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第 6回 中和と塩
1 中和と塩
(1)中和反応 · · · 酸と塩基から塩と水ができる反応
例外:酸とアンモニアの反応などでは,化学反応式には,水は現れない
[例] 塩酸とアンモニア水溶液との反応
HCl → H+ + Cl-
NH3 + H2O ⇀↽ NH4+ + OH-
辺々加えると, HCl + NH3 + H2O → NH4Cl + H2O
となるが,両辺から H2Oが打ち消されて,
HCl + NH3 → NH4Cl となり,反応式に水は現れない
(2)塩 · · · 酸の陰イオンと塩基の陽イオンからなる化合物
(3)塩の種類 · · · 塩の化学式で決まるi. 正塩 (中性塩) · · · 酸の H+ がすべて塩基の陽イオンで置換された塩
(完全中和でできた塩)
[例] NaCl, CH3COONa, NH4Cl, Na2SO4
ii. 酸性塩 · · · 酸の H+ の一部が塩基の陽イオンで置換された塩
[例] NaHSO4, KHCO3 (化合物名の途中に「水素」が入る)
iii. 塩基性塩 · · · 塩基の OH- の一部が酸の陰イオンで置換された塩
[例] CaCl(OH) (化学式の中に (OH)を含む)
(4)塩の液性 · · · 塩が水に溶けたとき,何性を示すか
強酸 +強塩基 · · · 正塩 ⇒ 中性
酸性塩 ⇒ 酸性
塩基性塩 ⇒ 塩基性
強酸 +弱塩基 ⇒ 塩の種類によらず酸性
弱酸 +強塩基 ⇒ 塩の種類によらず塩基性
特に, NaHCO3 は酸性塩だが水溶液は塩基性
リン酸 (中程度の酸)と水酸化ナトリウムの塩
Na3PO4 リン酸ナトリウム (正塩) · · ·塩基性Na2HPO4 リン酸一水素ナトリウム (酸性塩) · · ·塩基性NaH2PO4 リン酸二水素ナトリウム (酸性塩) · · ·酸性
1
(5)塩の加水分解 (加水分解されるのは弱酸の陰イオンまたは弱塩基の陽イオン)
(1) CH3COONa 水溶液 が塩基性を示す理由
CH3COONa → CH3COO-+ Na+
CH3COO- + H2O ⇀↽ CH3COOH + OH- (塩の加水分解)
(2) NH4Cl 水溶液 が酸性を示す理由
NH4Cl → NH4+ + Cl-
NH4+ + H2O ⇀↽ NH3 + H3O
+ (塩の加水分解)
(6)塩の反応
i. 弱酸遊離
弱酸の塩 + 強酸 → 強酸の塩 + 弱酸
[例 1] 酢酸ナトリウムに希塩酸を加える
CH3COONa + HCl → NaCl + CH3COOH
[例 2] 炭酸ナトリウムに希硫酸を加える
Na2CO3 + H2SO4 → Na2SO4 + H2O + CO2
(H2CO3 が生成したときは H2O + CO2
H2SO3 が生成したときは H2O + SO2 に分解される)
ii. 弱塩基遊離
弱塩基の塩 + 強塩基 → 強塩基の塩 + 弱塩基
[例] 塩化アンモニウムに水酸化カルシウムを加え加熱
2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2 NH3 + 2H2O
iii. 揮発性の酸の遊離
揮発性の酸の塩 + 不揮発性の酸 → 不揮発性の酸の塩 + 揮発性の酸
[例 1] 塩化ナトリウムに濃硫酸を加え加熱
NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl
[例 2] 硝酸ナトリウムに濃硫酸を加え加熱
NaNO3 + H2SO4 → NaHSO4 + HNO3
(濃硫酸が不揮発性を示す反応はこの 2つの反応のみ)
揮発性の酸 · · · 塩酸,硝酸など
不揮発性の酸 · · · 濃硫酸など
2
(7)過不足のある場合の水素イオン濃度
例題. 0.15 [mol/L]の硫酸 100 [mL]と 0.10 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液 100 [mL]の
混合液の pHを求めよ。
i. 酸塩基のそれぞれの物質量を求める
H2SO4:0.15 × 100
1000= 0.015 [mol]
NaOH:0.10 × 100
1000= 0.010 [mol]
ii. 反応後の余った H+ または OH- の物質量を求める
余った H+:0.015 × 2 − 0.010 × 1 = 0.020 [mol]
iii. 混合溶液の体積で割って [H+]または [OH-]を求める
[H+] =0.020200
1000
= 0.10 [mol/L]
iv. pHを求める
pH = −log 0.10 = 1.0
3
2 中和滴定
中和の量的関係� �酸の H+ の物質量 = 塩基の OH- の物質量� �(注意) 中和滴定においては,電離度は考えなくてよい
特に,酸 ·塩基とも水溶液のときは,次の公式が使える
c × v
1000×n = c’ × v′
1000×n’ c, c’· · ·酸塩基のモル濃度 [mol/L]
v, v′ · · ·酸塩基の体積 [mL]
n, n’· · ·酸塩基の価数
問.
(1) 0.10 [mol/L]の塩酸 20 [mL]を中和するのに, 0.10 [mol/L]の水酸化カルシウム水溶液は何 [mL]
必要か。
(2) 0.050 [mol/L]のリン酸水溶液 20 [mL]を水酸化カリウム水溶液で完全に中和したところ, 10 [mL]
を要した。この水酸化カリウム水溶液のモル濃度は何 [mol/L]か。
(3) ある量の酸化カルシウムを 0.50 [mol/L]の塩酸で中和したところ, 50 [mL]を要した。
酸化カルシウムは何 [g]あったか。 (CaO=56)
4
(1)実験器具と前処理
ホールピペット メスフラスコ ビュレット
標線
標線
コニカルビーカー
前処理 · · · (a) 物質量を変えたくないとき⇒純水で洗ってそのまま使用
(b) 濃度を変えたくないとき
⇒純水で洗った後,使用する溶液で 2, 3回すすいでから使用 (共洗い)
(注意) 正確な目盛りが刻んであるガラス製の器具は,加熱乾燥しないこと。
前処理
i. ホールピペット · · · 一定体積 (5〜50 [mL])の水溶液をとる (b)
ii. メスフラスコ · · · 一定濃度の水溶液を調整する (100〜1000 [mL]) (a)
iii. ビュレット · · · 滴定に要する水溶液の体積を測定する (b)
iv. コニカルビーカー · · · 指示薬を加えて水溶液を滴下する (a)
(2)実験器具の使用方法
i. ホールピペット
標線
A
B Aの部分を指で押さえ, Bの部分を手で温めて,最後の 1滴まで流し出す。
5
ii. メスフラスコ
標線
(例) 0.050 [mol/L] シュウ酸標準溶液 1 [L] のつくり方
A. シュウ酸二水和物の結晶を電子天秤を用いて 6.30 [g] 測りとる。
B. 測りとった結晶を,すべてビーカーに移して,純水約 500 [mL]を加え,ガラス棒で
かき混ぜて結晶を完全に溶かす。
C. シュウ酸水溶液を 1 [L] のメスフラスコに移す。ビーカーとガラス棒を純水で洗い,
洗った水はビーカーで受ける。
D. 洗った水をメスフラスコに移す。数回繰り返し,ビーカーとガラス棒に付着した
分もメスフラスコに移す。
E. メスフラスコに純水を標線の下まで入れる。最後に駒込ピペットで純水を滴下し,
標線に合わせる。
iii. ビュレット
活栓
A. ビュレットをビュレット台に鉛直に取りつける。
活栓を閉じて,上からろうとで溶液を入れる。
B. ろうとを外し,活栓を開けて溶液を出し,ビュレットの先端の気泡をすべて
追い出したあと,素早く活栓を閉じる。
C. 滴定したい溶液が入ったコニカルビーカーをビュレットの下に置き,活栓を開
いて,溶液を必要量だけ滴下する。滴定の終点付近は 1滴ずつ滴下する。
D. 液面と同じ高さに目線を合わせ,最小目盛の 1/10まで読み取る。
6
(3)滴定曲線
(a) 強酸 +強塩基
pH
7
塩基の体積
(b) 弱酸 +強塩基
pH
7
塩基の体積
(c) 強酸 +弱塩基
pH
7
塩基の体積(指示薬はフェノールフタレインでも
(指示薬はフェノールフタレイン)
(指示薬はメチルオレンジ)メチルオレンジでもよい)
(4)指示薬
指示薬 (変色域) 酸性 中性 塩基性
フェノールフタレイン (8.0~9.8) 無色 無色 赤色
メチルオレンジ (3.1~4.4) 赤色 黄色 黄色
[メチルレッド (4.2~6.2)]
リトマス 赤色 赤/青 青色
ブロモチモールブルー (6.0~7.6) 黄色 緑色 青色
(BTB)
7
(5)中和滴定における各イオンの物質量の変化
(例) 0.10 [mol/L] の塩酸 100 [mL] を 0.10 [mol/L] の水酸化ナトリウム水溶液で滴定
0.01
0.02
100 200
H+ [mol]
[mL]
0 [mL]
H+ H+
Cl− Cl−
50 [mL]
Na+ H+
Cl− Cl−
100 [mL]
Na+ Na+
Cl− Cl−
150 [mL]
Na+ Na+ Na+
Cl− Cl− OH−
(イオン 1個は 0.005 [mol]を表す)
H2O H2O H2O H2O H2O
0
0.01
0.02
100 200
OH− [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
Na+ [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
Cl− [mol]
[mL]0
8
問.(1) 0.10 [mol/L] の硫酸 100 [mL] を 0.10 mol/L の水酸化バリウム水溶液で滴定したときの
各物質の物質量の変化を書け。
0.01
0.02
100 200
H+ [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
OH− [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
Ba2+ [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
SO42− [mol]
[mL]0
9
(2) 0.10 [mol/L] の酢酸 100 [mL] を 0.10 [mol/L] の水酸化ナトリウムで滴定したときの
各物質の物質量の変化を書け。
0.01
0.02
100 200
H+ [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
OH− [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
Na+ [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
CH3COO− [mol]
[mL]0
0.01
0.02
100 200
CH3COOH [mol]
[mL]0
10
3 二段滴定
(1)a [mol]の炭酸ナトリウムを塩酸で滴定
第一中和の反応:Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
a [mol] a [mol] a [mol]
第二中和の反応:NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
a [mol] a [mol]
滴定曲線
pH
7
加えた塩酸 [mol]a 2a
(2)a [mol]の炭酸ナトリウムと b [mol]の水酸化ナトリウムの
混合物を塩酸で滴定 (塩基性の強い NaOHと先に反応)
第一中和の反応:NaOH + HCl → NaCl + H2O
b [mol] b [mol]
Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
a [mol] a [mol] a [mol]
第二中和の反応:NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
a [mol] a [mol]
滴定曲線
pH
7
加えた塩酸 [mol]a+b 2a+b
11
(3)a [mol]の炭酸ナトリウムと b [mol]の炭酸水素ナトリウムの
混合物を塩酸で滴定
第一中和の反応:Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
a [mol] a [mol] a [mol]
第二中和の反応:NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
a+b [mol] a+b [mol]
滴定曲線
pH
7
加えた塩酸 [mol]a 2a+b
4 逆滴定 (アンモニアの定量)
[操作]
(1) アンモニアを過剰の硫酸に吸収させる
(アンモニウム塩を弱塩基遊離させ,アンモニアを発生させる場合もある)
(2) 余った硫酸を,水酸化ナトリウム水溶液で滴定
H2SO4
H2SO4
(NH4)2SO4
H2SO4(1)
(NH4)2SO4
Na2SO4(2)
指示薬:メチルオレンジ
中性
酸性
(1) 2NH3 + H2SO4 → (NH4)2SO4
(2) 2NaOH + H2SO4 → Na2SO4 + 2H2O
「硫酸の物質量 × 2 = NH3 の物質量 × 1 + NaOHの物質量 × 1」
を用いて計算
12
1 �� ��基本次の組み合わせの物質が十分に反応するときの化学反応式を記せ。
(1) 硫酸と水酸化ナトリウム
(2) 塩酸と水酸化カルシウム
(3) 硫酸と酸化ナトリウム
(4) 硫酸とアンモニア
(5) 二酸化炭素と水酸化ナトリウム
(6) 硝酸と水酸化アルミニウム
(7) リン酸と水酸化カルシウム
13
2 �� ��基本次の塩を,正塩,酸性塩,塩基性塩に分類せよ。
(1) CuSO4 (2) Na2CO3 (3) NaHCO3 (4) BaCO3
(5) MgCl(OH) (6) CH3COONa (7) Ca(HCO3)2 (8) AlCl(OH)2
3 �� ��基本次の塩の水溶液は,酸性,塩基性,中性のいずれを示すか。
(1) CuSO4 (2) Na2CO3 (3) NaHCO3 (4) Ca(HCO3)2
(5) KHSO4 (6) CH3COONa (7) NH4Cl (8) NaNO3
(9) FeCl3 (10) KBr (11) MgI2
(12) Na2HPO4 (13) NaH2PO4
14
4 �� ��標準次に示した操作を行ったとき,反応する場合はその化学反応式を,反応しない場合は × を記せ。(1) 炭酸水素ナトリウム水溶液に塩酸を加える。
(2) 塩化ナトリウム水溶液にシュウ酸水溶液を加える。
(3) 硫酸カリウム水溶液に酢酸水溶液を加える。
(4) 亜硫酸ナトリウム水溶液に希硫酸を加える。
(5) 硫酸アンモニウム水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加える。
(6) アンモニア水溶液に塩化カリウム水溶液を加える。
(7) 硝酸ナトリウムに濃硫酸を加え加熱する。
15
5 �� ��標準 0.10 [mol/L]塩酸 100 [mL]に 0.10 [mol/L]水酸化ナトリウム水溶液を加えたところ,混合液の pH
は 2.0になった。
(1) 加えた水酸化ナトリウム水溶液の体積を x [mL]としたときの水素イオン濃度を xを用いて表わせ。
ただし, 0< x <100 とする。
(2) xの値を求め,整数値で答えよ。
6 �� ��標準 0.200 [mol/L]硫酸 100 [mL]に 0.200 [mol/L]水酸化ナトリウム水溶液を加えたところ,混合液の
pHは 12.0になった。加えた水酸化ナトリウム水溶液は何 [mL]か。整数値で答えよ。
(Kw= 1.0×10-14 [(mol/L)2])
16
7 �� ��標準 0.10 [mol/L]の塩酸 20.0 [mL]と以下の量の水酸化ナトリウム水溶液との混合溶液の pHを小数第
1位まで求めよ。ただし,混合液の体積はすべて 40 [mL]とする。
(log2=0.3, Kw=1.0×10-14 [(mol/L)2]) (東京農大)
(1) 0.10 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液 19.9 [mL]。
(2) 0.10 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液 20.0 [mL]。
(3) 0.10 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液 20.1 [mL]。
17
8 �� ��標準 (1) 酢酸水溶液 10 [mL]を 0.10 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液で中和したところ, 12 [mL]を要
した。この酢酸のモル濃度を求めよ。
(2) 0.25 [mol/L]の硫酸 18 [mL]を中和するのに, 0.90 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液は何 [mL]
必要か。
(3) 0.050 [mol/L]の塩酸 50 [mL]は標準状態のアンモニアを何 [mL]中和できるか。
18
9 �� ��標準次の各問に答えよ。
(1) 濃度 1.0×10-3 [mol/L]の酢酸水溶液の電離度は 0.15である。
この酢酸水溶液の pHとしては,次のどれが適当か。
(ア) 1.8 (イ) 2.8 (ウ) 3.8 (エ) 4.8 (オ) 5.8
(2) 酢酸水溶液 10.0 [mL]を 0.40 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ, 2.50 [mL]を
必要とした。滴定前の酢酸水溶液の pHはいくらか。ただし,酢酸の電離度を 0.010とする。
19
10 �� ��標準塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物 4.0 [g] を 0.50 [mol/L] の塩酸 200 [mL] に溶かした。
この溶液中の塩酸を中和するのに, 0.20 [mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液 50 [mL]必要とした。混合
物中の塩化ナトリウムは何 [g]か。 (H=1.0, O=16, Na=23, Cl=35.5)
20
11 �� ��基本食酢中の酢酸の濃度を決定するために,次の実験を行った。これについて,下の各問に答えよ。
[実験 1] 食酢を正確に 10倍にうすめるために,器具 Aを用いて食酢を 10.0 [mL]取り,これを器具 Bに
移してから,水を加えて正確に 100 [mL]とした。
[実験 2] うすめた食酢の 10.0 [mL]を器具 Cに移し取り,指示薬を 2滴加えた。そこへ 0.100 [mol/L]
水酸化ナトリウム水溶液を器具 Dから滴下したところ,中和点までに 8.00 [mL]を要した。
(1) 器具 A〜Dを下の (a)~(d)から選び記号で答えよ。またその器具の名称を記せ。
(a) (b) (c) (d)
(2) 器具 A〜Dを使用するときの注意を,それぞれ次のうちから選べ。ただし,同じものを何度選んでも
よい。
(ア) 純水で洗った後,ぬれたまま用いる。
(イ) 純水で洗った後,加熱乾燥して用いる。
(ウ) 中に入れる溶液で洗って用いる。
(エ) 中に入れる溶液で洗った後,加熱乾燥して用いる。
(3) 実験 2で用いる指示薬として適当なものを 1つ答え,溶液が中和点の前後で何色から何色に変わる
かを記せ。
(4) もとの食酢中の酢酸のモル濃度を求めよ。
21
12 �� ��標準食酢中の酢酸の濃度を知る目的で, (A)〜(C)の実験を行った。 (H=1.0, O=16, C=12)
(A)シュウ酸標準溶液の調整:シュウ酸二水和物を水に溶解して 0.0500 [mol/L]のシュウ酸標準溶液
1 [L]を調整した。
(B)水酸化ナトリウム溶液の調整:水酸化ナトリウム 1 [g]を 200 [mL]の水に溶解した。
この溶液の濃度を決定するために, シュウ酸標準溶液 20 [mL]を正確にコニカルビーカーにとり,
指示薬 (ア)を加えたのち,ビーカーの溶液の色が無色から淡赤色に変化するまで水酸化ナトリウム
溶液をビュレットから滴下した。同様の操作を数回繰り返したところ,平均滴下量は 21.8 [mL]で
あった。
(C)食酢中の酢酸濃度の決定:食酢を水で正確に 10倍に希釈した。この液 20 [mL]を正確にコニカル
ビーカーにとり, 指示薬 (ア)を加えたのち,手順 (B)で調整した水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定
したところ,平均滴定量は 15.6 [mL]であった。 (京都府大)
(1) シュウ酸と水酸化ナトリウムの中和の化学反応式を記せ。
(2) 手順 (A)で,シュウ酸標準溶液の調整に必要な試薬の質量と器具の名称を記せ。
(3) 下線部の操作に共通して必要なガラス器具の名称を記せ。
(4) 下線部で用いるコニカルビーカーの内部は水で濡れていてもよい。その理由を述べよ。
(5) 指示薬 (ア)の名称を記せ。
(6) 手順 (C)で指示薬 (ア)を用いた理由を説明せよ。
(7) 手順 (B)で求めた水酸化ナトリウム溶液のモル濃度を,有効数字 3桁で答えよ。
(8) この濃度は,実際にはかりとった水酸化ナトリウムの量から求められる濃度とは必ずしも一致
しない。その理由を記せ。
(9) 食酢中の酢酸のモル濃度を,有効数字 3桁で答えよ。
(10) 食酢中の酢酸の質量パーセント濃度を,有効数字 2桁で答えよ。
ただし,食酢の密度は 1.0 [g/mL]とする。
(11) 水酸化ナトリウム溶液をビュレットに漏斗を用いて入れ,次に漏斗をはずした。
その後,滴下をはじめるまでのビュレットの取り扱い方および滴下量の読み取り方を記せ。
22
13 �� ��基本濃度 x [mol/L] の炭酸ナトリウム水溶液 25 [mL]をとり,フェノールフタレインを指示薬として
0.10 [mol/L] 塩酸を滴下したところ, y [mL] で a 溶液の色が変わった。これにメチルオレンジを加えて
さらに滴下を続けたところ, b 溶液の色が変わるまでに要した塩酸の量は, 最初から通算して 30 [mL]
であった。
(1) この滴定の 2つの反応の化学反応式をそれぞれ記せ。
(2) 下線部 a, bの溶液の色の変化を,「赤色→青色」のように記せ。
(3) 記述中の x, y の値を求めよ。
23
14 �� ��標準濃度未知の水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液 10.0 [mL]を,フェノールフタレインを指
示薬として 1.00 [mol/L]塩酸で滴定したところ, 12.5 [mL]を滴下したところで溶液の赤色が消えた。
この溶液にメチルオレンジを加え, 続けて同じ塩酸で滴定したところ, 溶液が赤色を呈するまでにさら
に 2.50 [mL]が必要であった。
(1) 第一中和点までの滴定でおこる 2種類の反応を化学反応式で記せ。
(2) 第一中和点から第二中和点までの滴定でおこる反応を化学反応式で記せ。
(3) 混合溶液中の水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのモル濃度を求めよ。
24
15 �� ��応用炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶液 10.0 [mL]をとり,フェノールフタレインを指示
薬として 0.050 [mol/L]の希硫酸で滴定すると, 5.5 [mL]を加えたところで溶液の赤色が消えた。この
溶液にメチルオレンジを加え, 続けて同じ希硫酸で滴定したところ, 溶液が赤色を呈するまでにさらに
7.0 [mL]が必要であった。 (H=1.0, C=12, O=16, Na=23)
(1) 第一中和点までの滴定でおこる反応を化学反応式で記せ。
(2) 第一中和点から第二中和点までの滴定でおこる反応を化学反応式で記せ。
(3) 最初の混合水溶液中の炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの質量パーセント濃度を求めよ。
ただし,溶液の密度を 1.0 [g/mL]とする。
25
16 �� ��標準溶液 Aに含まれている物質の種類と濃度を知るために,次の実験を行った。
(実験 1) 溶液 Aを 20.0 [mL]とり,フェノールフタレインを数滴加えた。0.10 [mol/L] 塩酸を少しずつ
滴下したところ,中和点までに V1 [mL]必要であった。
(実験 2) 実験 1とは別に,溶液 Aを 20.0 [mL]とり,メチルオレンジを数滴加えた。0.10 [mol/L]塩酸
を少しずつ滴下したところ,中和点までに V2 [mL]必要であった。 (福岡大)
(1) 実験 1,実験 2の中和点における色の変化をそれぞれ書け。
(2) 溶液 Aに含まれている物質が次の (a)〜(d)の場合,それぞれ V1 と V2 の関係を表す式は (ア)〜(カ)
のどれか。
(a) 水酸化ナトリウムのみ
(b) 炭酸ナトリウムのみ
(c) 水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウム
(d) 炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム
(ア) V1 = 2V2 (イ) V1 = V2 (ウ) 2V1 = V2
(エ) V1 > 2V2 (オ) 2V1 > V2 (カ) 2V1 < V2
(3) V1 = 15.0 [mL], V2 = 21.0 [mL] のとき,溶液 A 20.0 [mL]に含まれる物質の化学式と物質量
(有効数字 2桁)を記せ。
26
17 �� ��応用空気中に長時間放置した水酸化ナトリウムは空気中の二酸化炭素と反応して一部が炭酸ナトリウム
に変化する。空気中に長時間放置した水酸化ナトリウム約 10 [g]を水に溶かして 1 [L]とし,試料溶液
をつくった。
試料溶液を 10 [mL]とり,指示薬としてフェノールフタレインを用いて 0.10 [mol/L]の塩酸で滴定し
たところ, 18.5 [mL]で中和点に達した。
さらに指示薬としてメチルオレンジを用いて滴定を続けたところ,さらに塩酸を 1.5 [mL]加えたとこ
ろで中和点に達した。
(1) 水酸化ナトリウムと二酸化炭素の反応の化学反応式を書け。
(2) 試料溶液 10 [mL]に含まれる水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの物質量をそれぞれ求めよ。
(3) 元の水酸化ナトリウムのうち何 [%] が炭酸ナトリウムに変化したかを求めよ。
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18 �� ��基本 1.0 [mol/L]の硫酸 16 [mL]に指示薬を加え,ある量のアンモニアを吸収させた。アンモニアを吸収
させた後の溶液は, まだ酸性であり, これを中和するのに 0.50 [mol/L] の水酸化ナトリウム水溶液 24
[mL]を要した。 (H=1.0, N=14)
(1) 指示薬として次のどれを用いればよいか。
ただし, ( )内は変色域の pHの値である。
(A) ブロモチモールブルー (6.0 〜 7.6)
(B) メチルオレンジ (3.1 〜 4.4)
(C) フェノールフタレイン (8.0 〜 9.8)
(2) 初めに吸収させたアンモニアは何 [g]か。
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19 �� ��標準塩化アンモニウムと塩化ナトリウムの混合物がある。その 5.00 [g]をとり,水酸化ナトリウム水溶液
を加えて加熱し, 沸騰させ, 発生するアンモニアを完全に追い出して,0.500 [mol/L] の硫酸 50 [mL] に
吸収させた。
吸収液は水を加えて正確に 200 [mL] とした。その吸収液を正確に 10.0 [mL] とり, これを 0.100
[mol/L]の水酸化ナトリウム水溶液で中和したところ, 15.0 [mL]を要した。
混合物中の塩化アンモニウムの含有量を質量パーセントで示せ。
(H=1.0, N=14, Na=23, Cl=35.5)
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20 �� ��標準空気中の二酸化炭素の量を測定するために,標準状態で 10 [L]の空気を 0.050 [mol/L]の水酸化バリ
ウム水溶液 200 [mL]の中に通じた。このときに生成した沈殿をろ過し,そのろ液 20.0 [mL]をとって
0.10 [mol/L]の塩酸で中和したところ, 19.6 [mL]を要した。次の各問いに有効数字 2桁で答えよ。
(Kw= 1.0×10-14 [(mol/L)2]) (工学院大)
(1) 二酸化炭素を水酸化バリウム水溶液に通じたときの反応を化学反応式で示し,このときに生成した
沈殿の名称と色を書け。
(2) ろ液を塩酸で中和したときの反応を化学反応式で示せ。
(3) 使用した水酸化バリウム水溶液および塩酸の pHはそれぞれいくらか。
(4) この空気 10 [L]中の二酸化炭素の物質量はいくらか。
(5) この空気中の二酸化炭素の体積百分率を求めよ。
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6. 中和と塩 解答
1 (1)H2SO4 + 2NaOH → Na2SO4 + 2H2O
(2)2HCl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O
(3)H2SO4 + Na2O → Na2SO4 + H2O
(4)H2SO4 + 2NH3 → (NH4)2SO4
(5)CO2 + 2NaOH → Na2CO3 + H2O
(6)3HNO3 + Al(OH)3 → Al(NO3)3 +
3H2O
(7)2H3PO4 + 3Ca(OH)2 → Ca3(PO4)2 +
6H2O
2 正塩:(1),(2),(4),(6)
酸性塩:(3),(7)
塩基性塩:(5),(8)
3 (1)酸性
(2)塩基性
(3)塩基性
(4)塩基性
(5)酸性
(6)塩基性
(7)酸性
(8)中性
(9)酸性
(10)中性
(11)酸性
(12)塩基性
(13)酸性
4 (1)NaHCO3 + HCl→ NaCl + H2O + CO2
(2)×(3)×(4)Na2SO3 + H2SO4 → Na2SO4 + H2O
+ SO2
(5)(NH4)2SO4 + 2NaOH → Na2SO4 +
2H2O + 2NH3
(6)×(7)NaNO3 + H2SO4 → NaHSO4 + HNO3
5 (1)10− 0.1x
x+ 100(2)82
6 216 [mL]
7 (1)3.6
(2)7.0
(3)10.4
8 (1)0.12 [mol/L]
(2)10 [mL]
(3)56 [mL]
9 (1)(ウ)
(2)3.0
10 0.40 [g]
11 (1)A:(a) ホールピペット
B:(b) メスフラスコ
C:(d) コニカルビーカー
D:(c) ビュレット
(2)A:(ウ) B:(ア) C:(ア) D:(ウ)
(3)フェノールフタレイン
無色から赤色
(4)0.800 [mol/L]
12 (1)(COOH)2 + 2NaOH → (COONa)2 +
2H2O または,
H2C2O4 + 2NaOH → Na2C2O4 +
2H2O
(2)メスフラスコ, 6.30 [g]
(3)ホールピペット
(4)水で濡れていても,コニカルビーカー内の
酸の物質量は変化しないため。
(5)フェノールフタレイン
(6)弱酸と強塩基の滴定で,中和点が塩基性に
なるので,変色域が塩基性側にある指示薬
を用いる必要があるため。
(7)9.17×10-2 [mol/L]
(8)水酸化ナトリウムは潮解性があり,また強
塩基性なので空気中の二酸化炭素と反応
するため。
(9)0.716 [mol/L]
(10)4.3 [%]
(11)溶液を少量流してビュレットの先端まで
溶液が満たされていることを確認する。
液面と同じ高さに目線を合わせ最小目盛
の 1/10 まで読み取る。滴定を 3 回ほど
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繰り返し,平均値を滴下量とする。
13 (1)Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
NaHCO3 + HCl→ NaCl + H2O + CO2
(2)a:赤色 → 無色
b:黄色 → 赤色
(3)x=0.060, y=15
14 (1)NaOH + HCl → NaCl + H2O
Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
(2)NaHCO3 + HCl→ NaCl + H2O + CO2
(3)水酸化ナトリウム:1.00 [mol/L]
炭酸ナトリウム:0.250 [mol/L]
15 (1)2Na2CO3 + H2SO4 → 2NaHCO3 +
Na2SO4
(2)2NaHCO3 + H2SO4 → Na2SO4 +
2H2O + 2CO2
(3)炭酸ナトリウム:0.58 [%]
炭酸水素ナトリウム:0.13 [%]
16 (1)(実験 1)赤色 → 無色
(実験 2)黄色 → 赤色
(2)(a) イ (b) ウ (c) オ (d) カ
(3)NaOH:9.0×10-4 [mol]
Na2CO3:6.0×10-4 [mol]
17 (1)2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O
(2)NaOH:1.7×10-3 [mol]
Na2CO3:1.5×10-4 [mol]
(3)15 [%]
18 (1)B
(2)0.34 [g]
19 21.4 [%]
20 (1)CO2 + Ba(OH)2 → BaCO3 + H2O
炭酸バリウム,白色
(2)Ba(OH)2 + 2HCl → BaCl2 + 2H2O
(3)水酸化バリウム水溶液:13
塩酸:1.0
(4)2.0×10-4 [mol]
(5)0.045 [%]
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