無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

1

２．投資対効果、その他事項の考慮

3. 中長期経営戦略の見立て2. 企業を取りまく環境の評価1. 根本にある企業理念

タバコメーカーとしての企業理念

“タバコ製品等を通じて、消費者に至福の時を提供する”

価格競争複数国の市場におけるタバコ製品の価格競争が激化

有害物質低減に対する取組みに戦略的な重点(great strategic importance)を置く

電池タバコを市場に送り出した最初の国際的なタバコメーカーとして、マーケットリーダーになる従来型タバコの販売量

（消費本数）が年々減少

販売量の下落

複数国の市場におけるタバコ消費量が減少

タバコ市場全体の縮小

先進国を中心に健康志向が広まり、たばこ離れが加速

健康志向によるタバコ離れ

従来型のタバコ製品の市場環境は厳しく、販売量も下落

新たな製品や事業を創出し、中長期的な企業価値を創出

有害物質低減・健康志向

次世代型製品の開発

出所：British American Tobacco、 Investor Day 2015, Industry & Environment Overview 等を元に作成

１.イノベーション投資ケース 英国 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

イノベーションを通じた新しいタバコ製品や事業を創出

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参考資料

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

2

２．投資対効果、その他事項の考慮

6. 投資回収の見込み5. 投資の形態4. 投資戦略の方向性

出所：British American Tobacco、 Investor Day 2015, Industry & Environment Overview 等を元に作成

有害物質低減と次世代型製品の開発に向け２つの投資領域が挙げられている

Ｄ

イノベーション&成長市場Innovations & New

Growth Market• 電子タバコ製品技術の研究• 健康配慮型技術の研究• 有害物質低減技術の研究

次世代タバコ製品の改良Good Progress on

New Generation Products• 電子タバコ製品の開発• 新型タバコ製品の開発

研究開発投資

Ｍ＆Ａ 電子タバコ老舗メーカーを買収

イノベーション投資 電子タバコの市場創出 健康配慮型タバコの市場創出

電子タバコ製品技術の研究 電子タバコ製品の開発 健康配慮型技術の研究 有害物質低減技術の研究

具体的な投資方法として、主にイノベーション投資、研究開発投資、Ｍ＆Ａが行われている

主に「既存の製品ライン」および「新たに創出する市場」から投資を回収する見込み

既存タバコ製品に対する新規技術の応用既存の製品ラインに対して、新規技術を適用したマイナーチェンジ型のタバコ製品をローンチ（健康配慮型のグローバル・ブランド製品等）し、強固な収益力を活かして投資回収に活用する

新たな市場の創出・獲得電子タバコや健康配慮型タバコの潜在的な市場規模を推定し、需要喚起を行いつつ、一定の市場シェアを実現する

１.イノベーション投資ケース 英国 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

3

２．投資対効果、その他事項の考慮

出所：British American Tobacco、 Investor Day 2015, Industry & Environment Overview 等を元に作成

１.イノベーション投資ケース 英国 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

長期的な価値創造

企業理念

ビジネスモデル

企業理念

ビジネスモデル

環境要素

環境健康志向によるタバコ離れタバコ市場全体の縮小価格競争販売量の下落

企業理念

ビジネスモデル

自然資本

社会資本

ガバナンス

知的資本

人的資本

製造資本

財務資本

無形資産

有形

資産

ＥＳＧ要素

企業のミッション

タバコ製品等を通じて、消費者に至福の時を提供する

グローバル市場におけるタバコ製品の開発、製造、販売

無形資産に対する投資戦略資本の配分中期経営戦略の見立て

イノベーションを通じた新しいタバコ製品や事業を創出⇒ 有害物質低減化・健康志向⇒ 次世代型製品の開発

投資戦略の方向性

イノベーション投資 健康配慮型タバコの市場創出 電子タバコの市場創出

投資対効果/投資回収の見立て• 既存タバコ製品に対する新規技術の応用• 新たな市場の創出・獲得

イノベーション&成長市場次世代タバコ製品の改良

価値創造のプロセス・サイクル（まとめ）

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

4

２．投資対効果、その他事項の考慮

出所：British American Tobacco、 Investor Day 2015, Industry & Environment Overview 等を元に作成

１.イノベーション投資ケース 英国 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

投資家に対するコミュニケーション

イノベーション投資の投資対象次世代製品（ＮＧＰ）である電子タバコ市場の成長性と大きなポテンシャルを認識し、この事業領域に対して積極的に投資していく姿勢が発信されている

イノベーション投資の方向性電子タバコ市場に対する包括的な投資プランの概要について示されている

投資家向けプレゼンテーション資料より

投資家向けプレゼンテーション資料より

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

5

２．投資対効果、その他事項の考慮

3. 中長期経営戦略の見立て2. 企業を取りまく環境の評価1. 根本にある企業理念

医薬品メーカーとしての企業理念“革新的な医薬品を研究・開発、製造し、世界中の患者へ届ける”

医薬品売上の堅調な成長過去５年間、ＣＡＧＲが２桁の高い成長力を継続

糖尿病・肥満用医薬品に関わる新規技術の研究活動に注力

糖尿病・肥満等領域の新規医薬品の開発に注力

市場規模は成長が見込まれるものの、新たな競合企業の参入の動きも見られる

拡大市場におけるトップ企業のプレゼンスを維持する

研究開発に対する継続的注力

知財ポートフォリオの拡充

出所：Novo Nordisk, Annual Report 2015、Investor Presentation Full year 2015 等を元に作成

２.研究開発投資ケース デンマーク ノボノルディスク

糖尿病・肥満等領域のマーケット・リーダーのポジション維持

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新興国を含め、糖尿病や肥満となる患者数が拡大しており、インスリンをはじめとした各医薬品の世界的な市場が成長している

糖尿病患者・肥満の拡大

成長市場へ新規競合参入成長市場を求め、糖尿病領域に他社が参入し始めている、または参入を検討している

特許等の知的財産の拡充として、関連領域における知的財産ポートフォリオの堅牢度を高め、自社の競争力向上と参入障壁の強化を図る

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

6

２．投資対効果、その他事項の考慮

6. 投資回収の見込み5. 投資の形態4. 投資戦略の方向性

高品質で競争力の高い医薬品を生むための投資を国内外で実施していく

Ｄ

オーガニックな研究開発の推進

• 糖尿病・肥満用の医薬品の新規技術の研究活動に対して、積極的に投資し、社内からパイプラインを構築できる体制を採る

オープンイノベーションによる外部知識の活用

• 大学等の教育研究機関との連携• 社外ベンチャーに対する支援（例 金銭支援、技術支援、

人的支援、施設の開放等）

研究開発投資

基礎研究の実施

臨床試験の実施

治験の実施

ライセンスの取得・更新

特許申請・更新

連携先パートナーに対する研究開発支援 等

具体的には、企業の境界線を越えた、基礎研究・治験の実施や、特許取得の加速

パイプラインを整備、高利益率の医薬品を供給し続け、将来的な収益源を維持・拡大するパイプライン整備による市場への供給力の確保足元から数か月先といった短い時間軸のみならず、10年超の中長期的な時間軸による、様々なプロダクトラインのパイプラインの整備、常に収益に繋がりうる製品の供給力を堅持競争力の高い医薬品によるリターンの確保

既存の利益率の高い医薬品に加え、競争力の高い医薬品をローンチし続けることにより、高い収益率を維持

２.研究開発投資ケース デンマーク ノボノルディスク

出所：Novo Nordisk, Annual Report 2015、Investor Presentation Full year 2015 等を元に作成

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

7

２．投資対効果、その他事項の考慮

長期的な価値創造

企業理念

ビジネスモデル

企業理念

ビジネスモデル

環境要素

環境

糖尿病患者・肥満の拡大医薬品売上の堅調な成長成長市場へ新規競合参入

企業理念

ビジネスモデル

自然資本

社会資本

ガバナンス

知的資本

人的資本

製造資本

財務資本

無形資産

有形

資産

ＥＳＧ要素

企業のミッション

革新的な医薬品を研究・開発、製造し、世界中の患者へ届ける

糖尿病用医薬品等の医薬品の研究開発、開発、製造、販売

無形資産に対する投資戦略資本の配分中期経営戦略の見立て

糖尿病・肥満等領域のリーダー・ポジションの維持⇒ 研究開発に対する継続的注力⇒ 知財ポートフォリオの拡充

投資戦略の方向性

企業の境界線に縛られない研究開発投資 基礎研究 臨床試験 治験

ライセンスの取得・更新 特許申請・更新 パートナー支援 等

投資対効果/投資回収の見立て• パイプライン整備による市場への供給力の確保• 競争力の高い医薬品によるリターンの確保

価値創造のプロセス・サイクル（まとめ）

２.研究開発投資ケース デンマーク ノボノルディスク

オーガニックな研究開発の推進 オープンイノベーション

による外部知識の活用

出所：Novo Nordisk, Annual Report 2015、Investor Presentation Full year 2015 等を元に作成

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

8

２．投資対効果、その他事項の考慮

出所：Novo Nordisk, Annual Report 2015、Investor Presentation Full year 2015 等を元に作成

投資家に対するコミュニケーション

アニュアルレポート2015 より

２.研究開発投資ケース デンマーク ノボノルディスク

アニュアルレポート2015 より

研究開発投資の進捗状況・計画研究開発投資の成果として、主要事業である糖尿病用医薬品等のパイプライン、研究開発の進捗状況、申請の状況について報告されている

研究開発投資の進捗状況・計画研究開発投資の成果として、企業理念にも掲げられている「ノボノルディスクの医薬品がリーチした患者数」の進捗について報告されている

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

9

２．投資対効果、その他事項の考慮

3. 中長期経営戦略の見立て2. 企業を取りまく環境の評価1. 根本にある企業理念

Ｓ

小売業者としての企業理念“消費者が送る日常生活を豊かなものに”

関連リスクの拡大店舗管理やサプライチェーン管理に社会的注目が集まっており、リスク管理の観点から重要性が増している

単なるモノやサービスだけでなく、総合的な顧客経験や顧客満足度が重要になっている

顧客経験の追究

絶え間なく各国市場で競合が参入・撤退をする中、他の小売との差別化が必須

激化する小売業界競争

競争環境の激化に加え、事業に対する消費者や社会の目が厳しくなっている

３.人材への投資ケース 英国 マークス＆スペンサー

人材を「核」とした高次元の顧客経験・満足度を実現する

人材を「核」とする顧客経験と顧客満足度の最大化

顧客サービスの高品質化 顧客が体感するサービスの品質を高め、卓越した顧客経験と顧客満足度を実現するリスク管理体制の強化

（リスク・カルチャーの醸成） レピュテーショナルリスクを含む、総合的なリスク管理を強化することで、人材管理や顧客が注目するサプライチェーン管理におけるリスクの顕在化を回避できる組織風土を創る

中長期的な価値創造のため、人材に加え、顧客やサプライヤーとの関係構築が必須

次頁へ出所：Marks & Spencer Group、Annual Report 2015, Strategic Report & Supplementary Information 2015、PLAN A 2020等を元に作成

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

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２．投資対効果、その他事項の考慮

6. 投資回収の見込み5. 投資の形態4. 投資戦略の方向性

顧客経験や顧客満足度の礎となる人材の能力、職務満足度、定着率の向上に向けて投資

Ｄ

有能な人材の獲得に繋がる選考方法の導入

• 顧客に接点を持つ人材の品質向上のため、採用の段階から、選りすぐりの人材を採用する

人材やサプライヤー等、多様なステークホルダーの育成

• サプライヤー等のステークホルダーに向けたキャパシティービルディング

人材に対する投資 有能な人材獲得を効率的に行うため、候補者の能力や人間性を選考段階で評価・峻別するタレント・スクリーニングを導入

マークス&スペンサーの経営管理者や人材、およびサプライヤーに対して研修・トレーニング等を提供し、能力を向上

サプライチェーンに関わる30か国で労務環境をチェック、問題点を改善に繋げて、サプライチェーン上のステークホルダーの満足度と定着率を向上

企業の境界線を越えて、人材マネジメント・サイクルにフォーカスし、積極的な人材投資を実施

有能な人材の拡大・定着によって、競争力の源泉である顧客経験に対する訴求力を維持人材力を核とする小売業としての競争力の向上

小売業者としての競争力を支える人材が拡大・定着することにより、中長期に渡り、高い顧客経験を提供できる体制を維持・強化する

企業価値の毀損の防止（レピュテーショナルリスクや風評被害の予防・回避）

顧客と接点を持つ人材、およびサプライチェーン上の不手際により、社会の信頼を損ない財務的なインパクトも莫大になりうるレピュテーショナルリスクや風評の防止に繋がる

３.人材への投資ケース 英国 マークス＆スペンサー

人材の職務満足度の改善定着率の改善に向けた取組み• サプライチェーン上のステークホルダーにおける人材の労務環境をモニタリング、評価・改善

出所：Marks & Spencer Group、Annual Report 2015, Strategic Report & Supplementary Information 2015、PLAN A 2020等を元に作成

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

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２．投資対効果、その他事項の考慮

長期的な価値創造

企業理念

ビジネスモデル

企業理念

ビジネスモデル

環境要素

環境激化する小売業界競争顧客経験の追究レピュテーショナルリスクや風評リスクの拡大

企業理念

ビジネスモデル

自然資本

社会資本

ガバナンス

知的資本

人的資本

製造資本

財務資本

無形資産

有形

資産

ＥＳＧ要素

企業のミッション

小売業を通じて、消費者が送る日常生活を豊かなものにすることに貢献する

自社開発製品を備え、グローバル市場に展開する小売業

資本の配分価値創造のプロセス・サイクル（まとめ）

３.人材への投資ケース 英国 マークス＆スペンサー

無形資産に対する投資戦略

中期経営戦略の見立て人材を「核」とする顧客経験と顧客満足度の最大化⇒ 顧客サービスの高品質化 ⇒ リスク管理体制の強化

投資戦略の方向性

企業の境界線に縛られない人材への投資 人材獲得の効率化に向けた選考システムの導入 経営管理者、人材、サプライヤーに対する人材育成 満足度・定着率の向上、労務環境チェック体制の構築

投資対効果/投資回収の見立て• 人材力を核とする小売業としての競争力の向上• 企業価値の毀損の防止

人材の職務満足度の改善人材の定着率の改善

人材やサプライヤー等、多様なステークホルダーの育成

有能な人材の獲得に繋がる選考方法の導入

出所：Marks & Spencer Group、Annual Report 2015, Strategic Report & Supplementary Information 2015、PLAN A 2020等を元に作成

無形資産に対する投資（人材への投資、研究開発・イノベーション投資等）の事例

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２．投資対効果、その他事項の考慮

出所：Marks & Spencer Group、Annual Report 2015, Strategic Report & Supplementary Information 2015、Plan A 2020、Good World Solutions等を元に作成

投資家向けプレゼンテーション資料より

Good World Solutionsプレスリリースより

投資家に対するコミュニケーション

３.人材への投資ケース 英国 マークス＆スペンサー

人材への投資の進捗報告投資家に対して、人材への投資として実施している様々なキャパシティービルディングの取組みの実施状況を公表労務管理システムの導入世界各国のサプライチェーンに関わる人材の満足度と定着率向上に向け、携帯電話を用いた労務管理システムに投資