電子航法研究所坂井 丈泰、 福島 荘之介、 伊藤 憲、 工藤 正博
電子航法研究所坂井 丈泰、 福島 荘之介、 伊藤 憲、 工藤 正博
準天頂衛星による航空用衛星航法システムの構成
準天頂衛星による航空用衛星航法システムの構成
電子情報通信学会電子情報通信学会SANESANE 研究会研究会June 24, 2010June 24, 2010
June 2010June 2010 - Slide - Slide 22
はじめにはじめに• 準天頂衛星「みちびき」の打上げ準備が進められている:準天頂衛星「みちびき」の打上げ準備が進められている:
– 準天頂衛星システム(準天頂衛星システム( QZSSQZSS ) :準天頂衛星軌道上の測位衛星による測位サ) :準天頂衛星軌道上の測位衛星による測位サービス。ービス。
– GPSGPS 補完信号(測位衛星として動作)に加え、補強信号(付加的な情報を提補完信号(測位衛星として動作)に加え、補強信号(付加的な情報を提供して全体の性能向上を図る)を放送。供して全体の性能向上を図る)を放送。 L1L1 帯は帯は L1-SAIFL1-SAIF 信号。信号。
• 航空用航空用 GPSGPS 補強サービス補強サービス MSASMSAS ::– 航空局が運用中(航空局が運用中( 20072007 年~)の静止衛星による年~)の静止衛星による GPSGPS 補強サービス。補強サービス。– 航空用補強システムとして国際標準に完全準拠。航空用補強システムとして国際標準に完全準拠。– ひまわり6号・7号を使用。ひまわり6号・7号を使用。 GPS L1GPS L1 周波数と同様の信号にて補強情報を提供周波数と同様の信号にて補強情報を提供
する。する。
• 衛星プラットフォームの共用について検討:衛星プラットフォームの共用について検討:– 高価な人工衛星を個別のサービスごとに打ち上げるのは効率的とはいえない。高価な人工衛星を個別のサービスごとに打ち上げるのは効率的とはいえない。
→→ 単一の衛星で、準天頂衛星システムと 単一の衛星で、準天頂衛星システムと MSASMSAS の両サービスを提供できなの両サービスを提供できないか?いか?
– 具体的には、準天頂衛星により具体的には、準天頂衛星により MSASMSAS サービスを実施できないか検討した。サービスを実施できないか検討した。– 結論:いくつかの制約はあるものの、基本的には可能と思われる。結論:いくつかの制約はあるものの、基本的には可能と思われる。
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(1)(1)
航空用航空用 GPSGPS 補強サービスの概要補強サービスの概要
June 2010June 2010 - Slide - Slide 44
SBASSBAS 規格の概要規格の概要• SBASSBAS (( satellite-based augmentation systemsatellite-based augmentation system )規格:)規格:
– GPSGPS のみでは不足する機能・性能を補強する補強システムの一つ。のみでは不足する機能・性能を補強する補強システムの一つ。– 国際民間航空機関(国際民間航空機関( ICAOICAO )による国際標準規格として条約の附属書で規定。)による国際標準規格として条約の附属書で規定。– 航空機ユーザは、航空機ユーザは、 GPSGPS とと SBASSBAS を併用することで、航空用航法システムに求を併用することで、航空用航法システムに求
められる機能・性能を得る。測位精度改善と信頼性に関する指標の提供。められる機能・性能を得る。測位精度改善と信頼性に関する指標の提供。
• SBASSBAS 信号の規定:信号の規定:– GPS L1 C/AGPS L1 C/A 信号と同一の信号と同一の RFRF 信号形式。距離測定もできる。アンテナ・受信信号形式。距離測定もできる。アンテナ・受信
機フロントエンドは共用が前提。機フロントエンドは共用が前提。– 情報伝送速度は情報伝送速度は GPSGPS より速く、より速く、 250bps250bps 。毎秒1個の。毎秒1個の SBASSBAS メッセージを放メッセージを放
送。送。
• 世界的な普及状況:世界的な普及状況:– 米国米国 WAASWAAS (( 20032003 ~)、日本~)、日本 MSASMSAS (( 20072007 ~)、欧州~)、欧州 EGNOSEGNOS (( 201201
00 ~)がすでに運用中。他にも、インド~)がすでに運用中。他にも、インド GAGANGAGAN 、ロシア、ロシア SDCMSDCM といった計といった計画がある。画がある。
– 受信機は受信機は FAA TSO-C145/146FAA TSO-C145/146 に準拠。対応機上装備の製品化も拡大中。に準拠。対応機上装備の製品化も拡大中。– 航空以外のユーザ:すでに大多数の受信機チップが対応済み。測位精度改善。航空以外のユーザ:すでに大多数の受信機チップが対応済み。測位精度改善。
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SBASSBAS 信号の規定信号の規定項目 仕様 備考
周波数 1575.42 MHz GPS L1
変調方式 BPSK 右旋円偏波コード変調速度 1.023 Mcps 以上は GPS L1 C/A と同一
拡散コード GPS C/A コード PRN 120 ~ 138
シンボル変調速度 500 sps
データ速度 250 bps
キャリア周波数安定度 ≦ 5×10-11 10 秒間での値
帯域幅 ≧ 2.2MHzGPS は 20MHz 、 MSAS は2.2MHz 、 WAAS は 4 ~8MHz
• ICAOICAO の国際標準規格(の国際標準規格( GNSS SARPSGNSS SARPS )による規定。)による規定。• 衛星の軌道は特に規定されていない(静止衛星でなければならないわけではない)。衛星の軌道は特に規定されていない(静止衛星でなければならないわけではない)。• 受信機は、以上の規定を想定して受信機は、以上の規定を想定して SBASSBAS 信号を探索・捕捉し、補強情報を得る。信号を探索・捕捉し、補強情報を得る。
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SBASSBAS メッセージメッセージ
メッセージメッセージタイプタイプ
00
11
22 ~~ 55
66
77
99
1010
1212
1717
1818
内 容内 容テストモード(使用不可)テストモード(使用不可)PRNPRNマスク情報マスク情報高速補正(高速補正( FC+UDREFC+UDRE ))インテグリティ情報(インテグリティ情報( UDREUDRE ))高速補正の劣化係数高速補正の劣化係数GEOGEO 航法メッセージ航法メッセージ劣化係数劣化係数SBASSBAS時刻情報時刻情報
GEOGEO アルマナックアルマナックIGPIGPマスク情報マスク情報
更新間隔更新間隔(秒)(秒)
66
120120
6060
66
120120
120120
120120
300300
300300
300300
2424
2525
2626
2727
2828
6363
高速補正・長期補正高速補正・長期補正長期補正長期補正電離層遅延補正(電離層遅延補正( +GIVE+GIVE ))SBASSBAS サービスメッセージサービスメッセージクロック・軌道情報共分散クロック・軌道情報共分散NULLNULL メッセージメッセージ
66
120120
300300
300300
120120
——
メッセージメッセージタイプタイプ 内 容内 容 更新間隔更新間隔
(秒)(秒)
プリアンブルプリアンブル8 8 ビットビット
メッセージタイプメッセージタイプ6 6 ビットビット
データ領域データ領域212 212 ビットビット
CRCCRC コードコード24 24 ビットビット
250 ビット/1秒この順に送信この順に送信
静止衛星を対象としているメッセージ静止衛星を対象としているメッセージ
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補強サービスの機能(1)補強サービスの機能(1)
• GPSGPS 衛星が放送する信号の品質に関する情報を提供する。衛星が放送する信号の品質に関する情報を提供する。• GPSGPS が誤った信号を送信したとき、受信機が誤って使用しないようにするのがが誤った信号を送信したとき、受信機が誤って使用しないようにするのが
目的。目的。→→ 航法の安全を確保するための機能。 航法の安全を確保するための機能。
• 警報時間(警報時間( TTATTA :: time to alerttime to alert ) =情報が提供されるまでの時間:航空路・タ) =情報が提供されるまでの時間:航空路・ターミナル空域ではーミナル空域では 55分~分~ 1515 秒以内、非精密進入では秒以内、非精密進入では1010 秒以内、精密進入では秒以内、精密進入では 66 秒以内。秒以内。
• 基本的な仕組み:基本的な仕組み:– 地上監視局で地上監視局で GPSGPS 信号をモニタ。信号をモニタ。– 品質に関する情報を生成・伝送。品質に関する情報を生成・伝送。– 異常検出時は、警報メッセージを異常検出時は、警報メッセージを
送信。送信。
インテグリティ(完全性)インテグリティ(完全性)
監視局 異常検出 警報メッセージ
ユーザ
Uplink Downlink
GPS 衛星 SBAS 衛星
異常信号
66 秒以内秒以内
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補強サービスの機能(2)補強サービスの機能(2)
• GPSGPS 衛星の信号により測定した距離の補正情報。衛星の信号により測定した距離の補正情報。• GPSGPS による測位精度を改善する:ディファレンシャル補正。による測位精度を改善する:ディファレンシャル補正。• 広域ディファレンシャル補正方式:衛星クロック・軌道、電離層伝搬遅延、対流広域ディファレンシャル補正方式:衛星クロック・軌道、電離層伝搬遅延、対流圏伝搬遅延を個別に補正 → 大陸規模の広い範囲で有効な補正情報。圏伝搬遅延を個別に補正 → 大陸規模の広い範囲で有効な補正情報。
• 補正により、補正により、 1m1m程度の測位精度が得られる。程度の測位精度が得られる。
• 基本的な仕組み:基本的な仕組み:– 地上監視局で地上監視局で GPSGPS 信号をモニタ。信号をモニタ。– 距離測定の誤差要因を、衛星ク距離測定の誤差要因を、衛星ク
ロック・軌道、電離層伝搬遅延、ロック・軌道、電離層伝搬遅延、対流圏伝搬遅延に分解。対流圏伝搬遅延に分解。
– 誤差要因別に補正情報を生成、誤差要因別に補正情報を生成、メッセージにして伝送。メッセージにして伝送。
測位精度の改善測位精度の改善
対流圏対流圏
電離層電離層
GPSGPS 衛星衛星
ユーザユーザ
軌道誤差軌道誤差
クロック誤クロック誤差差
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補強サービスの機能(3)補強サービスの機能(3)
• SBASSBAS 衛星までの距離を受信機が測定し、位置計算に利用するための機能。衛星までの距離を受信機が測定し、位置計算に利用するための機能。• SBASSBAS 信号の信号の RFRF 特性は特性は GPSGPS 信号と同一なので、信号と同一なので、 GPSGPS の場合と同様の方法によの場合と同様の方法によ
り距離を測定できる。り距離を測定できる。• SBASSBAS 衛星の軌道情報は、衛星の軌道情報は、 SBASSBAS メッセージ(タイプ9)により提供する。メッセージ(タイプ9)により提供する。• 距離の測定精度は距離の測定精度は SBASSBAS 信号の帯域幅で信号の帯域幅で決まる。決まる。
• 基本的な仕組み:基本的な仕組み:– GPSGPS とほぼ同期したタイミングでとほぼ同期したタイミングで
SBASSBAS 信号を生成・放送。信号を生成・放送。– 複数の地上監視局で測定した複数の地上監視局で測定した擬似距離を利用して、擬似距離を利用して、 SBASSBAS 衛星の衛星の軌道情報を生成・放送する。軌道情報を生成・放送する。
擬似距離の測定擬似距離の測定
時間差から時間差から距離を算出距離を算出
光速で伝搬光速で伝搬
GPSGPS 衛星衛星
ユーザユーザ
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(2)(2)
準天頂衛星準天頂衛星L1-SAIFL1-SAIF 補強信号の概要補強信号の概要
June 2010June 2010 - Slide - Slide 1111
準天頂衛星のメリット準天頂衛星のメリット
東経東経 135135 度を中心に配置度を中心に配置離心率離心率 0.10.1 軌道傾斜角 軌道傾斜角 4545 度度
• 高仰角からサービスを提供可能。高仰角からサービスを提供可能。• 山間部や都市部における測位・放送ミ山間部や都市部における測位・放送ミ
ッションに有利。ッションに有利。
経度(度)
緯度
(度
)
準天頂衛星(準天頂衛星( QZSQZS ))GPSGPS や静止衛星や静止衛星
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準天頂衛星の軌道準天頂衛星の軌道
経度(度)
緯度
(度
)
低軌道衛星(低軌道衛星( LEOLEO ))NNSSNNSS (極軌道)(極軌道)
傾斜地球同期軌道(傾斜地球同期軌道( IGSOIGSO ))=(南北対称な)8の字軌道=(南北対称な)8の字軌道
中軌道衛星(中軌道衛星( MEOMEO ))GPS, GLONASS, GalileoGPS, GLONASS, Galileo
静止軌道(静止軌道( GEOGEO ))高度高度 35,786km35,786km
SBASSBAS
地球地球
準天頂衛星の準天頂衛星の軌道軌道
東経東経 135135 度を中心に配置度を中心に配置離心率離心率 0.10.1 軌道傾斜角 軌道傾斜角 4545
度度
June 2010June 2010 - Slide - Slide 1313
全体構成全体構成
関係機関が実験を実施関係機関が実験を実施時刻管理系:時刻管理系: NICTNICT
広域DGPS補正:広域DGPS補正: ENRI ENRI などなど
SLRSLR 局局 モニタ局ネットワークモニタ局ネットワーク
GPS 衛星
TT&CTT&C ・航法メッ・航法メッセージアップリンセージアップリン
ク局ク局
GEONETGEONET(国土地理院)(国土地理院)
時刻同期時刻同期管理局管理局
QZSS 衛星
ユーザ受信機
衛星レーザ測距( SLR )
測位信号L1CA/L1C/L1-SAIF: 1575.42 MHz
L2C: 1227.60 MHzL5: 1176.45 MHzLEX: 1278.75 MHz
TT&C / NAV Message Uplink
双方向時刻同期信号Up: 4.43453GHz
Down: 12.30669GHz
( JAXA QZSS PT 提供の図より)
主統制局 (主統制局 ( MCSMCS ::Master Control Master Control
StationStation ))
測位信号L1CA/L1C*: 1575.42 MHz
L2C: 1227.60 MHzL5*: 1176.45 MHz
*今後対応予定
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準天頂衛星初号機(準天頂衛星初号機( QZS-1QZS-1 ))
L-band Helical Array Antenna
L1-SAIF Antenna
Laser Reflector
C-band TTC Antenna
Radiation Cooled TWTTWSTFT Antenna
25.3m
質量Approx. 1,800kg (dry) (NAV Payload : Approx. 320kg)
発生電力 Approx. 5.3 kW (EOL) (NAV Payload: Approx. 1.9kW)
設計寿命 10 years
(図: JAXA QZSS PT )
June 2010June 2010 - Slide - Slide 1515
QZSSQZSS の放送信号の放送信号信号名 周波数 帯域幅 最低受信電力
QZS-L1CL1CD
1575.42 MHz
24 MHz –163.0 dBW
L1CP 24 MHz – 158.25 dBW
QZS-L1-C/A 24 MHz – 158.5 dBW
QZS-L1-SAIF 24 MHz – 161.0 dBW
QZS-L2C 1227.6 MHz 24 MHz – 160.0 dBW
QZS-L5L5I
1176.45 MHz25 MHz – 157.9 dBW
L5Q 25 MHz – 157.9 dBW
QZS-LEX 1278.75 MHz 42 MHz – 155.7 dBW
• 補完系:補完系: L1C/AL1C/A 、、 L2CL2C 、、 L5L5 はは GPSGPS とほぼ互換(とほぼ互換( PRN193PRN193 ))• 補強系:補強系: L1-SAIFL1-SAIF はは GPS/SBASGPS/SBAS とほぼ互換(とほぼ互換( PRN183PRN183 )、)、 LEXLEX は独は独自仕様自仕様
• 詳細は詳細は IS-QZSSIS-QZSS に規定ありに規定あり
補完信号補完信号(( JAXAJAXA ))
補強信号補強信号(( ENRIENRI ))
補強信号補強信号(( JAXA/GSIJAXA/GSI ))
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補完と補強補完と補強
• 測位衛星として動作:測位衛星として動作:– 距離測定が可能=測位衛星距離測定が可能=測位衛星
が1機増える効果。が1機増える効果。– 測位衛星が不足(4機に満測位衛星が不足(4機に満
たない)して測位できなくたない)して測位できなくなる状況を減らす。なる状況を減らす。
• 準天頂衛星による補完:準天頂衛星による補完:– GPSGPS に対する補完。に対する補完。– GPSGPS とほぼ互換の信号形式とほぼ互換の信号形式
で放送(対応受信機開発ので放送(対応受信機開発の負担軽減)。負担軽減)。
– 日本上空の滞空時間が日本上空の滞空時間が GPSGPS衛星より長い:日本付近に衛星より長い:日本付近に対して効率的にサービス。対して効率的にサービス。
• 追加的な情報を提供:追加的な情報を提供:– 測位精度や信頼性を向上す測位精度や信頼性を向上す
るための補強情報を放送。るための補強情報を放送。– すべてのすべての GPSGPS 衛星について衛星について
補強情報を提供する。補強情報を提供する。
• 準天頂衛星による補強:準天頂衛星による補強:– 補強信号は、補完信号とし補強信号は、補完信号とし
ての機能も有する(距離のての機能も有する(距離の測定に使える)。測定に使える)。
– GLONASSGLONASS やや GalileoGalileo の補強の補強も可能(現在のところ未対も可能(現在のところ未対応)。応)。
– L1-SAIFL1-SAIF はは GPSGPS に近い信号に近い信号形式により放送(対応受信形式により放送(対応受信機開発の負担軽減)。機開発の負担軽減)。
補完信号補完信号 補強信号補強信号
June 2010June 2010 - Slide - Slide 1717
L1-SAIFL1-SAIF 開発体制開発体制
H15 年度 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
• 電子航法研究所が開発を担当:電子航法研究所が開発を担当:– 国土交通省(研究開発4省)総合政策局の委託を受けて、高精度測位補正実験国土交通省(研究開発4省)総合政策局の委託を受けて、高精度測位補正実験
システムの開発を実施。システムの開発を実施。– 具体的には、補強信号(具体的には、補強信号( L1-SAIFL1-SAIF )の信号形式の設計、プロトタイプ受信機)の信号形式の設計、プロトタイプ受信機
の開発、補正情報リアルタイム生成・配信システムの開発を行ってきた。の開発、補正情報リアルタイム生成・配信システムの開発を行ってきた。• システム開発はほぼ完了:システム開発はほぼ完了:
– H21H21 年度に年度に JAXAJAXA主制御局と接続して連接稼動試験を実施、良好な結果を得主制御局と接続して連接稼動試験を実施、良好な結果を得た。た。
補正情報補正情報生成方式開発生成方式開発
高精度測位補正高精度測位補正実験システム開発実験システム開発 評価試験評価試験
方式調査・方式調査・評価検討評価検討
補正情報リアルタイム補正情報リアルタイム生成・配信システム開発生成・配信システム開発 総合試験総合試験 技術実証実験技術実証実験
評価用ソフトウェア評価用ソフトウェア作成作成 プロトタイプ受信機開発プロトタイプ受信機開発
官民連携プログラム開始官民連携プログラム開始 H18.3 H18.3 計画見直し計画見直し H22H22夏期 準天頂衛星打上げ夏期 準天頂衛星打上げ
June 2010June 2010 - Slide - Slide 1818
L1-SAIFL1-SAIF 信号形式信号形式• 航空用補強システム航空用補強システム SBASSBAS と同一のフォーマットと同一のフォーマット::
– GPS L1 C/AGPS L1 C/A コード、コード、 PRN183PRN183 で送信。毎秒1個のメッセージ。で送信。毎秒1個のメッセージ。– メッセージの内容はメッセージタイプで識別。送信順序は任意=フレキシブル。メッセージの内容はメッセージタイプで識別。送信順序は任意=フレキシブル。– SBASSBAS 用ソフトウェアを流用可能:受信機ソフトウェアの開発負担を軽減。用ソフトウェアを流用可能:受信機ソフトウェアの開発負担を軽減。– サブメータ級の測位精度は達成可能。サブメータ級の測位精度は達成可能。
• 補強メッセージの内容補強メッセージの内容::– 日本全国で利用可能な広域ディファレンシャル補正情報:衛星軌道・クロック日本全国で利用可能な広域ディファレンシャル補正情報:衛星軌道・クロック
・電離層遅延・対流圏遅延をそれぞれ別々に補正。・電離層遅延・対流圏遅延をそれぞれ別々に補正。– 補強対象:補強対象: GPSGPS ・準天頂衛星自身・(・準天頂衛星自身・( GLONASSGLONASS )・(ガリレオ))・(ガリレオ)– 基本的な補強情報は基本的な補強情報は SBASSBAS互換メッセージで、高度な補強処理については拡互換メッセージで、高度な補強処理については拡張メッセージで対応。張メッセージで対応。
プリアンブルプリアンブル8 8 ビットビット
メッセージタイプメッセージタイプ6 6 ビットビット
データ領域データ領域212 212 ビットビット
CRCCRC コードコード24 24 ビットビット
250 ビット/1秒この順に送信この順に送信
June 2010June 2010 - Slide - Slide 1919
L1-SAIFL1-SAIF 性能試験例性能試験例
• 電子基準点電子基準点 940058940058 (高山)におけるユ(高山)におけるユーザ測位誤差。ーザ測位誤差。
• モニタ局配置は、札幌・茨城・東京・神モニタ局配置は、札幌・茨城・東京・神戸・福岡・那覇の戸・福岡・那覇の 66 局構成。局構成。
• 実験期間: 実験期間: 20082008 年年 11月月 1919 ~~ 2323 日 (日 ( 55日間)日間)
水平水平測位誤差測位誤差
垂直垂直測位誤差測位誤差
1.45 m1.45 m 2.92 m2.92 m
6.02 m6.02 m 8.45 m8.45 m
システムシステム
GPSGPS 単独単独
0.29 m0.29 m 0.39 m0.39 m
1.56 m1.56 m 2.57 m2.57 mL1-SAIFL1-SAIF
補強補強
RMSRMS
最大最大
RMSRMS
最大最大
L1-SAIF 補強GPS 単独測位
東西方向誤差( m )
南北
方向誤差
(m
)
June 2010June 2010 - Slide - Slide 2020
(3)(3)
準天頂衛星による準天頂衛星によるSBASSBAS 信号の放送信号の放送
June 2010June 2010 - Slide - Slide 2121
準天頂衛星の座標と速度準天頂衛星の座標と速度
• GPSGPS で用いるで用いる ECEFECEF直交座標系(原点:地球重心、直交座標系(原点:地球重心、 XX軸:北緯・東経軸:北緯・東経 00 度の方向、度の方向、 ZZ軸:軸:自転軸)。自転軸)。
• 現行現行 IS-QZSSIS-QZSS のパラメータ(離心率のパラメータ(離心率 0.0750.075 、軌道傾斜角、軌道傾斜角 4343 度、近地点引数度、近地点引数 270270 度)。度)。
June 2010June 2010 - Slide - Slide 2222
距離とその変化率距離とその変化率
• 東京・稚内・那覇の各地点からの距離とその変化率に換算した結東京・稚内・那覇の各地点からの距離とその変化率に換算した結果。果。
• 距離は遅延時間に、距離の変化率はドップラシフトに対応する。距離は遅延時間に、距離の変化率はドップラシフトに対応する。
June 2010June 2010 - Slide - Slide 2323
準天頂衛星の軌道の影響準天頂衛星の軌道の影響• 準天頂衛星の位置による影響:準天頂衛星の位置による影響:
– たとえば、東京からだとたとえば、東京からだと 39033km39033kmまで遠ざかる。まで遠ざかる。– 遅延時間は遅延時間は 0.1300.130秒。東経秒。東経 140140度にある静止衛星の場合(度にある静止衛星の場合( 37144km37144km、、 0.1240.124秒)と大きな違いはない。秒)と大きな違いはない。
– この距離差による受信電力の差はこの距離差による受信電力の差は --0.43dB0.43dB程度でそれほど大きくない。程度でそれほど大きくない。– 静止衛星と違い、静止衛星と違い、 ECEFECEF座標系での座標系での ZZ座標値が比較的大きい(静止衛星の場座標値が比較的大きい(静止衛星の場合は合は 00付近) → タイプ9メッセージで表現しきれない。付近) → タイプ9メッセージで表現しきれない。
• 準天頂衛星の移動による影響:準天頂衛星の移動による影響:– 視線方向速度が最大で視線方向速度が最大で 200m/s200m/s程度となる(静止衛星の場合は程度となる(静止衛星の場合は 00付近)。付近)。– GPS L1GPS L1周波数では周波数では 1kHz1kHz程度のドップラシフトとなる(程度のドップラシフトとなる( L1L1周波数の周波数の 0.00000.0000
634%634%)。)。– 通常の通常の GPSGPS受信機は受信機は SBASSBAS信号についても信号についても 10kHz10kHz程度までのドップラシフ程度までのドップラシフトを許容するので、それほど問題とはならない。トを許容するので、それほど問題とはならない。
June 2010June 2010 - Slide - Slide 2424
SBASSBAS メッセージ:タイプ9メッセージ:タイプ9データ ビット
数 範囲 分解能 備考
予備 8 — —
エポック時刻 t0 13 0 ~ 86384 s 16 s 日内時刻URA 4 0 ~ 15 — インデックス値
X 30 ±42949673 m 0.08 m
静止衛星を想定
座標 Y 30 ±42949673 m 0.08 m
Z 25 ±6710886.4 m 0.4 m
VX 17 ± 40.96 m/s 0.625 mm/s
速度 VY 17 ± 40.96 m/s 0.625 mm/s
VZ 18 ± 524.288 m/s 4.0 mm/s
AX 10 ± 6.4 mm/s2 0.0125 mm/s2
加速度 AY 10 ± 6.4 mm/s2 0.0125 mm/s2
AZ 10 ± 32.0 mm/s2 0.0625 mm/s2
クロック補正af0 12 ±0.9537 s 2-31 s
GPS より厳しいaf1 8 ±0.11642 ns/s 2-40 s/s
準天頂衛星の軌道準天頂衛星の軌道を表現できないを表現できない
June 2010June 2010 - Slide - Slide 2525
メッセージ伝送にかかる時間メッセージ伝送にかかる時間• 準天頂衛星はストアアンドフォワード型:準天頂衛星はストアアンドフォワード型:
– RFRF 信号の生成は衛星上で行う。信号の生成は衛星上で行う。– 変調データについては搭載計算機(変調データについては搭載計算機( NOCNOC )が生成・出力する:地上施設から)が生成・出力する:地上施設から
TTCTTC回線経由で受信したメッセージを回線経由で受信したメッセージを NOCNOC が処理し、タイミングを見計らっが処理し、タイミングを見計らって出力する。て出力する。
– 地上施設側は、毎秒地上施設側は、毎秒 11 個のメッセージを個のメッセージを TTCTTC回線経由で回線経由で NOCNOC にアップリンにアップリンクする:航法メッセージのように、あらかじめ蓄積したデータを繰り返し送信クする:航法メッセージのように、あらかじめ蓄積したデータを繰り返し送信するのではない。するのではない。
– TTCTTC回線によるメッセージ入力から、回線によるメッセージ入力から、 RFRF 信号として出力されるまでに、少な信号として出力されるまでに、少なくともくとも 22 ~~ 33 秒かかる(秒かかる( NOCNOC試験結果より)。試験結果より)。
• メッセージ伝送時間に対する要求:メッセージ伝送時間に対する要求:– 航空用航法システムでは、安全確保のため、インテグリティ要件に警報時間航空用航法システムでは、安全確保のため、インテグリティ要件に警報時間
(( TTATTA :: time to alerttime to alert )の規定が含まれている。)の規定が含まれている。– メッセージ伝送に要する時間を考慮したとき、警報時間が規定を満たすか?メッセージ伝送に要する時間を考慮したとき、警報時間が規定を満たすか?
• 航空用航法システムとしての認証も必要:航空用航法システムとしての認証も必要:– システム全体(ハード/ソフト、運用も含む)にわたる信頼性・安全性についシステム全体(ハード/ソフト、運用も含む)にわたる信頼性・安全性につい
て認証を受ける(比較的厳しい)。て認証を受ける(比較的厳しい)。 NOCNOC も対象となる。も対象となる。
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トランスポンダ型:トランスポンダ型: MSASMSAS
• 地上施設で地上施設で SBASSBAS 信号を生成し、衛星側は受信した信号をそのまま送り返す(周信号を生成し、衛星側は受信した信号をそのまま送り返す(周波数変換のみ):ベントパイプトランスポンダ。波数変換のみ):ベントパイプトランスポンダ。
• 衛星側の機器構成が単純:応答が早く、また認証の対象は地上系のみ。衛星側の機器構成が単純:応答が早く、また認証の対象は地上系のみ。• 地上施設には送信周波数維持や送信電力制御のためのフィードバック制御が必要。地上施設には送信周波数維持や送信電力制御のためのフィードバック制御が必要。
メッセージメッセージ生成生成 変調器変調器 アンプアンプ
周波数変換周波数変換
地上施設地上施設
スペーススペースセグメントセグメント
周波数標準周波数標準
ユーザユーザ
ベントパイプベントパイプトランスポンダトランスポンダ
信号生成系信号生成系
アップリンクアップリンクダウンリンクダウンリンク
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ストアアンドフォワード型:ストアアンドフォワード型: QZSSQZSS
• 地上施設では地上施設では SBASSBAS メッセージだけを生成し、メッセージだけを生成し、 SBASSBAS 信号の生成は衛星側で行信号の生成は衛星側で行う。う。
• 周波数標準は衛星側に搭載:測距信号としての品質は良好となる。周波数標準は衛星側に搭載:測距信号としての品質は良好となる。• 衛星側の機器構成が複雑:応答に時間がかかり、また認証も対象となる。衛星側の機器構成が複雑:応答に時間がかかり、また認証も対象となる。• 地上施設は比較的簡単な構成ですむ。地上施設は比較的簡単な構成ですむ。
メッセージメッセージ生成生成
アンプアンプ
送信機送信機
搭載計算機搭載計算機
地上施設地上施設
スペーススペースセグメントセグメント
受信機受信機変調器変調器
周波数標準周波数標準
ユーザユーザ
信号生成系信号生成系
衛星通信衛星通信
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警報時間(警報時間( TTATTA )の制約)の制約• 警報時間(警報時間( TTATTA :: time to alerttime to alert )=インテグリティ上の要件:)=インテグリティ上の要件:
– 航法系が警報限界を超える位置誤差を生じる可能性がある場合には、航法装置航法系が警報限界を超える位置誤差を生じる可能性がある場合には、航法装置が警報を出す必要がある。具体的には航法ディスプレイに異常フラグが現れる。が警報を出す必要がある。具体的には航法ディスプレイに異常フラグが現れる。
– 警報時間:警報限界を超える位置誤差が生じてから、警報が現れるまでの時間。警報時間:警報限界を超える位置誤差が生じてから、警報が現れるまでの時間。– SBASSBAS の性能要件は、警報時間について、航空路・ターミナル空域ではの性能要件は、警報時間について、航空路・ターミナル空域では 55分~分~
1515 秒以内、非精密進入では秒以内、非精密進入では 1010 秒以内、精密進入では秒以内、精密進入では 66 秒以内であること。秒以内であること。
• トランスポンダ型が有利:トランスポンダ型が有利:– 実際の実際の SBASSBAS では、トランスポンダ型でもでは、トランスポンダ型でも TTA=6TTA=6 秒がぎりぎり。ストアアン秒がぎりぎり。ストアアン
ドフォワード型では実質的に不可能。ドフォワード型では実質的に不可能。
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SBASSBAS 信号送信における制約信号送信における制約機能・性能
要件SBAS 信号の
放送メッセージの
伝送擬似距離の
測定インテグリティ
状況 特に問題なし 特に問題なし 利用不可 精密進入サービスは不可
原因現行 SBAS 受信機の仕様内で捕捉・追尾可能
現行 SBAS 受信機の仕様内で受信・復号
可能
現行 SBAS 規格のタイプ 9メッセージでは軌道情報を伝送できない
現行設計の準天頂衛星では TTA (警報時間)が大きい
当面の対策 — —測距機能を利
用しない
当面は APV-I 進入サービスまでとする(認証には課題
あり)
解決策 — —
新しいメッセージを定義する( SBAS 規格の改訂が必
要)
メッセージアップリンク系統の設計
を変更するか, SBAS 信号用のトランスポンダ
を搭載する
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まとめまとめ• 準天頂衛星による準天頂衛星による SBASSBAS サービス(日本ではサービス(日本では MSASMSAS )実施の可能性:)実施の可能性:
– 高価な人工衛星を個別のサービスごとに打ち上げるのは効率的とはいえない。高価な人工衛星を個別のサービスごとに打ち上げるのは効率的とはいえない。– 具体的には、準天頂衛星により具体的には、準天頂衛星により MSASMSAS サービスを実施できないか検討した。サービスを実施できないか検討した。
• SBASSBAS サービスの要件:サービスの要件:– RFRF 信号仕様及び信号仕様及び SBASSBAS メッセージについてはすでに定義されている。メッセージについてはすでに定義されている。– 特にインテグリティ(完全性)に関する要件が厳しい。警報時間について、精特にインテグリティ(完全性)に関する要件が厳しい。警報時間について、精密進入では密進入では 66 秒以内との要求がある。秒以内との要求がある。
• 準天頂衛星初号機についての検討結果:準天頂衛星初号機についての検討結果:– L1-SAIFL1-SAIF 補強信号を利用するならば、補強信号を利用するならば、 RFRF 信号には互換性がある。信号には互換性がある。– 現行の現行の SBASSBAS 規格では、準天頂衛星の軌道情報を伝送できない:測距機能を規格では、準天頂衛星の軌道情報を伝送できない:測距機能を利用しないか、あるいは利用しないか、あるいは SBASSBAS 規格を改訂する必要がある。規格を改訂する必要がある。
– 警報時間(警報時間( TTATTA )の要件を満たさない:精密進入サービスを実施しないか、)の要件を満たさない:精密進入サービスを実施しないか、あるいはあるいは SBASSBAS 用トランスポンダを搭載する。用トランスポンダを搭載する。
– いずれにしても、航空用航法システムとしての厳しい認証を受ける必要がある。いずれにしても、航空用航法システムとしての厳しい認証を受ける必要がある。