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計測自動制御学会論文集 Vol.44, No.3, 1/8 2008Zero Dynamics を利用した倒立振子型二輪ロボットの高速移動制御 Movement Control using Zero Dynamics of Two-wheeled Inverted Pendulum Robot Naoya Hatakeyama and Akira Shimada We propose a high-speed motion control technique for inverted pendulum robots that utilizes instability as a control factor. An inverted pendulum is a self-regulated system simulating a child’s game of swaying an umbrella or a stick upwards. The controller design for pendulums has been widely been challenged since the 1970s. A two-wheeled, self-balancing electric transportation device using the inverted pendulum’s control principle was developed in the US. Many biped walking robots have also made use of this principle. Essentially, inverted pendulums possess better control characteristics since they do not fold up. Shimada and Hatakeyama suggested an idea that was contrary to this basic principle. Their controller was designed to brake down its balance when in motion. This was done using zero dynamics derived by partial feedback linearization, in order to control the tilt angles of the robots. However, such robots can only move in a straight line. We introduce extended motion including revolving and curving by using a nonlinear control technique. We also present the simulation and experimental results. Key Words: inverted pendulum, partial feedback linearlization, zero dynamics, robot, control 1. はじめに さに てる びを うシステム あり, して 1970 1990 され 1)6) ,これま きる から された他 7) ロボットに される 8) ,さまざま かけるように りつつある.これら いように,安 うこ あり,バランスがくずれる ように に移 する つ.それゆえに うこ ,一 に,あまり い.しかし,こ バランス コンピュータによって させるこ きれ ロボットが きる えられる.こ に活かす ,いう ,スピードスケー するロケットスタート よう ある. Fig. 1 よう が, しつつ ちつつ移 きる つこ し, つさまざま きる移 ロボットを するこ する.そ イメージ Fig. 2 すよう 大学 4–4–1 Polytechnic University4–1–1 HashimotodaiSagamihara Received October 12, 2007Revised February 6, 2008する移 ある.こ めて Fig. 3 すように, るこ い, るこ きるこ ある. これま に,こ アイデアを した 案し 10) ,さらに Fig. 1 ロボットを いた した 11) つぎ ステップ して ロボット 学モデルを し, フィードバックを し, し,さらに, Zero Dynamics 12)15) するこ により,フィードフォワード に位 する.これま マニピュレータ ,さまざま フィードバックを した 多く されているが 6), 12), 13), 16)20) これま よう く, Zero Dynamics Fig. 1 Two wheeled inverted pendulum robot TR 0003/08/4403–0001 c 2007 SICE

Vol.44, No.3, 1/8 Zero Dynamics を利用した倒立振子型二輪ロ …ashimada/research/theses/2008-03-ZeroDyna.pdfVol.44, No.3, 1/8(2008) Zero Dynamicsを利用した倒立振子型二輪ロボットの高速移動制御

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計 測 自 動 制 御 学 会 論 文 集Vol.44, No.3, 1/8(2008)

Zero Dynamicsを利用した倒立振子型二輪ロボットの高速移動制御

畠 山 直 也∗・島 田 明∗

Movement Control using Zero Dynamics of Two-wheeled Inverted Pendulum Robot

Naoya Hatakeyama∗ and Akira Shimada∗

We propose a high-speed motion control technique for inverted pendulum robots that utilizes instability as a

control factor. An inverted pendulum is a self-regulated system simulating a child’s game of swaying an umbrella

or a stick upwards. The controller design for pendulums has been widely been challenged since the 1970s. A

two-wheeled, self-balancing electric transportation device using the inverted pendulum’s control principle was

developed in the US. Many biped walking robots have also made use of this principle. Essentially, inverted

pendulums possess better control characteristics since they do not fold up. Shimada and Hatakeyama suggested

an idea that was contrary to this basic principle. Their controller was designed to brake down its balance when

in motion. This was done using zero dynamics derived by partial feedback linearization, in order to control the

tilt angles of the robots. However, such robots can only move in a straight line. We introduce extended motion

including revolving and curving by using a nonlinear control technique. We also present the simulation and

experimental results.

Key Words: inverted pendulum, partial feedback linearlization, zero dynamics, robot, control

1. は じ め に

倒立振子は,子供が傘や棒を逆さに立てる遊びを自動制御

で行なうシステムであり,現代制御理論の応用例として 1970

年~1990年代に広く試行され 1)~6),これまでに人が搭乗で

きる機器が米国から発売された他 7),倒立振子の原理が二足

歩行ロボットに利用されるなど 8),さまざまな分野で同様の

機器を見かけるようになりつつある.これらの倒立振子は,

基本的に振子が倒れないように,安定化制御を連続的に行な

うことが特長であり,バランスがくずれると振子が倒れない

ように新たな安定平衡点に移動する特徴をもつ.それゆえに

位置の移動を高速に行なうことは,一般に,あまり得意ではな

い.しかし,このバランスの崩し方と戻し方を搭乗者でなく

コンピュータによって能動的・計画的に実行させることがで

きれば,高速移動ロボットができると考えられる.この不安

定性を積極的に活かす動作は,いうならば,スピードスケー

トの選手が得意とするロケットスタートのような動作である.

本研究では,Fig. 1のような平行二輪型の倒立振子が,不安

定性を有しつつも,狭い占有面積をもちつつ移動できる特長

をもつことに着目し,狭い通路をもつさまざまな現場で利用

できる移動ロボットを開発することを最終目標とする.その

運動イメージは Fig. 2 で示すような,平面内を自由自在に

∗ 職業能力開発総合大学校 相模原市橋本台 4–4–1∗ Polytechnic University,4–1–1 Hashimotodai,Sagamihara

(Received October 12, 2007)(Revised February 6, 2008)

運動する移動制御である.この移動制御法の特長は,改めて

Fig. 3に示すように,前傾姿勢をとることで加速運動を行な

い,後傾姿勢をとることで減速運動ができることである.島

田らはこれまでに,このアイデアを倒立振子で代用した高速

移動技術を提案し 10),さらに Fig. 1の二輪ロボットを用いた

直線移動のみの高速移動制御を実現した 11).本稿ではつぎの

開発ステップとして倒立振子型平行二輪ロボットの三次元数

学モデルを作成し,部分線形化フィードバックを施し,倒立角

度,旋回角度を同時に制御し,さらに,Zero Dynamics 12)~15)

を利用することにより,フィードフォワード的に位置制御を

行なう技術を紹介する.これまでに倒立振子の振り上げ制御

やマニピュレータの制御など,さまざまな分野で部分線形化

フィードバックを含む厳密な線形化を利用した研究が数多く

報告されているが 6), 12), 13), 16)~20),本研究ではこれまでの

ような安定化のみの目的ではなく,Zero Dynamicsを利用す

Fig. 1 Two wheeled inverted pendulum robot

TR 0003/08/4403–0001 c© 2007 SICE

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2 T. SICE Vol.44 No.3 March 2008

Fig. 2 Motion image of inverted pendulum robot

Fig. 3 Tilt motion image

ることにより,不安定な姿勢,つまり,前傾姿勢や後傾姿勢

をとることで倒立振子型機構の移動ロボットの高速移動を実

現することを特長とする.また,K. Pathakらの研究 9)と胴

体角度の傾きを利用する考え方は共通しているが,本研究は

Zero Dynamicsを用いて位置,速度,加速度を同時に制御を

行なっている点で異なる.本稿ではさらに,直線動作や曲線

動作,旋回動作を行ない,意図する高速制御が実現できるこ

とを示す.

2. 倒立振子の機構

車輪は左右独立駆動であり,左右の車輪の角度と地面に対

する胴体の傾き角度を検出するためのロータリーエンコーダ

が取り付けられている.二輪ロボットには胴体角度を直接制

御するアクチュエータはなく,劣駆動ロボットとなっている.

また,一般的な車両と同様,横方向に速度を発生できない,つ

まり,横滑りしないという速度拘束がある 21).

3. 移動制御の考え方

3. 1 座標の定義

本稿で使用した座標系を Fig. 4に示す.ΣF を床座標系,

ΣV をビークル座標系,ΣB をボディ座標系として定義する.

各配置を ΣV は ΣF から見ると,位置 (xv,yv,0)T にあり,

ZF 軸回りに φv にだけ回転した姿勢にある.ΣB は ΣV から

見ると,位置 (0,0,0)T にあり,YV 軸回りに θb にだけ回

転した姿勢にある.胴体の質量中心の位置は ΣB から見ると

(0,0,z)T にあるものとする.また左車輪の車輪角を φwl と

し,右車輪の車輪角を φwr とする.φv はビークル座標の ZV

軸の左回りを正とし,θb,φwl,φwr はビークル座標の YV 軸

の右回りを正とした.

3. 2 倒立振子型二輪ロボットの運動方程式

振子の位置と姿勢を表わす一般化座標は車輪まで考慮し

q = (xv,yv,φv,θb,φwr,φwl)T と定義する.ラグランジュ

法 22)を用いて導出した運動方程式を (1) 式で表わす.ただ

し,cθb = cosθb,sθb = sinθb と略記する.

M(q)q + V (q,q) = Eτ (1)

ただし,α = Izzc2θb + Iyys2θb + mbz

2s2θb + 2Iwd

β = mbzsθb,γ = mbzcθb,J1 = mwR2 + Iwa

M(q) =

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

mb 0 −βsφv γcφv 0 0

0 mb βcφv γsφv 0 0

−βsφv βcφv α 0 0 0

γcφv γsφv 0 Iyy + mz2 0 0

0 0 0 0 J1 0

0 0 0 0 0 J1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

V (q,q) =

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

mbz(−2sφvcθbφv θb − cφvsθbφ2v − cφvsθbθ

2p

mbz(2cφvcθbφv θb − sφvsθbφ2v − sφvsθbθ

2p

2(Ixx − Izz + mbz2)cθbsθbφv θb

−(Ixx − Izz + mbz2)cθbsθbφ

2v − mbz · sθb · g

0

0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

E =

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0 0

0 0

0 0

−1 −1

1 0

0 1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦,τ =

[τwr

τwl

]

τwl,τwr,はそれぞれ左右の車輪に入力するトルクである.

Ixx,Iyy,Izz はそれぞれボディ座標 XB,YB,ZB 軸回りの

胴体部の慣性モーメントである.Iwa はビークル座標 YV 軸

回りの車輪の慣性モーメント Jwとモータのロータの慣性モー

メントと Jr とギア軸の慣性モーメント Jg の和であり,nを

ギア比とすると,Iwa = Jw +n2(Jr +Jg)で表わされる.Iwd

はビークル座標 ZV 回りの慣性モーメントである.添え字 b

は倒立振子型二輪ロボットの胴体部を意味し,w は車輪部を

意味している.m は質量であり,胴体部の長さは 2z,R は

車輪半径である.ただし,(1) 式はまだ速度拘束を考慮して

いない段階の運動方程式である.

Fig. 4 Definition of coordinate frames

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計測自動制御学会論文集 第 44 巻 第 3 号 2008年 3 月 3

3. 3 二輪ロボットの幾何モデルの導出

二輪ロボットの幾何モデルを導出する.qは一般化速度,S

を速度の係数行列,ν を新しく定義する一般化速度とし,vを

進行方向速度とする.また,二輪ロボットの両車輪間の幅を

2bとすると,幾何モデルは (2)式で与えられる.

q = Sν (2)

ただし,S =

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0 cφv 0

0 sφv 0

0 0 1

1 0 0

0 1R

bR

0 1R

− bR

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦,ν =

⎡⎢⎣ θb

v

φv

⎤⎥⎦

3. 4 拘束条件の導出

平行二輪車両には速度拘束条件がある.その速度拘束の係

数行列をAとすると速度拘束条件はつぎのように与えられる.

Aq = 0 (3)

ただし,A =

⎡⎢⎣ −sφv cφv 0 0 0 0

cφv sφv b 0 −R 0

cφv sφv −b 0 0 −R

⎤⎥⎦

3. 5 拘束条件を考慮した運動方程式の導出

速度拘束条件 Aq = 0があるとき,運動方程式はラグラン

ジュの未定乗数 λを用いて (4)式のように表わせる 12).

M(q)q + V (q,q) = Eτ − AT λ (4)

AT λは拘束を保つために必要な拘束力である.つぎにラグラ

ンジュの未定乗数 λ を消去した運動方程式を導出する.(2)

式の両辺を微分して (5)式を得,(4)式に代入し,(6)式を得

る.ただし,M(q) = M, V (q, q) = V と略記する.

q = Sν + Sν (5)

M(Sν + Sν) + V = Eτ + AT λ (6)

ここで AS = 0(ST AT = 0) となることに着目し,(6) 式に

左から ST を乗ずると,ラグランジュの未定乗数 λが打ち消

され,その結果,(7)式が得られる.この (7)式こそが速度拘

束を考慮した最終的な運動方程式である.

ST MSν + ST MSν + ST V = ST Eτ (7)

つぎに (7)式を変形させ,(8)式とおく.

ν = −(ST MS)−1ST MSν − (ST MS)−1ST V

+ (ST MS)−1ST Eτ (8)

3. 6 状態方程式と出力方程式の導出

ここで状態方程式を導出する.二輪ロボットを制御する際,

車輪の角度を除いた一般化座標 qr = [xv,yv,φv,θb]T を制

御することができれば,二輪ロボットは自由自在に制御でき

る.したがって,qr を状態変数の一部として定義し,二輪ロ

ボットの幾何モデルを改めて (9)式のように置き直す.これ

は (2)式における S の 5,6行目を省いたものである.

qr = Srν (9)

ただし Sr =

⎡⎢⎢⎢⎣

0 cφv 0

0 sφv 0

0 0 1

1 0 0

⎤⎥⎥⎥⎦

状態方程式は (8)式と (9)式を連立することで得ることがで

きる.状態変数を x = [qr,ν]T = [xv,yv,φv,θv,θb,v,φv]T

とすると状態方程式は (11)式となる.

x = f(q) + g(q)u (10)

=

[Srν

−(ST MS)−1ST MSν − (ST MS)−1ST V

]

+

[0(4×2)

(ST MS)−1ST E

][τwr

τwl

](11)

(11)式を具体的に記すと (12)式のように表わされる.⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

xv

yv

φv

θb

θb

v

φv

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

=

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

cφvv

sφvv

φv

θb

f21

f22

f23

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

+

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0 0

0 0

0 0

0 0g15D1

g15D1

g16D1

g16D1

RbD2

− RbD2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

[τwr

τwl

]

(12)

ただし Ja = mbR2 + 2Iwa + 2mwR2,Jb = Iyy + mbz

2

Jc = mbz2 + Ixx,Jd = Iwa + mwR2,Ix−z = Ixx − Izz

D1 = mb2z2c2θbR

2 − (Iyy + mbz2)Ja

D2 = JcR2s2θb + IzzR2c2θb + 2IwdR2 + 2b2Iwa + 2b2mwR2

f21 = − sθb(cθbθb2(JaIx−z−m2

bz2R2)+2Jdmbz2cθbφv

2+mbgzJa)

D1

f22 =zmbR2sθb((c2θbIx−z−Jb)θb

2+(−Jb+mbz2c2θb)φv

2+cθbmbgz)

D1

f23 = −R2sθbφv(mbzv+2cθbθb(Ix−z+mbz2))

D2

g15 = Ja + Rcθbzmb

g16 = −R(Rcθbzmb + Jb)

つぎに出力方程式は (13)式となる.

y =

⎡⎢⎢⎢⎣

1 0 0 0 0 0

0 1 0 0 0 0

0 0 1 0 0 0

0 0 0 1 0 0

⎤⎥⎥⎥⎦

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

xv

yv

φv

θb

φv

v

θb

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

(13)

しかし,プラットフォームとして用いた実機に設けられたセ

ンサが出力するのは胴体角度 θb と車輪角度 φwr, φwl のみで

ある.そこで xv は (14)式を用いて,yv は (15)式を用いて,

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4 T. SICE Vol.44 No.3 March 2008

φv は (16)式を用いて求める.

xv =R

2(φwr + φwl)cφv (14)

yv =R

2(φwr + φwl)sφv (15)

φv =R

2b(φwr − φwl) (16)

視覚センサなどを用いてロボットの一般化座標値が観測でき

る場合は直接に観測値を用いればよい.

3. 7 角度制御系の設計

導出した状態方程式 (11)に部分線形化フィードバックを施

し,線形化された項に線形制御を適用することを考える.部

分線形化フィードバックを行なうために,見かけ上の制御入

力 u = [ua, ub]を定義し,入力変換式 (17)を (12)式に施し

て,(18)式を得る.[τwr

τwl

]=

[D12

D22Rb

D12

− D22Rb

][ua

ub

](17)

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

xv

yv

φv

θb

θb

v

φv

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

=

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

cφvv

sφvv

φv

θb

f21

f22

f23

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

+

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0 0

0 0

0 0

0 0

g15 0

g16 0

0 1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

[ua

ub

](18)

つぎに部分線形化フィードバック入力を設計する.まず新し

い制御入力w = [w1,w2]T を定義する.新しい制御入力wが

θb = w1,φv = w2 を満たすように見かけ上の制御入力 ua, ub

を (19)式,(20)式のように定める.つぎに (19)式,(20)式

を (18)式に代入すると (21)式が得られる.

ua =w2

g15− f21

g15(19)

ub = w1 − f23 (20)

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

xv

yv

φv

θb

θb

v

φv

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

=

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

cφvv

sφvv

φv

θb

0

f22 − ( g16g15

)f21

0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

+

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0 0

0 0

0 0

0 0

0 1

0 g16g15

1 0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

[w1

w2

]

(21)

(21)式の 5,7 行目に着目すると,φv,θb が部分的に線形

化され,φv = w1,θb = w2 となっていることがわかる.

つぎに PD制御器を設計し,φv,θb を制御することを考える.

制御入力 w = [w1,w2]T をつぎのように設計する.

w1 = −f1(φv − φvr) − f2φv (22)

w2 = −f3(θb − θbr) − f4θb (23)

ただし,φvr,θbr は一定の指令値であるとし,PD制御器によ

り,φv,θb が制御できると仮定すると,φv = φvr,θb = θbr ,

φv = 0,θb = 0,φv = w1 = 0,θb = w2 = 0が成立する.こ

れらを考慮すると,(24)式が得られる.⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

xv

yv

φv

θb

θb

v

φv

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

=

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

cφvrv

sφvrv

0

0

0mbRgzsθbr

mbR2+2Iwa+2mwR2+cθbrRzmb

0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦(24)

(24) 式の 6 行目の進行方向速度 v は,部分線形化によって

制御し切れずに取り残される項であり,その意味において,

Zero Dynamicsを表わす式と呼ぶことにする.

3. 8 位置制御系の設計

つぎに Zero Dynamics を利用した位置制御系の設計を行

なう.(24)式の 6行目に注目し,θbr について解くと (25)式

が導出できる.

θbr = sin−1(v√

g2 + v2)

− sin−1(− (mbR2 + 2Iwa + 2mwR2)v

mbRz√

v2 + g2) (25)

(25)式の v を加速度指令 vr に置き換えることで,位置指令∫vrdtに応じた角度指令 θbr を生成することができる.つま

り,位置制御は (25)式を利用したフィードフォワード制御で

実現できる.ただし,位置指令は進行方向加速度 v の二階積

分であり,動く距離の指令 (以降,移動距離指令と呼ぶ)とし

て与えられる.また,胴体角度指令は sin−1 で定義されるた

め,胴体角度指令は −π2≤ θbr ≤ π

2の制約を受ける.

3. 9 外乱オブザーバの設計

本稿で導出した数学モデルは摩擦などを考慮していない

ため,部分線形化フィードバックによって線形化されたモ

デルに誤差が生じることが考えられる.そこで線形化された

φv, φv, θb, θb を抜き出した線形化モデルに,モデル化誤差を

ステップ状外乱 (dφv,dθb)T = (0,0)T と見立てると,(26)

式が得られる.

xo = Axo + Bw − Bd (26)

ただし,

xo =

⎡⎢⎢⎢⎣

φv

φv

θb

θb

⎤⎥⎥⎥⎦,A =

⎡⎢⎢⎢⎣

0 1 0 0

0 0 0 0

0 0 0 1

0 0 0 0

⎤⎥⎥⎥⎦,B =

⎡⎢⎢⎢⎣

0 0

1 0

0 0

0 1

⎤⎥⎥⎥⎦

そこで,部分線形化フィードバックによって線形化されたモ

デルに対して,同一次元外乱オブザーバを設計し,(27)式と

(28)式を得る.

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計測自動制御学会論文集 第 44 巻 第 3 号 2008年 3 月 5

Fig. 5 Brock diagram of control system

[˙xo

˙d

]=

[A −B

0m×n 0m×m

][xo

d

]

+

[B

0m×m

]w + H(yo − yo) (27)

yo =[

C 0p×m

][xo

d

](28)

ただし,w = w + d,

xo =

⎡⎢⎢⎢⎣

φv

ˆφv

θb

ˆθb

⎤⎥⎥⎥⎦,yo =

[φv

θb

],C =

[1 0 0 0

0 0 1 0

]

推定した外乱 dをフィードバックすることで (29)式を得る.

xo = Axo + Bw − Bd

xo = Axo + B(w + d) − Bd (29)

オブザーバゲインHを適切に設計し,d → dとなれば,部分線

形化フィードバックによる誤差を打ち消すことができる.ま

た,(22)式,(23)式の φv, φv, θb, θbの代わりに φv,ˆφv, θb,

ˆθb

を使い,(21)式における w の代わりに w を使用する.最後

に以上の制御系ブロック図を Fig. 5 に示す.図中の数値は

対応する式番を示す.拘束を考慮した二輪ロボットの数学モ

デル式 (12)に入力変換式 (17)を加え,部分線形化フィード

バック式 (19),(20) 式を行なう.その結果 φv, θb が線形化

され,同一次元外乱オブザーバと PD 制御器が設計できる.

PD制御によって φv, θb が制御でき,旋回角度指令と移動距

離指令を作成し,(25)式を利用して移動距離指令に応じた胴

体角度指令を作成することで胴体角度と位置が両方同時に制

御できる.

4. シミュレーション結果

導出した数学モデルと制御器を用い,直線運動と旋回運動,

および左右にカーブする曲線運動のシミュレーションを行

なった.

Fig. 6に直線運動時の,Fig. 7に旋回運動時の,Fig. 8に

左カーブ時の,Fig. 9に右カーブ時のシミュレーション結果を

それぞれ示し,Fig. 10に直線運動と左右の曲線運動の二輪ロ

ボットの軌跡を示す.グラフはすべて点線が指令値であり,実

線が出力応答である.上から移動距離指令と実際に移動した

Fig. 6 Simulation result (Straight motion)

Fig. 7 Simulation result (Rotating motion)

距離,胴体角度指令 θbr と胴体角度応答 θb,旋回角度指令 φvr

と旋回角度 φv を表わしている.指令値は直線運動時と,左右

の曲線運動時は t = 8[s],∫

vdt = 0[m] から t = 10.5[s],∫vdt = 1[m] となるような移動距離指令

∫vrdt を与え,

旋回運動時は 0 とした.旋回角度指令は φvr は t = 8[s],

φv = 0[rad] から,左カーブ時 t = 10.5[s],φvr = 0.5[rad],

右カーブ時 t = 10.5[s],φvr = −0.5[rad],旋回移動時は

t = 10.5[s],φvr = 0.5[rad], t = 13[s],φvr = 0[rad] とな

るような,滑らかな多項式の指令を与え,また直線運動時は

φvr = 0とした.各グラフより,胴体角度,旋回角度が制御

され,前傾姿勢時に加速し,後傾姿勢時に減速させ,不安定

性を積極的に利用した制御が成功していることがわかる.ま

た,多少のオーバーシュートとアンダーシュートが見られる

ものの,胴体角度,旋回角度,移動距離が同時に制御され,提

案する制御が実現できていることが示されている.

5. 実 験 結 果

評価実験でプラットフォームとして用いた倒立振子型ロ

ボットはマイクロテックラボラトリー (株) の協力によって

製作された.二つのマクソン (株) 製の 150(W)の DC モー

タを取り付け,左右の車輪角と胴体部の傾き角度を検出する

ためマイクロテックラボラトリー (株) 製のロータリーエン

コーダを取り付けた.制御プログラムは Mathworks(株) 製

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6 T. SICE Vol.44 No.3 March 2008

Fig. 8 Simulation result (Left curve motion)

Fig. 9 Simulation result (Right curve motion)

Fig. 10 Simulation result (Trajectory)

の MATLAB/Simulink を用いた.プログラムは MTT(株)

製の S-boxに RealTimeWorkShopを用いて実装し,サンプ

リングタイムは 1[ms]とした.

Table 1に今回使用した二輪ロボットの物理パラメータと,

Table 2に実験で利用した制御パラメータを示し,Fig. 11

に直線運動時の,Fig. 12に旋回運動時の,Fig. 13に左カー

ブ時の,Fig. 14 に右カーブ時の実験結果をそれぞれ示し,

Fig. 15に二輪ロボットの軌跡を示す.

実験はシミュレーションと同様の運動を行なわせた.グラ

フはすべて点線が指令値であり,実線が出力応答である.グ

ラフはそれぞれ上から移動距離指令と実際に移動した距離,

Table 1 Physical parameters

Mass of the body mb 4.0[kg]

Half of heightof the body z 0.20[m]

gear ratio n 3.5

moment of inertia Jw 1.08 × 10−3[kgm2]

moment of inertia Jr 1.34 × 10−5[kgm2]

moment of inertia Jg 1.40 × 10−6[kgm2]

moment of inertia lxx 1.44 × 10−1[kgm2]

moment of inertia lyy 1.44 × 10−1[kgm2]

moment of inertia lzz 4.9 × 10−2[kgm2]

moment of inertia lwd 4.9 × 10−2[kgm2]

Radius of the wheel R 8.5 × 10−2[m]

Mass of the wheel mw 0.3[kg]

Table 2 Control parameters

Proportional gain f1,f3 8.0 × 102,50[1/s2]

Derivative gainf2,f4 3.2,0.20[1/s]

Obserber gainh1,h2 0.0191,0.0006(×104[1/s])

Obserber gainh3,h4 0.9464,0.0638(×104[1/s2])

Obserber gainh5,h6 0.0006,0.0210(×104[1/s])

Obserber gainh7,h8 0.0664,1.1612(×104[1/s2])

Obserber gainh9,h10 −4.2869,− 0.1147(×104[1/s])

Obserber gainh11,h12 −0.2222,− 6.1806(×104[1/s])

胴体角度指令 θbr と胴体角度応答 θb,旋回角度指令 φvr と旋

回角度応答 φv を表わしている.

提案する制御は部分線形化制御のロバスト性は考慮されて

いるものの,位置制御に関するロバスト性は欠けているため,

軌道指令に完全には追従できず,旋回運動でも,多少 x軸,y

軸方向に移動してしまっているものの,全体的におおむねシ

ミュレーション結果と近い結果となっており,意図するシス

テムが実現できていることがわかる.直線運動と旋回運動と

右曲線運動のようすを連続写真でFig. 16,Fig. 17,Fig. 18

に示す.Fig. 16より,加減速中に胴体角を傾けて移動してい

ることが確認でき,Fig. 17より,多少の位置ずれを起こして

いるものの,その場回転が成功できているようすがわかる.

Fig. 18より,胴体角度と旋回角度を同時に制御することで曲

線運動が成功できているようすがわかる.

6. お わ り に

部分線形化制御と Zero Dynamics の特性を利用し,胴体

角度制御に基づく倒立振子型二輪ロボットの新しい制御法を

提案した.このような胴体角を直接制御して,不安定性を積

極的に活かす方法を用いた高速制御を行なっている例はない

ようである.本稿では移動距離指令値と旋回角度指令を別々

に作成し,同時に入力することで軌道指令を生成したが,今

後ノンホロノミック拘束を陽に考慮に入れた軌道計画を行な

い,Kターンを含む複雑な動きを扱っていく予定である.ま

た,位置制御においてはフィードフォワード制御となってお

り,偏差の残留や旋回運動時に影響を受けるなどの問題が残っ

ている.今後,軌道指令に追従するような位置制御のロバス

ト性の考慮などが課題となる.

謝辞 本研究の遂行に関し,全面的な協力をいただいたマ

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計測自動制御学会論文集 第 44 巻 第 3 号 2008年 3 月 7

Fig. 11 Experimental result (Straight motion)

Fig. 12 Experimental result (Rotating motion)

Fig. 13 Experimental result (Left curve motion)

イクロテック・ラボラトリー株式会社の小山保夫会長,平勉

社長他の皆様に深く感謝します.

参 考 文 献

1)森,細貝,古田:制御理論の一応用—倒立振子の安定化,シミュレーション技術研究会論文集,2-6, 45/55 (1974)

2)林,嘉納,増淵:倒立振子の姿勢制御—質量の横方向移動による安定化,計測自動制御学会論文集,13-5, 425/432 (1977)

3)杉江,井上,木村:結合倒立振子の安定化制御,計測自動制御学会論文集,14-5, 591/597 (1978)

4)嘉納秀明:倒立振子の適応制御,コンピュートロールNo.2—特集現代制御理論によるディジタル制御,69/75,コロナ社 (1983)

5)山藤,河村:同軸二輪車の姿勢制御,日本ロボット学会誌,7-4,

338/343 (1989)

Fig. 14 Experimental result (Right curve motion)

Fig. 15 Experimental result (Trajectory)

6)大住・泉川:非線形制御による倒立振子の振上げと安定化,計測自動制御学会論文集,33-10, 1010/1018 (1997)

7)Segway Inc.: http://www.segway.com/

8)梶田秀司:ヒューマノイドロボット,オーム社 (2005)

9)K. Pathak, J. Franch and S.K. Agrawal: Velocity and Po-

sition Control of a Wheeled Inverted Pendulum by Partial

Feedback Linearization, IEEE Transactions on robotics,

21-3 (2005)

10)島田,畠山:Zero Dynamics を利用する倒立振子の高速移動制御,計測自動制御学会論文集,42-9, 1035/1041 (2006)

11)A. Shimada and N. Hatakeyama: High-Speed Motion Con-

trol of Wheeled Inverted Pendulum Robots, Proceedings

of International Conference on Mechatronics Kumamoto

Japan, 8/10 (2007)

12)美多 勉:非線形制御入門—劣駆動ロボットの技能制御論—,昭晃堂 (2000)

13)石島,島,石動,三平,山下,渡辺:非線形システム論,計測自動制御学会,コロナ社 (1993)

14)A. Isidori: Nonlinear Control Systems: An Introduction,

third ed., Springer-Verlag, Berlin (1995)

15)E.R. Westervelt, J.W. Grizzle and D.E. Koditschek: zero

dynamics of underactuatedplanar biped walkers, Univer-

sity of Michigan, Ann Arbor, MI, USA

16)M.W. Spong: The Swing Up Control Problem For the

Acrobot, IEEE Control Systems Magagine, 15-2, 49/55

(1995)

17)湯浅,星野,古田:部分フィードバック線形化に基づく多自由度 2足ロボットの制御,第 38計測自動制御学会学術講演会予稿集,411/412 (1999)

18)三平満司:ミニ特集 非ホロノミック系のフィードバック制御,計測と制御,36-6, 計測自動制御学会,396/403 (1997)

Page 8: Vol.44, No.3, 1/8 Zero Dynamics を利用した倒立振子型二輪ロ …ashimada/research/theses/2008-03-ZeroDyna.pdfVol.44, No.3, 1/8(2008) Zero Dynamicsを利用した倒立振子型二輪ロボットの高速移動制御

8 T. SICE Vol.44 No.3 March 2008

(a)t=8.0(s) (b) t=8.5(s)

(c)8.8(s) (d) t=9.4(s)

(e)10.0(s) (f) t=10.5(s)

Fig. 16 Picture of straight motion

(a)t=8.0(s) (b) t=9.5(s) (c) t=10.5(s)

(d)11.0(s) (e) t=12.0(s) (f) t=13.0(s)

Fig. 17 Picture of rotating motion

19)L. Udawatta, K. Watanabe, K. Izumi and K. Kiguchi, Ob-

stacle Avoidance of Three-DOF Underactuated Manipula-

tor by Using Switching Computed Torque Method, Trans.

on Control, Automation and Systems Engineering, 4-4,

347/355 (2002)

20)坂本,藤本,石川:非線形制御—消す非線形から生かす非線形へ,計測と制御,42-4, 計測自動制御学会,291/295 (2003)

21)中村仁彦:非ホロノミックロボットシステム,講座全 5回,日本ロボット学会誌,11-4∼7, 12-2 (1993-1994)

22)有本 卓:新版ロボットの力学と制御,朝倉書店 (2002)

(a)t=8.0(s) (b) t=8.5(s)

(c)8.8(s) (d) t=9.4(s)

(e)10.0(s) (f) t=10.5(s)

Fig. 18 Picture of right curve motion

[著 者 紹 介]

畠 山 直 也

1983年 7月生.2006年職業能力開発総合大学校電気工学科卒業.同年職業能力開発総合大学校研究課程 (=修士課程) 電気情報専攻入学.モーションコントロール,非線形制御の研究に従事.

島 田 明(正会員)

1958年 9 月生.83 年電気通信大学電子工学科卒業.同年(株)第二精工舎(現セイコーインスツル(株))に入社し,ロボットコントローラ開発に従事.94年より千葉大学非常勤講師を兼務,99

年より客員教授を兼務.2001年より職業能力開発総合大学校電気システム工学科助教授.2007年より准教授.電気学会上級会員,IEEE,日本ロボット学会などの会員,博士(工学)(1996 年慶應義塾大学).