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電子出版協会の旗揚げ前夜の状況
• パソコンの登場(Apple Ⅰ 1976)
• JIS 第一水準、第二水準制定(1978)
• 東芝、漢字かな文字変換日本語ワープロIW-10開発(1978)
• 音楽CD(レッドブック1982)
• データベース業が成立(1981日経「NEEDS-IR」全国サービス開始) サーチャーという職業が登場
• ファミリーコンピュータ(1983)
• キャプテン・システム運用開始(ビデオテックス 1984)
• CD-ROMの登場(イエローブック〈1985〉・ハイシェラフォーマット〈1986〉・ISO9660〈1988〉)
• アルダス「PageMaker」発売(DTPソフト1986)
日本電子出版協会の設立
• 1986.7 発起人会
• 1986.9 設立総会
• 出版社22社・会長 前田完治(三修社社長・故人)
• 設立趣意書
• 出版のサバイバル
• 出版・印刷・ハードメーカー・ソフトメーカーが協力
設立趣意書
• 『日本電子出版協会』設立の趣旨
• 出版業界及び関連業界は、本格的な情報化社会を迎えて、従来の情報産業の主役としての地位をいかに固守すべきかに戸惑っている。前例のない未踏情報化社会に対応する鍵は何か、業界全体の見通しは不透明で、むしろメディアとしての危機感が強い。
• いまや、出版業及び関連業界の急務はニューメディアに対しての明確な概念の確立と実態の把握にあると言えよう。
• 出版業界及び関連業界人は、かつて集積した情報量や収集・加工の技術と能力をいかに新時代に生かし、サバイバルの方途を探るかを真剣に考えなければならない時期だといっても過言ではない。
• 幸い、ニューメディアシステム発達の過程で、欠くべからざる要素は、出版業界及び関連業界に集積された情報量を生かすソフトウェアの開発であると考えられている。
• 出版業界及び関連業界が新情報社会に対応すべく、業界内はもちろん、コンピュータを中心とするハード及びソフトの関係者と、より緊密に情報の交換を行い、各々のその立場を守りつつ、研鑽し合いながら将来の展望を考え、かつ、具体的な行動を起こすことは時代の要請であろう。
• 以上の認識に基づいて『日本電子出版協会』は、新しい情報社会に対応する新しい需要を喚起し、それに相応しい流通を整備して、情報の付加価値創造の方途を探ることを目指すものである。
昭和61年9月12日
日本電子出版協会設立発起人会
CD-ROMの夢
• 音楽CD(レッドブック1980)
• CD-ROM(イエローブック〈1985〉・ハイシェラフォーマット〈1986〉・ISO 9660〈1988〉)
• JEPA「日本語対応CD-ROM
論理書式の標準化案」(和同開珎 1988)
CD-ROMの夢 2
• CD-ROMに大きな期待
• CDがレコードから急速に移行した事例が直近にあった
• CD-ROMの利点
• 大容量(当時の記憶媒体=フロッピー250KBバイト程度)
• 低コストで量産可能(音楽CDのインフラが利用可能)
• CD-ROMの欠点
• 書き換え不可(データ集や出版物に向く)
• 本当の欠点はCD-ROMは「もの」だったこと • 流通は従前通り
• 初期ロット・販売拠点・在庫
CD-ROM辞書
• CD-ROM辞書 • 三修社 『最新科学技術用語辞典』(1985)
• 岩波書店 『電子広辞苑』(発表1986、発売1987)
• 三省堂『模範六法昭和62年版CD-ROM版』(1988)
• 自由国民社『現代用語の基礎知識CD-ROM版』(1988)
• …
• 電子ブック(1990)
• SONY
• 8センチCD-ROMの携帯型機器
• ロイヤリティー(¥100)問題
• 価格28,000円(印刷版の5倍)した 「電子広辞苑」はジュラルミンケース に入れられて発売された
コンソーシアム活動
• 「電子広辞苑」富士通・SONY・岩波・大日本印刷の共同開発 • WING規格として無料で使用可能(後に
EPWINGと名称変更)
• ビジネスの開発・推進母体としてコンソーシアムを作る
• 電子ブックコミッティ/EPWINGコンソーシアム
• SONY/富士通・出版社・取次・ハードメーカー・ソフトメーカー
• この二つのコンソーシアムが初期の日本の電子出版を育てた • エピソード 飲み会と電子出版界
電子ブック・EPWINGコンテンツ
• 多数のコンテンツが制作された • →「電子ブック全情報」〈ディジタルアシスト〉http://www.d-
assist.com/eblist/ebindex.html)
• 辞書・辞典だけではなく • 恋歌(俵万智の歌集) • 薬の事典(ソシム) • 部品で引ける「漢和辞典」 • ホームクリニック〔家庭の医学〕(主婦の友社) • その他クイズ・問題集などユニークなコンテンツが開発された
• 書店にマルチメディア・コーナーを設置・新聞広告
• 実際にはハードウェア・バンドルされた辞書以外は売れなかった
• エピソード「引くのに時間がかかるでしょ?」
電子辞書のその後
• ICフルコンテンツ辞書の登場(1992) • 研究社「新英和・和英辞典」・セイコー電子工業(TR-700)
• IC辞書の時代へ • 搭載辞書数競争
• 複数コンテンツ搭載辞書 • セイコー電子工業TR-9000 (『広辞苑』+『新英和・和英中辞典』 1995) • アスキー『辞・典・盤』(1996 岩波国語辞典、研究社新英和・新和 英中辞典、朝日新聞社知恵蔵、平凡社百科事典マイペディア)
• ケータイ辞書 • i-mode(1999) • 三省堂が辞書コンテンツを提供(月額50円)
• インターネットオンライン辞書 • 『WebDictionary 』(三省堂 2001)
• Wikipedia(2001) • ジャパンナレッジ(2001) • 無料辞書と広告モデル辞書
• スマホ辞書アプリ • iPhone大辞林(2009)
一世を風靡したマルチメディア
• マルチメディアとは? • 文字、映像、動画、音声+インタラクティブ性を生かしたコンテンツ
• CD-I CD-V CD-ROM XA CD-G…
• 名作もあるのだが • 『Hard Day’s Night』、『The Complete OZU』、『ルル』、『星の王子様』
…
• 現在ではごく当たり前の姿としてマルチメディアが実現されている
• 機能だけでは売れない、結局は中味
• 印刷本の電子化が盛んな現在、もう一度見直してみる必要あり • 『検視台のマリリンモンロー』
電子小説への歩み 1
•ボイジャージャパン(1992)エキスパンドブック
• NECデジタルブック(1993)
•電子書店パピレス(1995)
•新潮文庫の100冊(1995)
• PICTROM(1994)
•読書端末「Rocket eBook」(1998)
• T-Time(1998) XMDF(1999) .book(2000)
•青空文庫(1999)
•電子書籍コンソーシアム(1998)(実証実験1999)
電子小説への歩み 2
• i-mode(1999)
• 『Deep Love~アユの物語』(2000年 Yoshi-Zavun)
•文庫パブリ(2000)
• イーブックイニシアティブジャパン(2000)
•新潮ケータイ文庫(2002)
• リブリエ・Σブック(2004)
• Kindle発売・iPhone発売(2007)
• ePub3.0(2011)
•日本電子書籍出版社協会(2010)
読書端末
• NECデジタルブック(1993)
• 読書端末「Rocket eBook」(1998)
• i-mode(1999)
• リブリエ・Σブック(2004)
• Kindle発売・iPhone発売
(2007)
• リブリエ→Sony Reader→
EPUB 2.0→Kindle
• 読書端末からスマホ・タブレ
ットの時代へ
固定レイアウト
• 版面の画像化→そのまま配信
• コスト問題
• 複雑なレイアウト問題
• PICTROM(1994)
• 電子書籍コンソーシアム(1998)(実証実験1999) • イーブックイニシアティブジャパン(2000)
• ePubの固定レイアウト
• スマホのマンガ
• 雑誌サイト
• 何年か周期で固定レイアウトが出てくる
新潮ケータイ文庫とDeep Love
• i-modoによって生まれた電子小説
• Deep Love アユの物語(2000) • ZAVN http://www.zavn.net/
• ガラケーの勝手サイト
• 非出版社→印刷本(スターツ出版)
• 書籍化――4冊通算200万部!→映画化・TVドラマ化…
• 読者は10代の女性
• 新潮ケータイ文庫 (2002)
• Push型
• 連載・メール配信
• 月210円の会費制
• 書き下ろし小説・サドンデス小説
• 読者層は20代女性
ケータイ・マンガ
• これが電子書籍市場を立ち上げた
•狭い画面 • 原本を見せるか
• 演出して見せるか
• コマ単位に分割してマンガを見せる→demo
• 拡大できたりスクロールできる マンガから紙芝居として演出し たマンガへ
• スマホで本当にマンガが読める の?
• Comicoの挑戦
出版資産の活用事例
• 農文協『ルーラル図書館』 • 過去資産をまとめてWebコンテンツ化
• 有斐閣 YD1000
• 過去資産のXML化
• 医学書院 MedicalFinder
• バックナンバーの閲覧
黒船騒動
• アマゾンとグーグルの恐怖
• Amazon上陸(2000)
• Google Book Search(2004、2009)
• 攘夷運動が起こる(情報主権)
• 三省デジ懇 (デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会
2010)
• 交換フォーマット→結局ePubへ
• ePub日本語化提案(2010) • X4051→JLreq→JEPA EPUB日本語拡張案
• 縦書き・右開き・禁則・ルビ(圏点)・和欧混植・縦中横組
• 出版デジタル機構(2011)
著作権
• 1997(H9) • 自動公衆送信権・送信可能化権
• 1999(H11) • 技術的保護手段・管理情報保護
• 2009(H21) • 国会図書館における所蔵資料の電子化(複製)に係る権利制限
• 国立国会図書館法によるインターネット資料の収集のための複製
• 2012(H24) • いわゆる「写り込み」等に係る規定の整備
• 国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備
• 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備
• 違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の整備
• 2014(H26) • 電子書籍に対応した出版権の整備
• ? • フェアユース?
最後に
• 出版のサバイバルは実現できたのだろうか?
• 出版・印刷・ハードメーカー・ソフトメーカーが協力
• プレイヤーに「コンシューマ」を加える?
• 国内ではなく、グローバルに発信できることが必要
• 技術面よりも制度面が重要になってきている
• 電子図書館、電子教科書など
• 30年やってきて「こんなはずではなかった」と思うこと