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FUJITSU. 65, 3, p. 14-20 05, 201414 あらまし ICTを活用した21世紀にふさわしい学校教育が求められている中,特別支援教育にお いても,各教科や自立活動などの指導においてその効果を高めることができる点でICT活用は極めて有効である。富士通は,特別な支援が必要な子どもたちの状態や特性に配 慮した教育用ソフトウェアとして,20126月から「FUJITSU 文教ソリューション K-12 特別支援 キッズタッチ」の開発に着手し,国立大学法人香川大学教育学部坂井研究室と有 効性検証の共同研究を行い,機能や操作性を改善した。「K-12 特別支援 キッズタッチ」は, 「いろんなせんかけるかな?」「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」「パズル できるかな?」の四つのソフトウェアから構成される。知的障がい,肢体不自由,発達障 がいの子どもたちを対象に,タッチを前提としたインターフェース,対象児童生徒の発 達段階に合わせた難易度の設定や教材作成,学習履歴による学習状況の把握などを特徴 としている。 本稿では,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の機能と特徴,特別支援学校での試用・評価 について紹介する。 Abstract Schools of today need ICT-enabled educational tools of the 21 st century. Deployment of ICT is highly effective to enhance educatorsperformance in special needs education (SNE) as well as in ordinary classes and extra-curricular activities. In June 2012, Fujitsu started developing an educational software series to cater for the conditions and requirements of children with special needs, FUJITSU Education Solution K-12 SNE Kids Touch.Conducting joint research with the Sakai Laboratory at the Faculty of Education in Kagawa University, Fujitsu evaluated the program and improved its operability and functionality. K-12 SNE Kids Touch comprises four software programs: Lets draw lines!Lets write hiragana!Lets write katakana!and Lets do jigsaw puzzles!Designed for children with physical or intellectual difculties and developmental disorders, they are equipped with a touch-based interface, and include features such as difculty-level settings adjustable according to the childs development, addition and composition of educational materials, and record-tracking to make it easier to follow up on childrens learning progress. This paper will outline these unique features, and describe the trials conducted at special needs schools and the outcomes. 伊藤智之   野沢亜矢   宮入麻紀子   高石かおり 特別支援教育への取組み K-12 特別支援 キッズタッチ~ Working on Educational Support for Children with Special Needs: K-12 SNE Kids Touch

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FUJITSU. 65, 3, p. 14-20 (05, 2014)14

あ ら ま し

ICTを活用した21世紀にふさわしい学校教育が求められている中,特別支援教育においても,各教科や自立活動などの指導においてその効果を高めることができる点でICTの活用は極めて有効である。富士通は,特別な支援が必要な子どもたちの状態や特性に配

慮した教育用ソフトウェアとして,2012年6月から「FUJITSU 文教ソリューション K-12 特別支援 キッズタッチ」の開発に着手し,国立大学法人香川大学教育学部坂井研究室と有効性検証の共同研究を行い,機能や操作性を改善した。「K-12 特別支援 キッズタッチ」は,「いろんなせんかけるかな?」「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」「パズル

できるかな?」の四つのソフトウェアから構成される。知的障がい,肢体不自由,発達障

がいの子どもたちを対象に,タッチを前提としたインターフェース,対象児童生徒の発

達段階に合わせた難易度の設定や教材作成,学習履歴による学習状況の把握などを特徴

としている。

本稿では,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の機能と特徴,特別支援学校での試用・評価について紹介する。

Abstract

Schools of today need ICT-enabled educational tools of the 21st century. Deployment of ICT is highly effective to enhance educators’ performance in special needs education (SNE) as well as in ordinary classes and extra-curricular activities. In June 2012, Fujitsu started developing an educational software series to cater for the conditions and requirements of children with special needs, “FUJITSU Education Solution K-12 SNE Kids Touch.” Conducting joint research with the Sakai Laboratory at the Faculty of Education in Kagawa University, Fujitsu evaluated the program and improved its operability and functionality. K-12 SNE Kids Touch comprises four software programs: “Let’s draw lines!” “Let’s write hiragana!” “Let’s write katakana!” and “Let’s do jigsaw puzzles!” Designed for children with physical or intellectual difficulties and developmental disorders, they are equipped with a touch-based interface, and include features such as difficulty-level settings adjustable according to the child’s development, addition and composition of educational materials, and record-tracking to make it easier to follow up on children’s learning progress. This paper will outline these unique features, and describe the trials conducted at special needs schools and the outcomes.

● 伊藤智之   ● 野沢亜矢   ● 宮入麻紀子   ● 高石かおり

特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

Working on Educational Support for Children with Special Needs: K-12 SNE Kids Touch

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特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

動作環境を以下に記す。・ OS:Windows 7 SP1,Windows 8, 8.1・ 画面解像度:1280×768以上・ Microsoft.NET Framework 4, 4.5, 4.5.1・ 学習履歴表示ツールを使用する場合,Microsoft

Excel 2010以降が必要

いろんなせんかけるかな?

文字は多様な線から構成され,文字を書くにはその多様な線を正確に書くことが求められる。更に線を書くには,目を動かす方向に手を動かす目と手の協応能力が必要である。「いろんなせんかけるかな?」は,線をなぞる練習をカバに果物を食べさせる,女の子の口まで歯ブラシを運ぶなど,子どもが喜ぶ遊びに置き換え,目と手の協応能力の向上を支援するソフトウェアである。本ソフトウェア起動後,練習する線を選択す

る。練習する線は,横線,縦線,斜線,1~ 3回曲がり,曲線,図形の8線種から構成される。選択後,練習する線の始点に果物が表示されるので,終点のカバの口まで指あるいはペンで果物を運ぶ{図-1(a)}。カバの口に果物が入ると,カバが「あー,おいしかった」と言って果物を食べる。設定回数分カバに果物を食べさせると,カバが「どうもありがとう,おなかいっぱい!」と言う賞賛画面が提示される。果物とカバ以外にも,果物とゴリラ,ケーキと男の子,歯ブラシと女の子,じょうろと花などの子どもの興味に合わせて選択できるパターンを用意している。線なぞりの練習画面では,子どもが見通しを持てるように,画面右下部に練習回数分のつぼみが表示され,1回終わるごとに花が咲く。また,1~3回曲がり,図形の場合,通過箇所の目印としてガイドラインの曲がり角に目印の点を表示することができる。線なぞりの練習画面で右クリックあるいは画面上部を長押しすると,設定画面が提示される{図-1(b)}。ガイドラインの幅と色,果物のサイズ,ガイドラインからはみ出した際のフィードバック,賞賛画面を提示する成功回数など,対象児童生徒の発達段階に合わせて難易度を設定できる。例えば,ガイドラインの幅を狭くして,はみ出しをチェックさせることで,同じ線の練習でもより

いろんなせんかけるかな?

ま え が き

社会の情報化が急速に進んでいる中,ICTを活用した21世紀にふさわしい学校教育が求められている。政府は「2020年までに全国の小・中学校で一人1台のタブレット端末の整備」という目標を掲げており,文部科学省の「学びのイノベーション事業」,総務省の「フューチャースクール推進事業」など,ICTを活用した取組みが全国で進んでいる。特別な支援を必要とする子どもたちにとって,障がいの状態や特性などに応じてICTを活用することは,各教科や自立活動などの指導においてその効果を高めることができる点で極めて有用である。(1)

また,特別支援教育におけるICTを活用する意義としては,「障がいの状態を改善・克服するための道具としての活用」「楽しく効果的な学習を進めるための教具としての活用」「社会生活を豊かにする参加メディアとしての活用」が挙げられる。(2)

しかし,特別支援教育向けの教育用ソフトウェアは普通教育向けの製品と比較して数が少なく,その開発および活用が十分に進んでいないのが実情である。このような状況を踏まえ,富士通では,特別な支援が必要な子どもたちの状態や特性に配慮し,より良い学習環境を提供するために,スモールステップによる指導の充実を可能とした教育用ソフトウェア「FUJITSU 文教ソリューション K-12 特別支援 キッズタッチ」を開発,提供している。本稿では,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の機能と特徴,特別支援学校での試用・評価について紹介する。

構成・動作環境

「K-12 特別支援 キッズタッチ」は,特別な支援が必要な子どもの基礎能力育成を狙いとし,知的障がい,肢体不自由,発達障がいの子どもたちを対象に,「いろんなせんかけるかな?」「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」「パズルできるかな?」の四つのソフトウェアから構成される。タッチを前提としたインターフェース,対象児童生徒の発達段階に合わせた難易度の設定や教材作成,学習履歴による学習状況の把握などを特徴としている。

ま え が き

構成・動作環境

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特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

のステップ数を表す賞賛画面が表示され,次のことばに進む。ことば合わせの画面や文字練習の画面で右クリックあるいは画面上部を長押しすると,設定画面が提示される{図-2(c),(d)}。ことば合わせで提示する文字や見本文字の表示,文字練習でのなぞり書き用の字形の線種,お手本の表示スピードと軌跡,筆順チェックの有無など,対象児童生徒の発達段階に合わせて難易度を設定できる。例えば,ことば合わせの提示する文字で『正解の「文字」+その他の文字』を選択した場合,正解の文字以外の文字をランダムに提示させることで,より難しい課題になる。オプション設定では,ひらがな・カタカナセットの作成・削除が行える。既存の画像や動画を取り込み,提示順序を設定して,対象児童生徒の興味に合ったひらがな・カタカナセットを作成できる。また,紙と鉛筆で同様の練習ができるような書取り練習シートの印刷機能もサポートしている。

パズルできるかな?

形や色の認知および弁別には,目で見た情報を取り込んで全体を意識しながら部分を関連付けて意味あるものにまとめ上げる知覚統合能力が必要である。「パズルできるかな?」は,2~ 9分割されたピースを組み合わせて一つの絵を完成させることを通して,知覚統合能力の向上を支援するソフトウェアである。本ソフトウェア起動後,練習するパズルセットを選択する。製品にはサンプルとして,生き物,楽器,乗り物などのパズルセットが収められている。選択後,画面左に4分割されたピース,画面

パズルできるかな?

難しい課題になる。なお,タブレットPCを使用した線なぞりの練習が紙と鉛筆でもできるように画面の印刷機能もサポートしている。

ひらがな・カタカナかけるかな?

文字学習初期には,筆順に従って文字をなぞる練習を行う。また,りんごの絵とりんご(文字),友達の顔と名前のように具体物とことばをマッチングさせながら文字を学習する。「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」は,静止画や動画で提示された具体物の名前とことばをマッチングさせ,ことばの各一文字をなぞる練習を通して,具体物とことばのマッチング能力および書字能力の向上を支援するソフトウェアである。本ソフトウェア起動後,練習するひらがな・カタカナセットを選択する。製品にはサンプルとして,2~ 3個の文字で構成されることば,動作を表すことばなどが収められている。選択後,ことば合わせの画面が表示される{図-2(a)}。画面左に見本の文字と画像,画面右にマッチング用の文字パネルが提示され,提示された文字パネルの中から正しい文字を選択してことばを完成させる。次に文字練習の画面が表示される{図-2(b)}。画面中央のなぞり書き用の字形をなぞり,文字を完成させる。画面右の「よみあげ」を選択すると,表示されている文字の読みが音声再生される。「ヒント」を選択すると,筆順の始点と終点が表示される。「おてほん」を選択すると,運筆が再生される。「かきなおす」を選択すると,画面に描画した軌跡が消える。画面右下の「つぎ」を選択し,次の文字を練習する。全ての文字が終了したら,画面中央に自分の軌跡で文字が表示される。その後,残り

ひらがな・カタカナかけるかな?

図-1 いろんなせんかけるかな?

(a)線なぞりの練習画面 (b)設定画面

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特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

やし下絵をシルエットで表示させることで,より難しい組合せになる。オプション設定では,パズルセットの作成・削除が行える。既存の画像や動画を取り込み,提示順序を設定して,対象児童生徒の興味に合ったパズルセットを作成できる。

共 通 機 能

「K-12 特別支援 キッズタッチ」に共通する3機能について記す。(1) 学習履歴障がいのある児童生徒の使用するアプリケー

共 通 機 能

右に完成イメージの下絵が表示されるので,ピースを下絵の該当箇所まで指あるいはペンで運ぶ{図-3(a)}。全てのピースを運び下絵が完成すると,下絵の上に赤色の丸が表示され,「ピンポ~ン」の効果音が再生される。効果音再生後,下絵が画像の場合はアニメーション,動画の場合は動画が再生される。ピースの組合せ画面で右クリックあるいは画面上部を長押しすると,設定画面が提示される{図-3(b)}。下絵の分割数,ピースの提示方法,ピースの回答方法など,対象児童生徒の発達段階に合わせて難易度を設定できる。例えば,分割数を増

図-3 パズルできるかな?

(a)ことば合わせの画面 (b)文字練習の画面

(c)設定画面 1 (d)設定画面 2

図-2 ひらがなかけるかな?

(a)ピースの組合せ画面 (b)設定画面

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特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

教育学部附属特別支援学校ほか3校の小学部,中学部にタブレットPCを数台配備し,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の試用・評価を行った{図-5(a)}。対象児童生徒の担当教員の評価結果を以下に記す。(1) 「いろんなせんかけるかな?」では,線の曲がり角に目印を提示することによって,はみ出す回数も減り上達した。また,子どもが自分でなぞり書きの練習をしたい線種を選び学習を進めていくことで,学習に対する意欲が高まっていく可能性がある。

(2) 各ソフトウェアに合わせた賞賛画面が用意されていて,特に「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」では自分の書いたことばの完成形を確認できるので,納得できるまで繰り返し取り組むことができた{図-5(b)}。

(3) 「パズルできるかな?」では,パズルが完成後,動いたり音が再生したりするのが紙のパズルと異なり良い。

(4) 学習履歴は時間や軌跡が分かり,子どもの実行の様子を読み取ることができる。また,子どもの成長を客観的に見ることができるようになるため,指導効果も期待できる。また,担当教員からの要望ほかを以下に記す。

(1) 「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」では,左利きの子どもの操作を配慮して,レイアウトを反転させてほしい。

(2) ひらがな,カタカナ以外に,漢字も必要である。(3) 「パズルできるかな?」では,ピースが四角形だけなので通常のパズルピースのような形があってもよい。

(4) ペン入力の場合,タブレットPCの画面に手を

ションには,学習の履歴を確認できる機能が必要である。(3)各ソフトウェアのオプション設定には,学習者の登録・削除のメニューがある。学習者を登録するとデスクトップに専用のアイコンが生成される。そのアイコンから起動すると,学習履歴がローカルの特定フォルダに自動的に記録される。また,変更した設定情報は学習者ごとに保存されるので,次回起動時はその設定情報を継承して使用できる。各ソフトウェアに添付されている学習履歴表示ツールを起動し,対象児童生徒の学習履歴ファイルを指定すると,学習日時,学習時間,実行画面の設定内容,失敗した回数,学習結果,子どもが描画した軌跡などを参照できる。また,各項目を自動的にグラフで表示する機能もサポートし,時系列で学習状況の変化を把握できる。(2) キーボード・ナビゲーションマウスの左クリック,タッチによって操作する箇所にTabキー・Enterキーによるキーボード・ナビゲーション,(4) 数字キーによるショートカットキーの割当てをサポートしている。また,設定した秒数とスタイルでフォーカス枠が自動的に移動し,Enterキーの入力のみで操作が可能となるオートスキャンもサポートしている(図-4)。マウス,ペン,タッチの操作が困難な肢体不自由の場合でも,Tabキー・Enterキー・数字キーに対応したスイッチインターフェース(注1)と障がいに合わせた外部入力スイッチ(注2)を組み合わせて使用することで,各ソフトウェアを操作できる。(3) セットの書出し・読込み作成したパズルセット,ひらがな・カタカナセットの書出しと読込みの機能をサポートしている。各ソフトウェアがインストールされているほかのタブレットPCでも同じパズルセット,ひらがな・カタカナセットを使用できる。

試用・評価

2012年10月から2014年2月にかけて,香川大学

(注1) PCと外部入力スイッチを接続するアダプター。PCとはUSBなどで接続する。

(注2) 障がい者用の入力装置。随意的に動かせる身体の部位を利用して操作する。プッシュスイッチ,握りスイッチなどがある。

試用・評価

図-4 フォーカス枠の設定画面

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特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

最後に,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の試用・評価にご協力いただいた特別支援学校の教員,児童生徒の方々に深く感謝いたします。

参 考 文 献

(1) 文部科学省:教育の情報化ビジョン.2011年4月28日.

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305484.htm

(2) 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所:特別支援学校の教育.2011年6月14日.

http://www.nise.go.jp/cms/13,3311,55,250.html(3) 文部科学省:障害のある児童生徒の教材の充実について(報告).2013年8月28日.

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1339114.htm

(4) 伊藤智之:キーボード・ナビゲーション及び音声合成をサポートした教育用ソフトウェアの開発.第14回リハビリテーション工学カンファレンス講演論文集,

1999,p.529-522.

置いてしまうので,入力をペンのみ,タッチのみと切り替えられる機能が必要である。以上の評価結果により,機能や操作性を改善できた。

む  す  び

本稿では,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の機能と特徴,特別支援学校での試用・評価の結果について述べた。特別支援教育におけるICTの活用では,障がいの状態や特性に配慮したソフトウェアが必須である。そのソフトウェアの開発においては,特別支援教育現場における有効性の検証,機能や操作性の改善を繰り返すことが重要である。「K-12 特別支援 キッズタッチ」においても,マルチOS対応,学習履歴のサーバ保存などの改善を検討予定である。富士通は,特別な支援が必要な子どもたちの将来の自立と社会参加に向け,ICTを活用した特別支援教育の充実を目指している。今後も継続して障がいの状態や特性に配慮した教育用ソフトウェアの開発を行う所存である。

む  す  び

(a)「いろんなせんかけるかな?」を試用している様子 (b)「ひらがなかけるかな?」を試用している様子

図-5 試用・評価の様子

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特別支援教育への取組み~ K-12 特別支援 キッズタッチ~

伊藤智之(いとう ともゆき)

富士通デザイン(株)ソフトウェア&サービスデザイン事業部 所属現在,ソフトウェア・サービスを中心としたデザイン開発に従事。

野沢亜矢(のざわ あや)

富士通デザイン(株)ソフトウェア&サービスデザイン事業部 所属現在,文教ソリューションを中心としたデザイン開発に従事。

宮入麻紀子(みやいり まきこ)

富士通デザイン(株)ソフトウェア&サービスデザイン事業部 所属現在,文教ソリューションを中心としたデザイン開発に従事。

高石かおり(たかいし かおり)

富士通デザイン(株)ソフトウェア&サービスデザイン事業部 所属現在,文教ソリューションを中心としたデザイン開発に従事。

著 者 紹 介