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池袋物理学勉強会(13)
高橋康 量子力学を学ぶための解析力学入門第6章 位相空間
@gm3d2Jan. 21, 2015
池袋バイナリ勉強会会場
座標による力学系の記述例:N個の粒子からなる系
● もともとのNewtonの運動方程式;
各x_i(t)に関する個別の方程式● Lagrangeの立場:N個の点の座標をすべて対等に一般
化座標q_iとして扱う● Hamiltonの立場:
q_iに加えてp_iも正準座標として扱う
例:一次元上の2粒子の記述
x1(t)、x2(t)が変数
衝突前
衝突後● Lagrangeの立場: q = (x1, x2)平面内での運動
(テキストの図6.1)● Hamiltonの立場: (x1, x2, p1, p2)空間内での運
動(図示は4次元になるので面倒)
位相空間● 位相空間(phase space):Hamilton形式での正準変
数(q, p)による記述
注: 数学用語の位相空間(topological space)とは無関係
● 位相空間の一点→ある時刻における系の状態(代表点)
● 代表点は初期位置と初期運動量の情報を持つ→ある代表点の運動は(Hamiltonianによって)一意に決まる
例● 一次元調和振動子準
● 前章によると、任意の物理量Oに対して
● 陽に時間を含まないHamiltonianは保存する● H = E (定数): 代表点が通る位相空間の軌道
(トラジェクトリ)は半径√2Eの円
変数変換
(6.2)
: 正準変換
HamiltonianをE、θで表す
(5.8)
θは循環座標
正準方程式:
角速度-1(右回り)で等速回転、Eに無関係
E
θ
0 2π
4章例2(p.67)のPoincare変換と同じ(sinとcosが逆になっているが)
微小面積要素● 点(q, p)でq、pをdq、dpだけ変化させる
(q, p)、(q+dq, p)、(q, p+dp), (q+dq, p+dp)がなす4角形の面積を考える
● 正準変換で対応する(E, θ)において、同じく上の4角形に対応する4角形の面積を考える
微小面積の計算● :pを固定してqをdqだけ変えたときの
(E, θ)の変化 ● : 同様にq固定、pをdpだけ変える● この傾いた長方形の面積を求める● この例では(q, p)も(E, θ)も局所的には直交座標● 一般には直交座標を正準変換で写すと曲線座標
であり、局所的には斜行座標となる
微小面積の計算(2)● 平行移動しても面積には影響がないので点A'を原
点に持ってくる
O
面積dS (一般の平行四辺形でも成立)
dq, dpとdE, dθの関係
:(q, p)→(E, θ)変換のJacobi行列
: 逆変換のJacobi行列
Jacobi行列の行列式: Jacobian(J)
逆変換のJacobianは1/Jになる
(q, p)と(E, θ)の関係は複雑な非線形関数だが、(dq, dp)と(dE, dθ)に注目すると線形な関係が成り立つことに注意
の計算
写像によって面積要素を写すとJ倍に拡大される
Jacobi行列の計算● 逆変換の方が楽なのでそれで計算しておく
● 面積要素は正準変換に対して不変
Liouville(リウヴィユ)の定理
前節の結果を一般化● 位相空間の体積要素は正準変換に対して不変
→ Liouvilleの定理 正準変換ではJ=1
一般の次元でのJ = 1の証明
● まず位相空間に限らず、一般の座標空間での無限小座標変換x_i→X_iと、それに伴うJacobi行列を考える
一般の次元でのJ = 1の証明(2)
● 無限小正準変換に適用すると
非圧縮性流体との類似
● 時間発展も正準変換の一種(4章例5)
Hが正準変換の母関数Gの役割を果たす
● 位相空間内での各点(q, p)において、その点の移動速度 を考える…速度場
● 速度場の発散 →非圧縮性流体
非圧縮性流体との類似
● ある時刻にある点(q, p)に存在した微小面積は時間とともに位相空間内を移動し、形も正方形から平行四辺形に変形するが、面積は変わらない
● 有限領域→変形はするが体積は不変
作用積分
● 積分は運動の一周期にわたって行う● 位相空間での軌道が囲む面積● 調和振動子の例では 2πE● 前期量子論では、これを用いて「量子化規則」
を定式化した