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本 田 技 研 工 業 株 式 会 社
通 称 名 車 両 型 式 エンジン型式 適 用 時 期 出 典 資 料
CBR250R JBK-MC41 MC41E 2014.4~ サービスマニュアル 60K3300
エンジン電子制御装置の構造・機能及び故障診断
1 概 要
1) システム全般(図-1)
CBR250Rに搭載されている電子制御燃料噴射装置PGM-FIシステムは,スロットル・ボデーと各種センサ類を一体のモジュールにし,従来のキャブレータ並みの大きさに機能を集約している。これにより,コンパクトでシンプルなシステムにしている。PGM-FIシステムは,エンジン回転速度,インテーク・マニホールド内の吸気圧力,スロットル開度,冷却水の温度などをエンジン・コントロール・ユニットが監視し,混合気と点火時期を制御することであらゆる回転域で常に理想的な燃焼状態を作り出している。これにより,キャブレータに比べ,低速から高速までをカバーする俊敏なレスポンスとスムーズな出力を実現すると共に燃料消費を低減し,排気ガス中に含まれる有害物質を削減している。⑴ センサ一体型スロットル・ボデー
CBR25RのPGM-FIシステムでは,吸気圧力センサ,スロットル開度センサ,吸気温度センサをスロットル・ボデーと一体化することで,シンプルなシステム構成を実現し,キャブレータと同等のサイズまで小型化している。
図-1 システム全般
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ホンダ
⑵ O2センサ(Exパイプ配置)(図-2,3)
従来モデルのCBR250Rは排気ポートの合流地点付近にO2センサ配置していたが,2014年モデルCBR250Rはエキゾースト・パイプ側に配置している。二つある排気ポートの合流地点よりも更に後にO2センサを配置することで,より安定したセンシングを行うことができる。
図-2 O2センサ(Exパイプ配置)
また,O2センサ・センサのエキゾースト・パイプ配置に伴い,確実にアース経路を確保するための専用アースがエキゾースト・パイプ・マウント位置に配置されている。
図-3 専用アース
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ホンダ
2 構造・機能
1) 構成部品の配置
⑴ 構成部品の配置図(図-4)
図-4 構成部品の配置
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ホンダ
⑵ システムの配線図(図-5)
図-5 システムの配線図
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ホンダ
2) 構成部品の構造・機能
⑴ センサ
イ スロットル開度センサ(図-6)
スロットル・バルブと同軸上に可変抵抗器を備え付け,軸の角度変化による抵抗値変化を電圧の変化に置き換えてECUに送っている。この信号により以下の働きを行っている。・スロットル開度マップによる基本噴射量の決定及び加速増量補正・吸気圧力マップとスロットル開度マップの切り替え判別・アイドル開度の判定
図-6 スロットル開度センサ
ロ 吸気温度センサ(図-7)
吸気温度センサは,吸入空気温度の変化をサーミスタの抵抗値の変化によって検出し,電圧信号に置き換えてECUに送っている。この信号により以下の働きを行っている。・吸入空気温度による基本噴射量の補正
図-7 吸気温度センサ
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ホンダ
ハ 吸気圧力センサ(図-8)
吸気圧力センサは,マニホールド内の吸気圧力を検出し,半導体で電圧信号に置き換えてECUに送っている。この信号により以下の働きを行っている。・吸気圧力マップによる基本噴射量の決定
図-8 吸気圧力センサ
ニ 水温センサ(図-9)
水温センサにはサーミスタが用いられている。サーミスタの温度が低くなると抵抗値が大きくなり高くなると抵抗値が小さくなる特性を利用し,温度変化を電圧信号の変化に置き換えてECUに送っている。この信号により以下の働きを行っている。・始動時の噴射量の決定・冷却液温度に応じた噴射量の補正・点火時期の補正
図-9 水温センサ
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ホンダ
ホ O2センサ(図-10)
O2センサは排気ガス中の酸素濃度を検出するために,センサ素子の内面は大気に,外面は排気ガスにさらされており,活性化温度で酸素濃度差が発生すると起電力を発生する特性がある。その電圧信号をECUに送っている。この信号により以下の働きを行っている。・空燃比のフィードバック補正
図-10 O2センサ
ヘ バンク・アングル・センサ(図-11)
バンク・アングル・センサは車両が転倒(60+5°以上)した際に,エンジンの作動をOFFにするためのセンサである。車両が設定された角度以上傾くと,ICと振り子の位置関係が大きくずれ,電気信号をECUに送る。この状態が数秒間続いた場合,ECUは車両の転倒を検知し,インジェクタなどを停止させることで強制的にエンジンを停止する。エンジンが止まった際には,一度イグニッション・スイッチをOFFにして再度ONにしないと再始動できない。
図-11 バンク・アングル・センサ
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ホンダ
⑵ アクチュエータ
イ IACV(アイドル・エア・コントロール・バルブ)(図-13,14)
IACVは,アイドリング時の吸入空気量を調整するための部品である。この部品はECMからの電気信号により作動し,始動時,暖機時,アイドリング時の各運転条件に合わせて吸入空気量を制御することで,アイドル回転速度を自動調整している。
図-13 アクチュエータ⑴
IACVのスライド・バルブには,空気が流れる通路が設けられており,この通路の開度を変化させることで,流れる空気量を制御している。
図-14 アクチュエータ⑵
ト 車速センサ(図-12)
車速センサはトランスミッション・ケースに取り付けられている。車速センサはトランスミッション・カウンタ・シャフトの回転をホールIC(磁気センサ素子)で検出し,アンプで増幅して車速信号としている。
図-12 車速センサ
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ホンダ
⒞ 作 動
① イグニッション・スイッチをONにしたとき(図-17,18)
ⓐイグニッション・スイッチをON,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にすると,ECUはスライド・バルブが突き当たる(全開)までステップ・モータを動かし,この位置をスライド・バルブの基準位置とする。
⒜ 構成部品(図-15)
① モータ
モータは,ECMからの電気信号により断続的に回転する。② スライド・ピース
スライド・ピースは,ステップ・モータが回転すると送りねじにより往復運動する。③ スライド・バルブ
スライド・バルブは,スライド・ピースと共に移動して,バイパス通路に流れる空気量を制御する。④ スプリング
スプリングは,スライド・バルブをスライド・ピースに押し付けている。
図-16 バイパス通路を流れる空気量の制御
図-17 イグニッション・スイッチをONにしたとき⑴
ⓑECUは,水温センサからの情報によりエンジンの温度を検知し,スライド・バルブを基準位置からエンジン始動時に適切な開度まで移動する。
図-18 イグニッション・スイッチをONにしたとき⑵
図-15 構成部品
⒝ バイパス通路を流れる空気量の制御(図-16)
スライド・バルブには,空気が流れる通路が設けられており,この通路の開度を変化させることで,流れる空気量を制御している。なお,通路の開度は,ステップ・モータと送りねじにより,スライド・バルブを移動させることで変化する。
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ホンダ
④ アイドリング時(図-21)
ECUは,各センサからの情報により暖機完了を判断すると,ステップ・モータを動かしスライド・バルブを閉じ側に移動させる。これにより,通路を流れる空気量がエンジン暖機時よりも減少し,適切なアイドル回転速度を維持する。
③ エンジン暖機時(図-20)
ECUは,各センサからの情報により判断したエンジンの暖機状態に応じてステップ・モータを動かし,スライド・バルブを徐々に閉じ側へ移動させる。これにより,通路を流れる空気量がエンジン始動時よりも減少し,暖機中も設定されたエンジン回転速度を維持する。
図-20 エンジン暖機時
⑤ イグニッション・スイッチをOFFにしたとき
IACVは,エンジン運転中のスライド・バルブ位置を維持した状態で作動を停止する。⒟ 作動の流れ(図-22)
図-22 作動の流れ
図-21 アイドリング時
図-19 エンジン始動時
② エンジン始動時(図-19)
スロットル全閉状態でイグニッション・スイッチON,エンジン・ストップ・スイッチ“ ”時に,適切な開度に調節されたバイパス通路を通り,エンジンを始動するのに適切な空気量が流れ込む。
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ホンダ
ロ インジェクタ(図-23)
インジェクタは,ECUからの電気信号により作動し,燃料をインテーク・マニホールド内に噴射している。作動はECUからの信号により,ニードル・バルブ/プランジャがスライドすることで,加圧されている燃料が噴射される。また,燃料噴射量はニードル・バルブの開閉時間を変化させることで行っている。
図-23 インジェクタ
⒝ 燃料噴射終了時(図-25)
ECUは決定した噴射時間をすぎるとソレノイド・コイルへの電流の流れを止める。これにより,ソレノイド・コイルは磁力を失い,ニードル・バルブ/プランジャがスプリングの力で押し戻されることで噴出孔を閉じ,燃料の噴射が終了する。
⒜ 燃料噴射時(図-24)
ECUは,燃料の噴射時間と噴射時期を決定し,ソレノイド・コイルに電流を流す。これによりソレノイド・コイルに磁力が発生し,ニードル・バルブと一体構造のプランジャをソレノイド・コイル側に吸引する。ニードル・バルブ/プランジャが吸引されることで噴出孔が開き,加圧されている燃料がインテーク・マニホールド内に噴射される。
図-24 燃料噴射時
図-25 燃料噴射終了時
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ホンダ
ハ フューエル・ポンプ(図-26,27,28)
フューエル・ポンプは燃料を圧送することで,フューエル・ライン内に燃圧を掛けている。また,フューエル・ライン内に掛かる燃圧を一定に保つほか,燃料の逆流防止などの機能を持っている。なお,この部品はフューエル・タンク内に設置されており,ポンプ,プレッシャ・レギュレータなどで構成されている。また,燃料の残量を検出するフロートが一体となっている。
図-26 フューエル・ポンプ⑴
CBR250Rのフューエル・フィルタは,メンテナンスが容易にできるよう,フューエル・ポンプの外側に取り付けられている。
図-27 フューエル・ポンプ⑵
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ホンダ
ECUは,各センサからの情報をもとにエンジンの状態に最適な燃料噴射量,点火時期を演算する。この演算は,ECUに予め設定されているデータ群(基本噴射量マップ)を使用し,車両の状態に応じた補正を加えて燃料の噴射量を決定している。基本噴射量マップ:ECUには,二つの基本噴射量マップが設定されている。この二つのマップは,車両の状況に応じて使い分けられており,細かい制御を可能にしている。
図-30 基本噴射量マップ
フューエル・タンク内の燃料は,ポンプの作動によりフィルタ→ポンプ→チェック・バルブ→吐出口→フューエル・フィード・ホース(フューエル・ライン内)へと圧送される。なお,フューエル・ライン内の燃圧が高くなると,プレッシャ・レギュレータがフューエル・ライン内の燃料をフューエル・タンクに戻すことで,燃圧を一定に保っている。
図-28 フューエル・ポンプ⑶
⑶ エンジン・コントロール・ユニット(ECU)(図-29,30)
PGM-FIシステムの電子制御系統はECUを中心として,センサ,アクチェータなどから構成されている。ECUは,センサによって検出した情報をもとに,エンジンがどのような状態にあるかを判断し,インジェクタやイグニッション・コイルへ信号をおくり,燃料噴射量や点火時期を制御している。 図-29 エンジン・コントロール・ユニット(ECU)
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ホンダ
⑤エンジン・ストップ・スイッチが“ ”位置になっていることを確認し,メイン・スイッチをONにする。⑥サービス・チェック・カプラから専用工具を外す。⑦PGM-FI警告灯が約5秒間点灯する。PGM-FI警告灯が点灯中に専用工具を使用してサービス・チェック・
カプラ端子を再度短絡させる。DTCが消去されると,PGM-FI警告灯が消灯してから短い点滅を開始する。参考 ・必ず5秒以内にサービス・チェック・カプラの端子間を短絡させること。5秒以内に短絡させないとPGM
-FI 警告灯は点灯したままの状態となる。
・PGM-FI警告灯が点滅する前にメイン・スイッチをOFFにすると,保持されているDTCが消去できない
ので注意すること。
⑤エンジン・ストップ・スイッチが“ ”位置になっていることを確認し,メイン・スイッチをONにする。PGM-FI警告灯の点滅回数を記録し,PGM-FI・DTC一覧表からDTCを読み出す。参考 エンジン・コントロール・ユニットにDTC保持データがない場合,PGM-FI警告灯は点滅状態となる。
⑵ 消去方法(DTCの消去)(図-32)
①シートを取り外す。②メイン・スイッチをOFFにする。③ダミー・カプラからサービス・チェック・カプラを取り
外す。④専用工具を使用してサービス・チェック・カプラ端子を
短絡する。接続:茶-緑専用工具:SCSサービス・カプラ(070PZ-ZY30100)
3 点検・整備
1) ダイアグ・コード表示・消去方法
⑴ 表示方法(DTCの読み出し)(図-31)
①シングル・シートを取り外す。②メイン・スイッチをOFFにする。③ダミー・カプラからサービス・チェック・カプラ取り外
す。④専用工具を使用してサービス・チェック・カプラ端子を
短絡させる。接続:茶-緑専用工具:SCSサービス・カプラ(070PZ-ZY30100) 図-31 表示方法
図-32 消去方法
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ホンダ
⑶ DTCコード一覧表
・MCSを使用しない場合,DTCのメイン・コード(ハイフン左側の数値)に該当する点検をすべて行う。
DTC 故障原因 症状/フェイルセーフ機能
1-1 吸気圧力センサ回路低電圧(0.196V以下)・吸気圧力センサ又は関連回路の不良 ・エンジン通常作動
1-2吸気圧力センサ回路高電圧(3.848V以上)・センサ・ユニット・カプラの緩み,接触不良 ・吸気圧力センサ又は関連回路の不良
・エンジン通常作動
7-1 水温センサ回路低電圧(0.078V以下)・水温センサ又は関連回路の不良
・低温時始動不良 ・クーリング・ファン作動
7-2水温センサ回路高電圧(4.922V以上)・水温センサ・カプラの緩み,接触不良 ・水温センサ又は関連回路の不良
・低温時始動不良 ・クーリング・ファン作動
8-1スロットル開度センサ回路低電圧(0.215V以下)・センサ・ユニット・カプラの緩み,接触不良 ・スロットル開度センサ又は関連回路の不良
・スロットル急開時レスポンスが悪い
8-2 スロットル開度センサ回路高電圧(4.922V以上)・スロットル開度センサ又は関連回路の不良 ・スロットル急開時レスポンスが悪い
9-1 吸気温度センサ回路低電圧(0.078V以下)・吸気温度センサ又は関連回路の不良 ・エンジン通常作動
9-2吸気温度センサ回路高電圧(4.922V以上)・センサ・ユニット・カプラの緩み,接触不良 ・吸気温度センサ又は関連回路の不良
・エンジン通常作動
11-1車速センサ異常 ・車速センサ・カプラの緩み,接触不良 ・車速センサ又は関連回路の不良
・エンジン通常作動
12-1インジェクタ回路の不良 ・インジェクタ・カプラの緩み,接触不良 ・インジェクタ又は回路の故障
・エンジン始動せず ・インジェクタ,フューエル・ポンプ及びイグ
ニッション・コイルが停止
21-1O2センサ異常 ・O2センサ・カプラの緩み,接触不良 ・O2センサ又は関連回路の不良
・エンジン通常始動
29-1IACバルブ回路異常 ・IACバルブ・カプラの緩み,接触不良 ・IACバルブ又は関連回路の故障
・エンジン・ストール,始動不良,アイドリング不安定
33-2* エンジン・コントロール・ユニットEEPROM異常 ・エンジン通常作動
54-1 バンク・アングル・センサ回路低電圧(0.35V以下) ・バンク・アングル・センサ又は関連回路の不良
・エンジン通常作動 ・バンク・アングル・センサが作動しない (車体が倒れてもエンジンが停止しない)
54-2バンク・アングル・センサ回路高電圧(4.5V以上) ・バンク・アングル・センサ・カプラの緩み,接触不良 ・バンク・アングル・センサ又は関連回路の不良
・エンジン通常作動 ・バンク・アングル・センサが作動しない (車体が倒れてもエンジンが停止しない)
*PGM-FI警告灯は点滅しない(DTCはMCS使用時のみ読み出し/消去ができる)
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ホンダ
2) 故障診断
エンジン系統に不具合が発生し,異常を検出すると,PGM-FI警告灯が点灯し,警告灯は異常箇所を示す点灯又は点滅を行う。この点滅回数を記録し,異常箇所の推定を行った上で点検・整備を行う必要がある。ここでは以下に示す車速センサ系統,インジェクタ系統及びIACバルブ系統の異常を例として点検整備方法を説明する。
ⅰ 車速センサ系統①症状:エンジン通常作動,PGM-FI警告灯11回点滅②故障内容:車速センサの不良③点検方法:自己診断機能ⅱ インジェクタ系統①症状:エンジン始動せず,PGM-FI警告灯12回点滅②故障内容:インジェクタ回路の不良③点検方法:自己診断機能ⅲ IACバルブ系統①症状:エンジン・ストール,始動不良,アイドリング不安定,PGM-FI警告灯29回点滅②故障内容:IACバルブ回路の不良③点検方法:自己診断機能⑴ 車速センサ系統異常(図-33)
図-33 車速センサ系統
イ 症 状
エンジン通常作動,PGM-FI警告灯11回点滅ロ 原因説明
車速センサ異常・車速センサ・カプラの緩み,接触不良・車速センサ又は関連回路の不良ハ 点検方法
・DTC11-1(車速センサ)
点検を開始する前に,車速センサ3P(青)カプラの緩み,接触不良を点検し,PGM-FI警告灯の点滅を再確認する。
〈トラブル原因要素〉
・車速センサとエンジン・コントロール・ユニット間の桃線又は白/赤線の断線又は短絡・車速センサの不良
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ホンダ
④ スピードメータ及び車速センサ・システム点検(図-35,36)
・点検を開始する前に,コンビネーション・メータの点検を行う。・コンビネーション・メータのワイヤ・ハーネス側カプラ
で下記の項目を確認する。・点検中,コンビネーション・メータ20Pカプラの接続を
外さないこと。・点検後,ダスト・カバーをもとに戻すこと。
アッパ・カウルを取り外す。ダスト・カバーを取り外す。
・エンジン・コントロール・ユニットの不良① 車速センサ・システムの点検
DTCを消去する。テスト走行する。エンジンを停止する。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。DTC11-1が示されているか?YES -ステップ②へNO -・一過性の故障
・車速センサ3Pカプラの緩み,接触不良② スピードメータの点検
スピードメータを点検する。スピードメータは正常か?YES -ステップ③へNO -異常のある回路を交換又は修理する。
③ 車速センサ信号回路点検(図-34)
メイン・スイッチをOFFにする。エンジン・コントロール・ユニット33P(黒)カプラの接続を外す。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。ワイヤ側エンジン・コントロール・ユニット33P(黒)カプラで電圧を測定する。接続:白/赤(+)-ボデー・アース(-)専用工具:テスト・プローブ(07ZAJ-RDJA110)手でリヤ・ホイールをゆっくりと回す。0Vから5Vのパルス電圧があれば正常である。0~5パルス電圧があるか?YES -エンジン・コントロール・ユニットを良品と交換して再点検する。NO -白/赤線の断線,又は短絡
図-34 車速センサ信号回路点検
図-35 ダスト・カバー
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ホンダ
⑤ 車速センサの点検(図-37)
L.サイド・カバーを取り外す。車速センサ3Pカプラに緩み,接触不良がないか確認する。車速センサ3Pカプラの接続を外す。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。ワイヤ側の車速センサ3Pカプラ端子間の電圧を測定する。接続:赤/黒(+)-黒/緑(-)標準値:バッテリ電圧バッテリ電圧が検知される場合は,車速センサを交換する。電圧が検出されない場合は,下記項目を点検する。-赤/黒線の断線-緑/黒線の断線-コンビネーション・メータ
トランスミッションをニュートラルにシフトする。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。コンビネーション・メータ20Pカプラ端子間の電圧を測定する。接続:白/赤(+)-黒/緑(-)手でリヤ・ホイールをゆっくりと回す。0Vから5Vのパルス電圧があれば正常である。パルス電圧がある場合は,コンビネーション・メータを交換する。パルス電圧がない場合は,下記項目を点検する。-白/赤線の断線-緑/黒線の断線-回線に異常がない場合は,車速センサを点検する。
図-36 スピードメータ及び車速センサ・システム点検
図-37 車速センサの点検
⑵ インジェクタ系異常(図-38)
図-38 インジェクタ系異常
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ホンダ
イ 症 状
・エンジン始動せず,PGM-FI警告灯12回点滅・インジェクタ,フューエル・ポンプ及びイグニッション・コイルが停止ロ 原因説明
インジェクタ回路の不良・インジェクタ・カプラの緩み,接触不良・インジェクタ又は回路の故障ハ 点検方法
・DTC12-1(インジェクタ)
点検を開始する前に,インジェクタ2P(灰)カプラの緩み,接触不良を点検し,PGM-FI警告灯の点滅を再確認する。
〈トラブル原因要素〉
・エンジン・ストップ・スイッチとインジェクタ間の黒/青線の断線・インジェクタとエンジン・コントロール・ユニット間の桃/白線の断線又は短絡・インジェクタの不良・エンジン・コントロール・ユニットの不良① インジェクタ・システム点検
DTCを消去する。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。エンジンを始動し,インジェクタを点検する。DTC12-1が表示されるか?YES -ステップ②へNO -・一過性の故障
・インジェクタ2P(灰)カプラの緩み,接触不良② インジェクタ入力電圧点検(図-39)
メイン・スイッチをOFFにする。インジェクタ2P(灰)カプラの接続を外す。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。ワイヤ側インジェクタ2P(灰)カプラとボデー・アース間の電圧を測定する。接続:黒/青(+)-ボデー・アース(-)標準値:バッテリ電圧標準電圧があるか?YES -ステップ③へNO -黒/青線の断線又は短絡
図-39 インジェクタ入力電圧点検
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ホンダ
⑤ インジェクタ信号回路の断線点検(図-42)
エンジン・コントロール・ユニット33P(黒)カプラの接続を外す。ワイヤ側でエンジン・コントロール・ユニット33P(黒)カプラとインジェクタ2P(灰)カプラ間の導通を確認する。接続:桃/白-桃/白専用工具:テスト・プローブ(07ZAJ-RDJA110)導通はあるか?YES -エンジン・コントロール・ユニットを良
品と交換して再点検する。NO -桃/白線の断線
④ インジェクタ抵抗値点検(図-41)
インジェクタ2P(灰)カプラ端子間の抵抗値を測定する。標準値:11~13Ω(20℃)抵抗値は11~13Ωの範囲内か(20℃)?YES -ステップ⑤へNO -インジェクタの不良
③ インジェクタ信号回路の短絡点検(図-40)
メイン・スイッチをOFFにする。ワイヤ側インジェクタ2P(灰)カプラとボデー・アース間の導通を点検する。接続:桃/白-ボデー・アース導通はあるか?YES -桃/白線の短絡NO -ステップ④へ
図-40 インジェクタ信号回路の短絡点検
図-41 インジェクタ抵抗値点検
図-42 インジェクタ信号回路の断線点検
⑶ IACバルブ系統異常(図-43)
図-43 IACバルブ系統異常
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ホンダ
イ 症 状
・エンジン・ストール,始動不良,アイドリング不安定,PGM-FI警告灯29回点滅ロ 原因説明
IACバルブ回路異常・IACバルブ・カプラの緩み,接触不良・IACバルブ又は関連回路の故障ハ 点検方法
・DTC29(IACバルブ)
点検を開始する前に,IACバルブ4P(黒)カプラの緩み,接触不良を点検し,PGM-FI警告灯の点滅を再確認する。
〈トラブル原因要素〉
・IACバルブ及びエンジン・コントロール・ユニット間のワイヤ(青/白線,青/黒線,茶/白線,茶/黒線)の断線又は短絡
・IACバルブの故障・エンジン・コントロール・ユニットの不良① DTCの再確認
DTCを消去する。メイン・スイッチをONにして,エンジン・ストップ・スイッチを“ ”の状態にする。DTC29-1が表示されるか?YES -ステップ②へNO -・一過性の故障
・IACバルブ4P(黒)カプラの緩み,接触不良② IACバルブの短絡点検(図-44)
エンジン・コントロール・ユニット33P(黒)カプラの接続を外す。ワイヤ側IACバルブ4P(黒)カプラとボデー・アース間の導通を確認する。接続:青/白-ボデー・アース 茶/白-ボデー・アース 茶/黒-ボデー・アース 青/黒-ボデー・アース導通はあるか?YES -・青/白線又は茶/白線の短絡
・茶/黒線又は青/黒線の短絡NO -ステップ③へ
図-44 IACバルブの短絡点検
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ホンダ
④ IACバルブ抵抗点検(図-46)
メイン・スイッチをOFFにする。IACバルブ4P(黒)カプラの接続を外す。IACバルブ側カプラでの抵抗値を測定する。接続:A(青/黒)-D(青/白) B(茶/黒)-C(茶/白)標準値:110~150Ω(25℃)抵抗値は110~150Ωの範囲内か(25℃)?YES -エンジン・コントロール・ユニットを良品と交
換して再点検する。NO -IACバルブの故障
③ IACバルブの断線点検(図-45)
ワイヤ側エンジン・コントロール・ユニット33P(黒)カプラとワイヤ側IACバルブ4P(黒)カプラ間の導通を確認する。接続:青/白-青/白 茶/白-茶/白 茶/黒-茶/黒 青/黒-青/黒専用工具:テスト・プローブ(07ZAJ-RDJA110)導通はあるか?YES -ステップ④へNO -・青/白線又は茶/白線の断線
・茶/黒線又は青/黒線の断線
図-45 IACバルブの断線点検
図-46 IACバルブ抵抗点検
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ホンダ
参 考
配線図
Recommended