なる商人k雄も、景気について闘心を持たぬものはない。勿論景気の影響を受〈るこ左の

多き色のL」少きものと,かあるじせよ.彼等が闘民経済の

何一口

2

2一旦左して存在してゐる限り、

多かれ少なかれ、岡氏極構の経験するかの景気的動搭に訴して無関心であることは出来ない。商

一日で云ふと、安

t買って高〈責ると云ふこ主である。これは或る意味に於て、景

気の症を巧みに利用することに外ならないと云へょうぷ或る商人は衣の様に云ふ亡きうである。

ヨロ月出回邑巳町門長印刷ハ

5叩円切り

HF『gNgE田口ENg-垣内一

nr巴

nFE白品

ロ}P57円三日間内

σ2・zし

買の本質は、

かしこの言葉は、純粋の投機でない限り・そのすべてが正しいとは云へない。

ドイツの艦管経済皐に於ては、ナチスの統制的支配が漸次濃厚となり来った今日に於ては兎も

魚、従来謂ゆる利盆概念の研究の中心問題の一つは、利益を控答利益と景気利益とに分離するこ

と、換言すれば、利盆源泉の探究にあつにこL」は周知のことである剖か〉る分離が可能なりや否

やは別とし、企業が利潤の獲得を経緯目上の指導原則とする限り、経替建行上景気観測は必然に要

景集観測にづいて

第三十人倉

一O四九

第五披

-4 -

Brasch, Konjunkturvo.回 ussagedUTCh KODj1.lnkturforschung Be廿ー Rundsch.1925・s. 3z. SchAr, Hande!sheITiebs!ehTe. 5 Auf.. s. <1∞. 山本安夫郎氏、組織間宮としての企業目指導。法と経済、第一理署第三獄、 p.8rHaX, K., Der' -<J~",:innbegriff. ロ 4". Jletrieb叩 Irt,chaIts!ehre. 1926. .S. 118. Du日lUund,Der betriebswirt:schaftJ.J:.che Ge'wnnbegriff in seinel" historIschen

)))

234E

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最ム気掛測について

第三十A巻

第五競

一一一四

一O五O

求守られるのである。

景気に劃する闘心は、ひとり商人に限ったととではない。消費者も亦、これに劃して常に注意

を排はギ目、るを得ない。作家計に於ては、効用又は一醐利と云ふ立場から、景気観測に劃する切貨なる

要求が生れて来る。更に岡山家と一五ふ立場からするも、景気政策はその経糟政策の重要なる一項目

を形成するが、景気観測はか、る景気政策の不可映なる前提をなすのである。

しかしこh

では立場を先づ企業家に限定する。ところで宕しm厳密に企業家の立場から、景気の

問題を取り扱ふことになると二般景気よりもむしろ、より直接的なる部門景気、夏に謹んでは、

静岡該企業固有の景気吉宮笠宮=}EZ2巳

=RC252V-E--m)を問題とせねばならない。しかし乍

一臆岡民粧掛の一一般景気を問題とする。

ら、先づその漁備的段階として、

ドイツに於げる経替艇祷摩の腫系中.景気観測は如何なる位置を占めてゐるかと云ふ問題がめ

る。しかし乍ら、経替皐の腫系が未だ必やしも確立されて居らや、殊に、経管串の串間的性質自

〆躍が問題とされてゐる程であるから、この問題は不可能でもあり、亦無意味でもある。

一般に経替経済串の立場から、景気の問題を取扱つ七色のは、相官の教に上ってゐる。経蝕官経

持皐者の手になったもので特に有名なものとしては、ロ2gnFのヨ開。とgrZ円Z

ロ仏

Cロ同町『RFSEm.‘

があり、夏じ最近∞円FEeが奮著を増補して、=田町豆町σz-EnEP--nFmH内OEYロrE『一mF5E(昌也)

を公にしてゐる。しかしこ冶では唯普通の意味に於る景気観測を問題とするに過ぎない。

Entwic1<lung. 1929. S. IJ2・l¥Iorgenstern, U., ¥¥'in:schaftpτog1ll0se. 1928. S. .3 L

J. H. Richaτdl'lnn. Businelis Forf'casling. "1931・T九時参照。COlltre cl)経瞥華文献目録 (S.146. 1931版)、経傍A経寝耳、第二令第二F猿 0・16口〉など参照。最近吾固に於ても材木教授監修「粧瞥研究」第二巻第一放は「最長託と経替」なる題目に捧げbれてゐる。

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企業の立場から、景気なるものが如何に解されるかを極〈簡単に考察しよう。慨に単〈

印円円MMF『

はその「商事経管皐」の第一版。

2きに於て、景気が商事経替の上に及ぽす影響を認識し乙れを

捕捉せんと企てむ。企業は一五ふ迄も無く謂ゆる耽盆性をその指導原聞とする色のであるが、かが

る牧盆性に作用する色の、影響するものとしては、幾多のものが翠げられる。牧盆性に作用する

ものを偲に牧益要素と名付けると、それは二つのグ

ylプに分つことが出来る。帥ち一つは経管

内的要素であり、他は鰹管外的要素である。経持者が意志的に支配し得る粧品管内部(経符の合理

の彼方には、個別鯨涛の錯綜から生やる外部の領域が績はってゐる。景気はかh

る外部

化など)

の傾城から、企業の生活佐木質的に揺り動かす諦カの一つであると考へられる。その限りに於て

景帯熱は「個別甑掛の運命に劃して決定的なる色の」

(FEZ-A)であり、個別経持が常に「曝されてゐ

るところの知ることを得ない、評債することを得ない叉支配することの出来ない

gam-戸

EZR,

EEmg」(ωnE呂町)でめ80

二、鰹潰の構成と運動

艦験卦象として吾冷に興へられであるのは、

云ふ迄色なく一つの祉舎である。五日冷はこの様な

枇舎から、ある方法に従つで、経済世舎と一五ふ一つの認識調象を形成する。さでかうして作り上

げた経済世舎を視察すると、それはまこkに動播種轄極り無き委・と豊富にして多彩なる歴史を有

第五誠一二五

景気概測について

第三十凡巻

O 五

p,叫8)

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景h

無視測について

第三十八巻

一一ームノ、

一O五ニ

第五弦

じてゐる。さし嘗り資本主義経摘を考察する。経済は資本主義なる段階に入りてより、特に驚〈

ペき念激なる稜展を途げたυ

人間の闘心は、何よりも先づ、この経済なる生活領域に向けられ5

るを得ないのである。それは時冷刻冷に動指麺轄し、瞬時といへども静止することがない。しか

もかうる絶えまなき動揺捷飢の中にありで‘経梼は不断に成長し按展する。

-か、る不断に鑓勤して巴ま

Fる極構eg四解するれめに、静一動せrcる鰹神

kv-考へる。それは理解

のわ'いめの方法上mw手殴である。総つ

τ何世阻までも一円

J

め粧構に過ぎない。暴動せ

.5る経済

T静態

と名付けてゐる。極めて単純な静態の考へらる〉こともあれば、亦複雑な静態の考へらる〉こと

もある。か〉る静態の内容的記述に至つては入に絃って異る。しかし吾冷にとっては、それはど

うでもい冶のである

J

唯、何れにせよ、時間の流れに於て、同一の枇合的経済過程が常に繰延さ

れてゐる若しくは経済数量聞に謂ゆる静的均衡の蹴態が存する粧漕であると云ふ鮪に於ては、大

館一致してゐるようでめる。しからばかくの如き経済の静態は、如何にして考へらる〉炉。

市場経掛は相卦抗する諸力の鯉系である。従って典件を一定にする時は合理原則の下に競守が

十分に行はる〉限り、経梼楯環拡一定の落ち着くべきところに落ち着〈に至る。静態は云はず競

等の行はれ謹した姿である左云ふのが普通の考へ方である。けれどもこうでは静態の成立過程を

考ふること無く、

zaうにかして肢に成立してゐるところの静止的な経祷を想定するに過ぎない。

さてこの様な静止的な経掛に於ては.先づ典件が一定である。こ〉に奥件と云ふのは、経済に

中山伊知郎氏、純粋経済撃(昭和八年〉、 p.'40ー「静々は経済白輿件を以で、経済白循環がき見賞に成立ナるため四基礎的傑件在意味ナるものと解ナる。」

9)

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現買の具躍的な内容を典へる基礎と解する叫単に経掛若しくは経樺循環と云ふ

rけでは、具躍的

な内容を持つてはゐない。それはある抽象化された過程若しくは瞳系を意味するに過ぎない。こ

れに奥件を奥ふる時、始めてその具閥的な内容が規定される。典件には無数のものが数へられ

る。地域の庚さ、気候、人口、文化の形態とその水準、祉合組織]ぞの祉舎に於る規範と評債、

技術後遠の程度などこれ等すぺてがこうに一五ふ興件である。これらが具鯉的な煙持循環の成立す

る現貨の基礎である。

興件の綜舎を極構構造と一広島。従って鰹樺構造は極めて庚汎な、様。の内容含有してゐる。経

持構遣に院A同せられに奥件の問にはも相互に成る調和川維持ぜられてゐる。ぞれは一況はY揺糟循

環をめ円、って.或る均衡を保ってゐる。例へば、人口、技術並びに自然の聞には調和が存せねば

ならない。しから

Fる限り、凡そ具瞳的なる経済循環は成立し得

eさること〉なるからである。

艦稗構造は一訴はY経揮の

何回向

gREPロである。さうしてこれはある見方からすると、一一つの

方面を意味するものと考へることが出来る。帥ち一つは軽油開の量的な方面を示し、他は経済の質

的な方面を示す。量的な方面とは、経済の大いさ、豊かきそ意味する。質的な方面とは、云はY

経済の瞳質である。農業聞と工業園とではい又濁占制と自由制とでは、経済の瞳質がちがふ。

鰹済循環は何時如何なるところに於ても、人間生活のある限hJ、必や何等かの形態で存在して

ゐる。こ〉に粧掛循環と云ふのは云はY「人間の経掛生活の姿の概観」であか。或は生産、分配

景象観測にづいて

第三十八巻

一O五三

第五競

高田教授、経理事原論、(昭和八年)p. ,,64・M. H.. ~ Weyermann.Durid Kapitalp<ofit. :3 Aufl. 1926. 5. 9・stmktur. '929. 5_ 30. 小泉信三教授、経済原論、(昭和六年、日木評論祉肱)。経済循環は云ふまでもな< phy;ru1も,ratcn!D授具にか L る。向 01註nig,.F., Der .Wirbchaft函krei:!i-

lauf. 1933. S. 12. WYI.odzhiSki-Andre川'.l~illÍ1ihmng in die Volkswi<tschafts-

10)

tla)

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景気観測について

第三十八巻

一O五四

第五披

消費の枇曾的盟系とも云ひ符ょう。それは勿論説角を異にするに臆じ、種冷なる相を現はして来

る。形態こそ異れ、何時如何なる慮に於ても存在すると云ム意味に於て.車に経梼循環と一五ふ時

には、或る抽象化された、一石はYそれだけでは無内容な一つの過程若しくは瞳系である。それは

人間生活の一領域を形遣って居hノ、ぞれ自らの固有の法則に従って常に運動してゐる。経梼循環

は抽象化された瞳系であるとは一石へ、賞際考察するに嘗つては、常に何等かの経梼構造を有せる

一般仁粧掛循鳴が如何にして成立するのであるか、財貨運動

施神循鳴を調象とせねばならない。

乃至は貨幣運動が知何にして惹き起きるh

のであるかは、謂ゆる原論の数ふるところである。

経済循環は一つの画数的依存盟系とも見られ得Zo静態に於ては、

間以完杢なる調和主均会ひを保ってゐる。それらはすべて緊密に依存し合ってゐる。謂ゆる一般

一切の臨済的数量は相互の

的均衡の股態が成立してゐるのである。経済循環は亦或る見方からすると、財貨の流れと乙れに

逆流する貨幣の流れから構成されてゐるとも云ふことが出来よう。ワ

1グマンは巧妙なる比喰に

依りて、貨幣と財とのこの流れを次の様に叙越してゐる。「経済は程梼要素の均衡の盟系-ji--と

解せられたのである。この瞳系に於ては、吾冷は経済の貨幣側と財貨側とを直別する。恒民自分

が火星の住民になって、大望遠鏡を以って地球を見下してゐると考へたならば、右の直別の可能

性がよく理解されるであらう。卸ち彼には、炭坑から石炭が搬出され、熔鏑撞が戴公生産し、耕地

に於て穀物が耽獲されてゐるのが見える。か

tして人聞がこれら種手様今な生産物を荷車、勝舶

1 ehre. 1929. S. 36.など参照。

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及び舗道によって運び去り、克らにこれらを加工し、次で再び運迭し、倉庫に牧め:::迭に消費

に到蓮するのが見えるであらう。:::こ、では生産、運職、貯蔵、外岡貿易及び消費が行はれ、

これらがすべて財貨側の諸要素を成してゐるのである。併しこの火星住民は、如何にしてかくの

如き複雑なる諸行程が行はれ得るか伝説明しゃうとする場合、彼は大きな謎に突嘗る。なぜなら

ば彼の望遠鏡によっては、これらすべての働きを補足するところの:::契約、勘定の振替、債格

の協定恥所得及び財産の形式なxbι

認識すること,かできないからである。火星住民に見えない己

れらの議要素ぞ吾φは艦稗の貨幣側と云ふのである町」

おでかうしに粧神備瑞の巾には、諸ム干の纏済的救且唯一一か形成される。例へば商品の債格、野銀、

利子の大いき、生産量、取引量、貨幣量、手形交換高など一切の経済的数量がこの中に現はれ名。

これら諸冷の極端情上の数量的な大いきを吾冷は費動量と呼ぶ。時使動量の大いきは理論的にはこれ

を、悉〈統計的仁捕捉し梓る筈である。さうしてその大いきは、動態に於ては、時々刻今に動揺

する。唯静態に於ては、

一定の大いさを保も七るま冶伺時迄も動〈ことがない。

かくして静態に於ては、輿件、従って経樺構造は一定であり、循環は完全に完結してゐる。す

べての麺動量相互の聞には、完全な均衡が保たれてゐる。時間の経過に於て、常に同一の過程が

一定不動の秩序が維持せられてゐる。しか

繰返へきる、のみで、何等の捷乱も生予ることなく、

b乍ら現貴仁於ては、何時如何なる虞に於ても、

hH

〈の如き経済の姿を・見出すことは出来ない。

景気調測にヲいて

第三十入港

一O五五

第五競

一二九

13) 萩原謙造・望月敬之助雨氏手1\帯、ト町ゲマン、景気聖書動論入門、、 1932•, S'. 33・〉

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景集観測にういて

第三十八拳

一三

O

第五時制

一O玉大

先づ典件が盤動する。これに臆じてその綜合たる経済構造が麓る

3

先づ奥件の襲動のみを考察す

る。奥件は、前述したる如〈、鰹持循環にその具躍的な内容を輿ふる基礎である。か一〉る奥件に

は、不特捜的なるものと可盤的なる志のとがある。不持型的なるもの門例へぽ土地の蹄苫)はこ、では一疋ふ

迄もなく問題とはならない。可盤的なるもの、〉みにつ号、その襲化する形態の上から見ると、・次

の様に巨分することが出来よう。

]引不断に持繭的に脇陣化するもの〈人口の噌加・段術の進歩}

2.週期的に襲化するもの(太陽

2mg

3 、

一回限りの、不規則的若しくは偶然的に襲化するもの(天災、堅守、新市場の獲得)

、副司一

奥件は亦、極構循環に劃して奥件の側から唯一方的にのみ作用するものと、経群循環k典件と

の聞に相互作用の認めらるうものとがめる。前者に属するものとしては、例へば震災がある。こ

の種に属する奥件の饗化は、経持的には杢〈偶然であり、従って経済法則とは何等の闘係がない

後者印ち相互作用の見らる〉ものには数多のものがある。人口の増加、技術の準歩な

Eもこれに

数へられる。或は世曾組織の襲革な

E色事げることが出来よう。これ等は何れも、典件の側と経

済循環との問に相互作用の認めらるうものである。権何れにせよ一般に、典件の輔型化が趨梼循環

に何等かの捷鋭を惹き起すことは疑ひない。

』典件の綜合が経済構造である。従って奥件が襲動するに膳じて、経梼構造も亦襲化する。艦掛

Walter Simon, Aτbe比一marktund Konjunktur. '93'1: 日.9・14)

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構造の襲化を簡単に構造襲化左云ふ。先に越べたる如〈、経済構造は一五はぜ経済の髄質と大いさ

を現はす。従って構造麓化は一方では、岡民経漕の量的な費動を、他方では、その質的な麗動を

意味するのであ石。けれどもこ〉に云ふところの樫漕構造は、前述したる如〈、種冷様Lr

なる内

ee含んでゐる。従ってこれ伝如何に整現すべきかは甚

r困難なる問題でめる。領土の横張は、

ぞれが経済循環の成立する基礎たる限りに於て、岡氏粧糟の量的構大である。これに反して、そ

Y4プY運動、新しき艦管形態の後

生、関税障壁による貿易系統の韓化等は、岡民経糟の質的礎化を意味する。構造鑓化はこれら二

の闘の指導的思想の襲革、技術の誰歩によあ生産カの毅展、

つの万一山守合んでゐる。

経済構造の襲化が経済循環に何等かの揖乱を惹き起す乙とは云ふ迄もない。しかし乍ら構造麓

化は、か〉る循環の揖乱そのものとは異る。経済構造の鐘動過程と循環の揖乱過程とはその領域

bz具にしてゐる。構造却型化は経済街環の具有する特質と容量とを問題とするのでめるが、循環の

麓動若しくは捷乱は、

hy

〉る特質と容量とを備へた極端貯循環の麓動そのものを問題とするのであ

る。極構循環の獲動は、先づ費動せtdるものに劃立する。これには大瞳二つの場合を考へることが

出来る。

一つは経済循環が、何等経済数量聞の不均衡郎ち捷飢の生中ることなしに、膨脹若しくは

牧縮し得る場合である。これには先づ昌

85のpgm-を翠げることが出来よう。何れにせよ一定

景築現測にういて‘

第三十八巻

一O五七

第五披

一一

, ,

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来日熱税測について

第三十八血管

一O五八

第五時揃

一一一一一一

の傑件の下じめりては、極端併楯環は慣説を惹き起すこと無しに綾展し得ると考へられる。他は麗

梼数量聞の不均衡即ち揖鋭の現はる〉揚舎である。従ってこ〉に揖凱と一五ふのは、経梼数量聞の

不均衡即ち均衡の破壊を意味するo

かh

る意味に於る楯環過程の摺凱を吾ムザは景気運動と名付げ

る。景気運動は経糟循環の一般的捷飢である。この際個別極端問を中心として見るか、市場を中心

として見るか乃至は会躍的に見るかに臆じ、景気の本質規定に関する表現が色ゃに分れて来る。

長無理論は如刊にして艇掛循環に一般的な撹飢が生じ得るか営明かにするものであるがもしかし

理論に於ては、幾多の候件(奥件)炉捨象せられてゐるのであるから、直ちにこれを現賓の具韓的

な極端情に趨用することの出来ないのは一疋ふ迄もない。

粧梼構遣が具瞳的な経掛循環の成立し得る基礎であると解せらるう限りに於ては、経梼循環の

何等かの麓動は何等かの構造特捜化を伶ふことが多い。この際経梼構造の詩型化が、経梼循環に何等

かの麓化を惹き起すことは疑ひ無いが、逆に鰹梼循環の費動が経梼構造の却型化含必然的に件ふと

は、こh

では必しも云ひ得ない。ヲ」〉ではこの二つの聞に相互作用の認めらるう場合があると一疋

ひ得るに過ぎない。或る場合には、経梼構造が一定であって、しかも樫梼循環自健が或る程度まで

自動的に動指すると云ふことも考へられる。最密に云ふとこ〉では、現貨の経梼に於ては、典件

が絶え中盤牝する。これに臆じて経済構造も亦不断に品質化する。他方経梼循環自躍も亦、不断に

動指揖靴を績げてゐると一再ふことが、外面上観察さふれると一再ふに

kyまる。この二つのものが却

Preiser; E., Grundzuge der Konjunktllrtl1eorie. 1933. S. 14 Han<iworterbuch ,der Volkswirt"chaftslehre. S. 600. Kojunktur, KonjlJDktur-theorie.

'7) 小島昌大郎教授監修邦薄、ヮ -~r ", :,t'、「世界経済機構と景気盤i勧J(昭和七年)p. 18. Handworterbuch der Volkswirtscha色lehre.S. 600.

15) 16)

18)

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何芯石関係に立ってゐるかは、夏に立ち入って分析せねばならない。

しかし乍ら普遁に経済構造と一五ふ時には、必中しもか〉る意味に解されてゐるわけではない。

或る場合には、

とー呼ばれ、粧持理論、特に景気理論の出

groロ凶伴内リロ丸一。P

若しくはり白丹市司伊官庁ヨ

稜結として置かる〉ものぞ意味することがある。ある揚合には、

吾ι干の意味する鰹神構諮から、

更にその特質的なる色の〉みを抜き出して、

これを指すことがある。さうして極構構造舎か〉る

民同町中

意味に解するのがむしろ普通である。例へば

4

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7yは一紺樺構造の外に粧持組織なる概念企設けてゐる川、

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かく解3れる時に始めて、

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と一五ひ得るのである。

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循環過程の撹飢を因果的に認識するのが景気理論でめる。従って景気理論は、撹慌を惹き起す

3

ところの直接の原因と撹鋭の生宇べき一一般的健件並びに撹鋭の生じ行〈過程を明かにせねばなら

ぬ。従来景気理論は、次の如き二ケの問題に答へねばならなかった。印ち↓は、如何にして経済

循環が、「一般的、連帯的」

(Z景山)なる上昇並びに下降の運動?なし得るや、二は如伺にしてか

〉る捷飢逝動が、規則的に四時し得るやと一五ふことであふ。しかるに職後、景気現論の課題は次

最指摘額測にづいて

第五披

第三十八袋

一G五丸

、J

「基礎的傑件と.は最鍵捜動白起 P得る可能性を興ふる諸傑件であって、 とれな〈では景気聖書動は現はれないが、前もこ払だけでは費動を主主き起すには足りないものである。 I大阪商大経済磨僻典、最!聖書動、(谷口吉彦教授)0街、 Ropke,Krise uncl Ko吋uiii<.iur:'i~~3.;:- ~t- Si: "ITIe allg~皿dnen StoruIlgs-quellen参照。 、

Lutz, F.,心同 KonjunlduTproblcmin der N叫 ionalokoDomie. 1932; S. 84・

19)

20)

Page 14: Title 景氣觀測について 經濟論叢 (1934), 38(5): 1049-1061 ...景気観測 Jコ U 、て 祭 光 太 郎 原 て企業鰹醤に於ける必要 如何なる商人 k 雄も、景気について闘心を持たぬものはない。勿論景気の影響を受〈るこ左の

景気観測について

第三十八巻

一O穴

O

第五務

一三四

の様に鍾へられた。即ち一循環過程は何故に、

至ったか。二何故に景気運動は規則的に回踊せまるに至ったか。

立ち入らない凶

一般的連帯的な、上昇左下降の運動を行は,きるに

こ〉ではしかし、

景気理論には

景気的撹乱現象は、一定の毅展段階に到達したる岡民経済に於て始めて現はる〉ものであり、

か〉る後展段階が資本主義粧持組織と云ふ一定の経済構造なることは、既に一般の常識となって

ゐる。阿武集運動は費本主義的粧持組織の産物であり、これに閥有なる現象であると云はれ品。し

かしかく一五へばとて市資本主義以前に於ては、盤掛循環は何等の揖説無しに、常に均衡股態を保

ちつ〉前進したかと云ふに、きう云ふわけではない。唯そこでは寸生産と消費、供給と需要の闘

係炉、極めて均衡肢態に近かったし、叉上昇左下降の動揺は、現今見る様に、一般的現象として

存在し符なかった〕のに過ぎない。かくて景気運動なる循環過程の一般的揖凱現象は、資本主義

的経済構造なる一定の地盤の上にのみ現はる〉ものである。従ってか、る地盤には、一般的捷鋭

の生じ得る様な素地若しくは保件が充分に包離されてゐるものと考へられるのである。挫って亦

か〉る地盤が失はる、時は、環環過程の捷説は、若しめるにせよ、これまでとは遣った形態をと

るに蓮ひない。

麺動量とは、先に述べたる如〈、経済循環の中に現はる〉諸ムザの腔樺的数量である。か〉る意

味に於る麓動量は、云はY経済循環の作りいだせる

PDEEmである。奥件の麺化は経済循環を

措飢するが、その成呆は、極構循環といふ柑禍を遁してその中に形成さる〉費動量の一定の大い

倫近時、調ゆる「景気理論は如何にして可能なり宇J(Lowe)の問題を取り扱ヲたものが、漸次その敏を増しワムある己主は松田ナベ奇ととであ G?o例へばCareU,... ..:..t, Sozialdk nomi::;che Theorie町 Id KOJljunkturpro[llem. 1929・Oppenhei皿 er,Zur M白glh::hkeit der Konjunktu】theorie. 1927・ Weltwirtsch. Archiev. Lutz白よ損害、 P即時r,E., Grundzuge der Ko吋叩lkturtheorie.1933・など。

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Page 15: Title 景氣觀測について 經濟論叢 (1934), 38(5): 1049-1061 ...景気観測 Jコ U 、て 祭 光 太 郎 原 て企業鰹醤に於ける必要 如何なる商人 k 雄も、景気について闘心を持たぬものはない。勿論景気の影響を受〈るこ左の

きとして凝縮する。費動量の大いきは常に不断に動揺してやまない。若しそれ等の一

切が一定の大いさを保って動かないならば、ぞれは経済循環が静態にあることを示す

ものである。費動量には数多のものが敷へられる。一需要、供給、生産、消費に閲す

る財の数量、操業度、就業率(量系列可二物債、利子、弊銀、利潤、株僚、貿易額、

手形交換高(償値系列)な

Eee翠げることが出来るM

種動量の費動を形態の上から考察する。これは時系列の分析を意味する。こ、には

1グT

Y

の分類

eehrL〉ヤるにとずめる。その目的は五回冷としては、皐に襲動の態様

hy形式的に分析

rAL一流F

品川以上にはいでない。

ー、一回限りの鍾化

2、周期的運動

w'なもの

制連績的(トV

)

ηノズミカ

Yでないもの

この中、

1卸ち一回限りの襲化をヲ

1グマシは構造費化と呼んでゐる。さうして今

日では用語のか〉る使ひ方が一般的主なってゐる。しかし乍ら吾冷は、構造礎化と云

ふ言葉をかかる意味には用ひない。吾冷に於てはりえ自の綜合としての経済構造の

襲牝と云ふ意味に構遺品型化なる言葉を用ひる。きうしてこの言葉をか〉る意味で最初

に用ひにのは固とヨ加である。けれEも吾々の云ふ経掛構造は、白川自国の意味すると

ころより十九準:かに包括的なものたることは前遮しにる如〈である。

(未完)

景集積測にういて

第三十入巻

第五披

一O六

小川福太郎氏課、 ρyセ y、景気循環論。 f昭和八年)p. 2・Momhert. p., Einftihrung in d曲目tudiU.lJ:lどLerKonjunktur. 1925. S. 5・高岡教授、経器部原論、 p.265・WagCnt_ll:nn, K"njunktul"I~.hTe. 1928; s. 45・但し Wolfは突の様に:云ふてゐる。“日ichtsondρrlich anders als Wagemann definiert Hal'田誼 die,SlUrktur eincr V()lkswirt~chaft, wl~n町1I同n er u山nt~.町r 品h刊r ver-s剖ta町n<叫de町nwissen‘w 宵ill山hr悶eFor口rscha剖ITe町n凶1叶h珂e町itc1es (む;:anzenau凶z坦sd町 Eige町na-[吋t,I~乱ge und Verbindun町4宮~ der Teile u皿nddie Be酎届叫chafl偽己nh.itder Teile aus d町 Artung-des Ganzen und seiner Zweck-bestimmung erklart.“・ Wolf,J., Konjcmktlllr und Kri回'. Beitrage zur Wirt schnflstheorie. 1I S・ 5 宵 AdoIrWeber, AlJgemdne Volkswirtschaftslehrι 1929・5・467・ 参照。.

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一三五