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2 企画 図解入門 How-nual マーケティング・リサーチの実務は、まず企画を立てるこ とから始まります。したがって、調査を行うには、まず調査 企画書を書けるようになる必要があります。調査企画書は、 その後に行われる調査の方針を決める重要なもので、ここを 間違えるとその後の作業のすべてが無駄になってしまいかね ませんので、注意して作成しなければなりません。 ただし、調査企画書は、ある程度決まったフォーマットが ありますので、それさえ覚えておけば誰でも書けるようにな ります。そこで本章では、調査企画書がどのような項目で構 成され、その各項目を作成するにはどうすればいいのかを説 明していきます。 マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ23

図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本(4)

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2第 章

企画

図解入門How-nual

マーケティング・リサーチの実務は、まず企画を立てるこ

とから始まります。したがって、調査を行うには、まず調査

企画書を書けるようになる必要があります。調査企画書は、

その後に行われる調査の方針を決める重要なもので、ここを

間違えるとその後の作業のすべてが無駄になってしまいかね

ませんので、注意して作成しなければなりません。

ただし、調査企画書は、ある程度決まったフォーマットが

ありますので、それさえ覚えておけば誰でも書けるようにな

ります。そこで本章では、調査企画書がどのような項目で構

成され、その各項目を作成するにはどうすればいいのかを説

明していきます。

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ23

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第2章

企画

2-1 調査企画書の構成

2524

2-1調査企画書の構成調査企画書の構成調査企画書は、調査の4つのプロセスの内容や、スケジュール、費用をまとめたも

のです。

調査内容の確認書であり手引書

マーケティング・リサーチの実務は、「企画」「データ収集(実査、フィールドワー

ク)」「集計・分析」「報告書作成」の4段階で行われます。つまり、まず企画を立て、

次にその企画に沿ってデータを収集し、データが集まったら集計・分析して、結果

を報告書にまとめるという流れです。これを調査の起承転結と呼びます。

したがって、マーケティング・リサーチの仕事は、まず調査企画書*を作成するこ

とから始まります。言い換えれば、調査を行うには、調査企画書を書けるようにな

る必要があります。

リサーチャーにとって、調査報告書は、その後の具体的作業の手引書の役割を果

たします。と同時に、調査報告書は、依頼者とリサーチャーの間の合意事項の確認

書の役割をも果たします。したがって、後々の誤解やトラブルの元にならないよう

に、しっかりと具体的に記入されることが望まれます。

調査企画書の主な項目

具体的には、調査企画書に含まれる項目は、「タイトル」「調査の背景と目的」「調

査デザイン」「分析デザイン*」「調査費用とスケジュール」です。必要があれば全体

を1枚にまとめた「要約」や、代替方法の検討なども含めます。各項目の詳細につい

ては次節以降で説明しますので、ここではまず全体の構成を覚えてください。

なお、調査会社では、PowerPointやWordで、ビジュアルやカラーを効果的に

使った標準化されたフォーマットが用意されているので、それを使用したり、ある

いは過去の企画書を与えられ、内容を置き換えて、それと同じように作成するよう

に指示されることがあります。本書でもそれにならい、巻末資料A-1にある製品テ

ストの調査企画書を掲載していますので、そちらも参考にしてください。

*調査企画書 調査設計書や調査提案書、リサーチ・プロポーザルなどとも呼ばれます。調査デザインなど、本書の

企画書で使われている用語は、それぞれの企業で使用されているものに置き換えてください。

*分析デザイン 分析アプローチとも呼びます。

「調査企画書」の構成

さらに、調査会社がクライアントに提出する企画書(提案書)には、次のような項目も含まれる。

¡業務範囲

¡納品物

¡プロジェクトチームの紹介(調査経験年数や専門分野など写真付き経歴書)

¡自社の優位性や差別化ポイント(「なぜ、このプロジェクトを他社ではなく自社に依頼すべきなのか」の理由や、クライアントとの業務経験、業界分野での調査業務経験など)

¡連絡先

¡サービス条件

¡セキュリティや品質管理

¡付録(参考資料)

タイトル 「××についての調査」よりは、調査目的や方法がわかるタイトルが好ましい。例えば、「買う気にさせるTVコマーシャル制作のための広告テスト企画書」。

調査の背景と調査目的 マーケティング課題と調査目的の論理的整合性が重要。調査の実施を正当化する内容が望ましい。

調査デザイン 限られた費用とタイミングにおいて、調査目的を遂行するための最善の方法を提示。

分析デザイン 期待される結果のアウトプット・イメージや、検証する変数間の関係についての仮説を提示。

費用 概算費用(ボールパーク)あるいは詳細費用を提示。

スケジュール マーケティング活動のタイミングを考慮して提示。

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第2章

企画

調査の背景となる「マーケティング課題」を調べる

調査企画書を見ていると、「調査の背景」がなく、いきなり「調査目的」から始ま

る調査企画書が多いのも事実です。

これは、クライアントから「これとあれを知りたいので調査をお願いします」と

いきなり調査目的や調査内容を説明され、調査を依頼される場合が多いからでしょ

う。そのような場合、調査会社のリサーチャーがその依頼の背景にあるマーケティ

ング課題を教えてもらえないことも多いのです。

しかし、よい調査を行うためにも、またよい報告書を作成するためにも、リサー

チ側は、マーティング担当から調査背景については十分な説明を受けることが大切

です。発注者であるマーケティング側が、受注者であるリサーチ側(社内のリサー

チャーや調査会社)に調査を依頼する時には、依頼内容を説明するブリーフィング

が行われることが多いですが、その際にはぜひ「依頼の背景にあるマーケティング

課題の共有」をしておきましょう。

2-2 「調査の背景と目的」の書き方

2726

2-2「調査の背景と目的」の書き方「調査の背景と目的」の書き方

正しい調査目的を設定するためには、その背景にあるマーケティング課題を理解

することが重要です。

調査目的を設定するための3ステップ

何事にも目的があります。マーケティング・リサーチも、それは同じです。そこ

で、調査企画書の作成は、まず適切な「調査の背景と目的」を設定することから始

まります。

簡単に言えば、「調査の背景」とは、その調査はどんなマーケティング上の課題を

解決するために行われるかを説明するものです。一方、「調査目的」とは、調査の背

景で説明したマーケティング課題の解を見つけるために、何を調査すべきかという、

その調査自体の目的を示すものです。

例えば、「製品Aの売上を伸ばしたい」というマーケティング課題に対して、「製品

Aの価格と性能に対して消費者がどう感じているかを調べる」という調査目的を設定

したりします。

第1章でも説明したように、マーケティング・リサーチは、あくまでマーケティン

グ活動を助けるためのリサーチです。したがって、この「調査の背景と目的」にお

いて、いかにマーケティング課題を適切な調査目的に変換できるかということは、

調査の成否を決定する重要な作業となります。間違った調査目的を設定してしまえ

ば、どんな精密な調査を行ったとしても、その結果は無意味なものになります。

具体的には、「調査の背景と目的」は以下の手順で考えるといいでしょう。

①調査の背景となる「マーケティング課題」を調べる

②マーケティング課題を解決するための「仮説」を立てる

③仮説に基づいて「調査目的」を設定する

以下、具体的に説明していきます。

マーケティング課題のリサーチ課題への変換

① 調査の背景となる「マーケティング課題」を調べる

② マーケティング課題を解決するための「仮説」を立てる

③ 仮説に基づいて「調査目的」を設定する

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ26

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第2章

企画

仮説は、例えば「パッケージが製品内容をより魅力的に表すデザインであれば、

売上も伸びるでしょう」というように、ある現象とある現象との関係(この場合は

パッケージのデザインと売上の関係)を述べるように記述します。

仮説のたて方について、「初年度の売上目標を達成できなかった新製品について、

来期に向けてどのような施策を実施すべきか知りたい」という課題を抱えるマーケ

ティング・マネージャーから、調査依頼を受けた場合で考えてみましょう。

様々な考え方がありますが、ここでは、この新製品の問題点をトライアル購買*

と、リピート購買*に分けて、仮説を立ててみます。

トライアル購買の数字が悪い場合、原因としては、例えば「製品内容が十分に消

費者に伝わっていないのではないか」「容量が多い」「定番価格が高い」「広告訴求力

が弱い」「パッケージが目立たない」などが考えられます。これを仮説の形にすれば、

例えば「製品内容がより伝われば、消費者はよりトライアル購買を行うだろう」と

なります。

一方、リピート購買の数字が悪い場合は、例えば「味が商品説明とあっていない」

「味がよくない」「味の種類が少ない」などの原因が考えられます。「競合製品の影響

はどうか」なども検討する必要があるでしょう。

こうして、考え得る仮説をリストアップしたら、その中から、不振の原因である

という「重要度」と「確信度」の高い仮説を選びましょう。この際、「仮説シート」

の作成をお薦めします。ノートに仮説をリストアップし、それそれに対して、重要

度*と確信度*を◎や○、△で記入する簡単なものです。

仮説に基づいて「調査目的」を設定する

「重要度」と「確信度」の高い仮説を選んだら、次に、それらの仮説を検証する

には調査において「誰に」「何を」聞く必要があるかを、仮説シートに書き込んでい

きましょう。このような作業を通して、より明確な調査目的を設定することが可能

になります。

例えば、先ほど考えた「製品内容がより伝われば、消費者はよりトライアル購買

を行うだろう」という仮説であれば、具体的な調査目的としては「消費者の製品理

解の有無を調べる」ということになります。「容量が多い」「価格が高い」のであれ

ば、「容量や価格についての評価を測定する」、「広告訴求力が弱い」のであれば、「広

2-2 「調査の背景と目的」の書き方

29

*トライアル購買 ある人がある製品を初めて購入すること。初回購入。試用購入(trial purchase)。

*リピート購買 ある人がある製品を2回以上購入すること。再購入。反復購入(repeat purchase)。

*重要度 その仮説が正しい場合の、ビジネス上の影響度(インパクト)の大きさ。

*確信度 正しいと思う度合い。28

調査の背景にあるマーケティング課題がわからなければ、適切な調査目的を設定

することなどできません。「依頼側から『これを調べろ』と言われれば、それを調べ

るのがリサーチャーの仕事」という考え方もありますが、もし依頼者側が指定した

調査目的が、マーケティング課題を解決するためには十分ではなかった場合、「リ

サーチャーは言われたとおりに調査したのに、依頼者はマーケティング課題を解決

できず不満だった」という結果になりかねません。依頼者側で調査目的を指定して

きた場合でも、きちんと背景にあるマーケティング課題を確かめて、必要であれば

より適切な調査目的を提案することが大切です。

また、依頼者側にマーケティング課題を聞いても、依頼者自身が課題を明確にで

きていないケースもあります。そうした場合は、まずマーケティング課題を明確化

するための話し合いから始めましょう。マーケティング課題というのは、たいてい

の場合、以下のいずれかとなります。

¡売上拡大(販売量や金額)

¡シェアの増大

¡利益の増加

¡市場の拡大

¡コスト削減

調査の内容が製品テストや、ブランド調査、顧客満足度調査、その他の調査で

あっても、最終的なマーケティング課題はこれらの内のどれかにあてはまりますの

で、まずはこの中のどの課題なのかを確かめるといいでしょう。

マーケティング課題を解決するための「仮説」を立てる

マーケティング課題がクリアになったら、その課題を解決するための仮説を立て

ます。製品テストのように課題解決の方向が明らかな場合は、仮説を立てるまでも

なく「製品の全体的な評価や各属性の評価を測定する」といった調査目的が特定で

きますが、そのように課題解決の方向が明確でない場合、解決のための「仮説」を

立てることによって、何を知る必要があるのかが明確になり、調査目的もクリアに

なります。

2-2 「調査の背景と目的」の書き方

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ28

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ブリーフィング・シート

外資系のメーカーでは、調査の依頼時に「ブリーフィング・シート(RFP:

Request for Proposalとも言う)」という書類を調査会社側に送ってきます。これ

は、調査を依頼する上で、調査目的の設定を的確に行うために、マーケティング課

題やその背景、調査目的、調査方法などをまとめたものです。依頼者側とリサー

チャー側で「調査の背景と目的」を共有し、誤解を防ぐために、調査依頼があった

場合はクライアントにこうしたシートを作成してもらうのも、1つの手でしょう。

第2章

企画

3130

告のインパクト度を検証する」「味が商品説明とあっていない」のであれば「製品と

コンセプトとのバランスのチェック」、「味がよくない」のであれば「味覚評価の測

定」などといった具体的な調査目的が出てきます。

調査目的は、この後に決めることになる調査デザインや分析デザインなどの指針

となるものです。言い換えれば、調査のすべての過程において、調査目的を常に念

頭において、最後まで作業を進めることが、調査を成功へと導く重要なポイントに

なります。すなわち、「調査は、調査目的に始まり、調査目的で終わる」と言っても

過言ではありません。

そのためにも、マーケティング課題を解決できる、有効なマーケティング施策

(アクション)に結びつくような、より具体的な調査目的の設定が望まれます。

2-2 「調査の背景と目的」の書き方

仮説シートの例(パスタソースのケース)

問題仮説 重要度 確信度 対象者

H1 現行の味が飽きられているのではないか? ◎ ◎ 既存ユーザー

  

  

  (調査項目)XX味のパスタソースの購入意向

H2  ○ ○

H3  ○ △ パスタ・ユーザー

H4 製品認知率が低下しているのではないか? ◎ △ パスタ・ユーザー

H5  ○ ○ パスタ・ユーザー

H6 ……

新しい(若い)ユーザーを取り込めていないのではないか?

最近のヘルシー志向にあっていないのではないか?

(作業仮説)XX味のパスタソースは、      購入意向が高いだろう

(仮説)新しい味の製品をだせば、    消費者は買うだろう

ヘルシー志向ユーザー

パッケージが店頭で目立たないのではないか?

※上のように、「仮説」を実際の「調査項目」に変換する場合、計測可能な「作業仮説」に 置き換える必要があります。

ブリーフィング・シートの見本

●調査プロジェクト名プロジェクト番号作成年月日●マーケティング担当者名最終意思決定者名リサーチ担当者名製品カテゴリー名ブランド名●リサーチ会社名担当者名連絡先/送付先●背景ビジネス課題●調査課題/目的調査方法(インターネット、訪問面接、CLT,FGIなどの選択肢を設定)調査エリアサンプル・サイズ対象者条件割り付け等の条件調査項目/調査フロー利用製品/ブランド/パッケージ属性などアクション・スタンダード(調査判断基準)集計案分析案●想定予算スケジュール(調査票完成、資材送付、調査日、トップライン・レポート納品、集計表

納品、OA納品、報告書納品など)使用調査資材(テスト製品内容やその入手日など)調査会社からの納品物(トップラインレポート、GT表、集計表、OA書き抜き、報告

書、英文報告書など)その他備考●責任者の承認欄

この部分を詳細に書く

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ30

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第2章

企画

リサーチには3つのタイプがある

まずは、調査方法から説明していきましょう。

この項目では、調査目的に応じて、訪問面接調査で行うとか、会場テストを実施

しようなどと、採用する調査方法を決定します。具体的な調査方法には様々なもの

があるのですが、そのリサーチの目的によって、大きく「探索的リサーチ」「記述的

リサーチ」「因果的リサーチ」の3つに分類できます。

ある程度経験を積んだリサーチャーであれば、調査目的が決まれば、これから企

画する調査が、「探索的リサーチ」「記述的リサーチ」「因果的リサーチ」の3タイプ

の内のどのタイプのリサーチであるかを即座に判断し、自然とどの方法で調査を行

うかを決定できます(時には、費用やタイミングも絡んで、どのデータ収集方法を

取るか悩ましいこともありますが……)。

以下、この3つのリサーチ・アプローチと、そこで使われる調査方法について説明

しましょう。

問題点を明確にし仮説を作る「探索的リサーチ」

「探索的リサーチ」とは、文字通り、問題が何であるかを探索する調査です。あ

るマーケティング課題の解決のために、何を行えばよいか、何が問題点なのかと

いった、問題の所在が不明確な場合に行われます。

例えば、「新製品の売上を改善したい」という課題を抱えていて、その不振原因が

不明な場合を考えてみましょう。こうした場合、一度は購入したけれども、繰り返

し買わなかった人を集め、意見を聞けば、なぜその製品の売上が伸び悩んでいるか

の仮説を立てることができます。こうした調査が、探索的リサーチです。

探索的リサーチで使用される代表的な調査方法は、関係者へのインタビューや、

グループ・インタビューに代表される、いわゆる「定性調査」と呼ばれるものです

(これらの調査方法についての詳細は、第3章で解説します)。

また、当面の課題以外の目的で収集された「2次データ*」(セカンダリー・デー

タ)を扱うデスク・リサーチが使用されることもあります。

調査の対象は、代表サンプルである必要はありません。知識や経験のある人や、

条件にあう特定の人など、対象者の選定は柔軟に行われます。

2-3 「調査デザイン」の書き方①調査方法

33

*2次データ 本書は消費者調査にフォーカスしていますので、2次データの活用については他書をご覧ください。ちな

みに、特定の目的のために収集されたデータを1次データ(プライマリー・データ)と呼びます。

32

2-3「調査デザイン」の書き方①調査方法「調査デザイン」の書き方①調査方法調査には探索的リサーチや、記述的リサーチ、因果的リサーチの3つのタイプがあ

ります。調査目的に照らして、適切な調査方法を選ぶことが重要です。

調査デザインの3つの構成要素

調査目的が正しく設定されたならば、次の作業は、その調査目的を達成するため

に最善の調査デザイン*を描くことです。ここからリサーチの専門家であるリサー

チャーの腕の見せ所です。

調査デザインは、主に以下の項目で構成されます。

①調査方法(データ収集法法)

②対象者

③調査票(調査項目)

企画書での各項目の提示の順番は決まっていませんが、本書では、調査目的が決

まれば、それと連動して決まる「どのように聞くか」(調査方法)から説明を始めま

す。続いて、その目的語である「誰に」(対象者)、「何を」(調査項目)の順番で説

明を行っていきます。

*調査デザイン 「調査概要」「調査設計」「リサーチ・デザイン」とも呼ばれます。

調査デザイン

調査方法 調査目的に適した方法を提示します。 代替方法もあれば提示します。

対象者 「誰に」聞くかを提示します。 より具体的な条件を設定することが望ましいです。

調査項目 調査票で「何を聞くか」を提示します。

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第2章

企画

果」を検証する場合に、因果的リサーチを行います。例えば、成人識別たばこ自動

販売機のためのICカード「taspo」の影響をその導入前に消費者調査で探ったり、

「販売促進の効果測定」を事後に消費者調査で検証するなどの例が、因果的リサーチ

となります。

因果的リサーチの代表的なデータ収集の方法は「実験調査」です。詳しくは第3章

で別途説明します。

複数のリサーチを組み合わせる

この3つの調査のタイプは、課題解決のプロセスに合致しています。すなわち、あ

る課題(問題)があり、その内容や解決方向が不明な時に、探索的リサーチでそれ

らを明らかにします。それによって、問題の原因の候補が仮説という形で把握され

ます。そして、その仮説を記述的リサーチ、さらにはより原因と結果の関係性を特

定できる因果的リサーチによって検証することによって、問題の原因を特定するこ

とが可能になります。

現実には、問題解決の方向性がある程度分かっている場合や、予算的、時間的制

約から、記述的リサーチだけを行うことが多くなっています。また、新製品のアイ

ディアの発見の場合などでは、探索的リサーチで目的は完結する場合もあります。

逆に、記述的リサーチで得た結果の理解を深めるために、探索的リサーチを行う場

合もあります。このように3つのタイプの調査を単独で使ったり、組み合わせたりす

ることによって、課題解決のための有効な解を生み出していくことが大切です。

2-3 「調査デザイン」の書き方①調査方法

3534

各現象を数量的に測定する「記述的リサーチ」

「記述的リサーチ」は、行動や意見の割合を数字で表すことによって、マーケ

ティング活動の現象を「記述*」する調査です。

例えば、ある新製品の購入者に、もう一度購入するかどうかについてたずねて、

「購入者の中の80%の人が、その製品を繰り返し買わないと思っていた」とか、「買

わない理由として、60%の人が価格の高さを30%の人が味覚の問題を挙げた」と

いった結果をまとめるのが、記述的リサーチとなります。

マーケティング・リサーチの多くが、この記述型リサーチです。

記述型リサーチで使用される代表的なデータ収集の方法は、多くの場合、ある程

度の大きさの代表サンプルで行われる、いわゆる「定量調査」であり、かつ、事前

に準備された質問文(回答選択肢が含まれた調査票)を使った「質問調査」です。

これには、伝統的な「訪問面接調査」から、比較的新しい「インターネット調査」

など多くの方法が含まれます(詳しくは第3章で解説します)。

ちなみに、記述的リサーチは、さらにその調査の期間によって、単一のタイミン

グで行われる「横断(クロス・セクショナル)リサーチ」と、複数の期間にまたが

る「縦断(ロンジティユーディナル)リサーチ」に分類されます。

縦断リサーチは、いわゆる時系列調査やトラッキング調査と呼ばれるものです。

特に、一定期間、同じ対象者に繰り返し行うトラッキング調査は、「パネル調査」と

呼ばれます(その調査対象者を「パネル」と呼ぶからです)。

2つ以上の現象間の因果関係を検証する「因果的リサーチ」

「因果的リサーチ」は、マーケティング現象間の「原因」と「結果」の関係性を

発見することが目的の調査です。

企業活動の主な目標は、売上や利益の拡大です。「結果」である売上や利益を拡大

させるには、その「原因」であるマーケティング活動との関係性を明らかにする必

要があります。すなわち、売上を上げるには、どの「原因」がもっとも効率的で、

効果があるのかということを知る必要があります。そうしたことを知るために、因

果的リサーチが行われています。

具体的には、ある新しい施策の「影響」を予測したり、逆に完了したことの「効

*記述 市場を記述するデータとして「シンジケート調査データ」があります。単発で行われるアド・ホックの消費者

調査と、このシンジケート調査データは、市場や消費者動向を分析する上で車の両輪の役割を果たす重要なも

のです。日本では、インテージが提供しているSCI(全国消費世帯パネル)やSRI(全国小売店パネル調査)、

マクロミルと東急エージェンシーが提供する商品購買データQPRなどがあります。

2-3 「調査デザイン」の書き方①調査方法

リサーチの3タイプ

種類 目的 主な調査方法

探索的リサーチ アイディアと洞察の発見 定性調査、2次データ

記述的リサーチ 現象の測定・記述 質問調査(定量調査)

因果的リサーチ 因果関係の特定 実験調査(定量調査)

※記述的リサーチと因果的リサーチを併せて、データによる事実を検証すという意味で、 「検証的リサーチ」と呼ぶ場合があります。

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ34

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第2章

企画

には、全国エリアでの調査には時間や費用がかかりすぎてしまうため、人口の多い

エリアに絞る場合が多いです。例えば、認知率や購入経験率などを調べてマーケ

ティング活動の展開を考える場合、東名阪や東阪、あるいは1都3県の首都圏だけで

調査を行うケースが多くなります。

もっとも、近年ではインターネット調査の普及で、人口構成比で対象者数を割り

付けることによって、安価で簡単に全国調査が可能になりました。

対象者条件と標本抽出法の決め方

対象者条件の設定は、非常に重要です。聞くべき人に聞いていない場合、そこか

ら得られた結果は意味がありません。

例えば、ある新製品が市場に発売された場合の可能性を調べる製品テストの場合、

調査目的から言って、その製品カテゴリーの製品を現在買っている人が対象者とし

て望ましいわけです。この製品が市場に出された場合、購入する可能性が大きいか

らです。謝礼目当ての、全く買っていない人とか、年に1回ぐらいしか買わない人の

意見を集計しても意味がありません。

それゆえに、「対象者条件」はなるべく具体的に特定すべきだと考えます。もちろ

ん、厳しい条件を設定すれば、対象者のリクルートは大変になります。費用もかか

るでしょう。しかし、得られるデータの信頼度は上がります。

なお、標本抽出法*というのは、対象者条件にあった対象者を、どうやって、集め

てくるかというリクルート方法のことです。どのような方法があるのか、詳しくは

次節で解説しますので、そちらを参照してください。

対象者数の決め方

対象者数、すなわち「サンプル・サイズ」をいくつにすればよいかを決めるには、

以下の3つを考慮する必要があります。

¡推定の精度

¡事象の出現確率

¡費用と時間の制約

2-4 「調査デザイン」の書き方②対象者の選定

37

*標本抽出法 対象者の選定に関連して言えることは、「個人情報保護」です。多くの調査会社が個人情報保護を適切

に行っている認定である「プライバシーマーク」を取得しています。

36

2-4「調査デザイン」の書き方②対象者の選定「調査デザイン」の書き方②対象者の選定調査上のエラーやバイアスをなるべく排除し、調査目的を達成するためには、「誰

に」聞くかが重要です。

対象者を選定するための3つの要素

調査というのは怖い存在です。調査票を作り、ある程度の人数の人に意見を聞い

て、集計すれば、なんとなく正しそうな調査報告書ができあがってしまいます。し

かし、そこには、目に見える、また目に見えないエラーやバイアスがいたるところ

に入り込む余地が無数に存在します。

そうしたエラーやバイアスをなるべく排除し、調査目的を達成するためには、「誰

に」「何を」聞くかということは非常に重要です。「誰に」を間違ってもダメですし、

「何を」を間違っても調査はうまくいきません。この内の「誰に」を具体的に示すの

が、「対象者」のセクションです。

ここで「対象者の選定」という場合、

¡調査対象の地域(エリア)

¡対象者条件、標本抽出法

¡対象者数(サンプル・サイズ)

を決めることを指しています。それぞれの決め方について、以下に説明します。

調査対象の地域の決め方

調査対象地域は、主に調査目的によって決まります。日本全国におけるある製品

の認知率や購入経験者率を知る必要がある場合は、調査エリアは日本全国となりま

す。アメリカにおける場合なら、全米になります。

ただし、予算や調査期間の制約から、エリアを狭められる場合もあります。現実

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ36

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第2章

企画

2-4 「調査デザイン」の書き方②対象者の選定

3938

推定の精度とは、標本誤差*の大きさを、どの程度まで許容するかということで

す。許容できる誤差の大きさを抽出すべき標本数を算出する公式にあてはめること

によって、標本数を計算することができます(図参照)。一般に、標本誤差を半分に

したい場合は、標本数を4倍にする必要があります。

また、事象の出現確率というのは、例えばある製品の購入経験者100人に意見を

聞きたい場合、何人の対象者を集めればよいかということです。その購入経験者の

リストがあるなどして、確実に購入経験者だとわかっている人を選んで100人を集

められるのならばいいのですが、実際には誰が購入経験者だかわからない場合も多

いものです。そうした場合、例えばその製品の購入経験者率が全人口の10%である

ならば、少なくとも1000人の対象者を集めれば、そのうちの10%である100人

の購入経験者を見つけることができます。

このように、基本的には、求める精度と出現率から対象者数を決めるのですが、

現実には、標本数として1000人が妥当であるとわかっていても、時間や予算、人

手などの制約で実行できないことがあります。そのため、実際にはこうした制限も

加味して、対象者数を決めることになります。

対象者数は、誤差を小さくするという意味では、大きいに越したことはありませ

んが、推測の精度という観点からは、ある程度の大きさがあれば十分です。時間や

予算の制限と、どの程度の精度を求めるかのバランスを考えて、対象者数を決める

ようにしましょう。

*標本誤差 標本統計量と母集団統計量との間にある差のこと。詳しくは第3章を参照。

2-4 「調査デザイン」の書き方②対象者の選定

対象者の選定

調査対象の地域 調査方法に応じて提示します。予算やスケジュールも考慮して決めます。

対象者条件、選定法 「誰を」「どうやって集めるか」を提示します。

対象者数(サンプル・サイズ) 推定の精度と出現確率から必要な数を割り出します。

割合の推定精度に基づく標本サイズの簡便式

(必要な標本サイズ) = 1 ÷ (許容誤差の2乗)

¡許容誤差が2% → 1÷(0.02×0.02) = 2500人必要¡許容誤差が5% → 1÷(0.05×0.05) = 400人必要¡許容誤差が10% → 1÷(0.10×0.10) = 100人必要¡許容誤差が20% → 1÷(0.20×0.20) = 25人必要

※許容誤差:標本誤差の大きさをどの程度まで許容するかの割合。割合(比率)の95%信頼区間を標本比率±許容誤差と表したときの許容誤差の上限を意味します。

調査のDEP思考

マーケティング課題を解決するには、まず現象を正確に知る必要があります。

そのために前述の探索的リサーチや記述的リサーチを行います。例えば、ある製

品の売上を拡大するにはどうすればよいかという課題を考えましょう。そのため

に新しい種類の製品を開発し、消費者調査を実施します。そして「60%の人が新

製品を買いたくない」と調査の結果を「記述」します。さらに課題解決のために

重要なことは、「なぜ60%の人が買いたくないと答えたか」の理由(ワケ)を探

ることです。なぜその現象が起こったのかを「説明」することが重要です。味覚

面が悪かったのか、パッケージがいまいちだったのか、広告やキャンペーンの内

容がアピールしなかったのかなどです。さらに味覚のよさが「原因」で、その

「結果」購入意向が上がるといった「因果関係」が存在することがわかれば、味覚

の評価から、購入意向を「予測」することが可能になります。

このように、調査によって、単に「記述」だけではなく、現象の「説明」や「予

測」ができるようになれば、マーケティング課題解決のための有効な解を生み出

すことが容易になります。これを調査のDEP思考(記述:description、説明:

explanation、予測:prediction)と呼びたいと思います。

✎COLUMN

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ38

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第2章

企画

必要があります。そのために、きちんと母集団を代表する標本を選ぶ方法が、いく

つか用意されています。以下、説明していきましょう。

目標母集団の設定

標本調査では、まず調査目的に従って適切な「目標母集団」を定義する必要があ

ります。これは、前節で説明した「対象者条件」を設定すると言うことです。

したがって、目標母集団の設定は、マーケティング課題とも関連してきます。例

えば、ある製品カテゴリーの購入・使用実態調査では、通常「その製品カテゴリー

のユーザー*」を対象に行います。競合他社ユーザーも、あまり使用頻度が多くない

ライト・ユーザーも含まれます。マーケティング目標として、これらの競合ユー

ザーを自社ユーザーにスイッチさせたり、自社のライト・ユーザーをヘビー・ユー

ザーに変えようという目標があるからです。

この場合、その製品カテゴリーの製品を使っていない人は一応除いていますが、

もしカテゴリー・ユーザーでない人々も取り込もうと言う目標の場合は、目標母集

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

41

*その製品カテゴリーのユーザー より厳密に言えば、「目標母集団=製品カテゴリーのユーザー」では少し漠然として

いるので、「首都圏在住の20歳以上の××製品の購入経験者」というように、より

特定した調査母集団が設定されます。40

2-5「調査デザイン」の書き方③標本抽出法「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

消費者調査の多くは、統計学で言う標本調査です。そのため、対象者の選定方法

は、標本の代表性を意識して選ぶ必要があります。

消費者調査の多くは標本調査

例えば、ブランドの活性化の課題に対して、グループ・インタビュー*を行ったと

します。そこで6名の参加全員一致で、「高級感がもっとあれば、絶対にこのブラン

ドを買います」と答えたとします。あなたは、高級感の低下がこのブランドの評価

を下げたと断言できるでしょうか? すなわち、高級感と全体評価の間に関係性が

あると確信できるでしょうか? 恐らく多くの人は、結論を出すには、もう少し他

の人にも意見を聞いて見たいと思うでしょう。

実は、原因と結果を読み解く作業を「調査」で行う場合は、そのベースとなった

対象者の集団が問題になります。そのため、調査には、すべての対象者に対して行

われる「悉皆(しっかい)調査(あるいは全数調査)」と、対象者全体の代表となる

対象者を選んで行う「標本調査」の2つがあります。

消費者調査では通常、後者の「標本調査」が行われます。なぜなら、対象者(例

えば「ある製品のユーザー」など)全員を調査することは、現実的には費用と時間

がかかりすぎるからです。それゆえに、この標本調査というものが「確率論」に基

づいて、考えだされたわけです。

標本調査においては、直接調査の対象者になる回答者を標本(サンプル)と呼び

ます。また、標本を含む対象者全体を母集団(population)と呼びます。標本調査

は、母集団から標本を抽出し、これに対して調査を行うことで、母集団の実態を推

測しようとするものです。

ここで上の話に戻しますと、グループ・インタビューの後に、消費者調査(標本

調査)で「高級感と全体評価の間に関係性がある」と言えたとしても、その標本が

偏っていて母集団を代表していない場合は、母集団において「高級感と全体評価の

間に関係性がある」と結果を一般化できないことになります。この点は注意をする

*グループ・インタビュー 小人数の人を集めて意見を聞く調査法。詳しくは68ページ。

標本調査

調査 全数調査

標本調査 ①単純無作為抽出

②系統抽出

③多段抽出

④層化抽出

①応募法

②機縁法

③判断法

④割り当て法

無作為抽出

有意抽出

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ40

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第2章

企画

¡友人・知人、近所の人など、調査を行う人との間に何らかの縁(えにし)を持

つ人を選ぶ「機縁法(便宜抽出法)」(路上で人を捉まえる「ストリート・

キャッチ」や、ショッピング・センターなどの施設で人を捉まえる「モール・

インターセプト」もこの中に含まれます)

¡母集団を構成する要素の中から、代表的なものを選ぶ「調査を行う人の判断法

(判断抽出法)」

¡いくつかの変数(標識)に着目して、それらの分布が母集団と等しくなるよう

に標本を選ぶ「割り当て法(クオウタ・サンプリング)」(例えば、性・年代が

母集団の構成比と同じになるように標本を選ぶ)

ただし、これらのいずれの抽出方法によって選定された標本も、母集団を代表し

ているかどうかはわかりません。この中でもっとも代表性がありそうな割り当て法

についても、標識(例えば性・年代の分布)については母集団と標本との間で一致

していたとしても、その他の変数で一致しているかはわかりません。すなわち、有

意抽出では多くの選定バイアスを含みます。それゆえに、母集団の推定を行うこと

はできません。例えば、ストリート・キャッチで100人の対象者を集めた会場テス

トの結果から、そのブランドの認知率や購入経験率を語ることはできないのです。

ただし、それでは有意抽出は使えない方法なのかと言うと、そうではありません。

例えば、缶コーヒーの新製品の会場テストにおいて、渋谷の路上で集めた100人

について、全体評価や購入意向のデータを集めたとします。この時、この100人が

「缶コーヒーのユーザー」の目標母集団、つまり「週1回以上缶コーヒーを買って飲

んでいる20~40代の全国の男女」を代表する人々であるとは、誰も思わないで

しょう。もしそうであれば、高額の費用をかけて行っている政党支持率などの調査

も、すべて渋谷の路上でやればよいことになります。

そうではなくて、この製品テストの100人は、缶コーヒーの嗜好性についての代

表集団であると考えます。製品テストは「何%の人がどのブランドを買っているか」

といった母集団の推定値を得るよりも、製品評価の反応を取ることが目的です。つ

まり、人間の嗜好は無数にあるわけではないので、100人も集めればほとんどの嗜

好性を代表する人を集めることができるだろう、という前提で行っているのです。

そういった目的であれば、有意抽出は十分に使えます(ただし、この例の場合なら、

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

4342

団として含める必要があります。同様な考察が、新製品の製品テストを行う場合に

も生じます。特に、新しいカテゴリーの場合は、どこまで目標母集団に含めるかは

悩ましい問題です。

また、ここで問題になるのが、実際の標本抽出では目標母集団そのもののリスト

が存在しないことが多いと言うことです。そのため、ほとんどの場合は、目標母集

団の代わりになるようなリストから標本が選定されます。このリストを、抽出フ

レームと呼びます。

例えば、インターネット調査の場合、調査会社所有のモニターのリストが、抽出

フレームになります。そこから標本、すなわち調査対象者を選出します。当然、も

しこの抽出フレームが母集団から偏っている場合は、正確な調査ができません。し

たがって、抽出フレームの誤差を認識することが重要になります。

無作為抽出と有意抽出

次に、標本誤差や調査費用を考慮して、標本サイズを決定し、抽出フレームから

標本を選出します。

ここで重要なのが、母集団を代表する標本を選ぶことです。前述の通り、標本が

母集団を適切に代表していないと、調査で得た結果から、母集団について誤った結

論を導き出すことになります。

母集団から標本を選ぶことを「標本抽出」(サンプリング)と言います。標本が母

集団のミニチュア、縮図となるように選ばれていることが理想です。その方法には、

大きく分けて、対象者が選ばれる確率が等しくなる「無作為抽出(確率抽出法とも

呼ばれます)」と、そうではない「有意抽出(非確率抽出法とも呼ばれます)」の2つ

があります。

有意抽出の方法

まず、有意抽出(ノンランダム・サンプリング)から説明しましょう。有意抽出

には、以下の方法があります。

¡調査への協力を呼びかけ、それに応募した人を対象者とする「応募法(ボラン

ティア・サンプル)」

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ42

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第2章

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で用いられることは少ないです。

¡系統抽出法

「系統抽出法(等間隔抽出法)」は、母集団全員に一連の番号を付け、最初の対象

者を選ぶ時だけ、サイコロを振ったり、あるいは乱数表を用いて選び、出発番号を

決めます。そして、後は等間隔に対象者を選んでいく方法です。抽出台帳が整備さ

れていることが条件です。

¡多段抽出法

母集団から直接に標本を抽出するのではなく、母集団から地域などの第1次抽出単

位(調査地点)を選び、そこから第2次抽出単位である標本(調査対象者)を選ぶ方

法です。この場合は2段ですが、「都道府県→都市→標本」というふうに選ぶと3段

になります。系統抽出法と適宜、組み合わせて利用されることが多くあります。訪

問面接調査を行う調査員が、対象者のお宅を訪問する上で効率的な方法です。

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

4544

嗜好性の偏りを少なくするために、性・年代構成や、嗜好性を反映していると思わ

れるブランド使用の割り当て構成を行うことが望ましいと言えます)。

無作為抽出の方法

一方、認知率や、購入経験率などや、精度の高い予測が必要な場合は、無作為抽

出(ランダム・サンプリング)が必要です。

無作為抽出には、「単純無作為抽出法」や「系統抽出法」「多段抽出法」「層化抽出

法」などがあります。内閣府が行っている世論調査では、これらを組み合わせた

「層化2段系統抽出法」が使われます。順に詳しく説明しましょう。

¡単純無作為抽出法

母集団全員に番号を付けて、くじ引きのように、サイコロや、乱数表、抽選器な

どから得た数字とあった人を選んでゆく抽出法です。例えば対象地域が日本全国

だった場合、選ばれた人々は、全国にバラバラに分布することになります。実際調

査を行う場合には、調査員が各対象者の自宅を訪問するのが困難になるため、単独

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

多段抽出法

調査地域が限定されるので、訪問面接調査などで便利!

母集団

第1次抽出単位(調査地点)

第2次抽出単位(調査対象者)

系統抽出法

①まず連番を振る ③等間隔に対象者を選んでいく

母集団 1 2 3 4 5 6 7 …

②次に、さいころを振るなどして 出発番号を決める

抽出台帳が整備されていることが条件!

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ44

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第2章

企画

消費者調査ではエリア・サンプリングと機縁法の利用が多い

ちなみに、マーケティング・リサーチの場合、U&A調査*や、家庭での製品テス

ト(ホーム・ユース・テスト)などでは無作為抽出が行われています。その場合、

抽出方法には「2段エリア抽出」と呼ばれる方法を用いています。エリア・サンプリ

ングあるいは、ランダム・ウォーキングとも呼ばれます。これは、系統抽出法の一

種となります。

具体的には、例えば首都圏1都3県で調査を行う場合、まず各県が出してる町丁目

一覧を利用して、人口数の付いた町丁を順番に並べ、そこから系統抽出で調査地点

を選びます。後は、調査員が各調査地点にいき、任意にスタート地点の家庭を選択

し、任意に決めた間隔(インターバル)で、そのお宅から右回りなどと決めて、対

象の各家庭を必要数だけ選んでいきます。

これは、対象者を選ぶための住民基本台帳の閲覧が難しくなったことや、他の方

法では費用や時間がかかりすぎるということで、便宜的に考えだされた方法です。

調査員がランダムウオークの方法をしっかりと守れば、各世帯が順番に記されてい

る住民基本台帳からランダムに抽出する方法とは、無作為抽出という点では大きな

差はありません。ただし、現実には、在宅率の低下やマンションなどの集合住宅で

の抽出の問題、調査地点で対象者を選ぶ人と調査を行う人が同じであることから、

抽出のランダム性がどこまで保証されるか疑問視する声もあります。

また、この方法では調査員が調査地点に足を運ばなければいけないので、どうし

ても時間と費用がかかります。そこでコストを抑えるために、有意抽出である機縁

法を用いて対象者を選定するケースも多くなっています。多くの場合、対象者の条

件が決められていますから、性や年代構成比を母集団と同じにした「機縁法を使っ

た割り当て法」が使われることになります。

この場合、無作為抽出ではないので、当然ながら、標本から得られた結果である

「標本統計量」と、本来求めている母集団の真の値である「母集団統計量」との間の

差である「標本誤差」を、確率論を使って算出することはできません。しかし、認

知率や購入経験率、全体での顧客満足度など、代表性のあるサンプルを必要とする

一部の調査以外のマーケティング・リサーチの消費者調査では、誤差の計算を必要

としないケースが多いのが現状です。

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

47

*U&A調査 Usage and Attitude。A&Uと呼ばれる場合もあります。使用実態調査のことです。

46

2-5 「調査デザイン」の書き方③標本抽出法

¡層化抽出法

標本抽出の精度を上げる方法として、「層化抽出法(層別抽出法)」があります。例

えば、内閣府が行っている世論調査では、全国の20歳以上の男女を母集団とした

3000人を対象に調査員による面接調査が行われていますが、人口の密集した地域

に住む人と、過疎地に住む人をうまく代表するように、事前に調査地域を人口数に

よって「東京都区部」「政令指定都市」「中都市(人口10万人以上の市)」「小都市

(人口10万人未満の市」「町村」といったように層化しています。さらに層化した地

域の中から、調査エリアを抽出します。そして、その調査地点で、対象者を無作為

に選んでいきます(この場合、対象者を選ぶ抽出フレームとして「住民基本台帳」

や「選挙人名簿」などが使われます)。

このように、あらかじめ母集団をいくつかの層に分け、各層ごとに一定数の標本

を抽出していく方法が、層化抽出法と呼ばれるものです。個人では「年齢」「収入

「職業」「居住地域」など、企業では「従業員数」「資本金」「年商」などの基準で層

別を行います。その場合、層内はできる限り同質で、層間はできる限り異質である

ことが望ましいです。

層化抽出法

層化することで、代表性が上がる!

母集団

対象者 対象者

抽出 抽出

層化

抽出

対象者

…グループ2 グループ3グループ1

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ46

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第2章

企画

質問文を作成する際の4つのポイント

調査項目が決まれば、質問文と選択肢、自由回答などを考慮しながら、具体的な

ワーディング(言葉遣い)を付けていくことになります。せっかく課題解決に必要

な調査項目を特定できたとしても、きちんとした回答が得られなければ意味があり

ません。その質問項目の内容が正確に対象者に伝わり、回答する気にさせ、さらに

回答誤差を生じないような、的確な「質問文」を作ることが重要です。

調査票の作成においては、次の4つの注意ポイントがあります。

¡設問の形式

¡質問文の作り方

¡選択肢の作り方

¡質問項目の配列

以下、順に説明します。

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

4948

2-6「調査デザイン」の書き方③調査項目「調査デザイン」の書き方④調査項目調査票の作成する際には、「何を」聞くかだけでなく、どんな形式で回答させるか、

どういう順番で並べるかなども重要になります。

調査項目は必要最低限に絞り込む

前節では「誰に」聞くかを設定したわけですが、「何を」を具体的に設定するのが、

「調査項目」です。

製品テストなどでは定番の調査項目を概ね決まっている場合もありますが、そう

でない場合は、課題や、調査目的、仮説などを考慮して課題解決のための「質問構

造図」を作成することを推奨します。これは、課題に対する解決仮説をリストアッ

プし、それを検証するために必要な質問項目を書き出すという方法です。

ただし、対象者の負担を軽減して、データの精度を上げるためにも、できる限り

調査項目の数は絞るべきです。調査項目をリストアップしていると「この際、あれ

もこれも聞いておこう」という誘惑にかられ、つい質問数が増える傾向があります。

報告書に結果が呈示されていない質問を多く含んだ調査を見かけますが、そのよう

なことがないように、分析目的と結果をイメージして調査項目を取捨選択してくだ

さい。

質問構造図の例(パスタソースのケース)

調査目的 必要な質問項目消費者受容性をチェック ①全体好意度、②購入意向製品ポジショニング ①各コンセプトや競合製品のイメージ評価最適価格の特定 ①高いと感じる価格、②安いと感じる価格、③高くて買え

ない価格、④安くて品質に問題があると感じる価格販売量の予測 ①購入個数、②購入頻度ソースオブボリューム ①10個買う場合の購入製品の内訳と個数(コンセプト提

示前後の定和配分)

調査票作成のチェック・リスト<全体内容>

□調査目的を解決する調査項目がすべて含まれていますか?

□逆に、余分なものはありませんか?(短い方が好ましい)

□ 面接調査の場合、調査員が読みやすく、対象者も口頭で聞かれて理

解しやすいですか?

□留置や郵送調査の場合、自記式であることを考慮して、活字の大き

さやスペースの取り方を工夫しましたか?

□調査時間を考慮して、調査票の長さを考えましたか?(例えば、路上

キャッチの会場テストでは30分以内、電話調査では20分以内など)

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ48

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第2章

企画

質問文の作り方

質問文の作り方によっても、得られる回答の精度は変わります。

まず、専門的な用語を使うと、対象者が理解できない危険性があります。質問文

には、日常使われている言葉を使う方がよいでしょう。同様に、対象者によって異

なった意味に捉えられるような言葉も、使用を避けるべきです。質問文は、人に

よって解釈の差が出ることがないように、なるべく具体的な書き方をしましょう。

例えば、「あなたはどの飲料をお飲みになっていますか」と聞くよりも、「あなたは、

この1週間に、自動販売機で缶コーヒーのどのブランドを買われたでしょうか。2つ

以上ある場合はすべてお答えください」というように書いた方が、人による解釈の

ブレが少なくなります。

また、対象者に質問の回答のヒントを与えるような質問(誘導質問)は避けま

しょう。得られたデータにバイアスがかかってしまいます。

1つの質問文で2つ以上のことを聞く「二重質問*」もNGです。例えば、「あなた

は、製品Aを好きで、買いたいと思いますか?」という質問文は、「製品Aを好きで

すか?」という質問と「製品Aを買いたいと思いますか?」という質問の二重質問に

なっています。「好きだけれども、値段が高くて買わない」とか、「好きではないけ

れども、必要だから買う」という人がいるかもしれません。したがって、このよう

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

51

*二重質問 ダブル・バーレル(double-barreled)質問とも呼びます。

50

設問の形式の選び方

設問の形式は、事前に準備された選択肢があるかないかによって、選択肢法と、

自由回答法に分かれます。

¡選択肢法

選択肢法には、選択肢の選択方法によって「多肢選択法」「複数選択法」「順位法」

「評定法」「一対比較法」などの種類があります。また、呈示する選択肢の数で分類

すると、「はい・いいえ」などで答える「2項選択質問」と、複数の選択肢を提示す

る「多項選択質問」があります。調査の目的や集計・分析方法などを考慮して、ど

の設問形式を選ぶかを決めましょう。

特に、単一回答(SA:シングルアンサー)にするか、複数回答(MA:マルティ

プル・アンサー)にするかは、よく問題になる点です。

例えば「購入した商品や、使用している商品を知りたい」という目的の質問を考

えてみましょう。普通は複数回答にして、購入・使用した商品すべてに○を付けて

もらいます。しかし、この方法だと、購入・使用の頻度の違いがわかりません。そ

こで、調査目的によっては、「もっともよく使っている商品1つを選んでください」

という単一回答や、頻度順位を付けてもらう順位法を使う場合もあります。

ただし、順位法は、一見順序の差がわかってよいのですが、定量的に集計するの

が難しいという欠点があります。また、回答者の負担が大きく、その信頼性にも問

題があります。そうした事情も考慮した上で、設問形式を選ぶ必要があります。

¡自由回答法

自由回答は、選択肢を用意せず、回答欄に数字や文字を自由に書き込んでもらう

方法です。調査票作成時は選択肢を考えなくてよいので楽ですが、調査終了後に、

回答のすべてを書き出したり、アフターコーディング(第4章参照)という作業をす

る必要があることなどを考えた場合、時間と費用のコストが大きくなります。

さらに、対象者にとっては、自由回答が多いと回答の負担になります。

したがって、調査目的に照らして、得られる情報の利用価値を考えた上で、自由

回答を聞くかどうかを判断する必要があります。

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

選択肢の選択方法による種類

複数の選択肢の中から1つを選んでもらうもの。

複数選択法(複数回答) 複数の選択肢の中から複数選んでもらうもの。あてはまる選択肢をすべて選んでもらう「無制限複数選択法」と、上限を設ける「制限複数選択法」がある。

順位法 選択肢に順位をつけてもらうもの。すべての選択肢に順位をつけてもらう「完全順位法」と、一部の選択肢に順位をつけてもらう「一部順位法」がある。

評定法 選択肢がSD法などの評定尺度をなしている場合に使われるもの。

一対比較法 2つの選択肢を比較させてどちらかを選んでもらうもの。

多肢選択法(単一回答、単数回答)

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ50

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第2章

企画

選択肢の作り方

選択肢を作る際に重要な原則は、包括的(inclusive)かつ排他的(exclusive)であ

ることです。

包括的とは、「重要な回答選択肢をすべて網羅する必要がある」ということです。

たとえ「その他」という選択肢を用意して、事前の回答選択肢に含まれていなかっ

た回答をフォローすることができたとしても、プリ・コード*された回答と自発的回

答では、その回答分布が異なってくる可能性があります。したがって、重要な選択

肢が漏れていることがないように注意しなければなりません。

他方、排他的とは、「回答選択肢が重複してはいけない」ということです。時には

質問文に同じような意味の回答選択肢が含まれていることがありますが、このよう

な場合は回答がばらけてしまい、精度の高いデータが得られなくなる危険性があり

ます。

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

53

*プリ・コード 前もって番号(コード)が付けられた回答選択肢のこと。詳しくは106ページ参照。

52

な質問は、結果を解釈する時に困ってしまいます。

また、例えば、あるブランドの評価についてたずねる場合、いきなりそのブラン

ドの評価を聞くと、「そのブランドを知らない」とか「わからない」という回答が多

くなり、有効な回答が十分に得られない可能性があります。こうした場合は、ブラ

ンドの評価を聞く質問の前に、そのブランドを知っているかどうかや、購入・使用

経験の有無などを聞く「フィルター質問」を行うことによって、適切な回答者を

絞っていきましょう。

記憶にたよる過去の購入・使用経験についての質問(リコール質問)は、質問調

査の1つの弱点です。記憶の曖昧さから生じる誤差が大きいからです。例えば、「昨

年1年間に製品Aを何回ぐらい買ったでしょうか」と聞かれても簡単には答えられな

いでしょう。こうした場合は、「1カ月あたり何回ぐらい買うか」とか「どのくらい

の頻度で買うか」などに分解してたずねるのも1つの方法です。

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

調査票作成のチェック・リスト<質問文の作成>

調査票作成のチェック・リスト<選択肢の作り方>

□簡潔で明瞭な表現をしていますか? 曖昧な表現を避けていますか?

□誤解を生む「否定語」を使っていませんか?

□抽象的な質問ではなく、具体的な表現や内容の質問になっていますか?

□難解な専門用語や略語を使っていませんか?

□1つの質問で2つ以上の内容について聞いていませんか?

□ネガティブな意味をもつステレオタイプ的な表現をしていませんか?

□本音ではなくタテマエの回答が出されそうな質問をしていませんか?

□対象者個人について聞いているのか、一般的な意見として聞いている

のか明らかですか? あるいは、本人について聞いているのか、家族

について聞いているのか明らかですか?

□過去についての質問はできるだけ避けていますか? 仮定の質問も避

けていますか?(記憶に頼る質問は避ける)

□回答を誘導するような表現をしていませんか? バイアスをかけていま

せんか?

□偏見や反感、ひがみを起こすような質問は避けていますか?

□自由回答が多くありませんか?

□選択肢の重複と不足はありませんか?

□「その他」を選択肢に入れていますか?

□「その他」の選択肢の回答数が多くなる可能性はありませんか?

□選択肢が対象者の負担になるぐらいに多くなっていませんか?

□回答カードに「わからない」を載せていませんか?

□回答項目は適切ですか?

□選択肢の数は適切ですか?

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ52

Page 17: 図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本(4)

第2章

企画

¡回答選択肢の内容や数は大丈夫か

¡対象者が答えづらかったり、誤解するような質問はないか

などのチェックを行います。

質問調査において、調査票は、調査目的を達成する上で、非常に重要なツールで

す。したがって、その作成には熟練が必要とされます。数をこなすことが大切です。

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

5554

質問項目や選択肢の配列の決め方

質問項目の掲載順も、重要です。質問の順序が、回答にバイアスを生む可能性が

あるからです。

一般に、「答えやすい質問から、答えづらい難しい質問へ」という順に並べていく

のが好ましいでしょう。あるいは「一般的質問から、個別・具体的な質問へ」「行動

の事実についての質問から、意見を考える質問へ」という並べ方もあります。

さらに、関連する質問はある程度同じ箇所に集約させ、論理的な展開をした方が

よいでしょう。因果関係のある内容を聞く場合は、原因だと思われる質問の方から

結果へと聞いてゆく方が自然な流れになります。

該当―非該当の質問の流れにも注意が必要です。ある質問への回答によって、次

の質問か、あるいはいくつか先の質問にジャンプしたりする質問です。誤って答え

るべき質問を飛ばすなど、間違いを起こす可能性がありますので、できる限り最小

限にした方がよいでしょう。やむをない場合は、できる限りお互い近い場所に2つの

質問を配置しましょう。

回答選択肢の順序も、バイアスを生む可能性があります。例えば、最初の選択肢

が多く選ばれるなどです。こうした事態を防ぐため、対象者ごとに選択肢をロー

テーションして呈示する場合があります。郵送調査や留置き調査ではこうした対策

はできませんが、インターネット調査や面接調査、電話調査では可能です。

完成した質問票をチェックしよう

こうして質問文ができあがったら、通し番号をうち、調査票や面接調査に使う

「回答カード」を作成します。印刷ミスには気を付けてください。また、質問文の回

答選択肢と回答カード上の選択肢とが一致しているかは、重要なチェック事項です。

さらに、必要に応じて、調査票のプリテスト*も行うといいでしょう。プリテスト

では、

¡調査票の構成が適切であるかどうか

¡質問文の言葉遣い(ワーディング)に問題はないか

¡質問の順序は適切か

*プリテスト 正式の調査を行う前に、調査票の内容などをチェックするために行う、事前の小規模調査。

2-6 「調査デザイン」の書き方④調査項目

調査票作成のチェック・リスト<質問項目や選択肢の配列>

□対象者の属性を聞く「フェースシート」はできるかぎり最後にしています

か?

□前の質問が後の質問の回答に影響を与えるようなことはありませんか?

(キャリー・オーバー効果)

□最初の質問は答えやすいものにしていますか?

□回答しやすい質問から入り、難しい質問はできるかぎり後にしています

か?

□調査票の流れとして、論理的に矛盾がない自然な流れになっています

か?

□同じような質問を繰り返していませんか?

□一般的な質問を先に、特殊な質問は後にしていますか?

□やさしい質問を先に、難しい質問は後にしていますか?

□事実や実態を捉える質問は先に、意見を聞く質問は後にしています

か?

□選択肢の並べ方にも配慮していますか?

□必要な時には、選択肢のローテーションを行っていますか?

□同じ選択肢の回答が続く可能性がある場合は適当に分散させています

か?

□選択肢の順序は同じにそろっていますか?

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ54

Page 18: 図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本(4)

第2章

企画

5756

因果関係を読み解く基礎・測定論②質問紙法と態度尺度

体重や身長は、それぞれ体重計や身長計で測定できます。それでは、マーケテ

ィング・リサーチにおいて測定するマーケティング現象の場合はどうでしょうか?

例えば製品に対する好意度は、どうすれば測定できるでしょうか? ある顧客A

さんの好意度の大きさがどのくらいかは、他の人からは形としては見えません。

そこで、心理学では、こうした形のない人間の態度や行動を測定するために、

質問文とその選択肢からなる質問紙(調査票)を使用する「質問紙法」という方

法を考えだしました。例えば「好意度」の場合、質問文を「問.あなたは、この

製品について、どの程度お好きでしょうか?」として、選択肢は「1.非常に好

き、2.好き、3.どちらとも言えない、4.嫌い、5.非常に嫌い」とします。

この態度を測るものさしを、心理学では「態度尺度」と言い、大きくは、絶対

的な評価を測る絶対尺度と、(他と比較した)相対的な評価を測る相対尺度があり

ます。様々な尺度があるので、質問の目的によって使い分けることが重要です。

✎COLUMN

尺度の種類

絶対尺度 連続尺度 「あなたは××(製品名)をどの程度好きでしょうか? 100点満点でお答えください」というように、連続した数値で測定する方法です。

上記の質問に対して、「1.非常に好き、2.やや好き、3.どちらとも言えない、4.やや嫌い、5.全く嫌い」といった選択肢から回答してもらう方法です。

製品Aに対する複数の評価文(例えば、「製品Aは品質がよい」「製品Aをよくお店で見かける」など)に対して「非常にそう思う~全くそうは思わない」と同意・不同意の程度を5点尺度の評点でスコア化して総合点を出す方法です。

「好き~嫌い」「親しみやすい~親しみにくい」「明るい~暗い」など対極となる形容詞を7点尺度評価したものをスコア化して、平均値や中央値で比較する方法です。製品イメージや広告評価でよく使われます。

相対尺度 一対比較 「どちらが好きですか」というように、2つの選択肢から選んでもらう方法です。

順位尺度 「好きな順番をお答えください」と好きな順番にランキングしてもらう方法です。

例えば「10個買う場合、何を何個ずつ買うでしょうか? 例えば商品Aを7個、商品Bを3個というようにお答えください」というように聞く方法です。

定和配分(定数配分、ConstantSum)

SD(セマンティック・ディファレンシャル)法

カテゴリー尺度としてのヘドニック尺度

リッカート尺度(評点総和法)

因果関係を読み解く基礎・測定論①信頼性と妥当性

質問調査では、測定誤差を小さくするために、ものさしとしての「調査票」の

役割が非常に重要になってきます。そうした測定の正しさを判断する基準として、

信頼性(reliability)と妥当性(validity)があります。

測定の妥当性というのは、測定に使っている「ものさし」そのものが適切かど

うかということです。例えるなら「身長を測ろうとしているのに、身長計ではな

く、体重計を使っていないか?」と言うことです。身長や体重なら、測定する対

象の内容がわかりやすく、誰が考えても身長を体重計で測ったりはしませんが、

マーケティング活動となると、話はそう簡単ではありません。例えば、顧客ロイ

ヤルティ(企業やブランド、製品等に対する顧客の忠誠度)を測るには、「××社

をどのくらい好きですか」と聞けばよいのでしょうか? あるいは「今後もその

会社の商品を買うつもりですか」の方が望ましいでしょうか?

測定の妥当性は、調査の目的や、言葉の定義によって左右されると言えます。

一方、測定の信頼性は、測定に使っている「ものさし」の目盛が正しいかどう

かということです。ものさしの目盛の幅が等間隔でなかったり、曲がっていた場

合、正確には測れません。逆に目盛が正しいと、何度測定しても同じ結果が出ま

す。同じ結果の「再現性」があるということです。つまり、測定の信頼性とは、

正確に測定できる程度を意味します。調査票を作成する時は、誤差を少なくする

調査票の作成方法に留意しながら、質問文の妥当性と信頼性を常に意識して作成

することが大切です。

なお、妥当性の評価方法には表面的妥当性や内容的妥当性など、信頼性の評価

方法には再テスト法や折半法などがそれぞれあります。

✎COLUMN

※この他に、Qソート尺度やマグニチュード尺度などがある。

マケリサーチ第2章_v3 09.11.13 16:25 ページ56

Page 19: 図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本(4)

第2章

企画

かもしれません。しかし、解析ソフトを使った具体的作業は、その担当者に任せる

としても、少なくとも課題解決のための「企画書」を作成する上で必要なおのおの

の手法の目的は理解しておくことが大切です。

確かに単純なクロス集計表だけでも多くのことがわかりますが、課題解決をする

上でクロス集計表ではわからないこともまた多くあります。特に因果関係を調べる

リサーチではそうです。様々な分析手法について本書の第4章で説明しますので、

データ分析はクロス集計表で十分であると考えないで、リサーチャーとして多変量

解析の修得も心がけてください。

リサーチャーとは、マーケティングも多変量解析も幅広く勉強しなければいけな

い忙しい仕事なのです。

2-7 「分析デザイン」の書き方

5958

2-7「分析デザイン」の書き方「分析デザイン」の書き方

省略されることも多いですが、課題解決の方向性を示すためにも、企画書では

「分析デザイン」を提示しましょう。

課題解決の方向性を示し、調査項目を明確にするために

ここまで説明してきた調査デザインでは、誰に、どんな方法で、どんなことを調

査するかを決めました。一方、そうした調査で得られたデータをどのように分析す

るか、分析方法を決めるのが、分析デザインです。

「調査すれば課題が解決されるだろう」ということで、分析デザインについて言

及していない企画書も多く見かけます。しかし、クライアントにとっては、調査デ

ザインで示された調査によって得られたデータを使って、どのような分析を行うか

まで説明された方が、より調査の有効性を理解しやすくなります。ですから、分析

デザインはできる限り図表を使って、アウトプット・イメージが理解しやすいよう

に具体的に提示する方が望ましいでしょう。

また、この分析デザインをできる限り詳しく描くことは、調査プロジェクトをよ

り成功に近づけることにもなります。なぜならば、分析方法がクリアになれば、調

査側が収集すべき情報がより明確になるからです。そうなれば、対象者の負担にな

り、データの質に影響を与えるような不必要な質問をなくすこともできます。

リサーチャーはたくさんの分析方法を知っておくべき

ここで留意する点は、課題解決の方法が1つではないのと同様、適用する分析方法

も1つではないことです。費用や時間、調査実施上の制限のある中で、最善のものを

選択することが重要です。ただし、リサーチャーの力量によって、最適でなかった

り、過った方法が取られることは避けるべきでしょう。

このように、課題に応じて最適な分析手法を選ぶには、基本的なものから高度な

技法に至るまで、幅広い手法を知っている必要があります。リサーチャーの中には、

「複雑な統計解析は、その専門の担当者に任せておく仕事だ」と思っている人もいる

分析デザインの例

全体好意度 TOP 2 BOXES (%)TOP BOX (%)平均点 (点)購入意向 TOP 2 BOXES (%)TOP BOX (%)平均点 (点)

n

ConceptP

Q

ConceptQ

R

ConceptR

200 200 200

有意水準5% 検定はP/Q/R

100

90

80

安すぎる 安い 高い 高すぎる

70

60

50

40

30

20

10

0250 260 270 280 290 300 310 320 330 340 350

調査目的●消費者受容性をチェック→ 全体好意度と購入意欲の割合、差の検定

●最適価格の特定 → PSM(価格感受性分析)

分析

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第2章

企画

見積もりができてこそ1人前のリサーチャー

このような事情から、調査企画書においては、見積もりやスケジュールの項目も

決して軽視できない存在となっています。

見積もりの費用項目を特定するには、調査の作業プロセスを理解している必要が

あります。それゆえに、見積もりができて、はじめて1人前のリサーチャーと言える

でしょう。

具体的には、見積もりの項目には次のようなものが含まれます。ただし、データ

収集方法によっても若干異なります(図参照)。

¡企画費……………調査票作成を含む調査設計の作業費です。

¡実査費……………実際のデータ収集のための作業に要する費用を含みます。

調査票の印刷や、訪問面接調査では、調査員への手当て、

会場調査では、会場使用料などが含まれます。

¡集計・分析費……データを集計するための費用です。主に、クロス集計表の

形で納品されます。

¡報告書作成費……報告書の執筆や報告書に含まれるグラフ作成などの主に人

件費からなります。

これらの費用計算は、主に作業に関わるリサーチャーの1日あたりの人件費に、作

業に要した日数がベースになります。会場費や交通費などは実費で加算します。

さらに、調査会社の場合は、これらの合計に販売管理費として10%~20%ぐら

いを加算して、調査費用合計を出します。クライアントへの請求金額は、これに消

費税を加えたものになります。

スケジュール管理はビジネスの基本

一方、マーケティング・リサーチにかかる時間は、企画が採用された後の、実査、

分析、報告のそれぞれのプロセスにかかる時間の合計となります。したがって、実

際に調査にかかるスケジュールは、どのデータ収集方法を採用するかによっても異

なります(具体的にどの調査方法を採用するとどのくらいのスケジュールが必要か

2-8 「見積もり」と「スケジュール」の書き方

6160

2-8「見積もり」と「スケジュール」の書き方「見積もり」と「スケジュール」の書き方調査目的の達成とともに、費用や時間の管理も、ビジネス・リサーチにおいては

重要な要素です。

費用や時間も重要な判断基準

マーケティング・リサーチ業務において、本来、企画の良し悪しは「マーケティ

ング課題の有効な解を得ることができるかどうか」が判断基準となります。

しかし、マーケティング・リサーチもまた「ビジネス」である以上、そうした本来の価値だ

けでなく、費用と時間も重要なポイントとなります。いくら有効な解を発見することがで

きたとしても、調査予算をオーバーしたり、調査に時間がかかりすぎて次のマーケティン

グ活動の意思決定に間に合わなかった場合、そのビジネス価値はゼロになるのです。

時間とお金をかければ実行可能になる調査デザインは数多くあります。しかし、

机上の理想的な「調査デザイン」は、ビジネスの場では無意味なのです。

実際には、例えば「意思決定のタイミングまでに間に合わない」とか「テスト製

品が完成できない」ということで、調査が実施されないケースも多くあります。ま

た、また「予算がない」ということで、最善の調査デザインをあきらめ次善の調査

デザインで実施しなければいけないことも、現実の調査では多く起こります。

このように、調査デザインの正解は1つではありません。課題の解決力と、費用、

タイミングのトレードオフの関係の中で、最善のものが選択されるのです。

特に調査会社の場合、コンペに勝つ企画書でなければいけませんが、最善のデザ

インが常に勝つとは限りません。厳しい経済環境下では、特に「費用対効果」のバ

ランスが重要です。競合他社と差別化できる方法や分析手法が提案できれば少々価

格が高くても大丈夫かもしれませんが、差別化する付加価値が調査デザインの中に

なければ(事実ないことが多い)、サプライヤー*の選定は、価格やクライアントと

の過去の実績に左右されがちです。調査の現場では、「最善の調査デザインをベス

ト・プライスで」の提案が求められるのです。

*サプライヤー ここでは、調達業務を受注する調査会社のこと。業者やベンダーとも呼ばれる。

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第2章

企画

2-8 「見積もり」と「スケジュール」の書き方

6362

については、後ほど、第3章にて解説します。

ただし、スケジュールについては依頼者から「いつまでに」という指定がある場

合もありますので、その場合は、その時間内で実現可能な調査デザインをしておく

必要があります。

この際、ただ企画を通すためだけに、時間的に実現不可能な調査デザインを提案

してはいけません。なぜなら、一度決めたスケジュールは、厳守すべきだからです。

企画から、実査、集計・分析、報告書へと進行する業務スケジュールを管理し、

納期を厳守することは、リサーチャーにとって基本事項です。極端に言えば、依頼

者との信頼関係を維持するためには、少々調査デザインの中身が悪くても、納期内

に納品をすることが最重要だと考えてください。

2-8 「見積もり」と「スケジュール」の書き方

各データ収集方法の特有の費用項目

見積もり書の例(会場テストの場合)

小計営業管理費(15%)対象者謝礼費 謝礼費合計(消費税を除く)

実査費

企画費

報告書作成費報告書作成費

集計費

内訳 金額

集計計画費プログラム費パンチ入力費集計費自由回答処理費(3箇所)

実施準備費社員作業費リクルーター費調査員費会場費交通費運搬費レンタル費/雑費

調査設計費(調査票作成・印刷費含む)

項目N=200 単価 数量

●インターネット調査

・質問数Xサンプルサイズから出される基本費用

・スクリーニング事前調査費用(質問数×サンプルサイズベース)

・ターゲット・モニタの利用料

・スクリーニングデータマッチング

・ASCII形式変換費

・サンプル割付費用

・Web画面作成

・基本セル数までの割付費用

・基本画像数までの画像挿入費用

●訪問面接調査

・調査準備内勤費

・回収手当

・調査員交通費

・フィールド・スーパーバイザー費

・調査票印刷、呈示カード印刷

・検票内勤費

・その他(実査外注費、出張交通費、出張宿泊費、出張社員日当)

●郵送調査

・印刷費用(調査票、依頼状、返信用封筒、お礼状)

・宛名ラベル(謝礼発送用)

・封入手数料(宛名印刷含)

・作業費(調査票発送、調査票回収、謝礼品発送)

・リストクリーニング回収(開封~回収表更新、割り付け確認)

・謝礼品発送準備

●グループ・インタビュー

・企画費(ディスカッション・ガイド作成費)

・実査費(リクルート費、モデレーター手当、打ち合わせ費、速記者手当て、速記録

作成費、同時通訳費、アシスタントスタッフ費、ケータリング費、謝礼、会場費、

コピー代、交通費、郵便代など)

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Page 22: 図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本(4)

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企画書チェック・リスト

□マーケティング課題と調査課題との間にズレがないでしょうか?

□調査目的を狭めていないでしょうか? 逆に余分なことを調査目的に含めてい

ないでしょうか?

□もっとも効率よくマーケティング課題を解決できるアクショナブルな解答が出

るような調査目的になっているでしょうか? 「……に役立つ資料や情報を収

集するために調査を行う」といった漠然とした調査目的になっていないでしょ

うか?

□定性調査と定量調査を同時に行う場合は、それぞれの目的と両者の関連性が明

確になっているでしょうか? なぜ定性調査が定量調査の前に行われ、どのよ

うに定量調査に活用されるのかについて明確に書かれているでしょうか?

□調査目的を達成するための調査デザインは適切でしょうか?

□必要があれば、代替の調査デザインを提示しましたか?

□対象者の条件設定や人数、データ収集の方法は適切でしょうか?

□調査項目と調査目的との関連性はクリアでしょうか? 何のためにその調査項

目があるのか明らかでしょうか?

□抜けている重要な調査項目はないでしょうか?

□質問数は適切でしょうか?

□質問の選択肢が適切でしょうか?

□自由回答の数はどうでしょうか?

□調査項目と分析方法、アウトプット・イメージがクリアでしょうか?

□読み手の立場に立って企画したでしょうか?

□企画書のタイトルを魅力的なものにしましたか?

□目次、ページ番号は付けたでしょうか?

□必要であれば、参考資料を添付しましたか?

□スケジュールは次のアクションを考えた場合、適切でしょうか?

□費用はリーズナブルでしょうか?

□重要な費用項目や金額の大きな項目を落としていないでしょうか?

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