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20170402 クルーグマン国際経済学

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Page 1: 20170402 クルーグマン国際経済学

第1回クルーグマン国際経済学勉強会第 1章 はじめに第 2章 世界貿易の外観

2017/04/02(日 )FED事務局

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自己紹介• お名前• ご所属 (可能な範囲で )• 本勉強会に参加したきっかけ及び本勉強会で学びたいこと

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目次第 1章 はじめに第 2章 世界貿易の外観第 3章 労働生産性と比較優位第 4章 特殊要素と所得分配第 5章 資源と貿易:ヘクシャー =オリーン・モデル第 6章 標準貿易モデル第 7章 規模の外部経済と生産の国際立地第 8章 グルーバル経済の企業:輸出判断、アウトソーシング、多国籍企業第 9章 貿易政策のツール第 10章 貿易政策の政治経済第 11章 発展途上国の貿易政策第 12章 貿易政策をめぐる論争

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国際貿易の重要性• 輸出も輸入も長期的には上昇トレンドにある。国際貿易は経済全体に比べ、重要性がざっと3倍に増えている。→各国の資本市場のつながりが高まっている。• 国際経済関係はアメリカにとって重要だが、他の国にとってはもっと重要だ。アメリカは、その規模と資源の多様性のおかげで、他のほとんどの国よりも貿易依存が低い。

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図 1.1 アメリカ国民所得の比率で示した輸出と輸入 図 1.2 2011年における輸出入の国民所得比

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日本における輸出入の GDP比

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1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

純輸出輸出輸入

出所:内閣府http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html

GDPに占める割合

• 日本における GDPに占める輸出入の割合はリーマンショック時に一時落ち込むも最近は増加傾向にある。直近で下がっているのは原油価格の下落のため。• GDPに占める輸出入の割合は 30%〜 35%前後で、アメリカよりも高い。

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国際経済学7つのテーマ1. 貿易の利益2. 貿易のパターン3. どのくらい貿易するのがいいのか?4. 国際収支5. 為替レートの決定要因6. 国際政策協調7. 国際資本市場

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1.貿易の利益• 国際経済学全ての中で、最も重要な洞察は、「貿易から利益が得られる」ということである。• 貿易の原因

– [3章 ]片方の国があらゆるものの生産で効率が高く、効率性の低い国が低賃金でしか競争できない場合ですら、貿易は双方の国に利益をもたらす– [5章 ]貿易は、地元に沢山ある資源を多めに使って製造される財を輸出し、地元にあまりない資源を沢山使う製品を輸入することで、便益をもたらす

• 国際移民と国際的な資金の貸し借りも相互に便益のある貿易の一種である。– [4章 ]労働と財やサービスとの貿易– [6章 ]現在の財を将来の財の約束と引き換えに取引する– [20章 ]株や債券などのリスク資産の国際的なやりとりは、各国ともその富を分散化し、所得の変動を減らすことで全ての国に利益をもたらす

• [4章〜 6章 ]国は通常、国際貿易で利益を得るが、国際貿易がその国の中で特定の集団に損害を与えることは十分にあり得る。– 国際貿易は所得分配に大きく影響する。

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2.貿易のパターン• 国際貿易のパターン(誰が何を誰に対して売るのか?)– [3章 ]労働生産性の国際的な差異に基づく貿易の説明– [5章 ]資本、労働、土地といったその国の資源の相対的な供給と、そうした資源要素が各種の財にどれだけ使われるかについての相互作用と貿易パターンに結びつけるもの– [7章、 8章 ]ランダムな要素や規模の経済が国際貿易のパターンに影響する

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3.どのぐらい貿易をするのがいいのか?• 「どれだけの貿易を許容すべきか」というのは、最も重要な政策的テーマの一つ。• [4章、5章 ]貿易は通常は各国の国内で極めて強い所得分配効果を持つことを示す。• [9章、 10章 ]政府介入が経済にとって良い影響をもたらす場合を見極める費用便益分析のフレームワークを導入する。• [10章〜 12章 ]国際貿易についての政策決定要因としては、国全体としての各種利益指標よりは、国内の各種利益団体の相対的な力関係の方が大きいことを明らかにする。

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保護主義的な政策の影響の分析→通常は保護主義を批判して、国際貿易の自由化による長所を示してきた。

1990年代自由貿易は繁栄のための力というだけでなく、世界平和促進の大きな力でもあるという見方が出てきた。

「グローバル化」に反対する国際政治運動が多くの支持者を得るようになってきた。反グローバル化運動は自由貿易主義者に対し、自分たちの見方の新しい説明方法を探すように矯正した。

保護貿易と自由貿易の議論の変遷

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4.国際収支• 貿易黒字は良いことで、貿易赤字は悪いことのなのだろうか?

– 1998年の韓国の貿易黒字は経済金融危機により押し付けられたものであり、そんな黒字を出さなければならなかったことを韓国人は大いに恨んでいた。• 国際収支の意味を理解する。

– [8章 ]多国籍企業の海外直接投資を論じる場合– [13章 ]国際取引を国民所得勘定に関連づける場合– [17章〜 22章 ]国際金融政策のほぼあらゆる文脈を論じる場合

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5.為替レートの決定要因• 国際経済学と他の経済学分野との大きな違い→各国が通常は自国の通貨を持っているという点• 現代経済史の大半を通じて、為替レートは市場で決まるのではなく、政府行動で固定されていた。

– 第一次世界大戦前:ほとんどの通貨価値は、金を基準に固定されていた。– 第二次世界大戦後の一世代:ほとんどの通貨の価値は、米ドルを基準に固定されていた。

• 為替レートの決定要因– [14章〜 17章 ]変動為替レートの現代理論– [18章 ]国定レートシステムの仕組み– [19章 ]別の為替レートシステムの歴史的なパフォーマンス– [21章 ]ヨーロッパ通貨連合などの通貨圏の経済学

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6.国際政策協調• 国際経済学の根本的な問題→各国にあれこれ命令できる世界政府がない中で、各国の国際貿易や金融政策の間に容認できる程度の調和を生み出すにはどうしたらいいかを決めること。• [9章 ]GATT→WTOの仕組みの根拠について学ぶ。また、世界経済の中で国際貿易に関する今のルールが今後生き残れるか、あるいは生き残るべきかについて考える。• [19章 ]国際貿易政策についての協力は十分に確立した伝統だが、これに対して国際マクロ経済政策の協調はもっと新しく、もっと不確実性の高い話題である。国際マクロ協調政策とその経験の深まりを振り返る。

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7.国際資本市場• 国際資本市場と国内資本市場の違い

– 多くの国が外国投資にかける特別な規制に対応しなくてはならない。また、国内市場の規制を回避する機会を与えたりもする。• 国際資本市場の特別なリスク

– 通貨変動– 国のデフォルトリスク

• 国際資本市場の重要性の増大とそこから生じる新たな問題– [20章 ]グローバル資産市場の仕組み– [22章 ]発展途上国の外貨借入

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国際経済学:貿易と金融

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貿易 金融

Focus

Examplesof Issue

Part第 1部国際貿易理論第 2部国際貿易政策

第 3部為替レートと開放経済マクロ経済学第 4部国際マクロ経済政策実物取引物理的な財の移動や経済リソースの実体的なコミット

金融側米ドルを外国が買ったりするような金融取引の話

ヨーロッパの補助金付き農業製品輸出をめぐるアメリカとヨーロッパの紛争

ドルの外国為替価値が自由に変動していいのか、それとも政府の行動によって安定させた方がいいのか

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国際経済学の分析対象

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householdhouseholdhousehold

household

company

companycompany

company

householdhouseholdhousehold

household

company

companycompany

company

国 国

国際経済学では、国家間による貿易や資金の動きを分析する。

財やサービスの貿易

資金の流れ

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ディスカッションテーマ以下の国際経済学の7つのテーマで最も興味がある分野はどれになりますか?1. 貿易の利益2. 貿易のパターン3. どのくらい貿易するのがいいのか?4. 国際収支5. 為替レートの決定要因6. 国際政策協調7. 国際資本市場

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目次第 1章 はじめに第 2章 世界貿易の外観第 3章 労働生産性と比較優位第 4章 特殊要素と所得分配第 5章 資源と貿易:ヘクシャー =オリーン・モデル第 6章 標準貿易モデル第 7章 規模の外部経済と生産の国際立地第 8章 グルーバル経済の企業:輸出判断、アウトソーシング、多国籍企業第 9章 貿易政策のツール第 10章 貿易政策の政治経済第 11章 発展途上国の貿易政策第 12章 貿易政策をめぐる論争

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誰が誰と貿易をするのか (アメリカ )

EU

中国カナダメキシコ日本ドイツ韓国

イギリスフランスインド台湾

イタリアスイスオランダブラジル

アイルランド

0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000

(単位: 100万ドル )アメリカの主要相手国との貿易 (2016年 )

• ドイツ、イギリス、フランスが他のヨーロッパの国よりもアメリカと貿易が多い。→3カ国の GDPはヨーロッパ内で最も大きい→国の経済規模と輸出や輸入量との間には強い相関がある。

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ヨーロッパ各国経済の規模と対米貿易額• ドイツ:西ヨーロッパの GDPの 20%をしめる。また、アメリカと西ヨーロッパとの貿易の中でも 24%を占める。• スウェーデン:ヨーロッパ GDPの 3.2%しか占めていなく、このことに応じてアメリカヨーロッパの貿易の中でも 2.3%にしかなっていない。

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日本との貿易国

中国米国韓国台湾タイ

オーストラリアドイツ香港

インドネシアマレーシア

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000

(単位:億円)

• 日本との貿易国は 1位が中国、 2位が米国、そして、 3位が韓国となっており、貿易量は貿易国の GDPと距離に相関を持っているようだ。

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規模が大事:重力モデル• 国の経済規模とその輸出や輸入の量との間には強い実証的な関係がある。

:i国と j国の貿易額 :i国の GDP :j国の GDP :2国間の距離

• 規模の大きい経済は所得が高いので、輸入に使うお金も多くなる。また、多様な製品を作るから、他の国の支出のうち集める割合も大きい。→他の条件が同じならば、違う経済どうしの貿易は、どちらかの経済が大きければ、それだけ大きくなる。21

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貿易を阻害するもの:距離、障壁、国境• 貿易協定は国同士の公式な貿易障壁をなくすとはいえ、それで国境が全く関係なくなることはない。→カナダの各州がお互いに行う取引とアメリカの州を相手に行う取引を比べると、他の条件が同じならば、自国内の州との取引の方がアメリカの州との取引よりも多い。• カナダとアメリカの国境は世界で最も解放された国境の一つなのに、貿易をかなり阻害するものになっている。経済学者達の計算では、両国がまるで、 2,400キロから 4,000キロも離れているのと同じ抑止効果を持っているとしている。• 国境はなぜこれほど大きなマイナス効果を持っているのか?→21章のテーマ。

カナダの州貿易 (対 GDP

比 )貿易 (対 GDP

比 )BC州からほぼ同距離の州

アルバータ州 6.9 2.6 ワシントン州サスカワチュワン州 2.4 1.0 モンタナ州マニトバ州 2.0 0.3 カリフォルニア州オンタリオ州 1.9 0.2 オハイオ州ケベック州 1.4 0.1 ニューヨーク州ニューブランズ州 2.3 0.2 メイン州

ブリティッシュコロンビア州との貿易、対 GDP比

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国境貿易量と距離• カナダとメキシコは同じ規模のヨーロッパ経済と比べてもアメリカとの貿易がはるかに多い。→主要な理由の一つは、カナダとアメリカの方が距離がずっと近いから。• 一般的な推計だと、 2国間の距離が 1%増えると、両国の貿易は 0.7〜 1%くらい低下する。• カナダとメキシコは、アメリカの隣国というだけでなく、アメリカとの貿易協定、北米自由貿易協定の (NAFTA)の参加国でもある。

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世界貿易のパターンの変化

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• 輸送、通信、インターネットの発達で、貿易量と距離との間の負の相関は小さくなったのだろうか。→答えはイエス。• 世界貿易は第一次世界大戦に続く数十年に激増したが、その後、戦争と保護主義で激減した。グローバル化が第1次世界大戦時の水準に戻ったのは、

1970年代初頭になってから。• その後は、世界生産に占める世界貿易は空前の水準までに増えている。世界貿易の価値の上場は、大半が生産のいわゆる「水平分業」と呼ばれるものの繁栄と言える。

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何を貿易するのだろう

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製造業製品 ; 53%サービス ; 20%

農産物 ; 8%

燃料工業産品 ;

19%

図 2.6 世界貿易の構成 (2011年 )

• 世界全体を見ると、国同士では、自動車、コンピューター、衣服などの工業製品をお互いに輸出しあっている。• サービスの輸出は伝統的な航空会社や海運企業の料金や、外国人から受け取る保険料、外国観光客の支出等を含む。最近では、コールセンターやヘルプセンターが台頭してきている。• 一方で、過去には一次産品が重要な役割を果たしていた。 20世紀初頭のイギリスは、輸出は輸入は主に一次産品だった。(表 2.2)• もっと最近の変化としては、第三世界が製造業財の輸出を伸ばしてきたことが挙げられる。

• 第三世界という用語と発展途上国という用語は、世界の貧困国を指すもので、多くは第2次世界大戦前にはヨーロッパの植民地だった。図 2.7 発展途上国の輸出入品構成の変化

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サービスのオフショア化

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非貿易財 ; 60%

公共行政 ; 2%

その他サービス ; 1%

個人サービス ; 2%

教育 /保健 ; 0% 専門サービス ; 14%

小売 /卸 ; 7%

製造業 ; 12%鉱物、公共サービス、建設 ;

1%

• 今の国際経済学でいちばん熱い論争の一つは、長距離で各種の軽座機能を実行できるようにしてくれる情報技術が、新しい形の国際貿易を大幅に増やすかどうかというものである。• これまである国の中で行っていたサービスが外国に移されると、この変化は「サービスのオフショア化 (サービスのアウトソーシング化 )」と呼ばれる。• アラン・ブラインダー「将来は、国際貿易での主要な区別というのは、『箱詰めできるもの』と『そうではないもの』ではなくなる。むしろ、電子的に長距離から、品質の劣化なしに提供できるサービスと、そうでないサービスとの区別になるだろう。」

• その場にいる必要がある:棚の補充を行なうもの、看護師• その場にいる必要がない:経理を行なうもの、レントゲン写真を読んでくれるレントゲン医師

• 図 2. 8:アメリカの雇用の 60%は、顧客の近くで実施する必要がある仕事で貿易はできない。他方、貿易できる4割に属する仕事は、製造業色よりはサービス雇用の方が多い。→世界貿易に占める製造業の圧倒的なシェアは一時的かもしれない。長期的には電子的に配信されるサービスの方が世界貿易の中身として一番重要になるのかもしれない。

図 2.8 貿易産業の雇用シェア

金融サービスソフトウェア検索サービス

ニューヨークシアトルカリフォルニア

アメリカにおける長距離サービスサービス 都市

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古い法則は今でも使えるのか• 国際貿易の多くは変わったが、経済学者達が発見した基本的な原理は今でも当てはまる。• 一世紀前は各国の輸出は明らかにその国の気候と天然資源でほとんど決まっていた。• 他方、現在は人的資源や人間の作り出す資源 (機会などの資本 )の方が天然資源より重要。→貿易をめぐる政治的な争いは、輸入によって技能の価値が下がった労働者たちをめぐるものとなった。

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ディスカッションテーマ 2

• (2.1)式によれば、2カ国間の貿易は全て GDPの積に比例する。すると世界のあらゆる国の GDPが倍になったら、世界貿易は4倍になるということだろうか?• Equation(2.1)  says that trade between any two countries is

proportional to the products of their GDPs. Does this mean that if the GDP of every country in the world doubles, world trade quadruple?

• 一世紀前には、ほとんどのイギリス輸入品はかなり遠い場所から来ていた。北米、南米、アジアだ。今日では、ほとんどのイギリスの輸入品は他のヨーロッパ諸国から来ている。これは、世界貿易を構成する財の種類の変化という話にどう当てはまるだろうか?

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