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株式会社栄工プラント

☎086-282-4415

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◆受注の70%がOA、     PCとスチール家具関連  株式会社栄工プラント(社長・時國敦範氏、岡山市箕島1087、☎<086>282-4415)は売上の70%がOA・PC・スチール家具、25%が農機具、5%が自動車のイス関連である。時國 巧会長が昭和48年に個人で溶接主体の栄工プラントを創業、56年に株式改組、法人化した。地元の三菱自動車のイスを溶接組立する仕事を受注、その後OA・PC関連製品(難波プレス)や山陽オカムラなどから受注するようになった。

◆プレスから板金加工へ

 時國社長は板金機械メーカーでタ

レットパンチプレスの販売を担当、多くの工場を見て、経営者と知り合い経営に必要な知識を身につけた。平成元年に入社しベンダマチックBM-100とベンディングマシンFBD3-8025を組合わせたベンディングロボットを導入した。営業をしていた頃はユ-ザーの工場を訪問する度に「曲げは難しい」という話しをよく耳にしていたので曲げの簡略化を実現した。板金加工に取組むことになって最初に「プレス加工には作業者が渡り加工するという文化がなかったので板金加工を手がける時に多能工を採用して抜き、曲げを加工するということは考えませんでした。難しい工程は徹底して省熟化し、場合によっては無人化の仕組みを構築したかった」。

◆ベンディングロボット導入

 「当時は『無人化』がトレンドになっておりベンディングロボットの導入に至りました。ところが当時のベンディングロボットはベンディングマシン、ロボットを制御するソフトがパターンソフトというプログラムで形状をパターン化して類似製品を探してパターンに当てはめて、それに寸法を入れ込んで作成するソフトで、ロットの少ない多品種少量生産には向いていませんでした。当社がロボットを導入するのと前後してJTオカムラさんからスチール家具の棚板の曲げ加工を受注しました。同社はアマダやサルバニーニ製のパネルベンダーで曲げておられたので、当社がロボットで曲げると聞いて驚かれました。そんな中で1号機のベンディングロボットが順調に立ち上がりました。その後、パソコンラックやOAデスクなど受注する製品の種類が増える中で、平成11年にベンダ

曲げロボット3基と3台のNTベンダーで曲げの省熟化進める

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マチックBM-100FHとベンディングマシンFBD3-1253Rを組み合せたベンディングロボットを2号機として導入しました。棚板などパネル系の仕事が増え、長尺製品が増えてきたことから曲げ長さが3,000mmあるベンディングマシンを導入しました。加工する製品は6曲げ、8曲げで形状としては類似製品が多く、大半は50mmピッチで寸法が伸び縮みする製品だったので、パターンソフトで対応することができました。その一方、ロットは200~300個のリピート加工が大半でした」。

◆パネルベンディングシステム  を導入

 農機具や棚板、一部パネル系の製品はロットがあり、ブランクは単発のプレスで加工するものが大半だったが、OA・PC関連機器が増えてくるとロットが2桁の製品も増えていった。平成13年になってVIPROS-358NTとパネルベンディングマシンTBZ-2512Eをセットで導入、棚板などの曲げ加工をTBZ-2512Eで行うようになった。TBZは材料をセットすれば全自動で曲げ加工を行うので熟練を必要とせ

ず、夜間はアルバイトに任せることも可能になっていった。 「誰が作業しても同一に加工できる省熟化が目標でしたのでベンディングロボットもパネルベンディングマシンも目標を満たすのに十分な機械で した」。

◆NTベンダーの導入

 平成15年にネットワーク対応型ベンディングマシンFBD3-5020NT、-8020NTを導入、16年には同じくFBD3-3512NTを導入してネットワーク対応型プレスブレーキ3台を導入。それまで6台あったベンディングマシンがNTベンダーを導入することで3台に減らすことができるという提案に乗った。AP60で作成した展開図をASIS100PCLで立体姿図を作成、加工する前に製品の形状を見られることで逆曲げや曲げ忘れなどの不良が少なくなる。また、NTベンダーと同時に導入したBEND/CAMを使えば作成した展開図、立体姿図を取り込んで曲げ加工可否を全自動で行うことができ、ここで曲がることが検証された製品のデータを自動で作成、不可となった製品も不可理由がコメントと

平成11年に導入したベンダマチックBM-100FH

BM-100FHで曲け加工したスチール家具のパネル。平均ロットは200-300台

パネルベンディングシステムTBZ-2512E

WILLシリーズ受注・出荷モジュールで行う進捗管理      

SheetWorksで作成した3次元板金モデルと自動展開された展開図      

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して出るため、後は曲げプログラマが不可理由のコメントを参照しながら曲げデータを手動で作成できるようになり、必要な曲げ加工データを作業指示書にしたがって呼び出せば、誰が加工しても同一に加工できるようにな った。

◆ASTRO-100Mの導入

 NTベンダーとBEND/CAMを導入後、3号機目のベンディングロボットASTRO-100Mの提案があった。資金面で躊躇する気持ちもあったがASTRO-100Mはそれまでのベンディングロボットと異なりプログラム作成は外段取りで、ASTRO-CAMを使うということで使いやすくなると考え、思い切って導入した。

◆曲げの外段取り化

 「BEND/CAM、ASTRO-CAMも立体姿図をベースに曲げデータを作成することができ、BEND/CAMは全自動で加工可否も検証してくれる。以前は図面に加工指示や加工上のポイントを書き入れる一方で、新規品に関しては加工の要点を口すっぱく説明し、場合によっては初回加工をやっ

て見せていました。ところがNTベンダーやASTRO-100Mはデータさえ作成しておけば、後は立体姿図を見ればどんな製品を加工するのかが理解し易すく、作業者は姿図さえ見れば加工を理解することができ、説明時間が大幅に削減できました。当社にはインドネシアから3名の研修生が来ていますが彼らにも立体姿図で説明するとすぐに頭に入ります。またNTベンダーのAMNC/PCやASTRO-100Mのコンソールを切り替えるだけで日本語、英語表示されるバイリンガルのコンソールなので誰が加工しても同じ品質の製品ができるようになりました」(楠本裕之第二製造部長)。

◆1曲げのサイクルタイムは  16秒

 ASTRO-100Mでは最大200個、最小30個までの製品の曲げ加工を行っており6~8曲げ製品が多い。6曲げ製品で1時間に加工できる製品の数は37台、曲げ数は全部で222曲げ、1曲げは約16秒になる。通常のベンディングマシンで加工した方がショット数は伸びるがロボットは24時間稼働できるので、1日当たり5,328ショット

◆digital factory report

資料請求番号 7-22

栄工プラントのネットワーク構成図

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の曲げができる。この数字を作業者に比較すると3人分はこなす計算となり、導入効果はかなり上がっている。

◆外国人研修生やパート社員を 活用 

 「本格的に板金を手がけるようになって20年しか経過していませんが徹底して分業化を進め、外段取り化を進めることで加工は外国人研修生やパートの女性社員に置き換えてコスト競争力をつけました。ここ数年は材料価格が高騰、加工単価はコストダウンで利益率は低下しています。行く行くはアメリカの板金工場のようにエンジニアとワーカーを区別するとともに、24時間稼働できる工場を目指して行きたい」。

◆デジタル化で24時間稼働

 デジタル化で24時間工場を目指す同社のボトルネックになっているのが生産管理。9年にケーブルソフトウエアのWILLシリーズ受注・出荷見積モジュールを導入したのを皮切りに、15年までに受注・出荷モジュールを導入、事務所・現場に工程クライアント設置した。受注の70%を占める難波プレス、山陽オカムラの2社はEDI受注、一方で製品データはDXFの電子データで受取る場合が多い。そこで電

子データとEDIデータに基づいてAPプログラマが展開作業を行いながら納期順の作業指示書を発行する。指示書の裏側には原図をスキャニングした三面図が印刷され、指示書を見れば製品や加工内容が全て把握できるようになっている。結果、加工に関してはシート加工で歩留り改善を行うため、使用する材質と板厚ごとに分類整理、板厚ごとにネスティングする。

◆全工程調査に基づき  3カ年計画立案

 「アマダに全工程調査して工場診断を行ってもらう計画です。結果に基づいて新工場への移転も構想に入れた3カ年計画を策定します」。

◆第4の柱は3次元CADを  中核に

 「今は3本の柱ですが16年に導入した3次元板金CAD、SheetWorksを活用した仕事が見えてきました。医療機器関係の新規のお客様が3次元を持っているということで当社に仕事を発注されるようになり、医療機器の板金が当社の第4の柱になる可能性が出てきました。立体姿図、3次元製品モデルなど製品をバーチャルに可視化することで製造プロセスのイノベーションを実現していきたいと考えてい

ます」。

◆経営理念 事業計画 夢実現

 「[私達は新しい加工技術を積極的に学び技術レベルの高い信頼される会社を目指します。私達はお客様を笑顔にすることで仕事への誇りを持ち幸せな生活を実現し信頼・感謝できるパートナーと共に努力します。私達は金属加工を通じて、ものづくりの喜びや感動を体験しながら良い製品をタイムリーに社会に提供し安全で快適な生活空間を創造します]この経営理念に沿って経営戦略、経営方針を考え、受け身から攻めの姿勢、自立型企業にむけて改革中で、さらにパーツアッセンブリーメーカーとして取り組んでいるところです。社員と共に学び、共に育つ。社員をパートナーとして『栄工プラントに勤めて良かったなあ』と思えるようにスクラムを組んで大きな夢に向かっていきたいと思います」。

FBD3-8020NTによる曲げ加工 FBD3-5020NTと8020NTによる立体姿図を活用した曲げ加工


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