Upload
waocat
View
269
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
オークションのデザイン
単一財オークション
単一財オークション
公開入札型
イングリッシュオークション
ダッチオークション
封印入札型
First price auction
Second price auction
「オークションに完璧なものは無い」
● “ よい”オークションのためには、談合や価格操作といった不正行為を阻止する必要性がある。しかしその対策も万能ではない。
●例)●電子入札:電子署名、証明書、チェック体制に不安。 匿名入札が容易。
●インターネットオークション :売り手が買い手に成り済まし、値段とつり上げる可能性が
ある。
では、望ましいオークションの性質とは?●耐戦略性と効率性 ・オークションが戦略的 →自身の評価額を正直に入札することが弱支配戦略。 ・オークションが効率的 →最も高い価値を見積もっている入札者が落札できる。 *弱支配戦略 →あるプレイヤーにとって、他のプレイヤーがどのような 戦略をとったとしても、他の戦略よりも同等以上の利益 を得る事が出来る戦略。
第二価格オークション:戦略性
●第二価格オークションは、自身の評価額をそのまま入札する事が、どのプレイヤーにとっても最適な行動。
●プレイヤーにとって、自分の評価額を入札する事が弱支配戦略になっていて、耐戦略性を満たしている事が分かる。
第二価格オークション:効率性
●オークションの効率性は社会的厚生で測定。社会的厚生はオークションの売り手と入札者の利益の合計で求める。
→図1へ
●結論 評価額が高い入札者2が落札した方が社会的厚生は高い。
よって最も高い評価額を持つ人が落札するオークションが
効率的なオークション。第二価格オークションでは自分の
評価額を入札者するのが弱支配戦略なので、最も評価額が
高い入札者が落札できる。つまり第二価格オークションは
効率性を満たしている。
第二価格オークション:図1●条件:売り手評価額2 入札者1の評価額4
入札者2の評価額8
●入札者1が4、入札者2が3で入札した場合 →この時の落札者は1、支払額は3より
入札者1の利益は(4-3)=1
入札者2の利益は取引が無いので0
売り手の利益は(3-2)=1
この時の社会的厚生は(1+0+1)=2
第二価格オークション:図1
●入札者が弱支配戦略を選んだ場合。 つまり入札者1は4、入札者2は8で入札する。
→この時落札者は2で、支払額は4より
入札者1の利益は取引が無いので0
入札者2の利益は(8-4)=4
売り手の利益は(4-2)=2
したがって社会的厚生は(4+2+0)=6
キーワードオークション●キーワードオークションとは検索連動型広告と呼ばれるインターネットの広告の広告枠を取引するオークション。
●検索連動型広告では、クリックされた回数に応じて広告料を支払うペイ・パー・クリック方式を採用。また、広告に誘導されたターゲットの内、実際に商品を購入したりサービスの登録をした人の割合をコンバージョンレートと言い、キーワードオークションではコンバージョンレートから算出されるワンクリックあたりに見積もられる広告効果が評価額となっている。
検索連動型広告
キーワードオークション●一定期間内に、どれくらい広告がクリックされるかという指標を期待クリック回数、またはクリック・スルー・レイト( CTR)と呼ぶ。一般的に CTRは画面上部の枠の方が多く、下に行くにつれて減る傾向にある。
→つまり、広告評価額の高い入札者は画面上部の枠を落札
したいと考えている。
● 現在キーワードオークションにおいては、第二価格オークションを利用した、一般化第二価格オークション( GSP)が主に利用されている。
一般化第二価格オークション:正直入札
入札者 評価額 入札額 獲得CTR
広告効果 支払額 利得
1 10 10 100 10 ×100=1000
8 ×100=800
200
2 8 8 75 8 × 75=600
2 × 75=150
450
3 2 2 50 2 × 50=100
0 100
一般化第二価格オークション:耐戦略性
●一般化第二価格オークションは耐戦略性を満たすか?
●答えは NO●GSPは、耐戦略性を満たさない。
一般化第二価格オークション:虚偽入札
入札者 評価額 入札額 獲得CTR
広告効果 支払額 利得
1 10 7 75 10 × 75=750
2 × 75=150
600
2 8 8 100 8 ×100=800
7 ×100=700
100
3 2 2 50 2 × 50=100
0 100
負の外部性と第二価格オークション
●第二価格オークションを一般化した GSPでは耐戦略性が満たされていなかった。
●では耐戦略性が満たされる一般化の方法はどうすればいいか?
●落札金額を落札者が他者に与える負の外部性分にする。
*負の外部性とは、ある経済主体(ここでは入札者)の意思決
定が、他の経済主体の意思決定に影響を及ぼす事。
●耐戦略性をもつキーワードオークションは Vickrey-Clarke-Groves メカニズム( VCG)と呼ばれる。
負の外部性と第二価格オークション● スライド7の条件において負の外部性を考える。
入札者1が他者に与える負の外部性は…
→入札者1が市場に存在しないと仮定した時、入札結果に変わりは無い。
つまり入札者1の意思決定は他の経済主体(入札者2)には影響しない。
よって入札者1の負の外部性は0。
入札者2が他者(入札者2)に与える外部性は…
→入札者2が市場に存在しないと仮定した時、入札者結果は変動。
入札者2が存在しなければ、入札者1は価値4の財を入手。
つまり入札者2の意思決定が他の経済主体(入札者1)へと影響を与える。
この時入札者2の負の外部性は変動分の4。
(本来入手するはずの無かった財 つまり価値0が価値4へと変動した )、 。
キーワードオークションと負の外部性
●スライド12の条件における負の外部性を調べる。
●入札者2の負の外部性は…
→入札者2が市場に存在しないと仮定した時、入札者1には
影響なし。
入札者3はCTR75の枠を獲得できる様になる。
具体値は(75-50)×2=50
入札者2は、この負の外部性分である50を支払う。
●入札者1が与える影響も同様に求めると250.
入札者2はその影響分の250を支払う。
補足
●実際の計測結果では、GSPとVCGには大した差は存在していなかった。
●また収益の観点からもGSPとVCGの差は大きくない。
●結論 GSPの性能はVCGに劣る事は無く、キーワードオーク
ションにおいてGSPが導入された事は妥当であった。