デジタルスタジオ資料
1
第1講 Shadeに慣れよう Shade はコンピュータ上に3D モデルを作り(モデリング),それを写真やアニメのセル画のよう
なグラフィックを作る(レンダリング)ソフトです。最初は難しいことは抜きにして Shadeに触って
3Dソフトに慣れてみましょう。
1-1. Shadeの画面 難しいことは抜きにしても最低限知っておくべきことがあります。まず Shadeの画面構成です(図
1-1)。画面が4つに分かれています。初期設定では,それぞれ[上面図],[正面図],[右面図],[透
視図]となっています。
図 1-1 初期画面
よく分からないので,取り敢えずサンプルを読み込んでみましょう。
「表示」→「ShadeExploer」で「ShadeExploer」を表示させ(図 1-2),「kuma_running.shd」とい
うデータを読み込みましょう(図 1-3)。
デジタルスタジオ資料
2
図 1-2 図 1-3
走るポーズの熊が読み込まれました(図 1-4)。
図 1-4
上面図,正面図,右面図の3つの図面はワイヤーフレームという線画になっています。透視図はテク
デジタルスタジオ資料
3
スチャが表現され少しリアルな表現になっています。他の3面もテクスチャの表示に変更してみまし
ょう。各図面の右上にある立方体のアイコンをクリックしてダイヤログを出して「テクスチャ」に変
更します(図 1-5)。
図 1-5
図 1-6
分かりやすくなりましたね。上面図は上から見た図,正面図は正面から見た図,右面図は右から見た
図です。そのままですね。
デジタルスタジオ資料
4
1-2. 3次元ということ(2次元+1) Shadeでは立体を扱います。立体は XYZの3つの座標軸で制御されますが,コンピュータのモニ
タは2次元ですから同時に2つの座標しか指示できません。そこで Shadeでは,このように3つの方
向から見た図面を使って3次元の座標を制御していくのです。
この事を理解するために少し実験しましょう。「ファイル」→「閉じる」で「kuma_running.shd」
データを閉じて,最初の画面に戻って下さい。
「プラグイン」→「原点にカーソル」を選択してください(図 1-7)。これでカーソルが原点
(X=0,Y=0,Z=0)に固定されます。
図 1-7 図 1-8
次にツールバーの「Create」→「長方形」を選択し,正面図に長方形を描いて見て下さい。
描き方は対角の2点をドラッグします(図 1-9)。
図 1-9
デジタルスタジオ資料
5
上面図上で中央(Z=0)の位置に長方形が描かれました。では,上面図の上の方をクリックしてから
(図 1-10),もう一度,同じ長方形を正面図に描いてみて下さい。
図 1-10
今度は同じ位置ではなく,上面図でクリックした奥の位置に長方形が描かれます(図 1-11)。
図 1-11
正面図では縦横(Shadeでは横方向は X軸,縦方向は Y軸,前後(奥行き)方向は Z軸です)の位
置,つまり Xと Yの値しか規定できません。Shadeはクリックした座標位置のデータを保持していま
デジタルスタジオ資料
6
すから,最初に描いた長方形は Z=0の位置に,次の長方形はそれよりも後ろ(奥)の位置(上面図で
クリックした位置)に描かれた訳です。さて,透視図上で最初に描いた長方形の2点をなぞって描く
とどうなるでしょう?
図 1-12
水平の長方形が描かれました(図 1-12)。初期設定では透視図上のカーソルの移動は XZ平面に固定さ
れているので縦方向に2点を取ったつもりでも水平方向に2点取ってしまい思った形になりません。
このように,Shadeで描いたり移動やコピーしたりする時には自分の動かすカーソルの座標位置が
X・Y・Zの「3軸」でどの位置にあるのかを理解して作業する必要があります。2軸の位置は画面上
で見て分かるので間違えることはありませんが,残り 1軸の位置を把握していないと思わぬ結果にな
ってしまいます。
1-3. ハートを作ってみよう ハートの形を描いてみましょう。先ほど描いた長方形は削除して下さい。Delキーで削除できます。
先ず,ツールバーの「Create」→「閉じた線形状」を選択し(図 1-13),正面図に多角形でハートの
形(ネコの顔に見えなくもないですね)を描きます(図 1-14)。多角形の頂点を順番にクリックして
行きましょう。
デジタルスタジオ資料
7
図 1-13 図 1-14
多角形なので尖っていてハートの優しさが無いですね。丸みを付けましょう。多角形をダブルクリッ
ク或いは Crtl+Mキーで形状編集モードに入ります(図 1-15)。形状編集モードに入ると線が青くな
り,頂点に黒ポチ(この状態の黒ポチをコントロールポイントと言います)が付きます。オブジェク
トを選択する時に間違ってダブルクリックしたりすると,形状編集モードに入ってしまいますので,
その時にはエンターキーを押して形状編集モードを終了させましょう。
図 1-15
左上の頂点にカーソルを合わし,Zキー(Macでは Optionキー)を押しながら頂点から水平にドラ
ッグします。するとコントロールポイントから棒が伸びて丸みが付きます(図 1-16)。この伸びて出
来た棒と点を接線ハンドルと言います。
デジタルスタジオ資料
8
図 1-16
他のコントロールポイントにも接線ハンドルを付けてハートに丸みを付けましょう(図 1-17)。
図 1-17
これでかなりハートになりましたね。もう少しキュートにしてみましょう。
一番下のトンガリ部分にも丸みを付けます(図 1-18)。ちょっとハートから遠のきましたね。
デジタルスタジオ資料
9
図 1-18
次に Zキーを押しながら接線ハンドルを動かして先端を尖らせます(図 1-19)。Zキーを押さずに接
線ハンドルを動かすと両方の接線が一直線に繋がっていますが,Zキーを押しながら動かすことで両
方向の接線のリンクが切れます。もう片方の接線ハンドルも動かして形を整えましょう(図 1-20)。
図 1-19
デジタルスタジオ資料
10
図 1-20 図 1-21
整ったらエンターキーを押すか,ツールバーの「Finish」ボタンをクリックして形状編集モードを終
了させて完成です(図 1-21)。
1-4. 立体化 1-3で作成したハート形は厚みが無くペラペラです。3Dとは言い難いですね。厚みを付けて立体
化しましょう。ツールバーの「Solid」→「掃引体」を選択し(図 1-22),上面図か右面図で Z(前後)
方向にドラッグします(図 1-23)。厚みが付いて立体化されました。
図 1-22
デジタルスタジオ資料
11
図 1-23
色がかわいくないので着色しましょう。統合パレットの表面材質ボタン(図 1-24の上の赤丸)を押す
か「表示」→「表面材質」を選択します。拡散反射の右の四角(図 1-24の下の赤丸)をクリックして
色を設定します(図 1-25)。
図 1-24 図 1-25
カメラのアングルも調整しましょう。透視図上でスペースキーを押しながらドラッグすると視点の位
置が,スペースキーと Crtlキーを押しながらドラッグすると注視点の位置が移動します。
ちなみにホイールを回すとズームアップとズームダウンします。
デジタルスタジオ資料
12
アングルが決まったら,レンダリングしてみましょう。「レンダリング」→「レンダリング開始」(図
1-26)でレンダリングが開始されます。少しカクカクしていますね(図 1-27)。
図 1-26
図 1-27
レンダリングの設定でなめらかにしましょう。イメージウィンドウの左上の三角(図 1-28の左上の赤
丸)をクリックして「基本設定」の「面の分割」を「最も細かい」に設定します(図 1-28の下の赤丸)。
デジタルスタジオ資料
13
図 1-28
今度はなめらかなハートが描かれました(図 1-29)。
図 1-29
1-5. 画像の書き出し Shadeを使う目的はCG(Computer Graphics)を作成することにあるといえます。Shadeは動画も
つくれますが,最初は静止画の作成に慣れましょう。
デジタルスタジオ資料
14
静止画はピクセル(画素)の集まりです。そして,静止画には解像度という概念がありますが,解像
度とは一定の面積に占めるピクセル数のことです(面積を気にしないでピクセル数のみを表す場合も
あります)。パソコンの画面の解像度は,最新の大型画面で横 1920×縦 1080(フルHD)程度,一昔
前(5年くらい前)までは横 1024×縦 768(XGA)が主流でした。パソコンの画面で見る限りにおい
ては,あまり大きな解像度は必要ありません。特に作業の途中過程では,1024×768もあれば十分で
しょう。
ここでは,800×600(SVGA)の解像度でハートのCGを作成しましょう。先ほどのイメージウィン
ドウの「イメージ」タブの「プリセット」から「800×600 SVGA」を選択してください(図 1-30)。
そして,レンダリングをしてください。
図 1-30 画像サイズの設定
うまくレンダリングできたら,イメージウィンドウの「保存…」ボタンを押して,画像を保存します
(図 1-31)。
デジタルスタジオ資料
15
図 1-31 画像の保存
保存先を指定すれば画像が保存されますが,保存時に,画像ファイルの形式を選択できます。いくつ
かのファイル形式を選択できますが,ここでは「JPEG」を選んでください。「JPEGファイル」の拡
張子は,通常,「.jpg」となります。
図 1-32 画像のファイル形式