｛伝える方法｝ネットのＨＰ，ブログ，市民講座や生涯学習センターの講演会等{伝えることによる効果、影響}　地酒の雑学を紹介し、その栄養や味に科学が深くかかわっていることを伝えることで、日本の優れた食文化と科学に興味を抱かせる

地酒を知る、味わう、楽しむために　～歴史的にも科学的にも甘酒は夏の飲み物？～

1. 甘酒の歴史甘酒の起源は古墳時代に遡り、日本書紀に甘酒の起源とされる天甜酒（あまのたむざけ）に関する記述がある。別名では「一夜酒（ひとよざけ）」とも呼ばれた。現在では甘酒は寒い冬(または春)に飲まれることが多いが、江戸時代には甘酒売りなる商売があって、甘酒は夏の飲み物として売られていた。俳句では、現在でも甘酒は夏の季語である。→エアコンも冷蔵庫もなかった時代なので、暑さのため病気になりやすく夏場は死亡率が非常に高かった。そんな過酷な夏を乗り切るために、庶民の間で好んで飲まれていたのが「甘酒」。　

2. 甘酒の作り方○簡略製法（現在の甘酒）酒粕を原料とする。→湯に酒粕を溶いて煮込み、砂糖を加えることで甘味を出す。現在ではこちらの製法が普通。○本格的製法（昔ながらの甘酒）米、米麹を原料とする。→日本酒と同様に米麹を用い、米の粥、または水分を多めに柔らかく炊いた飯を50 -60℃程度に保温し、1晩（10 - 12時間）程度かけて発酵させ、デンプンを糖化することで甘味を得る。古く「一夜酒（ひとよざけ）」と呼ばれたのはこの製法から来たもので、冬でないと酒を造れない酒蔵が夏の副業に手掛けていたともいう。

(一口メモ)　酒粕には若干のアルコールが含まれているため、現在の甘酒は微アルコール飲料。一方、糖をアルコール発酵していないので、昔ながらの甘酒はノンアルコール飲料。子供からお年寄りまで安心して飲める。

3. 甘酒の栄養昔ながらの甘酒は麹成分を抽出しているので、ブドウ糖、ビタミンB1、B2、B6、ビオチン、必須アミノ酸を豊富に含む。さらに、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害物質、アスペラチン、麹酸、食物繊維、オリゴ糖なども含む。→滋養豊富な栄養ドリンクであり、疲労回復効果がある。さらに、血圧の安定、抗ガン作用、美肌効果、整腸作用もある。

（問題） 甘酒の栄養バランスは、病院でよく行われる○○と似ているため、「飲む○○」とも呼ばれる。それは何か？

4.　昔ながらの甘酒の楽しみ方○氷を浮かべてオンザロック。あるいは水割り。○ レモン割り甘酒カップ一杯にレモンなどの柑橘系果物汁を大さじ１杯加える。○ ミルク割り平安時代には甘酒の牛乳割りが、はやった様子。これが“醍醐（＝最上の美味なる物）”という意味で「醍醐味」という言葉の由来にもなっている。まろやかでコクのある、例えて言えば、和風ヨーグルトのような味わい。

５．　現在の甘酒ｖｓ．昔ながらの甘酒、味の違いを化学する化学的に考えると、砂糖vs. ｛ブドウ糖、オリゴ糖、＋アミノ酸｝の違い。つまり、現在の甘酒：　砂糖による、クセのある単調的な甘さ昔ながらの甘酒：　ブドウ糖とオリゴ糖のまろやかな甘さに、アミノ酸のうまみ

が加わった複合的な甘さ

●各糖類の特徴砂糖：　　　ブドウ糖と果糖からなる２糖類。

ブドウ糖：　砂糖の構成成分。砂糖より甘味が弱く(15～40%)、さらっとした甘さ。ぶどう、バナナ、蜂蜜などにも含まれている。

オリゴ糖：　砂糖に果糖を結合させた３～５糖類の混合物。砂糖より甘味が弱く(20～50%)、クセの無いまろやかな甘さ。玉ねぎ、大豆、バナナ、蜂蜜などにも含まれている。ビフィズス菌などの善玉菌のエサになるので、おなかの調子を整えるのに役立つ。

６．昔ながらの甘酒の入手法○ 酒蔵、酒屋から直接またはネットで購入。　例えば、東北で有名な酒蔵 一の｢蔵 からは以下から購入可能。復興支援にもなって一石二鳥。｣

http://www.ichinokura.co.jp/syohin/k/amazake.html○ 料理好きなら炊飯ジャーで作る事もできる。　

http://allabout.co.jp/gm/gc/22495/