天文学研究における現状及び
将来計画
現状: Super-Kamiokande
将来計画: Telescope Array
東京大学宇宙線研究所
宇宙線研究とは
観測対象: 宇宙から飛来する粒子線、 ガンマ線、重力波等
得られる知見: 素粒子物理学(ニュートリノ)
宇宙物理学(ビッグバン、暗黒物質、・・・)
天体物理学(活動天体)
超新星 SN1987A からのニュートリノを観測 ( Kamiokande, IMB )
「自然に帰れ」:素粒子加速器のエネルギー
限界宇宙を実験室に(ビッグバンの痕跡・・・)自然の精密観察(陽子崩壊・・・)
宇宙線研究の復興
宇宙線研究所における研究のキーワード
ニュートリノSuper-Kamiokande
最高エネルギー宇宙線AGASA
高エネルギーガンマ線CANGAROO ( in オーストラリア)
重力波TAMA ( with 国立天文台)
現状: Super-Kamiokande
平成2年学術審議会報告:・・・
大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置計画・・・の実現を図ることは喫緊の課題である・・・
平成3年建設開始、平成8年観測開始
スーパーカミオカンデ
(1996年4月完成)
成果: Super-Kamiokande
平成10年:大気ニュートリノの観測からニュート リノ振動、すなわちニュートリノの有 限質量を発見
平成12年:つくばー神岡間ニュートリノ振動実験 においてニュートリノ振動を95%の 確率で確認
平成12年:太陽ニュートリノ問題の解であるニュ ートリノ振動の基本パラメータを決定
将来計画: 当面観測を継続する
特徴
純水量=50000トン有効体積=22500トン
(カミオカンデ有効体積:680-1000トン)
光電子増倍管の改良(時間、電荷特性)光電子増倍管取り付け密度=2本 /m2
総数=11200本高度な電子計算機システム純水製造装置(溶存ラドンガスの除去)
p, He大気
大気ニュートリノとは(Ⅰ)
νe
地球
Super-K
μ±
νμ
π±
νμ : νe =2:1
e±
大気ニュートリノとは(Ⅱ)
θ
θ
フラックスの上下対称性
地球
イベントディスプレー
低エネルギー
高エネルギー
電子 ミューオン
ニュートリノ振動
パラメーター Δm2, sin2(2θ) の決定
観測結果より飛行距離数100kmから振動の効果が現れる
つくばー神岡間ニュートリノ振動実験
近接装置
1000トン装置内部
ニュートリノ生成場所
陽子加速器
つくば
陽子陽子ビームライン
ターゲット
μ ニュートリノは減ったか
昨年4月から実験開始使用陽子総数 = 1.66×1019個神岡での期待数 = 29.2±3.4個観測数 = 17個!大気 ν異常からの期待数= 19個
太陽ニュートリノの精密観測
太陽ニュートリノフラックス観測結果(緑色)と予想値の比較
太陽ニュートリノフラックスの地上における予想値(エネルギーの関数として)
Super-Kamiokande の結果によるパラメーター Δm2 、 sin2(2θ)
の決定グリーンの領域:フラックス測定の みによって決定 された許可領域赤の右側領域: スペクトル測定に よる排除領域結果: Δm2 ~10-4eV2,
sin2(2θ)~1
の領域が唯一解となる青: KamLand の探索可能領域
111 Sci. Detectors
現状: AGASA
地上検出器
空気シャワー
の発達
AGASA で観測された最 大エネルギーイベント
空 気シャワーと観測データ
エネルギー(電子ボルト)
観測頻度 X E3
一様分布する発生源から期待されるエネルギー分布
成果: AGASA
GZK 限界
GZK 限界とは
入射粒子が通常の陽子 p とする 宇宙には宇宙背景放射(温度 2.7K の光子)
が存在 陽子エネルギーが約6 × 1019電子ボルト以
上で陽子は光子と反応して π中間子を作りエネルギーを失う。
宇宙遠方からの陽子は地球に届くまでにエネルギーを失う
約1020電子ボルト以上の陽子数は急速に減少する
最高エネルギー宇宙線の到来方向
ガンマ線バーストなどの活動天体か?入射粒子は陽子
ビッグバンの生き残りか?入射粒子はガンマ線やニュートリノ
エネルギーの上限はどこにあるのか?
最高エネルギー宇宙線の源は?
もっと観測数を!10年で600例: スペクトルの測定
入射粒子の同定ビッグバン起源: ガンマ線やニュートリ
ノが主 成分ガンマ線バースト等: 陽子が主成分
今後の観測の戦略
将来計画: Telescope Array
装置の発展の歴史
ユタ州に設置
有効面積は日本国土の6分の1
緊急性
アルゼンチンにおいて Pierre Auger プロジェクトの建設開始(2005年観測開始予定)
宇宙線研究所が蒔いたシードの収穫をAuger 計画に取られるな!
試験開発の状況
プロトタイプ作成
反射鏡カメラ構造体
大気モニター
現地にてテスト
装置の本格建設はいつでも可能
現状: TAMA
研究目的研究目的
重力波は時 空場 のひずみの伝播電波は電磁場のひずみの伝播
超新星や中性子星の合体、ビッグバンがその源
ニュートリノと同時観測
成果: TAMA
レーザー干渉系として正常に動作(世界最大の装置)
ノイズレベルが高周波で設計値に近づく低周波ノイズ成分の低減に努力
地球の公転軌道が水素原子の直径の約1%くらい変化した
将来計画: LCGT
LCGT: 特徴
低温鏡、懸架装置(20K)の導入
地下に設置(地面振動=1/100)
大出力レーザーとリサイクリング技術
実験場所
まとめまとめ
Super-Kamiokande 、 AGSA 、 CANGAROO 、 TAMA 等、宇宙線研究所における研究の現状は満足すべきものである
今後の研究戦略Super-Kamiokande の観測継続CANGAROO の科研費による増強Telescope Array を直ちに実現LCGT を早急に実現