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これからの 学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DB を事例として 東京大学大学院情報学環特任准教授 一般財団法人人文情報学研究所主席研究員 SAT大蔵経DB技術担当 永崎研宣

これからの学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DBを事例として

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Page 1: これからの学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DBを事例として

これからの学術デジタル・アーカイブ

SAT大蔵経DBを事例として

東京大学大学院情報学環特任准教授

一般財団法人人文情報学研究所主席研究員

SAT大蔵経DB技術担当

永崎研宣

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学術デジタル・アーカイブのポイント

学術デジタル・アーカイブ

学術DAの利活用

学術DAの構築

学術DAの運用

学術DAの成果発信

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デジタル・ヒューマニティーズ(デジタル人文学・人文情報学)としての学術DA

• 構築

• 運用

• 利活用

• 成果発信

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事例:SAT大蔵経DB

• 代表:下田正弘(東大大学院人文社会系研究科)

• 1994年に開始され現在も継続しているプロジェクト

• 大正新脩大藏經を基礎としたデジタル研究環境の構築

• 2007年に1億字強のテクストデータベースを完成• 200人以上/13年/約6億円

• 2008年に連携型Webサービスを開始

• 以降、様々なデータベース/コンテンツとの連携• 英語電子仏教辞典、CiNii、英訳大蔵経、ハレ大、ハンブルク大、コロンビア大、高麗大蔵経研究所、東大付属図書館、東京文化財研究所…

• ⇒「横断型デジタルアーカイブ」

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DHにおける学術DAの構築

• モデル・メタデータの設計

• テクストのデジタル化

• 画像のデジタル化

• データベースの構築

• インターフェイスの設計・実装

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モデル・メタデータの設計

• 業界国際標準である大正新脩大藏經参照モデルをデジタルでも踏襲

• ⇒すでに『大正新脩大藏經』が業界国際標準を確立していた

• 淵源は、4世紀末釋道安による綜理衆經目録

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テクストのデジタル化

• 最初はフロッピーディスクによる交換• ⇒ニフティサーブ⇒インターネットメール

• 2005年、Webコラボレーションシステムを開発・導入。• 以降、ほとんどの作業はWebコラボレーションシステムによる。

• クラウドソーシングによる近デジ資料のテクスト翻刻を検討中⇒「翻デジ+Crowd4u」(次スライドに画像)

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テクストのデジタル化

• 最初はフロッピーディスクによる交換• ⇒ニフティサーブ⇒インターネットメール

• 2005年、Webコラボレーションシステムを開発・導入。• 以降、ほとんどの作業はWebコラボレーションシステムによる。

• クラウドソーシングによる近デジ資料のテクスト翻刻を検討中⇒「翻デジ+Crowd4u」

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画像のデジタル化

• 1枚104円で8000万画素のデジタル撮影を発注• 約20万枚

• 600/400dpiの内製デジタル化

• OpenSeaDragonビューワの採用/IIIFの試験採用

• 東大付属図書館所蔵大蔵経を協働でCC BYで公開• ⇒オープンデータ化

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画像のデジタル化

• 1枚104円で8000万画素のデジタル撮影を発注

• 600/400dpiの内製デジタル化

• OpenSeaDragonビューワの採用/IIIFの試験採用

Page 11: これからの学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DBを事例として

画像のデジタル化

• 1枚104円で8000万画素のデジタル撮影を発注

• 600/400dpiの内製デジタル化

• OpenSeaDragonビューワの採用/IIIFの試験採用

Page 12: これからの学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DBを事例として

画像のデジタル化

• 1枚104円で8000万画素のデジタル撮影を発注

• 600/400dpiの内製デジタル化

• OpenSeaDragonビューワの採用/IIIFの試験採用

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 日本デジタル・ヒューマニティーズ学会設立を支援

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 日本デジタル・ヒューマニティーズ学会設立を支援

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

科学研究費基盤研究(S)として採択

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

ジャパンナレッジ「仏教語大辞典」との連携

本文をドラッグすると見出し語を検索&リスト

見出し語をクリックすると契約利用者は内容を閲覧

コンテンツ制作者への適切な対価/有料-無料コンテンツの効果的な架橋

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

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DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

Page 21: これからの学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DBを事例として

DHにおける学術DAの運用

• 人材確保• 継続的な育成と有能な人材を発掘するための情報交換や場の設定

• 例:東京大学大学院DH横断プログラム/大学院人文社会系研究科人文情報学拠点

• 資金調達• 構築・運用をも「研究」として成果発信していくことで科研費基盤研究等の確保

• 利用者・利用組織への課金は?

• 技術の進歩にあわせた改良• 高度な機能がどんどん安価になっていくので適宜対応• 他のDAとの連携や横断的利用への対応のため

より細かな粒度で

様々なバージョンの仏典テクスト・画像資料を

対応付ける

文献学的に配慮された資料提供を基盤とする

より高度なデジタル研究環境の構築

Page 22: これからの学術デジタル・アーカイブ SAT大蔵経DBを事例として

DHにおける学術DAの利活用

• 専門家による利活用• 研究成果に向けた専門的な利活用• 教育のための利活用• 一般向けのための翻案

• 専門家でない人たちによる利活用• 趣味としての利活用• 教育・啓蒙のための利活用

• 教材としての活用

• 複数・多くのDAを横断的に活用する/されるように• ⇒「構築」「運用」に戻る(例:TEI、IIIF)

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DHにおける学術DAの利活用

• 専門家による利活用• 研究成果に向けた専門的な利活用• 教育のための利活用• 一般向けのための翻案

• 専門家でない人たちによる利活用• 教育のための利活用

• 教材としての活用

• 複数・多くのDAを横断的に活用• ⇒「構築」「運用」に戻る(例:TEI、IIIF)

SAT大蔵経DBによる取組み

• 利便性を高める様々な(連携)機能の継続的な追加

• 他のDAから使われるように/明示的に使うように• Web API的な機能の提供• 色々な他のDAとの実践的な連携

• 各地でのSATDB利用者講習会開催• 北海道大学/駒澤大学/国際仏教学大学院大学/京都大学/ライデ

ン大学/東京大学/UCバークレー/浄土宗総合研究所/曹洞宗総合研究センター/浄土真宗本願寺派総合研究所/

• 論文等での利用の明示のお願い

• 英語利用者への様々な対応(英語で漢文を検索等)• 現代日本語訳仏典の公開(今年度中に一部公開予定)

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DHにおける学術DAの成果発信

• 「活用されたこと」の成果発信

• 「学術DAの構築運用」を学術成果として発表• デジタル・ヒューマニティーズ関連学会での発表

• ADHO主催学会2016年ポーランド、2017年カナダ• JADH主催学会2016年東京大学:発表募集中• 「じんもんこんシンポジウム」(年1回)• 情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(年4回)

• 各種学会誌(オックスフォード大学出版局等)• ⇒デジタル・ヒューマニティーズの文脈にきちんとのせる必要がある

• Webでの情報発信

• その他一般媒体での発信

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SAT Webサーバへのアクセス記録より

2013年度

月間30万~70万件

(検索ロボット含めば

200万~600万件)

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DHにおける学術DAの成果発信

• 「活用されたこと」の成果発信

• 「学術DAの構築に関する」成果発信• デジタル・ヒューマニティーズ関連学会での発表

• ADHO主催学会2016年ポーランド、2017年カナダ

• JADH主催学会2016年東京大学:発表募集中

• 「じんもんこんシンポジウム」(年1回)

• 情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(年4回)

• 各種学会誌(オックスフォード大学出版局等)

• Webでの情報発信

• その他一般媒体での発信

プロジェクトのWebサイトに「自らのDA構築に関わる」学会発表・論文等の成果をリスト

※欧米・台湾等のDHプロジェクトでは割とやら

れているようです

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DHにおける学術DAの成果発信

• 「活用されたこと」の成果発信

• 「学術DAの構築に関する」成果発信• デジタル・ヒューマニティーズ関連学会での発表

• ADHO主催学会2016年ポーランド、2017年カナダ

• JADH主催学会2016年東京大学:発表募集中

• 「じんもんこんシンポジウム」(年1回)

• 情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(年4回)

• 各種学会誌(オックスフォード大学出版局等)

• Webでの情報発信

• その他一般媒体での発信

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ご相談に乗りますのでぜひお声をおかけください。