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物理学序論2 (電磁気学入門)
第4講 151023
静電ポテンシャル
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電 位
注: ポテンシャル(電位)を表す変数
f(r) 私の書き方
V(r) 教科書の表記
講義では両方現れるが同じもの
電位と電位差の違いに注意
電位は基準点(何処に設定しても良いが
通常はゼロになるように選ぶ)からの電位差
電圧は2カ所の電位差
電位20万ボルト 電圧0?
電磁気学のポテンシャルは,単位電荷が
持つポテンシャルエネルギー (単位J/C)
3
例1: 点電荷による電位
電場は放射状にまっすぐ広がる.
試験電荷 q0 を始点(P)から終点まで移動させる.
運動エネルギーを与えないためにゆっくりと(準静的に)動かす.
どの経路をとってもよいから,もっとも単純な道,電気力線に
沿った道(半径方向)をとる.すると
基準点を r = ∞ にとると,
例2: 複数の点電荷による電位
注目点(位置 r )から i 番目の電荷への距離を ri とすると
重ねあわせの原理により,
← 代数話
正負に帯電した2枚の平行な導体板の間の電位
図のように2枚の平行金属板 A,B に電池をつなぐと,
A(正極板側)にプラスの電荷が,B (負極板側)にマイナスの電荷が
電池より供給され,A,B 間に電場が形成される.
これにより A の B に対する電位が高まり,AB間の電位が電池電圧と
等しくなったところで平衡状態となる.
ここでの電場と電位の関係を探る.
仮 定:両極板の間隔 d は極板のサイズに比べ十分小さいとすれば,
端での電場の乱れは小さく,両極板間の電場は無限に広い平面電荷
が作る電場と同一と仮定して良い.
極板の面積を S とすると 両極板には,それぞれ Q= s S だけの
正負の電荷が存在する.
正電荷分布の作る電場 E= s/2e0 と負電荷分布の作る E= - s/2e0 の
合成電場は極板間で E= s/e0, 極板の外側でゼロとなる.
プラス1Cの電荷を負極板から正極板まで動かして電位を求める.
4 電気容量:キャパシタンス (後述)
平面電荷は
上下対称に
E = s/2e0
を作る.
リマインダー: 前回計算した
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長さ L の細い絶縁体棒が,線電荷密度lの一様な正電荷を持つ場合
棒の端点から距離dの距離にあるP点での電位を求める.
棒の端からxの距離にある微小電荷 dq=ldx のP点に作る
ポテンシャルは
重ねあわせの原理を使えば x の各点での微小電荷が
作るポテンシャルが全ポテンシャルとなるから,
注: 対数関数が出たときは,変数が必ず正であることを確認する.
また,対数値が正であるためには,変数が1より大きいこと
を確認する.
連続分布 例01: 長さLの線電荷の作るポテンシャル
連続分布の場合は積分計算が必要: クーロンの法則を使い電場を直接計算するより、ポテンシャルを計算し、
その勾配を計算する方が易しい。(例外:ガウスの法則が使えるとき)
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半径Rの円盤が電荷面密度 s で帯電している.
半径幅方向 幅 dR’ の微小リングの各点からの寄与は
P点から等距離にあるので寄与するポテンシャルは
全て同じである.このリングの持つ電荷は
リング電荷が作るポテンシャルは
したがって,円盤の全電荷がP点に作るポテンシャルは
連続分布 例02: 半径 R の帯電円盤が中心軸上に作るポテンシャル
一様な球状分布をする電荷の電場はすでにガウスの法則を適用して計算した
電場は半径方向に広がっているので が成立する
定数は(1) 無限遠で V=0 → C1=0, (2) r=a で連続という境界条件で決める
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連続分布のポテンシャル 例題03: 球状電荷分布
(電場を先に計算する方が、有利な場合)
電場 電位
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電位から電場を計算する
( )
証明: 等電位線に沿って
微小距離 dr=(dx,dy,dz) だけ動くと 。
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電位から電場を計算する.帯電円盤の例
これは,以前,クーロンの法則を使って,
直接電場を求めた式に一致する
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双極子ベクトル
大きさ: |p| = qd
方向: 負電荷から正電荷に向かう
電気双極子の作るポテンシャル
水分子: 分子サイズ ~10-10m
電気双極子: 正負の電荷を少し離して置いたもの
(3)
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注:電気双極子自体は中性であるが,
正負の電荷の位置がずれているため.電場を発生する.
正負の相殺効果により双極子による電場は 1/r3 で減少する
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遠くから見る電気双極子
近くで見る電気双極子
図2
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電場の中に置かれた双極子
には力のモーメントが働く
双極子モーメント p = qd は基本的に正負の電荷対.
方向は負の電荷から正の電荷に向かう方向
電場の中では,
正の電荷は電場の方向に F = qE の力が
負の電荷は電場と逆方向に F = - qE の力が働く
一様な電場ならば,正負の電荷に働く力は相殺し
合力はゼロ (注:非一様な電場では合力は相殺しない)
しかし,質量中心の周りにトルク が発生する.
負号を付けたのは,図では力の方向が q を小さくする方向
で,回転が時計回りだからである.ベクトルで書くと
双極子は力を受けて回転する.したがって双極子は
ポテンシャルエネルギーを持てる.
基準点を q0 = p/2 に選ぶと
物質は正電荷の原子核と負電荷の電子の雲でできている.
電場を掛けると物質(誘電体)は分極する.
また,電気的に中性な分子でも,固有の電気双極子を
持つものは多い(図を見よ).
電気的には誘電体は双極子の集合体と見なせる.
電気双極子はなぜ重要か 水分子
2011.11.11 物理学2A-01 14
静電場の持つエネルギー。
2011.11.11 物理学2A-01 15
注:コンデンサーの持つ
エネルギーから導く方が
易しい (後述)
ここは省略
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ポアソン(Poisson)の方程式
ラプラス(Laplace)の方程式 (右辺がゼロ)
電荷密度分布 が全空間で与えられているときの
ポアソン方程式の解は、
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現実には、
空間全ての電荷分布が与えられることはまず無い。
通常は加工物の中の電場を扱う。この場合、
境界面Sと、面内の電荷分布と境界での条件
が与えられて、ポアソンの方程式を解く
上の式はデカルト座標系での方程式である。
加工物は、大体 四角か、円筒形か、球形が多い。
状況に応じて デカルト座標、円柱座標、極座標を使う。
ポアソンの方程式を解くことは応用例で重要であるが
もっぱら数学の問題となるのでこれ以上深入りしない.
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導 体
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電気的には3種の物質: 導体,半導体,誘電体 (絶縁体)
•導体とは自由に電気を通す物体 (金属など) 。
•導体の中には静電場は存在しない注1 。
(存在すれば電気が電場を打ち消すように動く。) •導体内では表面電荷のみ存在し得る注2。
•導体の各点で電位が等しい注3。
•導体の表面上の電場は、面に直交する注4。
•不規則な形状の導体上では,電荷密度は曲率半径
の小さいところほど大きい(ie. 尖端に集中) (証明は次頁)
注1: 電場は電荷が作る.導体は電荷を動かすのみ
注2: 導体表面のすぐ内側にガウス面を考えれば判る(右図→) 注3: 伝導率が有限の場合に、電位差があれば電流が流れる。
電池など能動的外場が接続されていない限り、すぐに定常値
に落ち着く
注4:
注1
注2
内部E=0 外部表面での電荷分布は一様
+q
- q
導 体1:
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導体の曲率半径が小さいところで電場が強い理由
(1)電荷は互い反発するのでとがっているところに集中しやすい
(2) 曲率(半径の逆数) の違う二つの導体球を同電位にすると,
半径が r1, r2 の二つの導体球を導線でつなぐ.
同電位であるから
従って電場は
すなわち,曲率半径が小さいほど電場は強い
尖端付近の電場が空気の絶縁破壊電場強度 (3x106 V/m)
を超えるとコロナ放電が起こる.
応用例: 電界イオン顕微鏡 (FIM = Field Ion Microscope)
静電沈澱機
コロナ放電
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応用例02:静電沈澱機 (大気汚染除去) 煙の中の灰や埃を99%迄除去.火力発電や大量の煙を出す
工業施設に使われる.
図は基本動作原理
ダクトの中央を通るワイヤとアースされている外壁との間に
- 40~100 kVの高電圧を維持.負の高電圧によりワイヤからの
コロナ放電が電子や 負イオン(O2- ) を発生させ,これらは外壁に
向かう.途中で流れている排気中の埃に衝突する.
負に帯電した埃粒子は電場に引きつけられ沈着する.
沈着した埃は定期的に振動を与えて緩め落下させて収集される.
静電放電の応用例01: 電界イオン顕微鏡 (Field Ion Microscope)
検査すべき試料で作ったワイヤーの尖端を細くして (r~ 100 nm=0.1mm= 10-7m),
少量のヘリウムガスを含む真空管に入れ高圧を掛ける.強い電場領域にあるヘリウムは
正にイオン化され負に帯電した蛍光スクリーンに向かい試料構造の像を造る
コロナ電
r ~ 100nm
導体表面に面電荷密度 s の電荷が
分布しているときの表面電場 E = s/e0
証明1: ガウスの法則を使う。
ガウス面を図のようにとる。
証明2:一番上の(c)図で考えても判る.
左側の導体の表面電荷が作る電場は左右外向きに一様に E = s/2e0 である.
同じ効果が右側の負の面電荷でも作れる.電場は左右内向きに一様に E = - s/2e0
相乗効果で,導体の内部電場をゼロにし,かつ導体表面の電場は E = s/e0 となる.
注: 電場は電荷が作る.導体は電荷を動かすのみ --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
導体表面の電場は E = s/e0 という事実は,無限大平面では外部空間全体で
成立するが、平面でなくて曲面でも近傍の微小面積になら適用可能。 22
表面電荷は、外部の電場を、
導体内で打ち消すような配置
に分布する。
導 体 2:
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導体表面上の電荷が受ける力(張力)は、単位面積あたり f = s2/(2e0)
証明: 電場を微小面積 dS とそれ以外 Sother の寄与に分けて考える。 ノート: F=qE のとき,E に q の作る電場は含まれない. ( ただし,これは静電場で正しい.時間的変化のあるダイナミックスを考えるときは
q の作る電場が持つエネルギーが消費されるので,外場だけを考えることは誤りとなる.)
微小面積 dS の電荷が作る電場は、周辺付近以外では無限平面近似が成り立つ。
すなわち dS の作る電場は上下方向対称で
導体内部では電場が存在しないはずなので、微小面積より外側の外部電荷が作る電場が相殺しているのであろうと推察できる。とすれば外側電荷の作る電場は、
導体内で E = s/2e0 のはず。連続性から導体外でも E = s/2e0 のはず.
微小面積電荷の受ける力は外側電場によるものであり、
外側電場は E = s/2e0であるから、単位面積に働く力は f = s2/(2e0) となる,
導体3
(導体外で)
導体内では 0
導体に囲まれた空洞内に電場は存在しない
証明: 導体内では電場は存在せず,
至る所電位は一定.
故にAからBへ空洞を通る線積分は
どんな経路を通っても 0.
したがって電場は何処にも存在し得ない.
導体を接地すれば電位は 0 で安定する.
内外の電気現象は独立となる.
*携帯をアルミフォイルで包むと感度良くなる悪くなる?
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例:自動車,電子レンジ,冷蔵庫
帯電した長い針金格子の作る電場: 格子間隔の数倍の距離で一様になる.
静電遮蔽として有効
ファラデーケージ
注: 電磁シールド: 静電シールドとは別の原理
励起電場電流による反射もしくは吸収(表皮)効果
穴(直径 a)があれば 基本的に l/2>a が必要
静電遮蔽(シールド)の原理
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