投資事業グループの取り組みについて
投資事業グループ
2017年 10月25日
(第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会)
資料5
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
1. 投資事業グループの活動実績と振り返り 1)当初の課題と実績(再編・統合投資)
2
INCJ設立以来、当初の課題となっていた、①大型のリスク資金の提供、②再編統合の行司役(事業の切り出し
に積極的でない企業に対して、公的な性格を持つ中立的な立場からの再編支援等)、③投資後の経営統合(PMI)支援を通じて、投資実行時のみならず、投資後、EXIT時にも業界の再編・統合を着実に進めてきた。 当初課題
当初の課題と戦略 大型の再編・資本再構築に必要な資
金を提供
大型の事業再編・統合を支援し、 民間の投資ファンドでは対応でき ない資金調達を補完
官民ファンドとしての中立性の活用
民間の投資ファンドでは難しい行司役として再編を促進
再編後の統合過程を支援
新会社の戦略策定など、PMI(ポス
ト・マージャー・インテグレーション)の活動を主導
投資実績 / 再編・統合の成果
新会社
A社 事業
各社 カーブアウト
INCJ
成長資金
B社
投資スキーム(事業再編)
C社 事業 事業
事業 事業 事業
電子デバイス
素材・化学
再編時期 具体的内容 対象会社 再編元事業者
は売却を開始もしくは完了したもの
自動車
有機EL ディスプレイパネル
中小型LCD
半導体:MCU,A&P,SoC
パワーデバイス
フォークリフト再編
衆智達
自動車 部品加工
食品包装・ 農業フィルム
住化積水フィルム ホールディングス
静脈産業 プラットフォーム
LiB素材
中小食品関連企業 プラットフォーム
その他
中小自動車部品 加工メーカー13社
中小食品関連 企業複数社
静脈産業 関連企業
投資実行時
投資後
投資実行時
EXIT時
※括弧内の企業は Exit先
投資実行時 EXIT時
投資実行時
投資実行時
投資実行時
投資後
投資後
有機ELディスプレイに関する世界最高水準の技術を集結
世界最高水準の高精細技術を持つディスプレイ専業メーカー設立
構造改革を推進し、国際的な競争力の回復、強化 (2016年)パワーマネジメントICと高精度アナログで業界をリードする米Intersil Corporationを買収
成長資金の投入によりグローバル競争力強化 (2016年)ニチユ三菱フォークリフトに株式を譲渡
中小企業の技術等を得結集し、グローバル展開支援
複数の中小食品関連企業をホールディングス傘下に収め再成長を促進
経営資源の統合によりフイルム業界のグローバルプレイヤーを創出
事業者、商社それぞれが持つ技術と事業展開力を融合
パワーデバイスメーカーとの段階的な再編促進 (2015年)京セラへ保有全株式を譲渡
静脈産業関連企業の再編促進を目指すプラットフォームの設立
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
1. 投資事業グループの活動実績と振り返り 2)当初の課題と実績(海外投資)
3
海外投資においては、海外経営資源の獲得、国内経営資源の海外での展開促進を目指し、国内事業者を共同パートナーとして海外投資の支援を実施。また、経営リソースの不足している中堅企業の海外展開支援、相手国政府との関係が生じるインフラ分野の支援において一定の役割を果たしてきた。 当初課題
当初の課題と戦略 日系企業の海外展開の支援
海外企業の販路、生産拠点、技術等の獲得による成長市場へのアドレスや日本への技術の還流を支援
クロスボーダーM&Aの支援
買収交渉やPMIなど、国内買収より難易度の高いプロセスを支援
リスクマネーの提供
企業の規模対比金額の大きいM&Aのリスクをシェア
投資実績 / 再編・統合の成果
投資スキーム(海外共同買収)
共同投資
X社
A社 INCJ
[●]% [●]%
グローバル再編
インフラ投資
我が国にない海外経営資源獲得
我が国経営資源の海外展開促進 具体的内容 対象会社
スイススマートメーター
独産業用ロボット 向け減速装置
米国遺伝子診断
Oji Fibre Solutions
NZ紙パルプ、 パッケージング
豪州水事業
チリ水事業
英国洋上風力発電 設備据付船
ポルトガル・ ブラジル水事業
イタリア太陽光 発電事業
ASEAN通信タワー
カンボジア救急センター
Sunrise Healthcare Service
共同投資家
北原病院
-
-
-
- -
-
- -
Landisを活用した日系重電メーカーの配電機器等の販売拡大
日本の優れた技術の価値向上 日系メーカーの欧州販路獲得
遺伝子検査等のプレシジョン・メディシンの国内基盤整備、関連事業の確立
オセアニアの製造・販売拠点獲得
民営化ノウハウの獲得 日本の水関連技術の移転
民営化ノウハウの獲得 日本の水関連技術の移転
民営化ノウハウの獲得 日本の水関連技術の移転
日本の風力発電機の欧州進出プラットフォーム
発電事業の展開及びノウハウの蓄積
日本の高度医療サービス・医療機器の輸出促進
基地局電源・タワー向け炭素繊維事業などのASEAN進出プラットフォーム
-
-
-
は売却を開始もしくは完了したもの
果物を中心とした フリーズドライ
- Chaucerのグローバルなチャネルを活用した顧客の拡大や拡販
海外展開
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
1. 投資事業グループの活動実績と振り返り 3)再編投資・海外投資を通じて実現されたイノベーション
4
再編統合、海外投資を通じて、多くのオープンイノベーションに繋がる動きを後押ししてきた。
再編・統合投資
海外投資
案件 イノベーションの成果
×
• RGB印刷方式では世界初となる21.6型 4Kの高精細有機ELパネルを開発し、4月よりサンプル出荷を開始
• 有機EL量産技術の確立と事業化の加速 蒸着・印刷方式までをカバーした、有機ELリーディングカン
パニーを目指す
• 自動運転時代に向けた新たなコンセプト「Renesas autonomy TM」を発表 自動運転の実現には、認識・判断・制御・機能安全・セキュ
リティ、これら全てへの対応が求められ、認識・判断向けSoCと制御・機能安全対応の制御マイコンを搭載した高度自動運転ソリューションキットをリリース
×
• プレシジョン・メディシン(精密医療)分野への本格参入 • 世界トップクラスの遺伝子診断技術とコニカミノルタのタンパク
解析技術の融合 Ambryが既に米国で展開しており、実績のある高精度遺伝
子検査サービスを日本市場で展開
×
• 人との協働作業型ロボット「Co-bot」市場への対応と成長取り込み
• メカトロニクス製品、精密遊星減速機、波動歯車装置における競争力と事業基盤の強化によるトータル・モーション・コントロール事業領域の拡大
印刷有機EL 技術開発
自動運転 制御半導体
遺伝子解析 技術導入
ロボット 関節用歯車
㈱JOLED HP引用
ルネサスエレクトロニクス㈱HP引用
コニカミノルタ㈱HP引用
㈱ハーモニック・ドライブ・システムズHP引用
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
67 69 75 110 125 258 313 475 570 747 777 889 900 1,000 1,200
1,800 1,800
2,400 4,700
5,900
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000
GodrejHytsu
HubtexCombilift
TailiftHyundai
HangchaDoosan
Clarkニチユ
HeliT
NFコマツ
三菱重工 NaccoCrown
JungheinrichKion
豊田自動織機
出所: Modern Materials Handling/August 2011、August2017 注: 為替は2010年12月末及び2016年12月末のものを参照
グローバルフォークリフトメーカーランキング:FY2010 フォークリフト事業売上高、単位:百万ドル
3位メーカーの誕生を 後押し
案件の 各ステージで 再編を企図
グローバルフォークリフトメーカーランキング:FY2016 フォークリフト事業売上高、単位:百万ドル
5
67 69 76 136 163 185 220 227 477 616 740 774 781 928
2,570 2,910
3,252 3,407
5,879 8,563
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000
PaletransHubtex
ManitouLonking
KonecranesEP Equipment
CombiliftHyundaiKomatsu
ClarkHangchaDoosan
AnhuiHyster-Yale
CrownJungheinrich
Kion豊田自動織機
2017年10月1日にニチユ三菱フォークリフト(株)とユニキャリア(株)が経営統合し、三菱ロジネクスト(株)としてスタート
1
2
Entry
Value up
Exit
新興国プレイヤーとトッププレイヤーの板挟みとなる中、多くの中規模プレイヤーが大企業グループのノンコア事業であり、経営資源が不足
対応に後ろ向きな各社を中立的な立場から説得し、問題意識を共有していた日産自動車(株)傘下の日産フォークリフト(株)と日立建機(株)傘下のTCM(株)を経営統合し、INCJが成長資金を300億円投入
投資時から更なる業界再編を企図し、日系メーカー、中規模アジアメーカー、大手欧米メーカー等へアプローチするも、当時は実現せず
中国のローコストメーカー、日欧米の販売会社等、7件のM&Aを実施
公正な売却プロセスの結果、ニチユ三菱フォークリフト(株)(日本輸送機(株)と三菱重工(株)のフォークリフト事業の統合会社)及び三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングスに売却。結果、日系4社の統合を実現
2. ケーススタディ:ユニキャリア・ホールディングスにおける再編統合事例
INCJ投資時、投資後のバリューアップ及びINCJのExit時の全てのフェーズにおいて同業との統合、M&Aを実施。結果としてINCJ投資前に独立していた日系4社が統合し、グローバル第3位のプレーヤーが創出された。
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
3. 現状と課題・今後の方向性 再編・統合投資 / 海外投資
6
第4次産業革命が進む中で、①業種や国境を超えた経営資源の組み換え、②グローバル化対応に必要な資金
の大型化や投資期間の長期化、③海外ネットワークの構築や人材の育成等、グローバルな体制整備が重要となっている。
再編・統合投資
海外投資
現状と課題
第4次産業革命に向けた構造改革が必要な幅広い業種への支援
自動車、電子・電機、素材・化学、産業機械等、数多く存在
組織体制・人材の更なる育成
攻めの姿勢でグローバル再編を組成し、Exit戦略を策定できる体制・人材
投資手法・パターンの多様化
国内外PEとの共同投資、再編統合による成長戦略、メイン銀行との協調
経営者の意識転換
経営者に事業売却への抵抗感が根強く、ポートフォリオの最適化が定着せず
第4次産業革命に向けて幅広い分野でグローバルな成長の取り込み
成長市場にアドレスするため、プラットフォームとなる海外企業を買収
中堅企業のM&A支援
大企業の支援に偏っていたが、優れた技術や製品を有しながら海外M&A の経験不足により海外展開が十分でない中堅企業の支援実績の強化
海外ネットワークの拡充
案件発掘や投資先のバリューアップのために現地パートナーを活用
現地の金融機関や民間ファンド、SWF等との連携の深化
今後の方向性
再編統合投資 投資対象/投資手法の多様化
第4次産業革命を実現するため、業種や国境を越えた再編統合、カーブアウト等を実行
企業経営が健全な間に事業ポートフォリオの組換えや複数社の経営統合を促す体制
海外投資 成長市場進出のプラットフォームとなる企業買収
イスラエル等、海外イノベーションの取り込み
優れた技術/製品を有する中堅企業のM&A支援
グローバル産業再編プログラム (GIBP:Global Industry Build-up Program)
グローバル市場の獲得をインセンティブとした 新たな産業再編プログラムの推進
攻めの姿勢で案件を組成し、企業にアプローチ
グローバルに投資戦略を策定する体制構築
グローバル市場の第4次産業革命の動きを分析、投資対象の市場/技術/企業をターゲティング
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
(参考資料) 投資実績 地域分布
7
(2017年9月末現在)
再編・統合投資/海外投資案件:26件
ポルトガル 1件
ドイツ 1件 イギリス 2件 スイス 1件 中国 1件
日本9件
ニュージーランド 1件
オーストラリア 1件
マレーシア 1件
カンボジア 1件
イタリア 1件
アメリカ 5件
チリ 1件
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ)
(参考資料) 投資実績 ポートフォリオ一覧
8
※ は売却を開始もしくは完了したもの
素材・化学 電子デバイス 産業機械 エネルギー 輸送・ 自動車
消費財・小売 (含サービス) 健康・医療 IT・ビジネスサービス・
コンテンツ・知財 インフラ(含サービス) 戦略的LP投資
海外経営資源の活用
アーリーステージ
ベンチャー企業
事業の再編・統合
スマートメーター
高機能ゼオライト
LiB電極
循環型リサイクル
マイクロ波化学合成
音声検索技術 インキュベーション
GRAアグリ プラットフォーム 新規就農者支援
ネットワーク仮想化 ソリューション
クラウドオブジェクト ストレージ製品
コンテンツ海外展開
クラウド名刺管理
知財ファンド
データ統合ツール
中小食品関連企業 プラットフォーム
レーザー発振器
㈱クリエイトワクチン
結核ワクチンの開発
カンボジア救急センター
医療機器インキュ ベーションファンド
PPI制御による 新薬開発
眼科医療機器
iPS細胞由来 の血小板製剤
LCC
エネルギー周辺 分野における 新産業創出VC
豪州水事業
チリ水事業
屋内携帯通信 インフラシェアリング
GaNパワー半導体
大量処理サーバ/ 人体通信技術
半導体:MCU,A&P,SoC
有機EL ディスプレイパネル
ナノインプリント
本格的産学連携VC
産業連携ハンズオンVC
日米ベンチャー 投資育成ファンド
起業家促進VC
脳科学やロボット分野等 への投資ファンド
組込み フラッシュメモリ
超音波ミスト化分離
テレマティクス 情報活用サービス
デジタルリスク ソリューション
シースルー新型太陽 電池の事業化
アルツハイマー治療薬
ソーシャル楽器
素材・化学分野における ベンチャー投資
ダイヤモンドソーワイヤー NMR LiB
高付加価値天然繊維
グラフェンの早期実用化
汎用的人工知能
サイバーセキュリティ
電子出版ビジネスの インフラ整備
フォークリフト再編
洋上風力発電設備据付船
パワーデバイス
中小型LCD
Oji Fibre Solutions 光ファイバー網向け 通信機器
デジタルスピーカー技術 銅ペースト
ジェスチャーUI
ディスプレイコントローラ
パワーアシストスーツ
高分子材料
アモルファス金属
フラッシュメモリ
電源コア・電流センサ
衆智達
アパレル業界向け プラットフォーム事業
インターネットストア
アジアンベイシス
眼鏡SPA
ライフサイエンス 知財ファンド
LSIP
核酸医薬基盤技術開発
抗がん剤DDS
Sunrise Healthcare Service
次世代RNA干渉薬開発
DDS技術を用いた 核酸医薬の開発
スマートフォン決済
モーションコミック
ID-POSデータ プラットフォーム
ビッグデータ アプリケーション
住宅建設会社向け クラウドプラットフォーム
マルチメディア配信 プラットフォーム
ポルトガル・ ブラジル水事業
イタリア太陽光 発電事業
宇宙デブリ除去衛星
EC海外展開
がん放射線治療
食品包装・ 農業フィルム
写真プラットフォームサービス
在宅医療 プラットフォーム
3Dロボットビジョン システム
通信用ソフトウェア
免疫系新薬開発 リアルタイム分析
Deep learning
小型風力発電機
デュシェンヌ型 筋ジストロフィー 症治療薬開発
緩まないネジの 事業化
SI、ロボットアーム
次世代パーソナル モビリティ
次世代シークエンサー
LiB素材
住化積水フィルム ホールディングス
紙パルプ、 パッケージング
自動車 部品加工
決済プラットフォーム
ビッグデータ解析
バイオ医薬 開発製造受託サービス
果物を中心とした フリーズドライ
産業用ロボット向け 減速装置
ロボット三次元制御 システムソフトウェア
ソフトウェアの 自動並列化技術
酪農・畜産 プラットフォーマー
腎・代謝・循環領域 の新薬の研究開発
AIケアプラン
シーディーアイ
クラウド型 マーケティング プラットフォーム
ダイナミックマップ
ASEAN通信タワー
オープンイノベーション CVCファンド
ジャパンマルチメディア放送
米国癌領域遺伝子検査
AI対話システム
フレキシブル基板
国際原子力開発
(2017年9月末現在)
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ) 9
(参考資料) ポートフォリオの状況
(2017年9月末現在)
37件/120件
Innovation Network Corporation of Japan (INCJ) 10
(参考資料) 産業革新機構の実績 (投資vs.回収)
10,346
20,521
0
4,000
8,000
12,000
16,000
20,000
24,000
実投資額 想定回収額
1,663
2,716
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
既投資額 回収額
億円
億円
※ 想定回収額は、2017年3月末時点での既回収額、保有投資有価証券等の合計(損失引当金控除後)
Exit実績 (2017年3月末時点:30件)
投資損益 (想定)
1.6倍
実投資額
2.0倍
<
< 支援決定金額