7
FUJITSU. 62, 2, p. 118-124 03, 2011118 あらまし 富士通システムソリューションズ(Fsol)では「お客様起点」を経営方針に掲げ,発想と 行動の原点をお客様と現場に置き,「CS Customer Satisfaction:お客様満足)向上」を, 企業活動の基盤としている。お客様にとってかけがえのないパートナとなることを目指 し,社員一人一人がお客様起点で物事を考え,日々の業務の中でCS向上活動を実践して いる。 FsolCS向上活動の基軸となるのは,お客様との様々なコミュニケーションを通じて 寄せられる「お客様の声」である。2004年から導入した,自社構築システム「WebSERVE smart e-CRM (お客様の声・活用システム)」にお客様の声を30万件以上蓄積し,高品質 で一貫したサポートを提供するための仕組みとして本システムを組織活動の中で活用し ている。 また「年次サポート計画書」により,年間の活動計画・サポート体制を提示し,お客様 の経営課題の改善や要望の実現に向けた提案を定期的に実施している。 本稿では,e-CRM活用を中心に,お客様起点の行動を具体的かつ確実に実践するため Fsol独自のCS向上活動フレームワークと具体的な取組みについて紹介する。 Abstract The management policy of Fujitsu System Solutions (Fsol) is to focus on customers, it considers them in all its thoughts and actions, and it bases its corporate activities on improving customer satisfaction (CS). To be an indispensable partner for customers, each and every employee sees things from the customers perspective and works to improve CS in day-to-day business operations. At the core of Fsols CS improvement activities is Customer Feedback, where customers make comments via various channels of communication. Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use of Customer Feedback), introduced in 2004. The feedback is used in Fsols organizational activities to ensure high-quality and consistent support. In addition, Fsol uses its Annual Support Plan to present annual action plans and support systems. In this way, it regularly makes proposals for improving customersbusiness issues and meeting their requests. This paper presents Fsols unique framework for CS improvement activities and its specific efforts for concretely and reliably acting with customer focus. 浅野陽子   吉田さつき   蜂巣悦子 お客様の声を活用した CS 向上への 取組み Using Customer Feedback for CS Improvement

Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2, p. 118-124 (03, 2011)118

あ ら ま し

富士通システムソリューションズ(Fsol)では「お客様起点」を経営方針に掲げ,発想と行動の原点をお客様と現場に置き,「CS(Customer Satisfaction:お客様満足)向上」を,企業活動の基盤としている。お客様にとってかけがえのないパートナとなることを目指

し,社員一人一人がお客様起点で物事を考え,日々の業務の中でCS向上活動を実践している。

FsolのCS向上活動の基軸となるのは,お客様との様々なコミュニケーションを通じて寄せられる「お客様の声」である。2004年から導入した,自社構築システム「WebSERVE smart e-CRM(お客様の声・活用システム)」にお客様の声を30万件以上蓄積し,高品質で一貫したサポートを提供するための仕組みとして本システムを組織活動の中で活用し

ている。

また「年次サポート計画書」により,年間の活動計画・サポート体制を提示し,お客様

の経営課題の改善や要望の実現に向けた提案を定期的に実施している。

本稿では,e-CRM活用を中心に,お客様起点の行動を具体的かつ確実に実践するためのFsol独自のCS向上活動フレームワークと具体的な取組みについて紹介する。

Abstract

The management policy of Fujitsu System Solutions (Fsol) is to focus on customers, it considers them in all its thoughts and actions, and it bases its corporate activities on improving customer satisfaction (CS). To be an indispensable partner for customers, each and every employee sees things from the customer’s perspective and works to improve CS in day-to-day business operations. At the core of Fsol’s CS improvement activities is Customer Feedback, where customers make comments via various channels of communication. Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use of Customer Feedback), introduced in 2004. The feedback is used in Fsol’s organizational activities to ensure high-quality and consistent support. In addition, Fsol uses its Annual Support Plan to present annual action plans and support systems. In this way, it regularly makes proposals for improving customers’ business issues and meeting their requests. This paper presents Fsol’s unique framework for CS improvement activities and its specific efforts for concretely and reliably acting with customer focus.

● 浅野陽子   ● 吉田さつき   ● 蜂巣悦子

お客様の声を活用したCS向上への 取組み

Using Customer Feedback for CS Improvement

Page 2: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2 (03, 2011) 119

お客様の声を活用したCS向上への取組み

Fsolにおける主治医は,システムの安定稼働とCS向上のために,お客様企業に関する様々な情報を収集し,経営課題の改善提案や,より良いサービスを提供する役割を担う。● CS向上活動のフレームワーク

Fsolでは,CS向上活動を全社に展開するための組織体として「お客様満足度向上委員会」と「本部内CS向上WG(ワークグループ)」を設置している。委員会は,経営トップを委員長・主査とし,各本部の部長職以上をメンバとする。部門では解決できない全社レベルの課題を取り上げ,組織横断で改善に向けての活動を実施する。さらに,その進捗状況を全社で共有していくことを目的としている。本委員会では,CS向上活動のフレームワーク

(図-1)を作成した。主な構成要素は,①ICTの戦略的活用によるお客様の事業への貢献を目的とした「年次サポート計画書」,②お客様の事業継続性を支援し安心・安全をご提供する“e-CRM”,③お客様からの評価を頂き,是正・フィードバックを行う「お客様アンケート」の3本柱で,計画から運用,評価まで,お客様に対するきめ細かいサポートを実施している。

WGは,委員会の方針を受け,社員一人一人にお客様起点の活動を定着させるための組織体であり,活動事例や取組みの横展開を行っている。

お客様の声活用システム(e-CRM)

本 章 で は,CS 向 上 活 動 の 中 心 と な る「WebSERVE smart e-CRM(お客様の声活用システム)」(以下,e-CRM)について,導入経緯と活用状況を紹介する。● 情報共有・組織対応の重要性の高まりシステムが巨大化・複雑化するに伴い,関連部署間の連携や情報共有は更に重要な課題となっている。そのため「情報の一元管理・共有化」の仕組みや,属人的な対応から組織対応への転換が必然的に求められた。● e-CRMの概要こうした課題を受け,2004年より自社構築システムであるe-CRMを社内適用する形で導入し,お客様の声をサービス向上に活用する取組みを開始

お客様の声活用システム(e-CRM)

ま え が き

富士通システムソリューションズ(Fsol)では,経営方針の頂点に「お客様起点」を掲げ,お客様の企業価値創造を支援する最良のパートナとなるために,様々なCS(Customer Satisfaction:お客様満足)向上活動を実施している。

FsolのCS向上活動の基軸となるのは,お客様との様々なコミュニケーションを通じて寄せられる「お客様の声」である。自社構築システム「WebSERVE smart e-CRM(お客様の声活用システム)」にお客様の声を30万件以上蓄積し,高品質で一貫したサポートを提供するための仕組みとして組織活動の中で活用している。また「年次サポート計画書」により,年間の活動計画・サポート体制を提示し,お客様の経営課題の改善や要望の実現に向けた提案を定期的に実施している。

Fsolは,これまでお客様の声をCS向上活動の基軸とし,SEを中心とした全社的なCS向上活動の展開によって高品質なサービスを提供してきた。本稿では,Fsolにおけるお客様の声を活用した

CS向上の取組みと効果を,具体的事例を交えながら説明していく。

FsolのCS向上活動

本章では,CS向上活動の基本となるSEによる主治医活動と,CS活動を全社に展開するための仕組みを紹介する。● 主治医活動

Fsolでは業種に特化したSE部門のほか,業務共通基盤やITインフラを専門にサポートするSE部門など,数多くの部門のSEがお客様システムをサポートする。このため,組織で情報を共有し,お客様の依頼や要望に対して,迅速・確実に対応していくことが不可欠である。複数部門でお客様をサポートする場合,お客様の主担当SEを「お客様のかかりつけの医者」に見立てて「主治医」と呼び,CS向上活動の基本単位とした。主治医は,お客様の体質や身の回りの環境を把握し,適切な対応やアドバイスを行うことで,病気を未然に防ぎ,健康を維持する役目を負う。

ま え が き

FsolのCS向上活動

Page 3: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2 (03, 2011)120

お客様の声を活用したCS向上への取組み

した。e-CRM導入の目的は以下のとおりである。

(1) インシデント(トラブル・障害)の確実な把握と,迅速な解決によるお客様システムの安定稼働

(2) インシデント以外の一般的な「質問,要望,依頼」への対応レベルの向上

(3) お客様サポートにおける組織対応力(品質・スピード)の測定と,継続的な改善サイクルの形成

(4) ソリューションのエンハンス,新商品開発に際しての気付きe-CRMは,お客様が業務システムの運用過程で遭遇される様々な質問・要望,およびトラブルへの的確でかつスピーディな対応を行うためのトータルな情報マネジメントシステムである。システムの運用・保守フェーズにおける高品質で一貫したサポートを提供するための仕組みとして活用している(図-2)。

Fsolの担当SE/営業は,運用・保守サポート契約をいただいている約2000社の運用フェーズのお客様の稼働システムに関する多種多様な声(問合せや意見・要望)を,e-CRMに登録し,情報共有・活用を行っている。● CS向上活動の基軸としてのe-CRM

2010年8月現在,30万件以上のお客様の声を蓄積し,お客様をサポートするすべての部門で情報を共有している。お客様の問合せに対しては,回答に至るまでのすべての対応経過を,遅滞なくその都度記録し,

プロジェクトメンバや組織内はもとより,商品開発やプロジェクトマネジメントに特化した部門など,お客様をサポートするすべての部門関係者全員で情報共有する。

e-CRMは「サービス品質向上・課題の早期解決を図る仕組み」として位置付けられ,CS向上の取組みの基軸を担う。● e-CRMの運用プロセスの整備

e-CRM導入・運用に当たり,Fsol固有の伝統的インシデント管理のノウハウを継承する一方,ITシステムの安定的稼働をマネジメントするための国際的標準であるITILを取り入れた運用プロセスを整備した。さらに,インシデント対応プロセスにおける重要

お 客 様

問合せ・意見・要望 回答・定期報告・提案

担 当 者Fsol■ 情報共有,分析■ サービス品質向上

e-CRMお客様の声問合せ履歴(30万件)

■ 問合せの早期解決■ トラブル未然防止

品質強化部門

開発部門

専門組織

上司リーダ

プロジェクトメンバ

関連部署

図-1 CS向上活動のフレームワークFig.1-Framework for improving customer satisfaction.

図-2 お客様の声・活用システム(e-CRM)Fig.2-System making use of customer feedback

(e-CRM).

Page 4: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2 (03, 2011) 121

お客様の声を活用したCS向上への取組み

業績評価指標として,主なKPI(Key Performance Indicator)を設定した(表-1)。指標の測定および評価は,企業の成熟度に応じて段階的に高度に発展していくべきであり,定期的な見直しを継続して行う。お客様から見たFsolのサポートサービスレベルの改善(CS向上)に効果を上げているかどうかを検証するために,「インシデントの迅速な解決」を重要成功要因(CSF: Critical Success Factor)の第1項目に挙げ,回答スピードをKPIとして設定している。

CS向上活動と効果事例

本章では,先に述べたCS向上活動フレームワークを構成するe-CRM,年次サポート計画書,お客様アンケートの各施策とその効果について述べる。● e-CRMお客様の声活用システム

図-3はe-CRMでA社における問合せをグラフ化したものである。このように,運用中のお客様からの問合せ情報は一元管理され,お客様に携わる

CS向上活動と効果事例

すべての部署の状況がWeb上で可視化される。これを基に他部門の作業進捗状況や問題点の有無が随時確認可能となり,属人的な対応から組織対応への転換を図ることができる。以下に,具体的な活用事例を述べる。

(1) 迅速な解決による安定稼働の実現お客様満足の要因の一つである「回答の正確さ・レスポンスの早さ」に対して,インシデント解決処理時間の目標値設定と,その実施度合の監視プロセスを明確にした。トラブル・障害発生時の初期対応のリードタイムを可視化し,「問合せの受付」から「1次回答」までの所要時間(ターンアラウンド時間)を定期的に監視している。さらにお客様満足度向上委員会でターンアラウンド時間の全社目標を設定し,達成状況を把握した。時間短縮に向けた個々の活動は次のとおりである。・過去の障害情報の検索による解決時間の短縮・組織で障害情報を情報共有することで未然防止・早期解決を実現

・インシデント対応状況表やメール同報発信を活用し,未回答案件に対して組織対応

・定期アラームリストで滞留案件の注意喚起目標と結果を可視化することにより,SE・営業の意識は大きく変わった。2010年8月現在,問合せ案件の9割を目標内で回答し,お客様からも評価の声を頂いている(図-4)。(2) 定期報告によるお客様の信頼度向上お客様との確実な意思疎通のため,e-CRMに蓄

件数

52

10

5

45

5

3

36

11

38

13

46

8

5

38

12

6

0

20

40

60

80

09年4月 09年5月 09年6月 09年7月 09年8月 09年9月

アウトソーシング部門インフラ部門業種担当部門

図-3 A社問合せ状況Fig.3-Inquiries from customer A.

表-1 重要業績評価指標(KPI)重要成功要因(CSF) 重要業績評価指標(KPI)

インシデントの迅速な解決

設定した解決目標日数に対する時間内解決達成率

顧客サポートレベルの向上

1次受付担当者で解決されたインシデントの増加率区分ごとに分類されたインシデントの解決,あるいは回避にかかった平均経過時間の削減優先度ごとの目標時間内に解決したインシデントの増加率(前月比・前年比)未処理のインシデントの削減

Page 5: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2 (03, 2011)122

お客様の声を活用したCS向上への取組み

ある。Fsolが持つ100件を超えるWebSERVEソリューションサービスに関する問合せを,ソリューション別・機能別に分析し,保守・次期エンハンス・新規開発の基礎情報として役立てている。また,Fsol内にとどまらず,富士通グループ全体のサービス品質向上に向けて情報を活用させている。グループ内のパッケージシステムに対して,原因区分ごとの件数・所要工数を分析し,開発元に定期的にフィードバックした結果,障害発生件数が1年間で4分の1に減少した事例がある。● 年次サポート計画書

e-CRMと並んでCS向上活動の基軸となっているのが「年次サポート計画書」である(図-5)。これは,お客様への年間提案スケジュールやサポート体制を,お客様,SE,営業の3者間で合意・作成するものである。お客様の繁忙期(決算期,イベント期間,棚卸,次期計画策定時期など)を把握した上で,提案の年間スケジュールを立てる。前述のe-CRMで収集した要望・質問などの生の声からもお客様の課題をとらえ,計画書へ反映している。期末には活動実績を報告し,さらにお客様の課題改善に向けた提案を行う。

積管理されている情報を基に,定期的なシステム運用・サポート状況の報告を実施している。

Fsolの運用・保守サポート内容の透明性・信頼性が増進したことを評価いただき,保守・サポート契約の継続,あるいは提供するサービス内容の拡張をご用命いただく事例が増えている。

e-CRMシステムでは,お客様の問合せを「質問・トラブル・要望・クレーム」といった区分を付加して収集しており,区分ごとの発生件数を時系列でウォッチする。トラブル・障害については「原因区分」で発生状況を分析し,グループ内外への注意喚起・未然防止に活用する。問合せ状況については区分ごとに集計・グラフ化し,お客様への定期報告へも活用している。経過や対応状況を確認できる案件一覧表と合わせて報告することで,お客様からも評価をいただいている。これらは後述の「年次サポート計画書」に反映し,お客様の課題解決への提案の基礎情報として活用している。(3) ソリューション強化への活用お客様の生の声は,製品開発に欠かすことのできない情報であり,お客様の要望を製品に盛り込むことは,何よりもお客様満足度向上の近道で

0

20

40

60

80

100

09年4月

比率(%)

09年6月 09年8月 09年10月 09年12月 10年2月1日以内(目標達成) 2日以内 1週間以内1箇月以内 3箇月以内 回答なし

図-4 一次回答時間目標達成状況Fig.4-Level of objectives accomplished regarding time taken for returning first call.

Page 6: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2 (03, 2011) 123

お客様の声を活用したCS向上への取組み

客様個別対応と自社組織別対応に分けて実施する。(1)お客様個別対応の改善個々のお客様から頂いた結果をもとに,評点の低い項目については,お客様に個別ヒアリングを実施して原因を特定する。さらに,不満要因を解消するため,優先課題に対する原因と具体的アクションを記載した「是正計画書」を作成し,組織内で情報共有する。課題解決に向けた対策は「年次サポート計画書」の中に記載してお客様に提示する。(2)自社組織別対応の改善部署ごとにアンケート結果を集計・分析することで,組織的弱点を明確化するとともに対策を講じる。「経営課題に対する理解・提案力」を重点改善項目として位置付けた部署では,提案力養成カリキュラムの新設や提案促進活動の実施など,部門事業計画に改善施策が宣言され,具体的な施策が展開

年次サポート計画書は,原則,半期に1回,お客様とともに活動点検を実施し,軌道修正を行う。進捗状況に応じてアクションプランを深掘り・強化していく。● お客様アンケート

Fsolでは,年1回,全社規模で「お客様アンケート」を実施し,「お客様の声」を真摯に受け止め,要望や不満を分析し,サービスの改善に努めている。設問はSE・営業・富士通グループ全体の三つのカテゴリに分け,提案力・技術力・商品力・サポートなどに関する詳細質問と総合満足度,自由記入項目を設けた。お客様には特に重要と思われる項目を選択していただき,重要度と満足度評点の相関分析を実施している。これにより自社(Fsol)の強み・弱みを把握し,組織的な対策を講じている(図-6)。アンケート結果に対する改善アクションは,お

年間計画・体制期末報告

課題改善に向けた提案

図-5 年次サポート計画書例Fig.5-Example of annual support plan.

図-6 お客様アンケート分析例Fig.6-Example of analyzing results of customer questionnaires.

Page 7: Using Customer Feedback for CS Improvement...Over 300 000 comments have been stored as Customer Feedback on the self-constructed system WebSERVE smart e-CRM (system for making use

FUJITSU. 62, 2 (03, 2011)124

お客様の声を活用したCS向上への取組み

そして,FsolのCS向上活動の基軸となるのは,お客様との様々なコミュニケーションを通じて寄せられる「お客様の声」である。本稿で述べたe-CRMを中心としたCS向上フレームワークによる組織活動を通じ,社員一人一人が「お客様起点」で物事を考え,日々の業務の中で実践していけるよう,今後も取組みを継続していきたい。

されている。

む  す  び

本稿では,Fsolにおける「お客様の声」を活用したCS向上の取組みと効果を述べた。

Fsolはお客様にとってかけがえのないパートナとなることを目指し,「お客様起点」の精神を企業活動の基盤としている。

む  す  び

浅野陽子(あさの ようこ)

(株)富士通システムソリューションズ 経営企画室 所属現在,CS推進,広報に従事。

吉田さつき(よしだ さつき)

(株)富士通システムソリューションズ 流通ソリューションサービス本部 所属現在,ビジネス企画,CS推進に従事。

蜂巣悦子(はちす えつこ)

(株)富士通システムソリューションズ 公共ソリューションサービス本部 所属現在,ビジネス企画,CS推進に従事。

著 者 紹 介