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資料5 末 吉
災害の地理学(1)
1 災害と公害
災 害
自然現象(原因)→人間・土地・施設・生産物等が機能喪失・低下
人為的要因→交通災害,工場災害
公 害
工業化・都市化→汚染物や集積の不利益が発生
企 業:利潤追求のため環境保全,安全の費用を節約
国 家:公害防止政策,環境保全のための公共政策の不十分
↓
自然・生活環境の侵害:健康障害,生活困難(社会的災害)
※ 社会的損失
経済過程において生じる損失を原因者が負担しない→第三者,社会に負担転化
※ 自然災害(自然現象ではなく社会現象)
自然現象(予測可能性)→人間の生活・資産(被災対象):防災対策が可能
十分な対策にもかかわらず発生する「災害」⇒天災
メ モ:R・ルクセンブルグ『資本蓄積論 上』青木文庫,1952年
剰余労働は如何なる社会においても行われるのであって,例えば社会主義社会においても行われねばならぬであろう.というのは3つの
意味においてである.すなわち,労働しない者(労働しえない者,幼児,老人,不具者,公的役人,および生産過程に直接参加しないいわ
ゆる自由職業者)を維持する労働量として.生産物分量の年々の結果をおびやかす自然的災害(凶作,山火事,洪水)のための社会の保険
元本として.最後には,人口の増加の結果であるか欲望の文化的向上の結果であるかをとわず,生産を拡大するための元本として.
2 災害の地域性と歴史性
冷 害
江戸時代:宝暦,天明,天保→東北南部で5万人以上の死者
現 在:農業技術(耐冷品種等),流通経済,気象情報
事 例:磐城相馬藩『奥相志』天明3(1783年)年から翌年の飢饉
天明3年人口と天明6年人口の比較
参考文献:千葉徳爾「凶荒と人口減少」『歴史地理学』141,1988年
火 災
原因・規模→「火」の作り方・使い方
現 在:使用原燃料との関係(コンビナート・タンカー火災)
※ロンドン大火1666年1万3千戸→不燃都市建設
酒田大火(1976年)等,日本海側→フェーン現象
事 例:砺波平野→散村(孤立荘宅)
散村形成の要因
・飲料水(地下水)がどこでも得られる(扇状地)
・フェーンによる類焼の防止
・旧加賀藩の政策(開墾地の耕作権を保証)
・営農上の労力の節約
参考文献:藤岡謙二郎 編『最新地理学事典』大明堂,1979年
水 害
明治中期以降:河川改修(農地保全)
昭和30年代(1955年)以降:都市水害の頻発
※ 社会的属性
伊勢湾台風1959.9.26(死者5,177 全壊家屋35,125)
臨海工業地帯:埋立地背後の干拓地
被災:零細工場,勤労者,老人,子供,妊婦
鍋田干拓:農家(長野県)の二三男
1957年 諫早水害
1961年 伊那谷水害
事 例1:輪中(木曽・長良・揖斐川下流域が典型)
西濃輪中
鎌倉時代以降発達,現在80ヵ所(堤防1km~40km)
水防組織の発達,水屋,あげ舟
事 例2:信玄堤
甲府盆地 釜無川(支流:御勅使(みだい)川)流域→氾濫原
16世紀中頃 武田信玄により造築? 治水工事:霞堤,聖牛
地 震(→津波,液状化)
・プレート間地震,プレート内地震(プレートテクトニクス)
→ウェーゲナー「大陸と海洋の起源」岩波文庫
日本:プレート境界(ユーラシア,太平洋,フィリピン,北アメリカ)
・火山性地震(火山災害)
1923年 関東大震災(死者約105,000)
1995年 阪神・淡路大震災(死者6,435)
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