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1 新原理による 超高速電力用半導体ウェーハの バルクキャリア寿命評価技術 国立大学法人九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 特任教授 金田 教授 大村 一郎

新原理による 超高速電力用半導体ウェーハの バルク … 0 t キャリア生成用 赤外レーザ 反射マイクロ波 μ-PCD 法による品質分布 劣化元素濃度(化学分析)

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新原理による超高速電力用半導体ウェーハのバルクキャリア寿命評価技術

国立大学法人九州工業大学

大学院工学研究院 電気電子工学研究系

特任教授 金田 寛

教授 大村 一郎

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従来技術とその問題点

既に実用化されている自由キャリアの寿命測定法では、自由キャリア消滅に伴うマイクロ波反射の減衰を追跡する。

しかし、この方法では、ウェーハ表層の自由キャリアのみが検知され、内部のキャリアを直接観測できていないという原理上の問題がある。

このため、測定結果に任意性が生まれる.加えて、測定に長時間を要するという問題がある.

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新技術の特徴・従来技術との比較

• バルクキャリア寿命を短時間で評価することが可能な新原理によるウェーハ品質評価技術の開発に成功した。

• 従来は評価部位がウェーハ表層に限られていたが、新原理の採用によって、バルク品質の評価が可能となった。速度も大幅に向上。

• 本技術により、バルクキャリア寿命評価技術と低価格評価装置の実用化が可能となった。

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ウェーハの表面から裏面までにバルク全域でデバイス動作

バルク全域の結晶完全性が要求される

LSIでは表層領域のみがデバイス動作領域

導入: パワーデバイスと半導体ウェーハ

新評価技術の開発

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t0

キャリア生成用赤外レーザ

反射マイクロ波

μ-PCD 法による品質分布 劣化元素濃度(化学分析)

不良

減衰時間

・再結合抑制表面処理・評価時間

評価例(化学分析との比較)

時刻t=0でキャリア生成用レーザパルスを照射し,ウェーハ品質に依存する反射マイクロ波強度の減衰時間から品質を評価.

μ-PCD 法:㈱コベルコ科研

・内部を直接見る探針が必要

・高速化

・装置の低価格化

従来技術

問題点

主な評価対象:LSI用シリコンウェーハ(表層評価が主目的)

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新原理: 光励起自由キャリアによる赤外レーザ屈折

キャリア濃度 C の勾配 dC/dz が屈折をもたらす

探針: ウェーハ内部まで到達(透過)

光の屈折: 高速評価が実現可能

装置構造: 単純 → 装置価格低下

原理から生まれる特徴

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屈折観測用赤外レーザビーム

フリーキャリア生成用YAGレーザビーム

透過レーザビームの位置検出用CCD画像センサ

(XYZ)ステージ

フリーキャリア生成用YAGレーザ

観測用赤外レーザ光源

評価対象シリコンウェーハ

S

p

評価装置の光学系

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Z=0Coincident

Z<0Lower

Z>0Upper

(a) (b) (c) (d)

0.6 mm(b)

(c)

(d)

(a)

Shift = - 250 μm Shift = 250 μm

最大屈折角 Θ max= 250 μm/1000 mm =1/4000 = 0.014度

CCD検出器でとらえた赤外レーザのビームスポット

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屈折量数値化専用ソフトによる屈折角曲線の測定例 (世界初)

YAGレーザ照射位置

屈折角曲線の数値積分によって求めた自由キャリア濃度の半径方向分布(世界初)

屈折角曲線の測定結果 自由キャリア濃度分布の測定結果

測定ウェーハ:300 mm 直径, p-type, 8-12 cm

本評価法による測定結果

評価データ

・自由キャリア寿命

・寿命拡散長

評価速度: 1曲線/ 5 秒 (手動操作)

数値積分

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(XYZ)ステージ

赤外レーザ光源

シリコンウェーハ

CCD検出器光源レンズ

Top view補足1: 45度等角ビーム入射配置

YAGレーザ光源

ノッチフィルター(YAG光遮断)

ノッチフィルター(YAG光遮断)

YAGビーム

赤外ビーム

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45 °

45 °

1 次

0 次

2 次

観測用赤外レーザ

x,

Z

Y

Top view

励起用

YAGレーザ

生成された電子・正孔

補足2: 平行デュアルビームの実現

Lateral view完全平行2ビームの実現

0 次

1 次

2 次

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想定される用途

• 本技術は、ウェーハのバルク品質を高速かつ簡便に評価できる。この特徴は、特にパワーデバイス用シリコンウェーハのバルク品質評価において大きなメリットになると考えられる

• 上記以外に、太陽電池用シリコンウェーハのバルク品質評価に活用できる。

• また、実証された新原理の一般性から、SiCやGaN用への装置改造の可能性も大きい。

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実用化に向けた課題

• 現在、手動操作による実評価が可能な段階まで開発済み。しかし、光学装置の自動化と取得データの自動処理の課題が残っている。

• 今後、最適な光学測定条件について実験データを取得し、製品用シリコンウェーハに適用する場合の測定条件制御範囲を絞り込む。

• 実用化に向けて、キャリア寿命測定値の分解能を高抵抗域で+20%以内にする必要もあり。

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企業への期待

• 光学測定条件の最適化の課題については、光学評価装置の技術を持つ企業なら克服可能と考えている。

• 光学測定技術および測定の自動化技術を持つ企業との共同研究(開発)を希望。

• また、パワー半導体用評価装置を開発中の企業、パワー半導体分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :半導体ウェーハのバルク品質評価法および装置

• 出願番号 :特願2014-086522PCT/JP2015/061387

• 出願人 :国立大学法人九州工業大学

• 発明者 :金田寛、大村一郎

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産学連携の経歴

• 2008年-2010年: JST大学発ベンチャー創出推進事業に採択

• 2012年- : (株)SUMCO社より研究受託

• 2012年- 2013年: (株)グローバルウェーハズ・ジャパン社より研究受託

• 2014年-: JST A-STEP探索事業に採択

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お問い合わせ先

国立大学法人九州工業大学

産学連携コーディネーター

助教 荻原 康幸

TEL 093-884- 3485

FAX 093-881- 6201

e-mail [email protected]