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naruhiko-ogasawara
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1NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice~ 自由なオフィス統合環境と そのアクセシビリティ事情〜おがさわら なるひこLibreOffice 日本語チーム
2NVDA World 2015 Tokyo
今日のお話の内容LibreOffice ってなにLibreOffice に見るオープンソースのエコシステムLibreOffice とアクセシビリティ
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ってなに?
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には二つの意味があるプロダクト:
自由なオフィススィートコミュニティ :
世界中で活動している、透明でオープンなコミュニティオフィススィートである LibreOffice を提供するのが目的
5NVDA World 2015 Tokyo
素晴らしい自由なオフィス統合環境としての
6NVDA World 2015 Tokyo
概要Libre (フランス語・りぶれ) ~= 自由マルチプラットフォームWindows, Mac OS X, GNU/LinuxOS X 版は App Store でインストール可能にAndroid 版 LibreOffice Viewer 開発中 (β 利用可能 )Cloud 版開発のための合弁会社設立 ( 年内 α 目標 )ポータブルバージョン (Windows のみ )NVDA のポータブル版と同じ多言語対応119 言語サポート/対応言語を増やすことも可能
7NVDA World 2015 Tokyo
Open Document Format (ODF) と相互運用性ODF = LibreOffice の標準ファイル形式OASIS で定義されている最新は 1.2 (ISO/IEC 26300:2015)イギリス政府の公式文書形式完全にベンダーフリーLibreOffice 以外にも Google Drive 、 MS Office (2013 以上 ) なども対応しているその他の重要な相互運用のための機能ハイブリッド PDF 書き出し機能ODF を埋め込んだ PDF を作成できるMS Office ファイル(新形式・旧形式)読み込み・書き出しその他さまざまなファイル形式を読み書きできる
8NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice はMicrosoft Office 互換ソフトウェアなの?いいえ。 LibreOffice は Microsoft Office の互換品ではありません。「無料の MS Office もどき」っていわないでください!でもオフィス統合環境を MS Office からLibreOffice に移行することはできる日常使う機能はほとんどカバーしているファイルの読み書きも工夫次第移行の手間はタダじゃない知的財産(文書)を私企業の活動から自由にできる、のが最大のメリット!
See https://wiki.documentfoundation.org/images/8/84/MigrationLibreOffice-ja.pdf
9NVDA World 2015 Tokyo
機能 LibreOffice MS Officeワープロ Writer Word表計算 Calc Excelプレゼン Impress PowerPoint図形描画 Draw Visioデータベース Base Access
数式 Math 数式エディタ
と MS Office を比べてみる
PowerPoint や Visio は高いから、無理にポスターやプレゼンテーションを Word や Excel で作っていませんか?
10NVDA World 2015 Tokyo
タイムベースリリース「早さは正義」が俺達の信念
開発者に優しい!変更に対するフィードバックをすぐに受けられる不具合があった場合はすぐに直すことができる(かも)
See: http://wiki.documentfoundation.org /ReleasePlan
master
保守的
ベータ
RC
早いも
の
好き
推奨
.0
.2 or .3
.4++
4.4EOL: 4.4.6
(2015/11/18)
now2015-9
time
SOL = リリース (Start of Life)EOL = サポート終了 (End of Life)
5.0EOL: 5.0.6
(2016/05/29)
5.1 → SOL: 2016/02?
半年に一度のメジャーリリース
(機能追加) 毎月のマイナーリリース
(不具合修正)
毎月のマイナーリリース
(不具合修正)
毎月のマイナーリリース
(不具合修正)
11NVDA World 2015 Tokyo
バージョン番号の読み方などのバージョン付ルール
5.0.1.2MAJOR MINOR SUFFIX
MAJOR: 機能の追加変更・細かいバグ修正。6 ヶ月に一度リリース
MINOR: 大きな不具合と翻訳の修正。毎月リリース
SUFFIX: 「テスト用に何回リリースされたか」を示すだけで利用者には不要
今のバージョンは5.0.1
「 LibreOffice について」がNVDA などで読み上げ可能かは把握してません。すみません。
12NVDA World 2015 Tokyo
透明性の高くオープンで活発なコミュニティ
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LibreOffice の立場すべての人が無料でオフィススイートを利用できるようにすることによって、パソコンやインターネットなどを使える人と使えない人の間に生まれる格差(デジタルデバイド)をなくし、誰もが 21 世紀の市民として社会参加できるようにします。
TDF マニフェスト (Next Decade Manifest)https://wiki.documentfoundation.org/TDF/Next_Decade_Manifesto/ja
すべての人が、負担のない形で、自分たちの知的所有物を自由に共有できる
14NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice, OpenOffice.orgそして Apache OpenOfficeLibreOffice は :OpenOffice.org の息子Apache OpenOffice のお兄さん
コードベースは元々同じ (OOo)でも完全に異なるプロジェクトAOO はほぼ死んでいるので、名前に惑わされないで!
分岐Oracle から寄贈
OpenOffice.orgLibreOffice
ApacheOpenOffice
15NVDA World 2015 Tokyo
The Document Foundation (TDF)TDF とは?コミュニティの法的な後ろ盾ドイツで認定された非営利組織目的:オープンな標準に基づき、誰でも自由に用いることができるオフィスソフトウェアを育み、開発することベンダー独立 :アドバイザリーボード (※) は助言機関であり意思決定には参画しないすべてがオープン(ごく一部を除き)議論や決定は全員が参照できる
(※) Google, Red Hat, SUSE, SPI, FSF, Intel, Lanedo, MIMO, KACST, AMD, Collabora, CloudOn, Studio Storti, ITOMIG, CIB Software, ミュンヘン市
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急速に成長するコミュニティSe
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月ごとの開発者数(累積)
New Developers Old Developers
毎月一定数ずつ新規の開発者が増えている
スライド「 Measuring the growth of LibreOffice developer's base 」よりhttps://speakerdeck.com/flossmetrics/measuring-the-growth-of-libreoffice-developers-base
17NVDA World 2015 Tokyo
特定の開発者に依存しない、誰でも参加可能2014 年 9月〜 2015 年 8月でボランティアによるコミット (※) は約 25%オープンソースをビジネスとする企業から中堅 IT ベンダ、地方自治体まで
所属別コミット数
RedHatCollaboraVolunteersCanonicalOther
(※) 新機能追加や不具合修正のためのコード修正の一つの単位
左の「 Other 」を更に分析したもの
Munich CIB
Igalia ALTA
SYNERZIP Ericsson
SIL Apache Volunteer
MultiCoreWare ITOMIG
SUSE IBM
Libre Data Consultancy Services CloudOn
Nou & Off Linagora
Sonicle
18NVDA World 2015 Tokyo
オープンで活発、かつスピーディな開発ML や IRC によるオープンな議論Gerrit を用いた素早いコードレビューWeb サービス Pootle による手軽な翻訳タイムベースリリースを活かしたQA古い / もう使われていないコードの除去などEasy Hacks という開発の入り口入門開発者のための「簡単に直せるバグ」一覧https://wiki.documentfoundation.org/Development/Easy_Hacks
19NVDA World 2015 Tokyo
このコミュニティはステキ だぜ!毎年、ヨーロッパで開催されるLibreOffice Conference今年で第 5回デンマーク、オーフス2015 年 9月 22 日〜 25 日普段ネット越しでしか話していない人たちと会ってビール飲むのが楽しみです
Thanks for Florian Effenberger and his nice slide:https://speakerdeck.com/floeff/ the-document-foundation-the-open-transparent-and-meritocratic-future-of-free-office-software
20NVDA World 2015 Tokyo
に見るオープンソースソフトウェアのエコシステム
21NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice を開発しているのは誰?明確に「誰」とは言えない(多分)意図的TDF は開発者を雇用していないインフラやマーケティングといった「縁の下の力持ち」を担っているTDF はドイツの財団だが、コミュニティで活動しているメンバーは世界中に散らばっているヨーロッパ・ブラジルが盛ん称して[グローバルコミュニティ」公用語は英語のような何か
22NVDA World 2015 Tokyo
誰もが機能を追加でき、不具合を修正できるその思惑も多種多様LibreOffice やその他 OSS のサポートを売っている企業LibreOffice を用いたシステム開発をしている企業LibreOffice をよりよく使いたいユーザーたちオープンソースに参加して履歴書に書きたい学生理念に共感、趣味、…
23NVDA World 2015 Tokyo
主体的に関わることで自分の望みが叶う「チャンスがある」のが OSS商用オフィスソフトのサポートはあなたの困った不具合を修正してくれましたか?あなたの欲しい機能を作ってくれましたか?サポートがあるから安心?LibreOffice なら、自分から働きかけられる自分でやるのが一番早くて確実希望を伝え共感した人に手伝ってもらっても面白そう!と思ってもらった人に作ってもらっても誰かにお金を払って実現してもらっても
人手か共感かお金かなにかを提供すればいい
24NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice の Native Language Project とLibreOffice 日本語チームLibreOffice の理念「使える人と使えない人の格差をなくす」を実現するには、母語のコミュニティと開発コミュニティの橋渡しをする役割が必要Native Language ProjectLibreOffice の理念に共感し、母語のコミュニティを支えるプロジェクトLibreOffice 日本語チームNLP の一つとして、日本語コミュニティを支援するためのチーム種々の活動の地ならしがミッションであり、日本語チームがすべての活動をするわけではない
25NVDA World 2015 Tokyo
日本における LibreOffice の活動UI/ヘルプ /Webページ / 文書 (Wiki) の翻訳メーリングリスト (※) ・質問サイト (☆) による日本語ユーザーのためのユーザー相互サポート日本からの問い合わせ・機能追加要求・不具合報告をグローバルに伝えて議論日本ならではの問題を自ら解決できる開発者の育成まだあまりできてないです……
(※) https://ja.libreoffice.org/get-help/mailing-lists/(☆) https://ask.libreoffice.org
26NVDA World 2015 Tokyo
例として UI の翻訳の話とか画面上の文字列( NVDA で読み上げられる)を英語から日本語に翻訳する作業自体は Web アプリケーションで行うhttp://translations.documentfoundation.org/翻訳は「誰でも」提案できるオフィス統合環境はいろんな機能があるため、人によって得意な分野が違うのでいろんな提案を受け付けたほうがいい提案した翻訳は査読権限がある人が査読査読された用語は自動的に次のリリースに入る査読者は提案を却下することもできる
Save Contentsas well
内容を保存する
内容も保存
内容を保存する
内容も保存
内容を保存する
内容も保存
27NVDA World 2015 Tokyo
UI 翻訳の話(続き)査読できる人とできない人がいるどうやって決めている?翻訳コーディネーターのお仕事これは LibreOffice 日本語チームの責務今のところ私ともう一人作業の実績(量と質)から判断コーディネーターは翻訳の作業そのものについては一査読者に過ぎない判断に悩んだときは公開の ML で相談決まった内容をルールとして明文化していくこういう議論の誘導もコーディネーターの仕事
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のアクセシビリティ
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基本的な情報公式ページから「ヘルプ」▶「アクセシビリティ」http://ja.libreoffice.org/get-help/accessibility/(すみません訳が不完全です)特に読み上げソフト対応については「支援技術」http://ja.libreoffice.org/get-help/accessibility/ #_Assistive%20Technologyただ、この情報、ちょっと古いみたい……メーリングリストLibreOffice Accessibilityhttp://listarchives.libreoffice.org/global/accessibility/
30NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice のアクセシビリティ技術はやっぱりマルチプラットフォーム
スライド「 Overview and Status of LibreOffice Accessibility 」より http://conference.libreoffice.org/assets/Conference/Bern/slides/JacoboAragunde.pdf
VCLGTK+
WindowsOS X
VCL
内部アクセシビリティインターフェース
ATK
Iaccessible2NSAccessibility
NVDA
アプリケーションの見た目や
文書の構造を支援ソフトに伝える I/F
31NVDA World 2015 Tokyo
Windows では IAccessible2 を利用Java Access Bridge は 4.3 の時点で廃止IAcccessible2 (IA2)IBM が開発し公開した支援技術向けインタフェース最初からオフィス統合環境への応用を目標にオープンソースで公開、誰でもアプリに組み込める現在は The Linux Foundation の A11y WG で管理http://www.linuxfoundation.org/collaborate/ workgroups/accessibility/iaccessible2当然、 NVDA は IA2 をサポートLibreOffice は 4.3 から利用4.2 以前までの Java Access Bridge (JAB) は廃止より高いレベルの支援機能実現のためJava依存性を減らすため
32NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice IAccessible2 取り込みの道のり年月 内容2006 年 12月 IBMより IA2 のリリースと標準化団体
FSG (現 The Linux Foundation )への提供が発表?(2010 年頃 ) OpenOffice.org からソースコード提供を受けたオフィス統合環境 IBM Lotus Symphonyが IA2 をサポート2013 年 11月 Symphony のソースコードから IA2 対応のコードを移植した AOO 4.1 がリリース2014 年 1月 AOO 4.1 の開発中ソースを元に IA2 を「実験的機能」として取り込んだ LibreOffice 4.2 がリリース2014 年 7月 IA2 を正式に取り込んだ LibreOffice 4.3 がリリース。これに伴い、それまで利用していたJava Access Bridge は廃止
33NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice 4.3 の IA2 対応はなぜ揉めた(個人の感想です)のか?LibreOffice 4.2 の IA2 対応は「実験的な機能」としてリリースツール▶オプション▶詳細で「実験的な機能を有効にする」をオンにしなければ有効にならないここでバグ出しをして、 4.3 の正式版に繋げたい……という意図だったが、支援技術を必要としている人たちにアピールできていたかというと疑問4.3 から正式対応となり JABがドロップIA2関係の致命的な残障害がなかったからという理由だが、使っている人がほとんどいなかったのではここで JABを廃止したのは拙速だった気も……移行期間は回避手段があったほうがよかった?残せない理由があったのかもしれないが
34NVDA World 2015 Tokyo
LibreOffice におけるアクセシビリティの現状そもそも LibreOffice の開発者にはWindowsユーザーがほとんどいないアクセシビリティの開発も GTK+( Linux )が中心不具合報告があればチェックはするとはいえ、手慣れた環境でないと解析も難しいアクセシビリティについて熟知した開発者が少ないバグデータベースを調査(新規+未確認)Windows + accessibility = 16件NVDA = 3件思ったよりも少ないが、使われていないのかも……?
35NVDA World 2015 Tokyo
教訓:コミュニティ間の連携が重要LibreOffice コミュニティ側からの思いアクセシビリティについての変更がリリースノートにあった場合は、その是非を我々だけでは判断できない利害関係者に注意喚起すべきNVDA コミュニティはそれにふさわしい場所LibreOffice と NVDA の組み合わせで起きる不具合は、協力して解決に当たりたいLibreOffice は日本の開発者が手薄なので、アクセシビリティの問題でどこを見たらよいか?の知見を一緒にまとめたい
36NVDA World 2015 Tokyo
アクセシビリティサポートはLibreOffice の理念を支えるもの
この理念を達成するためにはNVDA コミュニティとの協力が不可欠
すべての人が無料でオフィススイートを利用できるようにすることによって、パソコンやインターネットなどを使える人と使えない人の間に生まれる格差(デジタルデバイド)をなくし、誰もが 21 世紀の市民として社会参加できるようにします。
TDF マニフェスト (Next Decade Manifest)https://wiki.documentfoundation.org/TDF/Next_Decade_Manifesto/ja
37NVDA World 2015 Tokyo
(補足:当日のデモをまとめると)Writer では操作についての NVDA での読み上げは正常に動作!文書中の表についても、セル位置読み上げも可能PDF エクスポートに際して「タグ付きPDF 」のオプションを ON にするとアクセシブルな PDF を作成可能でも MS Word だと目次情報を埋めてくれる(ラベルジャンプ可能)だけど、 LibO は埋めてくれない動くということがわかれば、次の課題が出てくるので、要望として出していきましょう
38NVDA World 2015 Tokyo
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ありがとうございました!誰もが 21 世紀の市民として社会参加できる世界を実現するよう、これからも協力させてください。LibreOffice の名前を初めて聞かれた方、ぜひ使ってみてくださいね!