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日本ゲーム産業史概説

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日本ゲーム産業史・概説

小山友介(芝浦工業大学)

ゲームの歴史って・・・?技術史・スプライト機能・ PSG→FM音源→ PCM・ CISC →RISC・シェーダー

社会史・不良の温床・交流ノート・賭博機・わいせつ

デザイン史  or ジャンル史・ PONG→BREAKOUT→スペースインベーダー・ ADV:単語入力→コマンド選択・ RPG:ターン制→ ATB

企業史  or 経営史・ナムコ,セガ,タイトー…・任天堂,バンダイ…・スクウェア,エニックス,光栄…・ガンホー, CyGames,…・ GREE, DeNA…

ゲームタイトル史マリオ, DQ, FF…ゲームハード史

FC,MD, PS, Xbox…

ゲーム産業史技術史・スプライト機能・ PSG→FM音源→ PCM・ CISC →RISC・シェーダー

社会史・不良の温床・交流ノート・賭博機・わいせつ

デザイン史  or ジャンル史・ PONG→BREAKOUT→スペースインベーダー・ ADV:単語入力→コマンド選択・ RPG:ターン制→ ATB

ゲームタイトル史マリオ, DQ, FF…ゲームハード史

FC,MD, PS, Xbox…企業史  or 経営史・ナムコ,セガ,タイトー…・任天堂,バンダイ…・スクウェア,エニックス,光栄…・ガンホー, CyGames,…・ GREE, DeNA…

ゲーム産業史

議論の対象:

継続的に利益を上げ,事業体を存続させることを目的としたさまざま企業の活動と,その活動に消費者がどう反応し,どのような結果を生み出し続けたか

・歴史を左右させる局面を理解するためには、他の視点での歴史の知識も必要  ・タイトル,社会的規制,技術的ブレークスルー…

ゲームの市場 最初期から存在

PC(非ネット) 大型コンピュータ時代にはオンラインゲームも存在

アーケード(ゲームセンター) 家庭用(据置・携帯)

携帯型ゲーム機は 1989年( GB)から 20世紀末~ 21世紀に登場

PCオンラインゲーム Windows95の登場から普及

携帯電話・スマホ ケータイ(ガラケー): 2001年 JAVA対応がスタート スマホ:パズドラ( 2012年)が事実上のスタート

時代区分(本と変えています)コンピュータゲームの誕生~ビジネスの基本確定まで  おおまかに、 1980年代前半( FC誕生)までゲームビジネスの基本が確定し、市場が拡大する時期  技術的に, 2Dグラフィクス全盛期と重なる  途中で 8ビット→ 16ビットの移行発生

黎明期

2D期

3D期新市場の誕生やビジネス巨大化など、産業構造が激変  日本ゲーム産業の絶頂期&没落の開始  技術的には, 3Dグラフィクスの普及・定着と重なる

現在オンラインとスマホの台頭、競争環境の変化  市場の中心:家庭用→スマホへ  市場の関係:共進化から競争へ 

拙著の構成

16 章:現在• (短いが)事実上の第 3 部• 共進化から競争への転換• 全体まとめ

1 章:ゲーム産業の歴史とは何か• 各種定義& 2D期までの概念整理

2 章:前史• アタリショックまで• 主に米国市場

3~8 章:• 黎明期~2 D期• 事実上の第 1 部

9 章: 1994年の激変• 3D期以降の変化概説• 競争のルールが大変化

10~15 章:• 3D期 +現在の一部(ソシャゲ/ PCオンライン)

• 事実上の第 2 部

黎明期

アーケード, PC,家庭用ゲーム機前史

日本ゲーム産業史前史 1 枚まとめ 市場に出た「世界で初」は米国:研究室レベルは

別 家庭用:Magnabox  Odyssey

初のヒット: Atari VCS ヒットに日本のアーケードゲーム移植が貢献

アーケード: Computer Space 初のヒット: PONG

2つの市場崩壊 1977年の市場崩壊: PONG チップによる粗製乱造 1983年の市場崩壊:アタリショック

アタリショック後の米国 家庭用は壊滅:任天堂とセガが参入して再構築 自国ゲーム: PC中心

黎明期アーケードゲーム 1 枚まとめ 遊技機の歴史:戦前から

場所:デパートの屋上、旅館・ホテル、ボーリング場など

コンピュータゲーム以前にエレメカの長い歴史 コンピュータゲーム:一般化までにタイムラグ

初期の表現力:エレメカの方が上 PONGや Breakoutを解析して学ぶ スペースインベーダーの大ヒットで市場が確立

ようやく、コンピュータの強さが生きる 2つの技術的シフト

電気機械(エレメカ)→電子機械(コンピュータ) ソフトとハードの分離

スペースインベーダーがその嚆矢

黎明期 PCゲーム 1 枚まとめ 日本の PC:米国からわずかな遅れで追従

ベーシックマスター( 1979,日立), PC-8001( 1980, NEC) 米国: Apple][, PET( Commodore)・・・ 1977年

群雄割拠→ 3市場へ ゲーム PC(MSX), 8ビットホビー PC(御三家), 16ビット PC( 98)

ゲームの供給源:ショップと雑誌→専業ソフト会社 黎明期ゲームは低品質→今では見向き去れない

Project EGGで扱ってるより以前のゲームはマジで酷い 日本の PCゲーム:米国ゲームの移植少

影響はあるが、移植は少ない ADV / RPGはまだまだ未知のもの    

先行したアーケードゲームの影響大

黎明期家庭用ゲーム 1 枚まとめ 黎明期のゲーム機:ハード実装

日本初:テレビテニス( 1975,エポック社) 高価・表現力低い・ TV前しか遊べない・・・→電子ゲームへ

電子ゲーム ハード実装したゲーム+蛍光管や LEDによる表示 ゲーム&ウォッチ(任天堂, 1980)の大ヒット

カセット型ゲーム機:ファミコンが時代を確定 先行機種:カセットビジョン( 1981,エポック社),

45 万台 ファミリーコンピュータ(任天堂), SG-1000(セガ) 実は,同一日の発売( 1983年 7 月 15日) 売上は大差: PC /アーケードの移植ゲーム,サードパー

ティに差

黎明期全体まとめ 3市場それぞれに下地となる産業・企業の存在

ジュークボックスの輸入,コンピュータ,玩具… 立ち上がり:アーケード> PC≧家庭用

自分でデバイスを買わなくていいアーケードが先行

米国からの影響:上手に吸収 新しい娯楽として ADV や RPGを学んで吸収

しかし、ヒットした移植タイトルは少ない 移植されて大ヒットしたタイトル: Lode Runner ぐらい?

逆に、米国に影響を与えた部分も スペースインベーダーのアタリ VCSでの大ヒットなど

2D期

2D期アーケードゲーム 1 枚まとめ 2つのショック→市場規模激減→そこからの復帰

ファミコンショック:家庭用ゲーム機登場によるゲーセン離れ

風営法適用( 1984):営業時間・来場者制限 背後に不良のたまり場化&賭博機問題

イメージの回復:健全化・レジャーランド化 体感ゲーム・大型筐体ゲーム クレーンゲーム( UFO キャッチャー,セガ, 1985年) プリクラはもう少し後(アトラス, 1995年)

対戦格闘ゲーム:ストリートファイター II, King of Fighters

2つの点で家庭用と差別化 性能面での差別化:最新技術の導入,大型筐体 ゲーム内容の差別化:対人戦の魅力

2D期 PCゲーム 1 枚まとめ 8ビット御三家→ PC-98VM( 1985年)がデファクト 「 PC-9801VM 以降」で固定される→後の停滞要因に

2大社会問題 違法コピー

レンタル店がレンタル時にファイラー(プロテクト解除ツール)添付 今では大手になったチェーンも(○○○ o○)

対策:パッケージを豪華にして購入促進ぐらい わいせつ:沙織事件( 1991年)から表面化

悪書追放運動の対象,ソフ倫誕生( 1992年) 市場規模: 1990年を頂点に低迷

PC普及率低迷 家庭用ゲーム機の 16ビット化でユーザー離れ

2D期家庭用ゲーム機 1 枚まとめ ファミコンで固まった基本ビジネスモデル

「サードパーティを集め、ライセンス収入で稼ぐ」 ゲームが売れる環境でないと、サードパーティーも来ない

→そのためには、ハードウェアが売れることが必要 世代ごとのデファクト・スタンダード競争が確定

結局、次世代も任天堂の勝利 SFC  vs MD vs PCE 米国ではセガ(ジェネシス)と引き分け

ゲーム価格の高騰 大容量化→ ROMの限界: 1 万円超のタイトルも CD-ROMに注目が集まる: PCEですでに成功

2D期全体まとめ 3市場が個性を持って棲み分け

PC:年齢層高め,画面高解像度,セーブ可 ADV, RPG, SLG

アーケード:高性能,ハード購入不要 アクション,対戦格闘,体感ゲーム

家庭用:年齢層低め,ユーザー数多 性能:アーケードの劣位 出るゲーム:両者の中間的(なんでも)

相互に影響を与え合う共進化

アーケード

家庭用

PC

描画性能

計算能力/データ規模

1980年代後半の 3市場イメージ  アーケード 家庭用 PC 画面解像度 320×224

(システム 16)256×240 ( FC) 専用モニタ

640×400( PC-9801VM)

同時発色数 4096 色同時発色 (システム 16)

52 色中 25 色( FC)

4096 色中 16 色 ( PC-9801VM)

スプライト機能 画面内最大 128 個 拡大縮小可 (システム 16)

画面内最大 64 個 1 列 8 個以内( FC)

スプライト機能なし ( PC-9801VM)

よく遊ばれる得意ジャンル

反射神経要求型 麻雀などのテーブルゲーム

折衷型だが,ややアーケードに近い

SLG,ADV, RPGなど,長時間じっくり遊ぶジャンル

プレイ時間 極端に短い ( 1プレイ 3分)

折衷型 記録装置(フロッピー)を利用した長時間型

消費形態 コインオペレーション( 100 円投入)

パッケージ販売 ( 5000 円程度)

パッケージ販売(最大で 1 万円超)

プラットフォームの 技術革新速度

非常に速い 数年に一度大幅な革新

ゲーム向け技術は停滞

技術発展イメージ総合性能

家庭用

PC

アーケード

78 8381 90 93 94

3D期

ビジネス環境の激変 技術面

ディスクメディアの普及 ハードウェア直接制御→ OS・ミドルウェア・エンジン利用 職人による工芸品→チームで生み出す工業製品

ビジネス面 マルチメディアブームでの過度な期待 ビデオ規格競争の先兵化 株式上場ブーム:常にプレッシャーにさらされるように

ゲームをハードウェア実装で表現

黎明期(ソフト・ハード未分化)

ゲーム・アプリケーション

ハードウェア

第1期80年代~90年代前半(ハード直接制御)

ゲーム・アプリケーション

ハードウェア

OS,ドライバ,ライブラリ

第2期90年代後半~現在(ハード抽象化)

3D期アーケードゲーム 1 枚まとめ 3Dの導入:他市場より早め

実験的な作品: 80年代から 最初期のヒット: 1993年の 2タイトル

バーチャファイター(セガ),リッジレーサー(ナムコ) 音楽ゲーム:ビーマニ, DDR

特殊大型筐体の新市場 技術的優位を失う

3D基板:開発力があったのはナムコとセガのみ 互換基板が中心に

売上の上位:景品提供機とメダルゲームに いわゆるテレビゲームはカードや音ゲー合わせても

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3D期 PCゲーム 1 枚まとめ Win95の衝撃: PC-98→Windowsへ

ゲームが移行できたのは 98年ごろ DirectX環境が整備されるまでは無理だった

アダルト・ノベル中心へ 他市場からの比較優位:「表現規制が無いこと」のみ 開発が容易なノベルゲーム中心に

オンラインゲームの登場 海外で人気→日本は出遅れ

家庭用ゲームが強かったことが逆効果 ユーザー層の拡大

MO / MMORPG→ カジュアル(ブラウザ)ゲームへ 月額課金→アイテム課金へ

3D期家庭用ゲーム 2 枚まとめ( 1) 死屍累々の新ハード: CD-i,3DO,PiPin@,…

マルチメディアブームの仇花 据置機ビジネスの変化

ディスクメディア主体のビジネスへ 開発の大規模化&開発費の高騰

PS1時代は楽勝 →  PS3ではもう限界 開発が保守化: IP(知的財産)重視,続編増加

世界市場の拡大&日本市場の停滞 日本市場の重要性が低下 海外企業に取り残される

3D期家庭用ゲーム 2 枚まとめ( 2) 携帯機:市場の主役に

背景に少子高齢化と開発費高騰 「テクノロジー・ドライバとしてのゲーム機」の終焉 PS1~ PS3:専用 CPU& GPUを開発

そのために数千億円単位で投資 ハードを逆ザヤで販売

PS3:発売時は 1台売ると 3 万円の赤字(原価レベル)→ビジネス継続が危ぶまれるレベルの赤字へ

任天堂の「リセット」戦略:一時的な成功にとどまる Wiiも DSも初期は優位だったが、最終的に抜かれる 家庭用ゲーム産業は重厚長大路線から変更できず

携帯電話/スマホゲーム 1 枚まとめ ガラケー時代

初期:月額課金+ DL 売切 ソシャゲ化&アイテム課金→巨大市場へ

「任天堂の倒し方、知ってますよ」発言が出たのはこのころ 高額課金が社会問題へ→コンプガチャ規制

スマートフォン時代 パズル&ドラゴンズ(ガンホー, 2012年)の大ヒット→一気にスマホへシフト

ゲームデザイン&ビジネスモデル Pay to Win →  Free to Play

でも、ガチャがベースなのは変わらず

3D期全体まとめ 既存市場の激変

アーケード:家庭用の技術的下位へ PC:ほぼアダルトのみへ 家庭用:据置気中心から携帯機中心へ

※背景に、ハード性能の収斂=差異の消失

新市場の登場 PCオンライン:ある程度の規模で頭打ち ケータイ:ソシャゲ化で市場拡大→スマホ:市場の中心へ

性能の収斂

アーケード

家庭用

PC

描画性能

計算能力/データ規模

1980年代~1990年代前半

アーケード

家庭用

PC

描画性能

計算能力/データ規模

1990年代後半~2000年代前半

アーケード

家庭用

PC

描画性能

計算能力/データ規模

現在

現在&まとめ

共進化から競争へ これまで:市場間で相互に「影響」

性能面・内容面で差が大きい→競合度は弱い 現在:市場間で相互に「競争」

性能面・内容面で差が縮小→顧客を取り合う

2つの戦い:リビングルーム端末&ハンディデバイス 据置機 vs PC・・・ほぼ同一ゲームでの争い

パッケージは家庭用,オンラインは PCが有利 性能面の差は無し:家庭用ゲーム機≒安価なハイエンド PC

携帯機 vs スマホ・・・パッケージ vs サービス スマホが全ゲーム市場の中心を占めるように

性能・普及台数に圧倒的な差

技術発展イメージ(設置デバイス)

総合性能

1995 20001998 2006 2013

PC家庭用(据置型)

アーケード

技術発展イメージ(携帯デバイス)総合性能

1999 2000 2004 2008 2011

家庭用(携帯型)

携帯電話スマートフォン

モノ(パッケージ)からサービス(課金)へ 大前提:売上=客数 ×客単価

既存ゲーム市場:客数増を目指す PC,家庭用:パッケージ価格は一定 アーケード:ゲームユーザーの拡大を強く意識

新興ゲーム市場:客単価増を目指す アイテム課金+ガチャ+頻繁なキャンペーン アーケードゲームも客単価上昇へとかじを切る

結果・・・カードバトル形式ばかりに

ゲーム産業史全体を振り返って(1) 理解の補助線:各企業の「大原則」

1. 任天堂:玩具 コントローラーに徹底的にこだわる,家族向けタイトル

2. セガ:アーケード 良くも悪くもアーケードのヒット作に引きずられる

3. ソニー: AV DVD, Blu-Rayの先兵, VRでも先進的

4. マイクロソフト:Windows あらゆるデバイスがWindowsで動いていることを目指す

5. PCゲーム/ソシャゲ:手段としてのゲームビジネス

儲からなければさっさと撤退

ゲーム産業史全体を振り返って(2) 歴史上で何度も繰り返される問題

1. 社会的害悪 非行,賭博,わいせつ,高額課金,・・・

2. 知的所有権 違法コピー(全市場),マジコン,・・・

3. ホームサーバ,パーソナルサーバ オンライントレード, TV 録画, VOD,・・・ ライバルデバイス: PDA,音楽プレイヤー,携帯電話,・・・

これからも、形を変えて何度も登場するはず